JP6524176B2 - プロリルオリゴペプチダーゼ阻害剤 - Google Patents
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Description
そして、POP活性を阻害する化合物(阻害剤)として、特許文献1は、コメ蛋白質由来のペプチドを開示し、当該ペプチドのPOP阻害活性(IC50)は、24.3μM/Lであることを示している。
また、特許文献2は、ワイン由来の2種類のペプチドを開示しており、当該2種類のペプチドのPOP阻害活性(IC50)は、それぞれ17.0μM、87.8μMであることを示している。
このようなPOP阻害活性を活かし、認知症等の予防、治療にこれらのペプチドを適用することが開示されている(特許文献1、特許文献2)。
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12)
また、本技術に係る乳タンパク質由来のペプチドは、脳機能や中枢神経系に関与するプロリルオリゴペプチダーゼ(POP)に対して優れた阻害活性を有することから、認知症やうつ病等の症状改善・治療・予防に用いられるPOP阻害剤、脳機能改善剤、中枢神経系機能改善剤、又は嚥下機能改善剤を提供することができる。
更に、本技術に係る乳タンパク質由来のペプチドは、生体内において多くの機能に携わるオキシトシンの代謝に関与するプロリルオリゴペプチダーゼ(POP)に対して優れた阻害活性を有することから、オキシトシンが作用する生体内機能を向上させることが可能である。
本技術に用いられるペプチドは、以下の(a)〜(l)(配列番号1〜12)で表されるアミノ酸配列からなり、それぞれのペプチドはプロリルオリゴペプチダーゼ(POP)阻害活性を有する。本技術では、以下の(a)〜(l)のペプチドによって構成される群から選択されるいずれか1種を選択して用いてもよいし、2種以上を選択して用いてもよい。
(a) Leu−Lys−Pro−Thr−Pro−Glu (配列番号1)
(b) Leu−Lys−Pro−Thr−Pro−Glu−Gly−Asp (配列番号2)
(c) Leu−Lys−Pro−Thr−Pro−Glu−Gly−Asp−Leu−Glu (配列番号3)
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12)
本技術に用いられる配列番号1〜12のペプチドにおけるPOP阻害活性は、特に限定されないが、例えば、Yoshimoto,T.らの方法(Biochim.Biophys.Acta、1979年、Aug 15、第569巻、第2号、第184−192頁)に準じて測定することが可能である。
このようにして測定されるPOP阻害活性に係るIC50は、好ましくは30μg/mL以下、より好ましくは10μg/mL以下、更に好ましくは5μg/mL以下である。又は、IC50が、好ましくは50μM以下、より好ましくは20μM以下、更に好ましくは10μM以下である。
配列番号1〜12のペプチドの製造方法の概略は、ホエイ蛋白質やカゼイン等の乳由来のタンパク質を、水に分散、懸濁又は溶解し、これに酵素や酸、アルカリを添加して加水分解し、適宜分解が進んだところで反応を停止し、得られた加水分解液を限外ろ過等により濃縮し、クロマトグラフィー等でペプチドを分画して溶出させる。溶出した分画液について、POP阻害活性を前記の方法で測定し、POP阻害活性を有する画分を回収することによって、目的のペプチドを含む成分を製造することができる。
なお、更に本技術に用いられるペプチドを単離することを目的として、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、溶媒沈殿、塩析等の方法で精製してもよい。
以下、製造方法の一例について具体的に説明するが、これに限定されるものではない。本技術においては、公知のホエイ蛋白質やカゼインの加水分解で用いられる様々な工程を、自由に選択して採用することができる。
本技術に用いられる配列番号1〜12のペプチドは、天然タンパク質を加水分解することによって製造することが可能である。原料となる天然タンパク質としては、哺乳動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ヒト等)の乳に含まれるホエイ蛋白質やカゼインが好ましい。
まず、原料(乳由来のタンパク質)を水などの溶媒に溶解又は分散させ、タンパク質溶液を調製する。
溶媒は特に限定されないが、蒸留水を用いることが好ましい。
また、前記溶解液の濃度は特に限定されないが、通常、タンパク質換算で5〜15質量%前後の濃度範囲とすることが、効率性及び操作性の点から好ましい。溶解濃度を5%以上とすることで、製造上の効率を向上させることができる。また、溶解濃度を20%以下とすることで、分解効率の低下、加熱処理時の焦付き、冷却時の粘度上昇等を防止することができる。
