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JP6504664B2 - セラミックス焼結体及びその製造方法、並びにそのセラミックス焼結体からなる部材 - Google Patents
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セラミックス焼結体及びその製造方法、並びにそのセラミックス焼結体からなる部材 Download PDF

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本発明は、半導体製造装置の構成部材、静電気放電防止部材又はスパッタリングターゲットに好適に用いられる、アルミナ(Al)を母相とするセラミックス焼結体及びその製造方法に関する。
アルミナ(Al)は、耐熱性、電気絶縁性及び耐プラズマ性に優れており、低コストプロセスである大気雰囲気中での常圧焼結により製造が可能であるため、従来の高温構造材料としての応用以外にも、半導体製造装置(静電チャック、シャワープレート、フォーカスリング等)の構成部材への応用がなされてきた。しかし、半導体製造装置の構成部材としてセラミックス材料を用いる場合は、用途に合わせて電気抵抗率を広い範囲で制御する必要があり、Alは絶縁体であるため、半導体製造装置の構成部材への応用はこれまで制限されていた。
従来、絶縁性材料の電気抵抗率を低下させる技術として、絶縁性材料に導電性粒子を添加する技術が知られている(例えば特許文献1)。また、特許文献2には、アルミニウム元素(Al)、インジウム元素(In)及びスズ元素(Sn)を含む酸化物原料を不活性ガス雰囲気で焼成することで導電性粉体を製造する技術が開示されている。
ただし、これら従来の技術では、電気抵抗率を低下させるために多量の導電性物質を添加していた。例えば上述の特許文献1では、インジウム元素(In)の使用量低減を目的としているものの、最低でも10mol%のインジウム元素(In)を添加していた。しかし、このように母相中に多量の導電性物質を添加すると、アルミナ母相の優れた機械的特性が損なわれてしまうという問題があった。また、インジウム元素(In)は非常に高価であるため、インジウム元素(In)を多量に添加することは、コストアップの原因となっていた。
特開2001−316183号公報 特開2008−127267号公報
本発明が解決しようとする課題は、アルミナ(Al)を母相とするセラミックス焼結体の電気抵抗率を、導電性物質を多量に添加することなく低下させることができる技術を提供することにある。
本発明の一観点によれば、Alからなる母相中に、下記(1)〜(3)から選択される1種又は2種以上の導電相を合計で1〜mol%含み、前記導電相は、前記母相の結晶粒界間に面状又は線状に存在しており前記導電相中に占めるSnO の量が15mass%以下であり、電気抵抗率が10 Ω・cm以下である、セラミックス焼結体が提供される。
(1)In
(2)In中にSnOが固溶したITO相
(3)ITO相とルチル型SnOの2相
また、本発明の他の観点によれば、前記本発明のセラミックス焼結体からなる半導体製造装置の構成部材(静電チャック、シャワープレート、フォーカスリング等)、静電気放電防止部材及びスパッタリングターゲットが提供される。
さらに、本発明の他の観点によれば、前記本発明のセラミックス焼結体を製造する方法であって、Al粉末にIn粉末を1〜mol%添加し混合した原料粉末、又はAl粉末にIn粉末及びSnO粉末を合計で1〜mol%添加し混合した原料粉末(この原料粉末においてIn 粉末及びSnO 粉末の合計に占めるSnO 粉末の量は15mass%以下である。)を成型し、1700℃以上の大気雰囲気中で焼結する、セラミックス焼結体の製造方法が提供される。
本発明によれば、導電相が母相の結晶粒界間に面状又は線状に存在しているため、導電相の量が1〜5mol%と少量であっても、半導体製造装置の構成部材、静電気放電防止部材又はスパッタリングターゲットに用いることができる程度まで電気抵抗率を低下させることができる。また、導電相の量が少量であるので、母相であるアルミナ(Al)の優れた機械的特性は維持される。さらに、焼結体のほとんどの部分が安価なアルミナであるために、高価な酸化インジウム(In)の使用量が少なくて済み、しかも大気雰囲気中の焼結にて製造可能であるため、低コストにて製造可能である。よって、本発明のセラミックス焼結体は、半導体製造装置の構成部材、静電気放電防止部材又はスパッタリングターゲットとして好適に用いることができる。
1700℃で焼結を行った試料の電気抵抗率と導電相の量との関係を表したグラフである。 Al(母相)に、90mass%−10mass%SnO(導電相)を2mol%存在させた焼結体のSEM像であって、焼結温度が1650℃の場合である。 Al(母相)に、90mass%−10mass%SnO(導電相)を2mol%存在させた焼結体のSEM像であって、焼結温度が1700℃の場合である。
