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JP6508007B2 - 制御システム - Google Patents
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Description

本発明は、車両に搭載された車載装置を制御する制御システムに関する。
例えば、特許文献1には、車両において用いられる電子制御装置について開示されている。この特許文献1の電子制御装置は、複雑な大規模システム開発を行う際の開発期間の短縮や、様々な車種に対応できるようなバリエーション対応のための開発期間の短縮を図ることを目的としている。そのため、特許文献1の電子制御装置では、その内部構成として、階層化された分散制御プラットフォーム構成を採用している。具体的には、制御内容が示された制御ロジックが差し込まれることで、この制御ロジックに示された制御内容を実現する機能構成フレームワークを含むアプリケーション層と、システム開発全体で共有すべきリソースをルールに基づいて一元管理するシステムインフラ層と、ECU、センサ、アクチュエータの電気特性などに加え、ネットワークまで含んだハードウェアシステム全体を抽象化するハードウェア抽象化層とによって分散制御プラットフォームを構成する。このようにして、制御ロジック以外の部分に関して、各電子制御装置で共通化することにより、目的の達成を図っている。
特開2006−142994号公報
上述した特許文献1の電子制御装置を含め、従来の電子制御装置では、制御ロジックに加えて、電源、通信、安全機能などの電子制御装置の動作環境についても、個々の電子制御装置毎に個別に設計していた。例えば、異常発生時に車両が退避走行を行う場合の電源の冗長性が確保されているか、通信異常に対する備えがなされているか、あるいは、種々の条件での安全性の検知がなされているかなど、様々な状況を想定して、個別に動作環境に関する設計を行っていた。
このため、複数の電子制御装置からなる大規模システムを開発したり、そのバリエーションを設計したりする場合に、上述した動作環境に関する設計負荷が大きくなる虞があった。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、大規模なシステムの開発や、そのバリエーション設計を行う際の、動作環境に関する設計負荷の増大を抑制することが可能な制御システムを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明による制御システム(1)は、車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御するものであって、
制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで車載装置を制御するものであり、
複数の論理ブロックの動作状態及び車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
各種のシーンと、それら各種のシーンにおける複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
記憶部に記憶された関係に基づき、シーン特定部によって特定されたシーンに対応する複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備えることを特徴とする。
このように、本発明による制御システムでは、制御システムを構成する複数の論理ブロックに関して、それぞれ独自に動作環境について定めるのではなく、複数の論理ブロックの動作環境を一元的に管理するように構成した。具体的には、記憶部に、各種のシーンと、それら各種のシーンにおける複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶しておく。そして、シーン特定部によって、現在の状況に対応するシーンを特定する。その特定したシーンに基づいて、動作環境提供部が、記憶部に記憶された関係から複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を複数の論理ブロックの各々に対して提供する。
このように、複数の論理ブロックの動作環境を一元的に管理する構成を設けたため、論理ブロック毎に個別に動作環境を設計する場合に比較して、設計負荷を軽減することができる。また、バリエーション設計のため、論理ブロックの廃止、追加、統合などが行われる場合でも、その対応が容易になる。
上記括弧内の参照番号は、本発明の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
また、上述した特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
ハイブリッド車両における各車載装置を制御するために、制御システムが有する各種機能の一例を示した機能ブロック図である。 各論理ブロックが、それぞれ、電源インターフェース、安全機能インターフェース、通信インターフェースなどの、動作環境提供インターフェースを備えることを示す図である。 電源インターフェースについて説明するための構成図である。 電源インターフェースについて説明するための説明図である。 安全機能インターフェースについて説明するための構成図である。 安全機能インターフェースについて説明するための説明図である。 通信インターフェースについて説明するための構成図である。 通信インターフェースについて説明するための説明図である。 動作環境提供インターフェースが、複数の論理ブロックの各々に対して、特定されたシーンに応じた動作環境を提供するための制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態の構成を概略的に示す構成図である。 調停部による調停の具体的な手法を説明するための説明図である。 調停部による調停の他の具体的な手法を説明するための説明図である。 変形例について説明するための説明図である。 他の変形例の構成を示す構成図である。 その他の変形例の構成を示す構成図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る制御システムの第1実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下に説明する第1実施形態では、車両の走行駆動源として、エンジンと電動モータとを有するハイブリッド車両に搭載される各種の車載装置からなる車載システムに対して、本発明による制御システムを適用した例について説明する。しかしながら、本発明による制御システムは、ハイブリッド車両における車載システムの制御に適用されるばかりでなく、エンジンのみを有する通常の車両や、電動モータのみを有する電動車両の車載システムの制御に適用されても良い。
図1は、上述したハイブリッド車両における各車載装置を制御するために、制御システム1が有する各種機能の一例を機能ブロック図として表したものである。ただし、図1に示す例では、制御システム1が有する機能の全てが示されている訳ではない。これは、説明の便宜のため、図1には、本実施形態に係る制御システム1の特徴を説明するために必要な構成の一例しか示していないためである。
具体的には、図1には、制御システム1が制御対象とする車載装置として、エンジン21、ISG(Integrated Starter Generator)22、及び高圧バッテリ23を制御するための機能ブロックしか示していない。しかしながら、制御システム1が制御する車載システムには、その他にも、変速機、ブレーキ装置、ステアリング装置、エアコン装置、シートヒータなど各種の車載装置を含ませても良く、この場合、制御システム1は、それらの車載装置を制御するための機能ブロックを備えることになる。
また、本実施形態では、加速時にエンジン21の出力するトルクをアシストしたり、減速時に電力回生を行ったりするモータとして、ISG22を採用している。ISG22は、ベルトを介してエンジン21のクランクプーリに接続される。そして、ISG22は、停止しているエンジン21を始動するスタータ機能、車両の加速時にエンジン21が発生する駆動トルクをアシストするモータ機能、さらに、減速時に発電するジェネレータ機能を発揮する。しかしながら、ISG22に代えて、例えば、プラネタリギヤからなる動力分割機構を介して、エンジン21に対して2つのモータジェネレータを接続した構成を採用しても良い。この場合、一方のモータジェネレータは、エンジンの余剰トルクによる発電や、停止しているエンジンの始動を行う役割を担い、他方のモータジェネレータは、単独で車両を駆動するための出力トルクを発生したり、エンジンの出力トルクをアシストしたり、減速時に電力を回生したりする役割を担う。
図1に示すように、制御システム1は、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(機能ブロック)2〜5、11〜18に区分けされ、それら複数の論理ブロック2〜5、11〜18間の連結関係を規定することによって構成されている。すなわち、制御システム1における各種の車載装置21〜23を制御するための論理構造が、論理ブロック2〜5、11〜18と、論理ブロック2〜5、11〜18間の連結関係によって規定されている。そして、制御システム1は、複数の論理ブロック2〜5、11〜18が、規定された連結関係に従って連携して動作することにより、各種の車載装置21〜23を制御する。
