この発明に係る眼科用顕微鏡の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
眼科用顕微鏡は、眼科分野における診療や手術において被検眼の拡大像を観察(撮影)するために使用される。観察対象部位は、患者眼の任意の部位であってよく、たとえば、前眼部においては角膜や隅角や硝子体や水晶体や毛様体などであってよく、後眼部においては網膜や脈絡膜や硝子体であってよい。また、観察対象部位は、瞼や眼窩など眼の周辺部位であってもよい。
以下では、術者により使用される主観察光学系と、術者を補助する助手により使用される副観察光学系とを備える眼科用顕微鏡について説明する。主観察光学系が助手により使用され、副観察光学系が術者により使用されてもよい。
また、以下では、被検眼に照射された照明光の戻り光を撮像素子に導き、接眼系が備えている表示部に撮像素子からの出力に基づく画像を表示させることにより、観察者に被検眼の像を提示する眼科用顕微鏡について説明する。しかしながら、眼科用顕微鏡は、被検眼に照射された照明光の戻り光を接眼レンズ系に導くことにより観察者に被検眼の像を提示する構成を有するものであってもよい。
[構成]
図1〜図4に、実施形態に係る眼科用顕微鏡の構成を示す。図1及び図2は光学系の構成を示す。図1は後眼部を観察するときの光学系を示し、図2は前眼部を観察するときの光学系を示す。図3A及び図3Bは主観察光学系の光路に結合される副観察光学系の光路を模式的に示す。図3Aは術者が位置する方向から見た光路を模式的に示す。図3Bは横方向(図3Aの矢印Kの方向)から見た光路を模式的に示す。図4は処理系の構成を示す。
眼科用顕微鏡1は、主観察光学系2と、副観察光学系3と、照明系10(10L、10R)とを備える。主観察光学系2は、主受光系20(20L、20R)と、主接眼系30(30L、30R)とを含む。主観察光学系2は、照明系10を含んでもよい。副観察光学系3は、副受光系80(80L、80R)と、副接眼系90(90L、90R)とを含む。後眼部(網膜等)を観察するときには、被検眼Eの直前に前置レンズ95が配置される。なお、図1に示すような非接触の前置レンズ95の代わりにコンタクトレンズ等を用いることが可能である。また、隅角を観察するときにはコンタクトミラー(三面鏡等)等を用いることができる。
(照明系10)
照明系10は、被検眼Eに照明光を照射する。図示は省略するが、照明系10は、照明光を発する光源や、照明野を規定する絞りや、レンズ系などを含む。照明系の構成は、従来の眼科装置(たとえばスリットランプ顕微鏡、眼底カメラ、レフラクトメータ等)と同様であってよい。
本実施形態の照明系10L及び10Rは、それぞれ主受光系20L及び20Rと同軸に構成されている。具体的には、術者(観察者)の左眼E0Lに提示される像を取得するための主受光系(左主受光系)20Lには、たとえばハーフミラーからなるビームスプリッタ11Lが斜設されている。ビームスプリッタ11Lは、主受光系20Lの光路に照明系(左照明系)10Lの光路を結合している。照明系10Lから出力された照明光は、ビームスプリッタ11Lにより反射され、主受光系20Lと同軸で被検眼Eを照明する。同様に、術者の右眼E0Rに提示される像を取得するための主受光系(右主受光系)20Rには、主受光系20Rの光路に照明系(右照明系)10Rの光路を結合するビームスプリッタ11Rが斜設されている。
主受光系20L(20R)の光軸に対する照明光の位置を変更可能に構成することができる。この構成は、たとえば、従来の眼科手術用顕微鏡と同様に、ビームスプリッタ11L(11R)に対する照明光の照射位置を変更するための手段を設けることにより実現される。
本例では、対物レンズ21L(21R)と被検眼Eとの間にビームスプリッタ11L(11R)が配置されているが、照明光の光路が主受光系20L(20R)に結合される位置は、主受光系20L(20R)の任意の位置でよい。
(主受光系20)
本実施形態では、左右一対の主受光系20L及び20Rが設けられている。主受光系20Lは、術者の左眼E0Lに提示される像を取得するための構成を有し、主受光系20Rは、右眼E0Rに提示される像を取得するための構成を有する。主受光系20Lと主受光系20Rは、主受光系20Lがたとえばハーフミラーからなるビームスプリッタ26Lを備える点を除いてほぼ同様の構成を備える。主受光系20Lは、対物レンズ21Lと、ビームスプリッタ26Lと、結像レンズ22Lと、撮像素子23Lとを含む。主受光系20Rは、対物レンズ21Rと、結像レンズ22Rと、撮像素子23Rとを含む。ビームスプリッタ26Lは、主受光系20Lの対物レンズ21Lと撮像素子23Lとの間に配置され、ビームスプリッタ11Lを透過し、対物レンズ21Lを介して導かれてきた照明光の戻り光の一部を分離する。ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部は、副観察光学系3に導かれる。
なお、結像レンズ22L(22R)が設けられていない構成を適用することも可能である。本実施形態のように結像レンズ22L(22R)が設けられている場合、対物レンズ21L(21R)と結像レンズ22L(22R)との間をアフォーカルな光路(平行光路)とすることができる。それにより、フィルタ等の光学素子を配置することや、光路結合部材を配置して他の光学系からの光路を結合することが容易になる(すなわち、光学的構成の自由度や拡張性が向上される)。
符号AL1は、主受光系20Lの対物レンズ21Lの光軸(対物光軸)を示し、符号AR1は、主受光系20Rの対物レンズ21Rの光軸(対物光軸)を示す。対物光軸(左対物光軸)AL1と対物光軸(右対物光軸)AR1とがなす角θ1は、図1に示す状態におけるステレオ角を示す。撮像素子23L(23R)は、たとえばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等のエリアセンサである。
以上は、被検眼Eの後眼部(眼底)を観察するときの主受光系20の構成である(図1)。一方、前眼部を観察するときには、図2に示すように、対物レンズ21L(21R)に対して被検眼E側の位置に、フォーカスレンズ24L(24R)とウェッジプリズム25L(25R)とが配置される。本例のフォーカスレンズ24L(24R)は凹レンズであり、対物レンズ21L(21R)の焦点距離を延長するように作用する。ウェッジプリズム25L(25R)は、主受光系20L(20R)の光路(対物光軸AL1(AR1))を所定角度だけ外側に偏向する(符号AL2及びAR2で示す)。このように、フォーカスレンズ24L及びウェッジプリズム25Lが主受光系20Lに配置され、かつ、フォーカスレンズ24R及びウェッジプリズム25Rが主受光系20Rに配置される。それにより、後眼部観察用の焦点位置F1から前眼部観察用の焦点位置F2に切り替えられる。
フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rが配置されることにより偏向された左右の対物光路(対物光軸)AL2及びAR2がなす角θ2は、図2に示す状態におけるステレオ角を示す。つまり、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rが配置されることにより、一対の主受光系20L及び20Rのステレオ角が、後眼部観察用のステレオ角θ1から前眼部観察用のステレオ角θ2に切り替えられる。
フォーカスレンズとして凸レンズを用いることが可能である。その場合、フォーカスレンズは、後眼部観察時に光路に配置され、前眼部観察時に光路から退避される。フォーカスレンズの挿入/退避によって焦点距離を切り替える代わりに、たとえば光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを設けることにより焦点距離を連続的又は段階的に変更できるように構成することが可能である。
図2に示す例では、ウェッジプリズム25L(25R)の基底方向は外側である(つまりベースアウト配置である)が、ベースイン配置のウェッジプリズムを用いることができる。その場合、ウェッジプリズムは、後眼部観察時に光路に配置され、前眼部観察時に光路から退避される。ウェッジプリズムの挿入/退避によって光路の方向を切り替える代わりに、プリズム量(及びプリズム方向)が可変なプリズムを設けることにより光路の向きを連続的又は段階的に変更できるように構成することが可能である。
(主接眼系30)
本実施形態では、左右一対の主接眼系30L及び30Rが設けられている。主接眼系(左主接眼系)30Lは、主受光系20Lにより取得された被検眼Eの像を術者の左眼E0Lに提示するための構成を有し、主接眼系(右主接眼系)30Rは、主受光系20Rにより取得された被検眼Eの像を右眼E0Rに提示するための構成を有する。主接眼系30Lと主接眼系30Rは同じ構成を備える。主接眼系30L(30R)は、表示部31L(31R)と、主接眼レンズ系32L(32R)とを含む。
表示部31L(31R)は、たとえばLCD等のフラットパネルディスプレイである。表示部31L(31R)の表示面のサイズは、たとえば(対角線長)7インチ以下とされる。左右一対の主接眼系30L及び30Rに設けられる表示デバイスの画面サイズは、術者の眼幅(瞳孔間距離等)や、装置のサイズや、装置の設計(光学系や機構の配置等)などに制約を受ける。すなわち、このような制約条件と見掛け視野の広さはトレードオフの関係にある。このような観点から、表示部31L及び31Rの画面サイズの最大値は7インチ程度と考えられる。なお、主接眼レンズ系32L及び32Rの構成や機構の配置を工夫することにより、7インチを超える画面サイズの表示部31L及び31Rを適用することができ、或いは、小サイズの表示部31L及び31Rを適用することができる。
後述のように、主接眼系30Lと主接眼系30Rとの間隔を変更することが可能である。それにより、術者の眼幅に応じて主接眼系30Lと主接眼系30Rとの間隔を調整することができる。また、主接眼系30Lと主接眼系30Rとの相対的向きを変更することが可能である。つまり、主接眼系30Lの光軸と主接眼系30Rの光軸とがなす角度を変更することが可能である。それにより、両眼E0L及びE0Rの輻輳を誘発することができ、術者による立体視を支援することができる。
(副受光系80)
副観察光学系3には、左右一対の副受光系80L及び80Rが設けられている。副受光系(左副受光系)80Lは、術者を補助する助手の左眼E1Lに提示される像を取得するための構成を有する。副受光系(右副受光系)80Rは、助手の右眼E1Rに提示される像を取得するための構成を有する。副受光系80Lと副受光系80Rは同じ構成を備える。副受光系80L(80R)は、結像レンズ82L(82R)と、撮像素子83L(83R)とを含む。
被検眼Eに照射された照明光の戻り光は、対物レンズ21Lを介してビームスプリッタ26Lに導かれる。ビームスプリッタ26Lは、照明光の戻り光の一部を分離し、残りを透過させる。ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部は、副受光系80L及び80Rに入射する。ビームスプリッタ26Lを透過した照明光の戻り光の残りは、撮像素子23Lに導かれる。副受光系80L及び80Rは、ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部をそれぞれ導く一対の平行光路を形成する。すなわち、撮像素子83L及び83Rのそれぞれの撮像面の法線は互いに平行である。副受光系80L及び80Rは、形成された平行光路に沿って、ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部を撮像素子83L及び83Rのそれぞれに導く。それにより、結像レンズ82L(82R)と撮像素子83L(83R)との間をアフォーカルな光路とすることができ、フィルタ等の光学素子を配置することや、光路結合部材を配置して他の光学系からの光路を結合することが容易になる。
(副接眼系90)
副観察光学系3には、左右一対の副接眼系90L及び90Rが設けられている。副接眼系(左副接眼系)90Lは、副受光系80Lにより取得された被検眼Eの像を助手の左眼E1Lに提示するための構成を有する。副接眼系(右副接眼系)90Rは、副受光系80Rにより取得された被検眼Eの像を助手の右眼E1Rに提示するための構成を有する。副接眼系90Lと副接眼系90Rは同じ構成を備える。副接眼系90L(90R)は、表示部91L(91R)と、副接眼レンズ系92L(92R)とを含む。
表示部91L(91R)は、たとえばLCD等のフラットパネルディスプレイである。表示部91L(91R)の表示面のサイズは、表示部31L(31R)と同様に、たとえば(対角線長)7インチ以下であってよい。
