(非接触電力伝送装置の概要)
図1は、本発明における非接触電力伝送装置100の概略構成を示す。非接触電力伝送装置100は、送電装置10と受電装置20により構成される。送電装置10は、高周波電力を非接触伝送するための送電共振系50を備える。受電装置20は、送電装置10の送電共振系50が送電する高周波電力を受電するための受電共振系60を備える。本発明の非接触電力伝送装置100は磁界を用いたものであり、送電共振系50と受電共振系60が磁界的に共鳴することを利用して、送電装置10から受電装置20に非接触で電力を伝送する。
送電装置10は、送電共振系50と、送電共振系50を駆動する駆動回路30と、共振系の共振電流を検出する電流検出器41と、電流検出器41の検出結果に基づいて共振電流のゼロクロスを検出する電流ゼロクロス検出器42と、電流ゼロクロス検出器42の検出信号と受電装置20の受電状態検出器80が検出する検波電圧等に基づいて、駆動回路30の駆動電力を制御する駆動制御回路40を備える。駆動制御回路40は通信手段を備え、通信手段により受電装置20の受電状態検出器80から検波電圧等を受信する。
受電装置20は、受電共振系60と、受電共振系60の出力を検波する検波器70と、電力を出力する出力90と、検波器70から出力される検波電圧を検出する受電状態検出器80を備える。受電状態検出器80は通信手段を備え、受電状態検出器80が検出した検波電圧は、通信手段により送電装置10の駆動制御回路40に伝えられる。
なお、送電装置10の駆動制御回路40、及び受電装置20の受電状態検出器80に備えられる具体的な通信手段としては、受電共振系60に抵抗負荷を接続し、その抵抗負荷の電力消費を断続して行うことにより、送電共振系50の共振電圧を可変して情報を伝達する、いわゆる負荷通信を用いればよい。若しくは、2.4GHzなどの周波数を使って送受信を行う近距離無線通信規格を利用したの無線モジュールを使った別の通信手段を用いてもよい。
ところで、非接触電力伝送装置に接続された負荷の電力消費は、常に一定ではなく、時間と共に増加したり低下したりすることが多い。通常、非接触電力伝送装置では、負荷の電力消費が低下すると送電共振系50と受電共振系60から構成される送受電共振系から外部に出力される電力が低下する。
そこで、本発明の非接触電力伝送装置100では、受電状態検出器80が検波手段71から出力される検波電圧を監視し、受電装置20の受電状態検出器80が検出した検波電圧は、通信手段により送電装置10の駆動制御回路40に伝えられ、駆動制御回路40が受信した検波電圧に基づいて駆動回路30の駆動電力を制御する。
以上が、本発明における非接触電力伝送装置100の概略である。以下では、本発明の非接触電力伝送装置をさらに詳細に説明する。
(共振電流のゼロクロス点に基づく共振制御)
まず、本発明の非接触電力伝送装置における共振制御の方法について説明する。本発明では、共振電流のゼロクロス点に基づいて、共振制御を行うという従来にない特徴を有する。
図1に示した構成に於いて、駆動回路30が送電共振系50に過渡的な電力、例えばステップ状の電圧を印加すると、送電共振系50と受電共振系60からなる送受電共振系に固有の共振周波数で振動を始める。電流検出器41は、送電共振系50の電流を検出し、その検出結果に基づいて、電流ゼロクロス検出器42は送電共振系50の共振状態を検出する。電流ゼロクロス検出器42は、検出した共振状態を駆動制御回路40に送り、駆動回路30を駆動する。
具体的には、電流検出器41が検出した共振電流のゼロクロス点を共振検出器42で検出し、この検出点を元にして駆動回路30の出力を変化させると、正帰還となるように共振状態が定まり共振が開始する。そして、送電共振系50と受電共振系60からなる送受電共振系は、送受電共振系の共振周波数に応じて発振が開始され継続する自励発振を行う。非接触電力伝送装置ではこの共振状態を維持しつつ電力が伝送される。
共振電流のゼロクロス点に基づいて正帰還をかけながら共振させる方法について、図2と図3を用いて詳しく説明する。図2は送電装置10の簡略回路図を示し、図3は図2の挙動を説明する波形図を示す。なお、図2は、本発明の特徴である共振電流のゼロクロス点に基づいて正帰還をかけながら共振させる方法を説明し易くするために、送電装置10を簡略化したブロック図である。
図2に於いて、ラッチ回路406はDタイプであり、Dはデータ入力、Cはクロック入力、Qはラッチ出力、QバーはQの反転出力を示している。Cに入力されるクロックの立ち上がり毎にDのデータ入力信号をラッチしてQに出力する。図2では反転出力Qバーがデータ入力Dに接続されているので、Cに入力されるクロックの立ち上がり毎に出力Qが反転することになる。なお、ラッチ回路406は、不図示のスイッチを介して電源405に接続されるとともに、接地もされている。
