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JP6506124B2 - ガス濃度測定装置 - Google Patents
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Description

本発明は、ガス濃度測定装置に関し、より詳細には、第1の濃度と第2の濃度との2濃度検査にて高精度なガス濃度測定が可能な算出式を用いたガス濃度測定装置に関する。
従来から大気中の測定対象ガスの濃度測定を行うガス濃度測定装置として、ガスの種類によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、この吸収量を検出することによりそのガス濃度を測定する非分散赤外吸収型(Non−Dispersive Infrared)ガス濃度測定装置が知られている。この原理を用いたガス濃度測定装置としては、例えば、測定対象ガスが吸収特性を持つ波長に限定した赤外線を透過するフィルタ(透過部材)と赤外線センサを組み合わせ、赤外線の吸収量を測定することによってガスの濃度を測定するようにしたものが挙げられる。
また、この原理の応用を用いたガス濃度測定装置として、例えば、特許文献1に記載のものは、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じない波長域の赤外線を選択的に透過する参照用フィルタと、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じる波長域の赤外線を選択的に透過する測定用フィルタをそれぞれ配置した赤外線検出素子を複数配置し、それぞれの赤外線検出素子からの出力信号に基づいて測定対象ガスの検出や濃度測定をしており、検出精度や出力の安定性を向上させた炭酸ガス濃度測定装置及び炭酸ガス検出方法である。
以下、これらも含めて、ガス濃度測定装置及びガス濃度測定方法ともいう。その動作原理は、波長による吸収度合いの差異を、炭酸ガス検出に応用したものである。光源であるセラミックヒータから放射された赤外線において、波長4.3μm付近の赤外線は、気体容器内の炭酸ガスにより吸収されて、その放射強度が低下する。一方、波長3.9μmの赤外線は、炭酸ガスによる吸収はなく、その放射強度が低下することはない。
そして、ガス測定装置の気体容器内を通過した異なる波長を含む赤外線から、波長4.3μmと波長3.9μmとの2波を、2波それぞれに対応した通過帯域を有する2種類の光学フィルタで濾波選別する。これら波長の異なる赤外線それぞれの放射強度に基づいて、気体容器内の炭酸ガスの濃度が算出される。セラミックヒータの放射強度分布は、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトルを含む、2μm〜50μmの波長領域でブロードであり、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル付近の波長領域で十分な放射強度を有する。したがって、光源にセラミックヒータを用いたガス測定装置の検出精度及び出力の安定性は向上する。
特開平9−33431号公報
上述した非分散赤外吸収型ガス濃度測定装置では、ランバートベールの法則に基づいて得られる下記式(1)に則った測定用赤外線検出部と参照用赤外線検出部の出力特性が得られる。
Figure 0006506124
なお、式中、εは吸光度係数、l(エル)は光路長、Gは測定用赤外線検出部と参照用赤外線検出部のゲイン比、Vrefは参照用赤外線検出部からの出力、Voutは測定用赤外線検出部からの出力である。
しかし、光源から測定用赤外線検出部及び測定用赤外線検出部までの光路長や測定用赤外線検出部と参照用赤外線検出部のゲイン比には個体ごとにばらつきが生じる。そのため従来技術では、2濃度の検査を前提とした場合、実際の特性とは乖離のある1次関数を濃度算出式としていたため、高精度なガス濃度演算を実現できず、演算の精度を上げるためには、濃度検査の点数を多くし濃度算出式の次数を上げるしか方法がなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、第1の濃度と第2の濃度との2濃度検査にて高精度なガス濃度測定が可能な算出式を用いたガス濃度測定装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の様態は、光源と、前記光源からの光を受光する測定用赤外線検出部と、前記測定用赤外線検出部の近傍に配置された参照用赤外線検出部と、前記測定用赤外線検出部及び前記参照用赤外線検出部からの出力が入力される演算部と、を備えたガス濃度測定装置であって、演算部は、第1の濃度と、前記第1の濃度とは異なる第2の濃度と、前記第1の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第1の測定出力と、前記第