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JP6540730B2 - 収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法 - Google Patents
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JP6540730B2 - 収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法 - Google Patents

収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法に関し、例えば、目的エリアの音を強調し、それ以外のエリアの音を抑圧する処理に適用し得る。
複数の音源が存在する環境下において、ある特定の方向の音のみ分離し収音する技術として、マイクロホンアレイを用いたビームフォーマ(Beam Former;以下BF)がある。BFとは、各マイクロホンに到達する信号の時間差を利用して指向性を形成する技術である(非特許文献1参照)。BFは、加算型と減算型の大きく2つの種類に分けられる。
特に減算型BFは、加算型BFに比べ、少ないマイクロホン数で指向性を形成できるという利点がある。
図7は、従来の減算型BFに係る構成を示すブロック図である。
図7に示す従来の減算型BFでは、マイクロホン数が2個となっている。
従来の減算型BFは、まず遅延器により目的とする方向に存在する音(以下、「目的音」とも呼ぶ)が各マイクロホンに到来する信号の時間差を算出し、遅延を加えることにより目的音の位相を合わせる。従来の減算型BFの遅延器では、時間差は下記(1)式により算出される。
下記の(1)式において、dはマイクロホン間の距離、cは音速、τは遅延量である。また、下記の(1)式において、θは、各マイクロホンを結んだ直線に対する垂直方向から目的方向への角度である。
τ=(dsinθ)/c …(1)
ここで、死角が第1のマイクロホンと第2のマイクロホンの中心に対し、第1のマイクロホンの方向に存在する場合、従来の減算型BFにおける遅延器は、第1のマイクロホンの入力信号x(t)に対し遅延処理を行う。その後、遅延処理された入力信号x(t)は、(2)式に従い減算処理される。
a(t)=x(t)−x(t−τ) …(2)
従来の減算型BFにおける減算処理は、周波数領域でも同様に行うことができ、その場合(2)式は以下の(3)式のように変更される。
Figure 0006540730
ここでθ=±π/2の場合、形成される指向性は図8(A)に示すように、カージオイド型の単一指向性となり、θ=0,πの場合は、図8(B)のような8の字型の双指向性となる。以下では、入力信号から単一指向性を形成するフィルタを単一指向性フィルタ、双指向性を形成するフィルタを双指向性フィルタと呼ぶものとする。
またスペクトル減算法(Spectral Subtraction;以下「SS」とも呼ぶ)を用いることで、双指向性の死角に強い指向性を形成することもできる。SSによる指向性の形成は、(4)式に従う。(4)式では、第1のマイクロホンの入力信号Xを用いているが、第2のマイクロホンの入力信号Xでも同様の効果を得ることができる。ここでβはSSの強度を調節するための係数である。減算時に値がマイナスになった場合は、0または元の値を小さくした値に置き換えるフロアリング処理を行う。この方式は、双指向性フィルタにより目的方向以外に存在する音(以下、「非目的音」とも呼ぶ)を抽出し、抽出した非目的音のパワースペクトルを入力信号のパワースペクトルから減算することで、目的音を強調することができる。
|Y(ω)|=|X(ω)|−β|Α(ω)| …(4)
ある特定のエリア内に存在する音(以下、「目的エリア音」と呼ぶ)だけを収音したい場合、減算型BFを用いるだけでは、そのエリアの周囲に存在する音源(以下、「非目的エリア音」と呼ぶ)も収音してしまう可能性がある。そこで特許文献1では、複数のマイクロホンアレイを用い、それぞれ別々の方向から目的エリアへ指向性を向け、指向性を目的エリアで交差させることで目的エリア音を収音する手法を提案している。
次に、特許文献1に記載された目的エリア音の収音処理の例について説明する。
図9は、2つのマイクロホンアレイMA1、MA2を用いて、目的エリアの音源からの目的エリア音を収音する場合における各マイクロホンアレイの構成例について示した説明図である。
図10は、図9に示すマイクロホンアレイMA1、MA2のそれぞれのBF出力について周波数領域で示した説明図(グラフ)である。図10(a)、図10(b)は、それぞれマイクロホンアレイMA1、MA2のBF出力について周波数領域で示したグラフ(イメージ図)である。
特許文献1に記載された手法では、まず各マイクロホンアレイMA1、MA2のBF出力に含まれる目的エリア音のパワーの比率を推定し、それを補正係数とする。具体的には、2つのマイクロホンアレイMA1、MA2を使用する場合、目的エリア音パワーの補正係数は、例えば、(5)、(6)式又は(7)、(8)式により算出することができる。
Figure 0006540730
ここで、Y1k(n),Y2k(n)はマイクロホンアレイMA1、MA2のBF出力のパワースペクトル、Nは周波数ビンの総数、kは周波数、α(n)はBF出力に対するパワー補正係数である。またmodeは最頻値、medianは中央値を表している。その後、補正係数により各BF出力を補正し、SSすることで、目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出する。更に抽出した非目的エリア音を各BFの出力からSSすることにより目的エリア音を抽出することができる。