ビームスプリッタ26Lは、たとえば、図3Aに示すように、対物レンズ21Lと結像レンズ22Lとの間に配置され、その反射面の向きが術者方向と略反対方向になるように対物光軸AL1に対して斜設されている。また、図3Aの矢印Kの方向から見たときに、図3Bに示すように、結像レンズ82L(82R)の下方に結像レンズ82R(82L)が配置されている。ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部は上方側と下方側とに形成された互いに平行な一対の光路を経由して、撮像素子83L及び83Rのそれぞれに導かれる。表示部91L及び91R(副接眼系90L及び90R)は、水平方向に配列されている。表示部91L及び91Rには、たとえば、主接眼系30に対する副接眼系90の位置に応じて、撮像素子83L及び83Rの一方又は双方により取得された画像が回転されて表示される。
副観察光学系3(副受光系80及び副接眼系90)は、主受光系20Lの対物光軸AL1(AL2)又は主受光系20Lの光路の回りに回転可能であってよい。副観察光学系3を回転させる機構は、公知の回転機構であってよい。この場合でも、主接眼系30に対する副接眼系90の位置に応じて、撮像素子83L及び83Rの一方又は双方により取得された画像が回転されて表示される。それにより、助手は任意の位置で術者と同様に観察部位を双眼で観察することができる。
主接眼系30Lと主接眼系30Rとの間隔と同様に、副接眼系90Lと副接眼系90Rとの間隔を変更することが可能である。それにより、助手の眼幅に応じて副接眼系90Lと副接眼系90Rとの間隔を調整することができる。
以上のように、副観察光学系3はガリレオ式の光学系であり、当該光学系の光路は一対の主受光系20の一方の光路に結合されている。それにより、助手もまた、術者と同様に観察部位を双眼で観察することができる。
(制御部100)
制御部100は、眼科用顕微鏡1の各部の制御を実行する(図4参照)。照明系10の制御の例として次のものがある:光源の点灯、消灯、光量調整;絞りの調整;スリット照明が可能な場合にはスリット幅の調整。撮像素子23、83の制御として、露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。
制御部100は、各種の情報を表示部31に表示させる。たとえば、制御部100は、撮像素子23Lにより取得された画像(又はそれを処理して得られた画像)を表示部31Lに表示させ、かつ、撮像素子23Rにより取得された画像(又はそれを処理して得られた画像)を表示部31Rに表示させる。このとき、制御部100は、撮像素子23L(23R)により取得された画像の向きを変更して表示部31L(31R)に表示させることができる。たとえば、本実施形態のように、倒立像を正立像に変換するインバータが受光系に設けられていない場合、制御部100は、撮像素子23L(23R)により取得された画像を反転して正立像として表示部31L(31R)に表示させることができる。また、表示部31L(31R)に表示された画像を反転して左眼E0L(右眼E0R)に提示するように主接眼レンズ系32L(32R)が構成されている場合、制御部100は、表示部31L(31R)に倒立像を表示するように制御を行う。このような構成により、インバータを設ける必要がなくなるため、光学系に含まれる部材の数を減少させることができ、コストダウンや装置の小型化を図ることができる。
制御部100は、各種の情報を表示部91に表示させる。たとえば、制御部100は、撮像素子83Lにより取得された画像(又はそれを処理して得られた画像)を表示部91L及び91Rの一方に表示させる。更に、制御部100は、撮像素子83Rにより取得された画像(又はそれを処理して得られた画像)を表示部91L及び91Rの他方に表示させる。このとき、制御部100は、主接眼系30に対する副接眼系90の位置に応じて、撮像素子83からの出力に基づく画像を回転させて表示部91に表示させることが可能である。たとえば、副接眼系90が主接眼系30に対して正対する場合、表示部91Lには撮像素子83Rにより撮像された画像を180度回転させて表示され、表示部91Rには撮像素子83Lにより撮像された画像が180度回転されて表示される。それにより、副接眼系90が主接眼系30に対して正対する場合、助手もまた、術者と同様に観察部位を立体的に観察することができる。
また、制御部100は、主接眼系30に対する副接眼系90の位置に応じて、撮像素子83L及び83Rの一方により取得された画像を回転させて表示部91L及び91Rの双方に表示させることが可能である。それにより、主接眼系30に対する副接眼系90の位置が立体的に観察不可能な位置であっても、助手は観察部位を双眼で観察することができる。
更に、制御部100は、各種の機構を制御する。そのような機構としては、ステレオ角変更部20A、合焦部24A、光路偏向部25A、間隔変更部30A、及び向き変更部30Bが設けられている。
ステレオ角変更部20Aは、主受光系20Lと主受光系20Rとを相対的に回転移動する。すなわち、ステレオ角変更部20Aは、互いの対物光軸(たとえばAL1とAR1)がなす角度を変更するように主受光系20Lと主受光系20Rとを相対移動させる。この相対移動は、たとえば、主受光系20Lと主受光系20Rとを反対の回転方向に同じ角度だけ移動させるものである。この移動態様においては、互いの対物光軸(たとえばAL1とAR1)がなす角の二等分線の向きは一定である。一方、当該二等分線の向きが変化するように上記相対移動を行うことも可能である。
ステレオ角変更部20Aを制御することにより図2に示す状態からステレオ角が拡大された状態の例を図5に示す。図5に示すステレオ角θ3は、図2に示すステレオ角θ2より大きい。なお、ステレオ角変更部20Aによりステレオ角が変更されても、主接眼系30L及び30Rの相対位置(間隔、相対的向き)は変化しない。また、ステレオ角の変化に対応して、被検眼Eに対する主受光系20L及び20Rの距離を調整したり、主受光系20L及び20Rの焦点距離を変更したりすることにより、焦点位置が移動しないように制御を行うことができる。
合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rを光路に対して挿入/退避させる。合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rを同時に挿入/退避させるように構成されていてよい。他の例において、合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rを(同時に)光軸方向に移動させることによって焦点位置を変更するように構成されてよい。或いは、合焦部24Aは、左右のフォーカスレンズ24L及び24Rの屈折力を(同時に)変更することによって焦点距離を変更するように構成されてよい。