1の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記参照用赤外線検出部が出力する第1の参照出力と、前記第2の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第2の測定出力と、前記第2の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記参照用赤外線検出部が出力する第2の参照出力と、に基づいて得られる係数を含む算出式と、測定時の前記参照用赤外線検出部の出力に対する前記測定用赤外線検出部の出力の比に、前記第1の測定出力及び前記第1の参照出力に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算するガス濃度測定装置である。
本発明の第2の様態は、光源と、前記光源からの光を受光する測定用赤外線検出部と、前記測定用赤外線検出部からの出力が入力される演算部と、を備えたガス濃度測定装置であって、前記演算部は、第1の濃度と、前記第1の濃度とは異なる第2の濃度と、前記第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第1の測定出力と、前記第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第2の測定出力と、に基づいて得られる係数を含む算出式と、測定時の測定用赤外線検出部からの出力に、前記第1の測定出力に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算するガス濃度測定装置である。
本発明のガス濃度測定装置によれば、高精度なガス濃度測定が可能な算出式を用いたガス濃度測定装置を実現できる。
本発明に係るガス濃度測定装置の実施形態1を説明するための構成図である。 図1に示した演算部の回路構成図である。 本発明に係るガス濃度測定装置の実施形態2を説明するための構成図である。 図3に示した演算部の回路構成図である。 実施例1と比較例1を対比した結果を示す図である。 実施例2と比較例2を対比した結果を示す図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明に係るガス濃度測定装置の実施形態1を説明するための構成図である。図中符号10はガスセル、11はガス導入口、12はガス導出口、20は光源、31は測定用赤外線検出部、40は演算部、100はガス濃度測定装置、Lは最短距離の光路長を示している。なおここでは参考のため、ガスセル10を明示しているが、本発明においてガスセルは必須の構成ではなく、ガスセルの無い形態でも試験容器内等にガス濃度測定装置を配置することで下記と同様の2濃度検査を行うことが可能である。
本実施形態1のガス濃度測定装置100は、光源20と、光源20からの光を受光する測定用赤外線検出部31と、測定用赤外線検出部31の近傍に配置された参照用赤外線検出部32と、測定用赤外線検出部31及び参照用赤外線検出部32からの出力が入力される演算部40と、を備えている。
演算部40は、第1の濃度c1と、第1の濃度c1とは異なる第2の濃度c2と、第1の濃度c1の測定対象ガス中で光源20を点灯させた時に測定用赤外線検出部31が出力する第1の測定出力Vout(c1)と、第1の濃度c1の測定対象ガス中で光源20を点灯させた時に参照用赤外線検出部32が出力する第1の参照出力Vref(c1)と、第2の濃度c2の測定対象ガス中で光源20を点灯させた時に測定用赤外線検出部31が出力する第2の測定出力Vout(c2)と、第2の濃度c2の測定対象ガス中で光源20を点灯させた時に参照用赤外線検出部32が出力する第2の参照出力Vref(c2)と、に基づいて得られる係数εを含む算出式と、測定時の参照用赤外線検出部32の出力Vrefに対する測定用赤外線検出部31の出力Voutの比Vout/Vrefに、第1の測定出力Vout(c1)及び第1の参照出力Vref(c1)に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算する。
本実施形態1に係るガス濃度測定装置では、第1の濃度と、第1の濃度とは異なる第2の濃度と、第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に測定用赤外線検出部が出力する第1の測定出力と、第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に参照用赤外線検出部が出力する第1の参照出力と、第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に測定用赤外線検出部が出力する第2の測定出力と、第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に参照用赤外線検出部が出力する第2の参照出力と、に基づいて得られる係数を含む算出式と、測定時の参照用赤外線検出部の出力に対する測定用赤外線検出部の出力の比に、第1の測定出力及び第1の参照出力に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算することにより、2つの異なる既知濃度における測定用赤外線検出部の出力および参照用赤外線検出部の出力を予め取得することのみで、従来よりも高精度なガス濃度測定が可能になるという効果を奏する。
