以下、図面を参照しつつ、本開示の典型的な実施形態を説明する。はじめに、図1を参照し、第1実施形態における眼底撮影装置1の概略構成を説明する。第1実施形態では、眼底撮影装置1として、走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)が用いられる場合を説明する。
図1に示すように、眼底撮影装置1は、本体部(装置本体)2と、広角レンズアタッチメント3と、を備える。第1実施形態において、本体部2は、眼底撮影装置1が眼底画像を撮像するうえで主要な光学系(図2参照)と制御系(図4参照)とを有する。また、第1実施形態において、広角レンズアタッチメント3は、本体部2の被検者側筐体面に対し着脱可能に構成される。広角レンズアタッチメント3は、本体部2に装着されることによって、本体部2にて得られる眼底画像の撮像画角を広角化させる。
第1実施形態において、本体部2は、測定部4、位置あわせ機構5、基台6、顔支持ユニット7、およびセンサ8を有する。測定部4には、被検眼Eを撮像するための光学系が格納されている。この光学系については、図2を参照して後述する。
位置あわせ機構5は、装置を被検眼Eに対して位置あわせするために用いられる。本実施形態の位置あわせ機構5は、基台6に対して測定部4を三次元的に移動させる。即ち、Y方向(上下方向)、X方向(左右方向:)、および、Z方向(前後方向)の各方向に移動させる。
顔支持ユニット7は、図1に示すように、被検眼を測定部に対向させた状態で被験者の顔を支持する。なお、第1実施形態において、顔支持ユニット7は、基台6に設けられている。
センサ8は、広角レンズアタッチメント3の装着を検出する検出手段である。センサ8は、広角レンズアタッチメント3の装着状態に応じた電気信号を出力する。例えば、センサ8は、本体部2に広角レンズアタッチメント3が装着される場合と、本体部2に広角レンズアタッチメント3が装着されていない場合とで、電圧値の異なる電気信号を継続的に出力するものであってもよい。このようなセンサ3としては、マイクロスイッチ等の接触センサであってもよく、また、例えば、光電センサ、磁気センサ等の非接触センサであってもよい。
なお、眼底撮影装置1は、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)、視野計などの他の眼科装置と一体化された装置であってもよい。
次に、図2を参照して、本体部2が有する光学系を説明する。なお、ここでは、広角レンズアタッチメント3が装着されていない状態の本体部2を示す。
第1実施形態において、本体部2は、投光光学系10と、受光光学系20と、を有している。投光光学系10は、被検眼Eの眼底Erにおける撮像範囲の各位置へレーザー光(測定光)を投光する。第1実施形態において、投光光学系10には、レーザー光出射部11、穴開きミラー12、レンズ13、レンズ14、走査部15、および、第1対物光学系16が含まれる。
レーザー光出射部11は、投光光学系10の光源(つまり、レーザー光源)である。説明の便宜上、第1実施形態において、レーザー光出射部11は、単色光のみを出射するものとして説明する。
レーザー光出射部11からのレーザー光は、穴開きミラー12の開口を通り、レンズ13およびレンズ14を介した後、走査部15に向かう。走査部15によって反射された光束は、第1対物光学系16を通過した後、被検眼Eの眼底Erで集光する。その結果、眼底Erで散乱・反射された光(以下、眼底反射光という)が瞳孔から出射される。
なお、第1実施形態において、レンズ13は、駆動機構13a(図4参照)によって、光軸方向L1方向へ移動可能に構成されている。レンズ13の位置に応じて、投光光学系10および受光光学系20の視度が変わる。このため、第1実施形態では、被検眼Eの視度の誤差が、レンズ13の位置が調節されることによって矯正(軽減)される。勿論、レンズ14を変位させることによって、被検眼Eの視度の誤差が矯正されてもよい。
走査部15は、レーザー光を眼底上で走査するためにレーザー光出射部11から導かれたレーザー光の進行方向を変える(レーザー光を偏向する)ユニットである。第1実施形態において、走査部15は、レゾナントスキャナ15aと、ガルバノミラー15bと、を有している。
なお、走査部15としては、例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられてもよい。
第1実施形態において、レゾナントスキャナ15aは、被検眼Eの眼底に投光されるレーザー光を所定の方向へ偏向する。図2に示すように、レゾナントスキャナ15aを経た光は、ガルバノミラー15bへ向かう。第1実施形態では、モータ15c(図4参照)によってレゾナントスキャナ15aが回転させられることで、眼底Erにおけるレーザー光の照射位置(スキャン位置)が水平方向(即ち、X方向)に移動する。第1実施形態では、レゾナントスキャナ15aによってX方向の主走査が行われる。
また、第1実施形態において、ガルバノミラー15bは、レゾナントスキャナ15aを経たレーザー光を、更に、レゾナントスキャナ15aとは異なる方向に偏向する。図2に示すように、ガルバノミラー15bを経た光は、第1対物光学系16へ向かう。第1実施形態では、モータ15d(図4参照)によってガルバノミラー15bが回転させられることで、眼底Erにおけるレーザー光の照射位置が、垂直方向(即ち、Y方向)に移動する。第1実施形態では、ガルバノミラー15bによってY方向の副走査が行われる。第1実施形態では、レゾナントスキャナ15aによるX方向の主走査と、ガルバノミラー15bによるY方向の副走査とが、予め定められた走査順序で行われることによって、眼底Er上でレーザー光が二次元的に走査される。
