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JP6523366B2 - 透過性素材を用いた醸造装置 - Google Patents
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JP6523366B2 - 透過性素材を用いた醸造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、醸造装置に関し、詳しくは、醸造の発酵工程における容体内の発酵状態や攪拌状態を目視により観測可能とすべく、透過性素材の中でも特にアクリル樹脂の利点を生かした醸造装置に関する。
古くから、酒類の醸造には木製又は金属製の樽等が使用されている。通常、酒類の発酵には、糖分をアルコールに代えて、炭酸ガスを発生させるアルコール発酵が一般的である。しかし、日本酒の醸造においては、原料となる米に糖分が含まれていないため、麹の酵素によって米のでんぷんを糖分に変える糖化と、酵母を用いたアルコール発酵の二つの化学反応を、同時に同じ容体内で行う並行複発酵という製法を用いており、係る並行複発酵は、他国の酒造りにおいて例を見ない高度な醸造方法である。
係る並行複発酵における醪造り工程は、麹、酒母、水、及び蒸し米を容体内に投入する初添えから、仕込み工程が終わるまでの期間、変化する醪の糖化と発酵の状態(以下、「糖化」と「発酵」の双方の状態を含む用語として「発酵状態」という。)を確認する作業が行われる。また、糖化と発酵は温度変化を伴うため、醪は比重に変化を生じ、係る比重の変化は、容体内の醪に対流を発生させることとなる。従って一日二回程度の撹拌作業が必要となる。
係る撹拌作業は、醪の中へ櫂を用いて人為的に行う方法や、自動化された機械式の撹拌装置を用いる方法がある。人為的撹拌方法では、蔵人や杜氏の手に伝わる感触と、長い経験に基づく感覚的な判断により、繊細な醪の撹拌状態を把握することができ、機械的手法によれば、一定条件下の撹拌状態を正確に繰り返し行えるという、それぞれに長所を有しているといえる。しかしながら、何れの手法を用いて撹拌を行う場合であっても、木製や金属製の溶体を用いた醸造装置では、側方からこれらの撹拌状態(以下、「撹拌状態」の用語には「撹拌の状態」と「対流の状態」を含むものとする。)を目視によって観察することはできない。
従って、容体内を側方から観察できれば、より発酵状態や攪拌状態を正確に把握することが可能となり、品質の向上と安定化を図ることができることとなる。そこで、発酵工程を外部から目視できる醸造装置の技術提案が待ち望まれているところである。しかし、ガラスは割れやすく、樹脂製はアルコールによって溶解すると考えられ、日本酒の醸造においては使用できない素材と認識されてきたという経緯がある。
そこで、従来より、発酵状態等を目視可能とする種々の醸造装置に関する技術提案がなされている。例えば、考案の名称を「発酵タンクの呼吸装置」とし、具体的には、管状部分を透明にすることで、視覚的に発酵タンク内の呼吸状態を観察することを可能とした発酵タンクの呼吸装置の技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、係る技術は、容体に透過性はなく、容体に接続される管状部品を透明とすることで、容体内の呼吸状態を観察することができるものであって、容体内の全体にわたる発酵状態及び攪拌状態を目視可能とする前記課題を解決するには至っていない。
また、発明の名称を「バイオ発酵タンク用冷熱ディアルダクトの可視安全装置」とし、具体的には、冷熱用の二つのダクトの流動状態を目視可能とする技術も開示され公知技術となっている(特許文献2参照)。係る技術も、従来では見えなかった内部の状態を目視可能とする点において、本発明と課題が共通しているといえる。しかしながら、係る技術は視鏡を通して温水または冷媒の流動状態を観察できるものであって、容体内の全体にわたる発酵状態及び攪拌状態を目視可能とする前記課題を解決するには至っていない。
また、発明の名称を「内視可能なビール発酵装置」とし、具体的には「内部を目視することが可能なビール発酵装置であって、タンク本体に環状の透明な可視ウィンドーを有したことでビールの発酵状態を観察可能な発酵装置」とする技術も開示されている(特許文献3参照)。係る技術もタンク内部を目視可能とするために、透明なウィンドーを設けた点で、本発明の課題と共通し、これを解決しようとするものである。しかしながら、係る技術ではタンク内全体を目視することはできず、発酵によるタンク内の対流を観察することは困難であり、容体内の全体にわたる発酵状態及び攪拌状態を目視可能とする前記課題を解決するには至っていない。
