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JP6498147B2 - 管路の腐食推定方法、及び管路の腐食推定装置 - Google Patents
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JP6498147B2 - 管路の腐食推定方法、及び管路の腐食推定装置 - Google Patents

管路の腐食推定方法、及び管路の腐食推定装置 Download PDF

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Description

この発明は、管路の腐食推定方法、及び管路の腐食推定装置に関する。
管路を維持及び管理する事業者にとって、管路の腐食への対応は最も重要な課題の一つである。例えば、出願人が1960年代及び1970年代に配設した低炭素鋼管路は、その殆どが正常に機能しているが、一部の管路については、腐食により閉塞したり、地震等に対する耐性が損なわれるという問題があった。
上記の問題に対して、管路が配設されている現場において、個々の管路の腐食量及び腐食速度を把握するための簡易的な手法を確立することが求められている。
従来、通信用の管路の腐食状況の検査については、例えば図9に示すように、道路上からパイプカメラ60を管路55内に挿入して確認することによって行われてきた。図9の例では、管路1条ごとに両側のマンホール50内の滞留水を排水し、マンホール50内に作業者が入って、管路55内に紐70を通した後にパイプカメラ60を紐70で引いて管路55の内部を撮影する。
また、通信用以外の管路について用いられる手法としては、塗覆装の欠損や減肉を発見するための磁束漏洩ピグや、減肉を検査する超音波ピグを用いた手法などがある(非特許文献1)。磁束漏洩ピグを用いた手法は、強磁性体であるパイプを磁化して磁束を発生させ、塗覆装の欠損や減肉による磁束の歪みを検出するものである。超音波ピグは、管路の内面とピグとの間に液体を満たし、超音波を発生させて肉厚を計測する手法である。
なお、管路内にピグが挿入できない場合には、管路の表面に装置を設置して、軸方向に超音波を伝播させて、腐食による減肉を検査する手法が用いられている(非特許文献1)。
また、非特許文献2には、交流インピーダンス法を用いて管路の腐食を推定する手法が開示されている。この手法は、採取した土壌に対して乾燥、加水処理して得られた土壌抽出水中にダクタイル試験片を浸漬して腐食抵抗を測定し、土壌中に埋設されていたダクタイル鋳鉄管の腐食深さを予測するものである。
電気学会・電食防止研究委員会 編、"電食防止・電気防食ハンドブック"、p.352-358 藤井宏明、外4名、"交流インピーダンス法を用いたダクタイル鋳鉄管の腐食予測方法"、材料, Vol51, No.11, p.1203-1209 (2002) Akira Ito, et al 、"ELECTROCHEMICAL MEASUREMENT TO EXAMINE INFLUENCE OF IONS, DO AND PH ON CORROSION OF LOW CARBON STEEL CONDUITS" 17003, 17th APCCC (2016) 加藤正義、小山正晃 著、"分極抵抗法の改良について"、 防食技術, 34, p.215-221 (1985) 腐食防食協会 編、"腐食・防食ハンドブック"、 p.551
しかしながら、パイプカメラ又は各種ピグを用いる手法では、管路内部にカメラ又はピグを挿入するため、点検対象となる管路の両側のマンホール蓋を開けて、管路内及びマンホール内の水を排水する必要があるため、点検に時間がかかる。また、管路内にケーブル等が配設されている場合には、カメラ又はピグを挿入することができないことがあった。
また、管路の軸方向に超音波を伝播させる手法では、管路の外周面に端子を接触させる必要があるため、管路の掘削を要し、大規模な工事が必要となる。
また、非特許文献2による手法では、土壌を採取する必要があるため、大規模な工事を伴う場合があった。
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、管路が配設されている現場において、容易に管路の腐食を推定するための手法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る管路の腐食推定方法は、
対向する少なくとも一組の電極を測定液に対して浮遊する浮体に連結し、前記電極の一部を前記浮体の浮遊時における前記測定液の液面高さから下方に突出させるステップと、
前記浮体を前記測定液に浮遊させて、前記電極の一部を該測定液に晒すステップと、