図11は、図9に示すマイクロホンアレイMA1、MA2を用いて取得したBF出力に基づいてエリア収音処理した場合における各成分のパワースペクトルの変化について示した説明図(イメージを図)である。
まず、マイクロホンアレイMA1の入力信号Xから、非目的エリア音Nを抑圧したBF出力Yを得る(図11(a)参照)。
マイクロホンアレイMA1からみた目的エリア方向に存在する非目的エリア音N(n)を抽出するには、(7)式に示すように、マイクロホンアレイMA1のBF出力Y(n)からマイクロホンアレイMA2のBF出力Y(n)にパワー補正係数αを掛けたものをSSする(図11(b)参照)。その後、(8)式に従い、各BF出力から非目的エリア音をSSして目的エリア音を抽出する(図11(c)参照)。γ(n)はSS時の強度を変更するための係数である。
(n)=Y(n)−α(n)Y(n) …(7)
(n)=Y(n)−γ(n)N(n) …(8)
目的エリア音を抽出するために、(4)式と(8)式で非線形処理であるSSを行っているため、高雑音環境下ではミュージカルノイズと呼ばれる不快な異音が発生する恐れがある。
そこで特許文献2では、目的エリア音が存在している区間と存在していない区間を判定し、存在していない区間ではエリア収音処理した音を出力しないことにより、ミュージカルノイズなどの異音を抑えている。目的エリア音が存在しているかどうかを判定するために、まず(9)式に従い入力信号と目的エリア音を抽出した出力(以下、「エリア音出力」と呼ぶ)間のパワースペクトル比(エリア音出力/入力信号)を算出する。目的エリア内に音源が存在する場合、入力信号Xとエリア音出力Zには目的エリア音が共通に含まれるため、目的エリア音成分のパワースペクトル比は1に近い値となる。逆に非目的エリア音成分は、エリア音出力では抑圧されているため、パワースペクトル比は小さい値となる。またその他の背景雑音成分に関してもエリア収音処理では複数回のSSを行うため、専用の雑音抑圧処理を事前にしなくてもある程度抑圧され、パワースペクトル比は小さい値となる。逆に目的エリア音が存在しない場合、エリア音出力には、入力信号と比べて消し残りの弱い雑音しか含まれていないため、パワースペクトル比は全体域で小さい値となる。この特徴により、(10)式に従い各周波数で求めたパワースペクトル比の平均(以下、「平均パワースペクトル比」とも呼ぶ)を取ると、目的エリア音が存在するときと存在しないときとで大きな差が生まれることになる。ここで、mとnは、それぞれ処理帯域の上限と下限であり、例えば音声情報が十分に含まれる100Hzから6kHzとしてもよい。そして、特許文献2に記載された装置では平均パワースペクトル比を予め設定した閾値で判定し、目的エリア音が存在しないと判定された場合は、エリア音出力データを出力せずに無音、もしくは入力音のゲインを小さくした音を出力する。
Figure 0006540730
特開2014−072708号公報 特開2016−127457号公報
浅野太著,"音響テクノロジーシリーズ16 音のアレイ信号処理−音源の定位・追跡と分離−",日本音響学会編,コロナ社,2011年2月25日発行
特許文献1に記載の手法を用いれば、目的とするエリアの周囲に非目的エリア音が存在していても、目的エリア音を収音することができる。また、特許文献2に記載の手法を用いれば、エリア収音処理で発生するミュージカルノイズの影響を抑えることができる。しかしながら、イベント会場など人が多い場所、また周囲で音楽などが流れている場所などの高雑音環境下ではSN比が悪化し、エリア収音により出力される音のパワースペクトルが小さくなる可能性がある。このような状況では、エリア収音出力と入力信号の平均パワースペクトル比も小さくなってしまう。特に無声子音の様なもともとパワースペクトルが小さい成分では、非目的エリア音区間の平均パワースペクトル比との差が小さくなるため、目的エリア音の判定精度が悪くなり、目的エリア音の一部が欠落してしまう恐れがある。
以上のような問題に鑑みて、背景雑音が強い環境下において、目的エリア音の判定精度を向上させることができる収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法が望まれている。
第1の本発明の収音装置は、(1)入力信号からビームフォーマにより目的エリア方向に指向性を形成する指向性形成手段と、(2)前記指向性形成手段で形成された指向性による目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出する非目的エリア音抽出手段と、(3)前記ビームフォーマの出力から、前記非目的エリア音抽出手段が抽出した目的エリア方向に存在する非目的エリア音を利用して目的エリア音を抽出した結果の抽出音を出力する目的エリア音抽出手段と、(4)前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割する帯域分割手段と、(5)前記帯域分割手段で分割された分割帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出するパワースペクトル比算出手段と、(6)前記パワースペクトル比算出手段で算出された分割帯域ごとのパワースペクトル比を用いて、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する判定手段と、(7)前記判定手段で目的エリア音が存在すると判定された場合に収音結果として前記抽出音を出力する出力手段と、(8)前記入力信号と前記抽出音の全帯域の平均パワースペクトル比を算出する全帯域平均パワースペクトル比算出手段とを有し、(9)前記判定手段は