本発明のセラミックス焼結体は、Alからなる母相中に、(1)In相、(2)In中にSnOが固溶したITO相、及び(3)ITO相とルチル型SnOの2相から選択される1種又は2種以上の導電相を合計で1〜5mol%含む。なお、(1)In相に固溶限の範囲内でSnOを添加すると、(2)In中にSnOが固溶したITO相となり、固溶限を超えてSnOを添加すると、(3)ITO相とルチル型SnOの2相となる。導電相中に占めるSnOの量が多いと、当該導電相による電気抵抗率低下の効果が低下するので、導電相中に占めるSnOの量は15mass%以下であることが好ましい。また、導電相の量が1mol%未満では必要な導電性が得られず、5mol%を超えると、焼結が進みにくくなり、また、酸化インジウム(In)の使用量が増えるため原料コストが上がる。
本発明のセラミックス焼結体において導電相は、母相の結晶粒界間に面状又は線状に存在している。より具体的には、本発明のセラミックス焼結体において導電相は、二つの母相結晶が面接触する二面粒界ではその二面粒界に沿って「面状」に存在し、母相結晶の三重点や多点粒界ではその結晶粒界に沿って「線状」に存在している。このように導電相が母相の結晶粒界間に面状又は線状に存在することで、導電相の量が1〜5mol%と少量であっても、電気抵抗率は最低で10−1Ω・cm程度まで低下する。すなわち、本発明のセラミックス焼結体において導電相は多結晶体中で連続的な粒界相を形成し、この導電相(粒界相)が3次元導電ネットワークとして作用し、その結果、少量であっても電気抵抗率の低下に有効に寄与すると考えられる。
本発明のセラミックス焼結体は、Al粉末にIn粉末を1〜5mol%添加し混合した原料粉末、又はAl粉末にIn粉末及びSnO粉末を1〜5mol%添加し混合した原料粉末を成型し、1700℃以上の大気雰囲気中で保持して焼結することで、製造できる。
通常、Alを母相とするセラミックス焼結体はおよそ1500℃程度で緻密化するので、アルミナを主材料とするセラミックスの一般的な焼結温度は1500℃程度であった。これに対して本発明では、焼結温度を1700℃以上という高温にすることで、焼結の過程でIn粉末又はIn粉末及びSnO粉末が液状の導電相となり、これが母相であるAlの結晶粒界に押しやられた結果、上述のとおり導電相が母相の結晶粒界間に面状又は線状に存在することになると考えられる。
なお、本発明における焼結温度の上限は特に限定されないが、必要以上に高温にする必要はなく、経済性等を考慮すると焼結温度の上限は1800℃程度とすることができる。また、焼結温度での保持時間は5分程度と短くてもよく、更にはなくてもよい。
本発明のセラミックス焼結体は、上述のとおり半導体製造装置の構成部材、静電気放電防止部材又はスパッタリングターゲットに好適に用いることができる。半導体製造装置の構成部材としては代表的には静電チャック(ジョンソン・ラーベック型静電チャック)が挙げられる。本発明のセラミックス焼結体は、その導電相の量や成分を本発明の範囲で調整することで、電気抵抗率を10−1Ω・cm程度までの範囲で制御可能であるので、上述の各部材に求められる電気抵抗率とすることができる。例えば、ジョンソン・ラーベック型静電チャックに用いる場合は、電気抵抗率を10〜1012Ω・cmの範囲に制御し、静電気放電防止部材に用いる場合は、電気抵抗率を10〜1011Ω・cmの範囲に制御する。同様に、プラズマガスを面状の複数の孔を通過させ、ウエハー上部に注ぐためのシャワーヘッドにあたるシャワープレートや、プラズマに晒したくない部材を保護する役割のフォーカスリングなどにも好適に用いることができる。
これらの本発明のセラミックス焼結体は、上述のとおり大気雰囲気中の常圧焼結にて製造可能であり、また高価な酸化インジウム(In)の使用量が少なくて済むため、低コストにて製造可能である。
原料粉末として、Al粉末、In粉末及びSnO粉末を用いた。Al粉末へのIn粉末及びSnO粉末の総量の添加の割合は0〜5mol%とした、また、Inに対するSnOの添加の割合は0〜20mass%とした。
秤量した原料粉末にエタノールを加え、超音波ホモジナイザーを用いて分散処理を行った後、十分に乾燥させた。得られた乾燥粉末を1軸プレスとCIPでφ15mmに成型し、大気雰囲気中(常圧)、焼結温度1650〜1800℃、保持時間5分間で焼結を行った。
得られた焼結体の特性評価として、アルキメデス法による密度測定、3端子法(二重リング電極法、電気学会大学講座「電気材料」電気学会 発売元(株)オーム社、p.266〜267に記載の方法)と4探針法(JIS K 7194:1994)による電気抵抗率の測定、及びJIS R 1634(1998年版)7.3に順じ、水を用いる代わりにトルエンを用いた測定法による開気孔率の測定を行った。その結果を表1〜3に示す。表1〜3において*印を付した試料比較例で、それ以外は本発明の実施例である。
なお、前記の3端子法および4探針法は、測定方法の相違により、正確に測定可能な電気抵抗率の範囲が異なる。本実施例では、まず3端子法にて1×10(Ω・cm)以上の電気抵抗率を示した場合にはその値を記載し、1×10(Ω・cm)未満の電気抵抗率を示した場合には4探針法を用いて測定し、4探針法の値を記載した。