第1対物光学系16は、本体部2に広角レンズアタッチメント3が装着されていない状態において、走査部15を経たレーザー光に被検眼Eの瞳位置を通過させる。第1対物光学系16は、正のパワーを持つ。例えば、第1実施形態の第1対物光学系16は、直列的に配置された2枚の凸レンズ(第1凸レンズ16a、および第2凸レンズ16b)を含む。なお、第1対物光学系16に含まれるレンズの数は、上記構成に限定されるものではない。例えば、第1対物光学系16は、1枚のレンズを有する構成であってもよい。また、3枚以上のレンズを有する構成であってもよい。また、第1対物光学系16の各レンズは、収差補正の必要に応じて、非球面レンズ、および、複数のレンズで構成される複合レンズ等であってもよい。また、第1対物光学系16には、レンズ以外の光学部材(例えば、反射ミラー等)が含まれてもよい。
第1実施形態において、第1対物光学系16は、第1対物光学系16の光軸L3上に、走査部15を経たレーザー光(より詳細には、レーザ光の主光線)が旋回される第1旋回点Pを形成する。第1実施形態において、第1旋回点Pは、第1対物光学系16を介して走査部15(例えば、レゾナントスキャナ15aとガルバノミラー15bとの中間点)と光学的に共役な位置に形成される。走査部15を経たレーザー光は、第1対物光学系16を通過することによって、第1旋回点Pを経て、眼底Erに照射される。このため、第1対物光学系16を通過したレーザー光の主光線は、走査部15の動作に伴って第1旋回点Pを中心に旋回される。その結果として、図2の例では、眼底Er上でレーザー光が二次元的に走査される。レーザー光の第1旋回点Pと被検眼Eの瞳位置とが予め一致されていることによって、虹彩でのケラレが抑制され、レーザー光が眼底に良好に導光される。結果として、眼底画像が良好に撮像される。
次に、受光光学系20について説明する。受光光学系20は、投光光学系10からのレーザー光に伴って瞳孔から出射される眼底反射光を、受光素子25で受光する。第1実施形態の受光光学系20は、投光光学系10の光路上において、穴開きミラー12から第1対物光学系16までに配置された各部材を、投光光学系10と共用している。また、第1実施形態の受光光学系20は、レンズ22、ピンホール板23、レンズ24、および、受光素子25、を含む。
被検眼Eの眼底にレーザー光が照射される場合、レーザー光の眼底反射光は、前述した投光光学系10を逆に辿り、穴開きミラー12で反射され、レンズ22へ導かれる。なお、被検眼Eの瞳位置と穴開きミラー12の開口部とは、光学的に共役な関係である。レンズ22の下流側では、眼底Erからの光は、ピンホール板23のピンホールにおいて焦点を結び、レンズ24を介して受光素子25によって受光される。なお、第1実施形態では、受光素子25として、可視域および赤外域に感度を持つAPD(アバランシェフォトダイオード)が用いられている。
このようにして、第1実施形態の本体部2における光学系が形成される。第1実施形態では、レーザー光による1フレーム分の眼底Erの走査に基づいて、1フレームの眼底画像が得られる。
次に、図3を参照して、本体部2に広角レンズアタッチメント3が装着された状態における光学系を説明する。なお、図3において、17は、本体部2の検査窓である。また、30は、広角レンズアタッチメント3の検査窓であり、33は、広角レンズアタッチメント3の入射窓である。便宜上、検査窓および入射窓をレンズ面と離して図示しているが、レンズ面が、検査窓等を兼ねていてもよい。例えば、レンズ16aが本体部2の検査窓17を兼用してもよい。また、レンズ31aが広角レンズアタッチメント3の検査窓を兼用してもよい。また、第1実施形態において、各検査窓および入射窓には、防塵のためにカバーガラスがはめ込まれてもよい。
第1実施形態において、広角レンズアタッチメント3は、後述の第2対物光学系31がレーザー光の光路中に配置されるように、本体部2の被検者側筐体面に装着される。例えば、第1対物光学系16と第1旋回点Pとの間に位置する検査窓17の近傍に配置される。
図3に示すように、広角レンズアタッチメント3は、主に、第2対物光学系31を有している。また、第1実施形態の広角レンズアタッチメント3は、視度補正レンズ32(視度補正レンズ光学系)を有している。本体部2に広角レンズアタッチメント3が装着された装着状態において、広角レンズアタッチメント3に含まれる上記の光学系が、本体部2の検査窓17と被検眼Eとの間に配置される。
第1実施形態では、広角レンズアタッチメント3の装着状態において、第2対物光学系31および視度補正レンズ32は、レーザー光の光路中に配置される。広角レンズアタッチメント3の装着状態において、本体部2の第1対物光学系16、および検査窓17を経て入射窓33から入射されたレーザー光は、視度補正レンズ32および第1旋回点Pを経て、第2対物光学系31を通過する。詳細は後述するが、第1実施形態において、視度補正レンズ32は、第1対物光学系16によって形成される第1旋回点Pにて配置される。その結果、視度補正レンズ32の中心付近にレーザー光が通過される。よって、レーザー光の傾き及び高さは、視度補正レンズ32のパワーの影響を受け難い。
第2対物光学系31は、広角レンズアタッチメント3の装着状態において、第2旋回点Qを形成する。第2旋回点Qは、第1旋回点Pを通過したレーザー光(より詳細には、レーザ光の主光線)が走査部15の動作に伴って更に旋回される点である。第1実施形態において、第2旋回点Qは、第2対物光学系31を介して走査部15(例えば、レゾナントスキャナ15aとガルバノミラー15bとの中間点)と光学的に共役な位置に形成される。なお、第2旋回点Qは、第2対物光学系31の光軸上に形成される。なお、第1実施形態では、第2対物光学系31の光軸は、光軸L3と同軸であるため、第2対物光学系31の光軸を示すために符号L3を用いる。
