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JP6520595B2 - 金属材料の余寿命予測方法 - Google Patents
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本発明は、金属材料の余寿命を予測する方法に関する。
従来、火力発電プラント等において高温環境下で使用されている金属材料(鋼管等)の余寿命を予測するための方法が提案されている。
例えば、特開2004−3922号公報(特許文献1)には、局所的な結晶方位のずれに基づいて、金属材料の余寿命を予測する方法が開示されている。具体的には、特許文献1の方法では、KAM値(結晶粒内の分割された所定領域の結晶方位の、結晶粒中心に対する結晶粒内における微小回転を示す値)を測定することによって、金属材料の余寿命を推定している。
特開2004−3922号公報
特許文献1の方法では、上述のように、結晶粒内の所定領域のKAM値を測定する。このため、特許文献1の方法は、ある結晶粒で、結晶粒内の任意の位置と結晶粒界近傍の任意の位置との結晶方位に差が現れ、結晶粒界近傍に歪みが生じてクリープ破壊する金属材料の余寿命の予測に適していると考えられる。言い換えると、特許文献1の方法は、結晶粒界に応力集中が生じて該結晶粒界を起点としてクリープ破断する金属材料(例えば、粒界に析出物が多量に析出する金属材料)の余寿命の予測に適していると考えられる。しかしながら、特許文献1の方法は、結晶粒界に歪みが生じにくい金属材料、言い換えると、結晶粒界がすべり易い金属材料(たとえば、粒界に析出物が多量に析出しない金属材料)の余寿命の予測には適していない。つまり、ある結晶粒とその結晶粒に隣接する他の結晶粒との間の結晶方位差(粒界性格)が変化することにより、クリープ損傷を生じる金属材料の余寿命予測には適していない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、結晶粒界のすべりが生じやすく粒界性格が変化しやすい金属材料であっても余寿命を適切に予測することができる、金属材料の余寿命予測方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態にかかる余寿命予測方法は、高温環境下で使用される金属材料を試験材とし、前記高温環境下での使用前の前記金属材料の状態に相当する初期相当材、および前記高温環境下で使用されることによって前記金属材料が破断する際の該金属材料の状態に相当する破断相当材を用いて、前記金属材料の余寿命を予測する余寿命予測方法であって、下記の(1)から(3)のステップを備える、金属材料の余寿命予測方法。
(1)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、結晶方位差の頻度分布および該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求めるステップ
(2)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(1)のステップで得た前記頻度分布と前記ランダム分布との関係を求めるステップ
(3)前記(2)のステップにおいて前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ得た前記関係を互いに比較して前記試験材の余寿命または寿命消費率を予測するステップ
前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記ランダム分布に対する前記頻度分布の標準偏差に関する情報を前記関係として求めてもよい。
前記(1)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて前記頻度分布および前記ランダム分布を求め、
前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記標準偏差に関する情報として、結晶粒数ごとの相対標準偏差を求め、
前記(3)のステップは、下記の(A)および(B)のステップを有していてもよい。
(A)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、下記式(i)の定数項aのおよび係数b,cの値を求めるステップ
(B)前記(A)のステップで得た前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材それぞれの定数項aの値に基づいて前記試験材の余寿命または寿命消費率を算出するステップ
RSD=a+b×X ・・・(i)
ただし、上記式(i)においてRSDは相対標準偏差を示し、Xは結晶粒数を示す。
前記(1)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のうちの少なくとも一つについて、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて前記頻度分布および前記ランダム分布を求め、
前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記標準偏差に関する情報として、結晶粒数ごとの相対標準偏差を求め、
前記(3)のステップは、下記の(a)から(c)のステップを有していてもよい。
