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JP6500876B2 - 摺動装置 - Google Patents
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JP6500876B2 - 摺動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動面を可視化する摺動装置に関する。
摺動装置とは、摺動界面の摩擦係数や摩耗量などを測定することにより、摺動面の特性を評価する装置である。一般的な評価工程としては、摺動試験後に摺動面の観察や分析を実施し、上記摺動特性が得られるメカニズムを解析する。このようなメカニズム解析において、摺動界面の可視化は有効である。可視化により摺動面のその場(In-situ)観察やその場での各種計測(油膜計測や温度計測)が可能になるからである。実際に、摺動部品の研究開発においては、様々な手法で摺動界面の可視化および計測がされている。
機械要素に用いられる摺動体の一般的な摺動面形状の一つとして、回転対称形状が挙げられる。一般的に摺動面にはその幾何公差や表面粗さに対して高い水準が求められるが、旋盤加工などの回転運動を用いた加工は精度が高く、それらの要求を満たすことが容易であるからである。自動車で用いられる摺動体に限定しても、転がり軸受の内輪・外輪・球・ころ、すべり軸受、クランクシャフト、ピストンボア、ベルトCVTのプーリ、歯車、クラッチ摩擦材、タイヤなど多数ある。
ここで、摺動界面を構成する摺動面の全てが回転対称形状にならない場合もある。例えばベルトCVTのプーリの場合には、プーリの摺動面は回転対称形状であるが、相手材であるエレメントの摺動面は回転対称形状ではない。またタイヤの場合には、相手材である路面の摺動面は回転対称形状ではない。
摺動面の相対運動の形態としては、回転すべり運動(すべり軸受、クランク軸、歯車、プーリ、クラッチ摩擦材など)と往復すべり運動(ピストンとボアなど)、転がり運動(転がり軸受の内・外輪と球、タイヤ、歯車など)がある。
このよう背景から、回転対称形状の摺動面から構成される摺動界面を可視化することは、機械要素における摺動メカニズム解析に対して有益である。
このように、回転対称形状の摺動面から構成される摺動界面の可視化は有益であるため、それに関する特許文献および非特許文献が多数存在する。以下にその一例を示す。
特許文献1に記載の油膜可視化装置では、内燃機関主軸受部のクランク軸―すべり軸受の回転すべり摺動において、クランク軸を透明材(アクリル)で製作し、すべり軸受摺動面で斜め方向に反射した光を、透明クランク軸を透過させて透明クランク軸の外側にあるカメラで検出することで、すべり軸受摺動面を観察している。ただし、この装置では実機とは異なり、クランク軸は回転運動せず、半径方向の往復運動のみを行い、油膜圧力変動によるキャビテーションの発生を観察している。そのため摺動装置ではない。
また、非特許文献1では、転がり軸受の外輪―球の転がり摺動において、外輪を透明体(サファイア)で製作し、外輪―球の摺動界面から放射された光を、透明外輪を透過させて、透明外輪の外側にあるカメラで検出し、油膜計測を実施している。
非特許文献2では、内燃機関のピストン―ボアの往復すべり摺動において、ボアを透明材(ガラス)で作成し、ピストン摺動面から放射された光を、透明ボアを透過させて、透明ボアの外側にある検出器で検出することで、ピストン摺動面を観察・油膜計測している。
特許第5727182号公報
M. Chennauoi, M. Fowell, A. Kadiric: "In-situ Measurement of Oil Films in a Model Rolling Bearing", Proceedings of International Tribology Conference TOKYO 2015, 17pE-03 鳥取大学 工学部 熱エネルギー工学研究室 研究紹介資料 「ピストンスカート形状が潤滑油膜挙動に与える影響」
上記特許文献1の装置は摺動装置ではないが、改良により摺動機構を備えることは容易であるため、この装置で透明クランク軸とすべり軸受を摺動させた場合の課題を考える。この場合、観察対象であるすべり軸受摺動面をアクリル軸越しに観察することになるが、まず課題として挙げられることは手前側摺動界面によるノイズである。具体的に述べると、特許文献1の装置構成ではカメラの光路上には手前側と奥側(観察対象)の2面に摺動界面が存在し、検出器で捉えた光は2面の摺動界面から放射された光の和となる。手前側の摺動界面では、軸が透明材料で構成されるとはいえ、「アクリル軸と油膜間の屈折率差による光の反射」や「アクリル軸の表面粗さによる光の散乱」が生じるため、それらがノイズとなり,対象とする摺動面の観察・計測に悪影響を及ぼす。