また、係数εは、第1の濃度c1と、第1の濃度c1とは異なる第2の濃度c2と、第1の測定出力Vout(c1)に対する第1の参照出力Vref(c1)の比Vref(c1)/Vout(c1)=Rc1と、第2の測定出力Vout(c2)に対する第2の参照出力Vref(c2)の比Vref(c2)/Vout(c2)=Rc2と、に基づいて得られるようにしてもよい。
また、演算部40は、係数εを含む算出式と、測定時の参照用赤外線検出部32の出力Vrefに対する測定用赤外線検出部31の出力Voutの比Vout/Vrefに、第1の参照出力Vref(c1)に対する第1の測定出力Vout(c1)の比Vout(c1)/Vref(c1)=Rc1を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算してもよい。
また、演算部40は、下記式(2)に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算する。つまり、本実施形態1のガス濃度測定装置における具体的な算出式の一例としては、下記式(2)が挙げられる。
Figure 0006506124
なお、式中、c1は第1の濃度、c2は第2の濃度、Rc1は第1の濃度c1における測定用赤外線検出部31の出力に対する参照用赤外線検出部32の出力比、Rc2は第2の濃度c2における測定用赤外線検出部31の出力に対する参照用赤外線検出部32の出力比、Voutは測定時の測定用赤外線検出部31の出力、Vrefは測定時の参照用赤外線検出部32の出力である。
上記式(2)から、算出式は、第1のガス濃度c1、第2のガス濃度c2、それぞれのガス濃度における測定用赤外線検出部の出力に対する参照用赤外線検出部の出力比Rc1,Rc2を定数としており、測定時の測定用赤外線検出部の出力Voutおよび測定時の参照用赤外線検出部の出力Vrefを代入することで濃度演算が可能であることが理解される。上記式(2)は、光路長l(エル)や測定用赤外線検出部と参照用赤外線検出部のゲイン比Gを含んでいないため、それらを予め定量的または定性的に導出する必要がない、個体ごとのばらつきが補償された算出式であるため、高精度なガス濃度測定が可能になることが理解される。
<式(2)の導出>
以下、上記式(2)の導出過程について説明する。
測定用赤外線検出部31と参照用赤外線検出部32の出力は、演算部40での演算処理前にそれぞれ信号増幅される。この時のゲイン比をGとする。
まず、ランバートベールの法則から、ガス濃度は下記式(3)で算出される。
Figure 0006506124
なお、式中、εは吸光度係数、l(エル)は実態的な光路長、Gは測定用赤外線検出部31と参照用赤外線検出部32のゲイン比、Vrefは参照用赤外線検出部32の出力、Voutは測定用赤外線検出部31の出力である。
任意の既知の第1の濃度c1の測定対象ガス中で、光源20を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部31からの出力と参照用赤外線検出部32からの出力との出力比をRc1とすると、第1の濃度c1は下記式(4)で表される。
Figure 0006506124
上記式(3)、(4)から、下記式(5)が得られる。
Figure 0006506124
任意の既知の第2の濃度c2の測定対象ガス中で、光源20を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部31からの出力と参照用赤外線検出部32からの出力との出力比をRc2とし、上記式(5)に代入すると、下記式(6)が得られる。
Figure 0006506124
上記式(5)に上記式(6)を代入すると式(2)を得ることが出来る。
Figure 0006506124
以上より、第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部の出力および参照用赤外線検出部の出力と、第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部の出力および参照用赤外線検出部の出力と、に基づいて得られる算出式を用いることにより、2つの異なる既知濃度における測定用赤外線検出部の出力および参照用赤外線検出部の出力を予め取得することのみで、ゲイン比Gや吸光度係数ε、光路長l(エル)を含まない算出式が導出可能であり、従来よりも高精度なガス濃度測定が可能になることが理解される。
