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JP6536141B2 - 複合活物質の製造方法 - Google Patents
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JP6536141B2 - 複合活物質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電池抵抗を低減可能な複合活物質の製造方法に関する。
全固体電池の分野において、活物質および固体電解質材料の界面に着目し、電池の性能向上を図る試みがある。例えば、特許文献1、2には、活物質と固体電解質材料との反応を抑制するために、活物質の表面上にコート層を形成する技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、活物質、上記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物を含むコート層、およびコート層を貫通する炭素粒子を有する複合活物質が開示されている。また、特許文献1には、イオン伝導性酸化物の例として、LiNbO、LiO−Bが開示されている。また、特許文献2には、活物質および上記活物質の表面上に形成され、LiNbOから構成されるコート層を有する複合活物質が開示されている。
特開2014−11028号公報 国際公開第2007/004590号
全固体電池の分野においては、電池抵抗を低減可能な複合活物質が求められている。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電池抵抗を低減可能な複合活物質を製造することができる複合活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、Li、C、BおよびOを含む物質(以下、LiCBOと称して説明する場合がある。)に着目し、LiCBOを複合活物質のコート層として用いることを試みた。本発明者は、活物質の表面上に、LiCBOの原料を含む前駆体層を形成し、上記活物質および前駆体層を有する複合活物質前駆体を熱処理して複合活物質を製造することを試みたところ、所定の温度範囲内で熱処理された複合活物質は、LiNbOから構成されるコート層を有する従来の複合活物質と同程度に、全固体電池の電池抵抗を低減することができることを見出した。本発明は、上記知見に基づくものである。
すなわち、本発明においては、活物質と、上記活物質の表面上に形成され、Li、C、BおよびOを含むコート層と、を有する複合活物質を製造する複合活物質の製造方法であって、上記活物質の表面上に、炭酸リチウムおよびホウ素化合物を含む前駆体溶液を塗工し、前駆体層を形成することにより複合活物質前駆体を形成する塗工工程と、上記複合活物質前駆体を200℃以上、450℃以下の範囲内で熱処理することにより、上記コート層を形成する熱処理工程と、を有することを特徴とする複合活物質の製造方法を提供する。
本発明によれば、複合活物質前駆体を所定の温度範囲で熱処理する熱処理工程を有することにより、電池抵抗を低減可能な複合活物質を製造することができる。
本発明の複合活物質の製造方法は、電池抵抗を低減可能な複合活物質を製造することができるといった効果を奏する。
本発明の複合活物質の製造方法の一例を示す概略断面図である。 前駆体粉体のTG/DTAおよびTPD−MSの測定結果である。 複合活物質前駆体のTG/DTAおよびTPD−MSの測定結果である。 実施例1〜5および比較例1〜5の電池抵抗の結果である。 参考例1〜5の電池抵抗の結果である。
以下、本発明の複合活物質の製造方法の詳細を説明する。
図1は、本発明の複合活物質の製造方法の一例を示す概略断面図である。本発明の複合活物質の製造方法は、活物質と、活物質の表面上に形成され、Li、C、BおよびOを含むコート層と、を有する複合活物質を製造する。図1においては、まず、活物質1の表面上に、炭酸リチウムおよびホウ素化合物を含む前駆体溶液を塗工し、前駆体層2を形成することにより複合活物質前駆体10aを形成する(図1(a))。次に、複合活物質前駆体10aを200℃以上、450℃以下の範囲内で熱処理することにより、コート層3を形成する(図1(b))。
本発明によれば、複合活物質前駆体を所定の温度範囲で熱処理する熱処理工程を有することにより、電池抵抗を低減可能な複合活物質を製造することができる。また、コート層がLiCBOを含むことにより、コート層のLiイオン伝導度を良好にすることができる。