前記少なくとも一組の電極間に電気信号を印加すると共に、該電気信号に対する応答から該少なくとも一組の電極間のインピーダンスを測定するステップと、
該インピーダンスから前記電極の分極抵抗を算出するステップと、
該分極抵抗から、管路の腐食を推定するステップと
を含み、
前記測定液は、前記管路に連結されたマンホール内の滞留水であり、
前記少なくとも一組の電極は、前記管路と同一材料で形成されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る管路の腐食推定装置は、
対向する少なくとも一組の電極と、該少なくとも一組の電極に連結され測定液に対して浮遊する浮体とを有する電極ユニットと、
前記少なくとも一組の電極間に電気信号を印加すると共に、該電気信号に対する応答から該少なくとも一組の電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
該インピーダンスから前記電極の分極抵抗を算出する算出部と、
該分極抵抗から管路の腐食を推定する腐食推定部と
を備え、
前記測定液は、前記管路に連結されたマンホール内の滞留水であり、
前記少なくとも一組の電極は、前記管路と同一材料で形成されており、
前記少なくとも一組の電極の一部が前記浮体の浮遊時における前記測定液の液面高さから下方に突出し、前記浮体を前記測定液に浮遊させると、前記電極の一部が該測定液に晒されることを特徴とする。
本発明によれば、管路が配設されている現場において、容易に管路の腐食を推定するための手法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る管路の腐食推定装置に用いられる電極Assyの構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る管路の腐食推定装置に用いられる電極の構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る管路の腐食推定装置に用いられる電極Assyの構成を示す、(a)平面図、(b)正面図、及び(c)右側面図である。 本発明の第1実施形態に係る管路の腐食推定装置全体の構成を示す図である。 図4の管路の腐食推定装置における電極及び測定液の等価回路を示す図である。 図4の管路の腐食推定装置による交流インピーダンスの測定結果の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る管路の腐食推定方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る管路の腐食推定装置全体の構成を示す図である。 従来のパイプカメラを用いた管路の検査手法を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る管路の腐食推定装置200に用いられる電極Assy100の構成を示す図である。本実施形態の電極Assy100は、管路用鋼管から切り出して形成された一組の電極10と、電極10を測定液であるマンホール滞留水に浮遊させるための浮体20とを有する。なお、本明細書において、上下方向とは、図1における電極10の長手方向を意味しており、上方は、脚部材22から見て連結部材24が位置する側(図1における上方)であり、下方はその反対側である。また、前後方向とは、脚部材22の長手方向に沿う方向を意味し、左右方向とは、連結部材24の長手方向に沿う方向を意味するものとする。
本実施形態において、一組の電極10は、円筒形状の配管用炭素鋼鋼管(略称SGP(Steel Gas Pipe))を長手方向に短く切り出し、更に、図1乃至図3に示すように、円周方向の一部を切り出して形成された一対の電極である。なお、本実施形態に用いるSGPとしては、例えば、日本工業規格(JIS)で定める配管用炭素鋼鋼管JIS−G−3452等を用いることができるが、これに限定されるものではない。本実施形態において、電極10は、腐食の推定対象となる管路に用いられている鋼管と同じメーカー及び型番の鋼管から切り出して用いるのが好ましい。しかし、必ずしも実際に管路として用いられている鋼管そのものの一部を切り出して用いる必要はなく、新品の鋼管から切り出してもよい。また、鋼管の材質が近似していれば、腐食の推定対象となる管路に用いられている鋼管とは異なるメーカー、型番の鋼管から切り出して電極10を形成してもよい。一組の電極10は、図1及び図3に示すように、2つの脚部材22を連結する連結部材24の前後の側面上に、SGPの内周面が互いに対向するように前後に並べて固定されている。本実施形態において、一組の電極10は、長手方向及び円周方向にほぼ同じ長さに切り出されており、連結部材24の側面において、上端及び下端が概ね同じ高さになるように配置されている。