また、第1の実施形態に係るガス濃度測定装置において、式(2)の各パラメータにオフセットを加味してもよい。これにより、測定するガス濃度の精度をさらに向上させることが可能となる。
図2は、図1に示した演算部の回路構成図である。
演算部40は、係数算出部41と比演算部42と乗算部43と濃度演算部44とを備えている。
係数算出部41は、係数εを含む算出式を算出する。また、比演算部42は、測定時の参照用赤外線検出部32の出力Vrefに対する測定用赤外線検出部31の出力Voutの比Vout/Vrefを演算する。
また、乗算部43は、比演算部42で演算された比Vout/Vrefに、第1の参照出力Vref(c1)に対する第1の測定出力Vout(c1)の比Vout(c1)/Vref(c1)=Rc1を掛ける。
また、濃度演算部44は、係数算出部41で算出された算出式と、乗算部43の値と、に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算する。
[実施形態2]
図3は、本発明に係るガス濃度測定装置の実施形態2を説明するための構成図である。なお、図1と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。つまり、図1における参照用赤外線検出部32を除いた構成となっている。なおここでは参考のため、ガスセル10を明示しているが、本発明においてガスセルは必須の構成ではなく、ガスセルの無い形態でも試験容器内等にガス濃度測定装置を配置することで下記と同様の2濃度検査を行うことが可能である。
本実施形態2のガス濃度測定装置は、光源20と、光源20からの光を受光する測定用赤外線検出部31と、測定用赤外線検出部31からの出力が入力される演算部40と、を備えたガス濃度測定装置である。
演算部40は、第1の濃度c1と、第1の濃度c1とは異なる第2の濃度c2と、第1の濃度c1の測定対象ガス中で光源20を点灯させた時に測定用赤外線検出部31が出力する第1の測定出力Vout(c1)と、第2の濃度c2の測定対象ガス中で光源20を点灯させた時に測定用赤外線検出部31が出力する第2の測定出力Vout(c2)と、に基づいて得られる係数εを含む算出式と、測定時の測定用赤外線検出部31からの出力Voutに、第1の測定出力Vout(c1)に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算する。
本実施形態2のガス濃度測定装置は、第1の濃度と、第1の濃度とは異なる第2の濃度と、第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に測定用赤外線検出部が出力する第1の測定出力と、第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に測定用赤外線検出部が出力する第2の測定出力と、に基づいて得られる係数を含む算出式と、測定時の測定用赤外線検出部からの出力に、第1の測定出力に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算することにより、2つの異なる既知濃度における測定用赤外線検出部の出力を予め取得することのみで、参照用赤外線検出部を用いることなく、従来よりも高精度なガス濃度測定が可能になるという効果を奏する。また、参照用赤外線検出部を用いる必要がないので、より小型で低コストのガス濃度測定装置が実現できるという効果も奏する。
また、係数εは、第1の濃度c1と、第1の濃度c1とは異なる第2の濃度c2と、第1の測定出力Vout(c1)に対する第2の測定出力Vout(c2)の比Vout(c2)/Vout(c1)と、に基づいて得られるようにしてもよい。
また、演算部40は、係数εを含む算出式と、測定時の測定用赤外線検出部31の出力Voutに対する第1の測定出力Vout(c1)の比Vout(c1)/Voutと、に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算するようにしてもよい。
また、演算部40は、下記式(7)に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算する。つまり、本実施形態2のガス濃度測定装置における具体的な算出式の一例としては、下記式(7)が挙げられる。
Figure 0006506124
なお、式中、c1は第1の濃度、c2は第2の濃度、Vout(c1)は第1の濃度c1における測定用赤外線検出部31の出力、Vout(c2)は第2の濃度c2における測定用赤外線検出部31の出力、Voutは測定時の測定用赤外線検出部31の出力である。
上記式(7)から、算出式は、第1のガス濃度c1、第2のガス濃度c2、それぞれのガス濃度における測定用赤外線検出部の出力Vout(c1)を定数としており、測定時の測定用赤外線検出部の出力Voutを代入することで濃度演算が可能であることが理解される。上記式(7)は、光路長l(エル)を含んでいないため、それを予め定量的または定性的に導出する必要がないため、個体ごとのばらつきが補償された算出式であるため、高精度なガス濃度測定が可能になることが理解される。
