本明細書では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製造した集積回路」という用語を入れ替え可能な形で使用している。一当業者であれば、「部分的に製造した集積回路」という用語は、多くの集積回路製造段階のうちの任意の段階でのシリコンウエハを指してよいことを理解するであろう。以下の詳細な説明文では、本発明をウエハに対して実施されることを仮定している。半導体ウエハの直径は、たいてい200、300または450mmである。しかしながら、本発明はこれに限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズおよび物質のものであってよい。半導体ウエハに加えて、本発明に有利となり得る他のワークピースには、プリント回路基板などの様々な物品がある。
以下の説明文では、提示した実施形態を完全に理解してもらうために、数々の特定の詳細を記載している。開示した実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全部がなくとも実施できるものである。また、開示した実施形態を不必要に不明瞭にしないために、公知の処理作業については詳述していない。開示した実施形態を特定の実施形態と合わせて説明していくが、開示した実施形態を限定する意図はないことは理解されるであろう。
ニッケル析出および電気めっきは、半導体製造において様々な用途が見込まれる。例えば、電気めっきしたニッケルは、特にウエハレベルパッケージング(WLP)用途には重要であり、この用途では一般的な使用が見込まれ、「アンダーバンプ拡散障壁」を形成するための材料として使用されることが多い。このようなプロセスでは、ニッケルは、集積回路上に形成された「再配線層」(多くは銅)とはんだボールまたは「バンプ」との間に析出されることがある。バンプは、ニッケルの最上部に形成されたはんだである。一般的にはスズ銀またはスズ鉛のはんだが使用される。はんだは、電気めっきまたはその他のプロセスによって形成されてよい。ニッケルは、特定の用途では1マイクロメートルを超える厚みに析出される。一般的には2〜3マイクロメートルが用いられる。
しかしながら、安定した高質のニッケルめっきを実現するためには、電気めっき浴の組成およびめっき処理条件が、多くのウエハを順次めっきする過程で実質的に一定のままであることが重要である。浴のpHレベルを特に最適な範囲内に維持することが、何よりも重要であることがわかっている。
ニッケル電気めっき作業で使用される電解浴溶液は、スルファミン酸ニッケルの化学的性質に基づいていることが多いが、その他のニッケル塩の化学的性質を利用してよい。このような浴は、様々な市販の供給源から容易に入手可能である。これらのスルファミン酸ニッケル溶液は通常、電気めっき中の目標pHが約4であり、許容可能なpHの動作範囲は約3.5から4.5である。pHレベルがこの動作範囲外であるニッケル電解浴溶液を用いて析出したニッケル膜は通常、さらに高い内部応力がみられ、ニッケル膜の微細構造が機械的に崩壊することが多く、IC製造の観点からは明らかに受け入れられない。
残念ながら、最初にスルファミン酸ニッケル浴のpHレベルを調整することが確実であろうが、これらの浴のpHレベルは、複数のウエハをめっきする作業過程で上昇する傾向にあることが経験上わかっているため、pHレベルを最適な範囲内に維持することは困難である。具体的には、pHレベルは、実質的に単調に、場合によっては比例して、電気めっきの時間が経過するにつれて、かつ/または電気めっきされるニッケルの合計量―例えばめっきした合計電荷として測定した合計量に応じて、上昇する傾向にある。特定の理論に限定されるわけではないが、電気めっき作業中―ウエハに電荷が移動している時間―のこのpH上昇は、ウエハへのニッケル析出に導く電気化学反応が100%有効ではなく、主たる電気めっき反応と同時に副反応が起こり、これが浴中の水素イオンを消費する傾向があることによるものであると思われる。
スルファミン酸ニッケルの電気めっき浴には、電気化学によるめっき作業の進行がない状態―すなわちウエハに移動する電荷がない休止期間中であっても、pHレベルが上昇する傾向がみられることも、本発明者らが確認している。この問題を図1Aに例示しており、この図は、めっき作業が一切ない状態で40日間にわたってスルファミン酸ニッケル浴のpHレベルを示している。4.2をやや下回る初期pHレベルから始まり、浴のpHレベルは、休止状態5日目よりも遙か前に上限規格(USL)の4.5を超え、20日後にはpHレベルが約5に達し、20日目から40日目は依然としてやや上昇傾向がみられる。
休止時間中のpH変動に起因していると考えられる要因を切り離して特定することを試みるため、いくつかの実験も実施した。その結果、大規模な測定で休止時間中にpH4.5に近づいてこれを超えるというスルファミン酸ニッケル浴のpH上昇は、活性化したニッケルアノードの存在と、浴中に溶解したかなりのレベルの酸素ガスとの両方に左右されることが実験からわかった。
説明のため、図1Bに、いくつかのスルファミン酸ニッケル電気めっき浴溶液(Ni200溶液はEnthone社から入手可能。以下を参照)を4つの異なる一連の条件でエルレンマイヤーフラスコ内に摂氏55度に維持した数日間にわたるpHレベルを示している。一番下のグラフ線は、Ni浴制御液に相当し(図の説明でも示している)、この制御液は、ニッケルアノードに曝露されていない溶液に相当する(すなわち、フラスコ内にはニッケルアノードがなかった)。図は、pHレベルが試験期間中にわたっておよそ4.0のレベルに保たれていたことを示している。同じように、再びニッケルアノードがない状態で溶液がエアスパージングに供されている場合、pHはおよそ4.0で一定に保たれていた。しかしながら、図1B内の2つの停滞しているグラフ線は、ニッケルアノードと共に貯蔵されている溶液に相当するものであり(図の説明を参照)(Vale Americas社製のSラウンドアノード)、ニッケルアノードがある状態でpHレベルが確実に上昇し、いずれの場合も約7日後にpH4.5を超え、浴の溶液をかき混ぜるとさらに一層急速に上昇することを示している。結論は、電気めっき槽内のニッケルアノードの存在が、休止期間中にみられるpH上昇の主要因であり、空気および酸素ガス自体に曝露されることは変動の原因ではないということである。急速なpH変動を観察したという点で、電気めっき溶液をかき混ぜる効果にも留意すべきである。なぜなら特に、電気めっき装置によっては、休止期間中にウエハに移動する電荷がなくても(ニッケルがめっきされていないとき)、電解質が依然として装置のアノード室およびカソード室に流れることがあり―電気めっきシステムが休止中のときに電解質の流れを停止することに関連して起こり得る不都合が原因―、このような休止期間中に進行する流れを、この特定の実験で実施したかき混ぜによって(ある程度)模倣できるからである。
ニッケルアノードの組成および溶解酸素のレベルがpH変動に及ぼす影響を図1Cに示しており、この図にも再び、いくつかのスルファミン酸ニッケルNi200電気めっき浴溶液を様々な条件でエルレンマイヤーフラスコ内に摂氏55度に維持した数日間にわたるpHレベルを示している。図内の3つのグラフ線(図の説明を参照)は、(i)高純度のニッケルアノードに曝露され、空気でスパージングされためっき溶液、(ii)硫黄活性のニッケルアノード(Sラウンド)に曝露され、空気でスパージングされためっき溶液、および(iii)硫黄活性のニッケルアノード(Sラウンド)に曝露され、窒素でスパージングされためっき溶液に相当する。溶液(ii)は、10日間にわたり4.1から4.7へのpH上昇を示したのに対し、溶液(i)および(iii)は、4.25から4.4へのわずかなpH上昇しか示さなかった。硫黄活性のニッケルアノード(Sラウンド)には、約0.022から0.30%の硫黄が添加されており、これは具体的には酸化物の形成を防止するために行われ、これが事実上アノードを「活性化」し―硫黄は不動態化防止用添加剤を指していてよい―、これによって溶解特性を向上させる点に留意されたい。これらの活性化した硫黄を含有するアノードに曝露された溶液によってpHがさらに大きく上昇したことは、この事実を裏付けるものである。以上の実験結果として引き出される結論は、活性化したニッケルアノードの存在と溶解酸素の存在とが合わさって、休止中のスルファミン酸ニッケル電気めっき浴にみられるpH上昇になるということである。効果的なニッケル電気めっき作業には活性化したニッケルアノードが前もって必要なため、活性化したニッケルアノードを除去できないことは明らかである。そのため、これらの実験結果として追求したものは、休止中のpH変動の問題を緩和するために浴中の溶解酸素濃度を最小に抑えるまたはなくすための方法および装置である。
これらの休止中のスルファミン酸ニッケル電気めっき浴によって示されたpH変動に対して可能性のある化学的な機構には、以下の反応を介したニッケルアノードの酸化が含まれる。
これは、観察したpH変動につながる遊離酸プロトンの消費に有力な機構であってよい。酸化還元反応(1)は、2つの半反応、つまり反応式(2)に示したニッケルアノードの酸化と反応式(3)に示した溶解酸素の還元とを合わせたものである。
反応式(3)の横に示した電気化学電位と、式(2)の横に示した電気化学電位の2倍との和は、式(1)の横に示した酸化還元反応全体の電気化学電位であり、これは、この反応が熱力学的に好ましいことを示している点に留意されたい。また、活性化したニッケルアノード中の硫黄は電位を下げ、この電位でニッケルは浴内で溶解し、これによって式(1)の行に示した熱力学的な駆動力が増大する。
反応式(1)、(2)、および(3)は、休止中のスルファミン酸ニッケル浴中にある遊離酸プロトンの消費に有力な機構であると思われるが、これ以外の機構も単独または併用で寄与するとみなされる。例えば、直接酸を誘導する腐食(遊離プロトンの還元、およびニッケルの酸化)、
が、浴中の遊離プロトンを消費することがある。もう1つの可能性のある機構は、ニッケルアノードがその表面に、1つ以上の酸化層または炭化層を最初に有する可能性があり、おそらく有すると思われるという事実と関連がある。このような酸化層または炭化層が電解質と接触すると、これらの層は、エッチングが剥がれてNi2+を放出し、遊離プロトンを消費する。例えば、以下の反応は、酸化または炭化したニッケルアノードが酸性の電解質めっき溶液と接触する際に、そのニッケルアノードの表面で起こると思われる。
さらに、休止中のニッケル電気めっき浴で起きると仮定される、このようなpHを上昇させる化学機構に加えて、前述したように、電荷が移動している最中―すなわち電気めっき作業中―のpH上昇に起因する補足的な化学機構が仮定される。このような機構が、2012年12月5日に出願された米国特許出願第13/706,296号、発明の名称「APPARATUSES AND METHODS FOR CONTROLLING PH IN ELECTROPLATING BATHS」に詳細に記載されており、本文献を参照することにより本明細書にその全容を実際に組み入れる。例えば、本文献に記載されているように、カソードでのニッケルめっきは反応式(8)に示すように反応しており、運動学的には100%効果的ではなく、代わりにおよそ97〜99%の効果で起きていると思われる。
これは、反応式(9)に示すように、水素ガスの発生によって水素イオンを消費することで達成されることがわかっていて、この反応が、残り1〜3%の酸消費を説明するものと思われる。これらの機構のいずれでも、水素イオンの正味の消費が生じ、これは時間が経過するにつれて前述したpH上昇につながる。
水素イオンの消費に対処する1つの可能性のある方法が、浴にスルファミン酸を定期的に添加することによるものである。図2は、スルファミン酸ニッケル75g/Lとホウ酸30g/Lとの構成である浴を、4を上回るpHからpH4に戻すのに必要なスルファミン酸量を示している。図2からわかるように、pKaが4未満である中度から強度の酸の量は、溶液が目標pHの4から離れるほど大幅に増加させる必要があった。それにもかかわらず、この図が示唆しているように、原理的には、予測し、計算し、測定し、中和のためのスルファミン酸を定期的に添加することで、浴のpHを調整してpHの上昇を緩和することは可能である。
しかしながら、実際には、スルファミン酸を定期的に添加すると、不都合なことや複雑なことや問題が多数生じる。これは、時間が経過するにつれて加水分解が起こってアンモニウム硫酸水素塩が形成されるために、スルファミン酸が溶液中に残る残留期間が短いことが原因で、かなりの程度で起こるものである。
上記反応式(10)に示した反応により―水性のスルファミン酸溶液は比較的急速に分解されるため、その溶液は通常、使用前に固体形態の時から手早く準備しなければならない。すぐに準備しなければ、準備したとしてもよく起こることだが、水溶液中のスルファミン酸の実際の濃度は常に低下するため、自動添加による制御では大変な困難が伴うと予測される。その一方で、固体のスルファミン酸は安定していて吸湿性ではないが、固体の試薬を用いた取り扱いおよび添加は望ましくなく、不都合である。しかしながら、いずれにしても、固体形態のスルファミン酸を用いるにしても、水性形態のスルファミン酸を用いるにしても、pH変動を緩和するために繰り返し添加すると、スルファミン酸のアニオン濃度がめっき浴に好適な範囲を超えて上昇してしまい、結局は、注入方式などを用いるなどして浴の一部または全部を入れ替える必要性が出てくる。そのため、このようなあらゆる理由により、現実的な視点から、スルファミン酸を添加してpH変動を制御することは、最良の場合でも極めて問題で不都合である。
したがって、ニッケル電気めっき浴のpHレベルを特定の好適なpH範囲内に維持することが重要なため、浴中溶解した酸素があることで起こるpH変動を、緩和かつ/または軽減し、かつ/または最小に抑え、かつ/または防止するための方法および装置が開発されており、本明細書ではこのような方法および装置を開示する。いくつかの実装形態では、好適なpH範囲は、約pH3.0からpH5.0、あるいはさらに詳細には約pH3.5からpH4.5、またさらに詳細には約pH3.8からpH4.2であってよい。これらの方法および装置は通常、溶解酸素ガスがアノード室に入る前に、電気めっき溶液から溶解酸素ガスを除去することで動作する。
さらに、pH変動を防止または低減するこれらの方法は、1つ以上の半導体基板を電気めっきする方法の背景で実装されてよい。同じように、pH変動を防止または低減するこれらの装置は、1つ以上の半導体基板を電気めっきするためのシステムおよび/または装置の背景で実装されてよい。そのため、様々な電気めっきシステムおよび装置、方法ならびに作業などについて、図3A〜図3Dをもとに説明する。
いくつかの実施形態では、電気めっき装置およびそれに関連する方法は、極めて均一なめっき層が得られるように、めっき中の電解質の流体力学を制御するためのデバイスおよび方法を含んでよい。特定の実装形態では、開示した実施形態は、衝突流(ワークピースの表面に向いているかワークピースの表面に垂直な流れ)と、剪断流(「クロスフロー」と呼ばれることがあり、つまりワークピースの表面と平行に進む速度での流れ)とを合わせたものを生み出す方法および装置を用いる。
そのため、例えば、1つの実施形態は、以下の特徴部を備える電気めっき装置である:(a)金属を実質的に平坦な基板上に電気めっきする間に電解質およびアノードを入れるように構成されためっき室;(b)実質的に平坦な基板を保持して基板のめっき面が電気めっき中にアノードから離れるように構成された基板ホルダ;(c)電気めっき中に基板のめっき面に実質的に平行でこのめっき面から離れている基板向きの面を備える、チャネルの付いたイオン抵抗部材またはプレート(本明細書ではCIRPまたは流れ具体化プレートと呼ぶことがある)であって、複数の非連通チャネルを備え、この非連通チャネルによって電気めっき中に電解質をその部材に移送することができる、チャネルの付いたイオン抵抗部材;ならびに(d)基板のめっき面を流れる電解質に剪断力(クロスフロー)を生み出し、かつ/または印加するための機構。ウエハは実質的に平坦であるが、通常は1つ以上の微細な溝もあり、電解質への曝露を遮蔽された表面の部分が1箇所以上あってよい。様々な実施形態では、装置は、電気めっき槽内の電解質が基板のめっき面の方向に流れる間、基板および/またはチャネルの付いたイオン抵抗部材を回転させるための機構も備える。
特定の実装形態では、クロスフローを印加するための機構は、例えば、チャネルの付いたイオン抵抗部材の周縁または周縁近辺に流れを適切に誘導して分配する手段を備えた入口である。入口は、クロスフローの陰極液をチャネルの付いたイオン抵抗部材の基板向きの面に沿って誘導する。入口は、方位角方向に非対称で、チャネルの付いたイオン抵抗部材の周囲に部分的に流し、1つ以上の間隙を有し、電気めっき中にチャネルの付いたイオン抵抗部材と実質的に平坦な基板との間に、クロスフロー注入マニホールドを規定する。クロスフロー注入マニホールドと同時に機能するためのこれ以外の部材を任意に設ける。これらは、クロスフロー注入の流れを分配するシャワーヘッドおよびクロスフロー閉じ込めリングまたは流れ分割器を備えていてよく、これについては図面と合わせて以下でさらに説明する。