次に、前記基質溶液にタンパク質分解酵素を添加する。タンパク質分解酵素は、特に限定されないが、公知のエンドプロテアーゼを1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。エンドプロテアーゼとしては、例えば、ビオプラーゼ(長瀬生化学工業社製)、プロチンSD−AY10(天野エンザイム社製)、プロチンNY100(天野エンザイム社製)、プロテアーゼNアマノ(天野エンザイム社製)、ニュートラーゼ(ノボ・ノルディスク社製)、アルカラーゼ(ノボ・ノルディスク社製)、トリプシン(ノボ・ノルディスク社製)、キモトリプシン(ノボ・ノルディスク社製)、パパイン(天野エンザイム社製)、ブロメライン(天野エンザイム社製)等の市販品が挙げられる。
なお、活性単位は、使用するその他のタンパク質分解酵素の種類に応じて測定することが可能である。
したがって、酵素反応をモニターすることにより、本技術に用いられるペプチドが得られるように、反応継続時間を決定する。
本技術においては、例えば、反応継続時間は、1〜48時間の間で決定することが好ましく、4〜18時間の間で決定することがより好ましい。
酵素反応の停止は、加水分解液中の酵素を失活させることにより行われる。失活処理は、常法、例えば、加熱失活処理等により実施することができる。
加熱失活処理の条件(加熱温度、加熱時間等)は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができる。
本技術においては、例えば、80〜130℃の温度範囲で30分間〜2秒間の保持時間で、酵素を失活させることができる。
酵素反応停止後、得られた加水分解失活液を、(a)濾過、(b)精密濾過、限外濾過膜等の膜分離処理、(c)樹脂吸着分離、(d)カラムクロマトグラフィーからなる群から選択される、いずれか1種又はこれらの2種以上の組合せによって精製することが好ましい。
濾過を行うことにより、前記加水分解失活液中に存在する加水分解反応時及び/又は酵素加熱失活時に生成した不溶物を除去できる。
なお、濾過の方法には、分子篩いの効果を有するゲル濾過樹脂を用いたゲル濾過クロマトグラフィーも含まれる。
この場合、膜分離処理後の膜透過画分としてペプチドを含有する溶液が得られる。
膜分離処理を行うことにより、(a)の濾過と同様、加水分解失活液中に存在する加水分解反応時及び/又は酵素加熱失活時に生成した不溶物を除去できる。
樹脂吸着分離は、これらの樹脂をカラムに充填して前記加水分解失活液を連続的に流入させ、流出させることによる連続方式で行うこともでき、また、前記加水分解失活液中に樹脂を投入し、一定時間接触させた後、加水分解失活液と樹脂とを分離するバッチ方式で行うこともできる。
加水分解失活液中には、保存期間中に混濁、沈殿、凝集及び褐変等を惹起する因子(例えば、疎水性アミノ酸を多く含むペプチド等)が残存している可能性があり、樹脂吸着分離を行うことにより、これらの因子を除去できる。
また、精製後、得られたペプチドを含有する溶液を殺菌してもよい。
殺菌方法は、常法による加熱処理方法等を用いることができる。
加熱処理時の加熱温度と保持時間は、充分に殺菌できる条件を適宜設定すればよく、例えば、70〜140℃で2秒間〜30分間加熱処理することにより殺菌できる。
加熱殺菌の方式は、バッチ方式、連続方式のいずれの方式も可能であり、連続方式においてもプレート熱交換方式、インフュージョン方式、インジェクション方式等の方式を用いることができる。
更に、得られたペプチドを含有する溶液は、そのまま使用することもでき、また、必要に応じて、該溶液を公知の方法により、濃縮した濃縮液として使用することもできる。また、該濃縮液を公知の方法により乾燥し、粉末にして使用することもできる。
配列番号1〜12のペプチドは、POP阻害剤として用いることができる。POP阻害剤は、液状のまま、又は濃縮してから、あるいは固体状、顆粒状又は粉末状に加工してから用いてもよい。
また、本技術におけるPOP阻害剤は、研究用試薬として使用できるほか、診断薬等としても使用できる。例えば、脳に対する機能やオキシトシン代謝を研究目的とする研究用キット、プロリルオリゴペプチダーゼが関与する脳機能疾患や中枢神経系疾患、オキシトシン代謝が関与する各種疾患、嚥下障害などの診断用キットが例示される。
さらに、本技術におけるPOP阻害剤は、プロリルオリゴペプチダーゼが関与する脳機能疾患や中枢神経系疾患、オキシトシン代謝が関与する各種疾患、嚥下困難症などのため予防又は治療剤に利用することができる。すなわち、本技術におけるPOP阻害剤は、プロリルオリゴペプチダーゼが関与する各種疾患のための予防又は治療剤として利用することができる。
そのような各種疾患のための予防又は治療剤の例としては、脳機能改善剤、中枢神経系機能改善剤、嚥下機能改善剤、子宮収縮剤、乳腺刺激剤、筋肉幹細胞増殖促進剤、骨粗しょう症改善剤等が挙げられる。
本技術の脳機能改善剤は、例えば、認知症、健忘症、判断力・思考力の低下、認知能力の低下、知的障害等の症状改善、治療、予防に用いることができる。
また、本技術の中枢神経系機能改善剤は、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、感情障害、統合失調症、不安神経症等の症状改善、治療、予防に用いることができる。
本明細書では、本技術の脳機能改善剤と中枢神経機能改善剤の前記適応症は例示であって、両予防又は治療剤の適応症は厳密に区別されない。