中国実用新案機械翻訳和文抄録 公告番号・授権公告番号:201634661 中国特許和文抄録 公開番号103103105 中国特許和文抄録 公開番号102465070
本発明は、容体内の発酵状態や攪拌状態を外部から視覚によって目視可能とし、係る目視によって、より詳細な発酵状態等を観察することで、高い品質の酒類を醸造する装置の提供を課題とするものである。
本発明は、容体と、架台と、から構成される日本酒の醸造装置であって、前記容体は、透明な樹脂素材を用い、筒状部と、底部側フランジ形状部を有して成り、該フランジ形状部はパッキン部材と結合部材とによって容体底部材と水密状態で結合され、前記容体は前記架台の上部に載置され、前記容体内に投入された発酵物の発酵状態攪拌状態、対流、及びボーメ度を外部から目視して撹拌を行なう構成を採用する。
また、本発明は、前記容体の素材がアクリル製である構成を採用することもできる。
また、本発明は、前記容体の内部に投入された前記発酵物の発酵に伴う比重の変化を目視可能とする比重目視機構を備えた構成を採用することもできる。
また、本発明は、前記容体の内部における前記発酵物の発酵状態を観察するための照明と、前記発酵物の攪拌状態を観察するための照明を複数設けた構成を採用することもできる。
また、本発明は、前記容体を撮影する動画撮影用カメラを備え、該動画撮影用カメラから動画データを入力するコンピューターと、サーバーを介してインターネット上に配信可能とした構成を採用することもできる。
従来、醸造における発酵工程に用いられている容体は、木製または金属製であり、透明な素材を用いたものは皆無であった。これに対し、本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置によれば、筒状体に透過性素材を用いたことで、醪全体の発酵状態や攪拌状態などについても目視による観察が可能となるという有利な効果を発揮する。
また、本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置によれば、容体に醪を投入する初添えから仲仕込み、そして仲仕込みから留仕込みといった段階ごとの仕込み状態を、上層から底層まで目視によって観察することができるという優れた効果も発揮する。
また、本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置において、容体内において醪の発酵に伴う比重の変化を目視可能とする比重目視機構を備える構成を採用した場合には、発酵に伴う比重の変化(ボーメ度)から、およそのアルコール度数の変化を目視により把握することができるという優れた効果を発揮する。
また、本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置において、その撮影した動画データを離れた場所のモニターで観察することが可能とする構成を採用した場合には、インターネット上にリアルタイム配信や、希望に応じて特定の人に発酵の状態が記録された録画データを提供する新たな情報サービスの展開を図ることも可能になるという優れた効果を発揮する。
本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置の基本構成を説明する基本構成説明図である。 本発明に係る容体の構成を説明する説明図である。 本発明に係る容体と架台とを接続する接続部の説明図である。 本発明に係る架台を説明する説明図である。 本発明に係る比重目視機構を説明する説明図である。 本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置の実施状態をインターネット上に動画配信する構成を説明する説明図である。 本発明に係る容体に光を照射する実施例の構成説明図である。
本発明は、容体10に透過性素材を用いたことで、容体10内に投入された醪等の発酵物H(以下、「発酵物」には「醪」を含む用語として用いることとする。)の発酵状態及び攪拌状態を、外部から目視可能としたことを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
図1は、本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置1の基本構成を説明する基本構成説明図である。図1に示すように、上部には発酵物Hを収容する容体10とこれを載置する架台20とによって構成されている。全体の大きさは所望する生産量に応じて決定し、係る生産量に基づいた重量に耐えうる強度を有することを必要とする。
