以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、第1実施形態に係る測距計のブロック図である。測距計10は、送光部100、受光部200、観察部300、および制御部600を有する。また、測距計10は、補正部材410、駆動部500、および規制部材510を有する。さらに、測距計10は、電源700、第1の昇圧部710、および第2の昇圧部720を有する。
送光部100は、測定光を前方に送る。送光部100は、対物レンズ110、正立プリズム120および発光部130を有する。また、送光部100は、ユーザの手振れに起因した像ブレを補正するために送光部100の光軸を偏向する補正部材410を有する。補正部材410は、送光部100の光路に配される。以降の説明においては、測距計10において送光部100が測定光を出射する方向、すなわち図中の光線B3の矢印方向を前方と呼ぶ。
発光部130は、単位時間当たり予め定められた回数のパルス状の測定光を出射する。この場合に、発光部130は、例えば、毎秒320個のパルス光を測定光として出射する。発光部130の一例は、赤外線を発振する半導体レーザである。以下、発光部130は赤外域の測定光を出射する例を用いて説明する。
正立プリズム120は、可視光帯域を反射して、赤外帯域を透過するダイクロイック反射面122と、可視光帯域に加えて赤外帯域についても高い反射率を有する全反射面124、126とを有する。正立プリズム120において、測定光はダイクロイック反射面122を透過し、全反射面124において反射され、光線B2として測距計10内を前方に向かって伝播する。さらに、正立プリズム120は、ダイクロイック反射面122、全反射面124、126および他の反射面を用いて、入射光線により形成される倒立鏡像を正立正像に反転させる。正立プリズム120の例は、ダハプリズム、ポロプリズム等である。
対物レンズ110は、測距計10の前端に配され、前側の端面が測距の対象となる測距対象物に対向する。対物レンズ110の後側端面は、補正部材410を挟んで、正立プリズム120の前側端面に対向する。なお、補正部材410も光学部材であり、対物レンズ110と共に送光部100を形成する。
観察部300は、対物レンズ110、補正部材410、正立プリズム120、レチクルプレート320、および接眼レンズ310を有する。観察部300は、対物レンズ110と補正部材410および正立プリズム120を送光部100と共有する。これにより、測距計10において送光部100と観察部300とは見かけの光軸が一致する。ユーザは、観察部300を通して前方を観察して測距対象物に対して視準を定める。
レチクルプレート320は、送光部100の対物レンズ110と補正部材410との焦点位置(レチクル位置)に配置される。接眼レンズ310の前端は、測距計10の内部においてレチクルプレート320の後端に対向する。
レチクルプレート320は、視準指標および表示部を有する。視準指標の形状の例は、十字線、矩形枠、円形枠等である。視準指標は、可視光に対して透明な板に印刷、食刻等により形成されてもよいし、透過型の液晶を用いて表示されてもよい。表示部は、透過型の液晶等を用いて、測距対象物までの距離の計測結果を、文字、画像等によりユーザに示す。表示部をレチクルプレート320に直接設けることに代えて、反射型の液晶と、当該液晶を用いた表示像をレチクルプレート320に導く光学系とにより構成してもよい。当該表示部は、測距結果の他、電池の残量、アラート、時計等を併せて表示してもよい。
観察部300には、測距計10の前方に位置する測距対象物から反射または散乱された光のうち、対物レンズ110の見込み角の範囲内を伝播する光線A1が入射する。光線A1は、対物レンズ110で光線A2として集光し、正立プリズム120、レチクルプレート320および接眼レンズ310を通じて、測距計10の後方に光線A3として出射される。これにより、ユーザは、接眼レンズ310を通じて、測距対象物の正立正像を観察する。
ユーザが接眼レンズ310を通じて観察する測距対象物の像には、レチクルプレート320に配された視準指標が重畳される。よって、ユーザは、接眼レンズ310を通じて観察する像に視準指標が重畳されるように測距計10を配向させて測距対象物に視準する。この場合に、上記の通り送光部100と観察部300とは見かけの光軸が一致するので、視準指標の示す位置に測定光が照射される。
受光部200は、前方から入射する測定光を受ける。そして測定光の強度信号を電気信号に変換して出力する。受光部200は、受光レンズ210、帯域透過フィルター220および受光素子230を含む。図1に示す様に、本実施形態における測距計10において受光部200の受光レンズ210は、送光部100の対物レンズ110および観察部300とは異なる光軸を有する。
