以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能な設置状態(図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向7と定義する。また、前記設置状態において図1に示される給紙カセット24が挿抜される面を正面(前面)として前後方向8を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準として左右方向9を定義する。また、以下の実施形態の全図において、同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し示す。
本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、少なくとも印刷機能を備えた装置である。画像形成装置10は、所謂タンデムタイプのカラープリンターである。
図1及び図2に示されるように、画像形成装置10は筐体11を備える。筐体11は、全体として略直方体形状である。筐体11の内部には、画像形成装置10を構成する各部が配設されている。
図2に示されるように、画像形成装置10は、4つの画像形成ユニット4(本発明の画像形成部の一例)、中間転写ユニット5、光走査装置13、二次転写ローラー20、定着装置16、排紙トレイ18、給紙カセット24(本発明のシート収容部の一例)、操作表示部25(図1参照)、ベルトクリーニング装置6、給紙装置44(本発明のシート給送装置の一例)、及び制御部2などを備える。
画像形成ユニット4各々は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、一次転写ローラーなどを備えており、電子写真方式にしたがって印刷用紙に画像を形成する。画像形成ユニット4は、筐体11の内部において前後方向8に沿って並設されており、所謂タンデム方式に基づいてカラー画像を形成する。画像形成ユニット4は、各色のトナー像を中間転写ユニット5の転写ベルト15に重ね合わせて転写して、転写ベルト15にカラーのトナー像を形成する。転写ベルト15上のトナー像は、二次転写ローラー20により、給紙カセット24から給送される印刷用紙(本発明のシートの一例)に転写される。
中間転写ユニット5は、4つの画像形成ユニット4の上側に設けられている。中間転写ユニット5は、転写ベルト15と、駆動ローラー5Aと、従動ローラー5Bとを有する。転写ベルト15は、駆動ローラー5A及び従動ローラー5Bによって回転駆動可能に支持されている。駆動ローラー5A及び従動ローラー5Bによって支持されることにより、転写ベルト15は、その表面が各感光体ドラムの表面に接しながら矢印19の方向へ移動可能となる。
光走査装置13は、4つの画像形成ユニット4の下側に設けられている。光走査装置13は、入力される画像データに基づいてレーザー光を生成し、そのレーザー光を画像形成ユニット4各々の感光体ドラムに照射する。これにより前記感光体ドラムそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
二次転写ローラー20は、筐体11の後方側において、駆動ローラー5Aと対向する位置に設けられている。二次転写ローラー20によって転写ベルト15から印刷用紙にトナー像が転写される。
定着装置16は、二次転写ローラー20の上側に設けられている。定着装置16は、印刷用紙に熱を加えてトナー像を印刷用紙に定着させる。定着装置16は、一対のローラー対である加熱ローラー16Aと、加圧ローラー16Bとを有する。二次転写ローラー20から定着装置16に搬送された印刷用紙は、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとによって挟持されつつ搬送される。このとき、加熱ローラー16Aから印刷用紙に熱が伝達されて、印刷用紙上のトナーが溶融して印刷用紙に定着する。これにより、カラー画像が印刷用紙に形成される。
図2に示されるように、定着装置16からシート排出口27までの間に排出路28が形成されている。排出路28において、シート排出口27の近傍に、排出ローラー対23が設けられている。排出ローラー対23は、駆動ローラーと、前記駆動ローラーに圧接される従動ローラーとにより構成されている。定着装置16を通過した印刷用紙は排出路28を搬送され、その後、排出ローラー対23によってシート排出口27から排紙トレイ18に排出される。