図2は、本発明に係る容体10の構成を説明する説明図であり、図2(a)は容体10を横方向から見た構成を示し、容体10の底部に配置される容体底部材13が、パッキン部材30と結合部材31とにより結合された状態を示し、図2(b)は筒状部11の略中心から下方を見た場合の断面を示している。
容体10は、酒母、麹、水、蒸し米を収容し、醪を発酵させるための容器であり、外部から目視できる透過性素材を用いた筒状部11と、底部には容体底部材13と結合するためのフランジ形状部12と、上部には蓋体を載置するための上部フランジ14と、を有して構成されている。なお、筒上部11、上部フランジ14、及びフランジ形状部12はそれぞれ別個に構成される場合のみならず、これらが一体に成形されている構成の容体10とすることも可能である。また、図面には容体10を円柱状に示しているが、容体10の形状は多角柱でもよく、特に形状に限定されるものではない。
筒上部11は、容体10の主たる構成部材であり、透過性素材を用いて内部が見えるように形成された筒状体であって、係る筒上部11が円筒形状であれば、市場に流通する押し出し成形品やキャスト成形品を利用すればよい。なお、特別な大きさや形状とする場合には、樹脂の種類に応じた特性等から、特殊な化工を用いて成形することが必要となる。
フランジ形状部12は、容体10の底部に容体底部材13と結合するために設けられたフランジであり、係るフランジ形状部12には、結合部材31によって容体底部材13と結合するための穴部が複数設けられている。但し、図2に示すような、容体10端部にフランジ状を一体形成する構成に限定されるものではなく、容体10の開口縁部にフランジ状の部材を溶着や接着により形成する手段も有効である。
容体底部材13は、容体10の底部に設けられるフランジ形状部12との間にパッキン部材30を挟んで、結合部材31によって水密状態となるように容体10に結合される部材である。
透過性樹脂は、ガラスと比較して軽量であり、強度上の計算が容易であって、割れにくく、扱い易いといった種々の長所を有することから、本発明に係る容体10に適した素材といえる。係る透過性樹脂には、多くの種類があるため、特に最適な素材として要求される二つの条件を満たす必要がある。第一の条件は、発酵物Hの発酵状態や攪拌状態を観察しやすくするための透過性を備えていることであり、第二の条件は、発酵に伴うアルコール等から影響を受けない耐薬品性に優れていることである。
そこで、第一の条件の樹脂について検討すると、樹脂において透過性を有するか否かは、結晶性樹脂か非晶性樹脂かによって大別され、その違いによって透過性が大きく相違し、一般に結晶性のプラスチックは結晶部と非晶部がプラスチックの内部に混在し、屈折率が異なることにより光が境界で乱反射し不透明になり、本発明の容体10の素材には適さないものといえる。そこで、屈折率が均一で光を透過し、透明になる非晶性の樹脂の中から強度も優れた材質を選択することとなる。
特に透過性の優れた樹脂としては、PC(ポリカーボネート:ポリカ(透過率89%))、PET(ポリエチレンテレフタレート:ペット(透過率90%))、PVC(ポリ塩化ビニル:塩ビ(透過率82%))、及びPMMA(ポリメチルメタクリレート:アクリル(透過率93%)以下、「PMMA」については「アクリル」と表現する。)がある。
上記4種類の樹脂は、82%を超える透過率を備える樹脂を例示したものであり、特に透過率93%のアクリルは、ガラスの透過率92%を超える透過性を備える点において、最も第一の条件を満たすと評価できる樹脂素材といえる。
次に、第二の条件について検討する。一般的に、樹脂は酸性物質やアルカリ性物質と接触すると、透過性を失い、白色化する性質のものが少なくない。また、アルコールは油や水に溶け易く、分子鎖間の分子間力を失わせ、アルコールなどの薬品が分子鎖間の隙間に入り込んで膨潤劣化する性質のものは食品に影響を与えるおそれがある。従って、第二の条件を満たすには、耐酸性、耐アルカリ性、耐有機薬品性に優れていると評価できる樹脂の選択が必要である。また、食品に接する容体10の安全性については、食品衛生法により材質・使用用途別に規格基準が設定されており、その規格基準に適合している透過性樹脂を選択しなければならない。なお、上記4種類の樹脂は食品衛生法による基準に適合するものである。