なお、本実施形態では、一組の電極10を使用するように構成したが、この態様には限定されず、二組以上の電極10を一組ごとに対向させて配置するなどしてもよい。
浮体20は、一組の対向する電極10を固定する連結部材24と、連結部材24の長手方向(左右方向)両端の下面に連結された一組の脚部材22とを有する。すなわち、連結部材24は、一組の電極10を前後の側面において連結すると共に、一組の脚部材22を左右両端の下面において連結する。本実施形態において、電極10は、浮体20がマンホール滞留水に浮遊している状態において、下端がマンホール滞留水の液面から更に下方に突出するような位置で浮体20に固定されている。この構成によって、電極Assy100をマンホール滞留水内に浮遊させたときに、下方に突出している電極10の一部がマンホール滞留水に晒される。
本実施形態において、浮体20の材質には、ビーズ法発泡スチロール(略称EPS(Expanded Polystyrene))を用いているが、この態様には限定されない。押出法発泡ポリスチレン(略称XPS(Extruded Polystyrene))等の他の発泡部材、又は木材等の水に浮遊するあらゆる材質の他、内部を空洞化して浮力を確保した成形部材など、本実施形態の測定液であるマンホール滞留水に浮遊する様々な部材を用いて浮体20を構成することができる。また、浮体20のうち、測定液に直接接して浮遊する脚部材22を発泡部材から構成し、連結部材24を測定液に浮遊しない他の材料によって構成するなどしてもよい。
本実施形態において、マンホール滞留水に直接接して浮遊する一組の脚部材22は、長手方向が前後方向となるように配置されているため、電極Assy100は、風を受けても前後方向に倒れ難い構成を有している。また、一組の脚部材22は、短手方向(左右方向)に2本が間隔を空けて配置されており、左右方向にも同様に倒れ難い構成を有している。そして、一組の脚部材22は、長手方向中央において連結部材24によって連結され、一組の電極10は、連結部材24の長手方向中央において固定されている。このように、電極Assy100は、前後左右いずれの方向にも倒れ難いようにバランス良く構成されているため、計測中に換気扇の風を受けても転倒しづらいという特徴を有する。
なお、脚部材22の構成は、上記の態様に限定されるものではない。例えば、一組の脚部材22に代えて、前後左右に略同一長さを有する脚部材に前後2箇所の開孔を設け、その開孔から電極10を下方に突出させるように構成するなどしてもよい。
図2は、本実施形態に係る管路の腐食推定装置200に用いられる電極10の詳細な構成を示す図である。図2は、一組の電極10のうち、一方の電極10のみを示している。本実施形態に係る電極10は、図に示すように、鋼管の内周面側に検出部12を有している。電極10には、この検出部12を除いた領域に絶縁処理(絶縁処理部14)が施されており、図2に表れていない鋼管の外周面にも絶縁処理が施されている。これによって、一組の電極10の対向する検出部12のみを通じて電極10と測定液との間で電子が移動し、電流が流れる。
なお、本実施形態では、電極10の大きさとして、円周方向の弦の長さ:20ミリメートル、上下方向長さ:150ミリメートル、検出部12の大きさ:20ミリメートル角を採用している。また、検出部12の中心は、電極10の下端から約20ミリメートル上方に設けられている。しかし、この大きさに限定されるものではなく、他の様々な形状、大きさを採用することができる。
また、本実施形態では、絶縁処理として、アラルダイト(登録商標)等のエポキシ系接着剤を用いているが、この態様に限定されるものではなく、シリコン系接着剤などの他の接着剤を用いたり、フッ素樹脂等をコーティングするなど、他の様々な絶縁処理を用いてもよい。
また、本実施形態では、図2に示すように、検出部12以外は、電極10の表裏の全ての領域に絶縁処理を施すように構成しているが、この態様に限定されるものではない。例えば、電極10のうち、脚部材22から下方に突出した部分についてのみ、検出部12の裏面に絶縁処理を施すように構成するなどしてもよい。
図2に示すように、電極10の上端から上方に導線30が設けられており、後述する計測ユニット48と電極10とを電気的に接続している。
図3は、本実施形態に係る電極Assy100の(a)平面図、(b)正面図、及び(c)右側面図を示している。なお、図中には、電極Assy100の各部の寸法が記載されているが、これらはあくまで一例であり、この大きさに限定されるものではない。