給紙カセット24は、内部に複数枚の印刷用紙を収容可能に構成されている。給紙カセット24は、筐体11の底部(最下部)に設けられている。給紙カセット24は、筐体11に対して前後方向8へ挿抜可能に構成されている。給紙カセット24に規定サイズの印刷用紙が収容される。給紙カセット24は、筐体11に着脱可能に支持されている。給紙カセット24は、筐体11の内部において予め定められた装着位置に装着される。図1及び図2には、給紙カセット24が前記装着位置に装着された状態が示されている。筐体11の後方側に、給紙カセット24から二次転写ローラー20を経て定着装置16に至る縦搬送路26が形成されている。
給紙カセット24の後端部の付近に、給紙装置44が設けられている。給紙カセット24が前記装着位置に装着された状態で、給紙装置44は、給紙カセット24に積載されている印刷用紙を一枚ずつ取り出して、縦搬送路26へ向けて給送する。なお、給紙装置44の詳細な構成については後述する。
給紙カセット24は、複数枚の印刷用紙を収容可能なように、上側に開口を有するトレイ形状に形成されている。給紙カセット24の底部38には、上下方向7に昇降されるリフト板39が取り付けられている。リフト板39は、底部38において後方側に設けられている。リフト板39の上に印刷用紙が積載される。リフト板39の前端部は、給紙カセット24の底部38に回動可能に支持されており、その後端部は自由端となっている。リフト板39が上下方向7へ変位されると、リフト板39上の印刷用紙も上下方向7へ昇降される。
図2に示されるように、縦搬送路26の近傍にレジストローラー対29が設けられている。レジストローラー対29は、制御部2によって回転駆動される駆動ローラーと、前記駆動ローラーに接触して従動する従動ローラーとを有する。給紙装置44によって縦搬送路26に給送された印刷用紙は、レジストローラー対29によって二次転写ローラー20へ搬送される。
図2に示されるように、光走査装置13と給紙カセット24との間に搬送路40が形成されている。搬送路40は、筐体11の前面から背面へ延びている。搬送路40は、画像形成装置10の後方側で縦搬送路26に連結している。搬送ローラー対48は、搬送路40の近傍に設けられており、搬送路40内のシートを後方へ搬送する。
画像形成装置10の前面側には、印刷用紙が載置される用紙トレイ46と、給紙ユニット42とが設けられている。用紙トレイ46は、画像形成装置10の筐体11の前面に取り付けられている。用紙トレイ46は、筐体11の前面のカバーを兼ねる。用紙トレイ46は、筐体11の前面に対して搬送路40の入口を開閉可能に構成されている。
給紙ユニット42は、ピックアップローラー41と、給送ローラー対47とを備えている。ピックアップローラー41は、用紙トレイ46に載置された印刷用紙を取り出して給送ローラー対47に給送する。給送ローラー対47は、モーターなどの駆動源からの駆動力を受けて回転する駆動ローラー47Aと、その下側に配置されるリタードローラー47Bとにより構成されている。ピックアップローラー41は、駆動ローラー47Aとギヤなどの伝達機構によって同期駆動可能に連結されている。制御部2は、前記駆動源を制御することにより、駆動ローラー47A及びピックアップローラー41を回転させたり停止させたりする。用紙トレイ46に載置された印刷用紙は給送ローラー対47によって搬送路40に給送される。搬送路40に給送された印刷用紙は、搬送ローラー対48によって搬送路40を後方へ向けて搬送されて、縦搬送路26に案内される。
図2に示されるように、画像形成装置10には、排出路28の分岐点P1から分岐して縦搬送路26に定められた合流点P2に接続する反転搬送路30が形成されている。前記分岐点P1は、縦搬送路26において二次転写ローラー20よりも上方に定められている。前記分岐点P1には、排出路28から反転搬送路30へ印刷用紙を案内するフラップ(不図示)が設けられている。シート排出口27から逆送された印刷用紙は、前記フラップによって反転搬送路30に案内され、反転搬送路30に設けられた複数の搬送ローラー対31によって反転搬送路30を下方へ搬送される。そして、印刷用紙は、反転搬送路30を通って縦搬送路26の前記合流点P2で合流し、再び縦搬送路26を通って二次転写ローラー20に搬送される。その後、二次転写ローラー20に到達した印刷用紙は、その裏面にトナー像が転写され、定着装置16を経ることによって、印刷用紙の裏面に画像が形成される。両面に画像が形成された印刷用紙は、正転駆動に戻された排出ローラー対23によってシート排出口27から排紙トレイ18に排出される。
給紙装置44は、給紙ユニット61と、リタードローラー62と、を備えている。
