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JP6520384B2 - 誘起蛍光法を用いた温度測定装置及び誘起蛍光法を用いた温度測定方法 - Google Patents
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JP6520384B2 - 誘起蛍光法を用いた温度測定装置及び誘起蛍光法を用いた温度測定方法 - Google Patents

誘起蛍光法を用いた温度測定装置及び誘起蛍光法を用いた温度測定方法 Download PDF

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本発明は、感温蛍光材料が塗布または接着された温度測定対象物にレーザ光等の入力光を照射し、当該入力光によって誘起された誘起光の輝度の変化に基づいて温度測定対象物の温度を測定する、誘起蛍光法を用いた温度測定装置、及び誘起蛍光法を用いた温度測定方法に関する。
例えば軸受の部品等、オイルに浸かっている部品や、潤滑油にまみれている部品の使用状態において、その部品の温度分布(発熱状態)をリアルタイムに計測したいという要望がある。このような場合、従来の熱電対のような接触式の温度計測装置では、使用状態においてリアルタイムに計測することができない。また非接触式の温度計測方法として、赤外線を検出する従来の放射温度計を用いた方法では、対象物体の表面の温度しか計測できないので、表面にオイル等が付着していると、表面のオイルの温度が計測されてしまい、対象とする部品の正しい温度を計測することができない。
そこで特許文献1には、蛍光発光効率が第1温度依存特性を有する第1感温蛍光材料と、蛍光発光効率が第2温度依存特性を有する第2感温蛍光材料と、を混合した混合感温蛍光材料を用いた温度測定方法が開示されている。温度測定対象物に混合感温蛍光材料を付着させ、当該混合感温蛍光材料に紫外発光LEDから入力光を照射し、第1感温蛍光材料からの第1誘起光の輝度と、第2感温蛍光材料からの第2誘起光の輝度と、を検出し、第1誘起光の輝度に対する第2誘起光の輝度の比に基づいて、温度測定対象物の温度を求めている。
特開2006−126014号公報
特許文献1では、(1つの)入力光から、第1誘起光と第2誘起光の2通りの誘起光を発生させ、第1誘起光の輝度に対する第2誘起光の輝度の比に基づいて温度測定対象物の温度を測定している。従って、入力光を照射する光源から温度測定対象物までの間に存在する外乱(入力光の揺らぎや、空気の気流等)の影響をキャンセルできる。しかし、2種類の感温蛍光材料を混合している点で、以下の(a)〜(c)のデメリットが懸念される。
(a)2種類の感温蛍光材料を混合する場合、水等の媒体を使って混合することになるが、媒体と第1感温蛍光材料、媒体と第2感温蛍光材料、が化学反応しないように相性を検証しなければならない。化学反応した場合は期待する輝度が得られない可能性がある。
(b)2種類の感温蛍光材料である第1感温蛍光材料と第2感温蛍光材料が、混合によって互いに化学反応しないように相性を検証しなければならない。化学反応した場合は期待する輝度が得られない可能性がある。
(c)水を媒体とした場合、媒体中の塩素が影響して化学反応等が発生する可能性がある。一般的な水道水は、地域や季節等で塩素の割合が異なる場合があるので、安定した特性の混合感温蛍光材料を得られない可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、2種類の感温蛍光材料を混合することなく単一の感温蛍光材料を用いて安定した特性を得ることが可能であり、外乱の影響を受けることなく、より正確に温度測定対象物の温度を非接触でリアルタイムに測定することができる、誘起蛍光法を用いた温度測定装置、及び誘起蛍光法を用いた温度測定方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る誘起蛍光法を用いた温度測定装置及び誘起蛍光法を用いた温度測定方法は、次の手段をとる。