また、得られた焼結体についてX線回折装置(島津製作所製:XRD−6100)により相の同定を行ったところ、アルミナ相と併せて、下記(1)〜(3)から選択される1種又は2種以上の導電相が確認された。
(1)In
(2)In中にSnOが固溶したITO相
(3)ITO相とルチル型SnOの2相
例えば、No.35の試料(SnOを混合せず、アルミナとInを混合した試料)では、アルミナ相と併せて「(1)In相」が確認された。
No.38の試料(アルミナと、95mass%In+5mass%SnOを混合した試料)では、アルミナ相と併せて「(2)In中にSnOが固溶したITO相」が確認された。
No.39の試料(アルミナと、90mass%In+10mass%SnOを混合した試料)では、アルミナ相と併せて、「(2)In中にSnOが固溶したITO相」と、微弱なSnO相が確認された。
No.40の試料(アルミナと、85mass%In+15mass%SnOを混合した試料)では、アルミナ相と併せて、「(3)ITO相とルチル型のSnOの2相」が確認された。
他の試料でも同様に、InとSnOの合計量に対するSnO量が、0%の場合はIn相、5%の場合はITO相、10%の場合はITO相に加えて微量のSnO相、15%以上の場合はITO相とルチル型SnOの2相が確認された。
図1は1700℃で焼結を行った試料の電気抵抗率と導電相の量との関係を表したグラフである。同図に示すように、導電相の量が最大5mol%と少量であっても、電気抵抗率を10−1Ω・cm程度まで低下させることができた。また、導電相中に占めるSnOの量が多いと、当該導電相による電気抵抗率低下の効果は低下するが、SnOの量が20mass%の導電相によっても、電気抵抗率低下の効果は見られた。ただし、電気抵抗率を効果的に低下させるには、導電相中に占めるSnOの量は15mass%以下であることが好ましく、10mass%以下であることがより好ましい。
なお、導電相を5mol%含むNo.74の試料は、電気抵抗率は1(Ω・cm)以下であったが、開気孔率が高く、これ以上導電相を増やすと開気孔率の小さい焼結体は得にくくなる。
図2A及び図2Bは、Al(母相)に、90mass%In−10mass%SnO(導電相)を2mol%存在させた焼結体のSEM像であって、図2Aは焼結温度が1650℃の場合(No.32の試料)、図2Bは焼結温度が1700℃の場合(No.39の試料)である。なお、SEM観察においては、前記各試料を平面研削盤にて研削後、Arイオンエッチングにて研削傷を取る処理をした。図2A及び図2BのSEM像において、黒色部がアルミナ相であり、白色部が導電相である。導電相はX線回折装置での観察によりITO相とあわせて微弱なSnO相が観察された。
1650℃で焼結を行った(No.32の試料)(本発明の範囲外の比較例)は高抵抗のままであり、図2AのSEM像からわかるように、その導電相は丸みを帯びており、母相中に粒子状で分散していることが確認された。一方、1700℃で焼結を行った(No.39の試料)(本発明の範囲内の実施例)は電気抵抗率が低下しており、図2BのSEM像からわかるように、その導電相は母相の結晶粒界間に沿って面状又は線状に伸びるように存在していることが確認された。すなわち、図2BのSEM像において、円で囲んだ部分が線状の導電相の断面、長円で囲んだ部分が面状の導電相の断面で、これらの線状又は面状の導電相がアルミナの粒界に立体的に存在していた。これらの導電相は、図2AのSEM像で観察された「粒子状」の導電相とは、明らかに形態が異なる。このように、本発明のセラミックス焼結体において導電相は多結晶体中で連続的な粒界相を形成し、この導電相(粒界相)が3次元導電ネットワークとして作用し、その結果、少量であっても電気抵抗率の低下に有効に寄与すると考えられる。

Claims (6)

  1. Alからなる母相中に、下記(1)〜(3)から選択される1種又は2種以上の導電相を合計で1〜mol%含み、
    前記導電相は、前記母相の結晶粒界間に面状又は線状に存在しており
    前記導電相中に占めるSnO の量が15mass%以下であり、
    電気抵抗率が10 Ω・cm以下である、セラミックス焼結体。
    (1)In
    (2)In中にSnOが固溶したITO相
    (3)ITO相とルチル型SnOの2相
  2. 請求項に記載のセラミックス焼結体からなる半導体製造装置の構成部材。
  3. 静電チャックである請求項に記載の半導体製造装置の構成部材。
  4. 請求項に記載のセラミックス焼結体からなる静電気放電防止部材。
  5. 請求項に記載のセラミックス焼結体からなるスパッタリングターゲット。
  6. 請求項1に記載のセラミックス焼結体を製造する方法であって、Al粉末にIn粉末を1〜mol%添加し混合した原料粉末、又はAl粉末にIn粉末及びSnO粉末を合計で1〜mol%添加し混合した原料粉末(この原料粉末においてIn 粉末及びSnO 粉末の合計に占めるSnO 粉末の量は15mass%以下である。)を成型し、1700℃以上の大気雰囲気中で焼結する、セラミックス焼結体の製造方法。
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