第1実施形態において、第2対物光学系31は、被検眼の近くに配置されるものから順に、第1対物レンズ31a、第2対物レンズ31b、および、第3対物レンズ31cを有する。第1実施形態において、第2対物光学系31は、検査窓17を通過するレーザー光における主光線高さh1の最大値(h1max)に対し、有効口径の大きなレンズ光学系が用いられてもよい。例えば、第1対物レンズ31a、および、第2対物レンズ31bには、第1凸レンズ16aに対して、有効径の大きなレンズが使用される。また、第3対物レンズ31cについても、第1凸レンズ16aに対して、有効径の大きなレンズが使用されてもよい。但し、第1実施形態において、h1は、第1対物光学系16の光軸L3に対する主光線高さを示す。
第2対物光学系31(各レンズ31a〜31c)は、図3に示すように、第1旋回点Pよりも被検眼E側に配置される。より具体的には、第1実施形態の第2対物光学系31は、検査窓17から第1旋回点Pまでの間隔よりも大きな間隔を、最も光源側のレンズ面(第1実施形態では、第3対物レンズ31cの光源側のレンズ面)と第1旋回点Pとの間に空けて配置される。結果として、第1実施形態では、第2対物光学系31の最も光源側のレンズ面には、検査窓17を通過するレーザー光に対し主光線高さの高いレーザー光が入射される。
また、第1実施形態において、各対物レンズ31a〜31cは、いずれも正のパワーを持つ。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、第2対物光学系31全体が正のパワーを有していればよい。第2対物光学系31には、検査窓17におけるレーザー光の主光線高さh1よりも高い位置にて第2対物光学系31の光軸L3に向けてレーザー光を折り曲げるために配置されたレンズ(例えば、第1実施形態では、各対物レンズ31a,b,c)が、少なくとも含まれる。このレンズによって、第1旋回点Pを通過した後のレーザー光が折り曲げられる。レーザー光を折り曲げるために配置されたレンズは、例えば、光軸L3から離れる方向に向かう主光線を、光軸L3に近づく方向に向けて折り曲げる。第1実施形態において、第3対物レンズ31cおよび第2対物レンズ31bによって曲げられたレーザー光は、第1対物レンズ31aに入射され、更に、光軸L3に対して急角度に曲げられる。よって、第2旋回点Qを中心に旋回されるレーザー光の旋回角度は、第1旋回点Pを中心に旋回されるレーザー光に対し、大きな角度で旋回される。その結果、眼底撮影装置1は、広角レンズアタッチメント3の装着状態において、非装着状態に対し撮像画角が広角化される。例えば、広角レンズアタッチメント3の非装着状態における撮影画角が30°から60°程度である場合に、装着状態における撮影画角は、全角90°から全角150°程度に広角化できる。
ここで、図3に示すように、最も被検眼E側のレンズ面(第1実施形態では、第1対物レンズ31aの被検眼側レンズ面)を通過するレーザー光の主光線高さをh2(但し、h2は、第2対物光学系31の光軸L3に対する主光線高さ)として表した場合、眼底撮影装置1におけるおよその作動距離WDは、次の式(1)によって示される。
WD=h2max/tan(θ/2)・・・(1)
但し、作動距離WDは、瞳が置かれる旋回点から被検眼に最も近いレンズ面までの距離である。h2maxは、被検眼に最も近いレンズ面におけるレーザー光の主光線高さh2の最大値である。θは、旋回角(旋回範囲の角度)である。式(1)の通り、h2maxが大きい場合ほど、作動距離WDが長くなる。ここで、従来の広角レンズアタッチメント(特許文献1参照)は、レーザー光の主光線高さが装置本体の検査窓を通過するときよりも低くなっている位置に、撮影画角を広角化させるためのレンズが配置されていた。結果、従来の装置では、被検眼に最も近いレンズ面におけるレーザー光(レーザー光)の主光線高さが、例えば、装置本体の検査窓におけるレーザー光の主光線高さに対して必ず低くなった。一方、第1実施形態の眼底撮影装置1は、レーザー光の主光線高さが検査窓17における主光線高さh1よりも高くなっている位置に各レンズ31a〜31cが配置されている。その結果、第1実施形態では、被検眼に最も近いレンズ面におけるレーザー光の主光線高さが、従来の装置に比べて確保されやすい。例えば、図3に示すように、被検眼Eに最も近いレンズ面におけるレーザー光の主光線高さh2が、検査窓17におけるレーザー光の主光線高さh1よりも高くなる設計も可能となる。従って、第1実施形態の眼底撮影装置1は、広角レンズアタッチメント3が本体部2に装着された場合において、被検眼と広角レンズアタッチメント3との間の間隔が確保されやすい。
ところで、眼底画像の撮影画角を広角化させるためには、装置本体の対物レンズを、広角撮影用のレンズと交換する方法も考えられる。しかし、この方法では、眼底画像の撮影画角を変更する場合に、装置本体の対物レンズを一度取り外す必要が生じてしまう。また、対物レンズが取り外されたときに、装置本体の内部が露出してしまう。これに対し、第1実施形態の眼底撮影装置1は、装置本体の対物レンズを取り外すことなく広角レンズアタッチメント3を着脱して、眼底画像の撮影画角を切り替えることができる。よって、第1実施形態の眼底撮影装置1によれば、検者等がより簡単な手順で撮影画角を切り替えることができる。また、第1実施形態の眼底撮影装置1は、広角レンズアタッチメント3が着脱される際にも装置本体の防埃性が保たれる。
なお、第2対物光学系31は、上記構成に限定されるものではない。例えば、第2対物光学系31は、非球面レンズ、および、複数のレンズで構成される複合レンズ等を含む構成であってもよい。また、第2対物光学系31は、1枚のレンズ(例えば、非球面レンズ)を有する構成であってもよい。また、2枚、あるいは4枚以上のレンズを有する構成であってもよい。
視度補正レンズ32は、第2対物光学系31による視度変化を相殺する(即ち、視度変化の一部又は全部を打ち消す)。より具体的には、視度補正レンズ32は、広角レンズアタッチメント3の装着状態と、非装着状態とにおいて被検眼Eに入射する光の視度の差を抑制する。第1実施形態では、正のパワーを持つレンズ(より詳細には、凸面を被検眼E側に向けた平凸レンズ)が、視度補正レンズ32として用いられる。