図3乃至図5に示されるように、給紙ユニット61は、給紙カセット24の印刷用紙を給送するものであり、ピックアップローラー66と、フィードローラー67(本発明の給送ローラーの一例)と、ローラーホルダー68(本発明のホルダーの一例)と、を有する。また、給紙ユニット61は、連結機構50、及び駆動伝達機構70をさらに備えている。
ローラーホルダー68は、筐体11内の内部フレームに取り付けられている。ローラーホルダー68は、ピックアップローラー66及びフィードローラー67を回転可能に支持するものである。図3及び図4に示されるように、ローラーホルダー68は、下面が開口した略直方体形状の箱形の部材である。ローラーホルダー68は、左右方向9に隔てられた一対の側板81A,81Bと、前後方向8に隔てられた前壁82A、後壁82Bと、上板83とを有する。
ピックアップローラー66及びフィードローラー67は、側板81Aと側板81Bとの間に配置された状態で、側板81A,81Bに回転可能に支持されている。ローラーホルダー68において、ピックアップローラー66は前方側に支持されており、フィードローラー67は後方側に支持されている。具体的には、ローラーホルダー68の前方側には、側板81Aと側板81Bとの間を渡すように取り付けられた回転軸66Aが設けられており、フィードローラー67は、この回転軸66Aに回転自在に支持されている。
ローラーホルダー68の後方側には、側板81A,81Bそれぞれから外側へ突出する支軸69が設けられている。この支軸69が筐体11内の内部フレームに軸支されている。これにより、ローラーホルダー68は、支軸69を中心に回動可能となる。給紙ユニット61は、給紙カセット24に収容されたシートの上方にピックアップローラー66が位置するように筐体11内で配置されている。つまり、ピックアップローラー66は、給紙カセット24の上方に位置するようにローラーホルダー68に支持されている。詳細には、ピックアップローラー66は、そのローラー面が給紙カセット24に収容された最上位の印刷用紙の上面に当接する位置に配置されている。このため、ローラーホルダー68が給紙カセット24側へ回動することにより、ピックアップローラー66が印刷用紙の上面に押し付けられるようにして当接する。
所定の回転駆動力がピックアップローラー66の回転軸66Aに入力してピックアップローラー66が回転駆動されると、ピックアップローラー66はリフト板39により持ち上げられた印刷用紙のうち最上位の印刷用紙の上面に接触摩擦による給送力を付与する。これにより、ピックアップローラー66は、ピックアップローラー66による給送方向の下流側のフィードローラー67へ向けて印刷用紙を送り出す。
フィードローラー67は、ピックアップローラー66よりも前記給送方向の下流側に設けられている。フィードローラー67は、ピックアップローラー66から送られてきた印刷用紙は、給送方向の下流側へ給送する。フィードローラー67は、ピックアップローラー66の回転軸66Aと平行な回転軸67Aを備える。回転軸67Aにモーターなどの駆動部34(図8参照)から回転駆動力が伝達されると、フィードローラー67が回転する。
リタードローラー62は、フィードローラー67の下側に回転可能に設けられている。リタードローラー62は、筐体11の内部フレームに支持されている。リタードローラー62は、フィードローラー67のローラー面と圧接して、フィードローラー67との間でニップ部を形成する。リタードローラー62は、ピックアップローラー66によって一度に複数枚の印刷用紙が送り出されたときに、その複数枚の印刷用紙のうち最上位置の印刷用紙から他の印刷用紙を分離させる。
なお、ピックアップローラー66、フィードローラー67、リタードローラー62の各々は、それぞれ外周面がエラストマーまたはゴムなどの弾性部材で形成されている。
連結機構50は、側板81Aと側板81Bとの間において、フィードローラー67の近傍に設けられている。より詳細には、連結機構50は、側板81Aと側板81Bとの間の空間においてフィードローラー67よりも側板81A側(右側)に設けられている。連結機構50は、第1ギヤ51、アイドルギヤ52、及びワンウェイクラッチ53、及びを含む。第1ギヤ51は、フィードローラー67の回転軸67Aに固定されている。ワンウェイクラッチ53は、フィードローラー67と回転軸67Aとの間に設けられている。ワンウェイクラッチ53は、前記給送方向に対応する回転方向(正回転方向)の回転駆動力をフィードローラー67に伝え、前記回転方向とは反対の回転方向(逆回転方向)の回転駆動力を遮断する。