まず、本発明の第1の発明は、温度測定対象物に塗布または接着した感温蛍光材料に所定波長の入力光を照射して、前記入力光によって誘起された誘起光の輝度の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を測定する、誘起蛍光法を用いた温度測定装置であって、前記所定波長の前記入力光を、前記感温蛍光材料、または前記感温蛍光材料と前記温度測定対象物、に向けて照射する光源と、撮像素子の所定領域には前記誘起光が入力され、前記撮像素子の残りの領域の少なくとも一部には前記感温蛍光材料または前記温度測定対象物にて反射された前記入力光の反射光が前記誘起光と同時に入力される撮像装置と、前記撮像装置にて撮像した前記反射光の輝度に対する前記誘起光の輝度の比、の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を求める処理装置と、を有する。
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る誘起蛍光法を用いた温度測定装置であって、前記入力光が照射された前記感温蛍光材料の個所から発せられる前記誘起光と前記反射光を含む光の中から前記反射光を遮断して前記誘起光を透過する第1フィルタを備えている。そして、前記光源は、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所と、前記感温蛍光材料が塗布または接着されていない個所と、に同時に前記入力光を照射し、前記撮像素子の前記所定領域には、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光であって前記第1フィルタを通過させた光である前記誘起光が入力され、前記撮像素子の前記残りの領域の少なくとも一部には、前記感温蛍光材料が塗布または接着されていない個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光である前記反射光が入力されている。
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明に係る誘起蛍光法を用いた温度測定装置であって、前記入力光が照射された前記感温蛍光材料の個所から発せられる前記誘起光と前記反射光を含む光の中から前記反射光を遮断して前記誘起光を透過する第1フィルタと、前記入力光が照射された前記感温蛍光材料の個所から発せられる前記誘起光と前記反射光を含む光の中から前記誘起光を遮断して前記反射光を透過する第2フィルタと、を備えている。そして、前記光源は、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所に前記入力光を照射し、前記撮像素子の前記所定領域には、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光であって前記第1フィルタを通過させた光である前記誘起光が入力され、前記撮像素子の前記残りの領域の少なくとも一部には、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光であって前記第2フィルタを通過させた光である前記反射光が入力されている。
次に、本発明の第4の発明は、誘起蛍光法を用いた温度測定方法であって、温度測定対象物に塗布または接着した感温蛍光材料、または前記感温蛍光材料と前記温度測定対象物、に所定波長の入力光を照射する入力光照射ステップと、前記入力光が照射された前記感温蛍光材料から発せられる誘起光の輝度と、前記入力光が照射された前記感温蛍光材料または前記入力光が照射された前記温度測定対象物、から発せられる反射光であって前記誘起光と同時に発せられる前記反射光の輝度と、を測定する輝度測定ステップと、前記反射光の輝度に対する前記誘起光の輝度の比、の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を求める温度測定ステップと、を有する。
第1の発明によれば、撮像素子の所定領域に誘起光が入力され、撮像素子の残りの領域の少なくとも一部に反射光が入力され、誘起光と反射光が同時に入力される。そして反射光の輝度に対する誘起光の輝度の比の変化に基づいて温度測定対象物の温度を算出する。従って、2種類の感温蛍光材料を混合する必要が無く、単一の感温蛍光材料を用いて安定した特性を得ることができる。また、「誘起光の輝度/入力光の輝度」ではなく「誘起光の輝度/反射光の輝度」の変化に基づいて温度測定対象物の温度を求めることで、外乱の影響を受けないようにすることができる。