<式(7)の導出>
以下、上記式(7)の導出過程について説明する。
測定用赤外線検出部31出力は、演算部40での演算処理前にそれぞれ信号増幅される。この時のゲインをGとする。
まず、ランバートベールの法則から、参照用赤外線検出部を用いない場合のガス濃度は下記式(8)で導出される。
Figure 0006506124
なお、式中、εは吸光度係数、l(エル)は実態的な光路長、Vout(0)は測定対象ガスによる吸収が無い場合の測定用赤外線検出部の仮想出力、Voutは測定対象ガスによる吸収が有る場合の測定用赤外線検出部の出力である。
任意の既知の第1の濃度c1の測定対象ガス中で、光源20を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部からの出力をVout(c1)とすると、第1の濃度c1は下記式(9)で表される。
Figure 0006506124
上記式(8)、(9)を行い変形すると、下記式(10)が得られる。
Figure 0006506124
任意の既知の第2の濃度c2の測定対象ガス中で、光源20を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部からの出力をVout(c2)とし、上記式(10)に代入して変形すると、下記式(11)が得られる。
Figure 0006506124
上記式(10)に上記式(11)を代入すると式(7)を得ることが出来る。
Figure 0006506124
以上より、第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部の出力と、第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に得られる測定用赤外線検出部の出力と、に基づいて得られる算出式を用いることにより、2つの異なる既知濃度における測定用赤外線検出部の出力を予め取得することのみで、Vout(0)や吸光度係数ε、光路長l(エル)を含まない算出式が導出可能であり、従来よりも高精度なガス濃度測定が可能になることが理解される。
ただし、Vout(0)が校正時と測定時で同じと仮定している。
また、本実施形態2に係るガス濃度測定装置において、式(7)の各パラメータにオフセットを加味してもよい。これにより、測定するガス濃度の精度をさらに向上させることが可能となる。
図4は、図3に示した演算部の回路構成図である。
なお、図2と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。つまり、図2における乗算部43を除いた構成となっている。
演算部40は、係数算出部41と比演算部42と濃度演算部44とを備えている。
係数算出部41は、係数εを含む算出式を算出する。また、比演算部42は、測定時の測定用赤外線検出部31の出力Voutに対する第1の測定出力Vout(c1)の比Vout(c1)/Voutを演算する。
また、濃度演算部44は、係数算出部41で算出された算出式と、比演算部42で演算された比Vout(c1)/Voutと、に基づいて測定対象ガスの濃度cを演算する。
以下、本実施形態のガス濃度測定装置における各構成要件について説明する。各構成要件の具体例や技術的特徴は、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で単独または組み合わせて適用可能である。
(赤外線検出部)
測定用赤外線検出部31、参照用赤外線検出部32は、光源20が出力する赤外線に対する感度を有し、入射された赤外線に応じた信号を出力するものである。測定用赤外線検出部31は参照用赤外線検出部32よりも、測定対象ガスによる赤外線吸収帯域に対する感度の前記赤外線吸収帯域以外の帯域に対する感度に対する比が大きいものであれば特に制限されない。測定用赤外線検出部31及び参照用赤外線検出部32には、焦電センサ(Pyroelectric sensor)、サーモパイル(Thermopile:熱電堆)、ボロメータ(Bolometer)等の熱型赤外線センサや、量子型赤外線センサ等が好適である。
測定用赤外線検出部31、参照用赤外線検出部32は、測定対象ガスに併せて所望の光学特性を有する光学フィルタをさらに備えていてもよい。例えば、測定対象ガスが炭酸ガスの場合、測定用赤外線検出部31には炭酸ガスによる赤外線吸収が多く生じる波長帯(代表的には4.3μm付近)の赤外線を濾波できるバンドパスフィルタを搭載し、参照用赤外線検出部32には炭酸ガスによる赤外線吸収が生じない波長帯(代表的には3.9μm付近)の赤外線を濾波できるバンドパスフィルタを搭載する形態が例示される。
(光源)