ここで、例えば、第2対物光学系31による視度変化が、本体部2の光学系における視度の調節幅(例えば、レンズ13の移動による視度の調節幅)に対して大きな場合(例えば、数十ディオプタ程度である場合)が考えられる。これに対し、第1実施形態では、視度補正レンズ32によって、第2対物光学系31に起因する視度変化が相殺される。よって、第2対物光学系31による視度変化が本体部2の光学系における視度の調節幅よりも大きな場合であっても、広角の眼底画像を良好に撮像できる。また、視度補正レンズ32によれば、広角レンズアタッチメント3の装着状態と、非装着状態とにおける被検眼Eに入射する光の視度の差を低減されるので、本体部2に対する広角レンズアタッチメント3の着脱に伴う装置の視度の調節が簡便化される、又は、調節が不要となる。
また、図3に示すように、第1実施形態において、視度補正レンズ32は、第2対物光学系31に対し光源側に配置される。より具体的には、第1実施形態の視度補正レンズ32は、第1旋回点Pにて配置される。その結果、視度補正レンズ32の中心付近にレーザー光が通過される。よって、視度補正レンズ32として小さな径のレンズを使用できる。また、第1実施形態において、視度補正レンズ32は正のパワーを持つ。しかし、レーザー光は、視度補正レンズ32の中心付近を通過する。よって、レーザー光の傾きおよび高さは、視度補正レンズ32のパワーの影響を受け難い。その結果、検査窓17と、第1旋回点Pを経た後のレーザー光の主光線高さがh1よりも高くなる位置との間隔が離れてしまうことが抑制される。即ち、第2対物光学系31と、検査窓17との間隔が抑制される。よって、広角レンズアタッチメント3の長大化を抑制できる。なお、第1実施形態では、視度補正レンズ32が第1旋回点Pに位置するものとして説明するが、必ずしもこれに限られるものではなく、広角レンズアタッチメント3内の他の位置に視度補正レンズ32が配置されていてもよい。但し、アタッチメント内でレーザー光が集光される集光点(例えば、図3にて、中間像fが形成される位置)への配置は、避けるべきである。
また、第1実施形態において、視度補正レンズ32が第1旋回点Pに位置する状態には、視度補正レンズ32の位置と第1旋回点Pの位置とが完全に一致する場合だけでなく、視度補正レンズ32が第1旋回点Pに対してある程度前後にズレて配置される場合が含まれるものとする。許容されるズレ量は、必要とされる精度との関係で適宜設定され得る。
次に、図4を参照して、眼底撮影装置1の制御系について説明する。眼底撮影装置1の主な制御は、制御部100によって行われる。制御部100は、眼底撮影装置1の各部の制御処理と、測定結果の演算処理とを行う電子回路を有する処理装置である。
第1実施形態において、制御部100は、位置あわせ機構5、センサ8、モータ15c、15d、受光素子25、および、モニタ50と接続される。
制御部100は、CPU101と、ROM102と、RAM103とを備える。CPU101は、眼底撮影装置1に関する各種の処理を実行するための処理装置である。ROM102は、各種の制御プログラムおよび固定データが格納された不揮発性の記憶装置である。RAM103は、書き換え可能な揮発性の記憶装置である。RAM103には、例えば、被検眼Eの撮影および測定に用いられる一時データが格納される。
ところで、第1実施形態の広角レンズアタッチメント3によれば、第2対物光学系31によってレーザー光が折り曲げられることによって、レーザー光の向きが、第2対物光学系31を通過する前後で上下左右反転される。つまり、第1旋回点Pにおけるレーザー光の傾きと、第2旋回点Qにおけるレーザー光の傾きとが、光軸L3を挟んで反転される。その結果、例えば、広角レンズアタッチメント3の装着状態と非装着状態とにおいて、撮影方法および画像の生成方法が同じである場合は、広角レンズアタッチメント3の装着状態と非装着状態とのうち一方では、眼底の上下左右と画像の上下左右とが一致する正立画像が得られ、他方では眼底の上下左右と画像の上下左右とが反転する倒立画像が得られる。例えば、第1実施形態の眼底撮影装置1では、広角レンズアタッチメント3の非装着状態においては正立画像が取得され、広角レンズアタッチメント3の装着状態においては倒立画像が取得される。
これに対し、第1実施形態の制御部100は、広角レンズアタッチメント3の非装着状態において撮像される眼底画像とは、走査部15の走査順序と対応する画素配置が上下左右反転された眼底の画像を生成する画像処理を行う。第1実施形態では、この画像処理は、センサ8から制御部100へ出力される広角レンズアタッチメント3の装着状態に応じた検出信号の入力に基づいて行われる。即ち、広角レンズアタッチメント3の装着状態において撮像された倒立画像が処理される。
ここで、広角レンズアタッチメント3の装着状態および非装着状態における眼底画像Iにおける画素と走査部15の走査順序との対応関係を、一例として図5にて示す。なお、図5において、画像上の矢印は、走査部15における主走査の順序を示し、矢印に付された数字は、走査部15における副走査の順序を示す。広角レンズアタッチメント3の非装着状態において得られる眼底画像(図5(a)参照)では、受光素子25における各タイミングの受光信号に基づいて形成された画素が時系列順に(即ち、主走査の順序と対応して)、左から右へ一列ずつ並べられる。また、各列は、時系列順(即ち、副走査の順序と対応して)に、上から下へ並べられる。一方、制御部100による上記の反転処理が行われることによって、広角レンズアタッチメント3の装着状態では、受光素子25における各タイミングの受光信号に基づいて形成された画素が、時系列順に(即ち、主走査の順序と対応して)、右から左へ一列ずつ並べられる。また、各列は、時系列順(即ち、副走査の順序と対応して)に、下から上へ並べられる。処理の結果として、広角レンズアタッチメント3の装着状態と、非装着状態とにおいて、画像の上下左右と眼底の上下左右との対応関係を一致させることができる。
