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JP6518941B2 - 臨界故障除去時間算出装置、臨界故障除去時間算出方法、及びプログラム - Google Patents
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JP6518941B2 - 臨界故障除去時間算出装置、臨界故障除去時間算出方法、及びプログラム - Google Patents

臨界故障除去時間算出装置、臨界故障除去時間算出方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、臨界故障除去時間算出装置、臨界故障除去時間算出方法、及びプログラムに関する。
電力系統において一部の送電線に地絡等の故障が発生すると、発電機が加速して不安定となる。このとき、十分に短い時間内にリレー等により故障が除去されると電力系統は安定となるが、故障の除去に長時間を要すると電力系統は不安定になる。このような安定と不安定の境界を臨界と呼び、臨界となる故障除去時間を臨界故障除去時間(Critical Clearing Time: CCT)と呼ぶ。
図1、図2を参照して、臨界故障除去時間及びその算出手法の概要を説明する。図1は、制動無しの1機無限大母線系統の状態を発電機の位相角δ及び角速度ωの軌跡で表わした模式図である。図2は、離散化された多次元状態変数をユークリッド距離εで表示する模式図である。
図1において、電力系統の状態は、故障の発生により、安定平衡点PAから故障軌跡1に沿って時間変化している。このとき、安定平衡点PAから点PCまでの時間より短い時間(点PB)で故障が除去されると、電力系統の状態は、軌跡2に沿って変化し、ある安定状態に回復可能となる。他方、安定平衡点PAから点PCまでの時間より長い時間(点PD)で故障が除去されると、電力系統の状態は、軌跡3に沿って発散し、安定状態に回復することができない。そして、故障が故障軌跡1上の点PCで除去されると、電力系統の状態は、臨界軌跡3に沿って数理論上無限大の時間をかけて支配的不安定平衡点PE(Controlling Unstable Equilibrium Point: CUEP)に到達するとされる。このような安定平衡点PAから点PCまでの時間が、臨界故障除去時間である。
このような臨界故障除去時間の算出方法の一例が、特許文献1、2に開示されている。図2に示されるように、故障軌跡1上の点であり且つ故障除去時の電力系統の状態(図1に示す点PC)を多次元状態変数xと定義する。多次元状態変数xは、故障軌跡1上の点であるから、次式で示される故障除去時間τの関数として表すことができる。
Figure 0006518941
また、故障除去後の電力系統の状態を、離散的な時刻t(1≦k≦m+1)の順に多次元状態変数x,x,・・x,xm+1と定義する。多次元状態変数x(0≦k≦m+1)は、それぞれ複数の成分から成る多次元変数(ベクトル)である。
そうすると、多次元状態変数x(k=0)は臨界故障除去時間に対応するベクトルであり、多次元状態変数xm+1(k=m+1)は支配的不安定平衡点CUEPにおけるベクトルである。そして、多次元状態変数x(0≦k≦m+1)は、電力系統の状態が故障除去時の状態(x)から支配的不安定平衡の状態(xm+1)に至るまでの臨界軌跡3を構成する。このような多次元状態変数xは、電力系統の非線形状態を表現する次の多次元非線形方程式(電力系統方程式)の解として捉えることができる。
Figure 0006518941
この(式1.2)に対して台形公式を適用することで、相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1は、次式で関係付けられる。ここに、εは、多次元状態変数x及びxk+1の間のユークリッド距離を表している。
Figure 0006518941
ところで、臨界軌跡3の終点である多次元状態変数xm+1は、一般的に支配的不安定平衡点CUEPであると考えられる。そこで、(式1.3)に関する制約条件は、臨界軌跡3の終点xm+1を支配的不安定平衡点CUEPの所定値を表したxとして指定する場合には、次の(式1.4)となり、あるいは、臨界軌跡3の終点xm+1を支配的不安定平衡点CUEPの状態を表した平衡条件として指定する場合には、(式1.5)となる。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