なお、図1には示していないが、各論理ブロック2〜5、11〜18は、少なくとも1つ、通常は多数の制御ブロックを有している。各論理ブロック2〜5、11〜18は、それら多数の制御ブロックにおける演算処理を適宜組み合わせることにより、それぞれの機能(役割)を発揮する。
例えば、論理ブロックとしてのエンジン制御部16は、エンジンの運転状態を検出すべく、各種のセンサからのセンサ信号を入力して、論理ブロック内で取り扱うことができる信号に変換する制御ブロックを有する。また、センサ信号から把握されるエンジンの運転状態から現状の発生トルクを算出するとともに、上位の論理ブロック(PTC12)から指示された指令トルクと差異がある場合に、その差異をなくすための目標とするエンジン運転状態を算出する制御ブロックを有する。さらに、目標エンジン運転状態を達成するための燃料噴射量と燃料噴射時期、及び点火時期を算出する制御ブロックを有する。その他にも、例えば、エンジンの発熱温度に応じて、エンジンの温度調節を実行する制御ブロックなども有する。ただし、これらは単なる例示であって、エンジン制御部16は、その機能を発揮するために必要な、その他の演算処理を行う制御ブロックを有する場合もあり得る。また、例示された制御ブロックを含め、エンジン制御部16内の制御ブロックは、適宜、統合されたり、逆に、細分化されたりすることが可能なものである。
制御システム1は、実際には、各論理ブロック2〜5、11〜18を、プログラムやデータベースとして、電子制御装置(ECU)に実装することにより具現化される。この際、論理ブロック間の連結関係が維持できる限り、各論理ブロック2〜5、11〜18を実装する電子制御装置の数は任意である。ただし、複数の論理ブロック2〜5、11〜18を共通の電子制御装置に実装する場合、それら複数の論理ブロック2〜5、11〜18が異なる動作環境にて動作させることが必要であれば、動作環境を個別に設定できるよう、電子制御装置は、動作環境を個別に設定する論理ブロックの数に対応したMPUコアや、電源回路、通信回路などを備えていることが必要となる。
また、各論理ブロック2〜5、11〜18を複数の電子制御装置に振り分けて実装する場合には、それら複数の電子制御装置は、論理ブロックの連結関係を維持できるように、個別の通信線を介して接続されたり、各電子制御装置が共通のネットワークに接続され、連結関係に従う所望の電子制御装置同士が通信可能に構成されたりする必要がある。
次に、図1に論理ブロック2〜5、11〜18として例示した、制御システム1が有する各種の機能及び各論理ブロック2〜5、11〜18の連結関係について説明する。
図1に示すように、制御システム1は、各種の情報を取得するための論理ブロックを有する。例えば、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)2は、ハイブリッド車両の運転のため、運転者によって操作される操作部の操作量を取得するための論理ブロックである。なお、運転者によって操作される操作部には、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイールなどが含まれる。それら操作部における各々の操作量がセンサ等によって検出され、HMI2にて取得される。
図1に示すように、ハイブリッド車両は、走行支援のための各種の制御機能も備えている。例えば、ハイブリッド車両は、アダプティブクルーズコントロールシステム(ACC)3、パーキングコントロールシステム(PCS)4、レーンキープアシストシステム(LKA)5の機能を備えている。その他にも、ハイブリッド車両が、アンチロックブレーキシステム(ABS)、トラクションコントロールシステム(TRC)、ビークルスタビリティコントロールシステム(VSC)、プリクラッシュセーフティシステム(PCSC)などの機能を備えても良い。
上記したHMI2において取得した操作量や、走行支援のための各種の制御機能からの情報は、制御システム1の前後挙動調整機能を担う論理ブロックであるVLC11に与えられる。HMI2において取得した操作量や、走行支援のための制御機能によって、車両の駆動トルクが決定されるためである。ただし、必要に応じて、入力された情報は、他の論理ブロックにも与えられても良い。
VLC11は、原則として運転者の操作に対応するように車両の前後方向の挙動を制御し、走行支援機能が作動しているときには、その走行支援機能による要請に応じた前後方向挙動を実現すべく、前後方向の目標加速度(減速度)を算出する。さらに、VLC11は、その目標加速度(減速度)を実現するための目標駆動トルク(車軸トルク目標値)を算出する。このようにして算出された車軸トルク目標値は、駆動力調整機能を担う論理ブロックであるPTC(Power Train Coordinator)12に出力される。
PTC12は、VLC11から出力された車軸トルク目標値を実現するために、それぞれ、エンジン21及びISG22が分担するトルク(エンジントルク及びISGトルク)を算出する。この際、PTC12は、例えばエンジン21の等燃費曲線を参照し、極力、エンジン21の燃費が良好となるように、エンジン21のエンジントルクを定める。そして、PTC12は、車軸トルク目標値に対して、エンジントルクでは不足する分を、ISGトルクとして定める。このようにして算出されたエンジントルク及びISGトルクは、モータジェネレータ調整機能を担う論理ブロックであるMGC(Motor Generator Coordinator)13に出力される。
図1において、バッテリ制御機能を担う論理ブロックであるバッテリ制御部18は、高圧バッテリ23の電圧、電流、及び温度を検出し、その検出結果を、電気負荷調整機能を担う論理ブロックであるELC(Electric Load Coordinator)15に出力する。また、バッテリ制御部18は、検出した電圧、電流、及び温度に基づき、高圧バッテリ23に異常が発生しているか否かを判断する。さらに、バッテリ制御部18は、検出した温度に基づいて、図示しない冷却ファンを駆動することにより、高圧バッテリ23の温度上昇を抑制する。
ELC15は、バッテリ制御部18から提供された高圧バッテリ23の電圧、電流、及び温度に基づき、バッテリ容量に対する充電残量の比率である充電レベル(SOC)を算出する。そして、ELC15は、算出したSOCに基づいて、高圧バッテリ23の最大許容放電量や要求充電量を算出して、MGC13に出力する。なお、高圧バッテリ23のSOC算出処理等は、MGC13にて実行しても良い。
また、ACトルク負荷算出部14は、例えば、エアコン装置がエンジン21によって回転駆動されるコンプレッサを備えている場合に、そのコンプレッサを回転駆動するための、エンジン21におけるトルク負荷を算出する。ACトルク負荷算出部14は、算出したトルク負荷をPTC12に出力する。
ここで、車両には、ISG22に対して駆動電圧を提供したり、ISG22によって発電された電圧を蓄電したりする高圧バッテリ23の他に、車両に搭載された各種の電気負荷(ECU、モータ、表示モニタ、オーディオ機器等)に動作電圧を提供する低圧バッテリ(メインバッテリ34、サブバッテリ35:図3参照)も設けられている。高圧バッテリ23と低圧バッテリとは、降圧コンバータを介して接続されており、ELC15が、降圧コンバータを動作させることにより、高圧バッテリ23により低圧バッテリを充電可能となっている。そのため、ELC15は、低圧バッテリの充電レベル及び上述した電気負荷の作動状態を検出し、充電が必要であるか否かを判定する。充電が必要と判定した場合、ELC15は、降圧コンバータを作動させる。
さらに、ELC15は、低圧バッテリから供給される電力により作動する電気負荷による電力消費量を算出する。そして、ELC15は、算出した電力消費量を、電気エネルギー調停要求としてMGC13に出力する。
MGC13は、PTC12から出力されたエンジントルク及びISGトルクを補正するトルク補正処理を実行する。そして、MGC13は、補正した補正エンジントルクをPTC12に返送し、補正した補正ISGトルクを目標ISGトルクとしてISG制御部17に出力する。
以下、MGC13におけるエンジントルク及びISGトルクの補正処理について説明する。MGC13は、ELC15から出力された高圧バッテリ23の最大許容放電量や要求充電量、及び電気エネルギー調停要求などに基づいて、エンジントルク及びISGトルクを補正する。
例えば、MGC13は、ELC15から出力された最大許容放電量に基づいて、ISG22が発生可能な最大トルクを算出する。そして、ISGトルクが発生可能な最大トルクを超えている場合、MGC13は、ISGトルクを最大トルク以下のトルクに補正する。さらに、ISGトルクの減少分だけ増加するようにエンジントルクを補正する。
また、例えば、MGC13は、電気負荷による電力消費量が所定レベルよりも大きい場合には、電気負荷に対する電力供給に備えて、エンジン21のエンジントルクを増加し、ISG22のISGトルクを減少させる補正を行う。この際、ISG22のISGトルクの減少により節約できる電力量と、エンジン21のエンジントルクの増加により余分に消費することになる燃料量とから電費を算出する。そして、MGC13は、この電費が極力小さくなるように、エンジントルクの増加量と、ISGトルクの減少量とを決定する。