いくつかの実施形態では、本装置は、基板のめっき面に向かう方向またはこのめっき面に垂直に電解質が流れて、電気めっき中にチャネルの付いたイオン抵抗部材の孔から出る少なくとも約3cm/秒(例えば、少なくとも約5cm/秒または少なくとも約10cm/秒)という平均的な流速を起こせるように構成される。いくつかの実施形態では、本装置は、基板のめっき面の中心点を約3cm/秒以上(例えば、約5cm/秒以上、約10cm/秒以上、約15cm/秒以上、または約20cm/秒以上)で電解質が横切る平均的な速度を起こす条件で動作するように構成される。これらの流量(すなわち、イオン抵抗部材の孔から出る流量、および基板のめっき面の端から端までを流れる流量)は、いくつかの実施形態では、流量が約20L/分の電解質全体を用いる電気めっき槽および直径がおよそ12インチの基板で適切である。本明細書の実施形態は、様々なサイズの基板で実施されてよい。場合によっては、基板の直径は、約200mm、約300mm、または約450mmである。さらに、本明細書の実施形態は、広く多様な全体流量で実施されてよい。特定の実装形態では、全体的な電解質の流量は、約1〜60L/分、約6〜60L/分、約5〜25L/分、または約15〜25L/分である。めっき中に到達する流量は、使用しているポンプのサイズや用量など、特定のハードウェアの制約によって制限されることがある。一当業者であれば、本明細書に挙げた流量は、さらに大きいポンプで開示技術を実施するとさらに大きくなることがあることを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、電気めっき装置は、別々のアノード室およびカソード室を備え、2室にはそれぞれ、異なる電解質組成、電解質循環ループ、および/または流体力学があることに留意されたい。両室間にある1つ以上の構成要素の直接の対流移送(流れによる塊の移動)を妨げて、両室間に所望の距離を維持するために、イオン透過膜を用いてよい。この膜は、大量の電解質が流れるのを阻止し、有機添加剤などの特定の種の移送を排除する一方で、カチオンなどのイオンを移送することができる。いくつかの実施形態では、膜は、DuPont社のNAFION(登録商標)または関連するイオン選択ポリマーを含む。他の事例では、膜は、イオン交換材料を含んでおらず、代わりに細孔性材料を含む。慣習的に、カソード室の電解質は「陰極液」と呼ばれ、アノード室の電解質は「陽極液」と呼ばれる。陽極液および陰極液は組成が異なることが多く、陽極液はめっき添加剤(例えば、促進剤、抑制剤、および/またはレベラー)をほとんどまたはまったく含まず、陰極液はこのような添加剤をかなりの濃度で含んでいる。金属イオンおよび酸の濃度も両室どうしで異なることが多い。別個のアノード室を備えている電気めっき装置の一例が、2000年11月3日に出願された米国特許第6,527,920号[代理人整理番号NOVLP007];2002年8月27日出願された米国特許第6,821,407号[代理人整理番号NOVLP048]、2009年12月17日に出願された米国特許第8,262,871号[代理人整理番号NOVLP308]に記載されており、この各文献を参照することにより本明細書にその全容を組み入れる。
いくつかの実施形態では、アノード膜は、イオン交換材料を含んでいる必要がない。いくつかの例では、膜は、米国マサチューセッツ州ウィルミントンのKoch Membrane社製のポリエーテルスルホンなどの細孔性材料で作製される。この膜の種類は、スズ−銀めっきおよび金めっきなどの不活性アノードの用途に適用できることが最も顕著だが、ニッケルめっきなどの可溶性アノードの用途に使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、また本明細書の他の段落でさらに完全に説明しているように、陰極液はマニホールド領域に注入され、電解質は、この領域内に供給され、蓄積し、その後分配され、CIRPの様々な非連通チャネルを通じて実質的に均一にウエハ面に向かって直接移動する。
以下の考察では、開示した実施形態の上および下という特徴部(または同様の用語で、上方および下方という特徴部など)または部材に言及している場合、上および下という用語は、単に便宜上使用しているだけであり、本発明の1つの枠組みの参考例または実装形態を表しているに過ぎない。その他の構成も可能であり、例えば上および下の構成要素が重力に対して逆になっているもの、ならびに/または上および下の構成要素が左および右または右および左の構成要素になっているものなどである。
本明細書に記載したいくつかの態様を様々な種類のめっき装置に用いてよいが、簡略化および明瞭化のため、ほとんどの例は、ウェハフェイスダウンの「噴流」めっき装置に関するものである。このような装置では、めっき用のワークピース(通常、本明細書で示した例の半導体ウエハ)は一般に、実質的に水平な向きで(これは場合によってはめっき工程の一部またはめっき工程全体の過程で、厳密な水平から数度変わることがある)、めっき中に回転するために給電されることがあり、全体的に垂直で上向きの電解質対流パターンを生み出す。ウエハの中心からエッジに衝突流の塊を組み込むとともに、より大きい固有の角速度で中心よりもエッジでウエハを回転させることで、径方向に増大する剪断(ウエハに平行)流の速度が生まれる。噴流めっき類の槽/装置の一部材の一例が、米国カリフォルニア州サンノゼのNovellus Systems社製で、同社が販売するSabre(登録商標)電気めっきシステムである。また、噴流電気めっきシステムは、例えば2001年8月10に出願された米国特許出願第6,800,187号[代理人整理番号NOVLP020]および2008年11月7日に出願された米国特許出願第8,308,931[代理人整理番号NOVLP299]に記載されており、これらを参照することにより本明細書にその全容を組み入れる。
被めっき基板は、全体的に平坦または実質的に平坦である。本明細書で使用しているように、溝、管、フォトレジストパターンなどの特徴部を有する基板を実質的に平坦であるとみなす。これらの特徴部は、微細な規模であることが多いが、これは必ずしも常に当てはまるわけではない。多くの実施形態では、基板面に1箇所以上の部分が電解質への曝露から遮蔽されていてよい。
図3Aおよび図3Bについての以下の説明では、本明細書に記載する装置および方法の理解を補助するために、全体的に非限定的な背景を記載する。図3Aは、半導体ウエハを電気化学的に処理するためにウエハを保持して位置決めする装置100の斜視図である。装置100は、ウエハと係合する構成要素(本明細書では「クラムシェル」構成要素と呼ぶことがある)を備える。実際のクラムシェルは、カップ部102および円錐部103を備え、両者によってウエハとシールとの間に圧力を印加でき、それによってウエハをカップ部内に固定する。
カップ部102は支柱104で支持され、支柱は、上プレート105と連結している。このアセンブリ(102〜105)、総合してアセンブリ101は、スピンドル106を介してモータ107で駆動される。モータ107は、取り付けブラケット109に装着される。スピンドル106は、トルクをウエハ(この図には示していない)に伝達してめっき中に回転させる。スピンドル106内にあるエアシリンダ(図示せず)もカップ部と円錐部103との間に垂直の力を提供して、カップ部内に収容されたウエハとシール部材(リップシール)とのシールを起こす。これを考察するにあたり、構成要素102〜109を備えるアセンブリを、総合してウエハホルダ111と呼ぶ。ただし、「ウエハホルダ」の概念は全体的に、ウエハと係合してウエハを動かして位置決めする構成要素の様々な組み合わせおよびサブコンビネーションに及ぶ点に留意されたい。
第1のプレート115を備える傾斜アセンブリであって、第1のプレートが第2のプレート117にスライド式に連結している傾斜アセンブリが、取り付けブラケット109に連結している。駆動シリンダ113が、回転接合部119および121でプレート115とプレート117との両方にそれぞれ連結している。そのため、駆動シリンダ113は、プレート115(よってウエハホルダ111も)をプレート117の端から端までスライドさせる力を提供する。ウエハホルダ111の遠位端(すなわち取り付けブラケット109)は、プレート115と117との接触領域を規定する湾曲路(図示せず)に沿って動き、それによってウエハホルダ111の近位端(すなわちカップ部と円錐部とのアセンブリ)は、事実上の軸に対して傾斜する。これによってウエハをめっき浴に斜めに入れることができる。
装置100全体は、上または下向きのいずれかに垂直に持ち上げられて、もう1つのアクチュエータ(図示せず)を介してウエハホルダ111の近位端をめっき溶液に浸漬する。そのため、2つの構成要素を位置決めする機構が、電解質に垂直な軌道に沿った垂直運動と、(電解質の面に平行な)水平な向きからウエハをそらせる(ウエハを斜めに浸漬させる能力)傾斜運動との両方を提供する。この運動能力およびそれに関連する装置100のハードウェアについての詳細な説明が、2001年5月31日に出願され、2003年4月22日に発行された米国特許第6,551,487号[代理人整理番号NOVLP022]に記載されており、本文献を参照することにより本明細書にその全容を組み入れる。
装置100は通常、アノード(例えば、ニッケルアノードまたは非金属の不活性アノード)および電解質を収容するめっき室を有する特定のめっき槽とともに使用される点に留意されたい。めっき槽は、電解質をめっき槽中に―かつ被めっきワークピースに対して循環させるための配管または配管接続部も備えていてよい。アノード区画およびカソード区画で異なる電解質の化学的性質を維持するように設計された膜またはそれ以外の分離体も備えていてよい。1つの実施形態では、1つの膜を用いてアノード室を規定し、このアノード室には、抑制剤、促進剤、またはその他の有機めっき添加剤が実質的にない電解質が入っている。あるいはもう1つの実施形態では、陽極液および陰極液の無機質のめっき組成物が実質的に異なる。陽極液を陰極液または主要めっき浴に(例えばバルブを含む直接のポンピングにより、またはオーバーフロー容器に)移送するための機構を任意に設けてもよい。
以下の説明では、クラムシェルのカップ部と円錐部とのアセンブリについてさらに詳細に記載する。図3Bは、円錐部103およびカップ部102を備えるアセンブリ100の一部分101を断面形式で描いている。この図は、カップ部と円錐部とでできたアセンブリの厳密な描写を意味するものではなく、むしろ考察のために様式化した描写である点に留意されたい。カップ部102は、支柱104を介して上プレート105に支持され、支柱は、ネジ108を介して装着されている。全体的に、カップ部102は、ウエハ145がとどまる支持体となる。カップ部は、めっき槽からくる電解質がウエハと接触できる開口を備えている。ウエハ145は、前面142を有し、この前面がめっきを施す所である点に留意されたい。ウエハ145の周縁は、カップ部102上にとどまる。円錐部103は、ウエハの背面を押下して、めっき中にウエハをしかるべき場所に保持する。
ウエハを101の中に搭載するために、円錐部103が上プレート105に触れるまで、スピンドル106を介して円錐部103を図示した位置から持ち上げる。この位置から、カップ部と円錐部との間に間隙ができ、この間隙の中にウエハ145を挿入でき、このようにしてウエハをカップ部の中に搭載することができる。次に、円錐部103を下げて、図示したようにウエハをカップ部102の周縁に係合させ、ウエハの外周に沿いにあるリップシール143を径方向に超えた所にある一連の電気接触部(図3Bには図示せず)に合わせる。
スピンドル106は、円錐部103をウエハ145と係合させるための垂直力と、アセンブリ101を回転させるためのトルクとの両方を伝達する。伝達されるこれらの力を図3Bに矢印で示している。ウエハのめっきは通常、(図3Bの上の破線矢印で示したように)ウエハが回転している間に行われる点に留意されたい。
カップ部102は、圧縮可能なリップシール143を有し、リップシールは、円錐部103がウエハ145と係合する際に流体気密シールを形成する。円錐部およびウエハからの垂直力は、リップシール143を圧縮して流体気密シールを形成する。リップシールは、電解質がウエハ145の背面と接触するのを防止するとともに(ニッケルイオンなどの汚染種がシリコン内に直接進入するおそれがある場合)、装置101の損傷しやすい構成要素と接触するのを防止する。カップ部のインターフェースとウエハとの間に位置するシールがあってもよく、このシールは、流体気密シールを形成してウエハ145の背面(図示せず)をさらに保護する。
円錐部103もシール149を備える。図示したように、シール149は、係合したときの円錐部103のエッジ近くかつカップ部の上方領域に位置している。これもカップ部の上からクラムシェルに入る可能性のある任意の電解質からウエハ145の背面を保護する。シール149は、円錐部またはカップ部に固定されてよく、単一のシールでも複数の構成要素からなるシールでもよい。
めっきを開始すると、円錐部103はカップ部102の上に上がり、ウエハ145はアセンブリ102へ導入される。ウエハが最初にカップ部102の中へ導入されると―通常はロボットアームによって―ウエハの前面142は、リップシール143の上に軽く載る。めっき中、アセンブリ101は、均一なめっきを達成するのを補助するために回転する。これ以降の図では、アセンブリ101は、一層簡易な形式で、めっき中のウエハのめっき面142での電解質の流体力学を制御するための構成要素に関連付けて描いている。そのため、以下では、大量移送およびワークピースでの流体の剪断についての概要を記載する。
図3Cは、本明細書に記載した特定の実施形態による、アノード室およびカソード室を有する電気めっき槽の実施形態を概略的に示している。図3Cに示した実施形態では、被めっき基板面の端から端までのクロスフローを促すのに使用できる特定の技術を実装する点に留意されたく、これは、2013年5月13日に出願された米国特許第13/893,242号、発明の名称「CROSS FLOW MANIFOLD FOR ELECTROPLATING APPARATUS」に記載されている通りであり、本文献を参照することにより本明細書にその全容を実際に組み入れる。この先行出願により完全に記載されているように、いくつかの実施形態では、電解質の流入口は、単独で、またはこの文献に記載されている、流れ具体化プレート、クロスフロー用マニホールド、および/または流れ分割器と組み合わせて、横断流を補助するように構成されている。
例えば、図3Cに概略的に示した電気めっき槽は、流れ具体化プレートと流れ分割器とのアセンブリと合わせて横断流を促すように構成された電解質流入口を備える。具体的には、図3Cは、ニッケルをウエハ145上でめっきするためのめっき装置700の構成要素の断面図であり、ウエハは、ウエハホルダ101によって保持され、位置決めされ、回転する。装置700は、2室からなる槽である電気めっき槽755を備え、このめっき槽は、アノード760および陽極液を備えるアノード室750、およびカソード室760を有する。アノード室750およびカソード室760は、支持部材735で支持されるカチオン膜740で分離されている。電気めっき装置700は、本明細書に記載したように、流れ具体化プレート710を備えている。流れ分割器(閉じ込めリングと呼ぶこともある)725が流れ具体化プレート710の上面にあり、本明細書に記載した横断剪断流を生み出すのを補助する。陰極液は、流入口715を介してカソード室(膜740の上)に導入される。陰極液は、流入口715から本明細書に記載した流れプレート710を通って、ウエハ145のめっき面に衝突流を起こす。陰極の流入口715のほかに、補足的な流入口710aが、流れ分割器725の孔または間隙から遠い位置で、その出口に陰極液を導入する。この例では、流入口710aの出口は、流れ具体化プレート710にあるチャネルとして形成される。機能上の結果は、流れプレートとウエハのめっき面との間に形成された擬似室の中に陰極液が直接導入されて、ウエハ面の端から端まで横断流が流れるのを促し、これによってウエハ(および流れプレート710)の端から端までを流れるベクタを正常にするというものである。
電気めっき槽は、電気めっきシステムの1つ以上のモジュールとして備わっていてよく、本明細書に開示した方法および装置から利点を得てpH変動を低減または防止することもできる。例えば、図3Dは、複数の電気めっきモジュール、この場合は3つの別々のモジュール309、311および313を備えていてよい電気めっきシステム307を概略的に示している。以下にさらに完全に記載するように、各電気めっきモジュールは通常、電気めっき過程でアノードおよび電気めっき溶液を入れるための槽と、電気めっき溶液内にウエハを保持して電気めっき中にウエハを回転させるためのウエハホルダとを備えている。図3Dに示した電気めっきシステム307はさらに、3つの別々の電気充填後処理モジュール(PEM)315、317および319を備えている。実施形態に応じて、これらはそれぞれ、次の機能のいずれかを実施するのに用いることができる:エッジ斜面の除去(EBR)、背面のエッチング、ならびにモジュール309、311、および313のうちの1つによって電気充填された後にウエハを酸洗浄することである。エッジ斜面の除去(EBR)を実施する電気充填後処理モジュール(PEM)を、代わりに本明細書では単にEBRモジュールと呼ぶ点に留意されたい。電気めっきシステム307は、化学的希釈モジュール321および中央電気充填浴323も備えていてよい。中央電気充填浴323は、電気充填モジュール内の電気めっき浴として使用する化学溶液を保持するタンクであってよい。電気めっきシステム307は、化学添加剤を格納してめっき浴に運搬する添加システム333も備えていてよい。もしあれば、化学的希釈モジュール321は、電気充填後処理モジュール内でエッチング液として使用する化学物質を格納し、混合することができる。いくつかの実施形態では、濾過・ポンピングユニット337が中央浴323向けにめっき溶液を濾過し、このめっき溶液を電気充填モジュールに送り出す。