従って、上述した(式1.1)−(式1.3)、及び、臨界軌跡3の終点xm+1の制約条件である(式1.4)又は(式1.5)による多元連立方程式を解くことによって、臨界軌跡3の始点x、ひいては臨界となる故障除去時間τを求めることができる。
もっとも、(式1.3)の多元連立方程式を直接的に解くと、台形公式に起因する数値誤差が累積して臨界軌跡3の終点xm+1で最大化する虞がある。このため、(式1.3)の左辺を誤差ベクトルとして扱い、次の(式1.6)のように、誤差ベクトル(ノルム)の総和を最小にする未知変数τ,ε,x,x,・・x,xm+1を一括して求めている。
Figure 0006518941
特開2007−53836号公報 特許第4517106号公報
しかし、不安定平衡点を臨界軌跡の終点として指定して計算を実行すると、解が求まらないことがある。
そこで、本発明は、臨界故障除去時間の算出において解を確実に求めることを目的とする。
前述した課題を解決する主たる本発明は、複数の発電機が連系した電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、前記電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求める臨界故障除去時間算出装置であって、故障除去時間τの関数であり、前記故障を除去した時の前記電力系統の状態を表す多次元状態変数xと、前記多次元状態変数xを始点として前記電力系統の状態の時間的変化を表した軌跡の終点を示す多次元状態変数xm+1(mは整数)と、前記多次元状態変数xとxm+1との間で離散化され、
Figure 0006518941
として定義される電力系統方程式に従う複数の多次元状態変数x(1≦k≦m+1:k、mは整数)と、前記多次元状態変数xないしxm+1の中で相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1の間の移動時間Δtと、を用いて
Figure 0006518941
として定義される第1の誤差ベクトルμTZ と、前記電力系統のポテンシャルエネルギーが前記始点から前記終点に向かって前記軌跡に沿って変化する方向と、前記故障の除去後の安定平衡点から見た前記終点の方向と、の内積を成分として含む第2の誤差ベクトルμと、正の対角要素を有する正方の対角行列Wと、を用いて
Figure 0006518941
として定義される目的関数を最小化する第1の情報装置と、前記目的関数が最小化されたときの前記多次元状態変数x及び当該多次元状態変数xに対応する前記故障除去時間τを求める第2の情報装置と、を備える。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
本発明によれば、臨界故障除去時間の算出において解を確実に求めることが可能になる。
制動無しの1機無限大母線系統の状態を発電機の位相角δ及び角速度ωの軌跡で表わした模式図である。 離散化された多次元状態変数をユークリッド距離εで表示する模式図である。 離散化された多次元状態変数を移動距離Δtで表示する模式図である。 臨界故障除去時間の算出方法を示すフローチャートである。 臨界故障除去装置の構成を示す図である。
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
===臨界故障除去時間の算出手法===
図2、図3を参照しつつ、本実施形態における臨界故障除去時間の算出手法を説明する。図2、図3では、電力系統の状態が、離散的な時刻t(0≦k≦m+1;mは整数)により離散化された多次元状態変数x(0≦k≦m+1;k,mは整数)で表現されている。かかる多次元状態変数xは、次式で示される要素を含む状態変数ベクトルである。
Figure 0006518941
ただし、ω 、θ は、離散的な時刻tにおける発電機ユニットi(i=1〜n)の角周波数、位相角をそれぞれ表わす。
本実施形態における電力系統の状態は、上述した状態変数ベクトルxと多次元関数fを用いた次式の非線型方程式(電力系統方程式)によって表現される。
Figure 0006518941
あるいは、上述の電力系統方程式は、状態変数xと従属変数yとを用いて、等価なシステム表現である次式で表されてもよい。
Figure 0006518941
ここでは、電力系統の臨界軌跡3を、(式2.2)で表現された非線形方程式の解(つまり、状態変数ベクトルx)として求め、この解に基づいて臨界となる故障除去時間τを算出することとする。もっとも、非線形方程式は(式2.3)で表現されてもかまわない。
本実施形態においては、電力系統の臨界軌跡3を求めるべく、次の(a)−(c)に基づいて誤差ベクトルμTZ、μ、μをそれぞれ定式化し、これら式の自乗和で表される目的関数を最小化する解を算出するので、以下に詳述することとする。