光路偏向部25Aは、左右のウェッジプリズム25L及び25Rを光路に対して挿入/退避させる。光路偏向部25Aは、左右のウェッジプリズム25L及び25Rを同時に挿入/退避させるように構成されていてよい。他の例において、光路偏向部25Aは、左右のウェッジプリズム25L及び25Rのプリズム量(及びプリズム方向)を(同時に)変更することによって左右の主受光系20L及び20Rの光路の向きを変更するように構成されてよい。
間隔変更部30Aは、左右の主接眼系30L及び30Rの間隔を変更する。間隔変更部30Aは、互いの光軸の相対的向きを変化させずに左右の主接眼系30L及び30Rを相対的に移動するように構成されてよい。間隔変更部30Aは、左右の副接眼系90L及び90Rの間隔を変更することも可能である。
向き変更部30Bは、左右の主接眼系30L及び30Rの相対的向きを変更する。向き変更部30Bは、互いの光軸がなす角度を変更するように主接眼系30Lと主接眼系30Rとを相対移動させる。この相対移動は、たとえば、主接眼系30Lと主接眼系30Rとを反対の回転方向に同じ角度だけ移動させるものである。この移動態様においては、互いの光軸がなす角の二等分線の向きは一定である。一方、当該二等分線の向きが変化するように上記相対移動を行うことも可能である。
制御部100は、輝度調整部101を含む。輝度調整部101は、表示部31L及び31Rに表示される画像の輝度を調整する。たとえば、輝度調整部101は、表示部31Lに表示される左画像と表示部31Rに表示される右画像の明るさ(明度)の差を小さくするように左画像及び右画像の少なくとも一方の輝度を調整する。輝度調整部101は、左画像及び右画像のそれぞれの予め決められた画像領域について輝度分布を求め、求められた両画像の輝度分布(又はその統計値)の差を小さくするように、左画像及び右画像の少なくとも一方の輝度を調整することが可能である。統計値には、平均値、最大値、最小値、分散、標準偏差、中央値などがある。それにより、撮像素子23Rに導かれる照明光の戻り光の光量に対してビームスプリッタ26Lによって撮像素子23Lに導かれる照明光の戻り光の光量が低下した場合でも、術者の両眼には、ほぼ同じ明るさの左画像及び右画像が提示される。
輝度調整部101は、撮像素子23L及び23Rの露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などを行うことにより、左画像及び右画像の輝度を調整してもよい。また、輝度調整部101は、表示部31L及び31Rの制御を行うことにより、左画像及び右画像の輝度を調整してもよい。また、輝度調整部101は、表示部31L及び31Rに表示される画像の輝度調整と同様に、表示部91L及び91Rに表示される画像の輝度を調整することが可能である。
(データ処理部200)
データ処理部200は、各種のデータ処理を実行する。このデータ処理には、たとえば、画像を形成する処理や、画像を加工する処理などが含まれる。また、データ処理部200は、画像や検査結果や測定結果の解析処理や、被検者に関する情報(電子カルテ情報等)に関する処理を実行可能であってよい。データ処理部200には変倍処理部210が設けられている。
変倍処理部210は、撮像素子23により取得された画像を拡大する。この処理は、いわゆるデジタルズーム処理であり、撮像素子23により取得された画像の一部を切り取る処理と、その部分の拡大画像を作成する処理とを含む。画像の切り取り範囲は、観察者(術者、助手)により又は制御部100により設定される。変倍処理部210は、主受光系20Lの撮像素子23Lにより取得された画像(左画像)と、主受光系20Rの撮像素子23Rにより取得された画像(右画像)とに対して、同じ処理を施す。それにより、術者の左眼E0Lと右眼E0Rとに同じ倍率の画像が提示される。
また、変倍処理部210は、撮像素子83により取得された画像を拡大する。この処理は、撮像素子23により取得された画像に対するデジタルズーム処理と同様に、撮像素子83により取得された画像の一部を切り取る処理と、その部分の拡大画像を作成する処理とを含む。変倍処理部210は、副受光系80Lの撮像素子83Lにより取得された画像(左画像)と、副受光系80Rの撮像素子83Rにより取得された画像(右画像)とに対して、同じ処理を施す。それにより、助手の左眼E1Lと右眼E1Rとに同じ倍率の画像が提示される。
なお、このようなデジタルズーム機能に加えて、又はそれの代わりに、いわゆる光学ズーム機能を設けることが可能である。光学ズーム機能は、左右の主受光系20L及び20R、又は左右の副受光系80L及び80Rのそれぞれに変倍レンズ(変倍レンズ系)を設けることにより実現される。具体例として、変倍レンズを(選択的に)光路に対して挿入/退避する構成や、変倍レンズを光軸方向に移動させる構成がある。光学ズーム機能に関する制御は制御部100によって実行される。
また、ビームスプリッタ26Lは対物光軸AL1に対して斜設されている。すなわち、主受光系20Lではビームスプリッタ26Lを透過する照明光の戻り光の光軸が対物光軸AL1に対してずれが生じるのに対し、主受光系20Rでは照明光の戻り光の光軸が対物光軸AR1に対してずれが生じない。このずれを無視できない場合、制御部100は、主受光系20L及び20Rにおける照明光の戻り光の光軸のずれをキャンセルするように、撮像素子23又は表示部31を制御することが可能である。たとえば、制御部100は、撮像素子23L及び23Rのそれぞれの撮像面における照明光の戻り光の光軸の位置ずれをキャンセルするように撮像素子23を制御することが可能である。また、たとえば、制御部100は、主受光系20における照明光の戻り光の光軸の位置ずれに起因する表示部31に表示される画像の位置ずれをキャンセルするように表示部31を制御することが可能である。また、データ処理部200は、主受光系20L及び20Rにおける照明光の戻り光の光軸のずれをキャンセルするように、撮像素子23により取得された画像を制御することが可能である。たとえば、データ処理部200は、撮像素子23L及び23Rのそれぞれにより取得され画像に対して照明光の戻り光の光軸の位置ずれをキャンセルするように制御することが可能である。
(ユーザインターフェイス300)
ユーザインターフェイス(UI)300は、観察者等と眼科用顕微鏡1との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。ユーザインターフェイス300は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、表示部31又は表示部91を含んでよく、それ以外の表示デバイスを含んでもよい。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