受光レンズ210の後方には、帯域透過フィルター220および受光素子230が順次配される。帯域透過フィルター220は、測定光の波長帯域を含む狭い波長帯域の光を透過し、他の波長帯域の光を遮断または減衰させる。受光素子230の例は、測定光の波長帯域に対して感度を有するフォトダイオード、フォトトランジスタ等である。これにより、受光素子230は、測定光を含む光を受光して電気信号に変換して出力する。測定光に対して背景光の影響を排除するという観点から、受光素子230の受光面積はより小さいことが好ましい。
制御部600は、測距計10における測距動作を総合的に制御する。制御部600は、測定光が送光部100から出射されたタイミングと受光部200が当該測定光を受光したタイミングとから算出される時間差より、測距対象物までの距離を算出する。
また、制御部600は、記憶部610および計時部620を含む。記憶部610は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを有し、受光素子230から出力される受光信号や、後述する電圧の閾値等が記憶される。計時部620は、時間を計時する。本実施形態において、計時部620は、ユーザからの測距指令を受信した時刻から計時を開始する。
上記受光部200において、受光レンズ210には、測距計10の前方に位置する測距対象物から反射または散乱された光線C1が入射する。光線C1は、受光レンズ210で集光されて光線C2として後方に向かって伝播し、帯域透過フィルター220を通過した後、受光素子230に受光される。
受光素子230は、受光した光信号を対応した電気信号に変換して出力する。受光素子230から出力された当該電気信号は、不図示の増幅器で増幅処理されて、制御部600へ出力される。
制御部600は、不図示の二値化回路、サンプリング回路、カウンタ回路、発振器などを含む。不図示の増幅器から増幅処理された電気信号は、二値化回路にて予め定められた閾値にしたがって二値化信号に変換されて、サンプリング回路に出力される。サンプリング回路には、発振器から特定の周波数のサンプリングクロックが入力される。また、サンプリング回路には、カウンタ回路からカウント値が入力される。なお、当該カウント値は、発光部130からパルス光が出射されるタイミングで、制御部600によりリセットされる。サンプリング回路は、入力された二値化信号のデジタルサンプリングを行い、サンプリングクロックに同期した受光信号を生成する。サンプリング回路は、当該受光信号を記憶部610に記憶する。
補正部材410は、防振駆動部400、位置検出部420、およびブレ検出部430と共に補正部として機能する。
ブレ検出部430は、検出方向が互いに交差する複数の角速度センサー等を備える。複数の角速度センサーは、例えば、測距計10のピッチングおよびヨーイングを検出する方向に配される。角速度センサーの各々は、測距計10が変位した場合に、情報として方向と大きさとを含む変位量に対応した信号を制御部600に出力する。
制御部600は、ブレ検出部430の出力を周期的に参照して、測距計10の変位に起因して観察部300で生じる像ブレを打ち消すための補正部材410の変位量である補正量を算出する。測距計10の変位量に対応して、当該補正量も方向と大きさとを含む。また、制御部600は、当該補正量で駆動させる駆動信号を防振駆動部400に出力する。
防振駆動部400は、制御部600から受けた駆動信号に応じて、補正部材410を光軸と交差する方向に変位させる。これにより、観察部300における像ブレが抑制されると共に、測定光が測距対象物から逸れることが防止される。防振駆動部400には、例えば、ボイスコイルモータ、圧電モータ等を使用できる。
位置検出部420は、周期的に補正部材410の位置を検出して、当該位置に対応した信号である位置信号を制御部600に出力する。位置検出部420には、例えば、ホール素子やMR素子等を使用した磁気センサーのほかに、光学式位置検出センサー等を使用できる。
制御部600は、位置検出部420から取得した補正部材410の位置信号に応じて、補正部材410の駆動量を帰還制御する。これにより、衝撃、振動等の外乱が加わった場合であっても、補正部材410の位置を精度よく制御できる。