第2の発明によれば、撮像素子の所定領域に適切に誘起光を入力し、撮像素子の残りの領域の少なくとも一部に適切に反射光を入力することができるとともに、誘起光と反射光を同時に撮像素子に入力することができる。従って、誘起光の輝度/反射光の輝度を適切に求めることができる。
第3の発明によれば、撮像素子の所定領域に適切に誘起光を入力し、撮像素子の残りの領域の少なくとも一部に適切に反射光を入力することができるとともに、誘起光と反射光を同時に撮像素子に入力することができる。従って、誘起光の輝度/反射光の輝度を適切に求めることができる。
第4の発明によれば、2種類の感温蛍光材料を混合する必要が無く、単一の感温蛍光材料を用いて、誘起光の輝度/反射光の輝度、の変化に基づいて温度測定対象物の温度を求める、誘起蛍光法を用いた温度測定方法を適切に実現することができる。
第1の実施の形態における(誘起蛍光法を用いた)温度測定装置の全体構成を説明する図である。 第1の実施の形態における(誘起蛍光法を用いた)温度測定装置の処理装置の処理手順の例を説明するフローチャートである。 誘起蛍光法を用いた従来の温度測定装置において、理想状態の温度測定結果を説明する図である。 誘起蛍光法を用いた従来の温度測定装置において、外乱等が発生した実際の状態の温度測定結果を説明する図である。 第1の実施の形態における(誘起蛍光法を用いた)温度測定装置において、外乱等が発生した実際の状態の温度測定結果を説明する図である。 第2の実施の形態における(誘起蛍光法を用いた)温度測定装置の全体構成を説明する図である。 第3の実施の形態における(誘起蛍光法を用いた)温度測定装置の全体構成を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて順に説明する。
●[第1の実施の形態における、誘起蛍光法を用いた温度測定装置の全体構成(図1)]
誘起蛍光法を用いた温度測定装置1(以下、温度測定装置1と記載する)の第1の実施の形態は、図1に示すように、光源10と、第1フィルタ31と、撮像装置40と、処理装置50等にて構成されている。また温度測定対象物80には感温蛍光材料20が塗布または接着されている。
光源10は、例えばレーザ光を出射するレーザ光源であり、所定波長(例えば532[nm])の入力光Lexcを、温度測定対象物80に塗布または接着された感温蛍光材料20の個所、及び感温蛍光材料20が塗布または接着されていない個所、に照射する。図1の例では、入力光Lexcが照射されている領域RAは、感温蛍光材料20が塗布または接着されている個所であり、入力光Lexcが照射されている領域RBは、感温蛍光材料20が塗布または接着されていない個所である。領域RAからは、誘起光Lindと反射光Lrefとを含む混合光Lmixが発せられ、領域RBからは、反射光Lrefが発せられる。
感温蛍光材料20は、例えばローダミンB(登録商標)であり、所定波長の入力光Lexcが照射されると、入力光Lexcとは異なる波長の誘起光Lindを発する。そして誘起光Lindの輝度は、当該感温蛍光材料20が塗布されている温度測定対象物80の温度に応じて変化する。例えば入力光Lexcの波長が532[nm]の場合、誘起光Lindの波長は約670[nm]〜680[nm]である。なお感温蛍光材料20は、ユーザが複数の感温蛍光材料を混合したものではなく、単一の(市販されている)感温蛍光材料であり、安定した特性を有している。
温度測定対象物80は、図1に示す例では円錐ころである。そして図1に示す例では、感温蛍光材料20は、当該円錐ころの大径端面81の中央部を除いた周辺部(ドットを施した部分)にドーナツ状に塗布されている。なお図1中に()で示すように、円錐ころの大径端面81における周辺部を除いた中央部(ドットを施した部分)に感温蛍光材料20を塗布するようにしてもよい。円錐ころの場合、大径端面の周辺部は軌道輪の鍔部とすべり接触し、大径端面の中央部は軌道輪と接触することなく露出している。従って、大径端面の中央部に感温蛍光材料を塗布した場合、感温蛍光材料がはがれることがない。
第1フィルタ31は、領域RAと撮像装置40との間に配置され、領域RAから発せられる混合光Lmixの中から反射光Lrefを遮断し、誘起光Lindを透過する。