PTC12は、MGC13から補正エンジントルクを受領すると、目標エンジントルクとしてエンジン制御部16に出力する。エンジン制御部16は、与えられた目標エンジントルクを発生させるべく、エンジン21の吸入空気量、点火時期、燃料噴射量及びその噴射タイミングなどを制御する。
ISG制御部17は、ISG22の各相のコイルに接続されたインバータを有する。ISG制御部17は、目標ISGトルクとして、補正ISGトルクをMGC13から受領すると、その目標ISGトルクを発生させるべく、ISG22の回転を検知し、その検知した回転状態に基づき、インバータを制御する。
一方、MGC13は、ELC15から出力された要求充電量に応じて、回生ブレーキ時にISG22が発生すべき回生電力量を定める。そして、回生ブレーキが行われる時に、ISG制御部17に対して回生電力量を指示する。この場合、ISG制御部17は、指示された回生電力量となるように、インバータを制御する。
次に、本実施形態に係る制御システム1の特徴について説明する。上述したように、各論理ブロック2〜5、11〜18が、それぞれ電子制御装置に実装されることで、本実施形態に係る制御システム1が具現化される。この際、各論理ブロック2〜5、11〜18が実装される電子制御装置毎に、電源、通信、安全機能などの動作環境を個別に設計しようとすると、システムが大規模となり、論理ブロックの数が増加するほど、その設計負荷も増大することになる。
そのため、本実施形態に係る制御システム1では、図2に示すように、制御システム1を構成する複数の論理ブロック2〜5、11〜18にて、それぞれ独自に動作環境について定めるのではなく、それら複数の論理ブロック2〜5,11〜18の動作環境を一元的に管理するように構成した。具体的には、図2に示すように、各論理ブロック2〜5、11〜18に対し、その時々の状況に適した動作環境を提供するべく、電源インターフェース(IF)、安全機能IF、通信IFなどの、動作環境提供IFを設けた。この動作環境提供IFが、各論理ブロック2〜5、11〜18に対して、電源、通信、安全機能に関する動作環境を提供する。このように、本実施形態に係る制御システム1では、動作環境提供IFにより各論理ブロック2〜5、11〜18の動作環境を一元的に管理するように構成されているので、論理ブロック2〜5、11〜18毎に個別に動作環境を設計する場合に比較して、設計負荷を軽減することができる。また、バリエーション設計のため、論理ブロック2〜5,11〜18の廃止、追加、統合などが行われる場合でも、それに対応して、動作環境提供IFを改変すれば良いだけであるため、容易に対応可能となる。
以下、動作環境提供IFの具体例として、電源IF、安全機能IF、及び通信IFについて、それぞれ、図面を参照しつつ説明する。最初に、図3及び図4に基づいて、電源IF30の具体例を説明する。なお、説明の便宜のため、図3及び図4には、論理ブロックとして、VLC11、PTC12、及びACトルク負荷算出部14のみが示されている。
図3に示すように、電源IF30は、シーン特定部31、記憶部32、及び電源提供部33を有している。シーン特定部31は、複数の論理ブロック11、12、14のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定する。例えば、シーン特定部31は、制御システム1を起動すべき状態(起動状態)、エアコン装置が停止されて、ACトルク負荷算出部14が動作不要となる状態(スリープ状態)、車両を走行させるために車載装置としてのエンジン21やISG22が駆動トルクを発生するとともに、エアコン装置も稼働している状態(通常制御状態)、車載装置や制御システム1になんらかの異常が発生した状態(異常状態)、及び制御システム1が停止される状態(停止状態)などを、シーンとして特定する。なお、これらのシーンの特定に関しては、複数の論理ブロック11、12、14のそれぞれの動作状態や、制御システム1による車載装置21〜23の制御状態へ影響を及ぼす各種のスイッチやセンサからの信号に基づいて、シーンが特定されたり、シーンの遷移が判断されたりする場合がある。
記憶部32は、上述した各種のシーンと、それら各種のシーンにおける複数の論理ブロック11、12、14の動作環境としての電源供給状態との関係を予め記憶している。この記憶の形態については、例えば、各種シーンと電源供給状態との関係をリストとして記憶しても良い。また、各種シーンを状態として捉え、その各種シーンの状態に関連づけて電源供給状態を記憶しておき、特定されたシーンに応じて状態を切り換えることにより、対応する電源供給状態を抽出できるようにしても良い。さらに、各種シーンが、複数の要因により特定されるシーンを含む場合、シーンを特定するための要因を階層化し、最下層に電源供給状態を紐付けるようにして、各種シーンと電源供給状態との関係を記憶しても良い。
記憶部32に記憶される各種シーンと電源状態との関係として、例えば、起動状態では、VLC11に電源を供給するが、PTC12及びACトルク負荷算出部14には電源を供給しないことが記憶される。また、スリープ状態では、VLC11及びPTC12には電源を供給するが、動作不要なACトルク負荷算出部14には電源を供給しないことが記憶される。なお、このような各種のシーンと各論理ブロック11、12,14への電源供給の有無との関係は、各シーンにおける各論理ブロック11、12、14の動作の必要性に応じて適宜定められる。
さらに、記憶部32は、各種のシーンにおいて、メインバッテリ34とサブバッテリ35の使用状態も記憶している。つまり、本実施形態に係る制御システム1においては、異常状態を含む各種のシーンにおいて必要な電源が確実に提供されるようにするため、図3に示すように、車両には、メインバッテリ34とサブバッテリ35の2つの低圧バッテリが搭載されている。記憶部32には、各種のシーンで、2つの低圧バッテリが、どのように電源供給のために使用されるかに関する情報も記憶されているのである。この各種シーンと2つの低圧バッテリの使用状態との関係は、記憶部32において、上述した各種シーンと各論理ブロック11、12、14への電源供給状態との関係と一緒に記憶されても良いし、独立して記憶されても良い。
記憶部32に記憶される各種のシーンと2つの低圧バッテリの使用状態との関係としては、例えば、起動状態では、メインバッテリ34が蓄電している電力をすべて提供する状態(100%使用可能状態)とすることで電源の提供がなされることが記憶される。また、スリープ状態では、メインバッテリ34の蓄電電力を100%使用可能とする一方で、サブバッテリ35の蓄電電力は60%までの使用に制限することが記憶される。
電源提供部33は、シーン特定部31から特定されたシーンを示す情報を取得する。そして、電源提供部33は、記憶部32に記憶された関係や、各種のシーンにおけるメインバッテリ34とサブバッテリ35の使用状態を示す情報を参照して、特定されたシーンにおける、各論理ブロック11、12、14への電源供給に関する動作環境を抽出する。具体的には、電源提供部33は、特定されたシーンに基づき、いずれの論理ブロック11、12、14への電源供給を、メインバッテリ34とサブバッテリ35とをどのように使用して行うかに関する動作環境を抽出する。電源提供部33は、抽出した動作環境に従い、メインバッテリ34及びサブバッテリ35の少なくとも一方を用いて、該当する論理ブロック11、12、14への電源供給を行う。
図4は、特定されるシーンの遷移に応じて、メインバッテリ34及びサブバッテリ35の使用状態及び各論理ブロック11,12、14への電源供給が変化する様子の一例を示したものである。
上述したように、記憶部32には、各種のシーンと複数の論理ブロック11、12、14の電源供給状態との関係、及び各種のシーンにおけるメインバッテリ34とサブバッテリ35の使用状態が記憶されている。このため、シーン特定部31にて特定されたシーンに基づき、図4に示すように、電源供給元としての構成(メインバッテリ34とサブバッテリ35との使用状態)と、電源供給先(電源供給を行う必要がある論理ブロック11、12、14)とを結び付けることができる。例えば、図4に示す例では、特定されたシーンが通常制御状態である場合、ともに100%使用可能な状態とされたメインバッテリ34及びサブバッテリ35からなる電源供給元と、VLC11、PTC12、及びACトルク負荷算出部14を含む電源供給先とが結び付けられる。一方、特定されたシーンが異常状態である場合には、車両が退避走行などを確実に行えるように、サブバッテリ35を100%使用可能な状態として、電源供給の主体とする一方で、メインバッテリ34を補助的に使用するように構成される電源供給元と、退避走行に無関係なACトルク負荷算出部14を除外し、VLC11及びPTC12だけを含む電源供給先とが結び付けられる。ただし、異常状態であると特定された場合、メインバッテリ34を使用せず、サブバッテリ35だけで電源供給を行うようにしても良い。また、ACトルク負荷算出部14が作動する必要がないスリープ状態では、100%使用可能な状態とされたメインバッテリ34及び60%に使用が制限されたサブバッテリ35からなる電源供給元と、VLC11及びPTC12だけを含む電源供給先とが結び付けられる。
なお、経時的にシーンが遷移することにより、その遷移したシーンからシナリオが構築されることになる。図4には、シーンの遷移により典型的なシナリオが構築された場合の、電源供給元としての構成と、電源供給先との結びつきの移り変わりの一例を示している。
