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JP6511862B2 - マンガン系磁石 - Google Patents
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本発明は、高い電気抵抗率を有するマンガン系磁石に関するものである。
現在、フェライト磁石よりも磁気特性が高く、希土類磁石よりも安価な磁石が求められている。このため希土類を含まないマンガン系磁石が注目されている。
マンガン系磁石の中でもマンガンアルミニウム磁石は有望であり、鋳造の後に熱間塑性加工というプロセスにより作製されており(特公昭54−31448)、高い磁気特性や機械的強度を有する異方性磁石として知られている。
磁石は使用環境下で時間変化する磁場にさらされると、その磁場を打ち消すために磁石内部に渦電流が流れ、この渦電流がジュール熱を発生させて渦電流損になる。マンガン系磁石では電流が流れ易いため、渦電流損が大きい。
特許文献1ではマンガン系磁石の電気抵抗率を十分に高めることができていないので、渦電流損を低減できない。
特公昭54−31448
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、その目的は、高い電気抵抗率を有するとともに、良好な磁気特性を併せ持つマンガン系磁石を提供することである。
本発明に係るマンガン系磁石は、カルシウムもしくはマグネシウムを0.01mass%〜11mass%含むことを特徴とする。
マンガン系磁石内の隣り合う2つ以上の主相粒子によって形成された粒界にカルシウムもしくはマグネシウムが存在することで、電子伝導を妨げ、渦電流損を低減できると共に、良好な磁気特性を有することができる。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
カルシウムやマグネシウムは酸素と結合し易いため、それらの酸化物である酸化カルシウムや酸化マグネシウムがマンガン系磁石内部に安定して存在でき、マンガン系磁石の電気抵抗率を上げることができると考えられる。
マンガン系磁石に含まれるカルシウムもしくはマグネシウムが0.01mass%未満では電気抵抗率を高くすることができない。また、マンガン系磁石に含まれるカルシウムもしくはマグネシウムが11mass%を超えると磁気特性の低下が大きい。本発明では、マンガン系磁石に含まれるカルシウムもしくはマグネシウムを0.01〜11mass%の割合で構成したので、電気抵抗率の増大と磁気特性の維持の両立を図ることができる。
本発明によれば、高い電気抵抗率を有するとともに、良好な磁気特性を併せ持つマンガン系磁石を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下に記載の実施形態および実施例の内容により限定されるものではない。また、以下に記載の実施形態および実施例にて示された構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択してもよい。
本発明の実施形態に係るマンガン系磁石の実施形態について説明する。本実施形態に係るマンガン系磁石はMnX(ここで、XはAl、B、Bi、C、Co、Cr、F、Ir、Ga、N、Ni、Rh、Pt、Pdの少なくとも1種である。)結晶粒を有するマンガン系磁石であり、内部にカルシウムやマグネシウムを含んでいる。高電気抵抗率を有するカルシウムやマグネシウムの酸化物がマンガン系磁石内部に含まれることで、電子伝導を妨げることができ、交流磁場にさらされたときに誘起される渦電流損を低減することができる。一方、マンガン系磁石の磁気特性が高いのはカルシウムもしくはマグネシウム量が低い割合で構成している場合である。
マンガン系磁石に含まれるカルシウムもしくはマグネシウムが0.01mass%未満になるとカルシウムもしくはマグネシウムが少ないため、十分に主相粒子間の電子伝導を妨げることができず、高い電気抵抗率を得られない。また、マンガン系磁石に含まれるカルシウムもしくはマグネシウムが11%を超えてしまうとMnX相の比率が小さくなり過ぎて、十分な磁化を得ることができない。そこで、マンガン系磁石に含まれるカルシウムもしくはマグネシウムを0.01〜11mass%とすることで、電気抵抗率の向上と磁化の維持の両立を図るようにした。