、まず、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比に基づいて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第1の判定処理を行い、(10)前記帯域分割手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、(11)前記パワースペクトル比算出手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記帯域分割手段で分割された帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、(12)前記判定手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記パワースペクトル比算出手段で算出されたパワースペクトル比から前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第2の判定処理を行うことを特徴とする。
第2の本発明の収音プログラムは、コンピュータを、(1)入力信号からビームフォーマにより目的エリア方向に指向性を形成する指向性形成手段と、(2)前記指向性形成手段で形成された指向性による目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出する非目的エリア音抽出手段と、(3)前記ビームフォーマの出力から、前記非目的エリア音抽出手段が抽出した目的エリア方向に存在する非目的エリア音を利用して目的エリア音を抽出した結果の抽出音を出力する目的エリア音抽出手段と、(4)前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割する帯域分割手段と、(5)前記帯域分割手段で分割された分割帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出するパワースペクトル比算出手段と、(6)前記パワースペクトル比算出手段で算出された分割帯域ごとのパワースペクトル比を用いて、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する判定手段と、(7)前記判定手段で目的エリア音が存在すると判定された場合に収音結果として前記抽出音を出力する出力手段と、(8)前記入力信号と前記抽出音の全帯域の平均パワースペクトル比を算出する全帯域平均パワースペクトル比算出手段として機能させ、(9)前記判定手段は、まず、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比に基づいて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第1の判定処理を行い、(10)前記帯域分割手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、(11)前記パワースペクトル比算出手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記帯域分割手段で分割された帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、(12)前記判定手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記パワースペクトル比算出手段で算出されたパワースペクトル比から前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第2の判定処理を行うことを特徴とする。
第3の本発明の収音方法は、(1)指向性形成手段、非目的エリア音抽出手段、目的エリア音抽出手段、帯域分割手段、パワースペクトル比算出手段、判定手段、出力手段、及び全帯域平均パワースペクトル比算出手段を有し、(2)前記指向性形成手段は、入力信号からビームフォーマにより目的エリア方向に指向性を形成し、(3)前記非目的エリア音抽出手段は、前記指向性形成手段で形成された指向性による目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出し、(4)前記目的エリア音抽出手段は、前記ビームフォーマの出力から、前記非目的エリア音抽出手段が抽出した目的エリア方向に存在する非目的エリア音を利用して目的エリア音を抽出した結果の抽出音を出力し、(5)前記帯域分割手段は、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、(6)前記パワースペクトル比算出手段は、前記帯域分割手段で分割された分割帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、(7)前記判定手段は、前記パワースペクトル比算出手段で算出された分割帯域ごとのパワースペクトル比を用いて、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定し、(8)前記出力手段は、前記判定手段で目的エリア音が存在すると判定された場合に収音結果として前記抽出音を出力し、(9)前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段は、前記入力信号と前記抽出音の全帯域の平均パワースペクトル比を算出し、(10)前記判定手段は、まず、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比に基づいて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