最後に、いくつかの実施形態では、電子ユニット339が、電気めっきシステム307を動作させるのに必要な電子制御およびインターフェース制御を行うシステムコントローラとしての役割を果たすことができる。システムコントローラは通常、意図する処理動作を電気めっきシステムが実施できるように命令を実行するために構成された1つ以上の記憶装置および1つ以上のプロセッサを備えている。本明細書に記載した実装形態による処理動作を制御するための命令を含んでいる機械可読媒体を、システムコントローラに接続することができる。ユニット339は、システム用の電源を備えていてもよい。
動作において、バックエンドロボットアーム325を備えるロボットを使用して、カセット329Aまたは329Bのようなウエハカセットからウエハを選択できる。バックエンドロボットアーム325は、真空装着機または何らかの他の実現可能な装着機構を用いてウエハに装着されてよい。
フロントエンドロボットアーム340が、カセット329Aまたはカセット329Bのようなウエハカセットから1つのウエハを選択できる。カセット329Aまたは329Bは、フープ(front opening unified pod、FOUP)であってよい。FOUPは、制御した環境内に確実かつ安全にウエハを保持するとともに、適切なロードポートおよびロボットハンドリングシステムを備えた機械を用いてウエハを処理または測定用に取り除けるように設計された筐体である。フロントエンドロボットアーム340は、真空装着機または何らかの他の装着機構を用いてウエハを保持できる。フロントエンドロボットアーム340は、カセット329Aもしくは329B、移送ステーション350、またはアライナー331と相互作用できる。バックエンドロボットアーム325は、移送ステーション350からウエハへのアクセスを得ることができる。移送ステーション350は、フロントエンドロボットアーム340およびバックエンドロボットアーム325がアライナー331へ寄らずに往復してウエハを移動させられるスロットまたは位置であってよい。ただし、いくつかの実装形態では、ウエハをバックエンドロボット325に正しく配置して電気めっきモジュールまで正確に運搬するのを確実にするために、バックエンドロボットアーム325は、ウエハをアライナー331に合わせて配置できる。バックエンドロボットアーム325は、電気充填モジュール309、311、もしくは313のうちの1つ、または3つの電気充填後処理モジュール315、317、および319のうちの1つまでウエハを運搬することもできる。
アライナーモジュール331を使用して、ウエハをバックエンドロボットアーム325に正しく配置して電気めっきモジュール309、311もしくは313か、EBRモジュール315、317、および319(これらのPEMがEBRを実施すると仮定)のいずれかまで正確に運搬するのを確実にするという状況では、バックエンドロボットアーム325がウエハをアライナーモジュール331まで移送する。いくつかの実施形態では、アライナーモジュール331は、配置アームを備え、バックエンドロボットアーム325はこの配置アームに対してウエハを押しつける。ウエハが配置アームに対して正しく配置されると、バックエンドロボットアーム325は、配置アームに対して事前に設定された位置へ移動する。その他の実施形態では、アライナーモジュール331は、バックエンドロボットアーム325が新たな位置からウエハを持ち上げるように、ウエハの中心を決定する。次にバックエンドロボットアーム325は再びウエハに付着して、電気めっきモジュール309、311もしくは313のうちの1つ、またはEBRモジュール315、317、および319までウエハを運搬する。
このように、電気めっきシステム307を用いてウエハ上に金属層を形成するという典型的な作業の中で、バックエンドロボットアーム325は、事前の電気めっきでセンタリング調整するためにウエハをウエハカセット329Aまたは329Bからアライナーモジュール331へ移送したのち、電気めっきするために電気めっきモジュール309、311、または313へ移送し、その後、事前のEBRでセンタリング調整するためにアライナーモジュール331に戻ったのち、エッジ斜面を除去するためにEBRモジュール315、317、または319に戻る。もちろん、いくつかの実施形態では、ウエハの再配置が通常必要でなければ、センタリング/配置ステップを省略してよい。
上記のように、電気めっき作業には、クラムシェルの類のウエハホルダにウエハを搭載し、電気めっきが行われる電気めっきモジュール309、311、または313のうちの1つの槽内に入っている電気めっき浴内にクラムシェルを下ろすことが必要となることがある。また、上記のように、この槽にはたいてい、被めっき金属の供給源としての役割を果たすアノードが入っているほか(アノードは遠くにあってもよい)、添加システム333からの任意選択の化学添加剤と一緒に中央電気充填浴槽323から供給されることが多い電気めっき浴溶液も入っている。電気めっき作業後のEBR作業には通常、化学的希釈モジュール321から供給されるエッチング液を塗布することによって、エッジ斜面領域および場合によってはウエハの背面から不要な電気めっき金属を除去することが必要である。EBRの後、ウエハは通常、洗浄され、ゆすがれ、乾燥される。最後に、電気充填後処理の後、処理が完了し、バックエンドロボットアーム325は、EBRモジュールからウエハを回収でき、ウエハをカセット329Aまたは329Bに戻す。カセット329Aまたは329Bはそこから、例えば化学機械的な研磨システムなど、他の半導体ウエハ処理システムに提供されてよい。
pH変動を防止、低減または最小にするための本明細書で開示した装置およびデバイスは、これまでに記載した電気めっき槽、モジュール、およびシステムの背景内で実装されてよい点に再度留意されたい。同じように、本明細書に開示したpH変動を防止、低減または最小にするための方法は、これまでに記載した電気めっき槽、モジュール、およびシステムのいずれかで実施される電気めっき方法の背景内で実施されてよい点に再度留意されたい。
[pH変動を低減する電気めっきシステム]
したがって、本明細書に開示するのは、金属を半導体基板上に電気めっきするための電気めっきシステムであって、1つ以上の電気めっき槽内のpH変動を低減または防止するための方法またはデバイスを用いる、電気めっきシステムである。上記に詳細に説明したように、特定の理論に限定されることなく、電気めっき槽内の電気めっき溶液中に酸素があることで、電気めっき作業中および休止期間中(電気めっき作業から次の電気めっき作業までの期間)でもpH上昇が起こると思われ、これが電気めっき金属層の質の低下を招いている。そのため、本明細書に開示したように、電気めっきシステムは、電気めっき作業に使用される電解質溶液の酸素濃度を下げるための酸素除去装置を備えていてよい。いくつかの実施形態では、酸素除去装置は、電気めっき溶液が電気めっきシステムの1つ以上の電気めっき槽に流れる際に、電気めっき溶液から酸素を除去できる。
例えば、図4Aは、電気めっきシステム400を概略的に示し、本明細書に開示した特定の実施形態と一致するこの電気めっきシステムでは、電気めっき溶液がこのシステムの電気めっき槽410に流れる際に、電気めっき溶液中の酸素濃度を低減するための酸素除去装置480を用いる。この実施形態では、電気めっき槽410はアノード室420およびカソード室430を備え、両室は多孔性膜440で分離され、この膜は、上記の図3Cに示しこれについて説明したものと同様のものである。アノード室はもちろん、電気めっき作業中に1つ以上のアノード―例えば図4Aのアノード422および図3Cのアノード460を保持するためのものである。半導体基板上にニッケルを電気めっきするための電気めっきシステムであれば、もちろん電気めっき中のアノード室にはニッケルアノードがある。カソード室430は、電気めっき槽410内の場所を取り囲んでおり、この場所では、上に電気めっきを受ける基板の面が電解質溶液に接触すると同時にウエハホルダに保持されるとともに、半導体基板上で金属の析出が起こる。図3Cも参照すると、具体的には、電気めっき槽755内のカソード室740では、ウエハホルダ101に保持されている間、基板145は電解質溶液に接触する。いくつかの実施形態では、電気めっきシステム400は、基板上にニッケルを電気めっきしている間に電解質溶液を大気に曝露するように構成されてよい点に留意されたい。この種の実施形態では、電気めっき作業中に電解質溶液が大気から酸素を吸収している可能性があるということから、酸素除去装置480の存在はさらに一層重要である。
アノード室中を循環している電解質溶液は一般に陽極液と呼ばれ、カソード室中を循環している電解質溶液は一般に陰極液と呼ばれるが、この2つの溶液は、実施形態に応じて実質的に同じ組成であっても異なる組成であってもよい。陽極液および陰極液は、流体用の導管、ポンプ、および/またはバルブのシステムによってアノード室およびカソード室にそれぞれ出入りして循環できる。以下に記載するのは、多くの可能な構成のうちのいくつかである。アノード室に入る陽極液の容量および流量は、カソード室に入る陰極液の容量および流量と実質的に同じであってよいが、いくつかの実施形態では、流量が異なっていてよい。例えば、いくつかの構成では、アノード室に入る陽極液の流量が小さいと(カソード室に入る陰極液の流量に比して)、陽極液に対して動作している酸素除去装置への要求が減少する可能性がある。例えば、1つの実施形態では、カソード室へ流れる陰極液の流量は約12から48リットル/分であってよいのに対し、アノード室へ流れる陽極液の流量は約1から4リットル/分であってよい。300mmのウエハの場合、電気めっき槽へ流れる(陽極液および陰極液を含む)電解質の全体的な流量は、約3から30リットル/分、あるいはさらに詳細には約6から24リットル/分であってよい。450mmのウエハの場合、電気めっき槽へ流れる(陽極液および陰極液を含む)電解質の全体的な流量は、約7から68リットル/分、あるいはさらに詳細には約14から54リットル/分であってよい。
アノード室へ流れる流量が小さいと、より小さく低価格の酸素除去装置を使用して同程度の酸素濃度低下を達成できる可能性がある。このようにする代わりに、いくつかの構成では、陽極液を少なく流すことで所与の酸素除去装置に対して陽極液中の酸素濃度の低下を実現してもよく、これによって特定の酸素除去装置に対する要求が少なくなる。
両室それぞれの組成および流量がどのようなものであっても、いくつかの実施形態では、アノード室内の陽極液およびカソード室内の陰極液は、多孔質セパレータ440で分離されてよく、このセパレータは、電気めっき中にイオン電流を通過させるが、アノード室およびカソード室420、430に入っている電解質溶液の通過は(少なくとも一定程度)阻止する。換言すれば、このセパレータは、少なくとも一定程度まで、陽極液と陰極液とが混合するのを防止する。これは、陽極液と陰極液とが異なる組成であれば重要となり得るが、そうでなくとも多孔質セパレータ440は、アノード室からくる粒子状物質―おそらくアノードの分解により発生したもの―がカソード室に入って、カソード室で粒子が被電気めっき基板面に接触して汚染するのを(少なくともある程度)防止するために重要となり得る。この点を念頭に置くと、アノード室を、1つ以上の金属アノードが入った電気めっき槽の一領域として広義の意味で見ることができ、この領域は、ウエハを保持する電気めっき槽のもう1つの領域―すなわちカソード室―からバリアを介して離れ、バリアは、1つ以上の金属アノードからくる汚染物質がカソード室に到達するのを(少なくとも一定程度)防止するようにできている。
ただし、いくつかの実施形態では、アノード室には、アノードで発生した粒子が電気めっき槽あるいはアノード室自体の他の領域を汚染するのを防止するように構成または設計された、補足的なバリアが入っていることにも留意すべきである。場合によっては、これは、多孔質セパレータ440がアノードからくる粒子状物質で充満したり過度にあふれたりするのを防止するためであってもよい。そのため、いくつかの実施形態では、アノードを包囲して発生した粒子を閉じ込めるために袋を用いてよい―これを先行技術では「アノードを袋に入れる」と呼ぶことが多い。その他の実施形態では、補足的な膜もしくはフィルタ、または広義にはもう1つの多孔質セパレータをアノード室内のアノードの極めて近くに設置して、アノードが発生させた粒子を現実可能な程度で特定することができる。
さらに重要なことは、おそらく、いくつかの実施形態では、多孔質セパレータ440がアノード室420とカソード室430とを異なる酸素濃度に維持できることである。これは例えば、酸素除去装置が電解質溶液からアノード室へ運搬された酸素―すなわち陽極液からの酸素しか除去しない場合に、重要となり得る。このように設計された電解質溶液が流れるループを有する電気めっきシステムを、例えば図4Bの酸素除去装置480に関して以下に詳細に記載する。実施形態に応じて、多孔質セパレータは、イオン交換膜であってよく、あるいはいくつかの実施形態では、多孔質セパレータは、実質的にイオン交換箇所のない細孔性膜であってよい。
酸素除去装置480(電解質溶液が電気めっき槽410に流れる際に電解質溶液中の酸素濃度を下げるのに使用される)は、いくつかの実装形態では、特にアノード室420に流れる電解質溶液中の酸素濃度を下げるように機能することができる。他の実装形態では、酸素除去装置は、アノード室とカソード室との両方に流れる電解質溶液中の酸素濃度を下げるのに使用されてよい。さらに、酸素還元は、電気めっき作業中に行ってよいが、酸素除去装置480は、システムが電気めっき作業を一切実施していない休止時間中に動作してもよい。そのため、いくつかの実施形態では、酸素除去装置は、一部またはすべての休止時間中にアノード室に流れている電解質溶液中の酸素濃度を下げるように構成されてよい。
いくつかの電気めっきシステムでは、電気めっきシステムが電気めっきをしていないときは、電解質溶液は、一部またはすべての休止時間中にアノード室に流れ続ける点に留意されたい。さらに、電気めっき全体のプロセスフローおよびスループットにはおそらく都合がいいものの、このような電解質の循環により、ニッケルアノードの表面での水素イオン消費率が実際に増して、前述したように、観察したpH変動の裏で有力な反応の機構と思われるものを悪化させている可能性があることにも留意されたい。特に、図1Bに関しては、ニッケルアノードラウンドの入ったフラスコを電気めっき溶液内でかき混ぜる効果が、観察したpH率の上昇を劇的に上げることになるという点について上記で留意した。そのため、アノード室で電解質溶液を循環させることは、電気めっきが行われていない間であっても、pHの上昇を招くおそれがあると思われ、したがって、休止中に電解質溶液をアノード室中に循環させる電気めっきシステムが、本明細書に開示した酸素還元方法からさらに大きな利点を引き出せることが多い場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、一部またはすべての休止時間中にアノード室に流れる電解質溶液中の酸素濃度を、休止時間中にニッケルアノードに接触している際に電解質溶液のpHがはっきりと上昇しないようなレベルまで下げるように、酸素除去装置を構成してよい。
実施形態に応じて様々な種類の酸素除去装置を用いてよい。例えば、電解質溶液中の酸素濃度を下げる1つの方法は、電解質溶液をスパージングすることである。スパージングは、ある液体を用いて化学的に不活性のガスを泡立たせてその液体から溶解ガスを除去することを伴う技術である。溶解酸素ガスと置換するために、電解質溶液を例えばヘリウム、窒素、アルゴンなどでスパージングしてよい。そのため、いくつかの実施形態では、電気めっきシステムの酸素除去装置は、実質的に酸素のないガスで電解質溶液をスパージングするためのデバイスであってもよいし、このデバイスを備えていてもよい。
電気めっきシステムに備わっていてよい別種類の酸素除去装置が、脱気装置である。脱気装置および様々な脱ガス技術の考察には、2010年1月8日に出願された米国特許出願第12/684,792号を参照し、本文献を参照することにより本明細書に組み入れる。脱気装置を接触器と呼んでもよく、本明細書では両用語を入れ替え可能なように使用する点に留意されたい。いくつかの実施形態では、脱気装置は、膜接触脱気装置であってよく、1つ以上の膜を1つ以上の真空ポンプと組み合わせて使用することで電解質溶液中の酸素濃度を下げるように機能できる。市販の膜接触脱気装置の例には、Membrana社(米国ニューヨーク州シャーロット)のLiquid−Cel(登録商標)、同じくMembrana社のSuper Phobic膜接触器、およびEntegris社(米国ミネソタ州チャスカ)のpHasor(登録商標)などがある。一般に、これらの膜接触脱気装置は、被脱気流体の表面に真空を印加することで機能し、溶解ガスを流体から本質的に吸引する。1つ以上の膜が存在すると、被脱気流体の曝露表面が増し、これによって真空環境への曝露が増すことで、脱気動作の効果が増す。そのため、膜接触脱気装置を用いて電解質溶液から溶解ガスを除去する率は、例えば、めっき溶液の流量、脱気デバイスに真空を印加する際に間に挟む半浸透膜の曝露面積および性質、ならびに印加される真空の強さに左右されることがある。膜接触脱気装置で使用される通常の膜は、分子ガスを流すが、膜を濡らすことができないそれ以上大きい分子や溶液は流さない。