(a)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のうちの前記少なくとも一つについて、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、下記式(i)の係数b,cの値を求めるステップ
(b)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差および前記(a)のステップで得た係数b,cの値に基づいて、下記式(i)の定数項aの値を求めるステップ
(c)前記(b)のステップで得た前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材それぞれの定数項aの値に基づいて前記試験材の余寿命または寿命消費率を算出するステップ
RSD=a+b×X ・・・(i)
ただし、上記式(i)においてRSDは相対標準偏差を示し、Xは結晶粒数を示す。
前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記標準偏差に関する情報として、結晶粒数ごとの相対標準偏差を求め、
前記(3)のステップは、下記の(S1)から(S5)のステップを有していてもよい。
(S1)高温環境下で使用される金属材料に対応する金属材料を基準材として、該基準材について、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて、結晶方位差の頻度分布および該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求めるステップ
(S2)前記基準材について、前記(S1)のステップで得た前記ランダム分布に対する前記結晶方位差の頻度分布の相対標準偏差を、結晶粒数ごとに求めるステップ
(S3)前記基準材について、前記(S2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、下記式(i)の係数b,cの値を求めるステップ
(S4)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差および前記(S3)のステップで得た係数b,cの値に基づいて、下記式(i)の定数項aの値を求めるステップ
(S5)前記(S4)のステップで得た前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材それぞれの定数項aの値に基づいて前記試験材の余寿命または寿命消費率を算出するステップ
RSD=a+b×X ・・・(i)
ただし、上記式(i)においてRSDは相対標準偏差を示し、Xは結晶粒数を示す。
前記(3)のステップにおいて、前記初期相当材の余寿命を第1余寿命とし、前記破断相当材の余寿命を第2余寿命として、前記試験材、前記初期相当材、および前記破断相当材についてそれぞれ求めた定数項aの値を用いた直線内挿によって、前記試験材の余寿命を算出してもよい。
前記(3)のステップにおいて、前記初期相当材の寿命消費率を第1消費率とし、前記破断相当材の寿命消費率を第2消費率として、前記試験材、前記初期相当材、および前記破断相当材についてそれぞれ求めた定数項aの値を用いた直線内挿によって、前記試験材の寿命消費率を算出してもよい。
本発明によれば、結晶粒界のすべりが生じやすく粒界性格が変化しやすい金属材料であっても余寿命を適切に予測することができる。
図1は、初期相当材および破断相当材のミクロ組織をEBSDを用いて200倍の倍率で観察することによって得られた、結晶方位差の頻度分布を示すグラフである。 図2は、試験材のミクロ組織をEBSDを用いて60倍および400倍の倍率で観察することによって得られた、結晶方位差の頻度分布を示すグラフである。 図3は、結晶粒数とRSDとの関係を示すグラフである。
本発明の一実施形態に係る余寿命予測方法(以下、単に予測方法という。)は、例えば、発電プラントから取り出した材料(例えば、500℃以上の高温および20MPa以上の高圧の環境下において使用されている材料)の余寿命を予測する際に利用できる。具体的には、本実施形態に係る予測方法は、例えば、発電プラントから抜管したボイラー用鋼管の余寿命を予測する際に利用できる。以下においては、余寿命の予測が行われる材料を試験材という。また、該試験材の使用前の状態に対応する材料のことを初期相当材といい、該試験材の破断時の状態に対応する材料のことを破断相当材という。初期相当材は、例えば、試験材と同様のミクロ組織を有する使用前の材料または、試験材と同様のミクロ組織を有する使用後の材料に所定の熱処理(例えば、溶体化処理)を施して組織回復することによって得られる材料である。破断相当材としては、例えば、試験材と同様のミクロ組織を有する破断材または、試験材と同様のミクロ組織を有し、かつ高温および高圧の環境下において十分な時間晒された金属材料を用いることができる。具体的には、例えば、余寿命がほぼ0と考えられる金属材料を破断相当材として用いることができる。例えば、試験材がフェライト組織を有する金属材料である場合にはフェライト組織を有する金属材料を初期相当材および破断相当材として用い、試験材がフェライト/パーライト組織を有する金属材料である場合にはフェライト/パーライト組織を有する金属材料を初期相当材および破断相当材として用いる。