自励発振開始時に、不図示のスイッチがオンとなり、電源405からラッチ回路406に電圧の供給が開始される。ラッチ回路406の出力Qには、抵抗503、電力伝送用の送電コイル501、送電容量502が接続され、送電コイル501と送電容量502が、図1に記載した送電共振系50の直列共振回路を構成する。
通常、非接触電力伝送装置では更に受電側に不図示の受電コイルと受電容量等からなる共振系が一定の結合係数で結合して、送受電を含む共振系を構成するが、ここでは、簡単のため送電側共振系のみを示して説明する。送受電系を含む共振系でも全体の共振特性は少なくとも1つの共振点を有する特性となっているので、本構成図のような共振点を有する共振系を駆動することができることを説明すれば十分である。
電流検出手段450は、送電共振系50の直列共振回路に流れる電流を検出する。具体的には、送電共振系50の直列共振回路に直列に電流検出用の抵抗が設けられ、電流検出手段450は、その電流検出用の抵抗の両端の電位差を検出することにより送電共振系50の直列共振回路に流れる電流を検出する。また、電流検出手段450は、検出された電流値に基づいて、電流が0となるゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点でLowからHiに立ち上がりその後立ち下がるパルス状のクロック信号を生成する。電流検出手段450が生成したクロック信号は、ラッチ回路406のクロックCに入力される。
以下では、図2のブロック図に基づいた自励発振の動作を説明する。なお、電源投入による動作開始に際して、不図示のセット信号でラッチ回路406の出力QがHiで開始するように初期設定されているとして説明する。セット信号を用いるほかにも、別途、電源電圧の上昇により動作開始を検出して、ラッチ出力QがHiの場合にはクロック信号を追加で入力してもよいし、更に、電源投入開始後に発振していないことを検出した場合は開始動作のトリガを別途生成し加えてもよい。
図3は図2に示した端子E、Uにおける電圧波形と、送電コイル501と送電容量502で構成される直列共振回路に流れる電流Iの電流波形である。図中においてレベルを表す1や0は、電圧や電流の大きさを模式的に表し、電圧の場合、例えば1Vのレベルに相当するものとする。また、T1、T2・・・は破線で示したタイミングに付けたラベルである。また、図2において電流Iで示す方向に電流が流れる場合を正の電流とする。
図3は、図2の回路のラッチ回路406に、時刻T2のタイミングで電源が投入された場合について説明している。すなわち、時刻T2以前の破線で囲った504の範囲は電源投入前であって、図2Aの端子E、Uはグランド電位であり、図2の回路には電流が流れていない状態であることを示している。
ラッチ回路406に電源が投入されると、図3の505に示すようにラッチ出力QがHiとなり、図2のE端子の電圧がHiになる。端子Eの箇所で電圧が上昇することにより、抵抗503、送電コイル501を経由して送電容量502に充電されるように電流が流れる。その結果、送電容量502に電荷が次第に蓄積され、端子Uの電圧が上昇し始める。
電流は、端子Eの電圧と端子Uの電圧が等しくなるまで流れ続ける。すなわち、送電コイル501の両端の電位が等しくなるように電流が流れ始め、その結果、送電コイル501に流れる電流がついには最大となり、送電コイル501に蓄えられる磁界エネルギーも最大となる。その後、送電コイル501に蓄えられたエネルギーを放出しようとするため、電流が連続して流れ、これにより更に送電容量502が充電され端子Uの電圧が上昇する。送電コイル501の磁界エネルギーが放出されてしまうと電流が0となり、一方で、送電容量502にかかる電圧は最大となる。この時、送電容量502の両端の電圧はラッチ回路406の出力Qから出力されている電圧の約2倍に達する。
ここで、ラッチ出力QがHiを維持する場合、送電容量502にかかる電圧がラッチ出力Qの電圧より高いため、送電容量502が放電する方向に電流が流れ、送電コイル501に再び磁界エネルギーが蓄積されていく。
このような、送電コイル501と送電容量502の間でエネルギーのやり取りが繰り返されることにより、図2の回路が共振する。ただし、エネルギーが抵抗503で消費されるため、このようなエネルギーのやり取りは減衰振動となり、暫時、共振振幅が低下して、最終的には共振が停止する。
そこで、共振状態を維持するために下記の動作を行う。
まず、図2の電流検出手段450は、図3に示したような電流のゼロクロス点509を検出して、ゼロクロス点509でLowからHiに立ち上がりその後立ち下がるパルス状のクロック信号451を生成する。図3において、クロック信号451は明示されていないが、タイミングさえ判明すればパルス波形の生成は簡単のため省略する。なお、ゼロクロス点509は、図3でいうと時刻T4とほぼ一致する。