(a)臨界軌跡上の隣接する2点は台形公式を満たす。
(b)臨界軌跡の始点は、故障軌跡上にある(初期条件)。
(c)臨界軌跡の終点(終端点とも言う)は、終端条件を満たす。
<<台形公式>>
(式2.2)の非線形方程式を数値的に解くべく台形公式の近似を適用する。すると、互いに隣接する多次元状態変数x,xk+1(1≦k≦m)の間には、次の等式が成立する。
Figure 0006518941
また、移動時間Δtを、多次元状態変数x,xk+1の間を移動する時間(tk+1−t)として定義する。この移動時間Δtを用いて(式2.4)を表現すると、次のようになる。
Figure 0006518941
この(式2.5)から、次式で定義される第1の誤差ベクトルμTZ を得る。
Figure 0006518941
あるいは、隣接する多次元状態変数x,xk+1の間のユークリッド距離εを
Figure 0006518941
として定義すると、上述した(式2.5)は、次式で表される。
Figure 0006518941
よって、第1の誤差ベクトルμTZ は、上述したユークリッド距離εを用いて、次式として定義されてもよい。
Figure 0006518941
なお、(式2.6)、(式2.9)をまとめて表現すると、次式で表される。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
なお、計算の実行にあたっては、移動距離Δt,ユークリッド距離εのいずれを用いても差し支えない。また、計算時間の短縮と計算の安定性を両立させるべく、最初の数回の反復計算ではユークリッド距離εを用い、それ以降の計算では移動距離Δtを用いてもよい。
<<初期条件>>
上述したように、臨界軌跡3の始点xは、故障軌跡1上にある。この条件は、変数ベクトルxが臨界となる故障除去時間τに基づくことを意味するので、次式で表すことができる。
Figure 0006518941
<<終端条件>>
本実施形態では、臨界軌跡3の終点xm+1の満たすべき終端条件として、(i)ポテンシャルエネルギーの条件、(ii)運動エネルギーの条件、及び(iii)2点間の距離の最小化、の3つを用いる。上記(i)ポテンシャルエネルギーの条件は、解を確実に得るために有効な条件であり、残りの2つの条件は、適宜ポテンシャルエネルギーの条件と組み合わされて用いられることで確実性が更に向上する。以下、上記(i)−(iii)の各条件を説明する。
(i)ポテンシャルエネルギーの条件:μPEBS
先に述べたように、一般に、臨界軌跡3の終点は不安定平衡点であると考えられているが、計算を実行する際、終端条件として不安定平衡点を指定すると、解が求まらない場合がある。発明者らが検討した結果、不安定平衡点がPEBS(Potential Energy Boundary Surface)と呼ばれるポテンシャルエネルギー境界面の上に存在するように終端点を指定すると、計算が安定することが判明した。このことは、臨界軌跡の終点が、上述した不安定平衡点だけでなく、不安定平衡点に連なるPEBS上に存在する場合があることを示している。一般に、μPEBS=0は、PEBS上で成立する条件である。そこで、本実施形態では、臨界軌跡3の終点において、かかる条件を考慮することとする。つまり、臨界軌跡3の終点ではμPEBSが最小となることを終端条件の1つとする。
ここで、ポテンシャルエネルギー面を地形に例えると、安定領域は盆地のような領域であり、不安定領域は盆地の外側である。そして、安定領域と不安定領域の境界である臨界状態は、盆地を囲む山の稜線に例えられる。そうすると、上述したμPEBS=0なる条件は、電力系統のポテンシャルエネルギーが始点から終点に向かって臨界軌跡3に沿って変化する方向と、故障の除去後の安定平衡点から見た終点の方向と、が直交することと言い換えることができる。すなわち、これら2つの方向の内積がゼロとなることが終端条件である。
そこで、電力系統のポテンシャルエネルギーをVとし、また、終端点の座標、終端点における角速度、及び故障除去後の安定平衡点の座標を、それぞれ
Figure 0006518941
とすると、上述した2つの方向はそれぞれ
Figure 0006518941
で表される(座標θの上に付されたチルダは、座標が慣性中心座標系に変換されていることを表す(次の(式2.12)の但し書き参照)。よって、μPEBSは次式で表される。なお、次式において、変数の右肩に付された記号Tは転置を表す。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