図3(c)において、脚部材22の下方には、副連結部材26が配置されている。副連結部材26は、連結部材24と共に電極10を互いに連結する。このように、脚部材22の上下2箇所において電極10が互いに連結されることによって、電極10同士の間隔を常に一定に維持することができる。なお、副連結部材26の左右方向の幅は、電極10の弦の長さに等しいため、図3(b)において、副連結部材26は、電極10の後方に隠れて視認することができない。
図3(b)に示すように、検出部12は、電極10の下端から約20ミリメートル上方に20ミリメートル角の大きさで設けられている。後述するように、電極Assy100をマンホール滞留水の液面に浮遊させたとき、電極10は、下端から約60ミリメートルの領域までマンホール滞留水に晒される。従って、検出部12の全体がマンホール滞留水に晒されることになる。
図4は、本実施形態に係る管路の腐食推定装置200の全体の構成を示す図である。測定者は、まず腐食の推定対象となる管路55に連結されたマンホール50の蓋を開けてマンホール50内に入り、上述の電極Assy100をマンホール滞留水の液面WSに浮遊させる。このとき、浮体20は、それ自身の浮力によって、脚部材22の底面が液面WSから僅かに下がった状態に維持される。電極10は、図1、図3(b)、(c)に示すように下端が脚部材22の底面から下方に突出する状態で浮体20に固定されている。このため、図4のように電極Assy100をマンホール滞留水の液面WSに浮遊させると、電極10のうち、脚部材22の底面から下方に突出した部分は、マンホール滞留水内に晒される。電極10は、図3(b)に示すように検出部12が全て脚部材22の底面から下方に突出するように配置されているため、電極Assy100をマンホール滞留水に浮遊させると、検出部12はマンホール滞留水内に完全に晒される。
電極Assy100は、導線30によって、地上に配置された計測ユニット48に電気的に接続されている。
計測ユニット48は、周波数応答分析器481(略称FRA(Frequency Response Analyzer))、及びポテンショスタット482(Potentiostat)の機能を含み、導線30を経由して一組の電極10間に定電圧の交流信号を印加し、それに対する応答から電極10間のインピーダンスを計測する。より具体的には、周波数応答分析器481が、振幅10mVp−pの交流信号の周波数を10ミリヘルツから20キロヘルツまでスイープさせながら出力する。ポテンショスタット482は、定電圧電源として機能し、周波数応答分析器481が出力した交流信号を負荷の変動に左右されることのない出力インピーダンスの低い交流信号に変換して出力する。
周波数応答分析器481は、一組の電極10間に上述の交流信号を印加して、周波数ごとの電流応答から電極10間のインピーダンスを計測する。なお、本実施形態では、定電圧電源からの交流信号を印加し、それに対する各周波数における電流応答からインピーダンスを計測するように構成したが、この態様には限定されず、例えば定電流電源からの交流信号を印加し、それに対する電圧応答からインピーダンスを計測するように構成してもよい。
本実施形態において、計測ユニット48は、計測用PC(Personal Computer)46と接続され、測定者が、計測用PC46から各種制御コマンドを送信することによって、計測ユニット48の制御を行う。計測ユニット48で計測された各周波数におけるインピーダンスデータは、計測用PC46に送信されて保存され、また分極抵抗の算出等に利用される。なお、計測用PC46と計測ユニット48との通信には、イーサネット(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)、GPIB(General Purpose Interface Bus)等の各種インターフェースを用いることができる。
本実施形態で採用する、交流インピーダンス法(二電極法)による分極抵抗の算出に際しては、図5に示す等価回路が適用できることが知られている(非特許文献3、及び非特許文献4)。図5において、Rpは分極抵抗であり、電極10の表面において金属原子がイオン化する際の抵抗であり、腐食反応に対する抵抗を意味するものである。また、Rsolは、溶液抵抗であり、電極10において生成されたイオンがマンホール滞留液を通って電極10間を移動する際の抵抗を意味するものである。
図6は、上述の手法によって得られたインピーダンスZの測定結果を、実部を横軸、虚部を縦軸とした極座標系上において周波数を10ミリヘルツから20キロヘルツまで変化させた時の軌跡を描いたナイキスト線図を示している。インピーダンスZは、理論上、Z=Rsol+2×Rp(周波数0のとき)とZ=Rsol(周波数無限大のとき)とを結ぶ直線を直径とする半円を描く。従って、図6に白丸で示す各測定点を半円で近似して、近似曲線が実軸と交わるときの実部の値ReZ1、ReZ2を読み取ることによって、Rsol=ReZ1、Rp=(ReZ2−ReZ1)/2からRp及びRsolを求めることができる。測定点から半円の近似曲線へのフィッティングには、例えば最小二乗法を用いることができる。