第1の判定処理を行い、(11)前記帯域分割手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、(12)前記パワースペクトル比算出手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記帯域分割手段で分割された帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、(13)前記判定手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記パワースペクトル比算出手段で算出されたパワースペクトル比から前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第2の判定処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、背景雑音が強い環境下において、目的エリア音の判定精度を向上させることができる。
第1の実施形態に係る収音装置(判定装置)の機能的構成について示したブロック図である。 第1の実施形態に係る周波数帯域分割部が処理対象信号のパワースペクトルを分割帯域ごとに分割した例について示した図(グラフ)である。 第1の実施形態に係る帯域別平均パワースペクトル比算出部が算出した分割帯域ごとの平均パワースペクトル比について示した図(グラフ)である。 第2の実施形態に係る収音装置(判定装置)の機能的構成について示したブロック図である。 第2の実施形態に係る収音装置(判定装置)の目的エリア音判定処理の動作について示したフローチャートである。 第3の実施形態に係る収音装置(判定装置)の機能的構成について示したブロック図である。 従来のマイクロホン数が2個の場合の減算型BFに係る構成を示すブロック図である。 従来の2個のマイクロホンを用いた減算型BFにより形成される指向特性を示す図である。 従来の2つのマイクロホンアレイを用いて、目的エリアの音源からの目的エリア音を収音する場合における各マイクロホンアレイの構成例について示した説明図である。 従来の2つマイクロホンアレイのそれぞれのBF出力について周波数領域で示した説明図である。 従来の2つのマイクロホンアレイを用いて取得したBF出力に基づいてエリア収音処理した場合における各成分のパワースペクトルの変化について示した説明図である。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の収音装置100の機能的構成について示したブロック図である。
収音装置100は、2つのマイクロホンアレイMA(MA1、MA2)を用いて、目的エリアの音源からの目的エリア音を収音する目的エリア音収音処理を行う。
マイクロホンアレイMA1、MA2は、目的エリアが存在する空聞の任意の場所に配置される。目的エリアに対するマイクロホンアレイMA1、MA2の位置は、例えば、図9に示すように、指向性が目的エリアでのみ重なればどこでも良く、例えば目的エリアを挟んで対向に配置しても良い。各マイクロホンアレイMAは2つ以上のマイクロホンMから構成され、各マイクロホンMにより音響信号を収音する。この実施形態では、各マイクロホンアレイMAに、音響信号を収音する2つのマイクロホンM(M1、M2)が配置されるものとして説明する。すなわち、各マイクロホンアレイMAは、2chマイクロホンアレイを構成している。なお、マイクロホンアレイMAの数は2つに限定するものではなく、目的エリアが複数存在する場合、全てのエリアをカバーできる数のマイクロホンアレイMAを配置する必要がある。
収音装置100は、データ入力部1、指向性形成部2、遅延補正部3、空間座標データ4、目的エリア音パワー補正係数算出部5、目的エリア音抽出部6、周波数帯域分割部7、帯域別平均パワースペクトル比算出部8、及びエリア音判定部9を有している。収音装置100を構成する各機能ブロックの詳細処理については後述する。
なお、この実施形態では、入力信号に目的エリア音が存在するか否かの判定処理結果に基づいて、目的エリア音の収音結果を出力する収音装置100について説明するが、収音装置100から目的エリア音の収音結果を出力する出力手段(エリア音判定部9の一部の処理)を省略して、目的エリア音の判定処理結果を出力する判定装置(判定プログラム、判定方法)として構成するようにしてもよい。
収音装置100は、全てハードウェア(例えば、専用チップ等)により構成するようにしてもよいし一部又は全部についてソフトウェア(プログラム)として構成するようにしてもよい。収音装置100は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータにプログラム(実施形態の判定プログラムや収音プログラムを含む)をインストールすることにより構成するようにしてもよい。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の収音装置100の動作(実施形態に係る判定方法、及び収音方法)を説明する。
データ入力部1は、各マイクロホンアレイMA1、MA2で収音した音響信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、データ入力部1は、当該デジタル信号について、変換処理(例えば、高速フーリエ変換等を用いて時間領域から周波数領域へ変換する処理)を行う。