(通信部400)
通信部400は、他の装置に情報を送信する処理と、他の装置から送られた情報を受信する処理とを行う。通信部400は、既定のネットワーク(LAN、インターネット等)に準拠した通信デバイスを含んでいてよい。たとえば、通信部400は、医療機関内に設けられたLANを介して、電子カルテデータベースや医用画像データベースから情報を取得する。また、外部モニタが設けられている場合、通信部400は、眼科用顕微鏡1により取得される画像を、実質的にリアルタイムで外部モニタに送信することができる。
撮像素子23L、23Rは実施形態に係る「第1撮像素子」の一例である。表示部31L、31Rは実施形態に係る「第1表示部」の一例である。ビームスプリッタ26Lは実施形態に係る「光分離素子」の一例である。撮像素子83L、83Rは実施形態に係る「第2撮像素子」の一例である。表示部91L、91Rは実施形態に係る「第2表示部」の一例である。
なお、上記の実施形態では、主受光系20L及び主受光系20Rのうち主受光系20Lの光路に副観察光学系3の光路が結合される構成について説明したが、主受光系20Rの光路に副観察光学系3の光路が結合される構成であってもよい。また、2以上の副観察光学系3を備え、主受光系20L及び主受光系20Rのそれぞれの光路に副観察光学系3の光路が結合される構成であってよい。
[効果]
本実施形態の眼科用顕微鏡の効果について説明する。
実施形態に係る眼科用顕微鏡(眼科用顕微鏡1)は、照明系(照明系10L及び10R)と、一対の主受光系(主受光系20L及び20R)と、一対の主接眼系(主接眼系30L及び30R)と、制御部(制御部100)と、光分離素子(ビームスプリッタ26L)と、一対の副受光系(副受光系80L及び80R)とを含む。照明系は、被検眼(被検眼E)に照明光を照射する。一対の主受光系は、対物レンズ(対物レンズ21L及び21R)及び第1撮像素子(撮像素子23L及び23R)を含み、互いの対物光軸が非平行に配置され、被検眼に照射された照明光の戻り光をそれぞれの対物レンズを介してそれぞれの第1撮像素子に導く。一対の主接眼系は、第1表示部(表示部31L及び31R)と、第1表示部の表示面側に配置された1以上のレンズ(主接眼レンズ系32L及び32R)とをそれぞれ含む。制御部は、一対の主受光系の一方の第1撮像素子からの出力に基づく画像を一対の主接眼系の一方の第1表示部に表示させ、かつ、一対の主受光系の他方の第1撮像素子からの出力に基づく画像を一対の主接眼系の他方の第1表示部に表示させる。光分離素子は、一対の主受光系の一方の対物レンズと第1撮像素子との間に配置され、照明光の戻り光の一部を分離する。一対の副受光系は、光分離素子により分離された戻り光の一部を一対の第2撮像素子(撮像素子83L及び83R)のそれぞれ又は一対の接眼レンズのそれぞれに導く。
このような構成によれば、一対の主受光系の一方の対物レンズと第1撮像素子との間に配置された光分離素子により被検眼からの照明光の戻り光の一部を分離し、分離された戻り光の一部を一対の副受光系に導くことができる。それにより、一対の主受光系と一対の副受光系とにより対物レンズが共有される。したがって、コンパクトな構成で、一対の主受光系を使用する観察者(術者)が双眼で観察部位の像の立体的な観察が可能で、かつ、一対の副受光系を使用する観察者(助手)もまた双眼で当該観察部位の像の観察が可能な眼科用顕微鏡を提供することができる。
また、実施形態に係る眼科用顕微鏡では、一対の副受光系は、戻り光の一部をそれぞれ導く一対の平行光路を形成してもよい。
このような構成によれば、被検眼からの照明光の戻り光の一部の光路をアフォーカルな光路とすることができ、フィルタ等の光学素子を配置することや、光路結合部材を配置して他の光学系からの光路を結合することが容易になる。
また、実施形態に係る眼科用顕微鏡は、一対の副接眼系(副接眼系90L及び90R)を含んでもよい。一対の副接眼系は、第2表示部(表示部91L及び91R)と、第2表示部の表示面側に配置された1以上のレンズ(副接眼レンズ系92L及び92R)とをそれぞれ含む。一対の副受光系は、戻り光の一部を一対の第2撮像素子のそれぞれに導く。制御部は、一対の副受光系の一方の第2撮像素子からの出力に基づく画像を一対の副接眼系の一方の第2表示部に表示させ、かつ、一対の副受光系の他方の第2撮像素子からの出力に基づく画像を一対の副接眼系の他方の第2表示部に表示させる。
このような構成によれば、一対の副接眼系が任意の位置に配置された場合でも、一対の副接眼系を使用する観察者は双眼で観察部位の像の観察が可能な眼科用顕微鏡を提供することができる。
また、実施形態に係る眼科用顕微鏡では、制御部は、一対の主受光系に対する一対の副受光系の位置に応じて第2撮像素子からの出力に基づく画像を回転させて第2表示部に表示させてもよい。
このような構成によれば、一対の主接眼系に対する一対の副接眼系の位置にかかわらず、一対の副接眼系を使用する観察者は双眼で観察部位の像の観察が可能になる。特に、一対の副接眼系が一対の主接眼系に正対する位置である場合、一対の副接眼系を使用する観察者は双眼で観察部位の像を立体的に観察可能な眼科用顕微鏡を提供することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科用顕微鏡では、制御部(輝度調整部101)は、一対の主受光系からの出力に基づく一対の画像の輝度調整を行ってもよい。
このような構成によれば、一対の主受光系の一方にだけ光分離素子が配置されている場合であっても、少なくとも一対の主接眼系を使用する観察者の両眼には、ほぼ同じ明るさの画像を提示することができる。
[変形例]
上記の実施形態は、本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明を実施しようとする者は、本発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加、置換等を施すことが可能である。以下、上記の実施形態における図面を適宜に参照する。
(変形例1)
上記の実施形態において、ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部は、水平方向に互いに平行な一対の光路を経由して、撮像素子83L及び83Rのそれぞれに導かれてもよい。