なお、本実施形態では、インピーダンスZの測定結果をナイキスト線図に表すことによってRp及びRsolを求めるように構成したが、この態様に限定されるものではない。例えば、インピーダンスZのボード線図を描いてRp及びRsolを求めるように構成するなどしてもよい。
ところで、Stern−Gearyの式
icorr = k/Rp (1)
(icorrは腐食電流、kは定数)
によれば、分極抵抗Rpの逆数が腐食速度(腐食電流)に比例するとされている(非特許文献5)から、本実施形態では、分極抵抗Rpを腐食の程度の判定に用いている。すなわち、腐食の程度の判定は、各マンホール50内で計測した分極抵抗Rpを相対的に評価し、より分極抵抗Rpが低い箇所が最も腐食し易いと判定する。また、分極抵抗Rpが1000Ωよりも小さい場合には、特に腐食速度が著しく高い可能性があるものと判定する。
なお、本実施形態において測定する分極抵抗Rpは、電極10の表面において金属原子がイオン化する際の抵抗であり、電極10の材質と、測定液の液質によって決まるものである。従って、推定対象の管路55内の滞留水と同じ液質の測定液、及び推定対象の管路55と同じ材質の電極10を用いて上述の分極抵抗Rpの測定を行えば、管路55の腐食の推定を行うことができる。よって、必ずしも実際に管路55として用いられて腐食が進んでいる鋼管から切り出して電極10を形成する必要はない。
図7は、本実施形態に係る管路の腐食推定方法の手順を示すフローチャートである。まず、測定者は、発泡部材からなる連結部材24、脚部材22、及び副連結部材26を接着、融着等の手段で連結して浮体20を形成した後、一組の電極10の検出部12を含む一部がマンホール滞留水に晒されるように下方に突出させた状態で浮体20に固定し、電極Assy100を形成する(ステップS101)。電極Assy100を形成するに際しては、電極10の検出部12以外の領域に絶縁処理を行う。また、電極10は、腐食の推定対象となる管路55と同じメーカー、及び型番の鋼管から切り出すことにより形成する。なお、ステップS101における電極Assy100の形成は、測定者以外の作業者が行ってもよいし、装置によって自動で組み立てられてもよい。次に、測定者は、マンホール50の蓋を開けてマンホール50内に入り、ステップS101で形成された電極Assy100をマンホール滞留水の液面WSに浮遊させる。このとき、電極10のうち浮体20から下方に突出させた部分に設けられている検出部12は、マンホール滞留水に晒される(ステップS103)。なお、マンホール滞留水に晒された電極10の部分のうち、検出部12以外の部分はアラルダイト(登録商標)によって覆われて絶縁されている。
ところで、マンホール50の底部には泥などが溜まっているため、電極10を自重により完全に沈めてしまうと、電極10が泥などに覆われて分極抵抗Rpが正確に測定できない可能性がある。この分極抵抗Rpの測定及び算出においては、出来るだけマンホール滞留水を散乱させずに上澄み液を用いて計測することが望ましいと考えられる。そこで、本実施形態では、マンホール滞留水中に検出部12を含む電極10の一部のみが晒されるように構成している。また、分極抵抗Rpの測定及び算出においては、測定中もマンホール50内の換気が必要であるため、換気扇の風を受けても電極Assy100が容易に転倒しないようにした。具体的には、一組の脚部材22を短手方向に間隔を空けて2つ並べる構成とすることにより、脚部材22の長手方向に加えて短手方向にも転送し難いようにした。また、一組の脚部材22は、長手方向中央において連結部材24によって連結され、一組の電極10は、連結部材24の長手方向中央において固定されている。このように、電極Assy100は、前後左右いずれの方向にも倒れ難いようにバランス良く構成されている。
次に、測定者は、計測用PC46から計測ユニット48に対して各種制御コマンドを送信し、計測ユニット48にインピーダンス測定を開始させる(ステップS105)。計測ユニット48は、導線30を介して一組の電極10に定電圧の交流信号を印加し、応答信号からインピーダンスを測定する。すなわち、計測ユニット48は、インピーダンス測定部として機能する。