撮像装置40は、例えばCCDカメラであり、撮像素子41を有している。撮像素子41における所定領域である領域41Aには、領域RAから発せられて第1フィルタ31を透過してきた誘起光Lindが入力される。撮像素子41における残りの領域の少なくとも一部である領域41Bには、領域RBから発せられた反射光Lrefが入力される。そして撮像装置40は、所定のタイミングにて撮像し、領域41Aに誘起光Lindが撮像されて領域41Bに反射光Lrefが撮像された画像データを処理装置50に出力する。
処理装置50は、例えばパーソナルコンピュータであり、撮像装置40から取得した画像データに撮像されている反射光Lrefの輝度に対する誘起光Lindの輝度、の変化に基づいて、温度測定対象物80の温度を算出する。なお、処理装置50の処理手順の詳細については以下にて説明する。
●[処理装置50の処理手順(図2)と、測定した温度の例(図5)]
例えば図1に示す温度測定装置1の光源10と撮像装置40は、円錐ころ軸受における円錐ころの大径端面81が露出している個所に向けられている。そして各円錐ころの大径端面81には、図1に示すように感温蛍光材料20が塗布されている。そして温度測定装置1は、円錐ころ軸受の動作中(内輪または外輪を回転させて、各円錐ころが自転しながら公転している状態)に、以下に説明する手順にて、所定のタイミングで円錐ころの温度を測定する。なお図2のフローチャートにて示す制御プログラムは、処理装置50の記憶装置に記憶されている。
処理装置50が起動されて制御プログラムが実行されると、処理装置50は、ステップS10に処理を進める。
ステップS10にて処理装置50は、光源10を制御して入力光Lexcの照射を開始し、ステップS20に進む。ステップS10は入力光照射ステップに相当している。
ステップS20にて処理装置50は、測定タイミングであるか否かを判定し、測定タイミングである場合(Yes)はステップS30に進み、測定タイミングでない場合(No)はステップS20に戻る。例えば測定タイミングは、光源10と撮像装置40が向けられている所定位置に、自転しながら公転している円錐ころが到達したタイミングである。なお、円錐ころ軸受の内輪と外輪を互いに異なる方向に回転させるとともに、各円錐ころの公転が止まるようにそれぞれの回転速度を調整して、円錐ころがその場で自転するようにすれば、所定時間毎のタイミングを測定タイミングとすることもできる。
ステップS30に進んだ場合、処理装置50は、撮像装置40から画像データを取り込み、ステップS40に進む。
ステップS40にて処理装置50は、取り込んだ画像データの領域41A(図1参照)に撮像されている誘起光Lindの輝度を求め、ステップS50に進む。
ステップS50にて処理装置50は、取り込んだ画像データの領域41B(図1参照)に撮像されている反射光Lrefの輝度を求め、ステップS60に進む。上記のステップS30〜S50は輝度測定ステップに相当している。
ステップS60にて処理装置50は、ステップS50にて求めた反射光Lrefの輝度に対する、ステップS40にて求めた誘起光Lindの輝度、の比(「誘起光Lindの輝度」/「反射光Lrefの輝度」)を求め、求めた比の変化に基づいて温度測定対象物80の温度を求め、ステップS70に進む。ステップS60は温度測定ステップに相当している。
ステップS70にて処理装置50は、測定終了の指示があるか否かを判定し、測定終了の指示がある場合(Yes)はステップS80に進み、測定終了の指示がない場合(No)はステップS20に戻る。
ステップS80に進んだ場合、処理装置50は、光源10を制御して入力光Lexcの照射を停止し、処理を終了する。
●[従来の温度測定方法にて測定した温度の例(図3、図4)]
従来の温度測定方法では、「誘起光Lindの輝度」/「入力光Lexcの輝度」の変化に基づいて温度測定対象物の温度を測定している。図3に示す[輝度特性]は、上記の従来の温度測定方法で求めた場合における理想状態の場合であり、入力光Lexcの輝度が揺らぐことなく安定した理想状態であり、誘起光Lindの輝度が外乱等の影響を受けることなく滑らかに上昇している理想状態を示している。この場合、「誘起光Lindの輝度」/「入力光Lexcの輝度」の変化は滑らかに上昇しており、「誘起光Lindの輝度」/「入力光Lexcの輝度」の変化に基づいて求めた温度も、図3の[温度特性]に示すように、滑らかに上昇する傾向を有している。