図6A〜図6Cに、実施形態の変形例1において主観察光学系の光路に結合される副観察光学系の光路を模式的に示す。図6Aは術者が位置する方向から見た光路を模式的に示す。図6Bは図3Aの矢印K´の方向から見た光路を模式的に示す。図6Cは横方向(図6Aの矢印Kの方向)から見た光路を模式的に示す。
ビームスプリッタ26Lは、たとえば、図6Aに示すように、対物レンズ21Lと結像レンズ22Lとの間に配置され、その反射面の向きが横方向(矢印Kの反対方向)になるように対物光軸AL1に対して斜設されている。また、矢印K´の方向から見たときに、図6B及び図6Cに示すように結像レンズ82L(82R)と結像レンズ82R(82L)とが水平方向に配列されている。ビームスプリッタ26Lにより分離された照明光の戻り光の一部は水平方向に互いに平行な一対の光路を経由して、撮像素子83L及び83Rのそれぞれに導かれる。表示部91L及び91R(副接眼系90L及び90R)は、水平方向に配列されている。表示部91L及び91Rには、たとえば、主接眼系30に対する副接眼系90の位置に応じて、撮像素子83L及び83Rの一方又は双方により取得された画像が回転されて表示される。
本変形例によれば、照明光の戻り光の一部を助手の両眼に導くために新たな光学素子を追加する必要がなくなり、よりコンパクトな構成で、助手が双眼で観察部位の像を観察可能な眼科用顕微鏡を提供することが可能になる。
(変形例2)
上記の実施形態において、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rは、眼底観察時には光路から退避され、前眼部観察時には光路に挿入される。このような動作を自動化することが可能である。実施形態では、被検眼の観察部位を変更するための補助光学部材が使用される。たとえば、眼底観察時には光路に前置レンズ95が配置され、前眼部観察時には光路から退避される。
本変形例の眼科用顕微鏡は、補助光学部材の状態(つまり観察部位の選択)に応じてフォーカスレンズ24L及び24Rの状態を変更する。つまり、制御部100は、補助光学部材による観察部位の変更に応じて、フォーカスレンズ24L及び24Rを連係動作するためのレンズ移動機構を制御する。同様に、制御部100は、補助光学部材による観察部位の変更に応じて、ウェッジプリズム25L及び25Rを連係動作させるためのプリズム移動機構を制御する。
具体例を説明する。制御部100は、前置レンズ95が光路から退避されたことを受けて、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rを光路に挿入するように合焦部24A及び光路偏向部25Aを制御する。逆に、制御部100は、前置レンズ95が光路に挿入されたことを受けて、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rから退避させるように合焦部24A及び光路偏向部25Aを制御する。
本変形例の眼科用顕微鏡は、補助光学部材の状態(たとえば、前置レンズ95が光路に挿入されているか否か)を示す情報を生成する構成を備えてよい。たとえば、前置レンズ95を保持するアームの配置状態をマイクロスイッチ等のセンサを用いて検出することができる。或いは、前置レンズ95の挿入/退避を制御部100からの信号に基づき行う構成の場合、制御の履歴を参照することによって前置レンズ95の現在の状態を認識することができる。
他の例として、撮像素子23L及び/又は23Rにより取得される画像と、フォーカスレンズ24L及び24R並びにウェッジプリズム25L及び25Rの現在の状態とに基づいて、前置レンズ95が光路に配置されているか否か判定することができる。たとえば、フォーカスレンズ24L等が光路に配置されている状態において取得された画像をデータ処理部200にて解析することにより当該画像のボケ状態を示す量を求める。このボケ量が閾値以上である場合、前置レンズ95が光路に配置されていると判定する。逆に、ボケ量が閾値未満である場合、前置レンズ95は光路から退避されていると判定する。フォーカスレンズ24L等が光路から退避されている状態において取得された画像を解析する場合についても、同様にして前置レンズ95の状態を判定することが可能である。
本変形例によれば、焦点位置を変更するためのレンズ(フォーカスレンズ24L及び24R)の状態や、光路を偏向するための偏向部材(ウェッジプリズム25L及び25R)の状態を、観察部位の切り替えに応じて自動で変更することができる。したがって、操作性の更なる向上を図ることができる。
(変形例3)
上記の実施形態の照明系(10L及び10R)は、一対の主受光系(20L及び20R)と同軸に配置されている。本変形例では、一対の主受光系に対して非同軸に照明系が配置された構成、つまり、一対の主受光系の対物光軸と異なる方向から照明光を照射可能な構成について説明する。本変形例の光学系の構成例を図7に示す。眼科用顕微鏡1Aの照明系10Sは、たとえばスリット光を被検眼に照射可能である。このような眼科用顕微鏡の典型的な例としてスリットランプ顕微鏡がある。本変形例では、スリットランプ顕微鏡のように、照明系10Sと、主受光系20L及び20Rとの相対位置を変更可能である。つまり、照明系10Sと、主受光系20L及び20Rとが、同一の軸周りに回動可能に構成される。それにより、スリット光で照明されている角膜等の断面を斜め方向から観察することが可能である。
眼科用顕微鏡は、上記実施形態のような同軸照明系と、本変形例のような非同軸照明系との一方又は双方を備えていてよい。双方の照明系を備える場合、たとえば観察部位の切り替えに応じて、使用される照明系の切り替えを行うことができる。
(変形例4)
眼科用顕微鏡は、被検眼を拡大観察するための顕微鏡としての機能に加え、他の眼科装置としての機能を有していてよい。他の眼科装置としての機能の例として、OCT(Optical Coherence Tomography)、レーザ治療、眼軸長測定、屈折力測定、高次収差測定などがある。他の眼科装置は、被検眼の検査や測定や画像化を光学的手法で行うことが可能な任意の構成を備える。
本変形例に係る眼科用顕微鏡の構成例を図8〜図12に示す。本変形例の眼科用顕微鏡1Bは、上記実施形態と同様の構成に加え、OCT機能を備える。具体的には、眼科用顕微鏡1Bは、上記実施形態と同様の照明系10、主受光系20、主接眼系30、副受光系80及び副接眼系90に加え、照射系40を備える。
照射系40は、前述した「他の眼科装置」としての機能を実現するための光を、主受光系20の対物光軸(AL1及びAR1)と異なる方向から被検眼Eに照射する。本例の照射系40は、OCTのための光(測定光)を被検眼Eに照射する。