第1実施形態では、広角レンズアタッチメントの装着状態で得られる倒立の眼底画像に対して、画像の上下左右を反転させる画像処理が行われる。また、第1実施形態では、センサ8による検出結果に応じて画像処理が行われる。前述したように、センサ8は、本体部2に対する広角レンズアタッチメント3の装着の有無を検出する。例えば、広角レンズアタッチメント3が装着されることでセンサ8から出力される信号を制御部100が受信する場合に、画像の上下左右を反転させる画像処理が、制御部100によって行われる。第1実施形態では、画像処理の結果、広画角で撮像された眼底画像についても正立画像が得られる。従って、広角レンズアタッチメント3の装着の有無に関わらず、眼底画像の正立画像を得ることができる。
なお、第1実施形態では、反転処理として上記の画像処理が行われる場合について説明するが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一旦形成された眼底画像の上下左右を反転するのではなく、予め上下左右が反転された状態の眼底画像が生成されてもよい。また、反転処理は、ソフトウェアによる反転処理であってもよいし、ハードウェア(例えば、電気回路を用いた反転処理回路)による反転処理であってもよい。
また、制御部100は、逐次生成される眼底画像を、ライブ画像としてモニタ50へ表示させる表示制御を行う。例えば、第1実施形態において、広角レンズアタッチメント3が本体部2へ装着されている場合には、制御部100は、上記の画像処理によって反転処理された眼底画像をライブ画像としてモニタ50上に表示する。一方、広角レンズアタッチメント3が非装着の場合には、制御部100は、反転処理を経ていない眼底画像を、ライブ画像としてモニタ50上へ表示する。なお、反転処理は、ライブ画像だけでなく、装置本体2にて生成された眼底の静止画像を表示する場合に行われてもよい。
次に、図6を参照し、本開示における第2実施形態を説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成には第1実施形態と同じ符号を使用し、説明を省略する。第2実施形態において、眼底撮影装置1は、第1実施形態とはレンズ構成が異なる広角レンズアタッチメント3を装着する。これによって、第2実施形態の眼底撮影装置1は、複数色のレーザー光を用いて眼底画像を撮影する場合において、より良好な構成を備える。例えば、第2実施形態において、眼底撮影装置1は、赤、緑、および青の3種類の単色光が合成された光線を、レーザー光出射部11から出力して、眼底のカラー画像を撮像する構成であってもよい。この場合、眼底撮影装置1の受光光学系20には、それぞれの単色光に感度を持つ受光素子が別個に設けられていてもよく、それぞれの波長の光が、対応する受光素子で受光されるように光路を分岐する構成(例えば、ダイクロイックミラーなど)が適宜設けられていてもよい。
上記のような複数の波長の光に基づいて画像を形成する構成では、装置の光学系に含まれるレンズの倍率色収差が問題となる。これに対し、図6に示す広角レンズアタッチメント3には、倍率色収差補正レンズ133が設けられている。倍率色収差補正レンズ133は、少なくとも第2対物光学系31によって生じるレーザー光の倍率色収差を抑制する。倍率色収差補正レンズ133は、屈折率および光の分散(アッベ数)の異なる2枚以上のレンズが張り合わせられることによって形成される色消しレンズであってもよい。例えば、図6の例においては、フリントガラス製の凹レンズ133aと、クラウンガラス凸レンズ133bとを張り合わせて倍率色収差補正レンズ133が形成される。倍率色収差補正レンズ133を形成するレンズの数は、レーザー光に含まれる色の数に応じて定められてもよい。例えば、図6の倍率色収差補正レンズ133は、レーザー光に含まれる3色中2色の光の集光位置を、他の1色の集光位置に揃えることができる。従って、図6の例においては、装置によって得られる眼底画像に対する倍率色収差の影響が抑制される。
なお、倍率色収差補正レンズ133には、パワーが0(即ち、凹レンズ133aおよび凸レンズ133bのパワーの和が0)となるものが用いられるとよい。この場合、倍率色収差補正レンズ133は、光線の傾きおよび高さ等に影響を与え難い。よって、倍率色収差補正レンズ133の有無が、第2対物光学系31の設計に影響し難い。
また、図6の例においては、倍率色収差補正レンズ133は、広角レンズアタッチメント3の装着状態において、本体部2の検査窓17と第1旋回点Pの間に配置されると共に、広角レンズアタッチメント3におけるレーザー光の入射窓を形成する。これにより、広角レンズアタッチメント3の入射窓としてカバーガラス等を設けなくても広角レンズアタッチメント3を防塵できる。勿論、入射窓から倍率色収差補正レンズ133が離れて配置される構成であってもよい。
次に、図7を参照し、本開示における第3実施形態を説明する。第3実施形態における眼底撮影装置1は、対物レンズアタッチメント3に設けられる第2対物光学系230のレンズ構成が、第1および第2実施形態における第2対物光学系31とは相違している。なお、第3実施形態の説明においては、第2実施形態と同様の構成には第2実施形態と同じ符号を使用し、説明を省略する。
第3実施形態の広角レンズアタッチメント3は、第2対物光学系230を備える。また、第2実施形態と同様、第3実施形態の広角レンズアタッチメント3は、図7に示すように、視度補正レンズ32および倍率色収差補正レンズ133を備えてもよい。