更に、本技術の嚥下機能改善剤は、例えば、老化や他の疾患に伴う嚥下困難症や嚥下障害の改善、治療、予防や、誤嚥の防止などに用いることができる。
これらのPOP阻害剤のいくつかについてはin vivoでの効果が確認されており、例えば、マウスの腹腔内投与により実際に脳内に到達してPOPを阻害し、そのアミン誘導体はスコポラミンで誘発したマウスの記憶障害を回復すること、経口投与により脳内に到達してPOPを阻害すること、経口投与で高齢ラット(23〜24月齢)の大脳皮質のサブスタンスPを増加させること(蛋白質核酸酵素,Vol.42,No.6,p.857−864(1997))、ラット及びハツカネズミのモデルで抗健忘症効果をもつこと(Yoshimotoら、J.Pharmacobio−Dyn.第10巻、第730頁(1983年);サイトウら、J.Enz.Inhib.第3巻、第163頁(1990年);Uchida,I.ら、国際公開第90/12005号)等が明らかとなっている。
投与経路は、例えば経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、経粘膜投与、鼻腔内投与、直腸内投与等が挙げられる。
なお、投与対象は、通常、ヒトであるが、ヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ等のペット動物、ウシ、ヒツジ、ブタ等の家畜も含むものとする。
本技術におけるPOP阻害剤、脳機能改善剤、中枢神経系機能改善剤、子宮収縮剤、乳腺刺激剤、筋肉幹細胞増殖促進剤、及び嚥下機能改善剤は、飲食品や飼料の形態として、又は飲食品や飼料に添加して用いることができる。
飲食品としては、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販食品等が挙げられる。
即席食品類としては、例えば、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
農産加工品としては、例えば、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。
水産加工品としては、例えば、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
畜産加工品としては、例えば、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
基礎調味料としては、例えば、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
冷凍食品としては、例えば、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
菓子類としては、例えば、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
飲料類としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
前記以外の市販食品としては、例えば、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものを用いればよい。
結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
着色剤としては、カラメル色素、パプリカ色素、コチニール色素、インジゴカルミン等が挙げられる。
矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
安定化剤としては、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
<ホエイ加水分解物の調製1>
市販のWPC(ホエイ蛋白質濃縮物、Milei80(ミライ社製))を10%の濃度で水に溶解し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8.0に調整して、ホエイ水溶液を調製した。このホエイ水溶液に、たんぱく質1g当たりプロテアーゼNアマノ(天野エンザイム社製)を5,000単位添加し、50℃で7時間分解した。次いで、90℃で10分間加熱して酵素を失活させ、噴霧乾燥機により粉末化し、ホエイ加水分解物の乾燥品を得た。
市販のホエイパウダー(NZ−GLP(フォンテラ社製))を20%の濃度で水に溶解し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8.5に調整して、ホエイ水溶液を調製した。このホエイ水溶液に、たんぱく質1g当たりプロチンNY100(天野エンザイム社製)を7,000単位及びアルカラーゼ(ノボ・ノルディスク社製)を1,000単位添加し、55℃で5時間分解した。次いで、80℃で10分間加熱して酵素を失活させ、精密ろ過膜により清澄後、噴霧乾燥機により粉末化し、ホエイ加水分解物の乾燥品を得た。
前記にて調製されたホエイ加水分解物について、以下のHPLC条件1にて、HPLCによるペプチドの分離を行った。