また、本発明に係るマンガン系磁石に含まれるカルシウムは、CaO、Ca−X−O、Ca−Mn−O、Ca−X−Mn−O化合物またはそれらの化合物として存在し、マグネシウムはMgO、Mg−X−O、Mg−Mn−O、Mg−X−Mn−O化合物またはそれらの混合物として存在する。
マンガン系磁石の主相粒子であるMnX結晶粒の粒径は1.0μm未満であることが好ましい。粒径が1.0μm以下であると主相粒子内の電子伝導が起こりにくくなるので、電気抵抗率を十分に上げることが容易となる。カルシウムもしくはマグネシウムはマンガン系磁石全体に均一に分布していることが好ましい。
本発明に係るマンガン系磁石の製造方法を説明する。本発明に係るマンガン系磁石は、マンガン合金粉末を製造し、得られたマンガン系合金粉体とカルシウム源もしくはマグネシウム源を、混合・粉砕し、得られた粉体を圧縮成型し、温間押出加工する事により得られる。
本発明におけるマンガン系合金粉末はMnX(ここで、XはAl、B、Bi、C、Co、Cr、F、Ir、Ga、N、Ni、Rh、Pt、Pdの少なくとも1種である。)を主相とし、ガスアトマイズ法にて製造される。
このマンガン系合金粉末とカルシウム源もしくはマグネシウム源を所定量秤量し混合する。カルシウム源としてCaO、Ca(OH)、CaCOなどが挙げられるが、特にCaOが好ましい。マグネシウム源としてMgO、Mg(OH)、MgCOなどが挙げられるが、特にMgOが好ましい。
本発明におけるカルシウム源およびマグネシウム源の粒子形状は特に限定はないが、球状、針状、粒状、紡錘状、直方体状などいずれでもよい。本発明におけるカルシウム源およびマグネシウム源の粒径は100μm以下が好ましい。粒径が100μm以下のカルシウムもしくはマグネシウムは磁石内部で偏らずに存在するため、十分高い電気抵抗率を得ることが容易となる。
次にマンガン系合金粉末とカルシウム源およびマグネシウム源を混合して微粉砕を行う。粉砕時間などの条件を適宜調整しながら、ジェットミル、ボールミル、振動ミルなどの微粉砕機を用いて粉砕を行うことで実施される。
マンガン合金粉体とカルシウム源およびマグネシウム源の粉砕時間は5時間以上が好ましい。粉砕時間が5時間未満の場合には、マンガン合金粉体とカルシウム源およびマグネシウム源の混合度が不十分となり、十分な電気抵抗率を有するマンガン系磁石を得ることができない。
振動ミルを使用する場合、マンガン合金粉体とカルシウム源およびマグネシウム源の振動ミルの使用する容器とボールは特に限定しないが、ステンレス、アルミナ、メノウ製が好ましい。さらにはFe不純物の混入を避けることができるアルミナ、メノウ製が特に好ましい。
混合で得られる混合粉末を所定量計量し、ダイスに投入し油圧プレスにて圧縮成形する。圧縮成型温度は600℃〜700℃が好ましい。圧縮成型温度が600℃未満では十分な密度が得られない。圧縮成型圧力は10kg/mm以上であることが好ましい。10kg/mm未満では十分な密度が得られない。
得られたビレットを700℃〜800℃、押出比R(押出加工前後のビレットの断面積比)2〜4で温間押出加工する事により、目的とするマンガン系磁石が得られる。
<評価方法>
本実施例と比較例の測定方法について説明する。作製したマンガン系磁石の電気抵抗率は4探針法にて測定した。4探針法とは4つの探針を試料表面に接触させ、外側の探針に電流を流した時に内側の探針に生じる電圧から電気抵抗率を求める方法である。試料の形状は2mm×2mm×5mmに成形した。評価は100μΩ・cm以上を合格とした。
マンガン系磁石の磁化は玉川製作所のVSM(振動試料型磁力測定:Vibrating Sample Magnetometer)で測定した。磁場範囲は0〜33000Oeであり、温度は25℃である。飽和磁化の評価はマンガンアルミニウム系磁石では80emu/g以上、マンガンビスマス系磁石では40emu/g以上を合格とした。
マンガン系磁石に含まれる相をX線回折法で同定した。マンガン系磁石のカルシウムおよびマグネシウムの含有量は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS法)で測定した。
実施例1