いくつかの実施形態では、脱気装置の流体入口に流体圧力を印加すると、酸素除去を促進できる。例えば、図3Aに示した実施形態では、酸素除去装置480と同じ流体ループ(流体ループについては以下でさらに詳述)の上流でポンプ460を用いて、電気めっき溶液を酸素除去装置の流体入口へ駆動する。そのため、酸素除去装置を有するフローループにポンプまたはその他の機構を介して電解質溶液が流れる流体力学を制御することで、脱気デバイスの所望の酸素除去レベルを達成するのを補助できる。もちろん、フローループ内に酸素除去装置があることで、1つ以上のポンプの位置決めがある程度有利に規定されることがあるが、電気めっき溶液用のフローループには、当然ながら、流体を循環させるためであるかどうかに関わらず、しかるべき位置に何らかの形態のポンピング機構がある必要がある。
電気めっき槽の上流の電解質フローループ内に1つ以上のフィルタを設置して、粒子または気泡が電気めっき槽に入って被電気めっき金属層の形成に欠陥が生じるのを防止することができる。いくつかの実施形態では、図4Aに示したもののように、電気めっき槽410のすぐ上流のフローループ内にフィルタ470を設置して、フィルタ470からの少なくとも何らかの保護がない場合に電気めっき槽410を粒子または気泡の発生に曝露するおそれのある介在要素がないようにしてよい。いくつかの実施形態では、フィルタは、孔径がおよそ1μmであってよく、特定のこのような実施形態では、フィルタを通して12〜48リットル/分の電解質を吸引して粒子状汚染物質を除去することができる。
特にポンプは、吸引している流体中に気泡を発生させる原因となることが多いため、ポンプ460の下流にあるフィルタ470が、電気めっき槽410内に気泡が入るのを低減または防止できる。同じように、電解質溶液をスパージングするためのデバイスを酸素除去装置480として使用する場合、酸素除去装置480の下流にあるフィルタ470が気泡の進入を低減または防止するのを補助でき、同じように、酸素除去装置480が膜接触脱気装置のような脱気装置であれば、フィルタ470は、脱気装置の膜に印加された流体圧力から発生した一切の粒子を除去するのを補助できる。いずれにしても、どのような特定の(1つまたは複数の)種類の(1つまたは複数の)酸素除去装置を用いるとしても、デバイスは、(1つまたは複数の)電解質フローループ内のうち、電気めっき槽内に気泡または粒子を導入せず、特にカソード室内に導入しないどこかに設置されるのが好ましい。
酸素除去装置は、その種類が何であっても、溶解酸素濃度を望ましいレベルまで―通常は、電解質溶液が電気めっき槽のアノード室内でアノードと接触した際に通常みられるpH上昇を低減(またはなくす)レベルまで下げる能力があるべきである。そのため、酸素除去装置が脱気装置、さらに具体的には膜接触脱気装置であろうと(あるいはこれらを備えていようと)、電解質溶液を(例えば、実質的に酸素のないガスで)スパージングするためのデバイスであろうと(あるいはこれらを備えていようと)、いくつかの実施形態では、酸素除去装置は、電解質溶液中の酸素濃度を約1ppm以下のレベルまで下げるように構成されてよい。特定のこのような実施形態では、酸素除去装置は、電解質溶液中の酸素濃度を約0.5ppm以下のレベルまで下げるように構成されてよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、酸素濃度は、電気めっきシステム内の異なる場所で様々に異なる特定のレベルに維持されてよい点にも留意すべきであり、理解すべきである。そのため、例えば、いくつかの実施形態では、電解質溶液内の酸素濃度を何らかの所定レベルまで下げるように構成された酸素除去装置が、酸素除去装置のすぐ下流にある電気めっきシステム領域でそのレベルまで下げることができるが、必ずしも電気めっきシステム全体で下げる必要はない。特に、酸素除去装置を、酸素除去装置の下流にあるアノード室で所定の酸素濃度(例えば、1ppm以下、または0.5ppm以下)を達成するように構成してよいが、必ずしもカソード室で達成する必要はない。これらの室への流体フローループ/経路について以下に詳細に考察していく。
図4Aに示したシステム400のような電気めっきシステムでは、1つ以上のフローループを通って電気めっき槽410を出入りして循環できる予備容量の電解質溶液が入った浴タンク450を用いてもよい。ここでもまた、特定のフローループの構成について以下に詳細に考察するが、図4Aは、浴タンク450を電気めっき槽410に流体連結している2つのフローループがあることを示している。なぜなら、浴タンク450から電気めっき槽410へ移動して戻ってくる際に循環流体が通れる経路が2つあるからである。浴タンク450は、図4Aに示したように電気めっき槽410の外部に設置されてもよいし、電気めっき槽を形成する物理的構造に一体に形成されてもよい。場所に関わらず、浴タンクは通常、1つ以上の流体導管(例えばパイプ)からくる流体を受け入れる1つ以上の流体入口と、1つ以上の流体導管を通して流体を送る1つ以上の流体出口とを備えている。流体入口は電気めっき槽の下流にあってよく、流体出口は電気めっき槽の上流などにあってよい。浴タンクは、電解質流体の貯蔵設備としての役割を果たせるが、他の機能を提供してもよい。いくつかの実施形態では、浴タンク450は、例えば酸素除去の機能または他の電解質流体を処理する機能を提供できる。
電気めっきシステムは通常、電解質溶液が電気めっき室を出入りして流れるための少なくとも1つのフローループ、および上記で考察した様々な構成要素―ポンプ、フィルタ、酸素除去装置などを有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、電気めっきシステムでは、電気めっき溶液の流れを電気めっき槽と様々な構成要素との間に誘導するための複数のフローループを用いることができ、これらのフローループは、多様な異なる形態および流体接続トポロジーを採用してよい。
例えば、別々のアノード室およびカソード室を有する電気めっきシステムでは、アノード室を電気めっきシステムの様々な構成要素へ流体接続する、本明細書でアノード室再循環ループと呼ぶフローループがあってよく、同じように、カソード室を電気めっきシステムの様々な構成要素へ流体接続するカソード室再循環ループがあってよい。このようなアノード室再循環ループを有する実施形態では、ループは、アノード室の1つ以上の流体入口および流体出口に流体連結されてよく、基板上にニッケルを電気めっきする間に電解質溶液をアノード室に流すように構成されてよい。同じように、カソード室再循環ループを有する実施形態では、ループは、カソード室の1つ以上の流体入口および流体出口に流体連結されてよく、基板上にニッケルを電気めっきする間に電解質溶液をカソード室に流すように構成されてよい。アノード室再循環ループは、本明細書では単に「アノードループ」と呼ぶことがあり、同じように、カソード室再循環ループは、本明細書では単に「カソードループ」と呼ぶことがある。
アノードループおよびカソードループは、電気めっきシステム内の様々な流体導管を共有してよいが、相違点は、アノードループの経路を流れる流体流は、アノード室には流れるがカソード室には流れず、同じように、カソードループの経路を流れる流体流は、カソード室には流れるがアノード室には流れない点であることを理解すべきである。一例を図4Aに示している。この図では、電気めっきシステム400は、別々のアノード室420およびカソード室430を有し、両室は、アノード室再循環ループ425(または、「アノードループ」)およびカソード室再循環ループ435(または、「カソードループ」)をそれぞれ通じて電気めっきシステム400の他の構成要素に流体連結している。フローループおよび様々な流体導管を流れる流体の方向は、図中の矢印で示されている。図示したように、アノード室再循環ループ425は、流体導管セクション1001、1011、1012、および1002を備え、カソード室再循環ループ435は、流体導管セクション1001、1021、1022、および1002を備える。よって、2つの循環ループはいくつかの流体導管(1001および1002)を共通しているが、それでもアノード室再循環ループ425は流体をアノード室に誘導してカソード室には誘導せず、カソード室再循環ループ435に関してはその逆である点に留意すべきである。(簡易化のため、導管1001を1本で示して1つの符号で表記し、図では構成要素460、470、および480の所で切れているが、―必須ではないが―3本の物理的なパイプ/導管として実装される可能性が高い。図4Aは概略的である点を念頭に置くべきである。)カソードループには、電解質溶液がカソード室420に入る点であるフローマニホールド437も備わっている。いくつかの実施形態では、フローマニホールド437は、電解質溶液をカソード室430内へ送達するのを補助できるが、その存在は当然ながら必須ではない。
そのため、アノード室循環ループとカソード室循環ループとを両方有するシステムでは、電気めっき槽内での電気めっき作業を支持するのに使用される電気めっきシステムの様々な構成要素は、アノード室循環ループかカソード室循環ループのいずれか、またはこの両方を介して槽に接続されてよい。例えば、図4Aの電気めっきシステム400の浴タンク450は、アノードループ425とカソードループ435との両方を介して電気めっき槽410に流体連結し、これらのループは上記に規定し、詳述したとおりである。図4Aから、浴タンクの流体出口は、概略的に流体導管1001を通ってアノードループとカソードループとの両方に流体連結していることがわかる。同じように、図4Aは、アノードループ425とカソードループ435との両方からくる電解質流体を運ぶ導管1002に流体連結している浴タンク450の流体入口を概略的に示している。しかしながら、実施形態に応じて、浴タンクの流体入口および出口は、代わりにアノードループのみに連結してカソードループには連結しないか、あるいはカソードループのみに連結してアノードループには連結しないでもよい。
pH変動に対処するために1つ以上の酸素除去装置を用いる電気めっきシステムでは、電気めっきシステムのフローループ内での1つ以上の酸素除去装置の位置が重要な点となり得る。例えば、図4Aでは、酸素除去装置480は、アノードループ425とカソードループ435との両方に(それぞれ)、アノード室420とカソード室430との両方の(それぞれ)上流だが浴タンク450の下流に設置されている。このような酸素除去装置480は、上記に詳述したように、接触膜脱気装置のような脱気装置、または実質的に酸素のないガスで電解質溶液をスパージングするためのデバイス、あるいはこの両方を備えていてよい。
しかしながら、他の実施形態では、酸素除去装置がアノードループまたはカソードループのいずれかのみに設置されてもよい。例えば、図4Bは、図4Aに示したものとよく似ている電気めっきシステム400を概略的に示している。図4Aのシステムと同じく、図4Bの電気めっきシステム400は、多孔質膜440で分離されたアノード室420およびカソード室430、浴タンク450、ポンプ460、フィルタ470、アノードループ425、カソードループ435などを有する電気めっき槽410を備えている。しかしながら、図4Aでは、酸素除去装置480はアノードとカソードループとの両方に設置されていたが、この場合の酸素除去装置480は、アノードループ425のみに設置されている。その結果、酸素除去装置480を通過し、酸素除去装置によって処理される電解質溶液は、アノード室420に流れ、カソード室430には流れない(もちろん、電解質溶液が多孔質セパレータ440全体に逆拡散するのは無視する)。そのため、図4Bの酸素除去装置480は、アノード室420の上流かつ浴タンク450の下流にあるアノードループ425に設置されているが、カソードループ435には設置されていないと言える。ここでもまた、このような酸素除去装置480は、上記に詳述したように、接触膜脱気装置のような脱気装置、または実質的に酸素のないガスで電解質溶液をスパージングするためのデバイス、あるいはこの両方を備えていてよい。
酸素除去装置480に対してもアノードループ425およびカソードループ435に対してもフィルタ470を設置することが、図4Aに示した実施形態と図4Bに示した実施形態とのもう1つの相違点である。両実施形態において、フィルタ470は、アノードループ425とカソードループ435との両方に設置され、これは、単一のフィルタ要素を使用してアノード室420に流れる電解質溶液もカソード室430に流れる電解質溶液も両方濾過できるため、場合によっては利点となり得る。そのため、例えば図4Aでは、フィルタ470はポンプ460および浴タンク450の下流だがアノード室420およびカソード室430両方の上流に設置されているため、タンク450内またはポンプ460から発生した任意の粒子、残骸、気泡などから両室を保護できる。
しかしながら、このほか、図4Aでは、フィルタ470は酸素除去装置480の下流でもあるため、アノード室とカソード室との両方を酸素除去装置から発生した粒子、残骸および気泡(例えば、上記に詳述したように、スパージングデバイスから出る気泡、脱気装置の膜から出る粒子状物質など)から保護できる。そのため、フィルタ470を、アノード室420の上流かつ酸素除去装置480および浴タンク450の下流にあるアノード室再循環ループ425に設置されるものとして説明できる。
対照的に、図4Bに概略的に示した実施形態では、フィルタ470は両方のループに設置されたままであるため、両室に流れる電解質を濾過するが、酸素除去装置480はアノードループ425のみに設置されていて、この位置にあることから、そこはフィルタ470の下流である。そのため、図4Bの実施形態では、酸素除去装置480から出てくる電解質溶液は、アノード室420に入る前にフィルタ470によって濾過されるという利点を享受しない。このことは、濾過を必要とする電解質溶液中で酸素除去装置480が気泡または粒子を発生させる程度に応じて、問題になることもあればならないこともある。このような濾過が必要な場合、または少なくともいくらか利点がある場合、酸素除去装置480の下流にあるアノードループ425に補足的なフィルタを設置することが可能である。
それでも、アノードループ425のみに酸素除去装置480を設置すると、図4Bに示したようにフィルタ470の下流に置く可能性があるにもかかわらず、このように設置すると他の利点がある可能性がある。例えば、pH変動の背景にある有力な機構は、(上記で説明したように)アノード室に入っているニッケルアノードと接触している電解質溶液中にある溶解酸素の程度に関係していると思われ、アノードループ内の酸素を除去することは通常、カソードループ内の酸素を除去することよりも重要である。したがって、酸素除去装置480をアノードループ425内には設置するがカソードループ435には設置しない方が効果的である可能性があり、これによって酸素除去力をアノード室420に流れる電解質溶液に集中させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、アノード室に流れる溶液を処理することのみが求められている場合は、より小さく費用対効果の高い酸素除去装置を使用できる。さらに、いくつかの実施形態では、酸素除去力をアノード室に流れる少量の電解質溶液に集中させることで、低酸素濃度を達成できる。例えば、いくつかの実施形態では、図4Bに示したように、アノード室の上流だがカソード室の上流ではないアノードループに酸素除去装置480を設置することで、アノード室に流れる陽極液中の酸素濃度を約0.5PPM未満、あるいは約0.4PPM未満、あるいは約0.3PPM未満、あるいは約0.2PPM未満、あるいは約0.1PPM未満まで下げることができる。
アノード室再循環ループおよびカソード室再循環ループのような電気めっきシステムのフローループを流れる流体は、ポンプ、バルブ、またはその他の種類の流体流制御デバイスからなるシステムによって制御でき、流体流は、様々な種類の流量計などで感知または測定できる。さらに、様々なフローループおよび導管を流れる電解質溶液、ならびにアノードおよび/またはカソード室中の電解質溶液の酸素濃度および/またはpHレベルは、電気めっきシステム内に設置されて電解質溶液中の酸素濃度および/または電解質溶液のpHレベルを測定するように構成されている1つ以上の酸素センサおよび/またはpHセンサによって感知、測定および/または判定されてよい。また、電気めっきシステムは、pHセンサ(またはpH計)によって出力された値に応答して酸素除去装置を動作させるための論理回路を備えていてよく、同じように、電気めっきシステムは、酸素センサによって出力された値に応答して酸素除去装置を動作させるための論理回路を備えていてよい。
さらに、電気めっきシステムのシステムコントローラが、様々なセンサ(例えば、流体流、酸素、pH)、流体流制御用の様々なデバイス(例えば、ポンプ、バルブ)、酸素を除去しかつ/または制御するためのデバイス、または電気めっきシステム内にあってよいその他のデバイスおよび構成要素を監視し、動作させ、かつ/または制御してよい。システムコントローラは図4Aまたは図4Bには明示的に示されていないが―これらの図に従って構成された電気めっきシステムの実施形態に存在してもよいが―、前述したように、電気めっきシステム307のシステムコントローラとしての役割を果たせる図3Dの電子ユニット339を参照されたい。システムコントローラについて以下にさらに詳細に説明する。