以下、本実施形態に係る予測方法を確立する過程において本発明者が注目した点について説明しつつ、該予測方法について説明する。なお、以下に説明する予測方法では、試験材としてモリブデン鋼鋼管(STBA24 JIS G 3462 2011)を用い、初期相当材としてモリブデン鋼鋼管(STBA12 JIS G 3462 2011)を用い、破断相当材としてモリブデン鋼鋼管(STBA24 JIS G 3462 2011)を用いた。
本発明者は、本実施形態に係る予測方法を確立するに際して、初期相当材および破断相当材のミクロ組織を観察した。具体的には、電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いて初期相当材および破断相当材についてそれぞれ結晶方位を観察し、結晶方位差と該結晶方位差の存在頻度との関係(結晶方位差の頻度分布)を求めた。
図1は、初期相当材および破断相当材のミクロ組織をEBSDを用いて200倍の倍率で観察することによって得られた、結晶方位差の頻度分布を示すグラフである。図1(a)は初期相当材の結晶方位差の頻度分布を示し、図1(b)は破断相当材の結晶方位差の頻度分布を示す。本実施形態では、大傾角粒界を想定して、10〜65°を130分割した値ごとに結晶方位差の存在頻度を求めた。
なお、図1には、解析によって求めた結晶方位差の存在頻度のランダム分布(本実施形態では、Mackenzie分布)を破線で示している。また、図1には、EBSDを用いて求めた結晶方位差の頻度分布(測定値)のランダム分布に対する相対標準偏差(RSD)を示している。
本実施形態においてRSDは、例えば、以下のようにして求めることができる。まず、下記の(ii)式によって、結晶方位差ごとに、存在頻度(測定値)のランダム値(ランダム分布から決定される値)に対する相対値RVを求める。なお、本実施形態では、上述のように、10〜65°を130分割した値ごとに結晶方位差の存在頻度を求めている。したがって、相対値RVは、10〜65°を130分割した値(結晶方位差)ごとに求める。
RV=(測定値−ランダム値)/ランダム値 ・・・(ii)
次に、結晶方位差ごとに求めたRVの標準偏差を、相対標準偏差(RSD)として求める。本実施形態では、例えば、下記の(iii)式によって相対標準偏差RSDを求めることができる。なお、本実施形態では、上述のように、10〜65°を130分割した値ごとに相対値RVを求めているので、下記の(iii)式のnは130である。また、下記の(iii)式のRVaveは、結晶方位差ごとに求めたRVの平均値を意味する。
Figure 0006520595
図1から分かるように、結晶方位差のランダム分布に対する頻度分布(測定値)のRSDは、初期相当材よりも破断相当材の方が小さい。言い換えると、結晶方位差の頻度分布は、初期相当材よりも破断相当材の方がランダム分布に近い。このことから、結晶方位差の頻度分布は、金属材料の劣化が進むとともにランダム分布に近づくことが分かる。
また、本発明者は、試験材のミクロ組織を、EBSDを用いて60倍、100倍、200倍、300倍および400倍の倍率で観察した。図2は、試験材のミクロ組織をEBSDを用いて60倍および400倍の倍率で観察することによって得られた、結晶方位差の頻度分布を示すグラフである。図2(a)は60倍の倍率での観察結果を示し、図2(b)は400倍の倍率での観察結果を示す。
図2においても図1と同様に、解析によって求めた結晶方位差の存在頻度のランダム分布(本実施形態では、Mackenzie分布)を破線で示すとともに、EBSDを用いて求めた結晶方位差の頻度分布(測定値)のランダム分布に対する相対標準偏差(RSD)を示している。図2にはさらに、観察視野の結晶粒の個数(結晶粒数)を示している。
図2には示していないが、100倍の倍率で観察した場合のRSDは0.4781であり、結晶粒数は1120個であった。同様に、200倍で観察した場合のRSDは0.5932で結晶粒数は254個であり、300倍で観察した場合のRSDは0.7108で結晶粒数は63個であった。図3に、結晶粒数とRSDとの関係を示す。
図2および図3から分かるように、結晶方位差の頻度分布のランダム分布に対するRSDは、観察視野における結晶粒数の増加に従って小さくなることが分かる。より具体的には、図3に示すように、上記RSDは、結晶粒数の増加に従って累乗関数的に低下する。図3に示した関係と同様の関係が、初期相当材および破断相当材においても確認できた。すなわち、初期相当材および破断相当材においても、結晶方位差の頻度分布のランダム分布に対するRSDは、結晶粒数の増加に従って累乗関数的に低下する。
以上の観察結果に基づいて、本発明者は、以下に説明する本実施形態に係る予測方法を確立した。
本実施形態に係る予測方法は、例えば、下記のステップX1〜X3を備えている。
ステップX1:初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、結晶方位差の頻度分布および該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求める。
ステップX2:初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、ステップX1で得た頻度分布とランダム分布との関係を求める。
ステップX3:ステップX2において初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ得た上記の関係を互いに比較して、試験材の余寿命または寿命消費率を予測する。