例えば図3に示す[輝度特性]において、時刻t1にて入力光Lexcが輝度b1、誘起光Lindが輝度B1であった場合に、熱電対等を用いて実際に計測した温度が温度m1であったとする。この「輝度b1、輝度B1、温度m1」を基準温度として、時刻t2にて入力光Lexcが輝度b1、誘起光Lindが輝度B2であった場合、輝度の比の変化である[輝度B1/輝度b1]−[輝度B2/輝度b1]より、基準温度(温度m1)からの温度の変化量(Δm)を求める。そして求めたΔmを温度m1に加算して温度m2を求める。
図3に示す[輝度特性]と[温度特性]は、従来の温度測定方法であって理想状態の場合の例を示している。しかし図4に示すように、実際に温度測定対象物に照射された入力光Lexcの輝度は直線状に安定しているのでなく脈打つように揺らいでおり、実際の誘起光Lindの輝度は入力光Lexcの揺らぎに応じて揺らぐとともに、外乱の影響を受ける。例えば図4に示す[輝度特性]の例では、時刻t2にて外乱G1の影響で誘起光Lindの輝度B2´が落ち込んだ場合の例を示している。
例えば外乱G1は、時刻t2にて入力光が照射された感温蛍光材料の位置においてオイルの付着量が多くなった場合等が考えられる。オイルの付着量が多くなった場合、感温蛍光材料に達する入力光Lexcが減衰するので、誘起光Lindの発生量が減少する。図4における時刻t2では、入力光Lexcは輝度b2´であるが、誘起光Lindは外乱G1の影響を受けて輝度B2´に減少し、求めた温度は温度m2´となっている。つまり時刻t2では、外乱G1の影響によって、測定した温度m2´は本来の温度に対して低い温度と判定されている。外乱G1の他の例としては、光源と温度測定対象物との間の空間の気流の乱れや、温度測定対象物と撮像装置との間にガラス板等が介在している場合、ガラス板の表面に付着した水滴等がある。また温度測定対象物が液体中にある場合、温度測定対象物と撮像装置との間の液体中に漂う微細なゴミや気泡等も外乱G1となる。またガラス表面に付着した水滴による外乱の場合は、水滴によって光が集光され、輝度が上昇する場合もある。
このように、「誘起光Lindの輝度」/「入力光Lexcの輝度」の変化に基づいて温度測定対象物の温度を測定する従来の温度測定方法では、図4の例に示すように、光源から温度測定対象物までの間に存在する外乱の影響を受けやすく、温度測定の精度が低い。なお外乱には、上記の例に示したように、入力光の輝度の揺らぎ、感温蛍光材料の表面への付着物や、光源から温度測定対象物までの間の空間の気流の変化等、種々のものがある。しかし上記に説明した第1の実施の形態の温度測定装置1では、これらの外乱の影響を受けず、より精度良く温度を測定できる。その例を以下に説明する。
●[本願の温度測定方法(図2の処理手順)にて測定した温度の例(図5)]
本願では、「誘起光Lindの輝度」/「入力光Lexcの輝度」の変化に基づいて温度測定対象物の温度を測定する従来の温度測定方法とは異なり、「誘起光Lindの輝度」/「反射光Lrefの輝度」の変化に基づいて温度測定対象物の温度を測定する。
図5の[輝度特性]の例に示すように、図4の場合と同様に時刻t2で外乱G1の影響により誘起光Lindの輝度B2´が落ち込んだ場合、反射光Lrefの輝度r2´も同様に落ち込む。従って、「誘起光Lindの輝度」/「反射光Lrefの輝度」の変化に基づいて求めた温度は、図5の[温度特性]の時刻t2の温度m2´に示すように、外乱G1の影響を受けず、従来よりも精度良い温度を示す。計測された反射光Lrefの揺らぎや落ち込みと、誘起光Lindの揺らぎや落ち込みと、は一致するので、これらの影響を適切に排除することができる。また、本願では、「誘起光Lindの輝度」/「反射光Lrefの輝度」の変化に基づいて温度を求めるので、光源及び撮像装置から温度測定対象物までの距離の変化の影響を受けない。従って、光源及び撮像装置と、温度測定対象物との間の距離が時間とともに変化する動的物体に対して、非接触のリアルタイムな温度測定にも適用することができる。
また本願の温度測定装置1では、特開2006−126014号公報とは異なり、2種類の感温蛍光材料を混合する必要がなく、単一の感温蛍光材料20を用いている。従って、2種類の感温蛍光材料同士の化学反応や、混合する際の媒体である水等との化学反応や、水等の媒体中の塩素等の影響を受けず、安定した輝度を得ることが可能であり、より精度良く温度測定対象物の温度を測定することができる。