このように、電源IF30は、シーン特定部31により特定されたシーンに応じて、複数の論理ブロック11、12、14の各々への電源供給の有無を論理ブロック単位で個別に設定可能である。これにより、各論理ブロック11、12、14の動作状態や、制御システム1による車載装置21〜23の制御状態などに基づき、各論理ブロック11、12、14に対して、適切な電源供給環境を提供することができる。また、電源IF30により、各論理ブロック11、12、14の電源供給環境を一元的に管理することができるため、各論理ブロック11、12、14の電源供給環境に関する設計負荷を軽減することが可能になる。
次に、図5及び図6に基づいて、安全機能IF40の具体例を説明する。なお、説明の便宜のため、図5及び図6には、上述した電源IF30の説明の場合と同様に、論理ブロックとして、VLC11、PTC12、及びACトルク負荷算出部14のみが示されている。
図5に示すように、安全機能IF40は、電源IF30と同様に、シーン特定部41、記憶部42を有している。さらに、安全機能IF40は、安全機能提供部43を有している。
シーン特定部41は、複数の論理ブロック11、12、14のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するものである。シーン特定部41は、安全機能に関するシーンとして、例えば、複数の論理ブロック11、12、14による制御に異常が生じていない状況では、現在の状況を、異常の発生を検出するための異常検出シーンと特定する。そして、なんらかの異常が検出されると、シーン特定部41は、確かに異常が発生した状況であるかを確定するための異常確定シーンと特定する。その後、実際に異常が発生していることが確定されると、シーン特定部41は、安全を確保するべく、現在の状況を、車両を安全に停止させたり、車載装置21、22の動作を停止させたりするための停止シーンと特定する。また、車載装置21、22の停止により異常(例えば、発熱異常)が解消された場合には、シーン特定部41は、車載装置21,22の動作を復帰させる復帰シーンと特定する。
ここで、安全機能を確保するための構成として、本実施形態に係る制御システム1は、図5に示すように、異常検出手段、異常確定手段、車載装置21、22などの停止手段及び復帰手段として機能する異常判定・フェールセーフ実行部50を備えている。
異常判定・フェールセーフ実行部50は、車両G判定部51、エネルギー収支判定部52、及びENGトルク判定部53を備え、これらの判定部51〜53の判定結果に基づいて、異常検出及び異常確定を実施する。具体的には、複数の論理ブロック11、12、14による制御に異常が生じておらず、その異常の発生を監視する状況では、異常判定・フェールセーフ実行部50は、車両G判定部51を用いて、異常検出を実施する。例えば、車両G判定部51は、図示しないセンサにより検出される車両の前後加速度(前後G)が、制御システム1が定めた前後方向の目標Gと一致しているか否かに基づき、異常検出を行う。すなわち、本例では、車両G判定部51が異常検出手段に相当する。
実際に検出される前後Gが、制御システム1が定めた目標Gと一致しない場合、制御システム1の制御や、車載装置21〜23になんらかの異常が生じている可能性がある。その場合、異常判定・フェールセーフ実行部50は、エネルギー収支判定部52、及びENGトルク判定部53を用いて、異常確定を実施する。具体的には、エネルギー収支判定部52は、エネルギーの収支が、制御システム1が定めたエンジントルクとISGトルクとの分担や、ISG22による電力回生に対応しているか否かを判定する。また、ENGトルク判定部53は、エンジン21が、制御システム1により定められたエンジントルクを発生しているか否かを判定する。つまり、エネルギー収支判定部52及びENGトルク判定部53による判定結果により、各論理ブロックの制御機能が正常に働いているか、あるいは車載装置21,22が正常に作動しているかを確認する。そして、論理ブロックや車載装置に異常が生じている旨判定されると、異常発生の確定を行う。すなわち、本例では、エネルギー収支判定部52及びENGトルク判定部53が異常確定手段に相当する。
そして、エネルギー収支判定部及びENGトルク判定部53の判定結果から、異常の発生が確定されると、フェールセーフ処理部54が、異常が発生している論理ブロックや車載装置の動作を停止させる。あるいは、必要に応じて、車両を退避走行させるとともに、運転者に対して、車両を安全な場所に停止させるように促す。発生した異常が致命的なものではなく、例えば車載装置の動作停止により、正常な状態に復帰した場合には、フェールセーフ処理部54は、論理ブロックや車載装置の動作の停止を解除し、通常の制御状態に復帰させる。すなわち、本例では、フェールセーフ処理部54が、停止手段及び復帰手段に相当する。
記憶部32は、上述した各種のシーンにおいて、複数の論理ブロック11、12、14の動作環境として、複数の論理ブロック11、12、14のいずれに対して、安全機能を確保するための構成の内、どの手段を適用するかを示す関係が記憶されている。
安全機能提供部43は、シーン特定部41から特定されたシーンを示す情報を取得する。そして、安全機能提供部43は、記憶部42に記憶された関係を参照し、特定されたシーンにおいて、各論理ブロック11、12、14へ適用する安全機能を確保するための構成における手段を抽出して、適用する。
図6は、特定されるシーンの遷移に応じて、各論理ブロック11、12、14に適用される安全機能を確保するための手段が変化する様子の一例を示したものである。図6に示すように、例えば、異常検出シーンでは、安全機能IF40は、異常検出手段としての車両G判定部51を、第1の論理ブロックとしてのVLC11に適用して結びつける。これにより、車両G判定部51は、VLC11から、制御システム1が定めた目標Gを取得して、異常検出を行うことが可能になる。
また、例えば、異常確定シーンでは、安全機能IF40は、異常確定手段としてのエネルギー収支判定部52及びENGトルク判定部53を、第2の論理ブロックとしてのPTC12及びACトルク負荷算出部14に適用して結びつける。これにより、エネルギー収支判定部52は、PTC12及びACトルク負荷算出部14から、エネルギー収支に関する目標値を取得して、異常確定のための判定を実施することが可能となる。また、ENGトルク判定部53では、PTC12から目標エンジントルクを取得して、異常確定のための判定を実施することが可能になる。
さらに、例えば、停止シーン及び復帰シーンでは、安全機能IF40は、停止手段としてのフェールセーフ処理部54を、第3の論理ブロックとしてのVLC11及びPTC12に適用して結びつける。これにより、フェールセーフ処理部54は、VLC11及びPTC12に対して、車両の退避走行や車載装置の動作の停止などを指示することが可能となる。また、復帰シーンでは、復帰手段としてのフェールセーフ処理部54が、VLC11及びPTC12に対し、動作の停止を解除し、通常の制御状態に復帰するよう指示することが可能になる。
このように、安全機能提供部43は、シーン特定部41によって特定されたシーンに応じて、複数の論理ブロック11、12、14の各々へ、安全機能を図るための手段としての、異常検出手段、異常確定手段、停止手段及び復帰手段のいずれの手段を適用するかを個別に設定することが可能である。このため、特定されたシーンに応じて、各論理ブロック11,12、14に対して適切な手段を適用して、制御システム1の安全機能を図ることが可能となる。
次に、図7及び図8に基づいて、通信IF60の具体例を説明する。なお、説明の便宜のため、図7及び図8には、論理ブロックとして、VLC11及びPTC12のみが示されている。
図7に示すように、通信IF60は、シーン特定部61、記憶部62、及び通信提供部63を有している。
シーン特定部61は、複数の論理ブロック11、12のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定する。シーン特定部61は、通信に関するシーンとして、例えば、VLC11からPTC12へと相対的に重要度の高い信号を通信する状況を、冗長シーンと特定する。また、シーン特定部61は、1本の通信ラインを介してVLC11からPTC12へ通信を行うわせる状況を、通信シーンと特定する。さらに、シーン特定部61は、VLC11からPTC12への通信に異常が発生した場合に、再送シーンと特定する。
ここで、各論理ブロック11、12に対し、動作環境として、各種のシーンに応じた通信手段を提供するために、本実施形態に係る制御システム1は、図8に示すように、冗長部65及び再送部66を含む論理ブロック間通信制御部64を備えている。
VLC11とPTC12との間は、図8に示すように、2本の通信ライン(通信ラインA、通信ラインB)が設けられている。冗長部65は、VLC11がPTC12に対して通信を行うときに、上記2本の通信ラインで並行して通信を行わせることにより、通信する信号を冗長化する。また、再送部66は、VLC11からPTC12へと1本の通信ラインを用いた通信を行わせる。さらに、再送部66は、VLC11からPTC12への通信に異常が生じた場合に、その通信異常が生じた信号を再送させる。
記憶部62は、上述した各種のシーンと、それら各種のシーンにおける複数の論理ブロック11、12間の通信手段の構成を示す関係を記憶している。