なお、補正部は、常時補正動作をしてもよいが、ユーザが測距計10を使用している期間に限って補正動作を実行してもよい。ユーザが測距計10を使用していることは、例えば、接眼レンズ310を覗くユーザの目を検出して、補正部をオン/オフしてもよい。また、ユーザがスイッチ等を操作することにより補正部が動作を開始するようにしてもよい。更に、予め定められた時間を超えてユーザの操作が無い場合に補正部の動作を停止させてもよい。なお、以下の説明において、補正部による受光部200の光軸を偏向するための動作を防振動作と称する場合がある。
補正部材410は、対物レンズ110の近傍において、防振駆動部400により駆動されて、光線A2、B2各々の光路を変位させる。測距計10が変位した場合に光学的に当該変位を打ち消すように補正部材410を変位させることにより、ユーザが観察する像のブレを止めることができる。補正部材410は送光部100にも共用されているので、測距計10が変位しても同じ測距対象物に測定光を照射し続けることができる。
規制部材510は、補正部材410と機械的に結合して、補正部材410の動きを規制する。これにより、例えば運搬中などの不使用時において測距計10に比較的大きな振動や衝撃が加えられた場合でも、補正部材410が周囲の機構と干渉して、補正部材410および当該周囲の機構等が破損することを防止することができる。
駆動部500は、規制部材510を機械的に駆動する。駆動部500は、測距計10の起動および停止に際して、規制部材510をロック位置とアンロック位置との間で駆動させる。
電源700は、測距計10を構成する電気部材に電力を供給する。本実施形態における電源700には、アルカリ電池などの一次電池、あるいはニッケル水素電池などの二次電池などのような低電圧電池を用いることができる。電源700は装置本体に対して着脱可能であってよい。また、電源700は装置本体に装着された状態で充電が可能であってもよい。
第1の昇圧部710は、防振駆動部400および駆動部500の駆動時に、電源700からの電圧を昇圧して防振駆動部400および駆動部500に供給する。本実施形態に係る測距計10は、補正部材410を係止する規制部材510を駆動部500によって駆動する。そして補正部材410および規制部材510を駆動するためには、防振駆動部400および駆動部500に比較的大きな電圧を供給する必要がある。このため、本実施形態において、第1の昇圧部710を設けて電源700の電圧を、規制部材510を駆動するのに十分な電圧まで昇圧して防振駆動部400および駆動部500へ供給する。電源700と、第1の昇圧部710とは駆動電源部を構成する。
本実施形態において、制御部600と第1の昇圧部710との間に、電圧を監視する配線900を備え、制御部600は、第1の昇圧部710で昇圧された電圧Vupが予め定められた第1の閾値Vthより小さくなった回数を計測して、記憶部610にカウンタ値Cvとして記憶する。そして、制御部600は、当該計測した回数であるカウンタ値Cvが予め定められた回数閾値Cvthを超えた場合に、駆動部500に対して通常の制御と異なる制御をする。詳細については、後述する。
第2の昇圧部720は、第1の昇圧部710と並列に配され、電源700からの電圧を昇圧して、制御部600との間に備えた配線910を介して、制御部600に電力を供給する。また、第2の昇圧部720は、複数の昇圧回路を有し、それぞれの昇圧回路で定電圧化して、制御部600を介して、発光部130、受光素子230等の防振駆動部400および駆動部500以外の測距計10を構成する電子部品の一部に電力を供給する。
図2は、第1実施形態における規制部材の動作を説明する図である。特に、図2(a)は、規制部材510により補正部材410がロックされた状態を示す。図2(b)は、規制部材510による補正部材410のロックが解除された状態を示す。
図2には、補正部材410、保持部412、規制部材510、防振駆動部400、駆動部500、および制限部材514a、514bが示されている。図2において、補正部材410は、保持部412に保持される。また、保持部412は、外周上に複数の突起部414を有する。規制部材510は、内周上に複数の係止部512を有する。
図2(a)において、規制部材510の一方の端部が制限部材514aに当接部Aで当接している。この状態において保持部412の外周上に設けられた突起部414と、規制部材510の内周上に設けられた係止部512とはそれぞれ互いに対向している。これにより、保持部412の上下左右の可動域が制限される。したがって、測距計10が動作中ではない、すなわち補正部材410が防振駆動部400によって駆動制御されていない状態において、測距計10に急激な振動や衝撃が加えられても、保持部412と周辺の機構との干渉による、補正部材410等の損傷を回避することができる。