次に、ステップS105で測定されたインピーダンスから、分極抵抗Rpを算出する(ステップS107)。この分極抵抗Rpの算出は、例えば、計測用PC46上で実行されているアプリケーションがインピーダンスデータを計測ユニット48から取得して、自動で算出するように構成することができる。この場合、計測用PC46が算出部として機能する。また、計測ユニット48が測定されたインピーダンスから分極抵抗Rpを自動計算するように構成してもよいし(この場合、計測ユニット48が算出部として機能する)、測定者が測定されたインピーダンスデータから手動で分極抵抗Rpを算出してもよい(この場合、測定者が算出部として機能する)。
最後に、ステップS107で算出された分極抵抗Rpの値から、管路55の腐食を推定する(ステップS109)。Stern−Gearyの式によれば、分極抵抗Rpの逆数が腐食速度(腐食電流)に比例するのであるから(非特許文献5)、各マンホール50内で取得した分極抵抗Rpについて相対的に評価を行い、より分極抵抗Rpが小さい箇所が最も腐食し易いと判定する。また、分極抵抗Rpが1000Ωより低い場合には、特に腐食速度が著しく高いものと判定する。また、分極抵抗Rpと、管路55が設置されてからの年数から、管路55の腐食の度合を判定することができる。この管路55の腐食の推定は、例えば、計測用PC46上で実行されているアプリケーションが、分極抵抗Rpの値から管路55の腐食を推定するように構成することができる。この場合、計測用PC46が腐食推定部として機能する。また、測定者が分極抵抗Rpの値から管路55の腐食を推定してもよく、この場合、測定者が腐食推定部の役割を果たす。
以上のように、本実施形態によれば、分極抵抗Rpを測定するための一組の電極10を浮体20に固定して電極Assy100を構成し、電極Assy100をマンホール滞留水に浮遊させると、下方に突出した電極10の一部がマンホール滞留水に晒されて、電極10間のインピーダンスの測定、及び分極抵抗Rpの算出が可能となるように構成した。これによって、マンホール50内の水を排水することなく、また管路55内のケーブルの有無に関わらず、管路55内面の腐食の程度を推定し、将来予測を行うことが可能となる。そして、腐食の程度の把握までの時間を短縮し、工事規模を縮小することが可能となる。
また本実施形態によれば、一組の電極10のマンホール滞留水に晒される部分のうち、少なくとも互いに対向する面とは反対側の面に絶縁膜を設けるように構成した。これによって、対向面とは反対側の面において電気化学反応が起きないので、分極抵抗Rpの測定精度が向上する。
また、本実施形態によれば、一組の電極10を、実際に配設されている鋼管と同じ材質の鋼管から切り出して形成するようにしたので、より正確に腐食の推定を行うことができる。
また本実施形態によれば、一組の脚部材22を左右方向に離間して整列して配置すると共に、該一組の脚部材22を連結部材24によって連結して浮体20を構成し、更に一組の電極10を一組の脚部材22の間における連結部材24の側面から下方に延びるように固定して電極Assy100を形成した。これによって、電極Assy100は、左右に転倒しづらくなると共に、電極10が脚部材22の間にバランスよく配置されるため、マンホール50内で換気扇を動作させても、風によって電極Assy100が容易に転倒することがない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る管路の腐食推定装置300について、図8を参照して説明する。なお、本実施形態に係る管路の腐食推定装置300は、第1実施形態と比較して、計測用PC66及び計測ユニット68の構成が異なる他は、第1実施形態と差異が無い。従って、ここでは、第1実施形態との差異点に絞って説明する。
図8において、計測ユニット68は、第1実施形態と同様にマンホール50内に配置されている。他方、計測用PC66は、マンホール50の外に配置されている。そして、計測ユニット68と計測用PC66は、無線通信によって接続されている。測定者は、計測用PC66から計測ユニット68の送受信部683に対して無線通信によって各種制御コマンドを送信し、計測ユニット68にインピーダンス測定を開始させる。また、インピーダンスの測定が終了すると、計測ユニット68の送受信部683は、インピーダンスの測定データを計測用PC66に対して無線通信により送信する。この場合、計測ユニット68の送受信部683が送信部として機能し、計測用PC66は外部機器に対応する。計測用PC66は、受信したインピーダンスの測定データを用いて分極抵抗Rpを算出し、管路55の腐食を推定する。なお、計測ユニット68が分極抵抗Rpを自動計算し、分極抵抗Rpのデータを計測用PC66に対して無線通信により送信するように構成してもよい。