指向性形成部2は、マイクロホンアレイMA毎に、目的方向以外に存在する非目的エリア音を抽出(例えば、双指向性フィルタにより抽出)し、抽出した非目的エリア音の振幅スペクトルを入力信号の振幅スペクトルから減算することで、目的エリア方向に指向性を形成した音(BF出力)を取得する。具体的には、指向性形成部2は、マイクロホンアレイMA毎に、(4)式に従いBFにより目的エリア方向に指向性を形成した音をBF出力として取得する。なお、入力される信号が、マイクロホンアレイMAではなく、指向性マイクロホンから入力される信号である場合、指向性形成部2の処理を省略して、入力信号をそのまま後段側に供給するようにしてもよい。
遅延補正部3は、目的エリアと各マイクロホンアレイMA(MA1、MA2)の距離の違いにより発生する遅延を算出し、補正する。遅延補正部3は、空間座標データ4から目的エリアの位置とマイクロホンアレイの位置を取得し、各マイクロホンアレイMA(MA1、MA2)への目的エリア音の到達時間の差を算出する。次に、遅延補正部3は、最も目的エリアから遠い位置に配置されたマイクロホンアレイMA(MA1、MA2)を基準として、全てのマイクロホンアレイMA(MA1、MA2)に目的エリア音が同時に到達するように遅延を加える。
空間座標データ4は、全ての目的エリアと各マイクロホンアレイMA(MA1、MA2)と各マイクロホンアレイMA(MA1、MA2)を構成するマイクロホンM(M1、M2)の位置情報を保持する。
目的エリア音パワー補正係数算出部5は、各BF出力に含まれる目的エリア音成分のパワーを同じにするための補正係数を(5)式または(6)式に従い算出する。
目的エリア音抽出部6は、目的エリア音パワー補正係数算出部5で算出した補正係数により補正した各BF出力データを(7)式に従いSSし、目的エリア方向に存在する雑音を抽出する。さらに、目的エリア音抽出部6は、抽出した雑音を各BFの出力から(8)式に従いSSすることにより目的エリア音を抽出する。
周波数帯域分割部7は、データ入力部1からの入力信号、及び目的エリア音抽出部6からのエリア音出力Zを取得し、それぞれを複数の帯域に分割する。ここで入力信号とエリア音出力の帯域幅は同じであるものとする。
以下では、周波数帯域分割部7及び帯域別平均パワースペクトル比算出部8における処理対象の入力信号として、マイクロホンアレイMA1の入力信号Xを代表して用いるものとするが、他のマイクロホン(他のマイクロホンアレイMAのマイクロホンであってもよい)の入力信号に置き換えるようにしてもよい。
周波数帯域分割部7は、例えば、処理対象の信号(入力信号X及びエリア音出力Z)を、それぞれ所定の周波数帯域幅(一定間隔又は不定間隔)で分割する。以下では、周波数帯域分割部7が、処理対象の信号について複数に分割した周波数帯域をそれぞれ「分割帯域」と呼び、各分割帯域の信号(分割対象の信号から分割した信号)を「分割帯域信号」とも呼ぶものとする。
周波数帯域分割部7は、各分割帯域の帯域幅を均等(等間隔)に設定してもよいし、周波数帯によって偏りを持たせて設定するようにしてもよい。例えば、周波数帯域分割部7は、高周波数であるほど分割帯域を広く設定(低域周波数であるほど分割帯域を狭く設定)するようにしてもよい。例えば、周波数帯域分割部7は、低周波数の帯域(例えば、1kHz未満)については100Hz間隔で分割帯域を設定し、低周波数でない帯域(例えば、1kHz以上)については1kHz間隔で分割帯域を設定するようにしてもよい。
また、周波数帯域分割部7は、音声情報(音声の成分)が十分に含まれる所定範囲の帯域(例えば、100hz〜6kHzの範囲)内に分割帯域を設定し、それ以外の周波数帯の信号を捨象(分割帯域の対象外として切り捨て)するようにしてもよい。
この実施形態の例では、周波数帯域分割部7は、説明を簡易とするため、処理対象の信号を1kHz間隔の分割帯域に分割するものとして以下の説明を行う。
図2は、周波数帯域分割部7が処理する処理対象信号の例について示した図(帯域ごとのパワースペクトルを示したグラフ)である。
図2では、周波数帯域分割部7が、100Hz〜6kHzまでの帯域の処理対象信号を、概ね1khz間隔で、6つの分割帯域B〜Bに分割した例について示している。
帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、各処理対象信号(入力信号X及びエリア音出力Z)について、周波数帯域分割部7により分割した分割帯域(分割帯域信号)毎に、パワースペクトルを抽出(取得)する。そして、帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、分割帯域ごとに(11)式に基づき、平均パワースペクトル比(各分割帯域内のパワースペクトル比の平均)を算出する。
(11)式において、「R」は、j番目の分割帯域(jは1〜Mのいずれかの整数;Mは分割した帯域の総数(分割帯域の個数))における平均パワースペクトル比である。また、(11)式において、「X1j」は、マイクロホンアレイMA1の入力信号Xにおけるj番目の分割帯域内の平均パワースペクトル(パワースペクトルの平均値)であり、「Z1j」はエリア音出力Zにおけるj番目の分割帯域内の平均パワースペクトル(パワースペクトルの平均値)である。
例えば、周波数帯域分割部7が、図2に示すように、各処理対象信号(入力信号X及びエリア音出力Z)を6個の分割帯域B〜Bに分割した場合を想定する。この場合、帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、入力信号Xの分割帯域B〜Bからそれぞれ入力信号の平均パワースペクトルX11〜X16を取得する。また、帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、エリア音出力Zの分割帯域B〜Bからそれぞれエリア音出力の平均パワースペクトルZ11〜Z16を取得する。