一方、図2(b)において、規制部材510の他方の端部が制限部材514bに当接部Bで当接している。この状態において、保持部412の外周上に設けられた突起部414と、規制部材510の内周上に設けられた係止部512とはそれぞれ互いに対向していない。よって保持部412には、上下左右に大きな可動域を確保することができる。したがって、測距計10は、補正部材410を大きな可動域で駆動させて、ユーザの手振れに起因する光軸のブレを補正することができる。
次に、駆動部500による規制部材510のロック状態からロック解除状態への遷移について説明する。駆動部500による駆動は、規制部材510を補正部材410から機械的に切り離す第1の駆動と、当該第1の駆動後に規制部材510を制限部材514bの当接部Bに押し付ける第2の駆動の2つの駆動状態を含む。図2(a)に示したように、第1の駆動では、駆動部500は、規制部材510を破線で示した矢印の向きに駆動させて、保持部412をロック状態からロック解除状態へ遷移させる。そして、図2(b)に示したように、第2の駆動では、駆動部500は、規制部材510を制限部材514bとの当接部Bに白抜きの矢印の向きに押し付けるように駆動する。
規制部材510の上記2つの駆動において、駆動部500には、それぞれ大きな負荷が掛かり、大電流が流れる。このため、第1の昇圧部710から供給される電圧が降下する。本実施形態において、当該昇圧された電圧の変化を監視して、当該電圧が予め定められた閾値よりも下がった回数を計測する。
図3は、第1の昇圧部の出力電圧の変動を説明する図である。特に、規制部材510がロック状態からロック解除状態へ遷移する場合について説明する。
図3(a)は、制御部600から駆動部500に送信される駆動信号の時間変化を表す。図3(a)において、横軸は時間Tを示し、縦軸は信号の電圧レベルを示す。制御部600は、操作ボタン800を介してユーザからの起動指令を受け付ける(T=T1)と、駆動部500へ送信する駆動信号の電圧レベルをローレベル(L)からハイレベル(H)へ上げる。そして、予め定められた時間(T1からT3)、駆動部500にハイレベル(H)の駆動信号を送信し続ける。
駆動部500は、ハイレベル(H)の駆動信号を受信している間、規制部材510を一定の方向へ駆動させる。時刻T1に制御部600から駆動信号を受信すると、駆動部500は、補正部材410を保持する保持部412から規制部材510を切り離す第1の駆動を開始する。規制部材510の駆動により駆動部500には負荷が掛かり、駆動部500には大きな電流が流れる。この場合に、第1の昇圧部710は定電圧を出力するものであるにもかかわらず、電源700の残量が少ないと第1の昇圧部710の出力電圧が低下する。また、時刻T2に、規制部材510の端面が制限部材514と当接する。このとき、駆動部500には衝撃荷重が掛かり、駆動部500にはさらに大きな電流が流れる。そして、T2からT3までの間、駆動部500は、規制部材510を制限部材514bに押し付けるように第2の駆動を行う。規制部材510を固定された制限部材514bへ押し付けるため駆動部500には負荷が掛かり、駆動部500には大きな電流が流れる。この場合にも、第1の昇圧部710は定電圧を出力するものであるにもかかわらず、電源700の残量が少ないと第1の昇圧部710の出力電圧が低下する。
図3(b)は、電源700が、ある残量の状態にある場合における第1の昇圧部710の出力電圧の変化を示す。図3(b)において、横軸は時間T、縦軸は電圧Vを示す。図3(b)の状態において、第1の昇圧部710の出力電圧Vupは、T1からT2の間、すなわち規制部材510が制限部材514に当接するまでの間に予め定められた電圧閾値Vthを下回っている。ここで、予め定められた電圧閾値Vthは、例えば2.8Vである。以下の説明において、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが降下して、閾値Vthを下回ることをレギュレーション割れと称する場合がある。
図3(c)は、電源700が、他の残量の状態にある場合における第1の昇圧部710の出力電圧の時間変動を表す。図3(c)において、横軸は時間T、縦軸は電圧Vを示す。図3(c)の状態において、第1の昇圧部710の出力電圧Vupは、T2からT3の間、すなわち規制部材510が制限部材514に当接した後にレギュレーション割れが発生している。
本実施形態において、制御部600は、第1の駆動中と第2の駆動中とでレギュレーション割れが起こった回数を別個に計測する。そして、制御部600は、第1の駆動におけるレギュレーション割れの回数と、第2の駆動におけるレギュレーション割れの回数のそれぞれに対して、予め定められた回数閾値との比較を行う。詳細は後述するが、当該比較の結果に応じて測距計10の制御を変更する。