Mn(純度99.9mass%以上)、Al(純度99.9mass%以上)をMn:Al=71:29mass%の割合で秤量し、ガスアトマイズ法でマンガンアルミニウム合金粉末を作製した。得られた粉体にCaOを0.02mass%添加し、ボールミルで6時間混合・粉砕を行った。
この粉体を所定量計量後、ダイスに投入し油圧プレスにて温度600℃、30kg/mmの条件で圧縮成型し、温間押し出し加工を行い、マンガンアルミニウム系磁石を得た。
得られたマンガンアルミニウム系磁石のXRD測定を行うとMnAl相のピークとわずかなCaOのピークが観測された。製造された磁石の主相粒子がMnAl相になっており、カルシウムはCaOとして存在していることが分かる。ICP−MS法でカルシウム量を測定すると添加したCaOの仕込み比から換算した値と一致していた。
得られたマンガンアルミニウム系磁石の測定を行ったところ電気抵抗率ρが102μΩ・cm、飽和磁化Msが95.2emu/gであり、十分な電気抵抗率と磁気特性が得られた。
実施例2〜5ではCaOの添加量のみを変えたこと以外は実施例1と同様にしてマンガンアルミニウム系磁石を作製した。ICP−MS法で測定したカルシウム量は添加したCaOの仕込み比から換算した値と一致していた。実施例2〜5では、XRD測定を行ったところMnAlとCaOのピークが観測された。電気抵抗率と飽和磁化を測定すると、十分な電気抵抗率と飽和磁化を有することが分かった。
実施例6、7では添加剤をCaOからMgOに変えたこと以外は実施例1と同様にしてマンガンアルミニウム系磁石を作製した。ICP−MS法で測定したマグネシウム量は添加したMgOの仕込み比から換算した値と一致していた。XRD測定を行ったところ、MnAlとMgOのピークが観測された。電気抵抗率と飽和磁化を測定すると、十分な電気抵抗率と飽和磁化を有することが分かった。
実施例8ではCaOのみではなくCaOとMgOを添加したこと以外は実施例1と同様にしてマンガンアルミニウム系磁石を作製した。ICP−MS法で測定したカルシウム量およびマグネシウム量は添加したCaOおよびMgOの仕込み比から換算した値と一致していた。XRD測定を行ったところ、MnAl、CaOおよびMgOのピークが観測された。電気抵抗率と飽和磁化を測定すると、十分な電気抵抗率と飽和磁化を有することが分かった。
実施例1〜8で添加したCaOとMgOの量とICP−MS分析で検出したCaとMg量を表1に示す。
実施例1〜8で電気抵抗率と磁化の測定を行った結果を表2に示す。
比較例1では添加剤を入れなかったこと以外は実施例1と同様にしてマンガンアルミニウム系磁石を作製した。
比較例2ではCaOを0.01mass%添加し、比較例3ではCaOを18mass%添加したこと以外は実施例1と同様にしてマンガンアルミニウム系磁石を得た。
比較例4ではCaOの代わりにMgOを0.01mass%添加し、比較例5ではMgOを18mass%添加したこと以外は実施例1と同様にしてマンガンアルミニウム系磁石を得た。
比較例1〜5で電気抵抗率と磁化の測定を行った結果を表1に示す。
Figure 0006511862
Figure 0006511862
電気抵抗率測定および磁化測定いずれの評価でも合格と評価できるマンガンアルミニウム系磁石は実施例1〜8であるといえる。カルシウムもしくはマグネシウムの添加量が多いほど電気抵抗率の増大の効果が強くなっていることが分かる。また、実施例1〜8のカルシウムもしくはマグネシウム量の範囲では十分な飽和磁化を持つことが分かる。
一方、比較例1、2のようにカルシウムの添加量が0.01mass%未満ではカルシウム量が少ないため主相粒子間の電子伝導を抑えられず、電気抵抗率を十分に高めることができなかったと考えられる。また、比較例3のようにカルシウム量が11mass%を超えると磁石の飽和磁化が低くなる。
比較例4のようにマグネシウム量が0.01mass%未満では十分電気抵抗を高めることができず、比較例5のようにマグネシウム量が11mass%を超えると磁石の飽和磁化が低くなる。
実施例9
Mn(純度99.9mass%以上)、Bi(純度99.9mass%以上)をそれぞれMnを17mass%、Biを83mass%の割合で秤量し、ガスアトマイズ法でマンガンビスマス合金粉末を作製し、Ar雰囲気中270℃で3日間加熱した。
得られた粉体にCaOを0.02mass%添加し、振動ミルで6時間混合・粉砕を行い、100μm以下の粉体を得た。