第3実施形態における第2対物光学系230は、被検眼の近くに配置されるものから順に、第1対物レンズ231および第2対物レンズ232を有する(図7参照)。第3実施形態において、第1対物レンズ231と第2対物レンズ232とは、隣り合って配置される。図7の例において、第1対物レンズ231および第2対物レンズ232は、いずれも、正のパワーを持つレンズである。第3実施形態における広角レンズアタッチメント3の装着状態では、各レンズ231,232は、検査窓30におけるレーザー光の主光線高さよりも高い位置にて、第2対物光学系230の光軸L3に向けてレーザー光を折り曲げるために利用される。
第3実施形態において、第1対物レンズ231は、非球面レンズである。第1対物レンズ231は、第2旋回点Q(即ち、第2対物光学系230によって形成される旋回点)における結像の球面収差を補正する。
一般に、走査型レーザー検眼鏡では、レーザー光を前眼部で旋回させて眼底に導くために、本開示のように、レーザー光を折り曲げる対物光学系(例えば、対物光学系16,31,230等)が、走査部と被検眼との間に必要となる。この場合において、前眼部(例えば、瞳孔)の一点(旋回点)にレーザー光を精度よく通過させ、レーザー光を旋回させることで、無散瞳の(つまり、散瞳剤を点眼していない状態の)被検眼に対して広画角での眼底撮影が可能となる。ここで、対物光学系で折り曲げられるレーザー光を良好に眼球内に導くためには、旋回点における結像の球面収差を抑制することが重要になる。即ち、球面収差を抑制することで、レーザー光が瞳孔によってケラレ難くなる。この球面収差は、対物光学系によって光線が急角度で折り曲げられる場合ほど、即ち、撮影可能な画角が大きい場合ほど生じやすい。例えば、全角90°以上の画角を確保する場合において、旋回点における結像の球面収差を球面レンズだけを用いて抑制しようとすると、複数枚の球面レンズが必要となり、結果として、装置構成が複雑化してしまう。また、旋回点における結像の球面収差が大きいと、被検眼の瞳孔でレーザー光がケラレ易くなる。その結果、均一な明るさの眼底画像を得ることのできるアライメント許容範囲(つまり、被検眼と装置との位置調整の許容範囲)が狭くなってしまう。
これに対し、第3実施形態では、第2旋回点Q(即ち、第2対物光学系230によって形成される旋回点)における結像の球面収差が、非球面レンズである第1対物レンズ231によって抑制される。その結果、例えば、より少ない数のレンズで、球面収差を良好に抑制する対物光学系230を形成できる。また、球面収差の抑制に伴って、レーザー光が瞳孔でケラレ難くなるので、アライメント許容範囲が広くなる。結果、均一な明るさの眼底画像が容易に得られるようになる。
図7に示すように、第1対物レンズ231は、少なくとも光源側のレンズ面231aが非球面に形成されていてもよい。この場合において、レンズ面231aは、球面収差を軽減するため、第1対物レンズ231の光軸L3から離れた位置ほど曲率半径が大きくなるような曲面で形成されている。
一方、第1対物レンズ231の被検眼側レンズ面231bは、平面に形成されてもよい。本件発明者による検討の結果、被検眼側レンズ面231bの曲率半径が大きな場合ほど、被検眼側レンズ面231b(但し、レンズ面231bにおける最も被検眼側の位置)と旋回点Qとの間隔wを長く確保しやすくなることが確認された。図7の例では、被検眼側レンズ面231bは平面であり、その曲率半径は無限大である。よって、十分な間隔wが得られる光学系の設計が容易になる。このように被検眼側レンズ面231bを、十分に大きな曲率半径の面で形成した結果として、作動距離(例えば、検査窓30と角膜頂点までの間隔)が確保されやすくなる。これにより、例えば、検者またはその補助者等による被検者の開瞼作業(上瞼を指等で持ち上げる作業)が容易になる。なお、本発明者による図7の光学系の一設計解では、全角100°以上の画角を確保しつつ、13mm程度の間隔wを確保することが可能であった。ここで、レンズ面231bによって検査窓30が兼用されているものとし、作動距離を、間隔wから、人眼の角膜頂点から瞳孔までの典型的間隔である3mm程度減じた値とすると、作動距離として10mm程度を確保できることとなる。
一例として、被検眼側レンズ面231bが平面で形成される場合について示したが、これに限られるものではなく、被検眼側レンズ面231bは、十分に曲率半径が大きな曲面で形成されてもよい。この場合において、被検眼側レンズ面231bは、凹面,および凸面のいずれであってもよい。被検眼側レンズ面231bは、凹面,および凸面のいずれで形成される場合においても、所期する作動距離に対して10倍以上の曲率半径にて形成することが望ましい。この場合、結果として、所期する作動距離が得られる第2対物光学系230の設計が容易になる。例えば、図8(a),(b)の例のように、被検眼側レンズ面231bが、80mm程度の曲率半径で設計された場合、8mm程度の作動距離を確保する設計が容易になる(即ち、wを11mm程度に設定可能)。また、被検眼側レンズ面231bは、球面および非球面のいずれであってもよい。但し、撮影可能な画角を大きく設定する場合ほど、第1対物レンズ231における光源側レンズ面231aの形状は、球面から乖離した形状となりやすい。このため、第1対物レンズ231の製造方法としては、切削加工による非球面創成が採用されやすいと考えられる。従って、レンズの加工コストを抑制するうえでは、上記第3実施形態において示したように、被検眼側レンズ面231bは、切削を要しない平面形状で形成されることが好ましい。
また、第3実施形態において、第2対物レンズ232には、波長が互いに異なる少なくとも2色のレーザー光に関して第2対物光学系230で生じる倍率色収差を補正(抑制)する接合レンズが使用される。より詳細には、第2対物レンズ232は、光源11から出射される赤、緑、および青の3色のレーザー光に関し、第2対物光学系230によって生じる倍率色収差を抑制(軽減)する。また、第2対物レンズ232は、全体として正のパワーを有しており、レーザー光を折り曲げる。図7に示すように、第2対物レンズ232は、光軸L3から離れるようにして第2対物レンズ232に入射するレーザー光を、光軸L3に近づける(例えば、光軸L3に向かうように)に折り曲げる。