照射系40は、OCT系60と、コリメートレンズ52と、光スキャナ41と、フォーカスレンズ42と、偏向ミラー43と、OCT対物レンズ44とを含む。
(OCT系60)
OCT系60は、OCTを実行するための干渉光学系を含む。OCT系60の構成の例を図9に示す。図9に示す光学系は、スウェプトソースOCTの例であり、波長走査型(波長掃引型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号であり、制御部100aに送られる。
光源ユニット61は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を走査(掃引)可能な波長走査型(波長掃引型)光源を含む。光源ユニット61は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
光源ユニット61から出力された光L0は、光ファイバ62により偏波コントローラ63に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ64によりファイバカプラ65に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバ66Aによりコリメータ67に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材68及び分散補償部材69を経由し、コーナーキューブ70に導かれる。光路長補正部材68は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材69は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
コーナーキューブ70は、参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ70は、参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能とされ、それにより参照光LRの光路の長さが変更される。なお、測定光LSの光路の長さを変更するための手段と、参照光LRの光路の長さを変更するための手段のうちのいずれか一方が設けられていればよい。
コーナーキューブ70を経由した参照光LRは、分散補償部材69及び光路長補正部材68を経由し、コリメータ71によって平行光束から集束光束に変換されて光ファイバ72に入射し、偏波コントローラ73に導かれて参照光LRの偏光状態が調整される。更に、参照光LRは、光ファイバ74によりアッテネータ75に導かれて、制御部100aの制御の下で光量が調整される。光量が調整された参照光LRは、光ファイバ76によりファイバカプラ77に導かれる。
一方、ファイバカプラ65により生成された測定光LSは、光ファイバ51により導かれてファイバ端面から出射され、コリメートレンズ52により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、光スキャナ41、フォーカスレンズ42、偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44を経由して被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において反射・散乱される。被検眼Eからの測定光LSの戻り光は、反射光や後方散乱光を含み、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ65に導かれ、光ファイバ66Bを経由してファイバカプラ77に到達する。
ファイバカプラ77は、光ファイバ66Bを介して入射された測定光LSと、光ファイバ76を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ77は、所定の分岐比(たとえば1:1)でこの干渉光を分割することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ77から出射した一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ78A及び78Bにより検出器79に導かれる。
検出器79は、たとえば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを含み、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器79は、その検出結果(検出信号)を制御部100aに送る。
本例ではスウェプトソースOCTが適用されているが、他のタイプのOCT、たとえばスペクトラルドメインOCTを適用することが可能である。
図8に示すように、OCT系60からの光(測定光)は、光ファイバ51により導かれ、そのファイバ端面から出射する。このファイバ端面に臨む位置には、コリメートレンズ52が配置されている。コリメートレンズ52は、ファイバ端面から出射した測定光を平行光束にする。コリメートレンズ52により平行光束とされた測定光は、光スキャナ41に導かれる。なお、コリメートレンズ52は、フォーカスレンズ(或いはフォーカスレンズを構成するレンズ群の1つ)として測定光の光路に沿って移動可能であってもよい。
光スキャナ41は、2次元光スキャナであり、水平方向(x方向)へ光を偏向するxスキャナ41Hと、垂直方向(y方向)へ光を偏向するyスキャナ41Vとを含む。xスキャナ41H及びyスキャナ41Vは、それぞれ任意の形態の光スキャナであってよく、たとえばガルバノミラーが使用される。光スキャナ41は、たとえば、コリメートレンズ52の射出瞳位置又はその近傍位置に配置される。更に、光スキャナ41は、たとえば、フォーカスレンズ42の入射瞳位置又はその近傍位置に配置される。
本例のように2つの1次元光スキャナを組み合わせて2次元光スキャナを構成する場合、2つの1次元光スキャナは所定距離(たとえば10mm程度)だけ離れて配置される。それにより、たとえば、いずれかの1次元光スキャナを上記射出瞳位置及び/又は上記入射瞳位置に配置することができる。
フォーカスレンズ42は、光スキャナ41を通過した平行光束(測定光)を一旦結像させる。フォーカスレンズ42を通過した光は、偏向ミラー43によりOCT対物レンズ44に向けて反射される。OCT対物レンズ44を通過した光は、被検眼Eに照射される。