上記非特許文献1では、透明回転対称摺動体(外輪)の内側に相手摺動体(球)がある装置構成のため、透明回転対称摺動体の外側間の摺動界面が可視化できない。
また、上記非特許文献2では、非特許文献1と同様に、透明回転対称摺動体(ボア)の内側に相手摺動体(ピストン)があるため、透明回転対称摺動体の外側間の摺動界面が可視化できない。
透明回転対称摺動体の摺動面外側にある相手摺動体の摺動面から放射された光を検出できない、という課題を解決するには、内側の摺動体(非特許文献1の内輪、非特許文献2のピストンに相当)の摺動面を透明体で構成し、そのさらに内側に光検出器を設置する必要がある。しかし、一般的な摺動装置における摺動体の大きさを想定した場合、摺動面の内側の空間は光検出器やレンズなどの大きさに対して十分でないため、設置が困難である。これは摺動面が回転対称形状である場合に特有の課題であり、摺動面が平面であればこのような問題は生じない。
また、透明回転対称摺動体の摺動面外側にある相手摺動体の摺動面から放射された光を検出する場合に、摺動界面を2面以上通過するためノイズが乗る、という課題を解決するには、透明回転対称摺動体の摺動面内側に光検出器を設置する必要があり、それが困難である。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、ノイズを抑えて、透明回転対称摺動体の外側の相手摺動体との間の摺動面を可視化することができる摺動装置を得ることが目的である。
本発明に係る摺動装置は、第1摺動体、第2摺動体、光反射体又は光反射機能を備えたレンズ、及び光検出器を備えた摺動装置であって、前記第1摺動体と前記第2摺動体とは、互いに摺動しあって摺動界面を形成し、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面は光を透過する材質から構成され、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の形状は回転対称形状もしくは回転対称形状の一部を切り欠いた形状であり、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の外側に、前記第2摺動体の摺動面が存在し、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の内側に、前記光反射体又は前記光反射機能を備えたレンズが存在し、前記第2摺動体における前記第1摺動体との摺動面から放射されて、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面を透過した光は、前記光反射体又は前記光反射機能を備えたレンズにより反射され、前記光検出器は、前記反射された光を検出し、前記第2摺動体における前記第1摺動体との摺動面から放射された光が、前記光検出器で検出されるまでの光路において、摺動界面を2面以上通過することがないことを特徴とする。
本発明に係る摺動装置では、第1摺動体と第2摺動体とが、互いに摺動しあって摺動界面を形成しているとき、第2摺動体における第1摺動体との摺動面から放射されて、第1摺動体における第2摺動体との摺動面を透過した光は、光反射体又は光反射機能を備えたレンズにより反射される。そして、光検出器は、反射された光を検出する。このとき、第2摺動体における第1摺動体との摺動面から放射された光が、光検出器で検出されるまでの光路において、摺動界面を2面以上通過することがない。
このように、第2摺動体における第1摺動体との摺動面から放射された光が、光検出器で検出されるまでの光路において、摺動界面を2面以上通過することがないため、ノイズを抑えて、透明回転対称摺動体の外側の相手摺動体との間の摺動面を可視化することができる。
本発明における前記光反射体の光反射面の形状、又は前記光反射機能を備えたレンズの光反射面の形状が、前記第2摺動体における前記第1摺動体との摺動面から放射されて、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面を透過した光を、摺動面の全面にわたって、前記光検出器に向けて反射するように形成された形状であることを特徴とすることができる。また、前記光反射体の光反射面の形状、又は前記光反射機能を備えたレンズの光反射面の形状が、回転対称形状もしくは前記回転対称形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とすることができる。これにより、ワンショットで、摺動面の全面を可視化することができる。