通信提供部63は、シーン特定部61から、特定されたシーンを示す情報を取得する。そして、通信提供部63は、記憶部62に記憶された関係を参照し、特定されたシーンにおいて、各論理ブロック11、12、14へ適用する通信手段を抽出して適用する。
図8は、特定されるシーンの遷移に応じて、各論理ブロック11、12間の通信に適用される通信手段が変化する様子の一例を示したものである。図8に示すように、例えば、冗長シーンでは、通信IF60は、通信手段として、冗長部65をVLC11に適用して結びつける。これにより、冗長部65は、VLC11が通信を行う際、2本の通信ラインを用いた冗長化された通信を行うように、VLC11に指示することが可能になる。
また、例えば、通信シーンでは、通信IF60は、通信手段として、再送部66をVLC11及びPTC12に適用して結びつける。この場合、再送部66は、VLC11に対して、通信を行う際に、通信ラインAと通信ラインBとの内、いずれか1本の通信ラインを用いて通信を行うよう指示する。そして、再送部66は、PTC12における信号の受信結果に基づき、VLC11とPTC12間の通信に異常が発生したか否かを監視する。なお、再送部66は、冗長部65により冗長化された信号が通信される際に、通信異常を検出するようにしても良い。
そして、例えば、再送シーンでは、通信IF60は、通信手段として、再送部66をVLC11に適用して結びつける。これにより、再送部66は、VLC11に対して、通信異常が生じた信号を再送するように指示することが可能になる。
このように、通信提供部63は、シーン特定部61によって特定された各種のシーンに応じて、複数の論理ブロック間の各々の通信において、冗長部65や再送部66の適用を個別に設定することが可能である。このため、複数の論理ブロック間で送信する信号の重要度や、通信の成否に応じて、複数の論理ブロック間の通信のために最適な通信手段を適用することが可能になる。
次に、図9のフローチャートに基づいて、動作環境提供IFが、複数の論理ブロック2〜5、11〜18の各々に対して、特定されたシーンに応じた動作環境を提供するための制御処理について説明する。なお、図9のフローチャートに示す処理は、例えば所定時間毎に、繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS100では、複数の論理ブロック2〜5、11〜18のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態を検出する。続くステップS110では、ステップS100において検出した、複数の論理ブロック2〜5、11〜18のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定する。なお、複数の論理ブロック2〜5、11〜18のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態は、それぞれに影響を及ぼす各種のスイッチやセンサからの信号から把握される場合がある。
そして、ステップS120において、ステップS110にて特定されたシーンが、前回の処理で特定されていたシーンから変化したか否かを判定する。シーンが変化したと判定されるとステップS130の処理に進み、変化していないと判定されるとステップS150の処理に進む。
ステップS130では、新たに特定されたシーンに対応する動作環境を、記憶部32、42、62に記憶されている関係を参照して、抽出する。そして、ステップS140において、抽出した動作環境を、該当する論理ブロックに対して提供する。このようにして、シーンが変化したことに応じて、複数の論理ブロックに対して提供する動作環境が変化される。この際、動作環境提供IFは、実質的に同じタイミングで各論理ブロックの動作環境を切り換えることにより、複数の論理ブロックの動作環境の変化を同期させる。
一方、ステップS150では、シーンは変化していないので、それまでの各論理ブロックに対する動作環境をそのまま維持する。
以上、説明したように、本実施形態に係る制御システム1によれば、制御システム1を構成する複数の論理ブロック2〜5、11〜18に関して、それぞれ独自に動作環境を定めるのではなく、動作環境提供IFにより複数の論理ブロック2〜5、11〜18の動作環境を一元的に管理するように構成した。このため、論理ブロック毎に個別に動作環境を設計する場合に比較して、設計負荷を軽減することができる。また、バリエーション設計のため、論理ブロックの廃止、追加、統合などが行われる場合でも、その対応が容易になる。
なお、上述した第1実施形態において、電源IF30、安全機能IF40、及び通信IF60など、異なる要素の動作環境提供IFが設けられる場合、シーン特定部31、41,61は、それぞれの動作環境提供IFに個別に設けられても良いし、同じシーン特定部が複数の動作環境提供IFで共用されても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る制御システムの第2実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
上述した第1実施形態では、制御システム1を構成する複数の論理ブロック2〜5、11〜18に対し、動作環境提供IFとして、複数の要素(電源、安全機能、通信)の動作環境提供IF(電源IF、安全機能IF、通信IF)をそれぞれ設けている。このような場合、各要素の動作環境提供IFが提供する動作環境が好ましくない組み合わせとなったり(例えば、電源IFにおいて特定されたシーンが異常状態であるときに、通信IFにおいて通常の処理を許可するなど)、各要素の動作環境提供IFにより提供される動作環境によって想定していない処理が行われたり(例えば、安全機能IFにおいて異常確定中に、電源IFにおいてACトルク負荷算出部14への電源供給を停止するスリープ状態となるなど)する可能性がある。
そのため、本実施形態では、図10に示すように、複数の要素の動作環境提供IFにより提供される各動作環境を調停する調停部70を設けている。この調停部70は、各要素の動作環境提供IFと通信し、好ましくない動作環境の組み合わせによる処理などを防止するために、必要に応じて、各要素の動作環境提供IFにより提供される動作環境の調停を実施する。
この調停の具体例として、例えば、図11に示すように、動作環境の各要素に優先順位を設定し(例えば、安全>電源>通信)、優先順位が上位の要素の各動作環境に対し、優先順位が下位の要素の動作環境として提供可能な動作環境を予め定めておくことが考えられる。そして、調停部70は、優先順位が最上位の要素(例えば、安全)の動作環境として提供予定の動作環境を起点とし、その動作環境の下で採り得る動作環境の中から、優先順位が下位の要素の動作環境を決定するという処理を、優先順位が最下位の要素まで順次実行する。これにより、調停部70は、動作環境提供IFが提供する複数の要素の動作環境の調停を図ることができる。
例えば、優先順位として、最上位の要素の直下に位置する要素の動作環境提供IFが独自に決定した動作環境が、最上位の要素の動作環境提供IFが提供予定の動作環境の下で選択可能な動作環境であれば、調停部70は、その動作環境を、直下に位置する要素の動作環境として決定する。一方、直下に位置する要素の動作環境提供IFが独自に決定した動作環境が、最上位の要素の動作環境提供IFが提供予定の動作環境の下で選択できない動作環境であれば、調停部70は、その動作環境を、選択可能な動作環境に置き換えるよう、直下に位置する要素の動作環境提供IFに指示する。この調停部70からの指示に関して、動作環境の選択自体を調停部70が行い、その選択した動作環境を提供するよう、直下に位置する要素の動作環境提供IFに指示しても良い。なお、動作環境の置換については、動作環境提供IF又は調停部70が提供可能な動作環境の中から任意の動作環境を選択しても良いし、置換する動作環境の関係を予め定めておいても良い。調停部70は、このような調停処理を、優先順位が最下位の要素に向けて、順番に実施する。
また、調停の別の具体例として、図12に示すように、各動作環境提供IFに優先順位は設けずに、各動作環境提供IFは対等な関係としつつ、許容すべきでない動作環境の組み合わせを事前に定めておく。そして、調停部70は、各動作環境提供IFが独自に定めた動作環境の組み合わせが、許容すべきでない動作環境の組み合わせに該当する場合(例えば、電源IFが“スリープ”で、通信IFが“冗長”となる場合、又は安全機能が“確定”で、電源IFが“スリープ”となる場合など)、少なくとも1つの動作環境提供IFに動作環境の変更を指示する。例えば、許容すべきでない動作環境の組み合わせ毎に、変更可能な動作環境を予め定めておいても良い。調停部70は、動作環境が変更された後、再度、動作環境の組み合わせが許容できない組み合わせに該当するか確認する。許容できない組み合わせに該当している場合、さらに、少なくとも1つの動作環境提供IFに動作環境の変更を指示する。一方、許容できない組み合わせに該当しない場合、調停部70は、その組み合わせに従う動作環境を提供するよう、各動作環境提供IFに指示する。