図2に示したように、生成されたクロック信号451は、ラッチ回路406のクロックCに入力される。反転出力Qバーがデータ入力Dに接続されているので、Cに入力されるクロックの立ち上がり毎に出力Qが反転する。したがって、電流のゼロクロス点509に対応するクロック信号の立ち上がり応じて、ラッチ回路406において時刻T4でラッチ出力QがHiからLowに反転し、図3に示したようにE端子の電圧がLowになる。
ラッチ出力Qが反転せずにHiのままであった場合には、ラッチ出力Qの電圧が1であるのに対して送電容量502の電圧が2であり、抵抗503と送電コイル501との両端には、その差分である1の電圧が印加されていた。
ラッチ出力Qが反転し出力がLowとなると、抵抗503と送電コイル501との両端には、さらに1の電圧が合わさって、2の電圧が印加することになる。すなわち、更に高い電圧が抵抗503と送電コイル501との両端に印加され、より多くのエネルギーを送電コイル501が一時的に蓄えられることになる。
この動作を、時刻T6、T8、・・・と順次繰り返せば、図3に示したように共振電圧が増加していき、図2に示した回路の共振が継続するようになる。
一方、抵抗503でエネルギーが消費されるので、最終的には有限の共振電圧で共振を継続し、所謂、RLC共振回路のQ値で決まる電圧まで共振電圧が上昇する。
以上に示したように、最初のステップ状の電圧の印加で共振を開始し、最初のゼロクロス点で駆動する手段の出力を変化させることにより、振動を継続させることができる。
このようなソフトスイッチングを用いることにより、スイッチング損失の少ない最適な状態で自励発振による無線給電が可能となる。
なお、ラッチ回路406の出力Qの電圧がゼロクロスするタイミング毎に、更なる電圧が共振コンデンサの電圧に加算されるので、本来は、共振開始から急速に共振電圧が上昇していくが、図では共振の動作を分かりやすくするため、振幅の増加を抑えて模式的に示している。
また、抵抗503の値のバラツキ等により共振電流や共振電圧が変化するので、共振回路の電流を検出し、その増加を抑制するように駆動電圧を制御することが望ましい。
図2で示した回路は、以下に述べる実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴である共振電流のゼロクロス点に基づいて正帰還をかけながら共振させる方法のメカニズムをわかりやすく説明するための回路である。図2のラッチ回路406は、後に述べる図3の駆動パルス生成回路401に相当する。
但し、抵抗503は一般的には回路の配線抵抗やコイルの抵抗成分に相当し共振の減衰等の挙動に関わっている。すなわち、共振回路にあえて抵抗503を挿入するという意味ではなく、上記において説明の簡単化のために抵抗503を明記したものである。
(ハーフブリッジ回路を用いた送電装置)
図4はハーフブリッジ回路を用いた場合における本発明の送電装置101の構成を詳細に示したものである。図4に示した送電装置101においても、図2及び図3で説明した共振電流のゼロクロス点に基づく共振制御を行っている。なお、図4の受電装置20は図1に示した受電装置20と同じであるが、以下の説明で必要な要素部分のみを記載している。
駆動制御回路40は、駆動パルス生成回路401と、PWM制御回路402と、FET駆動回路403で構成される。
図3に示したように、まずは、送電共振系50に電力を供給して共振を開始させるために、駆動制御回路40が駆動回路30にパルス状の信号を供給する。
図4を用いて詳しく説明すると、駆動パルス生成回路401は、FET駆動回路403を駆動するパルス状のFET駆動信号を生成する。FET駆動信号は、PWM制御回路402でパルス幅変調が施された後、FET駆動回路403に供給され、FET311と312を駆動する。FET311と312はそのスイッチング動作により、交流電力が発生するように制御される。FET311と312のスイッチング動作については、後で詳細に説明する。
送電コイル501と送電容量502は送電側の共振系を構成し、受電コイル601と受電容量602受電側の共振系と合わせて送受電共振系を構成している。
電流検出手段41は送電側の共振系における電流を検出する。例えば、電流検出手段41の箇所に電流検出用の抵抗を挿入し、その抵抗の両端電圧を測定することにより電流を検出できる。電流検出用の抵抗を用いる場合には、電流検出手段41を小型化できる。
電流ゼロクロス検出器42は、電流検出手段41が検出した電流値に基づき、電流のゼロクロスを検出する。
以後は、駆動パルス生成回路401が、電流ゼロクロス検出器42の検出信号に基づいて、FET駆動信号を生成し、図2及び図3で説明したように、電流のゼロクロスに基づいて、FET311とFET312のオン/オフ制御が行われる。その結果、送電共振系50と受電共振系60が共振結合することにより、送受電共振系における周波数特性のピークの周波数で振動が継続するようになる。
次に、電流のゼロクロスに基づいたFET311とFET312のオン/オフ制御と併せて負荷変動が生じた場合の電力制御を行う方法について説明する。