光源20は、測定用赤外線検出部31、参照用赤外線検出部32が感度を有する赤外線帯域を出力できるものであれば特に制限されない。例えば、白熱電球やセラミックヒータ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ヒーターやLEDなどを用いることができる。
(演算部)
演算部40は、ガス濃度算出における演算が可能なものであれば特に制限されず、例えば、アナログIC、ディジタルIC及びCPU(Central Processing Unit)等が好適である。演算部40には、光源を制御するための機能が含まれていても構わない。
(ガスセル)
本実施形態のガス濃度測定装置は、内部に測定対象ガスを導入可能であり、内部に光源20、測定用赤外線検出部31、参照用赤外線検出部32、演算部40を配置可能なガスセル10をさらに備えても良い。ガスセル10をさらに備えることで、測定用赤外線検出部31及び参照用赤外線検出部32の出力する信号のSNRを高めることができ、より高精度なガス濃度測定装置が実現する。赤外線検出部に入射される赤外線の効率化の観点から、ガスセル内部が赤外線を反射する材料で形成されていることが好ましい。具体的にはアルミニウムや銅などの金属材料が挙げられる。
次に、本実施形態のガス濃度測定装置を実施例に基づき説明する。
タングステン光源、CO2による赤外線吸収のある4.2μm〜4.4μmの波長帯を選択的に濾波選別する光学フィルタを搭載した測定用赤外線検出部31としての量子型赤外線センサ「IR1011」(旭化成エレクトロニクス株式会社製)、CO2による赤外線吸収の無い3.7μm〜3.9μmの波長帯を選択的に濾波選別する光学フィルタを搭載した参照用赤外線検出部32としての量子型赤外線センサ「IR1011」(旭化成エレクトロニクス株式会社製)、演算部40として記憶部と処理部を備えたICをプリント基板上に配置した炭酸ガス濃度測定装置を準備した。
次いで、この炭酸ガス濃度測定装置を試験容器内に設置し、濃度967ppmの炭酸ガスを充填した時の、それぞれアンプにより増幅された測定用赤外線検出部31と参照用赤外線検出部32からの出力と、濃度2953ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、それぞれアンプにより増幅された測定用赤外線検出部31と参照用赤外線検出部32からの出力から、上述した実施形態1のガス濃度測定装置における前記式(7)に測定用赤外線検出部31の出力オフセットを加味した下記式(12)に対応する演算式を導出した。
Figure 0006506124
なお、式中a1は測定用赤外線検出部31のオフセット、R1(c1)は第1のガス濃度における測定用赤外線検出部31の出力値からオフセット分を差し引いた値に対する参照用赤外線検出部32の出力値の比、R1(c2)は第2のガス濃度における測定用赤外線検出部31の出力値からオフセット分を差し引いた値に対する参照用赤外線検出部32の出力値の比である。
測定用赤外線検出部31の出力以外のパラメータにもオフセットが生じる場合があるため、下記式(13)のように必要に応じてそれぞれのパラメータにオフセットを加味する。
Figure 0006506124
なお、式中a2は参照用赤外線検出部のオフセット、R2(c1)は第1のガス濃度における測定用赤外線検出部31の出力値からオフセット分を差し引いた値に対する参照用赤外線検出部32の出力値からオフセット分を差し引いた値の比、R2(c2)は第2のガス濃度における測定用赤外線検出部31の出力値からオフセット分を差し引いた値に対する参照用赤外線検出部32の出力値からオフセット分を差し引いた値の比である。
a1やa2などのオフセットは、代表的なサンプルにて求めた測定用赤外線検出器31や参照用赤外線検出器32の感度スペクトルと、光源20の発光スペクトルから求められる光学的オフセットと、増幅回路のオフセットを足し合わせた代表値である。
[比較例1]
濃度967ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、それぞれアンプにより増幅された測定用赤外線検出部と参照用赤外線検出部からの出力と、濃度2953ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、それぞれアンプにより増幅された測定用赤外線検出部と参照用赤外線検出部からの出力から、炭酸ガス濃度と測定用赤外線検出部の出力に対する参照用赤外線検出部の出力比の相関を表す1次関数を導出した。
タングステン光源、CO2による赤外線吸収のある4.2μm〜4.4μmの波長帯を選択的に濾波選別する光学フィルタを搭載した測定用赤外線検出部31としての量子型赤外線センサ「IR1011」(旭化成エレクトロニクス株式会社製)、演算部40として記憶部と処理部を備えたICを配置した炭酸ガス濃度測定装置を準備した。