回転軸67Aには、モーターなどの駆動部34(図8参照)が連結されている。これにより、駆動部34Aが制御部2による制御によって回転駆動されると、駆動部34からの正回転方向の回転駆動力が回転軸67Aを介して第1ギヤ51に伝達され、続いてワンウェイクラッチ53を経てフィードローラー67に伝達される。これにより、フィードローラー67が正回転方向に回転される。なお、回転軸67Aに駆動部34が直結された構成に限られず、例えば、駆動部34から回転軸67Aに正回転方向の回転駆動力を伝達する状態とその伝達を解除した状態とに選択的に切り替わるクラッチが回転軸67Aに連結した構成であってもよい。
アイドルギヤ52は、第1ギヤ51と後述の第2ギヤ711との間に配置されている。アイドルギヤ52は、側板81Aの内面から突出する支軸に回転可能に支持されている。アイドルギヤ52は、第1ギヤ51及び第2ギヤ711それぞれと噛み合っている。このため、駆動部34(図8参照)からの前記正回転方向の回転駆動力は、第1ギヤ51からアイドルギヤ52を経て第2ギヤ711に伝達される。
以下、ピックアップローラー66及びフィードローラー67が、印刷用紙を送り出すときの前記給送方向に対応する回転方向を正回転方向と称し、その反対の回転方向を逆回転方向と称する。なお、図8乃至図11の各図に示される直線矢印R1は、前記正回転方向に回転されたときの印刷用紙の進行方向、つまり、給送方向を示している。
駆動伝達機構70は、前記給送方向に対応する前記正回転方向(本発明の第1回転方向の一例)の回転駆動力をピックアップローラー66に伝達し、前記正回転方向とは反対の前記逆回転方向(本発明の第2回転方向の一例)の回転駆動力をピックアップローラー66に伝達しないように構成されている。本実施形態では、駆動伝達機構70は、側板81Aと側板81Bとの間において、ピックアップローラー66の近傍に設けられている。より詳細には、駆動伝達機構70は、側板81Aと側板81Bとの間の空間においてピックアップローラー66よりも側板81A側(右側)に設けられている。
駆動伝達機構70はフランジ71と、ラチェット連結部72とを含む。フランジ71及びラチェット連結部72は、回転軸66Aに設けられている。
図6及び図7に示されるように、フランジ71は、回転軸66Aに取り付けられており、具体的には、回転軸66Aに回転自在に遊びを持って取り付けられている。フランジ71の中心には貫通孔が形成されており、その貫通孔に回転軸66Aが挿通された状態で、フランジ71が回転軸66Aに回転自在に支持されている。フランジ71の外周面には、アイドルギヤ52と連結される第2ギヤ711(本発明の入力ギヤの一例)が形成されている。つまり、第2ギヤ711は、回転軸66Aに回転自在に支持されている。第2ギヤ711に、アイドルギヤ52からの回転駆動力が伝達(入力)される。
フランジ71のピックアップローラー66側の側面71A(本発明の第3側部の一例)には、側面71Aから回転軸66Aの軸方向へ延びる突出片713(本発明の突出部の一例)が形成されている。つまり、突出片713は、側面71Aに突設されている。側面71Aにおいて、突出片713は、径方向の外側の外周縁の近傍に形成されている。突出片713は、後述の係合回転体721の凹部728と係合して、係合回転体721に対して、回転軸66Aの軸周り方向(周方向)に連結可能である。なお、突出片713の詳細な構成については後述する。フランジ71は、第2ギヤ711と突出片713とを一体に形成したものであり、合成樹脂を材料とする成型品である。
ピックアップローラー66には、ピックアップローラー66の側面66B(本発明の第1側部の一例)から回転軸66Aの軸方向へ延びる筒状の軸部661(本発明の支軸の一例)が設けられている。軸部661は、フランジ71側へ向けて延びており、その延出端は、フランジ71の側面71Aにおける突出片713よりも内側の領域に当接している。
ラチェット連結部72は、ピックアップローラー66とフランジ71との間に設けられている。図6及び図7に示されるように、ラチェット連結部72は、軸部661に回転自在に遊嵌された筒状の係合回転体721(本発明の移動回転体の一例)と、ピックアップローラー66の側面66Bに固定された鋸歯状のラチェットギヤ722とを有する。ラチェットギヤ722は、側面66Bにおいて、軸部661よりも外側に設けられている。係合回転体721のピックアップローラー66側の側端部721Aには、鋸歯状の歯止めギヤ727が形成されている。係合回転体721の内孔(本発明の軸受孔の一例)は、係合回転体721が軸部661の外周面を摺動可能な寸法に形成されている。係合回転体721のフランジ71側の側端部721B(本発明の第2側部の一例)には、突出片713が引っ掛かる(係合する)凹部728(本発明の係合溝の一例)が形成されている。なお、ラチェットギヤ722及び係合回転体721は、フランジ71と同じ樹脂材料で構成された成型品である。
