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JP6503768B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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JP6503768B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
従来、リチウムイオン二次電池としては、リチウムイオンを伝導する固体電解質としてのガラスセラミックスLi1+XTi2SiX3-X12・AlPO4(以下、オハラ電解質という)を正極又は負極に含有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電池では、高温環境下での保存性や充放電サイクル特性を向上することができるとしている。また、電極に混入する固体電解質をLi0.35La0.65TiO3とし、正負極の短絡時の安定性を高めたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、正極にリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を加え、サイクル特性及び熱的安定性を高めたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2008−117542号公報 特開平10−116632号公報 特許第5381640号公報
ところで、車載用の電源などにおいては、エンジン始動の観点などから、例えば2秒程度の短時間に高出力を発揮できる特性が求められている。しかしながら、特許文献1〜3のものでは、例えば、2秒程度の短時間での出力が小さいことがあり、2秒程度の短時間での出力をより高めることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、短時間での出力をより高めることを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、活物質の他に微粒のガーネット型酸化物を負極に含むものとすると、2秒程度の短時間での出力をより高められることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウムイオン二次電池は、
粒子径が3μm以下でリチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物と、負極活物質と、を含み、前記ガーネット型酸化物の含有量が前記負極活物質に対して10mol%以上45mol%以下の範囲内にある負極と、
正極と、
前記負極と前記正極との間に介在しリチウムイオンを伝導する非水電解液と、
を備えたものである。
このリチウムイオン二次電池では、2秒程度の短時間での出力をより高めることができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。すなわち、負極の電極内空隙に微粒のガーネット型酸化物を適量配置することにより、非水電解液とガーネット型酸化物との界面でのイオン伝導がより円滑に行われ、非水電解液のイオン伝導率が向上するためと推察される。さらに、ガーネット型酸化物内をリチウムイオンが伝導することによってイオン伝導率がさらに向上するためと推察される。
リチウムイオン二次電池10の構造の一例を示す説明図である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極と正極との間に介在しリチウムイオンを伝導する非水電解液と、を備えたものである。
本発明のリチウムイオン二次電池の負極は、粒子径が3μm以下でリチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物と、負極活物質とを含み、ガーネット型酸化物の含有量が負極活物質に対して10mol%以上45mol%以下の範囲内にある。リチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物は、粒子径が3μm以下であればよいが、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。粒子径が小さいほど2秒出力を向上させることができる。ここで、粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、分散媒としてエタノールを用いて測定し、メディアン径D50として算出したものをいう。リチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物の含有量は、負極活物質に対して10mol%以上45mol%以下の範囲内にあればよいが、例えば、10mol%以上25mol%以下の範囲内にあるものとしてもよい。ガーネット型酸化物の含有量が10mol%以上45mol%以下の範囲内であれば、2秒出力をより向上させ、放電容量や10秒出力などの低下をより抑制することができ、ガーネット型酸化物の含有量が少ないほど、充放電に寄与する負極活物質の割合を多くできる。なお、2秒程度の短時間での出力(2秒出力)は、以下のように求めた値とする。すなわち、まず、リチウムイオン二次電池を電池容量の50%(SOC=50%)に調整した後に、種々の電流値で電流を流して2秒後の電池電圧を測定する。そして、流した電流と電圧を直線補完し、2秒後の電圧が3.0Vになるときの電流値を求める。その電流と電圧の積を2秒出力として求める。また、10秒出力は、以下のように求めた値とする。すなわち、まず、リチウムイオン二次電池を電池容量の50%(SOC=50%)に調整した後に、種々の電流値で電流を流して10秒後の電池電圧を測定する。そして、流した電流と電圧を直線補完し、10秒後の電圧が3.0Vになるときの電流値を求める。その電流と電圧の積を10秒出力として求める。
リチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物は、特に限定されるものではないが、少なくともZrを含有していることが好ましく、それに加えてNb及びTaの少なくとも一方を含有していることがより好ましく、それに加えてLaを含有していることが更に好ましい。こうすれば、リチウムイオンの伝導性をより高めることができる。このリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、組成式Li5+XLa3(ZrX,A2-X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X<2)で表されるものとしてもよい。ここで用いるガーネット型酸化物は、Xが1.4≦X<2を満たすため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりX=2)と比べて、リチウムイオン伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物を含むリチウムイオン二次電池によれば、リチウムイオンが伝導しやすく、抵抗が低くなり、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり温度に対する伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、Xが1.6≦X≦1.95を満たせば、伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、Xが1.65≦X≦1.9を満たせば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Aとしては、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
リチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物は、組成式Li7La3Zr212のZrサイトがZrとはイオン半径の異なる元素で置換され、XRDにおける(220)回折の強度を1に規格化したときの(024)回折の規格化後の強度が9.2以上であるものとしてもよい。(024)回折の規格化後の強度が9.2を超えると、LiO4(I)の四面体の酸素イオンが形成する三角形が正三角形に近づき、その三角形の面積が大きくなるため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりX=2)と比べて、伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物をリチウムイオン二次電池に用いた場合、リチウムイオンが伝導しやすくなるため、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり温度に対する伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、(024)回折の規格化後の強度が10.0以上であれば、伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、(024)回折の規格化後の強度が10.2以上であれば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Zrとはイオン半径の異なる元素としては、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素が挙げられ、このうち、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
ここで、リチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物は、主としてガーネット型の構造を有していればよく、例えば、他の構造が一部含まれていたり、例えばX線回折のピーク位置がシフトしているなどガーネットからみて歪んだ構造を含むものとしてもよい。また、組成式で示しているが、リチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物には他の元素や構造などが一部含まれていてもよい。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料であればよく、例えばリチウム合金、金属酸化物、金属硫化物、リチウムを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えば、アルミニウムやシリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、リチウムマンガン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素などが挙げられる。このうち、負極活物質としては、リチウムチタン酸化物や、リチウムマンガン酸化物、黒鉛などが好ましい。負極活物質は、例えば、粒子径が5.0μm以上20.0μm以下の黒鉛であるものとしてもよいし、粒子径が1.0μm以上25.0μm以下の酸化物系負極活物質であるものとしてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の負極は、例えば上述したリチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物と上述した負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
ガーネット型酸化物、負極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV23などのリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiV23などが好ましい。また、正極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ負極で例示したものを用いることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、負極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の非水電解液は、非水系溶媒と支持塩とを含むものとしてもよい。非水系溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。
支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウムイオン二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、こうしたリチウムイオン二次電池を複数直列に接続して電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明のリチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウムイオン二次電池10は、集電体11に正極合材12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極合材17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18との間を満たす非水電解液20と、を備えたものである。このリチウムイオン二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シートに接続された負極端子26とを配設して形成されている。このリチウムイオン二次電池10では、負極合材は、負極活物質17aと粒子径が3μm以下でリチウムイオンを伝導可能なガーネット型酸化物17bとを含み、ガーネット型酸化物17bの含有量が負極活物質17aに対して10mol%以上45mol%以下の範囲内にある。