そして、帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、X11〜X16、及びZ11〜Z16を式(11)に適用して分割帯域ごとの平均パワースペクトル比R〜Rを算出する。
図3は、帯域別平均パワースペクトル比算出部8が算出した分割帯域ごとの平均パワースペクトル比R〜Rについて示した図(グラフ)である。
図3では、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比R〜Rと、全帯域での平均パワースペクトル(右端の値)を示している。
そして、帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比R〜Rから(12)式に従って、最も大きい値(平均パワースペクトル比)を、最大平均パワースペクトル比Umaxとして取得する。
例えば、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比R〜Rの値が図3のような結果となった場合、最大平均パワースペクトル比Umaxは、分割帯域Bの値となり、全帯域での平均パワースペクトルよりも大きい値になっていることが分かる。
Figure 0006540730
エリア音判定部9は、帯域別平均パワースペクトル比算出部8により算出した最大平均パワースペクトル比Umaxを予め設定した閾値T1と比較し、目的エリア音が存在するか否か(入力信号に目的エリア音が含まれるか否か)を判定する。エリア音判定部9は、例えば、最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1を超える場合に目的エリア音が存在すると判定し、最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1以下の場合に目的エリア音が存在しないと判定するようにしてもよい。
エリア音判定部9は、目的エリア音が存在すると判定した場合、エリア収音処理データ(エリア音出力Z(抽出音))をそのまま出力するようにしてもよい。一方、逆に目的エリア音が存在しないと判定した場合、エリア音判定部9は、エリア収音処理データ(エリア音出力Z(抽出音))は出力せずに無音の音声データを出力するようにしてもよい。なお、エリア音判定部9は、無音の音声データの代わりに、入力信号(例えば、マイクロホンアレイMA1の入力信号X)のゲインを弱めたものを出力しても良い。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態の収音装置100では、入力信号(上記の例ではX)及びエリア音出力Zを複数の分割帯域に分割し、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比を求め、その最大値である最大平均パワースペクトル比Umaxに基づいて、目的エリア音が存在するか否かを判定している。
言い換えると、第1の実施形態の収音装置100では、1つでも平均パワースペクトル比が閾値(上記の例ではT1)を超える分割帯域があれば、目的エリア音が存在すると判定する。人間の音声を目的エリア音とする場合、無声子音のパワーは小さいが、パワースペクトルにはピークがあるため、帯域を分割すれば、ピークを含む帯域のパワーは大きくなる。上述のような特性が存在するため、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比の最大値(最大平均パワースペクトル比Umax)は、全帯域の平均パワースペクトル比と比べて差(例えば、ミュージカルノイズなどの雑音が発生している非目的エリア音区間と目的エリア音区間との差)が明確になる。したがって、第1の実施形態の収音装置100では、全帯域の平均パワースペクトル比等を用いた従来の目的エリア音判定と比較して背景雑音が強い環境下において、目的エリア音の判定精度を向上させることができる。
さらに、第1の実施形態では、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比の最大値(最大平均パワースペクトル比Umax)を用いた目的エリア音の判定を行うため、目的エリア音判定に用いる帯域をピーク周辺に局所化しつつも、1点のサンプルだけを用いて判定を行うわけではないため、バースト的に発生したノイズに左右されにくい安定的な判定処理を行うことができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(B−1)第2の実施形態の構成
図4は、この実施形態の収音装置100Aの機能的構成について示したブロック図である。図4では、上述の図1と同一部分又は対応部分に同一符号又は対応符号を付している。
以下では、第2の実施形態の収音装置100Aについて、第1の実施形態との差異を説明する。
収音装置100Aでは、エリア音判定部9がエリア音判定部9Aに置き換わり、さらに、全帯域平均パワースペクトル比算出部10が追加されている点で、第1の実施形態と異なっている。
全帯域平均パワースペクトル比算出部10は、全帯域で平均パワースペクトル比を算出するものである。
エリア音判定部9Aでは、周波数帯域分割部7、帯域別平均パワースペクトル比算出部8、及び全帯域平均パワースペクトル比算出部10を制御して、目的エリア音の有無を判定する。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の収音装置100Aの動作(実施形態に係る判定方法、及び収音方法)について第1の実施形態との差異を説明する。
収音装置100Aでは、エリア音判定部9Aによる目的エリア音の判定処理が異なる点で第1の実施形態と異なる。以下では、エリア音判定部9Aを中心とした目的エリア音の判定処理について説明する。