ここで、第3実施形態において、第2対物光学系230は、レーザー光を屈折させて折り曲げる屈折光学系であり、第3実施形態において第2対物光学系230は、全角90°以上の画角を確保するためにレーザー光を大きく折り曲げる。一般に、屈折要素(例えば、レンズ、およびプリズム)で大きく光線を大きく折り曲げる場合ほど、大きな倍率色収差が生じ得る。第3実施形態において、上記対応付けを良好に行うためには、レーザー光出射部11から出射される2色以上(第3実施形態では、赤、緑、および青の3色)のレーザー光に関し、第2対物光学系230によって生じる倍率色収差を補正(抑制)することが重要となる。
これに対し、第3実施形態では、第2対物光学系230に接合レンズである第2対物レンズ232を設けたことによって、全角90°以上の画角が得られるようにレーザー光を大きく折り曲げつつも、赤、緑、および青の3色のレーザー光に関して第2対物光学系230によって生じる倍率色収差が抑制される。その結果として、第3実施形態の眼底撮影装置1では、良好な色彩のカラー眼底画像が得られやすい。
なお、広角レンズアタッチメント3の装着状態において生じる倍率色収差の全てが、第2対物レンズ232によって補正される必要はない。第2実施形態と同様に、倍率色収差補正レンズ133を共に用いて、倍率色収差を補正してもよい。この場合において、例えば、パワーが0(即ち、凹レンズ133aおよび凸レンズ133bのパワーの和が0)となる倍率色収差補正レンズ133が用いられるとよい。
第2対物レンズ232は、凹レンズ232aと凸レンズ232bとが張り合わされて形成されている。図7の例では、凹レンズ232aとして、平凹レンズが使用されており、凸レンズ232bとして、両凸レンズが使用されている。そして、凹レンズ232aの凹面と、凸レンズ232bの一方の凸面とを貼り合わせて、第2対物レンズ232は形成されている。但し、第2対物レンズ232を形成する凹レンズ232aと凸レンズ232bの具体的形状は、これに限られるものではない。第3実施形態において、第2対物レンズ232を構成する凹レンズ232aと、凸レンズ232bとは、光の分散(アッベ数)が互いに異なる。このような第2対物レンズ232によって、第2対物光学系230によって光線が大きく折り曲げられるために生じる倍率色収差が抑制される。
図7における第2対物レンズ232では、凸レンズ232bに対して凹レンズ232aが被検眼側に配置されている。但し、第2対物レンズ232において、凹レンズ232aと凸レンズ232bとの配置は、図7の例に対して反転していても良い。即ち、凸レンズ232bに対して、凹レンズ232aが光源側に配置されていてもよい。
ここで、図9を参照して、凸レンズ232bに対して凹レンズ232aが被検眼側に配置される場合(図9(a)参照)と、凸レンズ232bに対して凹レンズ232aが被検眼側に配置される場合(図9(b)参照)と、を比較する。なお、図9(a)に示す光学系は、図7に示した対物レンズアタッチメント3の構造を、より簡略化して示したものである。また、図9(b)に示す光学系は、間隔wおよび画角がそれぞれ図9(a)に示す光学系と同一となるような設計解にて設計されているものとする。故に、図9(a)および図9(b)において同一の符号を付したレンズの設計は、必ずしも一致しないものとする。図9(a),(b)において、Hは、第2対物光学系230における前側主点の位置を示し、H´は、後側主点の位置を示し、Fは、焦点位置を示している。
図9に示すように、第2対物レンズ232の向きが反転することで、主点H,およびH´の位置は変化する。図9の例では、凸レンズ232bに対して凹レンズ232aを被検眼側に配置する場合は(図9(a)参照)、凸レンズ232bに対して凹レンズ232aを光源側に配置する場合と比べて、主点H,および,H´の位置を、全体的に第2旋回点Qから遠ざけることが可能となる。その結果、図9(a)の例と比べて、図9(b)の例のほうが、第1旋回点Pから第2旋回点Qへの近軸結像倍率は小さくなり得る。例えば、本発明者による設計解の一つでは、図9(a)の例における上記結像倍率の値として、約0.414(倍)が得られ、図9(b)の例における上記結像倍率の値として、約0.374(倍)が得られた。
このように、間隔wおよび画角が同じであっても、第2対物光学系230の設計解に応じて上記結像倍率は異なる。結像倍率の違いは、正弦条件(球面収差を満足するときに、更にコマ収差を満足する条件)の満足度合が、図9(a)の例と、図9(b)の例とにおいて異なるためと考えられる。上記結像倍率の値が大きいほど、角膜におけるレーザー光の光密度が低くなるため、レーザー光による被検眼の負担は抑制される。ここで、光密度は、上記結像倍率の二乗に比例する。よって、例えば、図9(a)の例における上記結像倍率が、約0.414(倍)であり、図9(b)の例における上記結像倍率が、約0.374(倍)である場合には、図9(b)の例における光密度は、図9(a)の例のおよそ1.2倍となる。このように、図9(b)の例と比べて、図9(a)の例のほうが、角膜におけるレーザー光の光密度が低くなる。よって、図9(a)の例は、相対的に、被検眼への負担を抑制しつつ撮影できると考えられる。