あるいは、調停部70は、許容可能な動作環境の組み合わせを事前に定めておいても良い。この許容可能な動作環境の組み合わせは、予め実機において不具合が発生し得ない組み合わせのみが設定される。そして、調停部70は、各動作環境提供IFが独自に定めた動作環境の組み合わせが、許容可能な動作環境の組み合わせに該当しない場合、少なくとも1つの動作環境提供IFに動作環境の変更を指示するようにしても良い。もしくは、調停部70が、好ましい動作環境の組み合わせを決定し、各動作環境提供IFに提供すべき動作環境を指示するようにしても良い。
調停部70が好ましい動作環境の組み合わせを決定する場合、例えば、許容可能な動作環境の組み合わせに優先順位を定めておき、優先順位の高い組み合わせから順番に、各動作環境提供IFが提供するに適した動作環境の組み合わせを探索するようにしても良い。この場合、例えば、調停部70は、各動作環境提供IFが独自に定めた動作環境との一致度合を、各動作環境の要素の重要度に応じた重みを付けて評価した評価点を算出し、その評価点が基準点を超えた場合に、好適な動作環境の組み合わせと判定しても良い。
なお、各動作環境提供IFが独自に定めた動作環境の組み合わせが許容できない組み合わせとして採用されなかった場合でも、何れかの処理を経て、最終的には当初の要求に沿う動作環境が提供される可能性が高い。このため、当初の要求による動作環境の提供に必要となるリソースの準備処理(例えば、演算処理の起動/確保やメモリの割り当て)を事前に行うようにしても良い。これにより、当初の要求に沿う動作環境への移行を短時間でスムーズに行うことが可能になる。
例えば、安全機能IFが異常の“確定”の状態であるため、電源IFが“スリープ”と
なることが禁止されて、“通常”に変更された場合、安全機能IFの状態が、“通常”もしくは“検知”に移行することに応じて、電源IFが“通常”から“スリープ”に移行すること可能性が高い。そのため、電源IFが“スリープ”に移行することに備えて、リソースの確保等を行っておくことが好ましい。
また、各動作環境提供IFの演算周期の相違などに起因して、調停部70は、必ずしも同じタイミングで、各動作環境提供IFから新たな動作環境への変更要求を受信するとは限らない。そのため、調停部70は、所定の期間、各動作環境提供IFからの動作環境の変更要求を受信するために待機し、この期間に受信した変更要求は、同時に発生したものとみなしても良い。これにより、各動作環境提供IFから出力される動作環境の変更要求の時間差を吸収することができ、頻繁な動作環境の変更処理の実施を抑制することができる。
(変形例)
上述した実施形態は、本発明の制御システムの好ましい実施形態ではあるが、本発明の制御システムは、上記実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、動作環境提供IFが、全ての論理ブロックに対して、それぞれ動作環境を個別に設定して提供する例を示した。しかしながら、必ずしも全ての論理ブロックに対して個別に動作環境を設定しなくとも良い。例えば、全く同じ動作環境で動作する複数の論理ブロックがある場合には、動作環境提供IFは、動作環境の設定内容を共用することができる。例えば、記憶部がシーンと動作環境との関係を記憶する際、全く同じ動作環境で動作する複数の論理ブロックをグループとして記憶しつつ、そのグループに関して、シーンと動作環境との関係を記憶するようにしても良い。
また、或るシーンでは同じ動作環境で動作するが、別のシーンでは異なる動作環境で動作する複数の論理ブロックがある場合、同じ動作環境で動作するシーンについては、それら複数の論理ブロックをグループとして、シーンと動作環境との関係を記憶し、異なる動作環境で動作するシーンについては、複数の論理ブロック毎にシーンと動作環境との関係を記憶するようにしても良い。
また、動作環境提供IFは、制御システム1を構成する全ての論理ブロックに対して動作環境を提供するのではなく、制御システム1を構成する一部の複数の論理ブロックに対して動作環境を提供するものであっても良い。動作環境提供IFが、制御システム1を構成する一部の複数の論理ブロックに対して動作環境を提供する場合であっても、各論理ブロック毎にそれぞれ動作環境に関する設計を行う場合に比較して、その設計負荷を軽減することができるためである。
さらに、上述した実施形態では、動作環境の各要素に関して、単一の動作環境提供IFが、全ての論理ブロックに対して動作環境の提供を行う例について説明した。しかしながら、論理ブロックを、その機能や、制御対象となる車載装置の種類に応じて複数のドメインに区分けし、各ドメイン毎に、各要素の動作環境を提供する動作環境提供IFを分けても良い。
また、論理ブロックとして、主従の関係を持つマスター論理ブロックとスレーブ論理ブロックとを含む場合、記憶部32、42、62に、各種のシーンと、マスター論理ブロックの動作環境との関係を記憶しておき、そのマスター論理ブロックの動作時に、スレーブ論理ブロックに対し、マスター論理ブロックと同様の動作環境を提供するようにしても良い。例えば、図13に示すように、VLC11aをマスター論理ブロック、PTC12aをスレーブ論理ブロックとし、PTC12aに対して、VLC11aと同一の電源供給環境を提供するようにしても良い。このように、記憶部32、42、62に、マスター論理ブロックとスレーブ論理ブロックとの主従の関係を記憶させておくだけで、動作環境提供IFは、スレーブ論理ブロックに対して、マスター論理ブロックと同一の動作環境を提供することができる。
なお、主従関係は、電源、安全機能、通信などのすべての動作環境に関して設定しても良いし、一部の動作環境のみに限定して設定することも可能である。一部の動作環境のみに限定して主従関係を設定した場合、動作環境提供IFは、主従関係が設定されていない残りの動作環境に関して、マスター論理ブロックとスレーブ論理ブロックとで、それぞれ独立して定められた動作環境を提供する。
あるいは、記憶部32、42,62に、主従の関係に加え、所定のシーンにおいて、マスター論理ブロックが動作せず、スレーブ論理ブロックが動作する場合の、スレーブ論理ブロックに対して提供する動作環境も記憶するようにしても良い。このようにすれば、マスター論理ブロックが動作するときは、スレーブ論理ブロックには、マスター論理ブロックと同一の動作環境が提供される。さらに、マスター論理ブロックが動作を停止している間に、スレーブ論理ブロックを独自の動作環境にて動作させることが可能になる。
上述した実施形態では、動作環境提供IFが、各論理ブロックに提供する動作環境として、電源、安全機能、及び通信に関する例を説明した。しかしながら、動作環境提供IFが提供する動作環境は、これらに制限されず、論理ブロック毎に設定可能なあらゆる動作環境を含む。例えば、図14に示すように、動作環境提供IFは、各論理ブロックが実装されるMPUコア(マイクロプロセッサ)の動作周波数を提供する動作周波数IF80を含んでも良い。
この動作周波数IF80は、電源IF30、安全機能IF40、通信IF60と同様に、シーン特定部81及び記憶部82を有する。さらに、動作周波数IF80は、動作周波数提供部83を含む。そして、動作周波数IF80の動作周波数提供部83は、シーン特定部81により特定されたシーンに応じて、例えば、処理負荷が小さかったり、処理に高応答性が求められなかったりする論理ブロックがある場合には、その論理ブロックに低周波数部84を結びつけ、動作周波数を相対的に遅くする。逆に、動作周波数提供部83は、処理負荷が大きかったり、処理に高応答性が求められたりする論理ブロックがある場合には、その論理ブロックに高周波数部85を結びつけ、動作周波数を相対的に早くする。また、動作周波数は、2段階よりも多い多段階に変化させるようにしても良い。
また、上述した第1実施形態では、複数の論理ブロック2〜5、11〜18のそれぞれの動作状態、及び制御システム1による車載装置21〜23の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定し、特定したシーンに対応する動作環境を、該当する論理ブロックに対して提供した。しかしながら、動作環境提供IFが、特定されたシーンに対応する動作環境を提供できない状態に陥る可能性もある。例えば、動作環境提供IFが電源IF30であって、メインバッテリ34とサブバッテリ35の少なくとも一方の電力量が不足したことに起因して、電源IF30が、メインバッテリ34とサブバッテリ35とが協調して電力の供給を行う動作環境を提供できない場合なども考えられる。
そのため、図9のフローチャートのステップS140を実行する前に、図15のフローチャートに示す処理を実行するようにしても良い。すなわち、ステップS130にて、特定したシーンに対応する動作環境を抽出した後、ステップS200の処理を実行し、動作環境提供IFが、抽出した動作環境を提供可能であるか否かを判定する。この判定処理により、提供可能であると判定した場合には、ステップS140に進み、抽出した動作環境を、該当する論理ブロックに対して提供する。一方、抽出した動作環境を提供不可能であると判定した場合には、ステップS210の処理に進む。