図5A〜図5Cは、図4のPWM制御回路402により送電側で電力制御を行う動作概念図である。図4に示したように、図5A〜図5Cの端子A、端子B、電流Iは、それぞれ、FET311のスイッチ電圧、FET312のスイッチ電圧、送電共振系50に流れる電流を示す。
図5A〜図5Cに示したように、本発明では、端子A及び端子Bがオンとなる時刻が、電流Iのゼロクロス時刻と同期するのが特徴である。本発明は、端子A及び端子Bがオンとなる時刻を電流Iのゼロクロス時刻と同期させつつ、FET311やFET312がオンとなっている期間を可変にすることによりPWMを行い、送電側で電力制御を行うことを特徴とする。
端子A及び端子Bがオンとなる時刻を電流Iのゼロクロス時刻とほぼ一致するように同期させているので、ゼロ電流スイッチング(以下、ZCSという)のソフトスイッチングとなり、低損失駆動回路として好適である。
図5Aは最大電力を送電する場合を示し、図5Bは最大電力よりも少ない電力を送電する場合を示し、図5Cはさらに少ない電力を送電する場合を示す。
このように、端子A及び端子Bがオンとなる時刻を電流Iのゼロクロス時刻と同期させて効率的な共振制御を行いつつ、さらにFET311やFET312がオンとなる時間を可変にすることにより簡単な装置構成で電力制御を行うことができる。
図5A〜図5Cを用いて図4のPWM制御回路402により送電側で電力制御を行う動作の概略を説明したが、以下ではより詳細に各部の動作を説明する。
図6は、図4の駆動回路30と送電共振系50と電流検出器41を抜き出して、電流Iが流れるルートa、b、c、dを示した回路ブロック図である。また、図7Aは図6に示した回路ブロックの動作波形図を示す。なお、図7Aは図6に示した回路ブロックの共振状態が定常状態にある場合を示す。
なお、電流Iはボディダイオードの付いたFETを利用した駆動回路の動作を詳細に説明する為の電流の経路と向きを示しており、主に共振状態の共振系に蓄えられたエネルギーにより流れる。特に、送電コイル501のインダクタンスに蓄えられた磁界エネルギーにより、共振電流の連続性を保つために送電コイル501の両端電圧が変化する。その為、FETがオン状態となっていなくても、ボディダイオードや電源の経路を通じて電流Iが流れる。エネルギーの蓄えられた共振状態の共振系である為、共振電流として、電流の大きさ、向きが変化し、更にFETのオン状態やダイオードの向きに応じて通電経路が変化する。
図7Aにおいて、時刻T1では端子Aと端子Bの電圧が共にLowなので、FET311とFET312は共にオフである。このとき、電流IはFET311の寄生ダイオードを通って電流ルートdを流れる。電流IはFET311の寄生ダイオードを通るので、端子E電圧は、電源301の電圧VcよりもFET311の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分高くなる。
ここで、0.7Vとしたのは、一般的なシリコンダイオードの値を示したものであり、ボディダイオードと同一方向に外付けでもっと順方向の電圧の低いショットキーバリアーダイオード等を接続した場合や、ボディダイオード自体を改良した場合、或いは、電流値自体が低い場合は、更に低い電圧となるが、ここでは、FETがオフとなった場合の電流の経路の変化が重要であるので、以後、ボディダイオードに電流が流れる場合、順方向電圧を0.7Vが発生するとして取り扱う。
やがて、電流Iは電流ルートdを流れながら、負の値から次第に0に近づき、時刻T2でゼロクロスする。
そして、図4を用いて前記したように、電流検出手段41が送電側の共振系における電流を検出する。電流ゼロクロス検出器42が、電流検出手段41が検出した電流値に基づき電流がゼロとなる時刻を検出する。駆動パルス生成回路401が、電流ゼロクロス検出器42の検出信号に基づいて、FET駆動信号を生成する。
この時、FET駆動信号は、図7Aに示したように、時刻T2で端子Aにおける電圧がLowからHiとなる信号であって、端子Bにおける電圧はLowのまま維持する信号である。よって、FET311は時刻T2でオフからオンになり、FET312はオフのままとなる。
時刻T2でFET311がオンになると、電源301から電力がFET311を介して送電共振系50に送られ始める。このとき、電流ルートdから電流ルートaに電流Iのルートが変更になるが、電流Iが0において電流ルートが変更になるので、ZCSによるソフトスイッチングとなっている。電流IはFET311を通るので、端子E電圧は、電源301の電圧Vcとほぼ同じになる。
図4のPWM制御回路402は、時刻T2〜T4においてFET311がオンになるように、FET駆動信号の端子AがHiとなる時間を制御し、電力制御を行う。したがって、時刻T2から電流Iが正の値で増え始める。