また、図9に示すように、第2対物レンズ232の向きが反転していることで、第2対物レンズ光学系230における焦点Fの位置、つまり、被検眼Eの眼底共役位置が異なっていることがわかる。より詳細には、図9(b)に対して図9(a)のほうが、焦点Fは、第2対物光学系230を構成する各レンズのレンズ面から離れた位置となる。ところで、眼底撮影装置1では、共焦点絞り(第3実施形態では、ピンホール板23、図1参照)によって、投光光路の各レンズにおけるレンズ面で反射された光が除去される。この場合において、レーザー光を光源側に反射するレンズ面(例えば、第2対物レンズ232の光源側レンズ面)から、眼底共役位置が離れている場合ほど、レンズ面で反射された光が共焦点絞りによって効率的に除去される。よって、図9(a)の例は、相対的に、ノイズの少ない良好な眼底画像を得ることができる。
一方、上記結像倍率の値が小さいほど、第2対物光学系230から被検眼に照射されるレーザー光は、第2旋回点Qにてより狭い範囲に集光される。結果、図9(a)の例と比べて、図9(b)の例のほうが、被検眼に照射されるレーザー光が瞳孔でケラレ難いと考えられる。よって、図9(b)の例は、相対的に、瞳孔径の小さな眼の撮影等に適していると考えられる。
以上の通り、第3実施形態では、非球面レンズである第1対物レンズ231と、接合レンズである第2対物レンズ232と、を組み合わせて配置することによって、第2対物光学系230を簡単に構成して、良好な眼底画像の撮影が実現される。例えば、全角90°以上の広画角の眼底画像を、無散瞳で良好に得ることができる。また、カラー撮影等の多色光の撮影においても倍率色収差の影響が抑制された良好な眼底画像が得られる。また、作動距離を良好に確保できる。
以上、実施形態に基づいて説明したが、上記実施形態は種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、センサ8によって検出される広角レンズアタッチメント3の装着状態に応じて、眼底画像の上下左右を反転させる画像処理が行われる場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、画像の上下左右を反転させる画像処理が行われた画像を用いてライブ画像を表示する第1の制御モードと、該画像処理が行われていない画像を用いて画像を表示する第2の制御モードとが、検者からの指示に基づいて切り替えられるように構成されてもよい。例えば、図示なき操作部に対するモード切替操作に基づいて出力されるモード切替信号を受信した場合に、制御部100は、モード切替信号に応じた制御モードでライブ画像を表示してもよい。
また、上記各実施形態において、第2対物光学系33,230は、第1対物光学系16を備えたままで装置本体2に対して着脱可能な広角レンズアタッチメント3に設けられる場合に説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、眼底撮影装置1は、第1対物光学系16を備えるレンズユニットと交換で、第2対物光学系33,230を含むレンズアタッチメントが装置本体に取り付けられる装置であってもよい。この場合においても、第2対物光学系33,230は、広画角の眼底画像を良好に撮影することができる。
図10に例示するように、この場合において、走査部25と第2対物光学系(図10においては、第2対物光学系230)との間には、リレーレンズ等のリレー光学系が設けられていてもよい。図10において、第2対物光学系230と、走査部25との間に配置される光学系は、リレー光学系300の一例である。図10において、リレー光学系は、複数のレンズ(レンズ301および302)を備え、走査部25によって反射されたレーザー光を、第2対物光学系230へ導く。なお、図10に示したレンズの形状および配置は、説明のための便宜的なものである。
また、第3実施形態では、第2対物光学系230において最も被検眼側のレンズとして非球面レンズ(第1対物レンズ231)が配置され、その非球面レンズの被検眼側レンズ面(レンズ面231b)が、作動距離の10倍以上の曲率半径で形成される場合について説明した。しかし、広角レンズアタッチメントが備える対物光学系(例えば、第2対物光学系)において、最も被検眼側に位置するレンズ面が、作動距離の10倍以上の曲率半径の面にて形成されていればよく、必ずしもそのレンズ面が形成されるレンズは、非球面レンズに限られるものではない。例えば、球面レンズであってもよいし(例えば、第1および第2実施形態の第1対物レンズ31a等)、接合レンズであってもよい。これらの場合においても、作動距離を確保しやすい設計が容易になる場合があると考えられる。
また、第1実施形態および第2実施形態の広角レンズアタッチメント3においても、第3実施形態と同様、第2対物光学系31で生じる倍率色収差を抑制するための接合レンズを有していてもよい。例えば、図3および図6に図示するように、一例として、第1実施形態および第2実施形態においても、広角レンズアタッチメント3に、接合レンズである第3対物レンズ31cが設けられている。この接合レンズの凹レンズと凸レンズとを、光の分散(アッベ数)の異なる材質で適宜形成することによって、第2対物光学系31で生じる倍率色収差を、第3対物レンズ31cによって抑制可能となる。勿論、図3および図6に示した構成に限定されるものではく、接合レンズの態様は、適宜変更可能である。
なお、上記実施形態では、走査レーザー検眼鏡の撮影画角が、広角レンズアタッチメントによって広角化される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、実施形態に開示された技術は、例えば、眼底撮影装置の一種である光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)にも適用できる。光干渉断層計は、光源から出射された光束をレーザー光束と参照光束に分割し、レーザー光束を被検眼の所定部位に導き、参照光束を参照光学系に導いた後、被検眼の所定部位で反射したレーザー光束と参照光束との合成により得られる干渉光を受光素子に受光させる干渉光学系を持つ。また、光干渉断層計は、レーザー光束を眼底上で走査する走査部を持つ。