以下、上述のステップX1〜X3について具体的に説明する。
(ステップX1)
まず、図1および図2に示したように、初期相当材(図1(a)参照)、破断相当材(図1(b)参照)、および試験材(図2参照)についてそれぞれ、結晶方位差の頻度分布(測定値)および、該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求める。本実施形態では、初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて上記頻度分布および上記ランダム分布を求める。
(ステップX2)
次に、初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、上記ランダム分布に対する上記頻度分布(測定値)の標準偏差に関する情報を求める。図1および図2を参照して、本実施形態では、標準偏差に関する情報として、観察視野の結晶粒数ごとのRSDを求める。
(ステップX3)
本実施形態では、初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ得たRSD(ステップX2参照)を、下記のステップAおよびBを実行することによって間接的に比較して、試験材の余寿命または寿命消費率を予測する。
(ステップA)
初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、図3に示した関係と同様に、結晶粒数とRSDとの関係を求める。具体的には、初期相当材、破断相当材および試験材についてそれぞれ、RSDおよび結晶粒数について下記に示す累乗近似式(i)を求め、定数項aおよび係数b,cの値を求める。
RSD=a+b×X ・・・(i)
ただし、上記式(i)においてXは結晶粒数である。
(ステップB)
次に、ステップAで得た初期相当材、破断相当材、および試験材それぞれの定数項aの値に基づいて、試験材の余寿命または寿命消費率を算出する。本実施形態では、下記の表1に示すように、初期相当材の余寿命を第1余寿命(表1の例では100)とし、破断相当材の余寿命を第2余寿命(表1の例では0)として、上記のようにして求めた初期相当材、破断相当材および試験材の定数項aの値に基づいて試験材の余寿命を予測する。具体的には、定数項aの値を用いた直線内挿によって、試験材の余寿命を算出する。表1の例では、試験材の余寿命が19.70482として算出されている。なお、表1に示すように、寿命消費率を予測することもできる。試験材の寿命消費率は、初期相当材の寿命消費率を第1消費率(表1の例では0)とし、破断相当材の寿命消費率を第2消費率(表1の例では100)として、余寿命と同様に定数項aの値を用いた直線内挿によって算出できる。表1の例では、試験材の寿命消費率が80.29518として算出される。なお、表1においては、試験材の余寿命および寿命消費率を小数点以下第5位まで示している。しかしながら、実際に試験材の余寿命(寿命消費率)を予測する場合には、例えば、小数点以下第1位を四捨五入した値を余寿命(寿命消費率)としてもよい。
Figure 0006520595
以上のように、本実施形態に係る予測方法によれば、初期相当材、破断相当材および試験材の結晶方位差の頻度分布をランダム分布と比較することによって試験材の余寿命を予測することができる。この場合、結晶粒内の所定領域の変化(例えば、KAM値の変化)を測定する必要がないので、結晶粒界のすべりが生じ易い材料であっても余寿命を適切に予測することができる。また、結晶粒の形状を測定する場合に比べて、測定値にバラツキが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態に係る予測方法では、結晶粒数とRSDとの関係から求められる定数項aの値に基づいて余寿命を予測できる。すなわち、観察倍率の影響を排除して、金属材料の余寿命をより正確に予測できる。
なお、上述の実施形態では、標準偏差に関する情報として相対標準偏差を求めて、金属材料の余寿命を予測しているが、標準偏差に基づいて金属材料の余寿命を予測してもよい。
本実施形態に係る予測方法は、bcc構造を有する金属材料の余寿命予測に好適に用いることができるが、fcc構造を有する金属材料の余寿命予測にも用いることができる。例えば、本実施形態に係る予測方法は、フェライト組織を有する鋼材またはフェライト/パーライト組織を有する鋼材の余寿命予測に好適に用いることができ、Ni基合金またはオーステナイト組織を有する鋼材の余寿命予測にも用いることができる。
なお、ステップX1において、頻度分布およびランダム分布を同時に求める必要はない。例えば、初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ頻度分布を求めた後に、ランダム分布を求めてもよい。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、ステップX1において、初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて頻度分布およびランダム分布を求める場合について説明したが、ステップX1の処理内容は上述の例に限定されない。例えば、ステップX1において、初期相当材、破断相当材、および試験材のうちの少なくとも一つについて、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて頻度分布およびランダム分布を求めてもよい。この場合、ステップX3においては、例えば、ステップAおよびBを実行する代わりに、下記のステップa〜cを実行する。