凹部728は、係合回転体721の側端部721Bの外周縁に設けられている。凹部728は、側端部721Bが周方向に沿って軸方向へ切り欠かれた矩形溝形状に形成されている。
歯止めギヤ727のノコギリ状の歯は、回転軸66Aの軸方向に沿ってラチェットギヤ722側へ突出している。また、ラチェットギヤ722のノコギリ状の歯は、回転軸66Aの軸方向に沿って係合回転体721側へ突出している。歯止めギヤ727の複数の歯は、ラチェットギヤ722の複数の歯に対して噛み合うことが可能なように形成されている。上述したように、係合回転体721は軸部661に回転自在に遊嵌されている。また、ピックアップローラー66とフランジ71との間には、係合回転体721が軸方向へ移動可能なスペースが設けられている。このため、係合回転体721は、歯止めギヤ727がラチェットギヤ722と噛み合う第1位置と、ラチェットギヤ722から離間してラチェットギヤ722と非接触となる第2位置との間で、前記軸方向に沿って軸部661を移動可能である。言い換えると、係合回転体721の歯止めギヤ727は、前記第1位置と前記第2位置との間で、前記軸方向に沿って軸部661を移動可能である。本実施形態では、係合回転体721は、係合回転体721の内孔の内面が、軸部661の外周面の全領域に対して均一圧力で面接触した状態で、軸部661に支持されており、この状態で、前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能である。ここで、前記均一圧力は、例えば、軸部661の前記軸方向に係合回転体721の自重(重力方向の荷重)と同じ荷重が加えられた場合に接触摩擦によって前記軸方向へ移動せずに、前記自重より大きい荷重が前記軸方向に加えられた場合に前記軸方向へ移動する程度の圧力である。
なお、図6は、係合回転体721が前記第1位置に配置された状態を示す。また、図7は、係合回転体721が前記第2位置に配置されて、歯止めギヤ727とラチェットギヤ722との噛み合い(連結)が外れた状態を示す。
突出片713は、フランジ71の側面71Aに突設されている。図6及び図7に示されるように、突出片713の突出方向の先端部713Aは、凹部728の内部に位置している。突出片713の先端部713Aは、前記正回転方向の回転駆動力を凹部728の前記正回転方向側の縁部729(本発明の第1端部の一例)に当接して伝達する当接面715を有する。当接面715は、回転軸66Aの軸方向へ延びる平坦面である。突出片713は、第2ギヤ711に前記正回転方向の回転駆動力が入力してフランジ71が前記正回転方向へ回転すると、第2ギヤ711の回転とともに回転し、当接面715が凹部728の縁部729を前記正回転方向へ押圧する。これにより、前記回転駆動力が縁部729に伝達される。
突出片713は、突出方向の先端部713Aの当接面715から前記正回転方向側へ延出する第1傾斜部716と、先端部713Aの突出方向の先端から前記逆回転方向側へ延出する第2傾斜部717(本発明の傾斜部の一例)とを有する。第1傾斜部716及び第2傾斜部717は、突出片713に一体に形成されている。第1傾斜部716は、当接面715から前記正回転方向側の端面に設けられており、当接面715から側面71Aへ向けて緩く傾斜したテーパ面(傾斜面)を有する。第2傾斜部717は、先端部713Aの突出方向の先端から前記逆回転方向側の端面に設けられており、先端部713Aの先端から前記逆回転方向側へ向けて側面71Aに至るまで緩く傾斜したテーパ面(傾斜面)を有する。第2傾斜部717は、駆動部34の停止時にピックアップローラー66が外力を受けて前記正回転方向へ従動したときに凹部728の前記逆回転方向側の縁部730が接触する部分である。
係合回転体721の周方向における凹部728の幅は、先端部713Aや第1傾斜部716、第2傾斜部717が挿入可能なように十分に大きく形成されている。したがって、突出片713は、係合回転体721の凹部728に対して、回転方向において遊びを有して係合する。すなわち、駆動伝達機構70において、フランジ71からラチェット連結部72に至る伝達経路には、回転方向の遊びを有している。