次いで、この炭酸ガス濃度測定装置を試験容器内に設置し、濃度967ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、アンプにより増幅された測定用赤外線検出部31からの出力と、濃度2953ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、アンプにより増幅された測定用赤外線検出部31からの出力から、上述した実施形態2のガス濃度測定装置における上記式(7)に測定用赤外線検出部の出力オフセットを加味した下記式(14)に対応する演算式を導出した。
Figure 0006506124
a1やa2などのオフセットは、代表的なサンプルにて求めた測定用赤外線検出器31や参照用赤外線検出器32の感度スペクトルと、光源20の発光スペクトルから求められる光学的オフセットと、増幅回路のオフセットを足し合わせた代表値である。
[比較例2]
濃度967ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、アンプにより増幅された測定用赤外線検出部の出力と、濃度2953ppmの炭酸ガスを試験容器内に充填した時の、アンプにより増幅された測定用赤外線検出部の出力から、炭酸ガス濃度と測定用赤外線検出部の出力の相関を表す1次関数を導出した。
図5は、上述した実施例1と比較例1を対比した結果を示す図である。
図5の結果より、実施例1の演算式によると、濃度396ppmでは−12ppm、濃度967ppmでは0ppm、濃度1919ppmでは38ppm、濃度2953ppmでは0ppm、濃度4914ppmの高濃度領域でも25ppmの誤差にとどまった。
一方、比較例1の演算式によると、濃度396ppmでは−154ppm、濃度967ppmでは0ppm、濃度1919ppmでは77ppm、濃度2953ppmでは0ppm、濃度4914ppmに至っては−375ppmの誤差が生じた。
以上の結果より、実施形態1のガス濃度演算装置によれば、従来の濃度算出式よりも広範囲で高精度な濃度演算が可能であることが理解される。
図6は、上述した実施例2と比較例2を対比した結果を示す図である。
図6の結果より、実施例2の演算式によると、濃度396ppmでは−8ppm、濃度967ppmでは0ppm、濃度1919ppmでは41ppm、濃度2953ppmでは0ppm、濃度4914ppmの高濃度領域でも19ppmの誤差にとどまった。
一方、比較例2の演算式によると、濃度396ppmでは−130ppm、濃度967ppmでは0ppm、濃度1919ppmでは115ppm、濃度2953ppmでは0ppm、濃度4914ppmに至っては−496ppmの誤差が生じた。
以上の結果より、実施形態2のガス濃度演算装置によれば、参照用赤外線検出部を用いない場合でも、従来の濃度算出式よりも広範囲で高精度な濃度演算が可能であることが理解される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の技術的範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることも可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明は、炭酸ガス等に代表される赤外線吸収を生じるガスのガス濃度測定装置として好適である。
10 ガスセル
11 ガス導入口
12 ガス導出口
20 光源
31 測定用赤外線検出部
32 参照用赤外線検出部
40 演算部
41 係数算出部
42 比演算部
43 乗算部
44 濃度演算部

Claims (12)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を受光する測定用赤外線検出部と、
    前記測定用赤外線検出部の近傍に配置された参照用赤外線検出部と、
    前記測定用赤外線検出部及び前記参照用赤外線検出部からの出力が入力される演算部と、
    を備えたガス濃度測定装置であって、
    前記演算部は、
    第1の濃度と、
    前記第1の濃度とは異なる第2の濃度と、
    前記第1の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第1の測定出力と、
    前記第1の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記参照用赤外線検出部が出力する第1の参照出力と、
    前記第2の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第2の測定出力と、
    前記第2の濃度の測定対象ガス中で前記光源を点灯させた時に前記参照用赤外線検出部が出力する第2の参照出力と、
    に基づいて得られる係数を含む算出式と、
    測定時の前記参照用赤外線検出部の出力に対する前記測定用赤外線検出部の出力の比に、前記第1の測定出力及び前記第1の参照出力に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算するガス濃度測定装置。