酸素センサに関しては、いくつかの実装形態では、電解質溶液中の酸素濃度は、電気めっきシステム内の1箇所、または2箇所、または3箇所以上で監視されてよく、特に、システムのフローループ、アノード室、および/またはカソード室で監視されてよい。再度図4Aおよび図4Bを参照すると、電気めっきシステム400は、浴タンク450、アノード室420、カソード室430、アノードループ425、カソードループ435、および電気めっきシステムのこれ以外の場所に、1つ以上の酸素センサを備えていてよい。酸素センサは、In−Situ社(米国コロラド州フォートコリンズ)製のもののような市販の酸素プローブであってよい。その他の実施形態では、YSI社(米国オハイオ州イエロースプリングス)製の市販のメーターなど、ハンドヘルドの酸素計を用いてよい。
pHセンサに関しては、いくつかの実装形態では、電解質溶液のpHレベルは、電気めっきシステム内の1箇所、または2箇所、または3箇所以上で監視されてよく、特に、システムのフローループ、アノード室、および/またはカソード室で監視されてよい。再度図4Aおよび図4Bを参照すると、電気めっきシステム400は、浴タンク450、アノード室420、カソード室430、アノードループ425、カソードループ435、および電気めっきシステムのこれ以外の場所に、1つ以上のpHセンサを備えていてよい。pHレベルは、内蔵型pH計で直接測定されてもよいし、オフラインの浴計測データを用いて測定または推定されてもよい。市販のオフラインのpH計の1つの適切な例が、Symphony SP70Pである。
システムコントローラに関しては、適切なシステムコントローラが、電気めっきシステム内を循環する電気めっき溶液の酸素濃度および/またはpHレベルを(概ね)制御するとともに、1つ以上の半導体基板を電気めっきするための作業およびそれに関連する工程を全体的に達成するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えていてよい。コントローラは、ユーザ入力を含む様々な入力に作用できるが、例えば、電気めっきシステム内の1箇所以上に設置された酸素センサまたはpHセンサから感知した入力にも作用できる。様々な入力に応答して、システムコントローラは、電気めっきシステムを特定の方法で動作させるための制御命令を実行できる。例えば、コントローラは、吸引レベル、1つ以上のバルブの位置および1つ以上のフローループを流れる流体の流量、1つ以上の酸素除去装置によって実施される酸素除去のレベルを調整してもよいし、電気めっきシステムの他の制御可能な特徴を調整してもよい。例えば、システムコントローラは、1つ以上の酸素除去装置を動作させて、酸素濃度が特定の値未満またはその値とほぼ同等、例えば、約1ppm以下、あるいはさらに詳細には約0.5ppm以下などに達するように構成されてよい。システムコントローラは通常、1つ以上の記憶装置と、機械可読媒体に格納された命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサとを備えて、電気めっきシステムが開示した実施形態に従って実施するようになっている。開示した実装形態に従った処理作業を制御するための命令を含む機械可読媒体は、システムコントローラに接続されてよい。
[pH変動後にpHを調整するためのデバイスを有する電気めっきシステム]
予防措置―アノード室の電解質溶液中の酸素濃度を下げるなど―がpH変動の低減に対する対策になるが、もう1つの手法が、一定量のpH変動を検知する、または発生したことを予測した時点で、電解質溶液のpHレベルを調整するためのデバイスを電気めっきシステムに装備することである。また、この2つの手法を組み合わせると、依然としてさらに良好に機能する可能性がある。
したがって、本明細書に開示するのは、電気めっきシステムの中に組み入れて酸素除去装置と一緒に使用し、pH変動を防止、低減または訂正することができるpH調整デバイスであり、これによって電気めっきした金属層の質を向上させる。このようなpH調整デバイス(およびそれに関連する方法)は、2012年12月5日に出願された米国特許出願第13/706,296号、発明の名称「APPARATUSES AND METHODS FOR CONTROLLING PH IN ELECTROPLATING BATHS」にすでに非常に詳細に記載されている点に留意されたい。したがって、この以前の特許明細書を参照することにより本明細書にその全容を実際に組み入れるが、特に実装形態を説明し、酸素除去装置を有する電気めっきシステムで前述のpH調整デバイスを使用することを説明するために組み入れる。「浴」、「電気めっき浴」、「電気めっき浴溶液」、「電気めっき溶液」、「めっき溶液」、「電解質めっき溶液」、および「電解質溶液」という用語または句は、本明細書では入れ替え可能なように使用している点に留意されたい。
前述の特許明細書に詳細に記載されているように、そこに開示されている特定のpH調整デバイスは、電気めっき浴の1つ以上の成分を電気分解して溶液中に遊離水素イオンを発生させることで、電解質溶液のpHを下げるように機能できる。例えば、ニッケルめっき電解質溶液中の溶媒として通常は水が使用され、浴に浸漬している電子を吸収するアノードで水の電気分解をすると、2つの水分子を電気分解するごとに4つの水素イオンおよび1つの酸素分子が発生する。
ニッケル電気めっきにおいて、陽極反応(11)に対応する陰極反応は一般に、(ウエハ自体で、またはさらに一般的には補助カソードで起こる)ニッケルの還元である。
上記式反応(11)に示した反応で発生した電子を吸収するのに使用されるアノードは、不活性補助アノードであってよく、多様な形状、サイズおよび構成で具現化されてよい。多様な材料で作製されかつ/またはコーティングされてよく、電気めっき槽の多様な場所で浴に曝露されてよい。本明細書で補助アノードと呼ぶのは、電気めっき槽が通常すでにもう1つのアノード電極を有するからである―通常は主要アノードで、何らかの標的となる陰極面、通常はウエハ基板の上に電気めっきされる金属の供給源としての役割を果たす活性の(不活性ではない)金属アノードである。主要な(1つまたは複数の)活性ニッケルアノードは、例えば、図4Aおよび図4Bに示したニッケルアノードラウンド422であってよい。さらに、浴中での遊離水素イオンの発生は、補助アノードの表面または表面近辺で起こる反応によって起こるため(例えば式11の電気分解)、補助アノードを、本明細書では全体的に酸発生面または「AGS」と呼ぶ。
ニッケル電気めっきにおける陰極のめっき率は、前述したように、通常約97〜99%であるため、一般に主要アノード金属の半反応(多くは100%近い効率)よりも低く、低効率であり、全体的な無効につながり、金属含有量の増加、浴中のpH上昇につながる。金属アノードの代わりに不活性アノードを使用して反応11を進行させる場合、主要アノードで金属が発生する陽極効率はゼロ(0%)になり、時間が経過するにつれて浴中の金属含有量は減少し、pHは低下するであろう。したがって、この2つの主要アノードによる手法(活性と不活性)では、時間が経過するにつれて浴中のpHと金属含有量とが対照的な結果になる。後者の場合(活性金属アノード)の正味の全体的な効率の方が遙かに均衡に近いが、完全ではない。めっき最中に少量のAGSで不活性アノード反応を用いることで、金属および酸/pHの均衡をかなり急速に回復できる。陰極めっきの無効は、時間や処理条件によって必ずしも一定ではなく、極めて長期間(数ヵ月または1年)にわたって絶対的に確実に容易に予測できるわけでもないため、AGSを通過するのに必要な電荷量と時間を予測する手段が必要になるだけでなく、金属および浴のpHをある程度測定することも、浴の組成を制御するためには定期的に必要になることがある。したがって、本明細書に開示したいくつかの実施形態により、AGSの構成(金属析出カソードに接続した不活性アノードの酸素電極)を用いて比較的少量の電荷(ワークピースにめっきされたものと比較して)を通過させて、通常97〜99%の効率およびそれに関連するpH上昇と金属の減少から均衡を回復するという技術が可能になり、この技術は、AGSを周期的に使用するのと合わせて、無効を予測しかつ/または浴中のpHおよび/または金属含有量を測定し、浴のpHおよび/または金属含有量が目標値に回復するまでAGSシステムを周期的にオンにすることを含む。
その技術で酸発生機能を実施するために、酸発生中にAGSは通常、何らかのAGS対極(AGSカソード)に対して十分に正のバイアスをかけられ、AGSが電解質溶液の適切な成分から電子を吸収して(成分から電子を解放した後)AGSの表面で遊離水素イオンを発生させる。吸収した/解放された電子は、その後、外部回路を横切ってAGSカソードの表面に移送されてよく、その表面で電子は、電解質溶液の別の成分に吸収されて(これによって減少して)よい。(AGS)対極(またはAGSカソード)は、電気めっき作業で使用した対極と同じであってもよいし、電気めっき作業で使用した対極とは異なっていてもよい。しかしながら、電気めっきでは、基板は通常主要(通常は活性金属の)アノードに対して負のバイアスをかけられるため、電解質溶液からの金属イオンは還元されて基板面にめっきされ、酸発生中は、(おそらく様々な電気リレーをスイッチングすることによる)何らかの電気再構成が必要になることがあるため、AGSは、この対極に対して十分に正のバイアスをかけられて酸を発生させることができる。いずれにしても、AGSは、電解質溶液のpHを下げるように機能する。そのため、金属を電気めっきして電解質溶液のpHを調整する方法は、基板面および対極を電解質溶液に曝露することと、対極に対して十分に負のバイアスを基板面にかけて金属イオンを還元して基板面にめっきすることと、対極に対して十分に正のバイアスをAGSにかけて遊離水素イオンを発生させることとを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、反応11に関して上記に記載したように、AGSで水分子を電気分解して水素イオンを遊離することでpH調整を達成できる。
陽極のAGSに吸収された電子は、導電性経路を通って電解質溶液と接触している陰極面に誘導され、電解質溶液中で溶媒和した金属カチオンを減少させるのに使用されてよい。溶媒和した金属イオンがこのように減少することで、荷電していない元素金属が前述した陰極面に沈着し、これによって浴中の金属イオン濃度が低下する。反応式(12)は、Ni2+の場合のこれを示している。
このように、いくつかの実施形態では、電解質溶液中の金属イオンの濃度を、金属イオンの一部を、対極に沈着させる非イオン金属種に電気化学的に還元することで効果的に下げることができる。さらに、いくつかの実施形態では、電解質溶液から金属を沈着させるのに使用される電荷の量は、AGSで遊離した電子の合計電荷に概ね関連していることがある。さらに、いくつかの実施形態では、溶媒和した金属イオンの一部の電気化学的な還元は、AGSで遊離水素イオンを発生させることで移送された電荷と概ねまたは実質的に比例して起こってよい。したがって、いくつかの実施形態では、AGSで起こる電気分解および陰極面への金属めっきは、実質的に均衡が保たれる。このように均衡が保たれる可能性があることにより、少なくとも原理的には、水素イオンを発生させ、遊離電子の一部または全部を用いて金属イオンを還元し、プレート元素金属をめっきする工程を、本明細書では全体的に金属から酸への(metal−to−acid、MTA)工程と呼ぶ。この句を使用するのは、前述の工程で浴中の水素イオンに対する金属イオンの交換がある程度効果的に行われるからであり、これは反応式(13)に示す通りである。
もちろん、金属から酸への交換は、完璧、完全である必要はなく、さらには一工程に対する割合を規定して、その用語を本明細書で使用するとおりにMTA工程を構成する必要もないことを理解すべきである。別の言い方をすれば、AGSで遊離した電子の大部分が金属イオンを固体形態に還元するために使用され、これによって電解質溶液中の金属イオン濃度が低下しているかぎり、この工程を本明細書では全体的にMTA工程と呼ぶ。いずれにしても、pH変動を調整するためのMTA工程が有利である。なぜなら、上記の変動問題は、もっとも典型的には、過度に溶媒和した金属イオン―例えばNi2+―が発生することで生じ、MTA工程は、上記の反応1から7で生じる不均衡をなくすための正しい割合で、金属イオンを水素イオンと理想的に交換する可能性を有する。また、もう1つの可能性のある利点として、電気めっき浴が何らかの理由で被電気めっき金属よりも優れた外部の金属イオン(例えばNi2+スルファミン酸電気めっき浴中のCu2+イオン)を有している場合、これらの外部のより優れた金属イオン(Cu2+)が沈着することで、過剰な重要金属イオン(例えばNi2+)の沈着が生じる。そのため、これが起こる実施形態では、MTA工程で電気めっき浴の組成をさらに一層改善できる。その結果、MTA工程によって、浴の寿命を延ばすことができ、注入要件を低減する可能性があるほか、スルファミン酸を添加する計画の必要性がなくなる可能性もある。
いくつかの実施形態では、通常のMTA工程を定電流方式で、電気めっき浴流体1リットルあたり約0.01から約10アンペア(A/L)、または約0.05A/Lから約5A/L、または約1A/Lから約4A/Lの電流で動作させて実行できる。実施形態に応じて、適切な量または時間のMTA工程を、好ましくはMTA工程を介して移送される合計電荷量(例えば単位クーロン)の観点から説明できる。いくつかの実施形態では、pHの測定を利用して、所与の電気めっき浴容量に対してMTA工程で移送される適切な目標電荷量を推定して、目標のpH値を回復することができる。いくつかの実施形態では、金属含有量の測定を利用して、所与の電気めっき浴容量に対してMTA工程で移送される適切な目標電荷量を推定して、目標のpH値または目標の金属含有量を回復することができる。目標の電荷量と現在のpHレベルとの関係は、実験または文献データおよび計算から算出されてよい。現在のpHレベルは、内蔵型pH計で直接測定してもよいし、オフラインの浴計測データを用いて測定または推定してもよい。いずれにしても、現在のpHレベルまたは金属含有量から、所与の電気めっき浴に適切なMTA工程の量または時間を推定する機構が得られる。
しかしながら、pHレベルまたは金属含有量は、適切なMTAの量または時間を推定する唯一の道ではない。いくつかの実施形態では、最終のMTA作業以降のシステムの休止時間、および/または最終のMTA作業以降の電気めっき工程で通過した電荷から、好ましくは次のMTA作業で移送される電荷量を推定するのに適した基礎となるものが得られる。次のMTA作業で移送すべき目標の電荷量を、本明細書では「MTA不足電荷」と呼び、「MTA不足電荷」とシステムの休止時間および/または通過しためっき電荷との関係は通常、特定の電気めっき浴の化学物質に左右されるほか、電気めっき設備の設計にも左右される。いくつかの実施形態では、通過しためっき電荷またはシステムの休止時間に応じて移送する目標の「MTA不足電荷」は、特定のシステムではすでに特徴があるため、これらの量を追跡することによって、「MTA不足電荷」を電気めっき作業中に蓄積することができ、その結果、MTA工程を(電気めっき中に空白時間を組み込んだなどの理由で)実施する時期が来た際に、実行することが好ましい適切な量または時間のMTA工程がわかる。特定のこのような実施形態では、MTA工程を電気めっき装置の計画制御機構(例えばオペレーティングソフトウェア)内に組み入れることができ、事前に特定した最小のMTA不足電荷に合致した時点で、かつ電気めっき作業中に適切な空白時間が生じた時点で、適切な量または時間のMTA工程を実施して公知のMTA不足電荷に合致させることができる(あるいは、どちらが最初に起こっても、少なくともいくらかの許容可能な最大時間にわたって実施できる)。
本明細書に開示したpH調整および/またはMTA工程および装置は、全体的に、実施形態に応じて、陰極めっき効率が陽極の溶解効率よりも低い活性アノードを使用する任意の金属電気めっきシステムと共に、あるいは電気めっき中または休止期間中にpH上昇がみられる電解質溶液の化学物質を用いる任意の電気めっきシステムと共に使用されてよい。したがって、本明細書に開示した装置および方法は、全体的に、pH0(対NHEで0V)での水素発生電位よりも低い(またはこれよりも負の)電位でめっきされる金属の電気めっきに適用できる可能性があり、さらに全体的には、金属還元電位が、使用している浴のpHで水素を形成するための水の安定性を下回っている場合に、適用できる可能性がある。この類の材料中の金属のいくつかの例には、ニッケル、コバルト、インジウム、亜鉛、カドミウム、クロム、アンチモン、スズおよび鉛、これらの材料の合金などがある。使用することによって本明細書に開示したpH調整および/またはMTA工程および装置から利益を得られるめっき化学物質の例には、次のもの、即ち鉄および鉄合金のめっき硫酸、スルファミン酸、塩化物、および/またはフルオロホウ酸塩系の浴、インジウムめっきスルファミン酸系の浴、酸臭化物系のカドミウムめっき浴、ならびに酸塩化物の亜鉛めっき浴があるが、これに限定されない。
浴中で金属イオンが錯体を形成すると、還元するための電位が非錯体状態よりも負の値になり、ワークピースのカソードでは純粋に無効になるとともに一酸化炭素(CO)−水素発生反応も起こるおそれがあり、それ以外の比較的貴の金属のめっきでもそのおそれがある。そのため、例えば、強力に錯体形成された銅溶液を使用すると(正常な還元電位は対NHEで約0.34V)、十分強力に錯体形成された環境ではNHEが負になることがある。