本明細書において、LiCBOは、Li、C、BおよびOを含む物質を指す。なお、LiCBOの詳細については後述する。
熱処理温度が上記温度範囲に満たない低温域である場合、電池抵抗を低減可能な複合活物質を得ることが困難となる理由については、必ずしも明らかではないが以下のように推測される。すなわち、前駆体層の熱処理温度が低すぎると、LiCBOの合成反応が十分に進行しないと推測される。そのため、Liイオン伝導率が小さくなると推測される。その結果、このような複合活物質を用いた全固体電池は、電池抵抗の低減が困難になると推測される。また、前駆体溶液の溶媒として例えば水を含む場合は、得られた複合活物質中に水が残存する可能性がある。そのため、全固体電池とした場合に、複合活物質中の水が固体電解質を劣化させることにより、電池抵抗が大きくなると推測される。
また、熱処理工程における熱処理温度が上記温度範囲を超える高温域である場合、電池抵抗を低減可能な複合活物質を得ることが困難となる理由については、必ずしも明らかではないが以下のように推測される。すなわち、前駆体層の熱処理温度が高すぎると、活物質と前駆体層中の炭酸リチウムとが反応することにより、目的とするLiCBOを形成することが困難になると推測される。そのため、全固体電池とした場合に、活物質と固体電解質との反応を十分に抑制することが困難となることが推測される。
また、本発明者は、今回、LiCBOの原料(前駆体)を単体で熱処理した場合と、活物質の表面上で前駆体層として熱処理した場合とで、LiCBOの合成温度が変化することを知見した。具体的には、前駆体を単体で熱処理した場合に比べて、活物質の表面上で前駆体層として熱処理した場合の方がLiCBOの合成温度が低くなる。
本発明により得られる複合活物質は、LiNbOを含むコート層を有する複合活物質と同程度に電池抵抗の低減が可能である。LiCBOはLiNbOよりも低コストで得られることから、本発明よれば、LiNbOを含むコート層を有する従来の複合活物質の製造方法に比べて、低コストで複合活物質を得ることができる。
以下、本発明の複合活物質の製造方法の各工程等について説明する。
1.LiCBO
本発明において、LiCBOは、Li、C、BおよびOを含む物質を指す。また、LiCBOは、通常、Liイオン伝導性を有する。さらにまた、LiCBOは、Li、C、BおよびOを含んでいれば特に限定されず、Li、C、BおよびOのみを含んでいても良く、他の元素をさらに含んでいても良い。
LiCBOとしては、例えば、LiCO−LiBOの固溶体を挙げることができる。また、LiCBOは、例えば一般式Li2+x1−x(0<x<1)で表わされる物質が挙げられる。なお、上述した一般式は、(1−x)LiCOとxLiBOとを合わせた組成を有する物質を表わしている。
上記一般式Li2+x1−x中、xは例えば0より大きければ良く、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。また、xは例えば1より小さく、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。電池抵抗の低減を好適に抑制可能な複合活物質とすることができるからである。
2.塗工工程
本発明における塗工工程は、活物質の表面上に、炭酸リチウムおよびホウ素化合物を含む前駆体溶液を塗工し、前駆体層を形成することにより複合活物質前駆体を形成する工程である。
(1)前駆体溶液
前駆体溶液は、炭酸リチウムおよびホウ素化合物を含む。炭酸リチウムおよびホウ素化合物は、LiCBOの原料である。
ホウ素化合物としては、例えば、ホウ素酸化物、ホウ素のオキソ酸を挙げることができる。ホウ素化合物としては、より具体的には、ホウ酸(HBO)、酸化ホウ素(B)を挙げることができる。炭酸リチウムおよびホウ素化合物の含有比率については、コート層に含まれるLiCBOの組成に応じて適宜調整される。
溶媒としては、例えば、水を挙げることができる。前駆体溶液中の溶媒の含有量については、特に限定されず、前駆体層の厚さ等に応じて適宜選択することができる。
(2)活物質
本発明における活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−y(x+y=2、M=Al、Mg、Co、Fe、Ni、およびZnから選ばれる少なくとも1種)で表わされる異種元素置換Li−Mnスピネル、チタン酸リチウム(LiおよびTiを含む酸化物)、リン酸金属リチウム(LiMPO、M=Fe、Mn、Co、およびNiから選ばれる少なくとも1種)、遷移金属酸化物(例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等)、硫化チタン(TiS)、炭素材料(例えば、グラファイト、ハードカーボンなど)、リチウムコバルト窒化物(LiCoN)、リチウムシリコン酸化物(LiおよびSiを含む酸化物)、リチウム金属(Li)、リチウム合金(例えば、LiM;M=Sn、Si、Al、Ge、Sb、P等)、リチウム貯蔵性金属間化合物(例えば、MgおよびMを含む貯蔵性金属間化合物;M=Sn、Ge、Sb等、および、NおよびSbを含む貯蔵性金属間化合物;N=In、Cu、Mn等)、および、これらの誘導体等が挙げられる。