カラム:Cadenza CD−C18 10mmI.D.×250mm(インタクト(株)製)
検出:UV215nm
流速:3mL/分
溶離液A:0.1%TFAを含む水溶液
溶離液B:0.1%TFAを含むアセトニトリル溶液
POP阻害の測定は、Yoshimoto,T.らの方法「Biochim.Biophys.Acta、1979年、Aug 15、第569巻、第2号、第184−192頁」に準じて行った。
具体的には、酵素(POP)は、Recombinant Human Prolyl Oligopeptidase/PREP(R&D Systems,Inc.)を用い、基質はZ−Gly−Pro−AMC(BACHEM)を用いて、酵素反応を行なった。96穴マイクロプレート(nunc137101)の各ウエルに、水又は各濃度の試験物質の水溶液あるいは、HPLCの分画フラクションを添加し、Buffer(Tris−HCl(1M,PH8.0,1.25mL)、DTT(1M,125μL)、NaCl(5M,2.5mL)、水(6.125mL))を10μL添加して全量を80μLに調製した。
撹拌の後、プレートを37℃のインキュベーターで約10分程度温め、POP溶液10μLと、基質溶液10μLを添加し(全液量100μL)、撹拌して反応を開始した。
酵素の代わりに水を添加したウエルをコントロールとした。
X:水+酵素+基質
Y:試験物質+酵素+基質
a:水+基質
b:試験物質+基質
試験物質の濃度を段階的に希釈し(0.1〜2000μg/mL)、その阻害率を求めた。その結果を基に試験物質の添加濃度の対数(log10)と阻害率の間の関係式を求めた。そしてこの関係式から酵素の阻害率が50%になる濃度を逆算することで、IC50を算出した。
HPLC条件1の条件に基づいて、溶離液Aの割合98%から、30分後に75%、40分後に50%、43分後に20%、になるようなグラジエント条件で、加水分解物を分離し、溶出液を0.75mL毎に分画した。
溶出画分について、プロリルオリゴペプチダーゼ阻害活性を測定したところ、下記表1の分析1のリテンションタイム(RT(min))に記載した時間に溶出された(1)及び(2)の画分に強い阻害活性能が認められた。
分析1で得られた画分(2)からは、2ヶ所の阻害活性が認められる画分を得た。
質量分析では、親イオンと娘イオンを測定し、解析ソフト(サーモクエスト社製、BioWorks)によりペプチドを同定した。結果を以下の表1に示す。
<カゼイン加水分解物の調製>
市販のカゼイン(ニュージーランドデーリーボード製)10gに水90gを加え、よく分散させ、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、カゼインを完全に溶解し、濃度約10%のカゼイン水溶液を調製した。
該カゼイン水溶液を85℃で10分間加熱殺菌し、50℃に温度調整し、水酸化ナトリウムを添加してpHを9.5に調整した後、ビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)10,000活性単位(蛋白質1g当り1,250活性単位)、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)17,000活性単位(蛋白質1g当り2,000活性単位)、及びPTN6.0S(ノボザイムズ・ジャパン社製)60,000活性単位(蛋白質1g当り7,000活性単位)を添加して、加水分解反応を開始した。カゼインの分解率が24.5%に達した時点で、80℃で7分間加熱して酵素を失活させて酵素反応を停止し、10℃に冷却した。
この加水分解液を分画分子量10,000の限外ろ過膜(旭化成社製)で限外ろ過し、濃縮後凍結乾燥し、凍結乾燥品(CN分解物A)8gを得た。
前記にて調製されたCN分解物A(カゼイン加水分解物)について、前記のHPLC条件1にて、HPLCによるペプチドの分離を行った。また、更に精製度を高めるために、HPLC条件1によって得られたPOP阻害活性を示す画分について、以下のHPLC条件2にて分離を行った。
カラム:Cadenza CD−C18 10mmI.D.×250mm(インタクト(株)製)
検出:UV215nm
流速:3mL/分
溶離液A:0.2%ギ酸を含む水溶液
溶離液B:0.2%ギ酸を含むアセトニトリル溶液
HPLC条件1の条件に基づいて、溶離液Aの割合98%から、30分後に75%、40分後に50%、43分後に20%、になるようなグラジエント条件で、加水分解物を分離し、溶出液を0.75mL毎に分画した。
溶出画分について、プロリルオリゴペプチダーゼ阻害活性を測定したところ、前記表1の分析1のリテンションタイム(RT(min))に記載した時間に溶出された(1)〜(5)の画分に強い阻害活性能が認められた。
更に、溶出された(1)〜(5)の画分の精製度を高めるために、HPLC条件2にて分離を行った。このとき、条件1の溶離液A、Bを、それぞれ条件2の溶離液A、Bに変更し、その他の条件は条件1と同様に行った。
分析1で得られた画分(3)からは、2ヶ所の阻害活性が認められる画分を得た。
<カゼイン加水分解物の調製>
前記製造例2と同様の方法で、カゼイン加水分解物を得た。