前記第一の条件および第二の条件の双方を満たす樹脂として最も適したといえるものはアクリル樹脂と考えられる。そこでアクリル樹脂を用いた評価の一例を下記に示す。係る評価に用いたアクリル樹脂は、日東樹脂工業株式会社から提供されている、商品名「CLAREX」(登録商標)とする素材を使用した。なお、係る評価は、厚さ3mmの試験辺の表面にそれぞれの薬品を塗布した後、24時間放置後の表面状態を目視により確認して行ったものであり、係るデータは日東樹脂工業株式会社から提供された資料に基づくものである。
表1は、耐酸性に対する「CLAREX」(登録商標)のノーマル材とハード材の二種についての評価を示し、表2は、耐アルカリ性に対する評価を示し、表3は、耐有機薬品性に対する評価を示している。なお、各表の中に用いられている記号は「◎」が「変化なし」、「△」が「やや膨潤」、「×」が「溶解・クラック発生」が生じたことをそれぞれ表している。
上記表1は、耐酸性について、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、オレイン酸のそれぞれが及ぼす影響を示し、98%以上の硫酸、60%以上の硝酸、98%以上の酢酸を除く何れの酸に対してもノーマル材でも十分に影響を受けず、ハード材であればより影響を受けないことも確認した。なお、上記の硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、オレイン酸と比較して、酸性度の低いエチルアルコールである酒類では、酸性物質による影響を受けないことは明らかである。
上記表2は、耐アルカリ性についてアンモニア水、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、せっけん水のそれぞれが及ぼす影響を示し、ノーマル材、又はハード材の何れであっても影響を受けないことを確認した。
上記表3は、耐有機薬品についての溶剤に対する影響を示しており、ノーマル材、又はハード材の何れであってもエチルアルコール(50%)に対しては影響を受けないことを確認した。
なお、食品に使用する透過性樹脂の製造者からは、各素材毎に強度等の機械的特性についても詳細な情報が開示されている。そこで、容体10に必要な強度的な問題についても検討することが重要である。具体的には、容体10に醪を入れた状態で十分な強度を有しているか否かについて、使用するアクリルの機械的特性と容体10の大きさや醪の比重等から算出することとなるが、容体10の繋ぎ部の有無や容体10の形状などを考慮し、更に安全率を加味した上で設計を行ことが必要である。
図3は、本発明に係る容体10と架台20とを接続する接続部の説明図である。図3に示す通り、容体10と容体底部材13は、容体10の端部に形成されたフランジ形状部12に設けられる固定穴部21と、容体底部材13の固定穴部21に、螺合による結合部材31によって結合された状態を示している。
パッキン部材30は、フランジ形状部12と容体底部材13との間に挟持される水密のための部材であり、ゴム、シリコン、ウレタン等の弾性力を有する一般的なパッキンとしての性能を発揮するものであればよい。
固定穴部21は、フランジ形状部12と容体底部材13とを、結合部材31によって結合するための穴部である。
結合部材31は、フランジ形状部12と容体底部材13とを結合するための部材であり、図3に示した結合部材31は、ボルトとナットによる螺合部材を用いた場合を例示したものである。係る螺合部材による結合部材31を採用することにより、醸造現場での組み立てが可能となり、容体10などの破損や水漏れが生じた場合でも、取り外しにより交換を可能とする構成を示したものである。なお、図3には示していないが、係る結合に代えて、フランジ形状部12と当接する部分を加熱によって溶着する結合手段でもよく、強度と食品に影響を与えない結合手段であれば特に限定されるものではない。
図4は、本発明に係る架台20を説明する説明図であり、図4(a)は、上方から見た架台20の形状を示し、図4(b)は架台20を横方向から見た形状を示している。なお、図4(a)では正八角形の形状を例示したものであって、係る正八角形に限定されることはなく、円形、または他の多角形、或いは曲線的なデザインを施した形状でもよく、上部に容体10を安定して載置可能なものであればよい。
架台20は、観察者が見やすい高さとなるように容体10の高さを調整し、容体10の内部に発酵物Hが収容された状態において、その重量に耐え得る剛性を有する事が必要である。なお、架台20に容体10を回転させる機構を備え、観察者や観察用の動画撮影用カメラ50を移動しなくても、容体10を360度方向から観察できる機構を備えた構成とすることも有効である。