上記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記摺動面を見たとき、すべての断面における最大半径が250mm以下であることを特徴とすることができる。また、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記摺動面を見たとき、すべての断面における最大半径が100mm以下であることを特徴とすることができる。これにより、摺動面の回転対称形状の半径が、光検出器を内部に配置することができない程度、小さいものであっても、摺動面を可視化することができる。
上記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記回転対称形状を見たとき、すべての断面における最大中心角が10度以上であることを特徴とすることができる。また、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記回転対称形状を見たとき、すべての断面における最大中心角が30度以上であることを特徴とすることができる。このように、摺動面の回転対称形状の中心角が大きくても、ワンショットで、摺動面を可視化することができる。
上記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の形状は、連続的回転対称形状もしくは前記連続的回転対称形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とすることができる。
上記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の形状は、円筒形状もしくは前記円筒形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とすることができる。
上記光反射機能を備えたレンズは、トーリック屈折面をもつことができる。
上記光反射機能を備えたレンズの光反射面が、凸非球面形状もしくは前記凸非球面形状の一部を切り欠いた形状であることができる。これにより、第2摺動体における第1摺動体との摺動面の全面から放射されて、第1摺動体における第2摺動体との摺動面を透過した光を、光検出器に向けて反射することができる。
以上説明したように本発明に係る摺動装置は、第2摺動体における第1摺動体との摺動面から放射された光が、光検出器で検出されるまでの光路において、摺動界面を2面以上通過することがないため、ノイズを抑えて、透明回転対称摺動体の外側の相手摺動体との間の摺動面を可視化することができる、という優れた効果を有する。
(A)連続的回転対称形状の摺動面を説明するための図、(B)離散的回転対称形状の摺動面を説明するための図、及び(C)回転対称形状の一部を切り欠いた摺動面を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る摺動面可視化システムの構成を示す図である。 透明回転対称摺動体の一例を示す斜視図である。 相手摺動体の一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る摺動面可視化システムの光学系の構成を示す斜視図である。 反射機能を持ったレンズの構成を示す断面図である。 キセノンフラッシュランプの発光時間を示すグラフである。 光検出器で撮像した画像の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る摺動面可視化システムの構成の他の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<用語の定義>
本発明の実施の形態の説明に先立って、各用語の定義を行う。
<回転対称形状>
本発明の実施の形態は、少なくとも1つの摺動面が回転対称形状である摺動装置に関するものである(摺動体自身は回転対称形状である必要はなく、摺動体の“摺動面”が回転対称形状であればよい)。ここで回転対称形状とは、「連続的回転対称性」を持った形状と「離散的回転対称性」を持った形状の2つを意味する。連続的対称性を持った形状とは、その形状をある1軸に対して360°回転させた場合に連続的に(常に)対称性が維持される形状のことである(図1(A)参照)。言い換えるならば、任意の2次元形状をある1軸に対して回転移動させた場合に、その軌跡によってできる形状である。具体的には、球形状や円筒形状、テーパ円筒形状、たる形状、つづみ形状、ドーナツ形状などである。具体的な摺動機械要素としては、転がり軸受の内輪・外輪・球、すべり軸受、クランク軸、ピストン、ボアなどである。
一方、離散的対称性をもった形状とは、その形状をある1軸に対して360°回転させた場合に離散的に対称性が維持される形状のことである(図1(B)参照)。例えば、正方形は360°において4回対称となる回転角を持つ(4回対称である)ため、離散的回転対称性を持つ。具体的な摺動機械要素としては、歯車などである。なお1回対称については、すべての形状が該当するため、離散的回転対称形状の範囲から除く。
<中心角>