このようなμPEBSが臨界軌跡の終点において最小になることが、ポテンシャルエネルギーの条件である。
(ii)運動エネルギーの条件:μKE
臨界軌跡3の終点においては、電力系統内の全発電機の運動エネルギーが最小となるはずである。したがって、終点において以下のμKEが最小となることが終端条件となる。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
もっとも、(式2.13)における発電機の回転角速度ωは慣性中心座標系に変換されているので、μKEは終端点において極小となる。この条件により終点を検出する。
(iii)2点間の距離の最小化:μdist
発明者らは、臨界軌跡3が不安定平衡点に収束するケースのほか、上記(i)のポテンシャルエネルギー条件の下で臨界軌跡3がPEBSに漸近するケースがあることを発見した。そして、両ケースにおいて、終点に至る2点x、xm+1間の距離が最小になることに着目し、このことを終端条件として用いることとした。この終端条件は次式で表される。
Figure 0006518941
ここで、wdistは任意の定数であり、例えば0.1である。なお、2点間の距離が速度に比例することからすれば、(式2.14)は、(式2.13)と論理的に矛盾せず、相乗的な効果を有する。
(iv)終端条件のまとめ
上述した(i)−(iii)を成分として含む(式2.15)の第2の誤差ベクトルμの自乗(式2.16)を、最小自乗法の目的関数に加え、極小となる点を検出することで、計算の安定化を図ることができる。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
ただし、この第2の誤差ベクトルμの全ての成分を最小化問題の中に入れる必要はない。本実施形態において、ポテンシャルエネルギー条件は非常に有効であるから、必ずμに入れることとする。残りの2つの条件をμに加えると、更に計算が安定化する。
ここで、第2の誤差ベクトルμを目的関数に加える際、次式のように、正の対角要素を有する正方の対角行列Wを重み付けとして用いてもよい。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
例えば、a=a=a=1のとき、(式2.17)は、(式2.16)における|μに一致する。また、a=a=0、a=1のとき、(式2.17)は、|μPEBSになる。このように、状況に応じて重み付けWの成分を変化させることで、計算を更に安定化することができる。なお、第2の誤差ベクトルμは、上記以外の条件を成分として含んでもよい。
<<制約条件関数μstep>>
希に解が安定平衡点SEPに収束し、妥当な解が求められないケースがある。これは、上記の終端条件がSEPにおいても成り立つ場合があるためである。解がSEPに収束するケースでは、移動時間Δt又はユークリッド距離εのステップ幅がゼロとなり,臨界軌跡3における全ての点がSEPに収束する現象が見られる。この現象をゼロ収束と呼ぶこととする。
このようなゼロ収束を回避するため、移動時間Δt又はユークリッド距離εの最大化を目的関数に加えてもよい。具体的には、使用する台形公式に応じ、移動時間Δt又はユークリッド距離εの逆数の関数として定義される次の制約条件関数μstepを最小化する。
Figure 0006518941
Figure 0006518941
ここで、TΔt、Tε、wstepは定数である。例えば、TΔt=1/m、Tε20/m、wstep=1が好ましいが、これらの値に限られない。
かかる制約条件関数μstepを目的関数に加えることによって、ゼロ収束現象を回避し、妥当な解を確実に求めることが可能となる。
<<目的関数の最小化>>
これまでの議論から、本実施形態における目的関数は以下のように書ける。
Figure 0006518941
そして、(式2.19)で表される目的関数を最小化させる変数ベクトルx、移動時間Δt(又はユークリッド距離ε)、終端条件μの各成分、臨界となる故障除去時間τを求める。このような最適化問題を解くにあたり、上述した(式2.11)により定義される初期条件μを含む制約条件を課している。なお、かかる最適化問題の計算手法として、例えばニュートン・ラフソン法が用いられる。
===臨界故障除去時間の算出の流れ===
図4を参照して、本実施形態において臨界故障除去時間を算出する流れを説明する。図4は、臨界となる故障除去時間τを算出する流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、臨界となる故障除去時間τを求める電力系統を表したモデルを特定する。これにより、多次元関数fや、多次元状態変数x(0≦k≦m+1)が特定される。次いで、ステップS2において、臨界軌跡3の初期条件μ(式2.11)、臨界軌跡3の終端条件μ(式2.12−式2.14)、終端条件の各成分に対する重み付けWを設定する。併せて、必要に応じて、ステップ幅に関する条件μstep(式2.18.1又は式2.18.2)を設定する。これにより、(式2.19)に示される目的関数が決まる。