また、本実施形態において、第1の駆動中に対する予め定められた回数閾値の方が、第2の駆動中に対する定められた回数閾値よりも小さいように設定する。例えば、第1の駆動中に対する予め定められた回数閾値は1であり、第2の駆動中に対する定められた回数閾値は50である。
なお、第1の駆動中に対する予め定められた回数閾値は1よりも大きくてもよい。また、第2の駆動中に対する定められた回数閾値は50未満でもよいし、50よりも大きくてもよい。
なお、第1の駆動中に対する予め定められた回数閾値の方が、第2の駆動中に対する定められた回数閾値よりも大きいように設定してもよい。第1の駆動中に対する予め定められた回数閾値と第2の駆動中に対する定められた回数閾値を同じ回数に設定してもよい。
次に、図4から7を参照して、第1実施形態における測距計10の制御フローについて説明する。
本フローは、操作ボタン800を介して、ユーザから起動指令があったときに開始する。第2の昇圧部720は、ユーザからの起動指令を受信することによって起動する(S101)。そして、第2の昇圧部720は、制御部600を起動させる(S102)。制御部600は、第2の昇圧部720にセルフラッチ信号を送信する(S103)。これにより、第2の昇圧部720は、電源700からの出力電圧を昇圧する。第2の昇圧部720は制御部600からのセルフラッチ信号を受信している間は、電源700の出力電圧を昇圧して出力する。
制御部600は、電源700の電圧Vsを監視する。制御部600は、電圧Vsが予め定められた電源電圧の閾値Vsthよりも大きいか否かを判断する(S104)。予め定められた電源電圧の閾値Vsthは、記憶部610に記憶されている。本実施形態において、予め定められた電源電圧の閾値Vsthとして、第1の電源電圧閾値Vsth1、第2の電源電圧閾値Vsth2が定められている。それぞれの閾値の大小関係は、Vsth1<Vsth2の関係となる様に設定される。例えば、第1の電源電圧閾値Vsth1は1.0V、第2の電源電圧閾値Vsth2は1.3Vである。
電源700の電圧Vsが予め定められた電源電圧の閾値Vsthよりも小さいと判断した場合には(S104:NO)、制御部600は、図6のステップS118へ移行する。一方、制御部600は、電源700の電圧Vsが予め定められた電源電圧の閾値Vsthよりも大きいと判断した場合には(S104:YES)、予め定められた電源電圧の閾値Vsthが第1の電源電圧閾値Vsth1であるか否かを判断する。予め定められた電源電圧の閾値Vsthが第1の電源電圧閾値Vsth1であると判断した場合には、制御部600は、図5のステップS108へ移行する。なお、予め定められた電源電圧の閾値の初期値は、例えば、Vsth1である。
予め定められた電源電圧の閾値Vsthが第1の電源電圧閾値Vsth1でないと判断した場合には(S105:NO)、制御部600は、カウンタ値Cvをリセットする(S106)。次に、制御部600は、予め定められた電源電圧の閾値Vsthを第1の電源電圧閾値Vsth1に変更する(S107)。そして、制御部600は、図5のステップS108へ移行する。
制御部600は、第1の昇圧部710に対して昇圧起動信号を出力して第1の昇圧部710を起動する(S108)。制御部600は、補正部材410が予め定められた範囲にあるか否かを判断する(S109)。ここで、予め定められた範囲は、補正部材410が規制部材510によってロックされた状態における補正部材410の可動範囲である。すなわち、補正部材410が当該予め定められた範囲にある場合には、補正部材410は規制部材510によってロックされた状態であると判断することができる。一方、補正部材410が当該予め定められた範囲にない場合には、補正部材410は規制部材510によってロックされていない状態であると判断することができる。
補正部材410が予め定められた範囲にあると判断した場合には(S109:YES)、制御部600は、ロック解除動作を開始する(S110)。ロック解除動作の詳細については、後述する。一方、補正部材410が予め定められた範囲にないと判断した場合には(S109:NO)、制御部600は、ステップS111へ移行する。
制御部600は、防振駆動部400のモータ駆動用回路に対して防振駆動信号を出力し、測距動作の一環として防振動作を開始する(S111)。防振動作を開始すると同時に、制御部600は計時部620にて経過時間の計時を開始する(S112)。そして、制御部600は、予め定められた時間内に、ユーザからの測距指令があったか否かを判断する(S113)。