以上詳述した本実施形態のリチウムイオン二次電池では、2秒出力を高めることができる。また、放電容量の低下や、10秒出力の低下を抑制することができる。そして、例えば、0℃を下回る低温領域においてもこうした効果が得られる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、非水電解液はリチウムイオン輸率が0.3程度と低いことに加え、特に多孔体電極内ではリチウムイオンや支持塩を構成するアニオンやカチオンの移動が電極組成物に阻害されることで、リチウムイオン伝導率が低くなることがある。特に、0℃以下などの低温では入出力特性への負極のイオン伝導率の影響が極めて大きくなる。そこで、負極の電極内空隙に微粒のガーネット型酸化物を適量配置すると、非水電解液とガーネット型酸化物との界面でのイオン伝導が円滑に行われ、非水電解液のイオン伝導率が向上すると考えられる。さらに、微粒のガーネット型酸化物内をリチウムイオンが伝導することによってイオン伝導率がさらに向上すると考えられる。
また、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、電位窓が広く、低温や高温でも安定で、リチウムイオン伝導度が高く、このガーネット型酸化物がリチウムイオン二次電池内に存在することから、熱的安定性を高めたり、サイクル特性を高めたりすることができると考えられる。例えば、電位窓が広いため、過充電及び過放電などの環境下にさらされても、電池性能へ悪影響を与えにくいと考えられる。また、例えば、このガーネット型酸化物を電極に含ませたものとすると、活物質の表面の一部を覆うことにより非水電解液−活物質間の副反応などを抑制することができると考えられる。また、ガーネット型酸化物は、高いリチウム伝導度を有しており、電池の出力特性低下などの懸念が少ない。また、大気中でも安定であるから、大気中の水分と反応したり吸収したりしにくい。また、0V〜9.5Vの広い電位窓を有するため、充放電を行っても電池内で安定に存在できる。即ち、低電位の負極に混入又は接触可能である。また、過放電が起きて負極の電位が上がりすぎたりしてもガーネット型酸化物は安定であるため、電極に悪影響を与えにくい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明のリチウムイオン二次電池を具体的に作製した例について、実験例として説明する。なお、実験例1〜5,12〜15が本発明の実施例に相当し、実験例6〜11,16〜19が比較例に相当する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実験例1]
(ガーネット型酸化物(固体電解質)の合成、粒径評価)
立方晶のガーネット型酸化物を得るためTa置換体Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を以下の手順で合成した。出発原料としてLi2CO3、La(OH)3、ZrO2、Ta25を用いた。出発原料を化学量論比となるように秤量し、エタノール中にてボールミル処理を行った。出発原料の混合粉末を乾燥後、アルミナるつぼで950℃、10時間空気中にて仮焼成を行った。その後、Li仕込み組成の10atom%に相当するLi2CO3を仮焼粉末に過剰添加し、エタノール中で混合粉末のボールミル処理を施した。得られた粉末を空気中950℃10時間再度加熱し、圧粉成型後1200℃36時間焼成することにより固体電解質を作製した。その後、合成粉末のボールミル処理を施し、粒径制御を行った。粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置(島津社製SALD−2200)を用いてエタノールを分散剤として測定し、メディアン径として算出した。
(供試電池の作製)
負極活物質としてリチウムチタン酸化物Li1.33Ti1.674(石原産業製、LT−106、粒径6.9μm)を用い、合材割合を活物質85質量%、導電材としてカーボンブラック10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデン5質量%とした。上記手法で合成した粒径1μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を負極活物質の10mol%加え、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散することでスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、54mm幅×500mm長の形状に切り出して負極電極とした。
正極活物質としてニッケル酸リチウムLiNiO2を用い、活物質を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散することでスラリー状合材とした。このスラリー状合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、52mm幅×450mm長の形状に切り出して正極電極とした。
上記の正極シートと負極シートを56mm幅で25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロール状電極体を作製した。この電極体を18650型円筒ケースに挿入し、非水電解液を含侵させた後に密閉して円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを30:70体積%で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解したものを用いた。
(電池容量、出力評価)
放電容量の評価は、CCCV4.1V充電(電流値100mA、CV時間2時間)/CCCV3.0V放電(電流値100mA、CV時間2時間)で充放電可能な容量を測定したのち、その容量から放電時間率0.1Cと2Cの電流値を算出し、20℃の環境温度下において0.1Cと2Cの電流値における放電容量(mAh)をCC4.1V充電/CC3.0V放電で測定した。
入出力の評価は、20℃および−30℃において電池容量の50%(SOC=50%)に調整した後に、種々の電流値で電流を流し、2秒後と10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧を直線補間し、2秒後と10秒後の電圧が3.0Vになる時の電流値を求め、その電流と電圧の積を2秒出力(W)、10秒出力(W)とした。
[実験例2]
実験例1の粒径1μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の45mol%加えた以外は実験例1と同じである。
[実験例3]
実験例1の粒径1μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の23mol%加えた以外は実験例1と同じである。
[実験例4]
実験例1のガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512の粒径を3μmとした以外は実験例1と同じである。
[実験例5]
実験例2のガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512の粒径を3μmとした以外は実験例2と同じである。
[実験例6]
実験例1の負極に固体電解質を添加しなかった以外は実験例1と同じである。
[実験例7]