ステップS210では、抽出した動作環境に代わる代替動作環境を提供可能か否か判定する。この代替動作環境は、抽出した動作環境の下で論理ブロックが実行予定の機能を、実質的に実行しえる動作環境の中から選択される。例えば、サブバッテリ35の電力量が低下している場合、車載装置や制御システム1になんらかの異常が発生した異常状態において、メインバッテリ34を主として使用する通常状態又はスリープ状態に対応する電源提供環境を、代替動作環境とする。ステップS210にて代替動作環境を提供可能と判断した場合には、ステップS220の処理に進み、代替動作環境を、該当する論理ブロックに対して提供する。一方、ステップS210において、代替動作環境提供不可能と判定した場合には、ステップS230の処理に進む。ステップS230では、新たに抽出した動作環境の提供を保留し、以前の動作環境を維持する。例えば、メインバッテリ34及びサブバッテリ35の電力量がともに低下しており、新たな動作環境の提供には対応できないとみなされる場合には、以前から提供している動作環境を維持する。そして、ISG22や高圧バッテリ23からの充電を待つ。
また、上述した実施形態では、シーン特定部が、複数の論理ブロックの動作状態及び車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するものであった。
ここで、論理ブロックが、例えば、車両の走行開始、走行状態、走行終了、停車などの状態およびそれらの状態間の移行に応じて制御ロジックが切り換えられるように構成されるとともに、その制御ロジックの切り換えに伴って、車載装置の起動、駆動、一部駆動、停止などの制御状態が変化するものである場合、論理ブロックの制御ロジックの切り換えが行われる車両状態、及び制御ロジックの切り換えの結果として発生する車載装置の制御状態を考慮して、シーン特定部が特定するシーンを設定することが望ましい。このようにすれば、シーン特定部が特定するシーンと論理ブロックの動作状態及び/又は車載装置の制御状態およびそれらの状態間の移行とを対応付けたものとすることができる。その結果、動作環境提供IFは、シーン特定部が特定したシーンに基づき、常に適切な動作環境を各論理ブロックに提供することが可能になる。更に、特定の状態およびそれらの状態間の移行については、シーン特定部が特定した特定のシーンの変更が発生しても、状態の移行が完了するまではシーンの変更を待機させることが好ましい。(例えば、制御状態が学習値記憶等の処理を含む場合、学習記憶が完了してから電源シーンの変更である電源遮断が実行される。)逆に、シーン特定部が特定した特定のシーンでは、特定の状態およびそれらの状態間の移行に基づく制御ロジックの切り換えを待機させることが好ましい。(例えば、電源シーンが電源起動時の場合は、電源起動が完了してから、制御ロジックによる制御開始が許可される。)これにより、制御状態とシーン特定は相互に整合を取ることが可能になる。
なお、この場合、動作環境提供IFと論理ブロックとで、シーン特定部を共用しても良い。つまり、共通のシーン特定部により特定されたシーンに基づき、動作環境提供IFは、そのシーンに対応する動作環境の提供を行い、論理ブロックでは、そのシーンに合致する制御ロジックにより車載装置を制御するようにしても良い。
また、論理ブロックとして、車両の状態に応じて制御ロジックが切り換えられるものではなく、例えば、車両の状態に応じて、制御目的を定め、その制御目的の下で制御目標値を設定して、車載装置を制御するように制御ロジックが構成されることもある。この場合も、異なる制御目的が定められる車両状態を考慮して、シーン特定部が特定するシーンを設定することにより、上述した例と同様の効果を得ることができる。特に、制御目標値や車載装置の制御ロジックは、制御目的→制御目標値→制御ロジックの順に具体化されるので、シーン特定部は上位から順にシーン設定を行なえば、無駄のないシーン設定が可能になる。
更に、車両の状態に応じて、制御目的を定め、その制御目的の下で制御目標値を設定して、車載装置を制御するように制御ロジックが構成される場合、シーン特定部が特定した特定のシーンの変更が発生しても、車両の状態に応じた制御目的の変更、制御目標値の設定が完了するまではシーンの変更を待機させても良い、逆に、シーン特定部が特定した特定のシーンでは、車両の状態に応じた制御目的の変更、制御目標値の設定を待機させても良い。これにより、制御目的及びその制御目的での制御目標値の設定と、複数のシーン特定は相互に整合を取ることが可能になる。
また、論理ブロックは、動作環境提供IFである電源IF、安全機能IF、通信IFの少なくとも1つに関して、その動作環境提供IFが提供可能な動作環境に応じて、自身の制御動作を変更するように構成することも可能である。例えば、電源IFの提供可能な動作環境が、「起動」、「停止」、「スリープ」の3種類であるにも係わらず、前段の論理ブロックが、「起動」と「停止」とに対応した制御動作しか行わない場合、その前段の論理ブロックに接続された後段の論理ブロックは、「スリープ」を前提とする制御動作が禁止されることになる。しかし、前段の論理ブロックが、「スリープ」に対応した制御動作を行うように変更された場合には、後段の論理ブロックは、「スリープ」を前提とする制御動作を行うことが許容される。これにより、シーン特定部が特定したシーンを、論理ブロックの構成変更前後に置いて、共通利用することが可能になる。このような論理ブロックの構成変更は、ディーラーなどで静的に行われるばかりでなく、車両動作中も所定の制御の実行有無で動的に行われる場合も含まれる。(例えば、ある条件下での特定の制御時にのみ、前段の論理ブロックの「スリープ」が許可され、それにより、後段の論理ブロックは、「スリープ」を前提とする制御動作を行うことが許容される。など)
また、同じ動作環境提供IFを有する論理ブロックを同一の製品に実装してやれば、製品の動作環境提供に関する回路の簡素化(電源構成が同じ・通信回路も同じ・安全監視手段も同じ)を図ることができる。さらに、同じ動作環境提供IFにより、車両電子システムの適合の簡素化も図ることが可能になる。(例えば、ある制御では必要な制御が全て特定の製品上で動作している。また、ある特定の動作環境は、特定の製品に集約されており、電源の切り替えタイミングや安全機能での正常から監視の切り替え等の複数の制御の動作環境の適合がし易い。など)
1 制御システム、2 HMI、3 ACC、4 PCS、5 LKA、11 VLC、
12 PTC、13 MGC、14 ACトルク負荷算出部、15 ELC、16 エン
ジン制御部、17 ISG制御部、18 バッテリ制御部、30 電源IF、31 シー
ン特定部、32 記憶部、33 電源提供部、34 メインバッテリ、35 サブバッテ
リ、40 安全機能IF、41 シーン特定部、42 記憶部、43 安全機能提供部、
50 異常検知・フェールセーフ実行部、60 通信IF、61 シーン特定部、62
記憶部、63 通信提供部、64 論理ブロック間通信制御部、70 調停部

Claims (23)

  1. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え
    前記動作環境提供部(33)は、前記動作環境として、前記複数の論理ブロックの各々に動作電源を提供するものであり、
    前記シーン特定部(31)によって特定されたシーンに応じて、前記動作環境提供部は、前記複数の論理ブロックの各々への電源供給の有無を論理ブロック単位で個別に設定可能であることを特徴とする制御システム。
  2. 前記車両には、少なくとも主電源(34)と補助電源(35)が搭載され、
    前記動作環境提供部は、前記シーン特定部によって特定されたシーンに応じて、前記複数の論理ブロックへの電源供給に使用される電源として、前記主電源と前記補助電源とのいずれか一方もしくは両方を使用するかを定めることを特徴とする請求項に記載の制御システム。
  3. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え、
    前記動作環境提供部(43)は、前記動作環境として、前記複数の論理ブロックの安全機能を確保するための手段(50)を提供するものであり、
    前記安全機能を確保するための手段は、異常検出手段(51)、異常確定手段(52、53)、及び停止手段(54)を含み、
    前記シーン特定部(41)によって特定されたシーンに応じて、前記動作環境提供部は、前記複数の論理ブロックの各々へ、前記安全機能を図るための手段としての、前記異常検出手段、前記異常確定手段、及び前記停止手段のいずれの手段を適用するかを個別に設定可能であることを特徴とする制御システム。
  4. 前記シーン特定部は、前記複数の論理ブロックによる前記車載装置の制御に異常が生じていない状況では、現在の状況を異常検出シーンと特定し、
    前記動作環境提供部は、前記異常検出シーンにおいて、第1の論理ブロックを対象として前記異常検出手段を適用して異常の有無を検出し、
    異常が検出されると、前記シーン特定部は、現在の状況を異常確定シーンと特定し、
    前記動作環境提供部は、前記異常確定シーンにおいて、第2の論理ブロックを対象として前記異常確定手段を適用して、実際に異常が発生しているかを確定し、
    異常の発生が確定されると、前記シーン特定部は、現在の状況を停止シーンと特定し、
    前記動作環境提供部は、前記停止シーンにおいて、第3の論理ブロックを対象として前記停止手段を適用して、当該第3の論理ブロックの動作を停止させることを特徴とする請求項に記載の制御システム。
  5. 前記安全機能を図るための手段における前記停止手段は、さらに、復帰手段を含み、
    前記シーン特定部は、発生していた異常が解消された場合、現在の状況を復帰シーンと特定し、
    前記動作環境提供部は、前記復帰シーンにおいて、前記第3の論理ブロックを対象として前記復帰手段を適用して、前記第3の論理ブロックの動作を再開させることを特徴とする請求項に記載の制御システム。