図5は、収音装置100A(エリア音判定部9A)による目的エリア音の判定処理について示したフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、エリア音判定処理に用いるT1、T2、T3は閾値である。閾値T1は第1の実施形態と同様のものを適用することができる。また、閾値T2は、閾値T3よりも大きい値(T2>T3)であるものとする。「T1」と、「T2、T3」の大小関係は限定されないものであり、実験等により確認された好適な値を適用することができる。
エリア音判定部9Aは、まず、全帯域平均パワースペクトル比算出部10を制御して、全帯域平均パワースペクトル比を算出させる(S101)。
全帯域平均パワースペクトル比算出部10は、(9)式、(10)式に従い全帯域平均パワースペクトル比を算出する。
次に、エリア音判定部9Aは、全帯域平均パワースペクトル比算出部10が算出した全帯域平均パワースペクトル比が、閾値T2を超えているか否か(U>T2か否か)を判断する(S102)。エリア音判定部9Aは、全帯域平均パワースペクトル比が、閾値T2を超えている場合後述するステップS104から動作し、そうでない場合には後述するステップS103から動作する。
全帯域平均パワースペクトル比が閾値T2を超えている場合(U>T2の場合)、エリア音判定部9Aは、目的エリア音は存在すると判断し(S104)、目的エリア音の判定処理を終了する。
一方、全帯域平均パワースペクトル比が閾値T2以下の場合(U≦T2の場合)、エリア音判定部9Aは、全帯域平均パワースペクトル比が、閾値T3を超えているか否か(U>T3か否か)を判断する(S103)。エリア音判定部9Aは、全帯域平均パワースペクトル比が、閾値T3を超えている場合後述するステップS105から動作し、そうでない場合には後述するステップS108から動作する。
全帯域平均パワースペクトル比が閾値T3を超えている場合(U>T3の場合)、エリア音判定部9Aは、周波数帯域分割部7及び帯域別平均パワースペクトル比算出部8を制御して、第1の実施形態と同様の処理により、分割帯域ごとに、平均パワースペクトル比を算出させる(S105)。
次に、エリア音判定部9Aは、第1の実施形態と同様に、帯域別平均パワースペクトル比算出部8を制御して、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比から最大平均パワースペクトル比Umaxを算出させ、最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1を超えるか否か判定する(S106)。言い換えると、エリア音判定部9A及び帯域別平均パワースペクトル比算出部8は、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比に閾値T1を超えるものがあるか否かを判定する処理を行うことになる。
最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1を超える場合(分割帯域ごとの平均パワースペクトル比に閾値T1を超えるものがある場合)、エリア音判定部9Aは、後述するステップS107から動作し、そうでない場合後述するステップS108から動作する。
最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1を超える場合(Umax>T1の場合)、エリア音判定部9Aは、目的エリア音は存在すると判断し(S107)、目的エリア音の判定処理を終了する。
一方、上述のステップS103で全帯域平均パワースペクトル比が閾値T3以下の場合(U≦T3の場合)、又は上述のステップS106で最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1以下の場合(Umax≦T1の場合)、エリア音判定部9Aは、目的エリア音は存在しないと判断し(S108)、目的エリア音の判定処理を終了する。
エリア音判定部9Aは、まず、全帯域平均パワースペクトル比算出部10に全帯域平均パワースペクトル比を算出させて、全帯域平均パワースペクトル比に基づいた目的エリア音の判定処理(以下、「第1の判定処理」と呼ぶ)を行う。具体的には、エリア音判定部9Aは上述の通り全帯域平均パワースペクトル比が閾値T2より大きい場合には目的エリア音は存在すると判定し、全帯域平均パワースペクトル比が閾値T3以下の場合は目的エリア音は存在しないと判定する。
そして、エリア音判定部9Aは、全帯域平均パワースペクトル比が閾値T2以下で、閾値T3を超える場合(T2≦U>T3)には、第1の判定処理では目的エリア音の判定はできないと判断し、周波数帯域分割部7及び帯域別平均パワースペクトル比算出部8を制御して、第1の実施形態と同様の処理により、最大平均パワースペクトル比Umaxを算出させ、最大平均パワースペクトル比Umaxに基づいた目的エリア音の有無を判定する処理(以下、「第2の判定処理」と呼ぶ)を行う。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態の収音装置100A(エリア音判定部9A)は、まず全帯域平均パワースペクトル比に基づいて目的エリア音の判定処理(第1の判定処理)を行い、全帯域平均パワースペクトル比が閾値T2以下で、閾値T3を超える場合(T2≦U>T3)には最大平均パワースペクトル比Umaxに基づいて目的エリア音の判定処理(第2の判定処理)を行う。