この粉体を所定量計量後、ダイスに投入し油圧プレスにて温度600℃、30kg/mmの条件で圧縮成型し、温間押し出し加工によりマンガンビスマス系磁石を得た。
XRD測定を行うとMnAl相のピークとわずかなCaOのピークが観測された。製造されたマンガン系磁石では、主相粒子がMnBiになっており、カルシウムはCaOとして存在していることが分かる。ICP−MS法でカルシウム量を測定すると添加したCaOの仕込み比から換算した値と一致していた。
得られた磁石の測定を行ったところ電気抵抗率ρが102μΩ・cm、飽和磁化Msが50.0emu/gであり、十分な電気抵抗率と磁気特性が得られた。
実施例10〜13ではCaOの添加量のみを変えたこと以外は実施例9と同様にしてマンガン系磁石を作製した。ICM−MS法で測定したカルシウム量は添加したCaOの仕込み比から換算した値と一致していた。実施例10〜13では、XRD測定を行ったところMnBiとCaOのピークが観測された。電気抵抗率と飽和磁化を測定すると、十分な電気抵抗率と飽和磁化を有することが分かった。
実施例14、15では添加剤をCaOからMgOに変えたこと以外は実施例9と同様にしてマンガンビスマス系磁石を作製した。ICP−MS法で測定したマグネシウム量は添加したMgOの仕込み比から換算した値と一致していた。実施例14、15ではXRD測定を行ったところ、MnBiとMgOのピークが観測された。電気抵抗率と飽和磁化を測定すると、十分な電気抵抗率と飽和磁化を有することが分かった。
実施例9〜16で添加したCaOとMgOの量とICP−MS分析で検出したCaとMg量を表3に示す。
実施例9〜16で電気抵抗率と磁化の測定を行った結果を表4に示す。
比較例6では添加剤を入れなかったこと以外は実施例9と同様にしてマンガンビスマス系磁石を作製した。
比較例7ではCaOを0.01mass%添加し、比較例8ではCaOを18mass%添加したこと以外は実施例1と同様にしてマンガンビスマス系磁石を得た。
比較例9ではCaOの代わりにMgOを0.01mass%添加し、比較例10ではMgOを18mass%添加したこと以外は実施例9と同様にしてマンガンビスマス系磁石を得た。
比較例6〜10で電気抵抗率と磁化の測定を行った結果を表4に示す。
Figure 0006511862
Figure 0006511862
電気抵抗率測定および磁化測定いずれの評価でも合格と評価できるマンガンビスマス系磁石は実施例9〜16であるといえる。カルシウムもしくはマグネシウムの添加量が多いほど電気抵抗率の増大の効果が強くなっていることが分かる。また、実施例9〜16のカルシウムもしくはマグネシウム量の範囲では十分な飽和磁化を持つことが分かる。
一方、比較例6、7のようにカルシウムの添加量が0.01mass%未満ではカルシウム量が少ないため主相粒子間の電子伝導を抑えられず、電気抵抗率を十分に高めることができなかったと考えられる。また、比較例8のようにカルシウム量が11mass%を超えると磁石の飽和磁化が低くなる。
比較例9のようにマグネシウム量が0.01mass%未満では十分電気抵抗を高めることができず、比較例10のようにマグネシウム量が11mass%を超えると磁石の飽和磁化が低くなる。
本発明はマンガン系磁石においてカルシウムもしくはマグネシウムを含むことで渦電流損を低減することができる。よって、本発明のマンガン系磁石は交流磁界を受けたときの渦電流損を抑え、渦電流に伴う発熱を抑えることができ、磁石モータなどの回転機に使用することができる。

Claims (1)

  1. マンガン系磁石であって、
    カルシウムもしくはマグネシウムをカルシウムおよびマグネシウムの合計で0.014mass%〜10.854mass%み、
    カルシウムは、CaO、Ca−X−O、Ca−Mn−O、Ca−X−Mn−O化合物またはそれらの化合物として存在し、
    マグネシウムは、MgO、Mg−X−O、Mg−Mn−O、Mg−X−Mn−O化合物またはそれらの化合物として存在し、
    XはAl、B、Bi、C、Co、Cr、F、Ir、Ga、N、Ni、Rh、Pt、Pdの少なくとも1種であり、
    電気抵抗率が100μΩ・cm以上であることを特徴とするマンガン系磁石。
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