中でも、本発明における活物質は、酸化物活物質であることが好ましい。一般的に高容量だからである。また、酸化物活物質は、硫化物固体電解質材料と反応しやすいことから、コート層を設けることで、両者の反応を効果的に抑制できる。
活物質の形状は特に限定されるものではないが、例えば球状を挙げることができる。活物質の平均粒径(D50)は、例えば、1nm以上であり、10nm以上であっても良く、100nm以上であっても良い。一方、活物質の平均粒径(D50)は、例えば、50μm以下であり、20μm以下であっても良い。また、活物質は、正極活物質として用いても良く、負極活物質として用いても良い。全固体電池においては、2種類の活物質の充放電電位を比較して貴な電位を示すものを正極に、卑な電位を示すものを負極に用いることができる。
(3)塗工方法
活物質の表面上に前駆体溶液を塗工する方法は、所望の前駆体層が得られる方法であれば特に限定されるものではない。塗工方法の一例としては、活物質への前駆体溶液の塗工、および、塗工された前駆体溶液の乾燥を同時に行う方法を挙げることができる。このような塗工方法としては、例えば、流動層造粒コーティング法(フィルムコーティングの手法)を挙げることができる。
流動層造粒コーティング法では、活物質への前駆体溶液の塗工、および、塗工された前駆体溶液の乾燥を同時に行う(ミクロな視点では、塗工および乾燥を繰り返す)ことで、均一な前駆体層を形成することができる。具体的には、前駆体溶液の塗工を行うと同時に、流動層容器内の気流によって、塗工された前駆体溶液の乾燥が行われる。気流温度(ガス流温度)は、例えば40℃〜100℃の範囲内である。流動層造粒コーティング装置としては、例えば、パウレックス製マルチプレックス、フロイント産業製フローコーター等を挙げることできる。
塗工方法の他の方法としては、前駆体溶液中に活物質を浸漬し、その後、溶媒を乾燥する方法、またはスプレードライヤー法を挙げることができる。
3.熱処理工程
本発明における熱処理工程は、複合活物質前駆体を200℃以上、450℃以下の範囲内で熱処理することにより、コート層を形成する工程である。
本発明における熱処理温度としては、通常、200℃以上であり、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。熱処理温度が低すぎる場合は、LiCBOの合成反応が十分に進行しない可能性があるからである。また、前駆体溶液の溶媒として例えば水を含む場合は、得られた複合活物質中に水が残存する可能性があるからである。また、本発明における熱処理温度としては、通常、450℃以下であり、400℃以下であることが好ましい。熱処理温度が高すぎる場合は、活物質と前駆体層中の炭酸リチウムとが反応し、目的とするLiCBOを得ることが困難となる可能性があるからである。
熱処理時間は、目的とするコート層を形成できるように適宜設定する。熱処理時間は、例えば、30分間〜48時間の範囲内であり、1時間〜20時間の範囲内であることが好ましい。また、熱処理雰囲気は、例えば、酸素を含有する雰囲気が挙げられる。酸素を含有する雰囲気としては、例えば、大気雰囲気を挙げることができる。また、熱処理方法としては、例えば焼成炉を用いた方法等を挙げることができる。焼成炉としては、例えば、マッフル炉を挙げることができる。
4.複合活物質
本発明により得られる複合活物質は、活物質と、上記活物質上に形成され、Li、C、BおよびOを含むコート層とを有する。すなわち、コート層は、LiCBOを含む。
コート層の平均厚さは、例えば、1nm〜100nmの範囲内であり、1nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。コート層の平均厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察(例えばn≧100)等により測定することができる。また、コート層の被覆率は、より高いことが好ましい。具体的には、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、コート層の被覆率は100%であっても良い。コート層の被覆率は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光法(XPS)等を用いて測定することができる。