本発明の実施の形態では、摺動面形状が回転対称形状を切り欠いた形状であってもよい(図1(C)参照)。切り欠き量を表す指標として、摺動面の弧の両端と半径が作る角を「中心角」と定義し、それを用いる。回転対称軸方向に中心角が異なる(切り欠き量が異なる)場合には、最大の中心角を指す。転がり軸受における内輪と転動体のように、摺動面が離散的に存在する場合には、すべての摺動面を内包する最小の弧の両端と半径が作る角を指す。中心角の最大値は360°である。
<摺動面の内側と外側>
上記の回転対称形状の摺動面に対して、内側・外側と記した場合、内側とは回転対称軸がある側を意味し、外側とは摺動面を隔てたその反対側を意味する(図1(A)〜(C)参照)。
<透明回転対称摺動体と相手摺動体>
本発明の実施の形態は、摺動界面を可視化する摺動装置に関するものであり、少なくとも1つの摺動面の材質として光を透過する材質を用いる。またこの摺動面形状は回転対称形状である。本摺動体を“透明回転対称摺動体”を記し、第1摺動体に対応する。また、この透明摺動体の摺動相手となる摺動体を“相手摺動体”と記し、第2摺動体に対応する。
<摺動面と摺動界面>
「摺動面」とは、摺動に供される・された面を意味し、1物体に対して定義される。一方、「摺動界面」は、相対運動して力を及ぼしあう2面以上の摺動面の集合を意味し、2物体以上に対して定義される。
<摺動面から放射された光>
「摺動面から放射された光」のように「放射」と表現する場合、摺動面(および潤滑剤)が自ら発光する場合と、照射された光を摺動面が反射する場合の両方を意味する。
<従来技術の課題>
従来技術では、上述したように、透明回転対称摺動体の摺動面外側にある相手摺動体の摺動面から放射された光を検出できない、という第1の課題がある。また、透明回転対称摺動体の摺動面外側にある相手摺動体の摺動面から放射された光を検出する場合に、摺動界面を2面以上通過するためノイズが乗る、という第2の課題がある。
また、第3の課題として、上記特許文献1の装置構成ではすべり軸受摺動面において周方向の一部しか観察できないことが挙げられる。摺動装置から得られる摩擦係数は摺動面全体の応答であるため、摺動面の一部しか可視化できない場合、可視化結果と摩擦結果の1対1対応ができず、可視化の有用性が低下する。
また、上記非特許文献1、2では、上記特許文献1と同様に、回転対称形状の摺動面において、周方向の一部しか観察できない。この装置構成の場合には、カメラを周方向に移動させて摺動面を全周スキャン(走査)することで全周の観察は可能である。しかし、一般的にスキャンにはある一定の時間を要する。摺動面の状態は時々刻々と変化するため、ワンショットで全周観察できることが望ましい。加えて、全周の観察像を得るには光検出器を周方向に精密に移動させるハードウェア機構を付与し、かつ検出結果をつなぎ合わせる画像処理などを行う必要があり、簡便ではない。
このように、特許文献1、非特許文献1、2では、回転対称摺動面の外側にある相手摺動体の摺動面から放射された光を、周方向全周(360°)において検出する場合、ワンショットで検出できない。これは、可視化にあたり、平面から放射された光を集光するための一般的な光反射体(ミラー)もしくは光反射機能を備えたレンズを用いているからである。
<本実施の形態の概略>
本発明の実施の形態は、従来技術の課題を解決するものである。まず、上記第1の課題、第2の課題を解決する原理の概略を述べる。本発明の実施の形態では、外側摺動面を可視化する為、内側の摺動体の回転対称摺動面を透明体で構成する。そして透明摺動面の内側に、光検出器と比べてサイズが小さく空間的制約が少ない、反射体(ミラー)もしくは反射機能をもったレンズを入れる。これにより相手摺動体から放射された光を反射させ、スペースに余裕のある位置へ導き、光検出器で検出する。これにより、透明回転対称摺動体の摺動面外側にある相手摺動体の摺動面から放射された光を、スペースが限られた場合においても、摺動界面を2面以上通過することなく、光検出器で検出可能になる。
次に、上記第3の課題を解決する原理の概略を述べる。本発明の実施の形態では、相手摺動体から放射されて回転対称形状の摺動面を透過した光を周方向全周においてワンショットで捉えるため、反射体(ミラー)もしくは反射機能をもったレンズの反射面形状を回転対称形状にする。これにより周方向全周から放射された光を反射することができ、第1の課題、第2の課題の解決策で述べたように光検出器で検出することができる。ここで、相手摺動体の摺動面が回転対称形状でない場合や摺動面が離散的に存在する場合であっても、摺動界面の位置(空間分布)は透明回転対称摺動体の摺動面によって決まる。すなわち回転対称形状の面上に分布するため、反射体(ミラー)もしくは反射機能をもったレンズにおける反射面形状を回転対称形状にすることで、摺動界面の全面から放射された光を検出可能になる。