この時に、共振による電流Iに加えて、端子Aの電圧が上昇したことにより共振系に電源部から新たに流入する電流が発生する。端子Aの電位が上昇したことによる流入電流と共振による電流Iはこの時刻に於いては同一方向であり、それにより電力が共振系に注入されことになる。従って、この電流が同一方向である状態で、駆動回路のオン期間を可変すれば、電流の注入量を加減することができるので電力制御を行うことができる。
このように電流が増え始めたて時刻T4になると、端子Aにおける電圧がHiからLowとなるのでFET311はオフとなり、電源301から送電共振系50への電力供給が停止される。このとき、正の値の電流IはFET312の寄生ダイオードを通り、電流Iのルートは電流ルートaから電流ルートbに変更になる。電流IはFET312の寄生ダイオードを通るので、端子E電圧は、接地レベル0よりもFET312の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分低くなる。
時刻T4以後もFET312の寄生ダイオードを通って、電流Iが正の値で流れ続けるが、電源301から送電共振系50への電力供給が停止されているので、共振による電流Iだけが電流ルートbを流れながら正の値から次第に0に近づき、時刻T5でゼロクロスする。
そして、図4を用いて前記したように、電流検出手段41が送電側の共振系における電流を検出する。電流ゼロクロス検出器42が、電流検出手段41が検出した電流値に基づき電流のゼロクロスを検出する。駆動パルス生成回路401が、電流ゼロクロス検出器42の検出信号に基づいて、FET駆動信号を生成する。
この時、FET駆動信号は、図7Aに示したように、時刻T5で端子Bにおける電圧がLowからHiとなる信号であって、端子Aにおける電圧はLowのまま維持する信号である。よって、FET312は時刻T5でオフからオンになり、FET311はオフのままとなる。
時刻T5でFET312がオンになると、送電共振系50に蓄えられたエネルギーによる電流はFET312を介して接地へ放電される。このとき、電流ルートbから電流ルートcに電流Iのルートが変更になるが、電流Iが0において電流ルートが変更になるので、いわゆるソフトスイッチングとなっている。電流IはFET312を通るので、端子E電圧は、接地レベル0とほぼ同じになる。
図4のPWM制御回路402は、時刻T5〜T7においてFET312がオンになるように、FET駆動信号の端子BがHiとなる時間を制御し、電力制御を行う。
これは時刻T5から共振系に蓄えられたエネルギーによる共振の電流Iが負の値で増え始めると共に、端子E電圧が接地レベル0となるので共振系の送電容量502からFET312を通じて電荷を引き抜くように、電流Iの電流の方向と同一方向に電流を加算して共振系のエネルギーを増加させるように働く。従って、端子Aの場合と同様に、端子BのHiの時間を可変することにより電力制御を行うことができる。
時刻T7になると、端子Bにおける電圧がHiからLowとなるのでFET312はオフとなり、送電共振系50から接地への放電によるエネルギーの増加が停止される。このとき、負の値の電流IはFET311の寄生ダイオードを通り、電流Iは電流ルートcから電流ルートdにルートが変更になる。電流IはFET311の寄生ダイオードを通るので、端子E電圧は、接地レベル0よりもFET311の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分高くなる。
やがて、電流Iは電流ルートdを流れながら、負の値から次第に0に近づき、時刻T8でゼロクロスする。
以上を繰り返すことにより、図4のハーフブリッジ回路を用いた送電装置101において、ソフトスイッチングしながら最適な共振状態が維持することができる。
なお、電流の加算による共振系へのエネルギーの増加は、受電側に電力を伝送しそこに接続された負荷等での電力消費や、共振系等に含まれる抵抗成分等による電力消費により費やされ、定常状態での共振が維持される。
図7Bは、PWM制御回路402で図7Aに比べて電力を小さく制御する場合を示す。なお、図7Bは図6に示した回路ブロックの共振状態が定常状態にある場合を示す。図7Bでは、端子A及び端子BのHiとなる時間が図7Aに比べて短くなるようにPWM制御回路402がFET駆動信号のパルス幅を制御する。このように、図4のハーフブリッジ回路を用いた送電装置101において、ソフトスイッチングを行うことによって最適な共振状態を維持しながら、PWMで送電装置101の送電電力を制御できる。
なお以上は、図6に示したように、電流検出器41を送電共振系50と接地の間であって、ハーフブリッジ回路と接地の間ではない位置に設けた場合について説明した。一方で、図6に示したように、電流検出器41の代わりに電流検出器411や412を設けることも考えられる。但しこの場合、電流Iをそのまま検出できないので、ソフトスイッチングしながらPWM制御を行うためのFET駆動信号を生成することが困難である。以下に詳しく説明する。