(ステップa)
初期相当材、破断相当材、および試験材のうちの上記少なくとも一つについて、ステップX2で得た結晶粒数ごとのRSDに基づいて、上記式(i)の係数b,cの値を求める。
(ステップb)
初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、上述のステップX2で得た結晶粒数ごとのRSDおよび上記ステップaで得た係数b,cの値に基づいて、上記式(i)の定数項aの値を求める。
(ステップc)
上記ステップbで得た初期相当材、破断相当材、および試験材それぞれの定数項aの値に基づいて、上述のステップBと同様に、試験材の余寿命または寿命消費率を算出する。
本実施形態によれば、初期相当材、破断相当材、および試験材のうちの少なくとも一つについて観察視野の結晶粒数を変化させればよいので、余寿命または寿命消費率を容易に算出できる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ステップX1において、初期相当材、破断相当材、および試験材のうちの少なくとも一つまたは全てについて、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて頻度分布およびランダム分布を求める場合について説明したが、ステップX1において、観察視野の結晶粒数を変化させなくてもよい。この場合、ステップX3において、例えば、上述のステップA,Bまたはステップa〜cを実行する代わりに、下記のステップS1〜S5を実行する。
(ステップS1)
高温環境下で使用される金属材料に対応する金属材料を基準材として、該基準材について、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて、結晶方位差の頻度分布および該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求める。なお、基準材としては、試験材と同様のミクロ組織を有する材料を用いることができる。また、試験材を基準材として用いてもよい。
(ステップS2)
基準材について、ステップS1で得たランダム分布および頻度分布に基づいて、該ランダム分布に対する該頻度分布の相対標準偏差を、観察視野の結晶粒数ごとに求める。
(ステップS3)
基準材について、ステップS2で得た結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、上記式(i)の係数b,cの値を求める。
(ステップS4)
初期相当材、破断相当材、および試験材についてそれぞれ、上述のステップX2で得た結晶粒数ごとのRSDおよびステップS3で得た係数b,cの値に基づいて、上記式(i)の定数項aの値を求める。
(ステップS5)
ステップS4で得た初期相当材、破断相当材、および試験材それぞれの定数項aの値に基づいて、上述のステップBと同様に、試験材の余寿命または寿命消費率を算出する。
本実施形態によれば、ステップX1において初期相当材、破断相当材、および試験材の観察視野の結晶粒数を変化させなくてよいので、余寿命または寿命消費率を容易に算出できる。
本発明によれば、結晶粒界のすべりが生じ易い材料であっても余寿命を適切に予測することができる。本発明は、例えば、500℃以上の高温環境下で使用される金属材料の余寿命予測に好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 高温環境下で使用される金属材料を試験材とし、前記高温環境下での使用前の前記金属材料の状態に相当する初期相当材、および前記高温環境下で使用されることによって前記金属材料が破断する際の該金属材料の状態に相当する破断相当材を用いて、前記金属材料の余寿命を予測する余寿命予測方法であって、下記の(1)から(3)のステップを備える、金属材料の余寿命予測方法。
    (1)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、結晶方位差の頻度分布および該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求めるステップ
    (2)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(1)のステップで得た前記頻度分布と前記ランダム分布との関係を求めるステップ
    (3)前記(2)のステップにおいて前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ得た前記関係を互いに比較して前記試験材の余寿命または寿命消費率を予測するステップ
  2. 前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記ランダム分布に対する前記頻度分布の標準偏差に関する情報を前記関係として求める、請求項1に記載の金属材料の余寿命予測方法。
  3. 前記(1)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて前記頻度分布および前記ランダム分布を求め、