本実施形態では、駆動部34から連結機構50に回転駆動力が伝達されると、連結機構50がフィードローラー67及びフランジ71に回転駆動力を伝達し、駆動伝達機構70がピックアップローラー221に回転駆動力を伝達する。これにより、フィードローラー67及びピックアップローラー66がともに前記正回転方向へ回転する。
以下、図8〜図11を参照しつつ、給紙装置44が給紙カセット24からシートを給送する動作(シート給送動作)を行うときの給紙ユニット61の動きの詳細について説明する。
図8は、係合回転体721が前記第2位置に配置され、突出片713が凹部728に挿入された状態を示す。この状態では、駆動部34からの回転駆動力はフィードローラー及びピックアップローラー66には伝達されない。以下、図8に示される給紙ユニット61の状態を停止状態と称する。
前記停止状態において駆動部34が制御部2に制御されて、駆動部34から回転駆動力が回転軸67Aに入力されると、連結機構50がフィードローラー67を回転させる。また、その回転駆動力は、第1ギヤ51及びアイドルギヤ52を介して第2ギヤ711に入力し、第2ギヤ711が前記正回転方向へ回転する。これにより、フランジ71とともに軸部661及び突出片713が同方向に回転する。
突出片713の回転により、当接面715が凹部728の前記正回転方向側の縁部729まで移動する過程で、突出片713の第1傾斜部716が縁部729に当接する。このとき、第1傾斜部716が縁部729に付与する押圧力は、回転軸66Aの軸方向の分力と、前記正回転方向の分力とに分けられる。前記軸方向の分力は、係合回転体721を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる。一方、前記正回転方向の分力は、係合回転体721を前記正回転方向へ緩やかに回転させる。
そして、係合回転体721が前記第1位置に移動すると、図9に示されるように、当接面715が凹部728の縁部729に当接し、当接面715から縁部729に付与される押圧力の全てが、係合回転体721を前記正回転方向へ回転させる力として作用する。これにより、ピックアップローラー66がフィードローラー67と同じ回転方向へ回転し、給紙カセット24の最上位の印刷用紙が前記給送方向へ給送される。
給紙装置44によって給送された印刷用紙が、給送方向の下流側に位置するレジストローラー対29(図2参照)によって挟持搬送されはじめると、制御部2は、駆動部34の駆動を停止して、給紙ユニット61の動作を停止する。図10は、給紙ユニット61の動作が停止した直後の状態を示している。図10に示されるように、動作停止直後においては、係合回転体721が前記第1位置に配置されて、歯止めギヤ727がラチェットギヤ722に噛み合っており、また、当接面715が凹部728の縁部729に当接した状態である。
上述したように、連結機構50にはワンウェイクラッチ53が設けられており、ラチェット連結部72には鋸歯状の歯止めギヤ727及びラチェットギヤ722が設けられているため、駆動部34の駆動が停止して給紙ユニット61の動作が停止した状態においても、フィードローラー67及びピックアップローラー66は、前記正回転方向の外力が加わった場合に、前記正回転方向へのみ回転可能である。具体的には、レジストローラー対29によって印刷用紙が挟持搬送されると、印刷用紙とフィードローラー67及びピックアップローラー66との間の摺動摩擦によって、フィードローラー67及びピックアップローラー66それぞれのローラー面には前記正回転方向の外力が加えられて、前記正回転方向へ回転する。なお、駆動部34の駆動が停止した状態では、駆動部34の停止トルクによって、第1ギヤ51は回転せずに停止状態を維持し、また、第2ギヤ711も回転せずに停止状態を維持する。したがって、係合回転体721が突出片713に接触して突出片713に力が付与されても、突出片713は動作せず、もちろんフランジ71も動作しない。
前記外力を受けてピックアップローラー66が前記正回転方向に回転すると、ラチェットギヤ722から歯止めギヤ727に対し、前記第2位置側(フランジ71側)へ係合回転体721を移動させる力が作用し、更に、軸部661から係合回転体721の内孔の内面を通じて係合回転体721を前記正回転方向へ回転させる力が作用する。前者の軸方向の力は、ラチェットギヤ722の歯と歯止めギヤ727の歯とが滑ることにより生じる。後者の周方向の力は、軸部661と係合回転体721の内孔の内面との間に生じる摺動摩擦によって生じる摩擦力である。これにより、係合回転体721が前記第2位置に移動して、歯止めギヤ727およびラチェットギヤ722の噛み合い(連結)が外れる。また、係合回転体721が前記正回転方向へ回転したことにより、凹部728の縁部729とは反対側の縁部730が突出片713に近づき、縁部730が突出片713の第2傾斜部717に当接する(図11参照)。以下、この状態のことを連結解除直後の状態と称する。なお、前記摩擦力による周方向の力は、前記軸方向の力に比べて極めて小さく、ピックアップローラー66の従動によって係合回転体721がピックアップローラー66と同じ回転速度で連れ回る程度である。