指摘したように、AGSの形成には多様な材料を使用できる。いくつかの実施形態では、これらの材料は、寸法が安定した不活性電極(DSAの)向けに先行技術で公知のものと同様であってよい。いくつかの実施形態では、適切な材料は、導電性材料、対象の電気めっき浴中で実質的に腐食しない非腐食性材料または耐食性材料を含んでいる。特定のこのような実施形態では、耐食性材料は、酸素を発生させる不活性触媒でコーティングされてよい。いくつかの実施形態では、土台となる基板の耐食性材料は、例えば、チタン、タンタル、ニオブ、およびジルコニウムなど、1つ以上の金属を含んでよい。いくつかの実施形態では、これらの耐食性材料の1つ以上から本体が形成され、この本体は、(H2O電気分解の運動性を向上させるなどして)AGSでの水素イオン発生反応を促進できる触媒コーティングで覆われている(または部分的に覆われている)。もちろん、AGSの本体を成り立たせている耐食性材料は、金属であっても何らかの他の種類の材料であっても、触媒コーティングと親和性があることが重要である。上に列記した金属は、適切な親和性があるものである。水の加水分解を推進するのに適切な触媒コーティングには、白金、または白金、ニオブ、ルテニウム、イリジウムおよびタンタルの酸化物から選択される1つ以上の金属酸化物などがある。市販されている適切な触媒コーティングには、Siemens Optima(登録商標)アノードコーティングなどがあるがこれに限定されず、この商品は、イリジウム酸化物およびタンタル酸化物などの混合金属酸化物(Optima IOA−HF)、または白金(Optima IOA−PTA)からなるものである。
また、上記のように、AGSは、サイズ、形状、場所、向きなどの点で多くの構成が可能であり、様々な特定のAGSの実施形態を、図5A、図5B、および図5Cの背景で以下に詳細に開示する。もちろん、これらの実施形態は、これらの発明の概念が、具体的に記載したAGSの構成の範囲に限定されるものととらえないことを理解した上で、本明細書に開示した発明の概念を説明するために詳細に記載するものである。(例えばH2O電気分解の運動性を向上させて)水素イオン発生反応を促進するのはAGSの表面であるため、一般に、単位体積あたりの表面積が大きい構造が場合によっては好ましいことがある。いくつかの実施形態では、メッシュ様の構造では、単位体積あたりの表面積がこのように大きくなる。AGSは、電気めっき槽に存在する普通の陽極面および陰極面―すなわち陰極のウエハ基板および陽極の金属イオン源―とは別に機能する陽極面であるが、AGSには、電気めっき槽に通常存在する電源を共通することで陽極の電位でバイアスをかけることができる―場合によっては修正を加えるが―点にも留意されたい。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、AGSには、通常は基板に負の陰極バイアスをかける同じリードおよび電源を通じて正の陽極電位でバイアスをかけることができる。これは、場合によっては、電源の極性を切り替えるまたは逆にすることによって、または電源から基板のリードへの接続を変更するためのリレーを使用することによって達成できる。
実施形態に応じて、AGSは、一連の基板に電気めっきする方法のサブパートを形成するpH調整および/またはpH制御手順と関連付けて全体的な概観を見ることができ、あるいはpH調整および/またはpH制御に関連する、基板に電気めっきする装置またはシステムの構成要素として全体的な概観を見ることができる。したがって、電気めっきシステム内で使用できる可能性のあるいくつかのAGSの実装形態の記載および説明を提供することが有用である。しかしながら、ここでもまた、以下に開示する電気めっきシステムについて、様々な可能性のあるAGS関連の構成およびpH制御の適用を、概要的だが具体的な用語で説明するために記載することを理解すべきである。開示した特定のハードウェアは、開示したAGSに関連する発明概念の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、図5A、図5B、および図5Cの背景で以下に記載する任意のAGSの構成および実装形態は、前述し図4Aおよび図4Bに示した酸素除去装置と組み合わせて使用してよいことを理解すべきである。
AGSは通常、アノードを収容する電気めっき槽と共に使用され、アノードは、電気めっき中に基板に対する対極としての役割を果たすとともに、基板に電気めっきする金属源としての役割も果たす。いくつかの実施形態では、このアノードは、AGSに対する対極としての役割も果たすことがある。その他の実施形態では、AGSには、異なる対極に対してバイアスをかけることができる。AGS自体は、電気めっき槽と一体形成されていてもされていなくてもよく、これについては以下にさらに詳細に説明していく。いくつかの実施形態では、自己内蔵型AGSシステムであって、それ自体の電極、pH計、電源およびコントローラを有し、これらが主要めっき工具装置コントローラと通信できる(必要であれば、例えばウエハまたは浴を通過した電荷を追跡する)システムがある。システムの要素の一部(すなわちシステムの要素からの選択リスト)は、浴内に設置するか、浴中に取り付けるか、浴の壁に掛け、かつ浴の液体中に設置してよい(例えば電極および/またはpH計を浴の電解質中に浸漬させる)。システムの要素から選択したサブリストには、1)AGSが不活性で寸法が安定したアノード、2)浴中に含まれる金属をめっきによって抽出するのに適したカソード(例えば浴の金属から作製されたカソード、または白金でコーティングした基板であって、続いて浴の金属でめっきでき、のちに浴でめっきした金属をエッチングでき、曝露したPtの表面を時々再生させられるもの)、3)電極への電気接続部、および4)pHプローブ、などがあってよい。浴に浸漬していないシステムの部品には、電極間に電流を通すための電源があるほか、pHプローブと通信するコントローラであって、pHプローブの信号をpHの示度に変換して浴のpHを監視するとともに、プローブからの信号を取得して、いつどのように電源に対する電力/電流、時間に対する電流および電荷を制御/開始するのかを決定するコントローラなどがあってよい。電気めっき槽は、電気めっき槽と、電気めっき浴流体のタンクとしての役割を果たす外部容器との流体接続を確立するように構成された1つ以上の流体コネクタを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、AGSおよびおそらくその対極は、この外部容器内に設置されてよい。流体コネクタは、電気めっき浴流体をめっき槽中に循環させて、被電気めっき基板の表面に向かって誘導できるように構成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、電気めっき槽は、アノード区画とカソード区画とをある程度流体的に分離するように設計された膜またはその他のセパレータを備えてよく、異なる電気めっき浴流体の化学物質を2つの区画内で維持できるようにする。
複数の電気めっき槽を有する電気めっきシステムでは、これらの槽の1つ1つの電気めっき浴で実施した基板の電気めっきは、前述した酸発生面(AGS)を用いて浴のpHを維持かつ/または調整する手順によって達成できる。いくつかの実施形態では、自動電気めっき装置内にあるか同装置に接続しているデータ処理システムが、個々の槽内に行われている進行中の電気めっきを追跡するとともに、各槽に入っている浴の組成および/または浴のpHも追跡する。特定の電気めっき槽内に入っている電気めっき浴流体のpHレベルが必要かつ/または望ましいpH範囲を超えている(またはそう思われる)とデータ処理システムが判断したとき、データ処理システムは、所与の電気めっき浴に対してAGSに基づくpH調整手順を開始してよい。所与の槽が範囲外である、またはそう思われるかどうかを判断する際にデータ処理システムが頼りにできる要点には、次のものがあるがこれに限定されない:特定の槽でpHレベルを1つ以上の直接測定した値、最後のpH訂正手順を実施してから特定の槽でめっきした基板数のカウント値または推定値、最後のpH訂正作業以降に特定の槽で実施した電気めっき工程によって移送された合計電荷のカウント値または推定値、最後のpH訂正作業以降に特定の電気めっき槽が休止状態になった合計時間、および/または特定の電気めっき槽に該当する蓄積した(前述した)MTA不足電荷。データ処理システムが、槽の浴pHレベルが望ましいpH範囲の外である、またはそう思われると確実に判断すれば、データ処理システムは、AGSに基づくpH訂正手順を開始してもよいが、開始しなくてもよい。この手順はさらに他の要点を基準にし、それには次のものがあるがこれに限定されない:特定槽の浴pHレベルが所望の範囲からどれほど離れているか、また、その特定の範囲外の槽が現時点で基板を電気めっきしているかどうか―電気めっきしている場合、少なくともこの基板が完了するまでpH訂正を延期するのが正当と思われる。いくつかの実施形態では、MTA工程は、基板をすすいで再利用する過程などの基板電気めっき後ステップ、および基板除去ステップと平行しており、ごくわずかな時間しか実行されない。
AGSに基づくpH訂正を開始するかどうかを判断するにあたり、データ処理システムが考慮してよい別の一連の要点は、電気めっきシステム内の他の槽の状態に関することである。いくつかの実施形態では、個々の電気めっき浴に対してAGSに基づくpH訂正を開始するタイミングは、他の電気めっき槽で測定した浴pHレベル、他の電気めっき槽で蓄積された(前述した)MTA不足電荷、pHが最も高いまたはMTA不足電荷が最も大きい電気めっき浴を有する槽の識別、基板を直ちに電気めっきすることを要求する許容可能な基板処理のスループットを維持または達成するかどうか、またこれに関連して、電気めっき用の基板を受け入れるのにすぐに使用できる他の槽があるかどうか、などであってよい。
データ処理システム内でAGSに基づくpH調整手順を開始することを決定すれば、いくつかの実施形態では、システムは、pHを訂正するのに一時的に利用できない(1つまたは複数の)槽を指定することから始める。このように指定した後、AGSに基づくpH調整手順を、指定した槽および延期していた電気めっきに対して開始する。pH調整が完了した後で、現在のpHレベルを許容範囲内にした状態では、データ処理システムは、めっきに利用できるこれらの槽を再度指定し、その槽は、これらの特定の槽が再びpH調整の基準を満たすまでそのように指定されたままになる。
AGSに基づくpH訂正の開始に関してこのように判断を下すことを、データ処理システムを背景に記載してきたが、もちろん、AGSに基づくpH訂正の開始に関して上記の要点および判断を下す行為は、1つ以上の一連の電気めっき槽を有する任意の電気めっき装置のオペレータが手動で実行してもよいことは、当業者が容易に理解することである。いくつかの実施形態では、判断を下す工程および前述したデータ処理システムを用いた上記の要点の分析を自動化することが好ましいが、他の実施形態では、手動の分析および制御が有利で好適なことがある。
AGSを用いてよいもう1つの複数槽からなる電気めっきシステムの構成には、システムの電気めっき槽を2つ以上またはそのすべてを流体連結して共有する電気めっき浴タンクが必要になる。各槽は通常それ自体の電気めっき浴を有し、その浴内で電気めっきが実施されるが、いくつかの実施形態では、共通の共有タンクを流体接続することで、1つ1つの浴に予備の電気めっき浴流体を備えることができる。共有タンクを用いるいくつかの実施形態では、AGSに基づくpH調整手順が、個々のめっき槽内ではなく共有タンク自体の中で実際に行われてよい。特定のこのような実施形態では、これによって個々の電気めっき槽がそれ専用のAGSを有する必要性をなくすことができるが、さらに重要なことは、個々の電気めっき槽をオフラインにして(すなわち、電気めっきに使用できないように指定して)槽のpHレベルを所望の範囲内に持って行く必要性をなくすことができる。そのため、この種の構成では、pHレベルを個々の電気めっき槽内で監視して調整する代わりに、共有浴タンクのpHレベルを、個々の槽内での電気めっき作業を遅らせる必要なく監視し、連続的に調整できると同時に、共有タンクに流体接続していることにより個々の槽内のpHレベルをスペック内に維持する。しかしながら、電解質溶液の浴タンクを組み入れて使用することは、複数槽の電気めっきシステム構成に限定されるものではない点にも留意されたい―図4Aおよび図4Bに示した浴タンク450で示したように、単一槽の構成でも浴タンクを用いることができる。さらに、実施形態に応じて、先ほど記載したばかりの多くの同じ理由により―例えば、このように設置すると、(前述したように)電気めっきに使用できないように槽410を指定することなく電気めっき槽410内の電解質溶液のpH調整が可能になることがあるなど―、AGSを浴タンク450内部に設置することがふさわしいことがある。
上記のように、AGS自体には、サイズ、形状、場所、向きなどの点で多くの構成が可能である。当然ながら、実現可能であり本明細書に開示した発明の概念と一致する、可能な構成すべての詳細な説明を提供することは不可能である。したがって、上にも記載したように、次に図3A、図3B、および図3Cに関して記載する実施形態は、本開示の範囲内で発明の概念を説明するものであって限定しないものとして見るべきである。またさらに、図3A、図3B、および図3Cに関して記載したAGS構成は、場合によっては図4Aおよび図4Bに示したように、酸素除去装置を有する電気めっきシステム内に実装されてよい点に留意されたい。
図5Aは、半導体基板の代わりに表示した電気めっき槽510に挿入できるようにディスク状構成に設計されている酸発生面(AGS)の1つの実施形態を概略的に示している。いくつかの実施形態では、ディスクは、触媒コーティングされた本体を備え、触媒コーティングは、ディスクに十分な正の電圧を印加すると、電気めっき浴の1つ以上の構成要素から水素イオンを遊離させる。特定のこのような実施形態では、水素イオンは、触媒コーティングの表面で電気分解によって水分子から遊離する。いくつかの実施形態では、ディスクの本体は、電気めっき浴中で実質的に腐食しない導電性で耐食性の材料を含むことができ、例えばチタン、タンタル、ニオブ、またはジルコニウムなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、白金か、イリジウムおよびタンタルの酸化物から選択される1つ以上の金属酸化物のいずれかを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、ディスクの直径は、約100mm、200mm、250mm、300mm、350mm、400mm、および約450mmから選択されるものであってよい。いくつかの実施形態では、直径の範囲は、可能な範囲の上限および下限が、先に挙げた直径を任意に組み合わせたものから選択されるディスクに適したものであってよい。いくつかの実施形態では、ディスクの厚みは、約0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、および5mmから選択されるものであってよい。いくつかの実施形態では、厚みの範囲は、可能な範囲の上限および下限が先に挙げた直径を任意に組み合わせたものから選択されるディスクに適したものであってよい。
また、図5Aに示したのは、カップ部/円錐部からなるクラムシェルアセンブリ520であり、このアセンブリの中にAGSディスク500が挿入される。アセンブリが開口した構成522では、クラムシェルアセンブリは、図の矢印502で示したように、AGSディスク500を受け取る準備ができている。AGSディスク500が挿入された後、クラムシェルは、破線両矢印504で示したように閉構成524になるように操作される。閉鎖後、AGSディスク500が確実にしかるべき位置にある状態で、クラムシェルアセンブリ520は、めっき槽510の中まで降ろされ、具体的には矢印506で示したように電気めっき浴512の中に降ろされる。この時点で、AGSは前述したような金属から酸への(MTA)工程を実行する位置にある。
この実施形態では、ニッケルが被電気めっき金属であり―よって図にはニッケルアノード514を示している―、そのため、MTA工程の全体的な作用は、上記に詳細に記載したように、Ni2+カチオンをH+イオンに交換することである。さらに、この実施形態ではニッケルアノード514がAGSディスク500に対する対極としての役割を果たすため、MTA工程により、固体のNiがめっきされてニッケルアノード514に戻り、ニッケルアノード514は実際にはカソードとして機能する。そのため、MTA工程では、AGSディスク500はニッケルアノード514(ここでも、MTA中はAGSに対する陰極の対極としての役割を果たす)に対して正のバイアスをかけられ、これは、電気めっき中にクラムシェル内に保持された基板に印加されるバイアスとは逆である。したがって、図5Aに示した電源530は、電圧差の極性を反転する能力があり、それがAGSディスクおよびニッケルアノードに印加される。図5Aには、電源530内に起こる極性反転を概略的に示しているが、外部の電気スイッチング機構を使用してこの極性反転を行ってもよいことを理解すべきである。
また、図5Aに示したのは、浴タンク540および再循環ポンプ542であり、両者が一緒になって、電気めっき槽510で使用できる電気めっき浴流体の容量を増大させる。ここでもまた、図2に関して上に記載したように、単一の浴タンクで予備容量の電気めっき浴流体を複数の電気めっき槽510に供給できる点に留意されたい。図5Aに表示した実施形態では、浴タンクがあるにもかかわらず、AGSに基づくpH調整がめっき槽510自体で実施されている。