●[第2の実施の形態における、誘起蛍光法を用いた温度測定装置の全体構成(図6)]
図6に示す第2の実施の形態の温度測定装置1Bは、図1に示す第1の実施の形態の温度測定装置1に対して、感温蛍光材料20が大径端面81の全面に塗布(または接着)されている点と、第2フィルタ32が追加されている点が異なる。以下、これらの相違点について主に説明する。
感温蛍光材料20は、大径端面81の全面に塗布(または接着)されているので、入力光Lexcが照射されている領域RC、領域RDは、ともに感温蛍光材料20が塗布または接着されている個所である。従って、領域RC、RDからは、誘起光Lindと反射光Lrefとを含む混合光Lmixが発せられる。
第1フィルタ31は、領域RCと撮像装置40との間に配置され、領域RCから発せられる混合光Lmixの中から反射光Lrefを遮断し、誘起光Lindを透過する。第2フィルタ32は、領域RDと撮像装置40との間に配置され、領域RDから発せられる混合光Lmixの中から誘起光Lindを遮断し、反射光Lrefを透過する。
撮像素子41における所定領域である領域41Aには、領域RCから発せられて第1フィルタ31を透過してきた誘起光Lindが入力される。撮像素子41における残りの領域の少なくとも一部である領域41Bには、領域RDから発せられて第2フィルタ32を透過してきた反射光Lrefが入力される。
処理装置50の処理手順を含むその他の点については、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
●[第3の実施の形態における、誘起蛍光法を用いた温度測定装置の全体構成(図7)]
図7に示す第3の実施の形態の温度測定装置1Cは、図1に示す第1の実施の形態の温度測定装置1に対して、感温蛍光材料20が大径端面81の全面に塗布(または接着)されている点と、図1に示す第1フィルタ31が、第1フィルタ31と第2フィルタ32とを有するフィルタ30に変更されている点が異なる。以下、これらの相違点について主に説明する。
感温蛍光材料20は、大径端面81の全面に塗布(または接着)されているので、入力光Lexcが照射されている領域REは、感温蛍光材料20が塗布または接着されている個所である。従って、領域REからは、誘起光Lindと反射光Lrefとを含む混合光Lmixが発せられる。
フィルタ30は、例えば略円形であり、領域REと撮像装置40との間に配置され、中央部が第2フィルタ32で構成され、周辺部が第1フィルタ31で構成されている。第1フィルタ31は、領域REから発せられる混合光Lmixの中から反射光Lrefを遮断し、誘起光Lindを透過する。第2フィルタ32は、領域REから発せられる混合光Lmixの中から誘起光Lindを遮断し、反射光Lrefを透過する。
撮像素子41における所定領域である領域41Aには、領域REから発せられて第1フィルタ31を透過してきた誘起光Lindが入力される。撮像素子41における残りの領域の少なくとも一部である領域41Bには、領域REから発せられて第2フィルタ32を透過してきた反射光Lrefが入力される。
処理装置50の処理手順を含むその他の点については、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
本発明の誘起蛍光法を用いた温度測定装置は、本実施の形態にて説明した構成、処理手順等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明では、円錐ころ軸受の円錐ころの温度測定に適用した例を説明したが、これに限定されず、転がり軸受の保持器等、種々の温度測定対象物の温度測定に適用することが可能である。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
1、1B、1C (誘起蛍光法を用いた)温度測定装置
10 光源
20 感温蛍光材料
30 フィルタ
31 第1フィルタ
32 第2フィルタ
40 撮像装置
41 撮像素子
41A 領域(所定領域)
41B 領域(残りの領域の少なくとも一部)
50 処理装置
80 温度測定対象物
Lexc 入力光
Lind 誘起光
Lmix 混合光
Lref 反射光

Claims (2)