ところで、回転駆動力が伝達される側のラチェットギヤ722と、ラチェットギヤ722に係合される係合回転体721とが回転軸66Aの軸方向に並んで配置された駆動伝達機構70においては、上述したように、駆動部34の駆動が停止している間にピックアップローラー66が駆動伝達時の回転方向(正回転方向)の外力を受けて従動されると、ラチェットギヤ722と係合回転体721とが離間する。そして、駆動部34が駆動されて駆動伝達経路が再連結されると、ラチェットギヤ722と係合回転体721の歯止めギヤ727とが互いに近づく方向へ相対的に移動して、互いの歯が噛み合わされる。
しかしながら、このような駆動伝達機構70では、ラチェットギヤ722と歯止めギヤ727とが軸方向に遊びを持って取り付けられているため、駆動停止中のピックアップローラー66の従動によって、ラチェットギヤ722と歯止めギヤ727とが周方向に位置ずれする場合がある。この場合に、駆動が再開されて、ラチェットギヤ722と歯止めギヤ727とが軸方向に沿って互いに噛み合う方向へ移動されると、ラチェットギヤ722の歯先と歯止めギヤ727の歯先とが衝突して、円滑に噛み合うことができない場合がある。ラチェットギヤ722と歯止めギヤ727との噛み合いに遅れが生じると、印刷用紙の給送が遅れてしまい、印刷用紙に対する画像形成に要する時間(ファーストプリントタイム)が延びるという問題が生じる。
本実施形態では、駆動伝達機構70による駆動伝達の停止中にピックアップローラー66が前記正回転方向へ従動した場合でも、ラチェットギヤ722及び歯止めギヤ727の各歯先が周方向に位置ずれせず、駆動が再開されたときに円滑に互いのギヤが噛み合うことを可能にしている。
具体的には、第2傾斜部717の傾斜角θ(図12参照)が、以下の関係式(1)を満たすように定められている。つまり、第2傾斜部717の傾斜面が、関係式(1)を満たす傾斜角θとなるように、第2傾斜部717が形成されている。ここで、前記傾斜角θは、第2傾斜部717に対する凹部728の縁部730の接触点P11における第2傾斜部717の傾斜角である。また、関係式(1)におけるμ1は、前記接触点P11における第2傾斜部717と縁部730との静止摩擦係数である。
0<θ<tan-1(1/μ1)・・・(1)
ここで、前記関係式(1)は、以下のように導くことができる。すなわち、軸部661の外周面と係合回転体721の内孔の内面との静止摩擦係数をμ2、軸部661に係合回転体721が取り付けられた状態で軸部661の外周面と係合回転体721の内孔の内面との間に生じる面圧をN2とする。ここで、前記面圧N2は、係合回転体721の内孔の内面(摺動面)にかかる垂直抗力であり、前記内面に作用する単位面積あたりの荷重である。この場合、図12(C)に示されるように、係合回転体721には、周方向に力F1(=μ2N2)力が作用し、その力F1が凹部728の縁部730から第2傾斜部717に付与される。ここで、図12(C)は、接触点P11における力関係を示すベクトル図である。前記力F1は、第2傾斜部717の傾斜面を登る方向D11(接触点P11から先端部713Aへ向かう方向)の分力F11と、傾斜面に垂直な方向D12の分力F12とに分けられる。前記分力F11は、F1cosθであり、前記分力F12は、F1sinθである。前記分力F11が、第2傾斜部717の傾斜面を下る方向D13(接触点P11から側面71Aへ向かう方向)の力F13よりも大きければ、縁部730は、接触点P11で第2傾斜部717の傾斜面に当接後に、傾斜面を方向D11へ相対的に移動する。つまり、係合回転体721をラチェットギヤ722側へ移動させる力が縁部730に作用する。前記F13は、前記分力F12と静止摩擦係数μ1を用いて、μ1F12と表すことができる。よって、縁部730が接触点P11に接触したときに係合回転体721をラチェットギヤ722側へ移動させる条件は、F11>F13であり、これを整理すると、以下の式(2)で表される。
F11>F13=μ1F12
F1cosθ>μ1・F1sinθ
μ2N2cosθ>μ1・μ2N2sinθ
cosθ>μ1sinθ
θ<tan-1(1/μ1)・・・(2)