ここで、本発明の実施の形態がより効果のある範囲について述べる。本発明の実施の形態は、回転対称形状の摺動面の外側にある相手摺動体から放射された光を検出する場合の特有の第1の課題〜第3の課題を解決するものである。ここで、第1の課題、第2の課題については、回転対称形状の径が大きくなると摺動面内側のスペースも大きくなるため、本発明の実施の形態のように反射体(ミラー)もしくは反射機能をもったレンズを用いずとも、レンズや光検出器を内側に設置して直接光を検出可能になる。一般的なカメラとレンズおよびその固定機構などの大きさを考えた場合、摺動面内側に半径が250mmより大きい空間があれば十分に設置することができる。一方、摺動面内側の空間が半径100mm以下の場合には、一般的なカメラとレンズおよびその固定機構のなかで大きさの小さいものを選定しても、設置は困難になる。すなわち本発明の実施の形態は、摺動面の回転対称軸と直交する断面で摺動面を見たとき、すべての断面における最大半径が250mm以下の場合に効果が大きく、最大半径が100mm以下の場合に特に効果が大きい。
また、第3の課題についても、回転対称形状の摺動面における切り欠き量が多く(中心角が小さく)なると、一般的なレンズとカメラを用いた場合でもワンショットで撮影可能になる。中心角が10°未満であれば十分撮影可能である。一方、30°以上になると、一般的なレンズとカメラではワンショットでの撮影が困難になる。すなわち本発明の実施の形態は、摺動面の回転対称軸と直交する断面で摺動面を見たとき、すべての断面における最大中心角が10°以上の場合に効果が大きく、最大中心角が30°以上の場合に特に効果が大きい。
<システム構成>
本発明の実施形態に係る摺動面可視化システム10について、図2〜図7に基づいて説明する。
本実施の形態では、自動車エンジンにおけるクランク軸ジャーナル面とすべり軸受の摺動面を可視化する場合を例に説明する。
図2に示すように摺動面可視化システム10は、光学系20及び摺動系40を備えている。
摺動系40は、透明回転対称摺動体42と、相手摺動体44と、摺動機構46とを備えている。透明回転対称摺動体42は、例えば、クランク軸であり、材質は透明材であるサファイアであり、レンズを入れるため中空になっている。
相手摺動体44は、例えば、アルミ製のすべり軸受である。
摺動機構46は、モータ48と、カップリング50と、相手摺動体44の保持治具52と、リニアガイド54とを備えている。これにより、透明回転対称摺動体42であるクランク軸のジャーナル面と相手摺動体44であるすべり軸受とによる回転すべり摺動機構が実現される。また、相手摺動体44の保持治具52は、リニアガイド54により移動可能であり、荷重負荷機構(図示省略)により荷重負荷が付加される。
光学系20は、反射機能を持ったレンズ22と、光検出器24とを備えており、光学ステージ21に取り付けられている。反射機能を持ったレンズ22は、例えば、凸非球面反射面とトーリック屈折面を持つ回転対称型のレンズであり、相手摺動体44であるすべり軸受の摺動面から放射されて透明回転対称摺動体42である透明クランク軸を透過した光を凸非球面反射面で反射する。
光検出器24は、例えば、デジタルカラーカメラである。内側摺動体である透明回転対称摺動体42の摺動面を透明体で構成し、その内側に反射機能をもったレンズ22を導入することで、相手摺動体44の摺動面から放射された光を、摺動界面を2箇所以上透過することなく、光検出器24で検出する。
<透明回転対称摺動体42>
図3に、透明回転対称摺動体42であるクランク軸の形状を示す。例えば、軸の外径は、Φ48mmであり、内径は、Φ34mm(肉厚7mm)であり、長さは245mmである。図3中に斜線で示した部分が、相手摺動体44の軸受と接する摺動面であり、回転対称形状(円筒)となっている。レンズ22を導入する穴は貫通穴ではなく、深さ132mmのザグリ穴とした。これは穴加工による強度低下を抑えるためである。
軸の材質は単結晶サファイアである。透明体の材質として一般的な石英ガラスではなく、単結晶サファイアを用いた理由は以下の2点である。
第1に、石英ガラスよりも強度が高く、より高い負荷で試験可能であるからである。第2に、サーモグラフィによる温度計測を行う場合に計測対象となる中赤外線を透過する (石英ガラスは中赤外線を透過しない)からである。
単結晶の面方位は、C軸が軸の長手方向になるように設定した。これは各種物性(熱膨張係数など)の周方向のばらつきを抑えるためである。
本実施例ではサファイア軸に対してコートは施していないが、ノイズとなる軸内面―空気界面での反射を抑制すべく、軸の内面に反射防止コートを施しても良い。また、光干渉法による油膜計測を実施する場合には、軸の外面に反射防止コート(Cr膜など)や保護コート(SiO2膜など)を施しても良い。
<相手摺動体44>