目的関数が決まると、ステップS3において、最適化問題の解探索、つまり目的関数の最小化を実行する。かかる計算の実行により、臨界軌跡3の始点xと当該始点xに対応する故障除去時間τとを算出する。
なお、ステップS3において解探索を実行する過程で、目的関数と多次元状態変数x(0≦k≦m+1)との推移を所定のメモリに記憶しておき、解探索後に当該メモリに記憶された目的関数と多次元状態変数xを時系列に表示することにより、探索経路の確認や局所最適解に陥っていないか否かの確認を行うようにしてもよい。
===臨界故障除去時間算出装置、プログラム===
本実施形態における臨界となる故障除去時間τの算出は、臨界故障除去時間算出装置100によって実行される。臨界故障除去時間算出装置100は、例えば、電力系統の運用に携わる作業者が操作するコンピュータやワークステーションであって、図5に示されるように、CPU101、液晶ディスプレイ等の表示装置102、キーボードやマウス等の入力装置103、メモリ104、記憶装置105を備える。
CPU101は、記憶装置105からメモリ104にプログラム及びデータを読み込んで、計算を実行する。上述したステップS1−S3における目的関数の設定及び最小化を実行する第1の情報装置の機能と、目的関数が最小化されたときの臨界軌跡3の始点x及び当該始点xに対応する故障除去時間τの算出を実行する第2の情報装置の機能とは、CPU101によって実行される。
記憶装置105には、前述した臨界故障除去時間の算出を行うためのプログラム、例えば、前述したニュートン・ラフソン法のプログラムや、このニュートン・ラフソン法を用いて未知変数x〜xm+1、τ、Δt、ε等の最適化を実施するプログラムを含むプログラム群(臨界故障除去時間算出プログラム)が格納されている。記憶装置105には、関数fに関する情報や、状態変数ベクトルx〜xm+1や誤差ベクトルを含む中間データ等も記憶される。
以上説明したように、臨界故障除去時間算出装置100は、故障除去時間τの関数であり、故障を除去した時の電力系統の状態を表す多次元状態変数xと、多次元状態変数xを始点として電力系統の状態の時間的変化を表した軌跡3の終点を示す多次元状態変数xm+1(mは整数)と、多次元状態変数xとxm+1との間で離散化され、
Figure 0006518941
として定義される電力系統方程式に従う複数の多次元状態変数x(1≦k≦m+1:k、mは整数)と、多次元状態変数xないしxm+1の中で相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1の間の移動時間Δtと、を用いて
Figure 0006518941
として定義される第1の誤差ベクトルμTZ と、電力系統のポテンシャルエネルギーVが始点から終点に向かって軌跡3に沿って変化する方向と、故障の除去後の安定平衡点から見た終点の方向と、の内積を成分として含む第2の誤差ベクトルμと、正の対角要素を有する正方の対角行列Wと、を用いて
Figure 0006518941
として定義される目的関数を最小化する第1の情報装置を備える。また、目的関数が最小化されたときの多次元状態変数x及び当該多次元状態変数xに対応する故障除去時間τを求める第2の情報装置を備える。なお、第1の誤差ベクトルμTZ は、多次元状態変数x及びxk+1の間のユークリッド距離εを用いて
Figure 0006518941
として定義されてもよい。
かかる実施形態によれば、不安定平衡点を指定することで計算が安定しない事態を回避して、解を確実に求めることができる。
また、第2の誤差ベクトルμは、電力系統内の発電機の運動エネルギーμKEを更に成分として含むことが好ましい。これにより、計算が更に安定する。
また、第2の誤差ベクトルμが、軌跡において終点に至る2点の間の距離μdistを更に成分として含むことで、計算の安定度が向上する。
また、第1の情報装置は、移動時間Δtの逆数又はユークリッド距離εの逆数の関数として定義される第3の誤差ベクトルμSTEPを用いて
Figure 0006518941
として定義される目的関数を最小化することが好ましい。かかる実施形態によれば、解が安定平衡点に収束することを回避することができるため、妥当な解を確実に得ることができる。