複合活物質の平均粒径(D50)は、例えば、1nm以上であり、10nm以上であっても良く、100nm以上であっても良い。一方、複合活物質の平均粒径(D50)は、例えば、50μm以下であり、20μm以下であっても良い。
複合活物質は、例えば全固体リチウム電池に用いられる。全固体リチウム電池は、通常、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層との間に形成された固体電解質層とを有する。また、複合活物質は硫化物固体電解質材料と接する形態で用いられることが好ましい。硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)等を挙げることができる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質材料を意味し、他の記載についても同様である。硫化物固体電解質材料は、非晶質であっても良く、結晶質であっても良い。
また、本発明においては、複合活物質を用いた全固体リチウム電池の製造方法を提供することもできる。すなわち、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層との間に形成された固体電解質層とを有する全固体リチウム電池の製造方法であって、上述した各工程により複合活物質を作製する活物質作製工程を有し、上記複合活物質を上記正極活物質または上記負極活物質として用いることを特徴とする全固体リチウム電池の製造方法を提供することもできる。
中でも、上記複合活物質を上記正極活物質として用いることが好ましい。また、上記複合活物質は、正極活物質層または固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質材料と接していることが好ましい。また、全固体リチウム電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池等として有用だからである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[製造例1]
(前駆体溶液の調製)
イオン交換水に炭酸リチウムを0.18mol/kgの濃度、ホウ酸を0.07mol/kgの濃度となるように加え、常温で攪拌して溶解させ、無色透明のコート液(前駆体溶液)を調製した。また、LiCBOの狙い組成がLi2.50.50.5となるように前駆体溶液を調製した。
(前駆体粉体の作製)
得られた前駆体溶液を、ホットプレートを用いて100℃で乾燥させ、前駆体粉体を得た。
[製造例2]
(複合活物質前駆体の作製)
製造例1で調製した前駆体溶液2000gを、コーティング装置MP−01(パウレック製)を用いて、正極活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3 )1kgに対して噴霧乾燥た。運転条件は、吸気ガス:窒素、吸気温度:120℃、吸気風量:0.4m/h、ローター回転数400rpm、噴霧速度4.5g/minとした。以上により複合活物質前駆体を得た。
[評価]
製造例1の前駆体粉体および製造例2の複合活物質前駆体についてTG/DTA測定を行ない、前駆体粉体および複合活物質前駆体の熱分解特性の分析をした。また、製造例1の前駆体粉体および製造例2の複合活物質前駆体についてTPD−MS測定を行ない、発生ガス分析をした。結果を図2および図3に示す。図2(a)、(b)はそれぞれ前駆体粉体のTG/DTA測定結果、TPD−MS測定結果であり、図3(a)、(b)はそれぞれ複合活物質前駆体のTG/DTA測定結果、TPD−MS測定結果である。
なお、TPD−MS(Temperature Programmed Desorption-Mass Spectrometry)とは、温度コントローラ付き特殊加熱装置にMS装置を直結して、加熱時に試料から発生する気体の質量数ごとの濃度変化を温度および時間の関数として追跡する手法である。
図2および図3に示すように、前駆体粉体では650℃付近、複合活物質前駆体では400℃付近で急激な重量の減少、およびCOの発生が確認された。
これは、以下の反応によりLiCBOの合成反応が進行したためと推測される。
(1+x/2)LiCO+xHBO→Li2+x1−x+(3x/2)CO+(3x/2)H