図4に、相手摺動体44であるすべり軸受(半割)の形状を示す。すべり軸受には、アルミ合金製すべり軸受を用いた。例えば、内径はΦ48mmであり、幅は15mmである。摺動面にはマイクログルーブと呼ばれる表面テクスチャが施してある。可視化観察時には、図4に示す半割のすべり軸受を2つ組み合わせ、円筒形状にして使用する。そのため、軸摺動面とすべり軸受摺動面より構成される摺動界面の中心角は360°になる。観察時の視野は、本実施例で用いたレンズ22の視野幅が8mmであるため、図4中に示すように軸受端部から中央部に設定した。
<光学系20>
光学系20は、更に、光源26と、ライトガイド28と、ビームスプリッタ30と、カメラレンズ32を更に備えている(図5参照)。
反射機能を持ったレンズ22として、凸非球面反射面とトーリック屈折面を持つ回転対称形状のレンズ(以下、トーリックレンズ)を用いる。このトーリックレンズは、円筒内周面の全面からの光を集光して円筒軸方向に反射するレンズである。図6に、トーリックレンズによる摺動界面近傍の光路を示す。トーリックレンズにて集光・反射された光をさらにカメラレンズ32を用いて集光し、光検出器24であるデジタルカラーカメラの撮像素子上に結像させる。レンズ22の軸受幅方向の視野は8mmに設定した。本実施例では、レンズ22にコートは施していないが、ノイズとなるレンズ22―空気界面での光の反射を抑制すべく、トーリックレンズのトーリック屈折面に反射防止コートを施しても良い。
なお本実施例ではトーリックレンズを用いたが、回転対称形状の反射体(ミラー)もしくは回転対称形状の反射面を持つレンズを用いてもよい。そのような反射体(ミラー)の例としては、全方位センサに用いられる全方位ミラー(非特許文献3参照)がある.
[非特許文献3]:ヴイストン社 全方位センサーカタログ、[2016年8月3日検索]インターネット<URL:http://www.vstone.co.jp/products/sensor_camera/download/omni.pdf>
デジタルカラーカメラとしては、3CCDデジタルカラーカメラ(JAI社製 AT200-CL)を用いる。光源26は、例えば、キセノンフラッシュランプ(浜松ホトニクス社製 L7684)であり、キセノンフラッシュランプによる断続光を用いる。発光時間の半値幅は図7に示すように1.75μs〜2.90μsであり、カメラのシャッタータイミングと同期して発光させている。このような発光時間の短い断続光を用いる理由は、露光時間を短くすることで、摺動面における時間変動のある対象を流れることなく撮影するためである。
このような光学系20であれば、光源26から照射された光が、ライトガイド28に入射され、ビームスプリッタ30で反射して、透明回転対称摺動体42の中空部分へ入射され、レンズ22で反射された光が、回転対称形状である透明回転対称摺動体42の摺動面と、その外側にある相手摺動体44の摺動面から構成される摺動界面の全面に亘って入射される。
そして、回転対称形状である透明回転対称摺動体42の摺動面と、その外側にある相手摺動体44の摺動面から構成される摺動界面の全面から反射された光が、レンズ22で反射され、ビームスプリッタ30を透過して、光検出器24に入射される。このように、摺動界面を2面以上通過することなく、光検出器24で検出可能である。
<摺動面可視化システム10の作用>
次に、本実施の形態に係る摺動面可視化システム10の作用を説明する。
まず、摺動機構46のモータ48の駆動により、透明回転対称摺動体42が回転して、透明回転対称摺動体42と相手摺動体44とが荷重を受けながら互いに摺動しあって摺動界面を形成しているときに、光源25からの光が、ライトガイド28に入射され、ビームスプリッタ30で反射して、透明回転対称摺動体42の中空部分へ入射される。透明回転対称摺動体42の中空部分へ入射された光は、レンズ22の凸非球面反射面で反射し、回転対称形状である透明回転対称摺動体42の摺動面と、その外側にある相手摺動体44の摺動面から構成される摺動界面の全周に亘って入射される。そして、摺動界面の全周に亘って反射された光が、レンズ22の凸非球面反射面で反射され、ビームスプリッタ30を透過して、光検出器24に入射される。光検出器24であるデジタルカラーカメラで撮影された画像が得られる。
<実施例>
図8に、上記の実施の形態で説明した摺動面可視化システム10にて光検出器24であるデジタルカラーカメラで撮影した、透明模擬クランク軸―すべり軸受の摺動界面の光学像を示す。画像中に示される円筒が摺動界面(視野幅8mm)である。本トーリックレンズを用いると、本来は同一直径円筒であるすべり軸受を、手前側の径が大きくなるようにテーパ状に切り開き、上からカメラで撮影したようなドーナツ形状の撮像を得ることができる。なお本撮像は1回の撮影(ワンショット)によって得た画像であり、ソフトウェアによる画像処理などは実施していない。図8中のドーナツの周方向がすべり軸受の周方向であり、ドーナツの厚み方向がすべり軸受の幅方向である。ドーナツの外周側が軸受の手前側(カメラ側)であり、内周側が奥側(土台側)である。