図6に示すように、電流検出器411、若しくは412を設けた場合における、それぞれの検出電流波形を図8に示す。電流の符号は図6に示したとおりである。図8から分かるように、電流検出器411や412では良好な正弦波を検出することができない。そのため、電流検出器41の代わりに電流検出器411、若しくは電流検出器412を設けて電流のゼロクロスを検出しても、精度のよいFET駆動信号を生成することができない。
電流検出器41の代わりに電流検出器411や電流検出器412を用いる場合は、電流検出器411や電流検出器412を併せて設置する必要がある。電流検出波形の適切なゼロクロスポイントを抽出することにより、共振系の電流のゼロクロスポイントを検出でき、その結果、精度のよいFET駆動信号を生成できる。但し、電流検出器411や電流検出器412を併せて設置すると、装置が大型化し、価格も高くなってしまう。
このように、送電装置にハーフブリッジ回路を用いる場合は、送電共振系50と接地の間であって、ハーフブリッジ回路と接地の間ではない位置に電流検出器41を用いる方が、装置の構成が簡易となり好適である。
図6に示したように、送電装置10にハーフブリッジを用いた場合は、送電容量502の一端が接地されている。一方、FET311がオンになった場合と、FET312がオンになった場合とで、送電共振系50への印加電圧が異なる。定常状態となった場合には送電容量502の平均電圧が電源とグランドの略中点電圧付近となるが、共振の開始時や負荷変動による共振電圧の変化時に生じやすい。そのため、電流検出器411、若しくは電流検出器412で電流を検出する場合は、共振波形が純粋な正弦波の波形から変形し、高調波を発生しやすくなり、良好な正弦波を検出することができない。
図9は、図6の変形例である。送電容量502の一端は、電源301と接地の間に設けられた2つの容量の大きいコンデンサの中点に接続される。FET311とFET312のオン/オフに応じて、負荷への印加電圧として電源電圧の中点の電圧、電源電圧、或いは接地電圧が印加されるので、極性の異なる同一の電圧が交互に印加されることになり、電流検出器413で良好な正弦波を検出できる。
更に、図9の場合は電流検出器413の一端が容量の大きいコンデンサに接続されている為、共振電流による電位変化の影響が少ない。従って、抵抗によって電流検出器413を構成する場合でも、その抵抗自体における接地からの電位変動が少ない。そのため、共振電流の影響を受けにくく、良好な性能の電流検出手段の回路が構築できる。
図4や図6に示したように、電流検出器41の一端を接地することにより、接地端からの電位変化により電流検出回路を構築することができる。その結果、ノイズ耐性を向上させ、回路構成の簡素化を実現できる。
(フルブリッジ回路を用いた送電装置)
図10はフルブリッジ回路を用いた場合における本発明の送電装置102の構成を詳細に示したものである。図10に示した送電装置102においても、図2及び図3で説明した共振電流のゼロクロス点に基づく共振制御を行っている。なお、図10の受電装置20は図1に示した受電装置20と同じであるが、以下の説明で必要な要素部分のみを記載している。
駆動制御回路40は、駆動パルス生成回路401と、PWM制御回路402と、FET駆動回路403、FET駆動回路404で構成される。
図3に示したように、まずは、送電共振系50に電力を供給して共振を開始させるために、駆動制御回路40が駆動回路30にパルス状の信号を供給する。
図10を用いて詳しく説明すると、駆動パルス生成回路401は、FET駆動回路403とFET駆動回路404を駆動するパルス状のFET駆動信号を生成する。FET駆動信号は、PWM制御回路402でパルス幅が変調された後、FET駆動回路403とFET駆動回路404に供給され、FET311〜314を駆動する。FET311〜314はそのスイッチング動作により、交流電力が発生するように制御される。送電コイル501と送電容量502は送電側の共振系を構成し、受電側の共振系と合わせて送受電共振系を構成している。
電流検出手段41は送電側の共振系における電流を検出する。例えば、電流検出手段41の箇所に電流検出用の抵抗を挿入し、その抵抗の両端電圧を測定することにより電流を検出できる。電流検出用の抵抗を用いる場合には、電流検出手段41を小型化でき、好適である。
電流ゼロクロス検出器42は、電流検出手段41が検出した電流値に基づき、電流のゼロクロスを検出する。
以後、駆動パルス生成回路401は、電流ゼロクロス検出器42の検出信号に基づいて、FET駆動信号を生成する。
後は、図2及び図3で説明したように、電流のゼロクロスに基づいて、FET311〜FET314のオン/オフ制御が行われて、共振系の振動が開始されて自励発振が継続する。共振系として送電側共振系と受電側共振系で送受電共振系が構成されており、送電側共振系と受電側共振系が共振結合することにより、送受電共振系における周波数特性のピークの周波数で振動が継続するようになる。