実験例4の粒径3μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の5mol%加えた以外は実験例4と同じである。
[実験例8]
実験例4の粒径3μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の50mol%加えた以外は実験例4と同じである。
[実験例9]
実験例7のガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512の粒径を7μmとした以外は実験例7と同じである。
[実験例10]
実験例4の粒径3μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、以下のように合成した粒径3μmのペロブスカイト型固体電解質Li0.35La0.65TiO3とした以外は実験例4と同じである。
(ペロブスカイト型酸化物(固体電解質)の合成)
Li2CO3、La23、TiO2を所定の重量秤量、混合し、脱炭酸のため650℃で2時間焼成した。得られた粉末のボールミル処理を6時間施し、1200℃で6時間焼成することによりLi0.35La0.65TiO3を得た。その後、合成粉末のボールミル処理を施し、粒径制御を行った。
[実験例11]
実験例4の粒径3μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、以下のように合成した粒径3μmのガラスセラミックスLi1+x+yAlxTi2-xSiy3-y12 (x=0.05〜0.4、y=0.05〜0.5)とした以外は実験例4と同じである。
(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(固体電解質)の合成)
原料としてH3PO4、Al(PO3)3、Li2CO3、SiO2、TiO2を使用した。各構成元素を酸化物換算でP25(35mol%)、Al23(8mol%)、Li2O(15mol%)、TiO2(37mol%)、SiO2(5mol%)の組成になるように秤量して均一混合後、白金ポットに入れ、電気炉中1500℃で4時間加熱熔解した。その後、ガラス融液を流水中に滴下させることによりフレーク状のガラスを作製し、このガラスを950℃で12時間の熱処理により結晶化を行うことで目的のガラスセラミックスを得た。
[実験例1〜11の実験結果]
実験例1〜11の実験結果を、表1に示す。表1に示すとおり、Li1.33Ti1.674負極に粒径3μmのガーネット型酸化物を負極活物質の10〜45mol%の割合で配置させることによりレート特性、長時間の出力特性を低下させることなく、2秒程度の短時間出力を向上させることが可能であることがわかった。また、固体電解質の粒子径を1μm以下とすることにより短時間出力がさらに向上していることがわかった。一方、ガーネット型酸化物に代えてペロブスカイト型酸化物を用いた実験例10やリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを用いた実験例11では、2秒程度の短時間出力を十分に向上できないことがわかった。このことから、固体電解質はガーネット型酸化物である必要があることがわかった。
Figure 0006503768
[実験例12]
実験例1の負極電極に代えて負極活物質に黒鉛を用いた以下の負極電極を用いた以外は実験例1と同じである。
負極活物質として黒鉛(大阪ガスケミカル株式会社製、粒径10μm)を用い、合材割合を活物質95質量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量%とし、粒径1μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を負極活物質の10mol%加え、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散することでスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、54mm幅×500mm長の形状に切り出して負極電極とした。
[実験例13]
実験例12の粒径1μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の45mol%加えた以外は実験例12と同じである。
[実験例14]
実験例12のガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512の粒径を3μmとした以外は実験例12と同じである。
[実験例15]
実験例13のガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512の粒径を3μmとした以外は実験例13と同じである。
[実験例16]
実験例12の負極に固体電解質を添加しなかった以外は実験例12と同じである。
[実験例17]
実験例14の粒径3μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の5mol%加えた以外は実験例14と同じである。
[実験例18]
実験例14の粒径3μmのガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512を、負極活物質の50mol%加えた以外は実験例14と同じである。
[実験例19]
実験例17のガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Ta0.2512の粒径を7μmとした以外は実験例17と同じである。
[実験例12〜19の実験結果]
実験例12〜19の実験結果を、表2に示す。表2に示す通り、負極活物質は、Li1.33Ti1.674だけでなく黒鉛の場合にも、ガーネット型酸化物を電極に添加することによりレート特性、長時間の出力特性を低下させることなく、短時間出力を向上させることが可能であることがわかった。以上より、負極活物質の種類は特に限定されないことがわかった。
Figure 0006503768
本発明は、電池産業の分野に利用可能である。
10 リチウムイオン二次電池、11,14, 集電体、12 正極合材、13 正極シート、17 負極合材、17a 負極活物質、17b ガーネット型酸化物、18 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子。

Claims (1)

  1. 粒子径がμm以下でリチウムイオンを伝導可能な組成式Li 5+X La 3 (Zr X ,A 2-X )O 12 (式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X<2)で表されるガーネット型酸化物と、Li 1.33 Ti 1.67 4 及び黒鉛のうちの少なくとも一方である負極活物質と、を含み、前記ガーネット型酸化物の含有量が前記負極活物質に対して10mol%以上45mol%以下の範囲内にある負極と、
    正極と、
    前記負極と前記正極との間に介在しリチウムイオンを伝導する非水電解液と、
    を備えた、リチウムイオン二次電池。
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