予め定められた時間内に、ユーザからの測距指令があった場合には(S113:YES)、制御部600は、計時をリセットする(S114)。そして、制御部600は、ステップ111へ移行して以降の制御を続ける。一方、予め定められた時間内に、ユーザからの測距指令がなかった場合には(S113:NO)、制御部600は、図6のステップS115へ移行する。
制御部600は、防振駆動部400のモータ駆動用回路に対して補正部材移動のための信号を出力し、補正部材410を予め定められた位置Cへ移動させる(S115)。予め定められた位置Cは、図2で説明した、補正部材410を保持する保持部412の突起部414と、規制部材510の係止部512とが物理的に接触しない位置である。規制部材510を動かすにあたり、突起部414と係止部512との間に摩擦抵抗による負荷を軽減するためである。
次に、制御部600は、駆動部500のモータ駆動用回路に対して駆動信号を出力することにより駆動部500を駆動して、規制部材510をロック位置まで移動させる(S116)。これにより、補正部材410は係止されて可動範囲が制限される。
制御部600は、第1の昇圧部710に対して昇圧停止信号を出力して第1の昇圧部710を停止させる(S117)。そして、制御部600は第2の昇圧部720へのセルフラッチ信号を停止する(S118)。次に制御部600は、全ての制御動作を停止する(S119)。制御部600の制御動作の停止に伴い、第2の昇圧部720が停止して(S120)、測距計10の全ての動作が終了する。
図7は、第1実施形態における測距計のロック解除動作の制御フロー図である。
制御部600は、駆動部500のモータ駆動用回路に対して駆動信号を出力することによりロック解除動作を開始すると同時に、図3で説明したように、予め定められた時間(T1からT3までの間)、駆動部500のモータ駆動用回路に対して駆動信号を送信する(S1101)。そして、制御部600は駆動信号を送信している間、第1の昇圧部710からの供給電圧を監視する(S1102)。
制御部600は、規制部材510が移動を始めて制限部材514bに当接するまでの間、すなわち第1の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったか否かを判断する(S1103)。ここで、予め定められた電圧閾値Vthは、例えば2.8Vである。第1の駆動中に第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったと判断した場合には(S1103:YES)、制御部600は、ステップS1107へ移行して、予め定められた電源電圧の閾値Vsthを第2の電源電圧閾値Vsth2に変更する(S1107)。そして、制御部600は、図6のステップS115へ移行する。
一方、ステップS1103で、第1の駆動中に第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回らなかったと判断した場合には(S1103:NO)、制御部600は、規制部材510が制限部材514bに当接してから駆動信号の送信を終了するまでの間、すなわち第2の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったか否かを判断する(S1104)。
第2の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回らなかったと判断した場合には(S1104:NO)、制御部600は、ステップS1108へ移行する。一方、第2の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったと判断した場合には(S1104:YES)、制御部600は、記憶部610に記憶されているカウンタ値Cvをインクリメントする(S1105)。
制御部600は、カウンタ値Cvが予め定められたカウンタ閾値Cvthを超えたか否かを判断する(S1106)。ここで、予め定められたカウンタ閾値Cvthは、例えば、100である。カウンタ値Cvが予め定められたカウンタ閾値Cvthを超えたと判断した場合には(S1106:YES)、制御部600は、予め定められた電源電圧の閾値Vsthを第2の電源電圧閾値Vsth2に変更する(S1107)。そして、制御部600は、図6のステップS115へ移行する。
一方、ステップS1106で、カウンタ値Cvが予め定められたカウンタ閾値Cvthを超えていないと判断した場合には(S1106:NO)、制御部600は、ステップS1108へ移行する。ステップ1108に移行すると、制御部600は、ロック解除完了まですなわちT3まで駆動部500を駆動して(S1108)、ロック解除動作のフローを終了する。