図11は、図10の駆動回路30と送電共振系50と電流検出器41を抜き出して、電流Iが流れるルートa、b、c、dを示した回路ブロック図である。また、図12Aは図6に示した回路ブロックの動作波形図を示す。なお、図12Aは図11に示した回路ブロックの共振状態が定常状態にある場合を示す。
図12Aにおいて、時刻T1では端子Aと端子Bの電圧が共にLowなので、FET311〜FET314はオフである。このとき、電流IはFET311の寄生ダイオードとFET314の寄生ダイオードを通って電流ルートdを流れる。電流IはFET311の寄生ダイオードを通るので、端子E電圧は、電源301の電圧VcよりもFET311の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分高くなる。また、電流IはFET314の寄生ダイオードを通るので、端子F電圧は、接地レベル0よりもFET311の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分低くなる。
やがて、電流Iは電流ルートdを流れながら、負の値から次第に0に近づき、時刻T2でゼロクロスする。
そして、図4を用いて前記したように、電流検出手段41が送電側の共振系における電流を検出する。電流ゼロクロス検出器42が、電流検出手段41が検出した電流値に基づき電流がゼロとなる時刻を検出する。駆動パルス生成回路401が、電流ゼロクロス検出器42の検出信号に基づいて、FET駆動信号を生成する。
この時、FET駆動信号は、図12Aに示したように、時刻T2で端子Aと端子Dにおける電圧がLowからHiとなる信号であって、端子Bと端子Cにおける電圧はLowのまま維持する信号である。よって、FET311とFET314は時刻T2でオフからオンになり、FET312とFET313はオフのままとなる。
時刻T2でFET311とFET314がオンになると、電源301から電力がFET311とFET314を介して送電共振系50に送られ始める。このとき、電流ルートdから電流ルートaに電流Iのルートが変更になるが、電流Iが0において電流ルートが変更になるので、いわゆるソフトスイッチングとなっている。電流IはFET311とFET314を通るので、端子E電圧は、電源301の電圧Vcとほぼ同じになる。
図10のPWM制御回路402は、時刻T2〜T4においてFET311とFET314がオンになるように、FET駆動信号の端子Aと端子DがHiとなる時間を制御し、電力制御を行う。これは、図4で説明したように、時刻T2から電流Iが正の値で増え始めるとともに、共振系の両端に端子Eと端子Fに電源301とグランドの電位を与えることにより共振系に電流Iと同一方向の電流を加算し共振系へのエネルギー注入を行うので、Hiとなる時間を可変することにより電力制御を実施できる。
時刻T4になると、端子Aと端子Dにおける電圧がHiからLowとなるのでFET311とFET314はオフとなり、電源301から送電共振系50への電力供給が停止される。このとき、正の値の電流IはFET312の寄生ダイオードとFET313の寄生ダイオードを通り、電流Iは電流ルートaから電流ルートbにルートが変更になる。電流IはFET312の寄生ダイオードを通るので、端子E電圧は、接地レベル0よりもFET312の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分低くなる。また、電流IはFET313の寄生ダイオードを通るので、端子F電圧は、接地レベル0よりもFET313の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分高くなる。
時刻T4以後もFET312の寄生ダイオードとFET313の寄生ダイオードを通って、電流Iが正の値で流れ続けるが、電源301から送電共振系50への電力供給が停止されているので、電流Iは電流ルートbを流れながら正の値から次第に0に近づき、時刻T5でゼロクロスする。
そして、図4を用いて前記したように、電流検出手段41が送電側の共振系における電流を検出する。電流ゼロクロス検出器42が、電流検出手段41が検出した電流値に基づき電流のゼロクロスを検出する。駆動パルス生成回路401が、電流ゼロクロス検出器42の検出信号に基づいて、FET駆動信号を生成する。
この時、FET駆動信号は、図12Aに示したように、時刻T5で端子Bと端子Cにおける電圧がLowからHiとなる信号であって、端子Aと端子Dにおける電圧はLowのまま維持する信号である。よって、FET312とFET313は時刻T5でオフからオンになり、FET311とFET314はオフのままとなる。