また、図3に示すように、700℃付近で、重量の減少、およびCO、Oの発生が確認された。これは、下記の反応により、活物質と炭酸リチウムが反応したためと推測される。
LiM3++x/2LiCO→Li[M3+ (1−x)・M2+x・Li]O+(x/4)O+(x/2)CO
(一般式LiM3+中、Mは、遷移金属である。)
以上により、前駆体粉体を熱処理した場合と、活物質の表面上に形成された前駆体層を熱処理した場合とでTG/DTAが変化することが確認された。この結果から、前駆体粉体を熱処理した場合に比べて、複合活物質前駆体を熱処理した場合には、LiCBOの合成温度が低温側にシフトすることが示唆された。また、複合活物質前駆体においては、高温域では上述の副反応が生じることが示唆された。
[実施例1]
製造例2と同様にして、複合活物質前駆体を作製した。上記複合活物質前駆体を大気中、200℃にて5時間熱処理を行なうことにより、平均厚さ8nmのコート層を形成した。以上により複合活物質を得た。
[実施例2〜4、比較例1〜3]
複合活物質前駆体の熱処理温度を、それぞれ100℃(比較例1)、300℃(実施例2)、350℃(実施例3)、400℃(実施例4)、450℃(実施例5)、600℃(比較例2)、700℃(比較例3)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコート層を形成し、複合活物質を得た。
[比較例4]
(前駆体溶液の調製)
以下の手順により、エトキシリチウム、ペンタエトキシニオブ、脱水エタノールを用いて前駆体溶液(アルコキシド溶液)を調製した。まず、エトキシリチウムを脱水エタノールに溶解、均一分散させて分散液を得た。次に、上記分散液中に、リチウムとニオブとが元素比で1:1となるようにペンタエトキシニオブを入れ、均一混合するまで攪拌してアルコキシド溶液を得た。ここで、エトキシリチウムの投入量はアルコキシド溶液の固形分比率が6.9重量%になるように調整した。
(複合活物質の作製)
上記アルコキシド溶液680gを、コーティング装置MP−01(パウレック製)を用いて、正極活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3 )1kgに対して噴霧乾燥した。運転条件は、吸気ガス:窒素、吸気温度:80℃、吸気風量:0.3m/h、ローター回転数300rpm、噴霧速度1.5g/minとした。複合活物質前駆体を、350℃で5時間焼成を行ない、活物質複合粒子(複合活物質)を得た。
[比較例5]
コート層を有しない正極活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3 )を比較例5とした。
[評価]
(評価用電池の作製)
実施例1〜5および比較例1〜4の複合活物質を用いて、以下の手順で正極を得た。
得られた複合活物質および硫化物固体電解質材料(LiPS)を、体積比で正極活物質:硫化物固体電解質材料=6:4となるように秤量し、これを、ヘプタンを入れた容器へと投入した。さらに、3重量%となる量の導電助剤(気相成長炭素繊維、昭和電工株式会社製)および0.7重量%となる量のバインダー(ブチレンラバー、JSR株式会社製)を投入することにより、正極スラリーを作製した。次いで、正極スラリーを超音波ホモジナイザー(UH−50、株式会社エスエムテー製、以下において同じ)で分散させることにより得た正極組成物を、アルミニウム箔上に塗工し、100℃30分で乾燥させた。その後、1cmの大きさに打ち抜くことにより、正極を得た。
また、比較例5として、上述した複合活物質の代わりに、コート層を有しない正極活物質を用いたこと以外は、上述した手順により正極を得た。
次に、負極活物質(層状炭素)と硫化物固体電解質材料(LiPS)とを、体積比で負極活物質:硫化物固体電解質材料=6:4となるように秤量し、これを、ヘプタンを入れた容器へと投入した。さらに、1.2重量%となる量のバインダー(ブチレンラバー、JSR株式会社製)を投入することにより、負極スラリーを作製した。次いで、負極スラリーを超音波ホモジナイザーで分散させることにより得た負極組成物を、銅箔上に塗工し、100℃30分で乾燥させた。その後、1cmの大きさに打ち抜くことにより、負極を得た。
次に、内径断面積1cmの筒状セラミックスに、硫化物固体電解質材料(LiPS)64.8mgを入れ、表面を平滑にしてから1tonでプレスすることにより、固体電解質層を形成した。この固体電解質層を挟むように、正極および負極を配置し、4.3tonで1分間プレスした。その後、正極側および負極側に、それぞれステンレス棒を入れ、1tonで拘束することにより、評価用電池を得た。
(電池抵抗の測定)