図5は、本発明に係る比重目視機構40を説明する説明図であり、図5(a)は容体10の内部に比重目視機構40が供えられた状態を示す断面図であり、図5(b)は比重目視機構40の構造を示す詳細図であり、図5(c)は別構成の比重目視機構40の構成を示す詳細図である。
日本酒に用いられる醪は、麹由来の酵素による米でんぷんの糖化と、酵母による発酵の二つの過程が並行して進むため、醪の管理では麹による糖化と酵母の活動の制御が求められる。糖化と発酵のバランスは醪の比重を毎日測定することで把握できる。蒸し米が溶解し、でんぷんを麹で糖化すると糖が増え、比重は増大し、糖がアルコールに変わると比重は減少するため、糖化と発酵のどちらが優勢かを判断できる。醪の比重は、ボーメ度として測定され、留仕込み後、3日目から4日目までは糖化が先行し、ボーメ度が高まる。その後、発酵が優勢となり、ボーメ度が低下する。
比重目視機構40は、図5に示すように、浮標計44が醪の比重の変化に伴って網状筒43内を上下に浮遊する位置の変化により、ボーメ度の変化を観察し、およそのアルコール度数の変化を外部から目視により確認する機構である。なお、図面には容体10内に比重目視機構40を備える構成を示したが、外部への流通路を設け、交換可能なろ過部材45によるろ過機能を上下に備えて、容体10の外側に比重目視機構40を備える構成も可能である。
網状筒43は、図5(b)に示すように、一部又は全部がメッシュ状のステンレス鋼の筒であり、該メッシュ状のステンレス鋼の部分によって醪をろ過し、ろ過された醪の比重を計測する浮標計44を案内する部材である。なお、網状筒43は、メッシュ状のステンレス鋼に限定されることはなく、ろ過機能を有し、浮標計44が外部から目視可能な構造であればよく、例えば、図5(c)に示すように、網状筒43に代えて、中空透過性樹脂部材46の上下に交換可能なろ過部材45を配置して、その中空部内に浮標計44を浮かせる構成などでもよい。
浮標計44は、図5(b)及び図5(c)に示す通り一部又は全部がメッシュ状のステンレス鋼の筒又は中空の透過性樹脂に案内され、該メッシュ状のステンレス鋼の部分又は中空透過性樹脂部材46の両端に供えられたろ過部材45でろ過された醪の比重を計測する測定具であり、市場に流通する一般的な浮標計44を用いてもよい。
図6は、本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置1の実施状態を、インターネット53上に動画配信する構成を説明する説明図である。
動画撮影用カメラ50は、容体10の内部に収容された醪の発酵状態を撮影するカメラであって、撮影した動画データをモニターへ送信し、離れた場所でも観察できるようなシステムを構築することも可能である。また、録画により、発酵状態の変化を記録しておくことも有効である。
また、図6に示すように、動画撮影カメラ50で撮影された動画データを、コンピューター51を介して、インターネット53上に設置されたサーバー52へアップロードし、リアルタイム配信などの新たな情報サービスを提供することも可能となる。係る動画の配信に用いられる動画撮影用カメラ50には特別な機能が要求されるものではなく、一般に市販されているウェブカメラ等でもよい。
コンピューター51は、動画撮影用カメラ50により撮影された動画データの編集、又はインターネット53上へアップロードするためのサーバー52へ配信するためのコンピューター等である。なお、係るインターネット53への配信方法には、有償か無償かを自由に設定することが可能であり、また、酒造に関する研究者等のみに限定して配信するための認証を求めるなど、多様なサービス態様を提供することが可能なシステムである。
また、本発明に係る透過性樹脂を用いた醸造装置1の応用的な実施例として、例えば、特別なお客様専用に日本酒を醸造するシステムに利用し、電子認証等を用いて特定のアクセス制限をすることで、個人専用のブレンドによる日本酒を醸造し、その醸造過程を通じてリアルタイムにその過程等を楽しむことができるといった、情報技術の発展に伴う新たなサービス提供を行なうことも有効である。
図7は、本発明に係る容体10に光を照射する実施例の構成説明図であり、図7(a)は、横方向から見た断面を示し、図7(b)は、上方から見た状態を示している。通常、日本酒等の醸造場所は、日の当たらない蔵の中などであるため、発酵や拡散の状態を観察するためには照明が必要である。従来、醸造室の照明には、観測することを主たる目的として考慮された照明機器が設けられていることは少なく、光源には通常の蛍光灯や白熱球、或いはLED(発光ダイオード)による照明が天井に設けられているものがほとんどである。しかしこのような照明では、円柱状の溶体を側方から観察すると、影の影響により、全体を均一に観察することはできない。