いくつかの実施形態では、図5Aに示したAGSディスク500は、自動工具による方式で用いられてよい。例えば、AGSディスク500は、図3Dの電気めっきシステム307の個々の槽309、311、313のpHレベルを調整するために、MTA工程で使用されてよい。図3Dを参照すると、特定のこのような実施形態では、AGSディスク500は、ダミー基板のように扱われて格納されてよく、特定の槽309、311、313がpH訂正用に指定されると―前述した要点を基準に―AGSディスクは、バックエンドロボット325によってpH訂正用に指定された特定の槽まで移動でき、MTA工程で用いられて指定槽内の浴pHレベルを調整できる。
酸発生面(AGS)は、電気めっき装置の実質的に一体化した部分として、あるいはさらに詳細には、電気めっき槽の何らかの内部部分に実質的に一体的に固定された部分として用いられてもよい。例えば、AGSは、図3Dに表示した電気めっき装置の1つ1つの電気めっき槽309、311、313内にあってよく、よって各槽内の電気めっき浴と接触してpH調整を実施できるものであってよい。したがって、全体的に、電気めっき浴が入るように構成された電気めっき槽と、電気めっき浴内に基板を保持するための台と、基板が台に保持されている間に電圧バイアスを基板に供給するように構成された基板の電気接触部と、対極と接触している間に電圧バイアスを対極に供給するように構成された対極の電気接触部と、対極の電気接触部に対して十分な正の電圧バイアスを供給した時点で浴中に遊離水素イオンを発生させるように構成されたAGSと、対極の電気接触部に対する基板の電気接触部に負の電圧バイアスを―浴からの金属イオンを減少させて基板面にめっきするのに十分なほど―供給し、対極の電気接触部に対するAGSに―AGSで遊離水素イオンが発生するのに十分なほど―正の電圧バイアスを供給するように構成された1つ以上の電力ユニットとを備えるように、電気めっき装置を構成することができる。
図5Bは、pH調整手順を実行するために一体化したAGS構成要素560を有する電気めっき装置550の概略図である。この図では、一体化したAGS構成要素は、電気めっき槽510の内壁に装着されたAGSリング560の形態である。図5Bに示すリング形のAGS560の1つの可能性のある利益は、AGSを電気めっき槽510内で径方向外向きに設置することにより、このAGSによって発生した酸素ガスの気泡は、基板の場所から径方向に離れて消散する傾向にあり、これによって基板を妨害して基板面に異物ができる可能性が低くなるという点である。そのため、いくつかの実施形態では、酸素気泡の消散が十分に完了している場合、基板はMTA作業中に浴内に残って槽から離れてよい。図5Bに示すようなリング形のAGSを有するいくつかの実施形態では、リング形のAGS560の上に追加で膜を備えてよい。この膜は、MTA工程中にAGSリングで発生した酸素気泡から基板をさらに保護するために機能できる。図5Bに示した電気めっき装置550の他の構成要素には、電気めっき槽510、クラムシェルアセンブリ520、電源530、浴タンク540、およびポンプ542がある。浴タンク540および再循環ポンプ542は、図5Aに関して前述したものと同じ機能性を提供する。
基板に電気めっきするために、基板(これは見えない)を保持しているクラムシェルアセンブリ520は、電気めっき浴512の中に降ろされ(矢印506で示したとおり)、電源530を用いて、(図示していない対極の電気接触部を介して)対極としての役割を果たすニッケルアノード514に対する負の電圧バイアスを(図示していない基板の電気接触部を介して)基板に印加する。前述したMTAのpH調整手順を実施するために、電気めっきを完了し、基板は、浴から引き上げられ、正の電圧バイアス―すなわち電気めっき用に使用した極性とは逆の極性を有する―をニッケルアノード514に対してAGS(リング)560に印加し、AGS(リング)560で酸を発生させる。図5Bに示したAGSリングの構成では、浴のH+濃度が上昇するほか、MTA工程を実行することで余分なNi2+が再度析出されてニッケルアノード514に戻り、図5Aに示したAGSディスクの構成で起こったことと同様のことが起こる。
図5Bに示した実施形態では、正の(すなわち逆の)電圧バイアスは、電気めっき中に基板に負の電圧バイアスを印加した同じ電力ユニット/電源530によって印加される。そのため、図5Bに示した電力ユニット/電源530は、対極の電気接触部―この場合ニッケルアノード514―に対して負の電圧バイアスを基板の電気接触部に供給するとともに、ニッケルアノード514に対する正の電圧バイアスもAGSリングに供給するように構成された、2つの目的を有する電力ユニットとして機能する。さらに、2つの目的を有する電力ユニットを用いるいくつかの実施形態では、電気めっき装置は、AGSと基板とに異なる極性の電圧バイアス印加を実行するために、様々な電気接続を制御する1つ以上の電気リレーを備えていてよい。そのため、いくつかの実施形態では、2つの目的を有する電源/電力ユニットと基板の電気接触部との間の電気接続を制御する第1のリレーと、2つの目的を有する電力ユニットとAGSとの間の電気接続を制御する第2のリレーとがあってよい。特定のこのような実施形態では、電気めっき中、第1のリレーは閉鎖し、第2のリレーは開口して、対極の電気接触部に対する負の電圧バイアスが基板の電気接触部に供給され、MTA工程では、第1のリレーは開口し、第2のリレーは閉鎖して、対極の電気接触部に対する正の電圧バイアスが酸発生面に供給される。この種の構成が図5Bに概略的に示され、この図では、めっきリレー532が前述の第1のリレーとして作用し、MTAリレー534が前述の第2のリレーとして作用する。2つの目的を有する電力ユニットを1つ使用することにはいくらかの利点があるが(可能性としては低コスト、小型など)、2つ以上の電源/電力ユニットを用いる構成も可能である点に留意されたい。例えば、電気めっき装置550は、対極の電気接触部に対する負の電圧バイアスを基板の電気接触部に供給するように構成された第1の電力ユニットと、対極の電気接触部に対する正の電圧バイアスを酸発生面に供給するように構成された第2の電力ユニットとを備えていてよい。一連の電気リレーを、このようなリレーを図5Bで用いた方法と同様に、複数の電力ユニットがある構成で電気接続および電圧バイアスの印加を制御するために使用してもよい。
いくつかの実施形態では、浴中で別々のAGS(不活性アノード)およびカソード(対極)は、いつオンにしてどのくらいの間pHを訂正するのかを決定するために浴のpHを監視することによって、コンピュータで制御される。浴は、1つ以上の槽内の電解質と通じている。気泡を上昇させ、かつ/またはAGSシステムの電極の周りで膜(多孔質)をそらせて気泡が槽の流れに入り込まないようにすることで、気泡が槽の中に進入するのを回避する。
このように、いくつかの実施形態では、デバイスがpHの維持および/または調整を実施する1つ以上の電気めっき槽に入っている流体の容量とは異なる容量の電気めっき浴流体を有するデバイスでAGSを用いてもよい。pH調整デバイスを含むこのようなAGSであれば、デバイスと1つ以上の電気めっき槽との間の1つ以上の流体接続により、浴流体の交換が可能になり、デバイスで生成した水素イオンは1つ以上の槽に移送できるようになる。そのため、例えば、いくつかの実施形態では、このようなデバイスは、酸発生浴タンク(AGBR)であってよく、このタンクは、ある容量の電気めっき浴流体を保持するように構成された容器と、この容器と電気めっき槽との間の流体接続を確立するように構成された流体コネクタと、容器と共に配置されたAGSおよび対極の電気接触部と、対極の電気接触部に対する正の電圧バイアスを、遊離水素イオンを発生するのに十分なほどAGSに供給するように構成された1つ以上の電力ユニットとを備える。本明細書に開示したAGSの他の実装形態によれば、遊離水素イオンは、水分子の電気分解によってAGSで発生でき、この場合、AGBR内の電気めっき浴流体の容量内で起こる。いくつかの実施形態では、AGBRと電気めっき槽との間の流体コネクタは、電気めっき槽からくる電気めっき浴流体の(連続的または周期的な)流れを受け入れるように構成された入口管と、電気めっき浴流体の流れを電気めっき槽に送るように構成された出口管と、入口管および/または出口管に流体接続し、入口管および/または出口管内に流体圧力を供給するように構成された再循環ポンプとを備えていてよい。このようなAGBRは、このタンクが接続している(1つまたは複数の)電気めっき槽内の水素イオン濃度を上昇させるように設計されているため、出口管内に流れる電気めっき浴流体のpHは、入口管内に流れる電気めっき浴流体のpHよりも全体的に低い(AGSがオンになっているまたはなっていた場合)。いくつかの実施形態では、AGBRが、電極(AGSおよび/または陰極の対極)を電気めっき槽の電解質と流体連通させる一方で、電極(AGSおよび/またはカソード対極)から出る気泡または粒子が問題になるのを防止するのに都合よい方法となり得る点に留意されたい。
図5Cは、AGBRデバイス560を表示し、この図式は、前述の数々の特徴を示している。この図では、AGBRは、ある容量の電気めっき浴流体568を保持するように構成された容器566と、両方が容器内に配置されて浴流体と接触しているAGS562および対極564と、対極564に対して正のバイアス電圧をAGS562に印加して浴流体568内で水素イオンを発生させるように構成された電源ユニット/電源570と、再循環ポンプ542と、AGBRデバイス560を電気めっき槽510に接続する流体コネクタ544および546とを備えている。いくつかの実施形態では、事実上カソードとして機能する対極は、ニッケルおよび/またはチタンからなるものであってよい。
図5CのAGBRデバイス560およびそれに関連する構成要素に接続している電気めっき槽510は、図5Bに概略的に示したものとほぼ同じである。図5Cに含まれているのは、クラムシェルアセンブリ520、槽510内の電気めっき浴512、(矢印506で示したように)浴512の中に降ろす準備のできているクラムシェルアセンブリ520、浴512内のニッケルアノード514、およびニッケルアノード514に対する負のバイアス電圧をクラムシェルアセンブリ520内の基板(図示せず)に供給するように構成された電力ユニット/電源530である。ただし、1つの重要な相違点は、図5Cの電気めっき槽510は、それ自体の内部にAGSが入っていないという点である。代わりにpHレベルは、酸発生浴タンク560との流体接続部544および546を介して電気めっき浴512内で調整され維持される。
図5Cは、電気めっき槽510から物理的に離れて独立している酸発生浴タンク(AGBR)560を表示しているが、いくつかの実施形態では、この2つは、AGBRに入っている浴流体の容量が槽510に入っている容量と(接続していても)異なっている限り、物理的に隣接しているか互いにくっ付いていてよい。さらに、いくつかの実施形態では、AGBRは、ここでもまた、AGBRに入っている浴流体の容量が槽510に入っている容量と異なっている限り、実際には電気めっき槽510内に設置されてよい。その他の実施形態では、AGBRは、図5Cに示したものと同様の槽510に接続している電気めっきの流体再循環ループ内に設置されてよい。したがって、構成に応じて、AGBRは、電気めっき装置550の一構成要素として合理的に見ることができ、他の実施形態では、別のデバイスとして見ることができる。
さらに、いくつかの実施形態では、AGBRは、図2に表示した自動電気めっき装置200のように、複数槽からなる電気めっき装置内の一構成要素としての役割を果たすことができる。上で考察したように、装置200の槽207は、共有電気めっき浴タンク(これは図2には示していない)に流体接続されてよく、いくつかの実施形態では、この共有タンクには、図5Cに示したもののようなAGSおよび対極が入っていてよい。上に説明したように、特定のこのような実施形態では、共有タンク内にAGSおよび対極があることにより、個々の電気めっき槽がそれ自体の専用のAGSを有する必要性をなくすことができる。さらに重要なことは、pHレベルが所望の範囲内になっている間、個々の電気めっき槽が電気めっき作業を中止する必要性をなくすことができる点である。したがって、複数槽を有する電気めっき装置でAGBRとして機能する共有タンクから、いくつかの利点が得られる。
AGBR560は、流体接続している電気めっき槽510の容量とは異なる容量の電気めっき浴流体568にAGS562および対極564を有するため、AGBR560では、槽510の電気めっきに使用した電源550とは異なるそれ自体の専用の補助電源/電力ユニット570を用いることが多い。いくつかの実施形態では、専用の電源570を用いることで、AGBR560内のMTA工程を、電気めっき槽510で進行している電気めっき作業と平行して(同時に)進行させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、専用の補助電源は必ずしも必要ではなく、好適でもない。
例えば、複数槽を有する電気めっき装置(図3Dの307のように)では、AGBR用に補足の電源が経済的に妥当でなければ、ワークピースを電気めっきするためにその電源を現在使用していない電気めっき槽309、311、313から「借りる」ことができる。この「借りる」ことは、「借りた」電源の正のリードをAGBRのAGSに接続できるとともに、「借りた」電源のアースまたは負のリードをAGBRの対極に接続できるリレースイッチのシステムを介して達成できる。いくつかの実施形態では、前述のデータ処理システムは、電源を「借り」て適切な電気リレーおよび/またはスイッチを作動させるのに求められる必要な計画設定を実行するために使用されてよい。
図5Aおよび図5Bに関して上に考察したAGSの実装形態とは違い、AGBR560の動作では、余分なNi2+カチオンが電気めっき浴512に存在し、MTA工程を介して浴から除去されるが、再度析出して電気めっき槽510内のニッケルアノード514に戻ることはない点に留意されたい。代わりに、浴512から除去されたNi2+カチオンは、AGBR容器566内で対極564に析出する。しかしながら、アノード514に再度収集されないニッケルの量は、通常のニッケルアノードの静電容量に比して比較的かなり少ないのが一般的なケースである。
[酸素濃度低下を利用する方法]
また、本明細書に開示したのは、金属を半導体基板に電気めっきする方法であって、電気めっき作業で使用する電解質溶液の少なくとも一部の酸素濃度を下げる方法である。いくつかの実施形態では、被電気めっき金属はニッケルであり、いくつかの実施形態では、電解質溶液中の酸素濃度は、約1PPM以下に低下する。いくつかの実施形態では、電解質溶液中の酸素濃度は、約10PPM以下に低下し、あるいはさらに詳細には約5PPM以下に低下し、あるいはまたさらに詳細には、約2PPM以下に低下し、あるいはなお一層さらに詳細には、約0.5PPM以下に低下する。
これらの方法は、前述したような電気めっき槽で実施できる。そのため、いくつかの実施形態では、電気めっき槽は、金属アノード(例えばニッケルアノード)が入ったアノード室、カソード室、およびアノード室とカソード室との間にある多孔質セパレータを有してよい。多孔質セパレータについては前述したとおりであり、電気めっき中にイオン電流を通過させるが電解質溶液の通過は少なくともある程度阻止するように構成されてよい。
したがって、図6に示したようないくつかの実施形態では、電気めっき方法600は、電解質溶液中の酸素濃度を下げる低下ステップ610と、酸素濃度の低下した電解質溶液を電気めっき槽のアノード室に流す流しステップ620と、酸素濃度の低下した電解質溶液をアノード室に入っているニッケルアノードと接触させる接触ステップ630と、電解質溶液からのニッケルをカソード室で基板に電気めっきする電気めっきステップ640とを含んでよい。いくつかの実施形態では、カソード室の電解質溶液は、約pH3.0から5.0、あるいはさらに詳細には、約pH3.5から4.5、あるいはまたさらに詳細には、約pH3.8から4.2のような、何らかの所定範囲内にpHを維持されてよい。場合によっては、ステップ610、620、630、および640の任意の2つ以上を同時に実施してよい。様々な実施形態では、ステップ610、620、および630を同時に実施して、その間は電気めっきシステムを休止にする;つまりその間は電気めっきを実施しない。いくつかの実装形態では、基板が存在し、基板が電気めっきを受ける状態であればいつでも、ステップ610、620、および630を連続的に実施して、その間は電気めっきステップ640を断続的に実施する。このようにすると、電気めっき/基板サイクルの間でシステムが休止している間、陽極液の酸素濃度は低いままであり、陽極液のpHは安定したままになる。
さらに、いくつかの実施形態では、電気めっき方法は、アノード室に流れた電解質溶液中の酸素濃度がカソード室に流れた電解質溶液中の酸素濃度よりも低くなるような酸素濃度であるカソード室に電解質溶液を流すことをさらに含んでよい。図4Bは、電気めっきシステム400を概略的に示し、この場合、作業中に、アノード室およびカソード室420、430それぞれに流れる電解質溶液の濃度は、先ほど記載したようになってよく、これは、図4Bを参照して上記に詳細に記載したように、酸素除去装置480がアノード室再循環ループ425に設置されているが、カソード室再循環ループ435には設定されていないという事実による。