以上で説明したように、本実施形態において、電源電圧そのものよりも環境等による変動を受けにくい、第1の昇圧部710の出力電圧を監視して測距計10全体の動作を停止するかどうかが判断される。これにより、電源700の残量をより有効に使うことができる。さらに、電源700の電圧Vsが予め定められた電源電圧の第1の閾値Vsth1より小さくなった場合には、計測したレギュレーション割れの累積回数であるカウント値Cvの値にかかわらず測距計10全体の動作を停止する。これにより、ロックがされない状態で動作が停止される状態をより確実に防ぐことができる。また、上記閾値Vsthが第2の閾値Vsth2に設定されている場合であって、電源700の電圧Vsが当該第2の電源電圧閾値Vsth2より大きくなったときには、カウント値Cvの値をリセットして、通常の制御に復帰する。これにより、動作停止後に残量が十分な電源700に取り換えられたり、電源700に十分に充電がされたりした場合に、通常の制御に復帰することができる。
次に、図8から11を参照して、第2実施形態における測距計10の制御フローについて説明する。なお、図4から7の説明と重複する記載は省略する。
本実施形態において、制御部600は、電源700の電圧が、前回の計測時よりも予め定められた電位差より大きかった場合に、レギュレーション割れの累積回数であるカウント値Cvをリセットする。制御部600は、レギュレーション割れが発生するごとに電源700の電圧Vsrを記憶部610に記憶する。そして、レギュレーション割れが発生した後の起動において、制御部600は、電源700の電圧Vsと記憶部610に記憶した電圧Vsrとの電位差dVsと予め定められた電位差閾値dVsthとを比較する。前回の電源700の電圧が、前回の計測時よりも予め定められた電位差より大きかった場合に、前記回数の計測をリセットする。本実施形態のように制御することにより、制御部600は、電池が交換されたことを認識して動作を制御することができる。また、電池やメカ要素における個体差を加味した閾値設定ができる。
本実施形態において、図8に示すステップS204では、制御部600は、電源700の電圧Vsが第1の電源電圧閾値Vsth1よりも大きいか否かを判断する(S204)。電源700の電圧Vsが第1の電源電圧閾値Vsth1よりも小さいと判断した場合には(S204:NO)、制御部600は、図10のステップS217へ移行する。
一方、電源700の電圧Vsが第1の電源電圧閾値Vsth1よりも大きいと判断した場合には(S204:YES)、制御部600は、記憶部610に記憶されている直前にレギュレーション割れが発生したときの電源700の電圧Vsrと電圧Vsとの電位差dVsが予め定められた電位差閾値dVsthよりも大きいか否かを判断する(S205)。なお、予め定められた電位差閾値dVsthには、例えば第1の電源電圧閾値Vsth1よりも小さい値が設定される。この場合、記憶部610に記憶されているVsrの初期値は、例えば0Vである。
電位差dVsが予め定められた電位差閾値dVsthよりも大きいと判断した場合には(S205:YES)、制御部600は、カウント値Cvをリセットして(S206)、図9のステップS207へ移行する。一方、電位差dVsが予め定められた電位差閾値dVsthよりも小さいと判断した場合には(S205:NO)、制御部600は、図9のステップS207へ移行する。
図11は、第2実施形態における測距計のロック解除動作の制御フロー図である。特に、図11は、図7で説明したロック解除動作制御の他の制御形態を示す。
図11のステップS2093において、制御部600は、第1の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったか否かを判断する(S2093)。第1の駆動中に第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったと判断した場合には(S2093:YES)、制御部600は、記憶部610に電源700の電圧Vsrを記憶する(S2094)。そして、制御部600は、図10のステップS214へ移行する。
一方、第1の駆動中に第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回らなかったと判断した場合には(S2093:NO)、制御部600は、第2の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったか否かを判断する(S2095)。