そこで、全体を均一に観察するための照明を設けることが好ましく、底部照明41を容体10の底部外周に等間隔に複数配置し、容体10に光のムラや影が生じないようにするために、指向性の少ない光源を用いた底部照明41とする実施例を図7(a)示した。
底部照明41は、容体10の内部に収容された発酵物Hの発酵に熱影響を与えないように、光源には熱の発生が極めて少ないLED照明を用いることが望ましい。更に、図面には示していないが、底部照明41の光を自然光に近づけるため、拡散板を用いて照射することも有効である。係る構成を採用することにより、筒状部11の形状が円筒形状や多角柱形状のように、奥行きに向かって光の反射角が変化する形状であっても、ムラや影を少なくした観察が可能となるとともに、照明からの熱を遮熱する効果を得ることも可能となる。
醪の上面は、従来通り目視可能であるが、上面全体を広く観察する場合と、一部の状態を特に注意して観察する場合とでは、それぞれ面光源と点光源を切り換えて観察可能とすることが望ましく、上部照明42にはこれらの切り替え等を行える照明手段を備えることが望ましい。
なお、図7(b)には、底部照明41を架台20の外周に備える構成を示したが、架台20の上部外周に当初より底部照明41を備える構成とすることも、デザインや製作コスト面などから有効である。なお、発酵状態等を正確に把握するための観察を目的とせず、醸造の過程を美しく演出するため、暗い室内において、特定の方向からリフレクターを用いた指向性の強いスポット光の照射や、照度の強弱、及び光の色に変化をつけて幻想的な雰囲気を創出するなど、鑑賞を主たる目的とした照明を設けることも有効な構成である。
本発明に係る透過性素材を用いた醸造装置によれば、従来の酒造りの醸造装置にはなかった、醪の発酵状態や攪拌状態を目視可能としたことにより、品質の高い酒造を可能とし、安定した生産性と製品の品質向上を図ることができる。また、ヨーグルトや味噌、醤油といった発酵を伴う食品の発酵状態を観察可能とする発酵装置としても利用でき、更に、発酵を伴う食品加工製造業者において、自己の商品の発酵状態を鑑賞させる目的で利用するなど多目的な使用も可能であり、産業上利用可能性は高いと思慮されるものである。
1 透過性素材を用いた醸造装置
10 容体
11 筒状部
12 フランジ形状部
13 容体底部材
14 上部フランジ
20 架台
21 固定穴部
30 パッキン部材
31 結合部材
40 比重目視機構
41 底部照明
42 上部照明
43 網状筒
44 浮標計
45 ろ過部材
46 中空透過性樹脂部材
50 動画撮影用カメラ
51 コンピューター
52 サーバー
53 インターネット
H 発酵物

Claims (4)

  1. 容体(10)と、
    架台(20)と、
    から構成される日本酒の醸造装置であって、
    前記容体(10)は、透過率82%以上のアクリル(PMMA:ポリメチルメタクリレート)を用い、筒状部(11)と底部側のフランジ形状部(12)とが一体に成形されて成り、
    該フランジ形状部(12)はパッキン部材(30)と結合部材(31)とによって容体底部材(13)と水密状態で結合され、
    前記容体(10)は前記架台(20)の上部に載置され、
    前記容体(10)内に投入された発酵物(H)の発酵状態、及び攪拌状態を、前記容体(10)を通して外部から目視して撹拌を行なうことを可能としたことを特徴とする透過性素材を用いた醸造装置(1)。
  2. 前記容体(10)の素材が透過率93%以上であることを特徴とする請求項1に記載の透過性素材を用いた醸造装置(1)。
  3. 前記容体(10)の内部における前記発酵物(H)の発酵状態を観察するための照明と、
    前記発酵物(H)の攪拌状態を観察するための照明を複数設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透過性素材を用いた醸造装置(1)。
  4. 前記容体(10)内の前記発酵物(H)の発酵状態及び撹拌状態を撮影する動画撮影用カメラ(50)を備え、
    該動画撮影用カメラ(50)から出力された動画データを入力するコンピューター(51)と、
    サーバー(52)を介してインターネット(53)上に配信可能としたことを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載の透過性素材を用いた醸造装置(1)。
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