OCT系60からの光が主受光系20の対物光軸(AL1及びAR1、並びにAL2及びAR2)と異なる方向から被検眼Eに照射されるように、偏向ミラー43の位置は予め決定されている。本例では、互いの対物光軸が非平行に配置された主受光系20Lと主受光系20Rとの間の位置に偏向ミラー43が配置されている。
図10は、偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44の斜視図を模式的に表す。図10では、対物光軸AL1(AL2)に垂直な方向の主受光系20Lの光路の断面と対物光軸AR1(AR2)に垂直な方向の主受光系20Rの光路の断面とが模式的に表されている。
OCT系60からの光を被検眼Eに対してできるだけ垂直方向に近い入射方向から入射させるため、主受光系20の対物光軸(AL1及びAR1、並びにAL2及びAR2)の近傍に偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44が配置されている。偏向ミラー43の主受光系20の対物光軸側の端部43aとOCT対物レンズ44の主受光系20の対物光軸側の端部44aとは、主受光系20Lの光路及び主受光系20Rの光路に略接している。
光スキャナ41と偏向ミラー43の偏向面とは、光学的に略共役に配置されている。特に、主受光系20の対物光軸と略平行な方向にOCT系60からの光を偏向するyスキャナ41Vの偏向面と偏向ミラー43の偏向面とが光学的に略共役に配置されている。本例では、主受光系20の一対の対物光軸を含む平面に直交面内においてOCT系60からの光を偏向するyスキャナ41Vの偏向面と偏向ミラー43の偏向面とが光学的に略共役に配置されている。それにより、主受光系20の対物光軸の方向に対して斜設された偏向ミラー43の偏向面のサイズH(図10参照)を小さくすることができる。偏向ミラー43のサイズHを小さくすることで、主受光系20の対物光軸に対し偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44をより一層近付けて配置することが可能になる。
本実施形態では、OCT対物レンズ44の主受光系20の対物光軸側の端部44aは、直線状に切り欠かれている。それにより、OCT対物レンズ44の周縁部によって主受光系20Lの観察光路及び主受光系20Rの観察光路が遮られることがなくなる。OCT対物レンズ44の端部を切り欠くことにより、主受光系20の対物光軸に偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44をより一層近付けて配置することが可能になる。なお、端部44aは、直線状ではなく、たとえば曲線状に切り欠かれていてもよい。
偏向ミラー43は、偏向面(反射面)の主受光系20の対物光軸側の端部43aが直線状に形成された反射ミラーである。偏向ミラー43の端部43aとOCT対物レンズ44の端部44aとが、主受光系20Lの光路及び主受光系20Rの光路に略接するように配置されている。それにより、主受光系20の対物光軸にできるだけ近い位置に偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44を配置することが可能になる。
図11は、主受光系20の対物光軸方向から主受光系20及び照射系40のそれぞれの光路を見たときの光路配置図を模式的に表す。主受光系20Lの対物光軸AL1(AL2)は、対物レンズ21Lのレンズ中心の近傍に設けられる。主受光系20Rの対物光軸AR1(AR2)は、対物レンズ21Rのレンズ中心の近傍に設けられる。照射系40の対物光軸OLは、OCT対物レンズ44のレンズ中心の近傍に設けられる。対物レンズ21Lのレンズ中心とOCT対物レンズ44のレンズ中心との距離D1と対物レンズ21Rのレンズ中心とOCT対物レンズ44のレンズ中心との距離D2とは、略等しい。それにより、主受光系20の対物光軸にできるだけ近い光軸方向から照射系40からの光を入射させることが可能になる。
なお、対物レンズ21Lのレンズ中心と対物レンズ21Rのレンズ中心との距離D3(底辺の長さ)は、距離D1、D2(斜辺の長さ)より長くてよい。それにより、主受光系20の対物光軸により一層近い光軸方向から照射系40からの光を入射させることが可能になる。
以上のように、主受光系20の対物光軸に対して偏向ミラー43及びOCT対物レンズ44を近付けて配置することが可能になる。それにより、OCT系60からの光を被検眼Eに対してできるだけ垂直方向に近い入射方向から入射させることができるようになる。
眼科用顕微鏡1Bの処理系の構成例を図12に示す。以下、上記実施形態(図4参照)との相違点について説明する。制御部100aは、光スキャナ41、OCT系60の制御を行う。また、データ処理部200aには、OCT画像形成部220が設けられている。
光スキャナ41の制御としては次のものがある:予め設定されたOCTスキャンパターンに応じた複数の位置に測定光LSが照射されるように、測定光LSを順次に偏向する。
OCT系60に含まれる制御対象としては、光源ユニット61、偏波コントローラ63、コーナーキューブ70、偏波コントローラ73、アッテネータ75、検出器79などがある。
OCT画像形成部220は、OCT系60の検出器79により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて、被検眼Eの画像を形成する。制御部100aは、検出器79から順次に出力される検出信号をOCT画像形成部220に送る。OCT画像形成部220は、たとえば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器79により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、OCT画像形成部220は、各Aラインプロファイルを画像化することにより画像データを形成する。それにより、Bスキャン像(断面像)やボリュームデータ(3次元画像データ)が得られる。
データ処理部200aは、OCT画像形成部220により形成された画像(OCT画像)を解析する機能を備えていてよい。この解析機能としては、網膜厚解析や、正常眼との比較解析などがある。このような解析機能は、公知のアプリケーションを用いて実行される。また、データ処理部200aは、主受光系20により取得された画像を解析する機能を備えていてよい。また、データ処理部200aは、主受光系20により取得された画像の解析とOCT画像の解析とを組み合わせた解析機能を備えていてもよい。
上記の実施形態又はその変形例において説明した構成を任意に組み合わせることが可能である。