画像の品質に着目すると、すべり軸受表面に存在するマイクログルーブテクスチャ(同心円状の筋)や軸受の合わせ面が鮮明に捉えられており、観察や計測を行う上で十分な品質であることがわかる。ドーナツの厚み方向中央に観察される明るい同心円は、摺動界面由来ではなく、トーリック屈折面の一部からの反射光である。観察においてノイズとなるこの同心円は、先述したトーリック屈折面への反射防止コートを施すことで抑制できる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る摺動面可視化システムによれば、透明回転対称摺動体の摺動面と、その外側にある相手摺動体の摺動面から構成される摺動界面から放射された光を、摺動界面を2面以上通過することなく光検出器で検出することができるため、ノイズを抑えて、透明回転対称摺動体の外側の相手摺動体との間の摺動面を可視化することができる。
また、光反射機能を備えたレンズの光反射面の形状が、摺動面の全周から放射されて、透明回転対称摺動体を透過した光を、光検出器に向けて反射するように形成された形状であるため、摺動面の周方向全周(360°)をワンショットで光検出器で検出することができる。
なお、上記の実施の形態では、摺動機構が、回転すべり摺動機構を実現する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば図9に示すように、摺動機構246は、モータ48と、カップリング50と、相手摺動体の保持治具52と、リニアガイド54と、ボールねじ250とを備え、モータ48が正転・逆転を繰り返すことにより、往復運動を行う往復すべり摺動機構を実現するようにしてもよい。
また、摺動面形状、および光反射体(ミラー)もしくは光反射機能を持ったレンズの反射面が回転対称形状である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、摺動面形状、および光反射体(ミラー)もしくは光反射機能を持ったレンズの反射面が、回転対称形状の一部を切り欠いた形状であってもよい。また、摺動面の形状が、円筒形状の一部を切り欠いた形状であってもよい。また、光反射機能を備えたレンズの光反射面が、凸非球面形状の一部を切り欠いた形状であってもよい。
また、1つの透明回転対称摺動体と1つの相手摺動体が無潤滑下で摺動するという単純化した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、摺動面間に潤滑剤が存在していてもよい。また、摺動体が3つ以上存在する場合であってもよい。
また、光検出器が検出する光は相手摺動体の摺動面から放射された光のみである場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、光検出器が検出する光に、潤滑剤から放射された光(潤滑剤による反射光や潤滑剤自体の蛍光発光など)や、透明回転対称摺動体の摺動面から放射された光(透明回転対称摺動体の摺動面に形成された反射膜による反射光など)が含まれていてもよい。
また、取り扱う光の波長が可視光の場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、可視光以外の波長の光(紫外線,赤外線など)を透過する材料や反射する材料、検出する検出器がある場合には、取り扱う光の波長が、可視光以外の波長(紫外線,赤外線など)であってもよい。
また、透明回転対称摺動体が、中空部分を有している場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、中空部分を有していなくてもよい。この場合には、光反射体(ミラー)もしくは光反射機能を持ったレンズの反射面で反射した光が、透明回転対称摺動体を透過して、光検出器によって検出される。
また、光反射体(ミラー)もしくは光反射機能を持ったレンズの反射面で反射した光が、透明回転対称摺動体の中空部分を軸方向に沿って通って、光検出器で検出される場合を例に説明したが、光反射体(ミラー)もしくは光反射機能を持ったレンズの反射面で反射した光が、透明回転対称摺動体の軸方向から傾斜した方向に通って、透明回転対称摺動体の中空部分ではない部分を透過して、光検出器で検出されてもよい。
10 摺動面可視化システム
20 光学系
21 光学ステージ
22 レンズ
24 光検出器
25 光源
26 光源
28 ライトガイド
30 ビームスプリッタ
32 カメラレンズ
40 摺動系
42 透明回転対称摺動体
44 相手摺動体
46 摺動機構
48 モータ
50 カップリング
52 保持治具
54 リニアガイド
246 摺動機構
250 ボールねじ