なお、本実施形態において、上述の無線通信には、WiFi(Wireless Fidelity)(登録商標)を用いているが、この態様に限定されるものではなく、例えば近距離無線通信規格のZigBee(登録商標)など、他の様々な無線通信規格を用いてもよい。
このように、本実施形態では、計測ユニット68をマンホール50内に配置する一方、計測用PC66をマンホール50の外に配置して、両者を無線通信によって接続するように構成した。これによって、マンホール50の蓋を閉めた状態で計測を継続することができるので、定期的な分極抵抗Rpのモニタリングが容易になる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
10 電極
12 検出部
14 絶縁処理部
20 浮体
22 脚部材
24 連結部材
26 副連結部材
30 導線
46 計測用PC(算出部、腐食推定部)
48 計測ユニット(インピーダンス測定部、算出部)
50 マンホール
55 管路
60 パイプカメラ
66 計測用PC(算出部、腐食推定部、外部機器)
68 計測ユニット(インピーダンス測定部、算出部)
70 紐
100 電極Assy(電極ユニット)
200,300 管路の腐食推定装置
481,681 周波数応答分析器
482,682 ポテンショスタット
683 送受信部(送信部)
Rp 分極抵抗
Rsol 溶液抵抗
WS 液面
Z インピーダンス

Claims (8)

  1. 対向する少なくとも一組の電極を測定液に対して浮遊する浮体に連結し、前記電極の一部を前記浮体の浮遊時における前記測定液の液面高さから下方に突出させるステップと、
    前記浮体を前記測定液に浮遊させて、前記電極の一部を該測定液に晒すステップと、
    前記少なくとも一組の電極間に電気信号を印加すると共に、該電気信号に対する応答から該少なくとも一組の電極間のインピーダンスを測定するステップと、
    該インピーダンスから前記電極の分極抵抗を算出するステップと、
    該分極抵抗から管路の腐食を推定するステップと
    を含み、
    前記測定液は、前記管路に連結されたマンホール内の滞留水であり、
    前記少なくとも一組の電極は、前記管路と同一材料で形成されていることを特徴とする管路の腐食推定方法。
  2. 前記電極の一部のうち、少なくとも互いに対向する面とは反対側の面に絶縁膜を設けるステップを更に含む、請求項1に記載の管路の腐食推定方法。
  3. 鋼管から前記少なくとも一組の電極を切り出すステップを更に含む、請求項1又は2に記載の管路の腐食推定方法。
  4. 前記浮体は、水平方向に離間して整列する一組の脚部材と、水平方向に延び該一組の脚部材を連結する連結部材とを有し、前記少なくとも一組の電極は、前記一組の脚部材の間における前記連結部材の側面から下方に延びるように固定されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の管路の腐食推定方法。
  5. 前記インピーダンス又は前記分極抵抗の少なくとも一方を無線通信によって外部機器に送信するステップを更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の管路の腐食推定方法。
  6. 対向する少なくとも一組の電極と、該少なくとも一組の電極に連結され測定液に対して浮遊する浮体とを有する電極ユニットと、
    前記少なくとも一組の電極間に電気信号を印加すると共に、該電気信号に対する応答から該少なくとも一組の電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    該インピーダンスから前記電極の分極抵抗を算出する算出部と、
    該分極抵抗から管路の腐食を推定する腐食推定部と
    を備え、
    前記測定液は、前記管路に連結されたマンホール内の滞留水であり、
    前記少なくとも一組の電極は、前記管路と同一材料で形成されており、
    前記少なくとも一組の電極の一部が前記浮体の浮遊時における前記測定液の液面高さから下方に突出し、前記浮体を前記測定液に浮遊させると、前記電極の一部が該測定液に晒されることを特徴とする、管路の腐食推定装置。
  7. 前記浮体は、水平方向に離間して整列する一組の脚部材と、水平方向に延び該一組の脚部材を連結する連結部材とを有し、前記少なくとも一組の電極は、前記一組の脚部材の間における前記連結部材の側面から下方に延びるように固定されている、請求項6に記載の管路の腐食推定装置。
  8. 前記インピーダンス又は前記分極抵抗の少なくとも一方を無線通信によって外部機器に送信する送信部を更に備える、請求項6又は7に記載の管路の腐食推定装置。
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