  2. 前記係数は、
    第1の濃度と、
    前記第1の濃度とは異なる第2の濃度と、
    前記第1の測定出力に対する前記第1の参照出力の比と、
    前記第2の測定出力に対する前記第2の参照出力の比と、に基づいて得られる請求項1に記載のガス濃度測定装置。
  3. 前記演算部は、
    前記係数を含む算出式と、
    測定時の前記参照用赤外線検出部の出力に対する前記測定用赤外線検出部の出力の比に、前記第1の参照出力に対する前記第1の測定出力の比を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算する請求項1または請求項2に記載のガス濃度測定装置。
  4. 前記演算部は、下記式(1)に基づいて測定対象ガスの濃度を演算する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス濃度測定装置。
    Figure 0006506124
    (式中、c1は第1の濃度、c2は第2の濃度、Rc1は第1の濃度における測定用赤外線検出部の出力に対する参照用赤外線検出部の出力比、Rc2は第2の濃度における測定用赤外線検出部の出力に対する参照用赤外線検出部の出力比、Voutは測定時の測定用赤外線検出部の出力、Vrefは測定時の参照用赤外線検出部の出力である。)
  5. 前記式(1)の各パラメータにオフセットを加味する請求項4に記載のガス濃度測定装置。
  6. 前記演算部は、
    前記係数を含む算出式を算出する係数算出部と、
    測定時の前記参照用赤外線検出部の出力に対する前記測定用赤外線検出部の出力の比を演算する比演算部と、
    前記比演算部で演算された比に、前記第1の参照出力に対する前記第1の測定出力の比を掛ける乗算部と、
    前記係数算出部で算出された算出式と、前記乗算部の値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算する濃度演算部と、
    を備えている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガス濃度測定装置。
  7. 光源と、
    前記光源からの光を受光する測定用赤外線検出部と、
    前記測定用赤外線検出部からの出力が入力される演算部と、
    を備えたガス濃度測定装置であって、
    前記演算部は、
    第1の濃度と、
    前記第1の濃度とは異なる第2の濃度と、
    前記第1の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第1の測定出力と、
    前記第2の濃度の測定対象ガス中で光源を点灯させた時に前記測定用赤外線検出部が出力する第2の測定出力と、
    に基づいて得られる係数を含む算出式と、
    測定時の測定用赤外線検出部からの出力に、前記第1の測定出力に基づく値を掛けた値と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算するガス濃度測定装置。
  8. 前記係数は、
    第1の濃度と、
    前記第1の濃度とは異なる第2の濃度と、
    前記第1の測定出力に対する前記第2の測定出力の比と、に基づいて得られる請求項7に記載のガス濃度測定装置。
  9. 前記演算部は、
    前記係数を含む算出式と、
    測定時の前記測定用赤外線検出部の出力に対する前記第1の測定出力の比と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算する請求項7または請求項8に記載のガス濃度測定装置。
  10. 前記演算部は、下記式(2)に基づいて測定対象ガスの濃度を演算する請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のガス濃度測定装置。
    Figure 0006506124
    (式中、c1は第1の濃度、c2は第2の濃度、Vout(c1)は第1の濃度における測定用赤外線検出部の出力、Vout(c2)は第2の濃度における測定用赤外線検出部の出力、Voutは測定時の測定用赤外線検出部の出力である。)
  11. 前記式(2)の各パラメータにオフセットを加味する請求項10に記載のガス濃度測定装置。
  12. 前記演算部は、
    前記係数を含む算出式を算出する係数算出部と、
    測定時の前記測定用赤外線検出部の出力に対する前記第1の測定出力の比を演算する比演算部と、
    前記係数算出部で算出された算出式と、前記比演算部で演算された比と、に基づいて測定対象ガスの濃度を演算する濃度演算部と、
    を備えている請求項7から請求項11のいずれか一項に記載のガス濃度測定装置。
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