第2の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回らなかったと判断した場合には(S2095:NO)、制御部600は、ステップS2099へ移行する。一方、第2の駆動中に、第1の昇圧部710からの出力電圧Vupが予め定められた電圧閾値Vthを下回ったと判断した場合には(S2095:YES)、制御部600は、記憶部610に電源700の電圧Vsrを記憶する(S2096)。
そして、制御部600は、記憶部610に記憶されているカウンタ値Cvをインクリメントする(S2097)。次に、制御部600は、カウンタ値Cvが予め定められたカウンタ閾値Cvthを超えたか否かを判断する(S2098)。カウンタ値Cvが予め定められたカウンタ閾値Cvthを超えたと判断した場合(S2098:YES)には、制御部600は、図10のステップS214へ移行する。一方、カウンタ値Cvが予め定められたカウンタ閾値Cvthを超えなかったと判断した場合(S2098:NO)には、制御部600は、ステップS2099へ移行して、ロック解除動作を実行する。
図8のフローチャートにおいてステップS205に代えて、第1の電源電圧Vsth1よりもさらに高い閾値である第3の電源電圧閾値Vsth3を設けて、制御部600は、電源700の電圧Vsが第3の電源電圧閾値Vsth3よりも大きいか否かを判断してもよい。この場合、図11のフローチャートのステップS2094、S2096を採用しなくてもよい。同様に、図4のフローチャートのステップS105に代えて、制御部600は、電源700の電圧Vsが第3の電源電圧閾値Vsth3よりも大きいか否かを判断してもよい。
第3の電源電圧閾値Vsth3は、例えば、1.5Vである。なお、第3の電源電圧閾値Vsth3は、第2の電源電圧閾値Vsth2と同値としてもよい。
以上の説明では、実施形態として、送光部に補正部材をもつ測距計について記載したが、受光部に補正部材をもち、当該補正部材によりユーザの手振れに起因する受光部の光軸ずれを補正するとしてもよい。
以上の説明では、実施形態として、CPUを1つだけ搭載した測距計について記載したが、本発明に係る測距計は、2つ以上のCPUを搭載していてもよい。
以上の説明では、制御部600による通常の制御と異なる制御として、測距計全体の動作を停止する制御について記載したが、測距計全体の動作を停止せずに、駆動部500による規制部材510の駆動を停止する制御を行ってもよい。この場合、防振動作は行わないものの、測距は行えるとしてもよい。
以上の説明では、実施形態として昇圧回路を2つ有する測距計について記載したが、本発明に係る測距計は昇圧回路を3つ以上有していてもよい。
以上の説明では、測距計の一例として、送光部100が補正部材410を備える形態を用いて説明したが、送光部100と受光部200とがそれぞれ補正部材および防振駆動部を有して、それぞれの防振駆動部を同期駆動させるように構成してもよいし、それぞれの補正部材に対して共通の防振駆動部を備えるように構成してもよい。
以上の説明では、測距計の一例として、送光部100と受光部200とが異なる光路を有するいわゆる二眼構成の測距計を用いて説明したが、送光部100と受光部200とが共通の光路を有するいわゆる単眼構成であってもよい。
以上の説明では、ロック機構の一例として、規制部材510の内周上に設けられた係止部512と、保持部412の外周上に設けられた突起部414とを対向させることにより、補正部材410を係止するロック機構を用いて説明した。しかし、ロック機構はこれに限定されず、保持部412に設けたロック孔にピンを差し込んで補正部材410を係止するタイプであってもよい。また、保持部412と規制部材510との間に生じる電磁力によって補正部材410を係止するいわゆる電磁ロックタイプであってもよい。この場合には、例えば、保持部412に磁石、規制部材510に電磁コイルを配置して、電磁コイルに電流を流すと、磁石と電磁コイルとの間に磁力が生じることにより補正部材410を係止するように構成する。
以上の説明では、ロック機構のロック解除動作時の監視処理の一例として、駆動部500による規制部材510を補正部材410から機械的に切り離す第1の駆動中に第1の昇圧部710からの出力電圧Vupを監視し、規制部材510を制限部材514bに押し付ける第2の駆動中に第1の昇圧部710からの出力電圧Vupを監視する形態を用いて説明したが、ロック機構のロック解除動作時の監視処理はこれに限定されず、第2の駆動中は第1の昇圧部710からの出力電圧Vupを監視しないように構成してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。