第2傾斜部717は傾斜面であることから、傾斜角θは0度よりも大きいことが必須であるため、式(2)に傾斜角θの下限値を加えて整理すると、上述の関係式(1)を導き出すことができる。
このような関係式(1)を満たす傾斜角θの第2傾斜部717であれば、駆動部34の停止時にピックアップローラー66が前記正回転方向へ従動した場合に、係合回転体721からラチェットギヤ722から離れたとしても、縁部730が第2傾斜部717に接触したときに、係合回転体721をラチェットギヤ722側へ移動させる力が縁部730に作用する。
具体的には、駆動力がフランジ71の第2ギヤ711に伝達していない状態、つまり、駆動部34が停止している状態では、駆動部34の停止トルクによって、フランジ71は軸周りに回転しない。この状態で、ピックアップローラー66が前記正回転方向へ従動すると、ラチェットギヤ722の歯の傾斜面が係合回転体721の歯止めギヤ727の歯の傾斜面に当接し、係合回転体721を前記軸方向の外側(第2ギヤ711側)へ押して移動させる。このとき、ラチェットギヤ722の歯の傾斜面から係合回転体721に作用する分力は、前記軸方向だけでなく、ラチェットギヤ722の回転方向(ピックアップローラー66の前記正回転方向)にも作用する。その回転方向の分力は、係合回転体721を前記回転方向へ回転させようとし、更には、係合回転体721から接触点P11を介して突出片713の第2傾斜部717を前記回転方向へ回転させようとするが、フランジ71には前記停止トルクがかかっているので、突出片713及びフランジ71は前記回転方向には回転しない。一方、接触点P11にかかる力は、前記回転方向の力だけでなく、上述したように、前記軸方向の力もある。この軸方向の力は、フランジ71が回転しない状態であるため、突出片713からの反力として係合回転体721を逆回転方向へ回転させるように作用する。しかしながら、係合回転体721には、ラチェットギヤ722から受ける前記正回転方向の力も作用しており、この正回転方向の力の方が前記逆回転方向の力よりも大きい。このため、係合回転体721は前記逆回転方向へは回転しないが、前記軸方向の外側への力が作用し続けているため、そのエネルギーはラチェットギヤ722、係合回転体721、及び突出片713(フランジ71)に内在する。この状態で、ラチェットギヤ722の歯が歯止めギヤ727の歯を乗り越えて瞬間的にラチェットギヤ722から歯止めギヤ727に対する力が無くなると、前記エネルギーが解放されて、係合回転体721を前記軸方向の反対側(ラチェットギヤ722側)へ移動させる方向へ作用する。その結果、係合回転体721がラチェットギヤ側へ移動し、これにより、歯止めギヤ727の歯がラチェットギヤ722の歯間に入り込んだ状態(図12B参照)となる。本実施形態では、ラチェットギヤ722の歯が歯止めギヤ727の歯を乗り越える度にこの動作が繰り返される。そして、ピックアップローラー66の従動が停止した場合は、常に、歯止めギヤ727の歯の先端がラチェットギヤ722の歯間に入り込んだ状態(図12B参照)となる。
このように動作することにより、ピックアップローラー66の従動が停止した場合に、少なくとも、ラチェットギヤ722の歯の先端と歯止めギヤ727の歯の先端とが再び噛み合わされる(図12(B)参照)。この状態で、駆動部34が再駆動されて回転駆動力が入力された場合に、ラチェットギヤ722の歯の先端と歯止めギヤ727の歯の先端とが衝突することなく、歯止めギヤ727がラチェットギヤ722にスムーズに噛み合わされる。その結果、ラチェットギヤ722と歯止めギヤ727との噛み合いに遅れが生じることが無くなり、印刷用紙の給送遅れが生じなくなり、印刷用紙に対する画像形成に要する時間が延びることが防止される。
なお、上述の実施形態では、軸部661に係合回転体721が取り付けられた状態で軸部661の外周面と係合回転体721の内孔の内面との間に面圧N2が生じる場合の例について説明したが、本発明は上述の構成に限られない。例えば、駆動伝達機構70が前記面圧N2を生じない構成の場合は、第2傾斜部717の傾斜角θ(図12(C)参照)が、以下の関係式(3)を満たすように定められていればよい。
0<θ<tan-1(μ1)・・・(3)
このような関係式(3)を満たす傾斜角θの第2傾斜部717であっても、上述の実施形態と同様の効果が奏される。
なお、上述の実施形態では、給紙装置44の給紙ユニット61に適用される駆動伝達機構70を例示したが、例えば、用紙トレイ46から印刷用紙を給送する給紙ユニット42に駆動伝達機構70と同様の機構を適用してもよい。