前記にて調製されたカゼイン加水分解物について、以下のHPLC条件3にて、HPLCによるペプチドの分離を行った。
カラム:Intrada WP−RP 10mmI.D.×250mm(インタクト(株)製)
検出:UV215nm
流速:3mL/分
溶離液A:0.1%TFAを含む水溶液
溶離液B:0.1%TFAを含むアセトニトリル溶液
HPLC条件3の条件に基づいて、溶離液Aの割合80%から、40分後に50%、43分後に20%、になるようなグラジエント条件で、加水分解物を分離し、溶出液を0.75mL毎に分画した。
溶出画分について、プロリルオリゴペプチダーゼ阻害活性を測定したところ、下記表3の分析1のリテンションタイム(RT(min))に記載した時間に溶出された(1)〜(3)の画分に強い阻害活性能が認められた。
ペプチドシンセサイザー(Model 433A型、アプライドバイオシステムズ社)を使用し、原料として、Fmoc−AA−Wang−PEG Resin(渡辺化学工業(株))、Fmoc−AA(Ala、Val、Pro、Tyr、Gln、Leu、Glu、Met、Phe、Lys、Ile、Gly、Asn、Thr、Trp又はAsp((株)ペプチド研究所))を用いて、固相合成法により配列番号1〜12のペプチドを合成した。
操作はアプライドバイオシステムズ社のマニュアルに従って行った後、脱保護した。
これらのペプチドは、実施例1に記載されたHPLC条件1〜3で分離精製した。
得られた精製物(合成ペプチド)について、前記POP阻害活性の測定方法によりIC50(μg/mL)を求めた。また、実施例1に記載された質量分析の方法と同様の方法により、合成ペプチドの質量分析を行った。結果を表4に示す。
Claims (5)
- 以下の(d)〜(l)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドによって構成される群から選択されるいずれか1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含有するプロリルオリゴペプチダーゼ阻害剤。
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12) - 以下の(d)〜(l)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドによって構成される群から選択されるいずれか1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含有する脳機能改善剤。
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12) - 以下の(d)〜(l)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドによって構成される群から選択されるいずれか1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含有する中枢神経系機能改善剤。
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12) - 以下の(d)〜(l)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドによって構成される群から選択されるいずれか1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含有する嚥下機能改善剤。
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12) - 以下の(d)〜(l)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドによって構成される群から選択されるいずれか1種又は2種以上のペプチドを含有する、脳機能改善用飲食品、中枢神経系機能改善用飲食品、又は嚥下機能改善用飲食品。
(d) Ala−Val−Pro−Tyr−Pro−Gln (配列番号4)
(e) Val−Leu−Pro−Val−Pro−Gln (配列番号5)
(f) Glu−Met−Pro−Phe−Pro−Lys (配列番号6)
(g) Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号7)
(h) Thr−Lys−Val−Ile−Pro−Tyr (配列番号8)
(i) Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu (配列番号9)
(j) Phe−Phe−Val−Ala−Pro−Phe−Pro−Glu−Val−Phe−Gly (配列番号10)
(k) Val−Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly−Pro−Ile−Pro−Asn (配列番号11)
(l) Ala−Met−Lys−Pro−Trp−Ile−Gln−Pro−Lys (配列番号12)
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