    前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記標準偏差に関する情報として、結晶粒数ごとの相対標準偏差を求め、
    前記(3)のステップは、下記の(A)および(B)のステップを有する、請求項2に記載の金属材料の余寿命予測方法。
    (A)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、下記式(i)の定数項aのおよび係数b,cの値を求めるステップ
    (B)前記(A)のステップで得た前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材それぞれの定数項aの値に基づいて前記試験材の余寿命または寿命消費率を算出するステップ
    RSD=a+b×X ・・・(i)
    ただし、上記式(i)においてRSDは相対標準偏差を示し、Xは結晶粒数を示す。
  4. 前記(1)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のうちの少なくとも一つについて、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて前記頻度分布および前記ランダム分布を求め、
    前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記標準偏差に関する情報として、結晶粒数ごとの相対標準偏差を求め、
    前記(3)のステップは、下記の(a)から(c)のステップを有する、請求項2に記載の金属材料の余寿命予測方法。
    (a)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のうちの前記少なくとも一つについて、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、下記式(i)の係数b,cの値を求めるステップ
    (b)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差および前記(a)のステップで得た係数b,cの値に基づいて、下記式(i)の定数項aの値を求めるステップ
    (c)前記(b)のステップで得た前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材それぞれの定数項aの値に基づいて前記試験材の余寿命または寿命消費率を算出するステップ
    RSD=a+b×X ・・・(i)
    ただし、上記式(i)においてRSDは相対標準偏差を示し、Xは結晶粒数を示す。
  5. 前記(2)のステップにおいて、前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材のそれぞれについて、前記標準偏差に関する情報として、結晶粒数ごとの相対標準偏差を求め、
    前記(3)のステップは、下記の(S1)から(S5)のステップを有する、請求項2に記載の金属材料の余寿命予測方法。
    (S1)高温環境下で使用される金属材料に対応する金属材料を基準材として、該基準材について、観察視野の結晶粒数を少なくとも3段階に変化させて、結晶方位差の頻度分布および該結晶方位差の存在頻度のランダム分布を求めるステップ
    (S2)前記基準材について、前記(S1)のステップで得た前記ランダム分布に対する前記結晶方位差の頻度分布の相対標準偏差を、結晶粒数ごとに求めるステップ
    (S3)前記基準材について、前記(S2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差に基づいて、下記式(i)の係数b,cの値を求めるステップ
    (S4)前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材についてそれぞれ、前記(2)のステップで得た前記結晶粒数ごとの相対標準偏差および前記(S3)のステップで得た係数b,cの値に基づいて、下記式(i)の定数項aの値を求めるステップ
    (S5)前記(S4)のステップで得た前記初期相当材、前記破断相当材、および前記試験材それぞれの定数項aの値に基づいて前記試験材の余寿命または寿命消費率を算出するステップ
    RSD=a+b×X ・・・(i)
    ただし、上記式(i)においてRSDは相対標準偏差を示し、Xは結晶粒数を示す。
  6. 前記(3)のステップにおいて、前記初期相当材の余寿命を第1余寿命とし、前記破断相当材の余寿命を第2余寿命として、前記試験材、前記初期相当材、および前記破断相当材についてそれぞれ求めた定数項aの値を用いた直線内挿によって、前記試験材の余寿命を算出する、請求項3から5のいずれかに記載の金属材料の余寿命予測方法。
  7. 前記(3)のステップにおいて、前記初期相当材の寿命消費率を第1消費率とし、前記破断相当材の寿命消費率を第2消費率として、前記試験材、前記初期相当材、および前記破断相当材についてそれぞれ求めた定数項aの値を用いた直線内挿によって、前記試験材の寿命消費率を算出する、請求項3から5のいずれかに記載の金属材料の余寿命予測方法。
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