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
1 故障軌跡
2 故障が除去された後に安定状態に戻ることが可能な電力系統の状態を示す軌跡
3 臨界軌跡
4 故障が除去された後に安定状態に戻ることが不可能な電力系統の状態を示す軌跡
100 臨界故障除去時間算出装置
101 CPU
102 表示装置
103 入力装置
104 メモリ
105 記憶装置

Claims (8)

  1. 複数の発電機が連系した電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、前記電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求める臨界故障除去時間算出装置であって、
    故障除去時間τの関数であり、前記故障を除去した時の前記電力系統の状態を表す多次元状態変数xと、
    前記多次元状態変数xを始点として前記電力系統の状態の時間的変化を表した軌跡の終点を示す多次元状態変数xm+1(mは整数)と、
    前記多次元状態変数xとxm+1との間で離散化され、
    Figure 0006518941
    として定義される電力系統方程式に従う複数の多次元状態変数x(1≦k≦m+1:k、mは整数)と、
    前記多次元状態変数xないしxm+1の中で相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1の間の移動時間Δtと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される第1の誤差ベクトルμTZ と、
    前記電力系統のポテンシャルエネルギーが前記始点から前記終点に向かって前記軌跡に沿って変化する方向と、前記故障の除去後の安定平衡点から見た前記終点の方向と、の内積を成分として含む第2の誤差ベクトルμと、
    正の対角要素を有する正方の対角行列Wと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される目的関数を最小化する第1の情報装置と、
    前記目的関数が最小化されたときの前記多次元状態変数x及び当該多次元状態変数xに対応する前記故障除去時間τを求める第2の情報装置と、
    を備えることを特徴とする臨界故障除去時間算出装置。
  2. 複数の発電機が連系した電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、前記電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求める臨界故障除去時間算出装置であって、
    故障除去時間τの関数であり、前記故障を除去した時の前記電力系統の状態を表す多次元状態変数xと、
    前記多次元状態変数xを始点として前記電力系統の状態の時間的変化を表した軌跡の終点を示す多次元状態変数xm+1(mは整数)と、
    前記多次元状態変数xとxm+1との間で離散化され、
    Figure 0006518941
    として定義される電力系統方程式に従う複数の多次元状態変数x(1≦k≦m+1:k、mは整数)と、
    前記多次元状態変数xないしxm+1の中で相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1の間のユークリッド距離εと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される第1の誤差ベクトルμTZ と、
    前記電力系統のポテンシャルエネルギーが前記始点から前記終点に向かって前記軌跡に沿って変化する方向と、前記故障の除去後の安定平衡点から見た前記終点の方向と、の内積を成分として含む第2の誤差ベクトルμと、
    正の対角要素を有する正方の対角行列Wと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される目的関数を最小化する第1の情報装置と、
    前記目的関数が最小化されたときの前記多次元状態変数x及び当該多次元状態変数xに対応する前記故障除去時間τを求める第2の情報装置と、
    を備えることを特徴とする臨界故障除去時間算出装置。
  3. 前記第2の誤差ベクトルμは、前記電力系統内の発電機の運動エネルギーを更に成分として含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の臨界故障除去時間算出装置。
  4. 前記第2の誤差ベクトルμは、前記軌跡において終点に至る2点の間の距離を更に成分として含む
    ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の臨界故障除去時間算出装置。
  5. 前記第1の情報装置は、前記移動時間Δtの逆数の関数として定義される第3の誤差ベクトルμSTEPを用いて
    Figure 0006518941
    として定義される目的関数を最小化する
    ことを特徴とする請求項1に記載の臨界故障除去時間算出装置。
  6. 前記第1の情報装置は、前記ユークリッド距離εの逆数の関数として定義される第3の誤差ベクトルμSTEPを用いて
    Figure 0006518941
    として定義される目的関数を最小化する
    ことを特徴とする請求項2に記載の臨界故障除去時間算出装置。
  7. 複数の発電機が連系した電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、前記電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求める臨界故障除去時間算出方法であって、
    故障除去時間τの関数であり、前記故障を除去した時の前記電力系統の状態を表す多次元状態変数xと、
    前記多次元状態変数xを始点として前記電力系統の状態の時間的変化を表した軌跡の終点を示す多次元状態変数xm+1(mは整数)と、
    前記多次元状態変数xとxm+1との間で離散化され、
    Figure 0006518941
    として定義される電力系統方程式に従う複数の多次元状態変数x(1≦k≦m+1:k、mは整数)と、
    前記多次元状態変数xないしxm+1の中で相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1の間の移動時間Δtと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される第1の誤差ベクトルμTZ と、
    前記電力系統のポテンシャルエネルギーが前記始点から前記終点に向かって前記軌跡に沿って変化する方向と、前記故障の除去後の安定平衡点から見た前記終点の方向と、の内積を成分として含む第2の誤差ベクトルμと、
    正の対角要素を有する正方の対角行列Wと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される目的関数を最小化し、
    前記目的関数が最小化されたときの前記多次元状態変数x及び当該多次元状態変数xに対応する前記故障除去時間τを求める
    ことを特徴とする臨界故障除去時間算出方法。
  8. 複数の発電機が連系した電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、前記電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求めるべく、コンピュータに対して、
    故障除去時間τの関数であり、前記故障を除去した時の前記電力系統の状態を表す多次元状態変数xと、
    前記多次元状態変数xを始点として前記電力系統の状態の時間的変化を表した軌跡の終点を示す多次元状態変数xm+1(mは整数)と、
    前記多次元状態変数xとxm+1との間で離散化され、
    Figure 0006518941
    として定義される電力系統方程式に従う複数の多次元状態変数x(1≦k≦m+1:k、mは整数)と、
    前記多次元状態変数xないしxm+1の中で相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1の間の移動時間Δtと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される第1の誤差ベクトルμTZ と、
    前記電力系統のポテンシャルエネルギーが前記始点から前記終点に向かって前記軌跡に沿って変化する方向と、前記故障の除去後の安定平衡点から見た前記終点の方向と、の内積を成分として含む第2の誤差ベクトルμと、
    正の対角要素を有する正方の対角行列Wと、を用いて
    Figure 0006518941
    として定義される目的関数を最小化する第1機能と、
    前記目的関数が最小化されたときの前記多次元状態変数x及び当該多次元状態変数xに対応する前記故障除去時間τを求める第2機能と、
    を実行させるプログラム。
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