Claims (11)

  1. 第1摺動体、第2摺動体、光反射体又は光反射機能を備えたレンズ、及び光検出器を備えた摺動装置であって、
    前記第1摺動体と前記第2摺動体とは、互いに摺動しあって摺動界面を形成し、
    前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面は光を透過する材質から構成され、
    前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の形状は回転対称形状もしくは回転対称形状の一部を切り欠いた形状であり、
    前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の外側に、前記第2摺動体の摺動面が存在し、
    前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の内側に、前記光反射体又は前記光反射機能を備えたレンズが存在し、
    前記第2摺動体における前記第1摺動体との摺動面から放射されて、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面を透過した光は、前記光反射体又は前記光反射機能を備えたレンズにより反射され、
    前記光検出器は、前記反射された光を検出し、
    前記第2摺動体における前記第1摺動体との摺動面から放射された光が、前記光検出器で検出されるまでの光路において、摺動界面を2面以上通過することがないことを特徴とする
    摺動装置。
  2. 前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記摺動面を見たとき、すべての断面における最大半径が250mm以下であることを特徴とする請求項1記載の摺動装置。
  3. 前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記摺動面を見たとき、すべての断面における最大半径が100mm以下であることを特徴とする請求項2記載の摺動装置。
  4. 前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記回転対称形状を見たとき、すべての断面における最大中心角が10度以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の摺動装置。
  5. 前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の回転対称形状は、前記回転対称形状の回転軸と直交する断面で前記回転対称形状を見たとき、すべての断面における最大中心角が30度以上であることを特徴とする請求項4記載の摺動装置。
  6. 前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の形状は、連続的回転対称形状もしくは前記連続的回転対称形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項記載の摺動装置。
  7. 前記光反射体の光反射面の形状、又は前記光反射機能を備えたレンズの光反射面の形状が、前記第2摺動体における前記第1摺動体との摺動面から放射されて、前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面を透過した光を、摺動面の全面にわたって、前記光検出器に向けて反射するように形成された形状であることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項記載の摺動装置。
  8. 前記光反射体の光反射面の形状、又は前記光反射機能を備えたレンズの光反射面の形状が、回転対称形状もしくは前記回転対称形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項7記載の摺動装置。
  9. 前記第1摺動体における前記第2摺動体との摺動面の形状は、円筒形状もしくは前記円筒形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項記載の摺動装置。
  10. 前記光反射機能を備えたレンズは、トーリック屈折面をもつことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項記載の摺動装置。
  11. 前記光反射機能を備えたレンズの光反射面が、凸非球面形状もしくは前記凸非球面形状の一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項10記載の摺動装置。
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