評価用電池を電圧4.55Vまで充電後、2.5Vまで放電した後に3.6Vにおいて交流インピーダンス測定を実施した。
ナイキストプロットにより得られた円弧を電池の反応抵抗[Ω・cm](電池抵抗)として比較した。結果を表1および図4に示す。なお、図4(b)は図4(a)の拡大図である。
コート層を有しない正極活物質(比較例5)を用いた場合に比べて、複合活物質(実施例1〜5、比較例1〜4)を用いた場合は、いずれも評価用電池の電池抵抗を小さくすることができることが確認された。
しかしながら、200℃未満の低温域で熱処理された複合活物質(比較例1)、および450℃を超える高温域で熱処理された複合活物質(比較例2、3)を用いた場合は、従来のLiNbOを含むコート層を有する複合活物質(比較例4)を用いた場合に比べて、評価用電池の電池抵抗が大きくなることが確認された。また、比較例1〜3の複合活物質を用いた場合は、実施例1〜5の複合活物質を用いた場合に比べても、大幅に電池抵抗が大きくなることが確認された。
一方、200℃〜450℃の範囲内で熱処理された複合活物質(実施例1〜5)を用いた場合は、従来のLiNbOを含むコート層を有する複合活物質(比較例4)を用いた場合と同程度まで、電池抵抗を低減可能であることが確認された。
Figure 0006536141
[参考例1〜5]
下記の前駆体溶液を用いたこと以外は、製造例2と同様にして複合活物質前駆体を得た。
濃度30質量%の過酸化水素水870.4gを入れた容器へ、イオン交換水987.4g、ニオブ酸(水酸化ニオブ、Nb・3HO(Nb含有率72%))44.2gを添加した。次に、上記容器へ、濃度28質量%のアンモニア水87.9gを添加した。そして、アンモニア水を添加した後に十分に攪拌することにより、透明溶液を得た。さらに、得られた透明溶液に、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)10.1gを加えることにより、ニオブのペルオキソ錯体およびリチウムを含有する前駆体溶液を得た。得られた前駆体溶液におけるLiおよびNbのモル濃度は、それぞれ0.12mol/kgであった。
得られた複合活物質前駆体を大気中、100℃にて5時間熱処理をしてLiNbOを含むコート層を形成し参考例1の複合活物質を得た。また、得られた活物質前駆体に対して、それぞれ150℃(参考例2)、200℃(参考例3)、250℃(参考例4)、300℃(参考例5)、350℃(参考例6)で熱処理したこと以外は参考例1と同様にして複合活物質を得た。
[評価]
得られた複合活物質を正極活物質に用いて上述した評価用電池を作製し、反応抵抗を測定した。結果を図5に示す。図5に示すように、LiNbOを含むコート層を有する複合活物質においては100℃〜300℃の範囲内で熱処理した場合は、評価電池の電池抵抗はいずれも10Ω・cm以下であった。一方、350℃で熱処理をした場合は、評価電池の抵抗値は132Ω・cmとなり、電池抵抗が大幅に増加することが確認された。参考例1〜5の結果から、LiNbOを含むコート層の形成方法における熱処理温度の最適温度範囲は、100℃〜300℃の範囲内であり、150℃〜300℃の範囲内が好ましいことが確認された。上記温度範囲に満たない場合は、前駆体の反応が十分に進行しないこと、およびコート層中に水和水等の不純物が残存することによりイオン伝導率が低下することが推測される。一方、上記温度範囲を超える場合は、コート層の結晶化が進行してイオン導電率が低下することが推測される。
以上から、LiCBOを含むコート層の形成における熱処理を高温域で行なった場合は、LiNbOを含むコート層の形成における熱処理を350℃以上で行なった場合と異なる理由により、電池抵抗の低減が困難になると推測される。
1 … 活物質
2 … 前駆体層
3 … コート層
10 … 複合活物質
10a … 複合活物質前駆体

Claims (1)

  1. 酸化物活物質と、前記酸化物活物質の表面上に形成され、Li、C、BおよびOを含むコート層と、を有する複合活物質を製造する複合活物質の製造方法であって、
    前記酸化物活物質の表面上に、炭酸リチウムおよびホウ素化合物のみからなる前駆体溶液を塗工し、前駆体層を形成することにより、複合活物質前駆体を形成する塗工工程と、
    前記複合活物質前駆体を200℃以上、450℃以下の範囲内で熱処理することにより、前記コート層を形成する熱処理工程と、
    を有し、
    前記酸化物活物質が、LiNi1/3Mn1/3Co1/3であることを特徴とする複合活物質の製造方法。
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