時刻T5でFET312とFET313がオンになると、送電共振系50に蓄えられた電力は、FET312とFET313を介して接地へ放電される。このとき、電流ルートbから電流ルートcに電流Iのルートが変更になるが、電流Iが0において電流ルートが変更になるので、いわゆるソフトスイッチングとなっている。電流IはFET312を通るので、端子E電圧は、接地レベル0とほぼ同じになる。また、電流IはFET313を通るので、端子F電圧は、電源301の電圧Vcとほぼ同じになる。
図10のPWM制御回路402は、時刻T5〜T7においてFET312とFET313がオンになるように、FET駆動信号の端子BがHiとなる時間を制御し、電力制御を行う。これは、図4で説明したように、時刻T5から電流Iが負の値で増え始めるとともに、共振系の両端に端子Eと端子Fにグランドと電源301の電位を与えることにより共振系に電流Iと同一方向の電流を加算し共振系へのエネルギー注入を行うので、Hiとなる時間を可変することにより電力制御を実施できる。
時刻T7になると、端子Bと端子Cにおける電圧がHiからLowとなるのでFET312とFET313はオフとなり、送電共振系50から接地への放電が停止される。このとき、負の値の電流IはFET311の寄生ダイオードとFET314の寄生ダイオードを通り、電流Iのルートは電流ルートcから電流ルートdに変更になる。電流IはFET311の寄生ダイオードを通るので、端子E電圧は、電源301の電圧VcよりもFET311の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分高くなる。また、電流IはFET314の寄生ダイオードを通るので、端子F電圧は、接地レベル0よりもFET311の寄生ダイオードの両端電圧0.7V分低くなる。
やがて、電流Iは電流ルートdを流れながら、負の値から次第に0に近づき、時刻T8でゼロクロスする。
以上を繰り返すことにより、図10のフルブリッジ回路を用いた送電装置102において、ソフトスイッチングしながら最適な共振状態が維持することができる。
図12Bは、PWM制御回路402で図12Aに比べて電力を小さく制御する場合を示す。なお、図12Bは図11に示した回路ブロックの共振状態が定常状態にある場合を示す。図12Bでは、端子A、端子B、端子C、端子DのHiとなる時間が図12Aに比べて短くなるようにPWM制御回路402がFET駆動信号のパルス幅を制御する。このように、図10のフルブリッジ回路を用いた送電装置102において、ソフトスイッチングを行うことによって最適な共振状態を維持しながら、PWMで送電装置102の送電電力を制御できる。
これまで、非接触電力伝送装置で電力制御を行う場合には、図4や図10に示した電源301から供給されるDC電力の電圧を可変させていた。そのため、DC−DCコンバータの機能を必要とし、装置の大型化、さらには装置の高価格化という問題があった。
本発明では、FET311〜FET314がオンとなる期間を可変にしてPWMで電力制御を行うので、電源301は略一定の電圧を出力する電源であればよい。したがって、本発明の非接触電力伝送装置では電源301として可変電圧電源を用いる必要が無く、電源301に略一定の電圧を出力する電源を用いた場合でも、電圧可変式DC−DCコンバータを設ける必要が無い。
以上のように、本発明の非接触電力伝送装置では、共振電流のゼロクロス点に基づいて正帰還をかけながら共振させるので、最適化された共振制御が可能であり、電源301として略一定の電圧を出力する電源を用いても負荷変動に応じて電力制御が可能となり、非接触電力伝送装置の小型化、及び低価格化を実現できる。
なお、以上の説明では、受電装置20が送電装置10へ通信手段により電力情報を送信することを例に挙げて説明した。しかし、本発明の主題である、共振電流のゼロクロス点に基づいて正帰還をかけながら共振制御すること、そして前記共振制御のもと行いながらPWMで電力制御を行うことは、送電装置10でのみ行う行為であるので、受電装置20が送電装置10へ通信を行うことは必須ではない。例えば、前記通信を行わず、送電装置10が受電装置20側に出力する送電回路の電力の変化や送電側の共振電圧の変化に着目すれば受電装置20が負荷に出力する電力の変化が推定できるので、送電装置10の発生する電動電力の増減を制御することが可能であり、通信を行うことは必ずしも必要でない。
例えば、受電装置20から接続された負荷への出力がなくなり、送受電の共振系から受電装置20側への電力の供給が減少することは、この共振系からのエネルギーの流出が減少することである。したがって、送電側の駆動回路の駆動条件が一定であれば従来通りに送電側から共振系へ電力を送ろうとするので、共振系ではエネルギーが蓄積されることとなる。このエネルギーの蓄積量の上昇は、共振している共振系の共振電流や共振電圧の上昇となって表れる。よって、共振電圧が上昇すれば受電側へ電力の送りすぎであるので駆動回路から発生させる電力を低減する必要があり、このような制御を行えば通信を介さずに電力御制御が可能となる。