本明細書で記載した電気めっき方法で使用する電解質溶液の特徴は、変化してもよい。例えば、実施形態に応じて、電解質溶液の酸素濃度は、約10PPM以下、または約5PPM以下、または約2PPM以下、または約1PPM以下、または約0.5PPM以下、または約0.2PPM以下であってよい。pH範囲も上で考察したが、考察したように、適切なpH範囲は、約pH3.5から4.5、または約pH3.0から5.0、または約pH3.8から4.2であってよい。同じように、実施形態に応じて、電気めっき作業中の電解質溶液の温度は、摂氏約20度より上、または摂氏約30度より上、または摂氏約35度より上、または摂氏約40度より上、または摂氏約45度より上、または摂氏約50度より上、または約摂氏55度より上に維持されてよい。特に、ニッケル電気めっきの場合、電気めっき作業中の電解質溶液の温度は、摂氏約35度より上、または摂氏約40度より上、または摂氏約45度より上、または摂氏約50度より上、または約摂氏55度より上、または摂氏約60度より上、または摂氏約30から60度、または摂氏約35から55度、または摂氏約40から50度に維持されてよい。
電解質溶液の組成に関する限り、ニッケルめっきの場合、いくつかの適切なスルファミン酸ニッケルめっき浴溶液を使用してよく、これには例えば、Enthone社、DOW Nikal BP、およびShitayaが販売するものなどである。詳細を下表に列記する。
ほとんどの市販のニッケルめっき溶液は、塩化ニッケルおよび/または臭化ニッケルなどの「アノード活性物質」を含んでアノードの腐食が均一になるのを促進する点に留意されたい。ニッケル電気めっき溶液内で「光沢剤」を使用してもよいが、いくつかの実施形態では、これは必要ではなく、好適でもない。いくつかの実施形態では、このような光沢剤であるニッケル添加剤を、一般的な細粒化目的で添加してよい。従来、スルファミン酸ニッケル浴に使用していたサッカリンがその一例である。通常銅電気めっきに使用される多くの有機「添加剤」は、一般にニッケル電気めっきには使用しない。しかしながら、現在は通常ホウ酸が、結晶化を回避するために約45g/L未満の濃度で陰極の緩衝剤としての役割を果たしている。
アノード室および/またはカソード室に流れる電解質溶液中の酸素濃度を下げるために、多様な技術および方法が利用可能である。いくつかの実施形態では、電解質溶液中の酸素濃度を下げることには、電解質溶液の脱気が含まれてよい。いくつかの実施形態では、電解質溶液中の酸素濃度を下げることには、実質的に酸素のないガスで電解質溶液をスパージングすることが含まれてよい。実質的に酸素のないガスは、例えば、窒素および/またはアルゴンなどの不活性ガスであってよい。
いくつかの電気めっき方法は、電気めっき槽内のいくつかのプロセス条件が所定の動作範囲外にずれれば、電気めっきシステムのオペレータに―人間のオペレータであっても、自動システムによるコントローラなどであっても―メッセージ、またはアラート、または警告などを送信することを含んでいてよい。そのため、例えば、いくつかの電気めっき方法は、電気めっき槽内の電解質溶液のpHを感知して、感知したpHが約pH4.5より上、またはいくつかの実施形態では約4.2より上、またはいくつかの実施形態では約5.0より上であればアラートを送信するステップを含んでいてよい。
同じように、いくつかの電気めっき方法は、電気めっき槽内の何らかの処理条件がその所定動作範囲外にはずれたと判断した場合に、処理パラメータ、条件などを調整することを含んでよい。そのため、例えば、いくつかの電気めっき方法は、電気めっき槽の電解質溶液のpHを感知し、感知したpHが約4.5より上、またはいくつかの実施形態では約4.2より上、またはいくつかの実施形態では約5.0より上であれば、アノード室に流れる前に電解質溶液中の酸素濃度をさらに下げるステップを含んでよい。もう1つの実施形態では、電気めっき方法は、アノード室の電解質溶液中の酸素濃度を感知して、感知した酸素濃度が約1PPMよりも上、またはいくつかの実施形態では約0.5PPMより上、またはいくつかの実施形態では約2PPMより上、またはいくつかの実施形態では約5PPMより上、またはいくつかの実施形態では約10PPMより上であれば、アノード室に流れる前に電解質溶液中の酸素濃度をさらに下げるステップを含んでよい。
さらに一般には、本明細書に開示した技術は、アノード室およびカソード室を有する電気めっき槽内で電解質溶液から出る(ニッケルなどの)金属を半導体基板上に電気めっきする間に、電解質溶液のpHが所定の最大pHレベルを超えて上昇するのを防止する方法として見ることができる。このような方法は、電解質溶液が電気めっき槽のアノード室に流れる前に、電解質溶液中の酸素濃度を所定の最大酸素濃度レベル前後またはこれ以下に下げるステップを含んでよい。実施形態に応じて、適切な所定の最大pHレベルは、pH5.0、またはpH4.5、またはpH4.2であってよく、および適切な所定の最大酸素濃度レベルは、10PPM、または5PPM、または2PPM、または1PPM、または0.5PPM、または0.2PPM、または0.1PPMであってよい。
様々な実施形態では、陽極液の酸素濃度を下げる方法を、陽極液のpHを下げる直接の方法と合わせて使用する。このような直接の方法には、図5A〜図5Cに関して記載したAGS(酸発生面)を用いる方法などがある。例として、作業610、620および630を用いる方法を正常なウエハ処理過程で連続的に実施する。作業640は、ウエハを電気めっきするときはいつでも実施される。周期的に、本方法では、前述したように酸が酸発生面から発生する方式に切り替える。pHが指定値に戻ると(あるいは酸発生工程が十分な程度まで進行したと判断されると)、酸発生工程を一定時間停止してよい。
[実験]
電気めっき槽内のpH変動に対する酸素除去の作用を説明するために、10日間にわたってニッケルアノードと接触したままである(すなわち、移動する電荷がない状態の)休止状態の電解質浴溶液に対してpH測定を行った。結果を図6に示している。図からわかるように、酸素除去をしなければ、電解質溶液のpHは7日後に3.8から4.5に上昇した。アノード室に流れたときのこの電解質溶液の溶解酸素濃度は、〜4.8ppmであった。
対照的に、酸素除去を実施したとき、アノード室に流れた電解質溶液中の溶解酸素の濃度は、〜0.7ppmに低下した。図7に示したように、結果は、電解質溶液のpHが、同じ7日間でpH4.1からpH4.4への極めて緩やかな上昇を示しただけであった。そのため、図7に示したように、休止中のニッケル電気めっき浴溶液にみられたpH変動が、酸素除去によって著しく低減することが示された。
さらに、アノード室に流れた陽極液の溶解酸素濃度をさらに下げると、pH変動が図7に示したよりもさらに低くなると予想される。その他の理由のうち、これは、図1Cの窒素を浄化する実験(〜0.2PPMの溶解酸素)では10日間にわたってpHに電荷がみられなかったという事実に裏付けられている。
[その他の実施形態]
以上のプロセス、システム、装置、および組成について、明瞭な理解を促すという目的でいくらか詳細に記載してきたが、添付の請求項の範囲内で、いくらかの変更および修正を実施してよいことは、一当業者には明らかであろう。本明細書に開示した工程、システム、装置、および組成を実装する多くの代替的な方法があることに留意すべきである。したがって、開示した実施形態は、限定的なものではなく説明的なものとみなされ、添付の各請求項の範囲は、本明細書に記載した実施形態の特定の詳細に限定されるものではない。例えば本発明は、以下の適用例としての実施可能である。
[適用例1]半導体基板上にニッケルを電気めっきするための電気めっきシステムであって、
電気めっき中に電解質溶液を保持するように構成された電気めっき槽と、酸素除去装置とを備え、
前記電気メッキ槽は、
カソード室と;
電気めっき中にニッケルアノードを保持するように構成されたアノード室と;
前記アノード室と前記カソード室との間にある多孔質セパレータであって、電気めっき中にイオン電流を通過させるが電解質溶液の通過は阻止する、多孔質セパレータと;
電気めっき中に前記ウエハを保持するためのウエハホルダと
を備え、
前記酸素除去装置は、電気めっき中および前記システムが電気めっきしていない休止時間中に前記電解質溶液がアノード室に流れる際に、前記電解質溶液中の酸素濃度を下げるように構成された
電気めっきシステム。
[適用例2]前記多孔質セパレータは、前記アノード室とカソード室との酸素濃度の差を維持することができる、適用例1に記載の電気めっきシステム。
[適用例3]前記電気めっきシステムが電気めっきしていないとき、前記電解質は、一部またはすべての休止時間中に前記アノード室に流れ続ける適用例1に記載の電気めっきシステム。
[適用例4]前記酸素除去装置は、一部またはすべての休止時間中に前記アノード室に流れる前記電解質溶液中の酸素濃度を下げるように構成された適用例3に記載の電気めっきシステム。
[適用例5]前記酸素除去装置は、一部またはすべての休止時間中に前記アノード室に流れる前記電解質溶液中の酸素濃度を、休止時間中に前記ニッケルアノードに接触している際に電解質溶液のpHがはっきりと上昇しないレベルまで下げるように構成された適用例4に記載の電気めっきシステム。
[適用例6]前記酸素除去装置は、電解質溶液中の酸素濃度を約1ppm以下のレベルまで下げるように構成された適用例1に記載の電気めっきシステム。
[適用例7]前記酸素除去装置は、電解質溶液中の酸素濃度を約0.5ppm以下のレベルまで下げるように構成された適用例6に記載の電気めっきシステム。
[適用例8]前記システムは、前記基板上にニッケルを電気めっきしている間に前記電解質溶液を大気に曝露するように構成された適用例1に記載の電気めっきシステム。
[適用例9]前記アノード室へ入る流体入口と、前記アノード室から出る流体出口と、前記流体入口および前記流体出口に連結し、前記基板上にニッケルを電気めっきしている間に前記電解質溶液を前記アノード室に流すように構成されたアノード室再循環ループとをさらに備える適用例1から適用例8のうちいずれか一項に記載の電気めっきシステム。
[適用例10]電解質溶液を保持するための前記電気めっき槽の外部に設置された浴タンクをさらに備え、前記浴タンクは、流体入口および流体出口を備え、前記流体入口および流体出口は、前記アノード室再循環ループに連結された適用例9に記載の電気めっきシステム。
[適用例11]前記酸素除去装置は、前記アノード室の上流かつ前記浴タンクの下流にある前記アノード室再循環ループに設定された脱気装置を備える適用例10に記載の電気めっきシステム。
[適用例12]前記カソード室へ入る流体入口と、前記カソード室から出る流体出口と、前記カソード室の前記流体入口および流体出口に連結するとともに、前記浴タンクの前記流体入口および流体出口にも連結しているカソード室再循環ループとをさらに備え、前記カソード室再循環ループは、基板にニッケルを電気めっきしている間に前記電解質溶液が前記カソード室に流れるように構成された適用例10に記載の電気めっきシステム。
[適用例13]前記酸素除去装置は、前記アノード室の上流かつ前記浴タンクの下流にある前記アノード室再循環ループに配置された脱気装置を備え、
前記脱気装置は、前記カソード室再循環ループには設けられていない
適用例12に記載の電気めっきシステム。
[適用例14]前記アノード室の上流かつ前記酸素除去装置および前記浴タンクの下流にある前記アノード室再循環ループに設置されるフィルタをさらに備え、前記フィルタは、前記電解質溶液から粒子を除去するように構成された適用例9に記載の電気めっきシステム。
[適用例15]前記酸素除去装置は、実質的に酸素のないガスで前記電解質溶液をスパージングするためのデバイスを備える、適用例1から適用例8のうちいずれか一項に記載の電気めっきシステム。
[適用例16]前記電解質溶液のpHを測定するように構成されたpH計をさらに備える適用例1から適用例8のうちいずれか一項に記載の電気めっきシステム。
[適用例17]前記pH計によって出力された値に応答して前記酸素除去装置を動作させるための論理回路をさらに備える適用例16に記載の電気めっきシステム。
[適用例18]前記電解質溶液中の酸素濃度を測定するように構成された酸素センサをさらに備える、適用例1から適用例8のうちいずれか一項に記載の電気めっきシステム。
[適用例19]適用例1から適用例8のうちいずれか一項に記載の電気めっきシステムであって、更に、
前記基板が前記基板ホルダに保持されている間に前記基板にバイアス電圧を供給するように構成された基板電気接触部と;
対極と接触している間に前記対極にバイアス電圧を供給するように構成された対極電気接触部と;
前記対極電気接触部に対して十分な正のバイアス電圧を供給した時点で前記電解質溶液中に遊離水素イオンを発生するように構成された酸発生面と;
前記対極電気接触部に対して負のバイアス電圧を、前記電解質溶液からのニッケルイオンを還元して前記基板面にめっきするのに十分なほど前記基板電気接触部に供給するとともに、前記対極電気接触部に対して正のバイアス電圧を、前記酸発生面で遊離水素イオンを発生するのに十分なほど前記酸発生面に供給して、これによって前記電解質溶液のpHを下げるように構成された、1つ以上の電力ユニットと
備える電気めっきシステム。
[適用例20]前記遊離水素イオンは、前記電解質溶液中の水分子の電気分解によって前記酸発生面に発生する適用例19に記載の電気めっきシステム。
[適用例21]前記酸発生面は、
前記電解質溶液中で実質的に腐食しない導電性で耐食性の材料を含む本体と;
前記本体へのコーティングであって、白金か、白金、ニオブ、ルテニウム、イリジウム、およびタンタルの酸化物から選択される1つ以上の金属酸化物のいずれかを含むコーティングと
を含む適用例19に記載の電気めっきシステム。
[適用例22]前記導電性で耐食性の材料は、チタン、タンタル、ニオブ、またはジルコニウムである適用例21に記載の電気めっきシステム。
[適用例23]流体入口および流体出口を有する酸発生浴タンクであって、ある容量の前記電解質溶液を保持するように設計され、内部に前記酸発生面が設置される、酸発生浴タンクと;
前記酸発生浴タンクの流体出口を前記アノード室の流体入口および/またはカソード室の流体入口に流体連結するとともに、前記タンクの流体入口を前記アノード室の流体出口および/またはカソード室の流体出口に流体連結する、酸発生浴タンクの再循環ループと;
を備え、
前記対極電気接触部はさらに、前記酸発生浴タンク内に設置された対極にバイアス電圧を供給するように構成され;
前記酸発生浴タンクの再循環ループを通して前記電解質溶液が循環する間、前記タンクの流体出口を流れる前記電解質溶液のpHは、前記タンクの流体入口を流れる前記電解質溶液よりも低い
適用例19に記載の電気めっきシステム。
[適用例24]前記多孔質セパレータは、実質的にイオン交換部位のない細孔性膜である、適用例1から適用例8のうちいずれか一項に記載の電気めっきシステム。
[適用例25]ニッケルアノードと、カソード室と、アノード室と前記カソード室との間にある多孔質セパレータであって、電気めっき中にイオン電流を通過させるが電解質溶液の通過は阻止する多孔質セパレータとが入っている前記アノード室を有する電気めっき槽内の半導体基板上にニッケルを電気めっきする方法であって、
電解質溶液中の酸素濃度を約1PPM以下に下げ;
酸素濃度の低下した前記電解質溶液を前記アノード室に流し;
酸素濃度の低下した前記電解質溶液を前記アノード室に入っている前記ニッケルアノードと接触させ;
前記電解質溶液から出るニッケルを前記カソード室にある基板上に電気めっきし、
前記カソード室の前記電解質溶液のpHを、約3.5から4.5に維持する方法。
[適用例26]更に、前記電解質溶液を前記カソード室へ流し;
前記アノード室に流れる前記電解質溶液中の酸素濃度は、前記カソード室に流れる前記電解質溶液中の酸素濃度よりも低い
適用例25に記載の方法。
[適用例27]前記電解質溶液中の酸素濃度は、約0.5PPM以下に下げる適用例25に記載の方法。
[適用例28]電気めっき中の前記電解質溶液の温度は、摂氏約40度よりも高い適用例25に記載の方法。
[適用例29]前記電解質溶液中の酸素濃度を下げる際には、前記電解質溶液を脱気する適用例25に記載の方法。
[適用例30]前記電解質溶液中の酸素濃度を下げる際には、実質的に酸素のないガスで前記電解質溶液をスパージングする適用例25に記載の方法。
[適用例31]前記実質的に酸素のないガスは、不活性ガスである適用例30に記載の方法。
[適用例32]前記不活性ガスは、窒素および/またはアルゴンを含む適用例31に記載の方法。
[適用例33]前記電気めっき槽内の前記電解質溶液のpHを感知し;
前記感知したpHが約4.5より上であればアラートを送信する
適用例25から適用例32のうちいずれか一項に記載の方法。
[適用例34]前記電気めっき槽内の前記電解質溶液のpHを感知し;
前記感知したpHが約4.5より上であれば、前記電解質溶液がアノード室に流れる前に前記電解質溶液中の酸素濃度をさらに下げる
適用例25から適用例32のうちいずれか一項に記載の方法。
[適用例35]前記アノード室の前記電解質溶液の酸素濃度を感知し;
前記感知した酸素濃度が約1PPMよりも上であれば、前記電解質溶液が前記アノード室に流れる前に前記電解質溶液中の酸素濃度をさらに下げる
適用例25から適用例32のうちいずれか一項に記載の方法。
[適用例36]前記電解質溶液から出るニッケルを、アノード室およびカソード室を有する電気めっき槽にある半導体基板上に電気めっきする間に、前記電解質溶液が前記電気めっき槽のアノード室に流れる前に前記電解質溶液中の酸素濃度を約1PPM以下に下げることで、電解質溶液のpHが約pH4.5よりも上に上昇することを防止する方法。