  1. 温度測定対象物に塗布または接着した感温蛍光材料に所定波長の入力光を照射して、前記入力光によって誘起された誘起光の輝度の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を測定する、誘起蛍光法を用いた温度測定装置であって、
    前記所定波長の前記入力光を、前記感温蛍光材料、または前記感温蛍光材料と前記温度測定対象物、に向けて照射する光源と、
    撮像素子の所定領域には前記誘起光が入力され、前記撮像素子の残りの領域の少なくとも一部には前記感温蛍光材料または前記温度測定対象物にて反射された前記入力光の反射光が前記誘起光と同時に入力される撮像装置と、
    前記撮像装置にて撮像した前記反射光の輝度に対する前記誘起光の輝度の比、の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を求める処理装置と、
    前記入力光が照射された前記感温蛍光材料の個所から発せられる前記誘起光と前記反射光を含む光の中から前記反射光を遮断して前記誘起光を透過する第1フィルタと、
    を有し、
    前記光源は、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所と、前記感温蛍光材料が塗布または接着されていない個所と、に同時に前記入力光を照射し、
    前記撮像素子の前記所定領域には、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光であって前記第1フィルタを通過させた光である前記誘起光が入力され、
    前記撮像素子の前記残りの領域の少なくとも一部には、前記感温蛍光材料が塗布または接着されていない個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光である前記反射光が入力されている、
    誘起蛍光法を用いた温度測定装置。
  2. 温度測定対象物に塗布または接着した感温蛍光材料に所定波長の入力光を照射して、前記入力光によって誘起された誘起光の輝度の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を測定する、誘起蛍光法を用いた温度測定方法であって、
    前記所定波長の前記入力光を、前記感温蛍光材料、または前記感温蛍光材料と前記温度測定対象物、に向けて照射する光源と、
    撮像素子の所定領域には前記誘起光が入力され、前記撮像素子の残りの領域の少なくとも一部には前記感温蛍光材料または前記温度測定対象物にて反射された前記入力光の反射光が前記誘起光と同時に入力される撮像装置と、
    前記撮像装置にて撮像した前記反射光の輝度に対する前記誘起光の輝度の比、の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を求める処理装置と、
    前記入力光が照射された前記感温蛍光材料の個所から発せられる前記誘起光と前記反射光を含む光の中から前記反射光を遮断して前記誘起光を透過する第1フィルタと、
    を用い、
    前記光源を用いて、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所と、前記感温蛍光材料が塗布または接着されていない個所と、に同時に前記入力光を照射する入力光照射ステップと、
    前記撮像装置を用いて、前記感温蛍光材料が塗布または接着されている個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光であって前記第1フィルタを通過させた光である前記誘起光が入力されている前記撮像素子の前記所定領域の個所の輝度と、前記感温蛍光材料が塗布または接着されていない個所であって前記入力光が照射されている個所、から発せられた光である前記反射光が入力されている前記撮像素子の前記残りの領域の少なくとも一部の個所の輝度と、を測定する輝度測定ステップと、
    前記処理装置を用いて、前記反射光の輝度に対する前記誘起光の輝度の比、の変化に基づいて前記温度測定対象物の温度を求める温度測定ステップと、を有する、
    誘起蛍光法を用いた温度測定方法。

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