  6. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え、
    前記動作環境提供部(63)は、前記動作環境として、前記複数の論理ブロック間の通信手段(64)を提供するものであり、
    前記通信手段は、冗長手段(65)及び再送手段(66)を含み、
    前記シーン特定部(61)によって特定されたシーンに応じて、前記動作環境提供部は、前記複数の論理ブロック間の各々の通信において、前記冗長手段及び前記再送手段のいずれの手段を適用するかを個別に設定可能であることを特徴とする制御システム。
  7. 前記シーン特定部により、前記複数の論理ブロックに、相対的に重要度の高い信号を通信する論理ブロックが含まれるシーンが特定された場合、前記動作環境提供部は、前記相対的に重要度の高い信号を通信する論理ブロックに対して前記冗長手段を適用して、その論理ブロックが通信する信号を冗長化することを特徴とする請求項に記載の制御システム。
  8. 前記相対的に重要度の高い信号を通信する論理ブロックは、複数本の通信線を用いて他の論理ブロックと通信可能に構成され、
    前記冗長手段は、前記相対的に重要度の高い信号を前記複数本の通信線により並行して通信することにより、通信する信号を冗長化することを特徴とする請求項に記載の制御システム。
  9. 前記シーン特定部により、通信異常が生じたシーンが特定された場合、前記動作環境提供部は、その通信異常が生じた信号を通信した論理ブロックに対して前記再送手段を適用して、通信異常が生じた信号を再送することを特徴とする請求項に記載の制御システム。
  10. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え、
    前記動作環境提供部(83)は、前記動作環境として、前記複数の論理ブロックがそれぞれ実装されて、各々の論理ブロックの制御機能を独立して実行するマイクロプロセッサの動作周波数を提供するものであり、
    前記シーン特定部(81)によって特定されたシーンに応じて、前記動作環境提供部は、前記複数の論理ブロックがそれぞれ実装される前記マイクロプロセッサの動作周波数を個別に設定可能であることを特徴とする制御システム。
  11. 前記記憶部は、同じ動作環境で動作する複数の論理ブロックをグループとして記憶しつつ、そのグループに関して、シーンと動作環境との関係を記憶することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の制御システム。
  12. 前記記憶部は、或るシーンでは同じ動作環境で動作するが、別のシーンでは異なる動作環境で動作する複数の論理ブロックがある場合、同じ動作環境で動作するシーンについては、それら複数の論理ブロックをグループとして、シーンと動作環境との関係を記憶し、異なる動作環境で動作するシーンについては、複数の論理ブロック毎に個別にシーンと動作環境との関係を記憶することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の制御システム。
  13. 前記動作環境提供部は、前記制御システムを構成する一部の複数の論理ブロックに対して動作環境を提供することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の制御システム。
  14. 前記車載装置は、複数種類の車載装置を含み、
    前記複数の論理ブロックは、当該論理ブロックの機能と制御対象となる車載装置の種類とに応じて複数のドメインに区分けされ、
    前記動作環境提供部は、各ドメイン毎に設けられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の制御システム。
  15. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え、
    前記複数の論理ブロックは、主従の関係を持つマスター論理ブロック(11a)とスレーブ論理ブロック(12a)とを含み、
    前記記憶部には、前記各種のシーンと、前記マスター論理ブロックの動作環境との関係が記憶され、
    前記動作環境提供部は、前記マスター論理ブロックの動作時、前記マスター論理ブロックに対して主従の関係が定められた前記スレーブ論理ブロックに対し、前記マスター論理ブロックと同様の動作環境を提供し、
    前記記憶部には、所定のシーンにおいて、前記マスター論理ブロックが動作せず、前記スレーブ論理ブロックが動作した場合に、前記スレーブ論理ブロックに対して提供する動作環境も記憶され、
    前記動作環境提供部は、前記シーン特定部により特定されたシーンが前記所定のシーンであった場合、前記マスター論理ブロックの動作環境に依存しない、前記記憶部に記憶された動作環境を前記スレーブ論理ブロックへ提供することを特徴とする制御システム。
  16. 前記動作環境提供部は、前記シーン特定部によって特定されたシーンが変化したことに応じて、前記複数の論理ブロックに対して提供する動作環境を変化させる際、前記複数の論理ブロックの動作環境の変化を同期させることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の制御システム。
  17. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え、
    前記動作環境提供部は、複数の要素の動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供するものであり、
    前記動作環境提供部によって提供される複数の要素の動作環境の組み合わせを調停する調停部(70)を備えることを特徴とする制御システム。
  18. 前記調停部は、前記動作環境提供部が提供する動作環境の複数の要素に優先順位を設け、その優先順位の下、優先順位が上位である要素の各動作環境に対し、優先順位が下位である要素の動作環境として提供可能な動作環境を予め定めておき、優先順位が最上位の要素の動作環境を起点として、順次、優先順位が下位の要素の動作環境を決定することにより、複数の要素の動作環境の組み合わせを調停することを特徴とする請求項17に記載の制御システム。
  19. 前記調停部は、前記動作環境提供部が提供する複数の要素の動作環境の組み合わせに関して、許容すべきでない動作環境の組み合わせを予め定めておき、前記動作環境提供部が定めた複数の要素の動作環境の組み合わせが、許容すべきでない動作環境の組み合わせに該当する場合、複数の要素の動作環境の組み合わせを変更することにより、複数の要素の動作環境の組み合わせを調停することを特徴とする請求項17に記載の制御システム。
  20. 前記調停部は、前記動作環境提供部が提供する複数の要素の動作環境の組み合わせに関して、許容可能な動作環境の組み合わせを予め定めておき、前記動作環境提供部が定めた複数の要素の動作環境の組み合わせが、許容可能な動作環境の組み合わせに該当しない場合、複数の要素の動作環境の組み合わせを変更することにより、複数の要素の動作環境の組み合わせを調停することを特徴とする請求項17に記載の制御システム。
  21. 車両に搭載された車載装置(21〜23)を制御する制御システム(1)であって、
    前記制御システムは、制御機能に応じて予め複数の論理ブロック(2〜5、11〜18)に区分けされ、それら複数の論理ブロックが、それぞれの制御機能を発揮することで前記車載装置を制御するものであり、
    前記複数の論理ブロックの動作状態及び前記車載装置の制御状態の少なくとも1つに基づき、現在の状況に対応するシーンを特定するシーン特定部(31、41、61、81)と、
    各種のシーンと、それら各種のシーンにおける前記複数の論理ブロックの動作環境との関係を予め記憶した記憶部(32、42、62、82)と、
    前記記憶部に記憶された関係に基づき、前記シーン特定部によって特定されたシーンに対応する前記複数の論理ブロックのそれぞれの動作環境を抽出し、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供する動作環境提供部(33、43、63、83)と、を備え、
    前記動作環境提供部は、抽出した動作環境を提供可能か否か判定する第1判定部(S200)を有し、前記第1判定部が、抽出した動作環境を提供可能と判定した場合に、その抽出した動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供することを特徴とする制御システム。
  22. 前記動作環境提供部は、前記第1判定部により、抽出した動作環境を提供不可能と判定された場合、さらに、抽出した動作環境に代わる代替動作環境を提供可能か否か判定する第2判定部(S210)を有し、前記第2判定部により前記代替動作環境を提供可能と判定されると、前記代替動作環境を前記複数の論理ブロックの各々に対して提供することを特徴とする請求項21に記載の制御システム。
  23. 前記動作環境提供部は、前記第2判定部により、前記代替動作環境を提供不可能と判定された場合、以前から提供している動作環境を維持することを特徴とする請求項22に記載の制御システム。
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