これにより、収音装置100A(エリア音判定部9A)は、第1の判定処理(全帯域平均パワースペクトル比に基づいた判定処理)のみで充分な精度で目的エリア音の判定処理が可能な場合(例えば、全帯域平均パワースペクトル比が十分大きい場合)には、第2の判定処理(帯域分割の処理等)は行わない。一方、収音装置100A(エリア音判定部9A)は、第1の判定処理(全帯域平均パワースペクトル比に基づいた判定処理)では充分な精度で目的エリア音の判定処理ができない場合(例えば、無声子音のように平均パワースペクトル比Uが小さいとき)にのみ、第2の判定処理(帯域分割により最大平均パワースペクトル比Umaxを算出して目的エリア音を判定する処理)を行う。
すなわち、収音装置100A(エリア音判定部9A)は、第1の判定処理では充分な精度で目的エリア音の判定処理が可能な場合にのみ、より処理量の多い帯域分割を伴う第2の判定処理を行うため、効率的な目的エリア音の判定処理を行うことができる。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による収音装置、プログラム及び方法、並びに、判定装置、プログラム及び方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(C−1)第3の実施形態の構成
図6は、この実施形態の収音装置100Bの機能的構成について示したブロック図である。図6では、上述の図1と同一部分又は対応部分に同一符号又は対応符号を付している。
以下では、第3の実施形態の収音装置100Bについて、第1の実施形態との差異を説明する。
収音装置100Bでは、エリア音判定部9がエリア音判定部9Bに置き換わり、さらに、帯域間パワースペクトル比算出部11が追加されている点で、第1の実施形態と異なっている。
帯域間パワースペクトル比算出部11は、帯域別平均パワースペクトル比算出部8が求めた分割帯域ごとの平均パワースペクトル比から最小値(以下、「最小平均パワースペクトル比Umin」と呼ぶ)を算出する。そして、帯域間パワースペクトル比算出部11は、帯域別平均パワースペクトル比算出部8が求めた最大平均パワースペクトル比Umax(分割帯域ごとの平均パワースペクトル比Rの最大値)と、最小平均パワースペクトル比Uminの比(以下、「帯域間パワースペクトル比V」と呼ぶ)を求める。
そして、エリア音判定部9Bは、帯域間パワースペクトル比Vに基づいて目的エリア音を判定する点で、第1の実施形態と異なっている。
なお、第2の実施形態において、第2の判定処理を、帯域間パワースペクトル比Vを用いた判定処理に置き換えるようにしてもよい。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態の収音装置100Bの動作(実施形態に係る判定方法、及び収音方法)について第1の実施形態との差異を説明する。
収音装置100Bでは、エリア音判定部9Bによる目的エリア音の判定処理が異なる点で第1の実施形態と異なる。以下では、エリア音判定部9Bを中心とした目的エリア音の判定処理について説明する。
帯域間パワースペクトル比算出部11は、(13)式に従い、帯域別平均パワースペクトル比算出部8が求めた分割帯域ごとの平均パワースペクトル比から最小平均パワースペクトル比Uminを求める。
そして、帯域間パワースペクトル比算出部11は、(14)式に従い、最大平均パワースペクトル比Umax及び最小平均パワースペクトル比Uminに基づき帯域間パワースペクトル比Vを算出する。
Figure 0006540730
例えば、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比(R〜R)の値が図3のような結果となった場合、最大平均パワースペクトル比Umaxは、分割帯域Bの値となり、最小平均パワースペクトル比Uminの値は分割帯域Bの値となる。
エリア音判定部9Bは、帯域間パワースペクトル比Vと閾値T4を比較し、帯域間パワースペクトル比Vが閾値T4より大きい場合(V>T4の場合)には目的エリア音が存在すると判定し、帯域間パワースペクトル比Vが閾値T4以下の場合(V≦T4の場合)目的エリア音は存在しないと判定するものとする。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して以下のような効果を奏することができる。
第3の実施形態の収音装置100Bでは、帯域間パワースペクトル比Vに基づいて目的エリア音を検出するので、より小さなパワースペクトルの目的エリア音成分も検出することができる。
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(D−1)上記の各実施形態において、エリア音判定部9(9A、9B)は、最大平均パワースペクトル比Umaxが閾値T1よりも一定以上大きい場合、その後の数秒間は、最大平均パワースペクトル比Umaxに関わらず目的エリア音が存在すると判定する機能(ハングオーバー機能)に対応するようにしてもよい。
(D−2)上記の各実施形態の収音装置(判定装置)では、分割帯域ごとの平均パワースペクトル比を算出し、その最大値である最大平均パワースペクトル比Umaxを目的エリア音判定に利用しているが、各分割帯域におけるパワースペクトル比の平均値(平均パワースペクトル比)ではなく、各分割帯域におけるパワースペクトル比の代表値を1つ取得し、その代表値(以下、「代表パワースペクトル比」と呼ぶ)の最大値(以下、「最大代表パワースペクトル比」と呼ぶ)を、最大平均パワースペクトル比Umaxに置き換えて利用するようにしてもよい。
すなわち、上記の各実施形態において、帯域別平均パワースペクトル比算出部8が、各分割帯域から代表パワースペクトル比を取得し、各分割帯域の代表パワースペクトル比の最大値を最大代表パワースペクトル比として取得し、最大平均パワースペクトル比Umaxに置き換えて目的エリア音判定に利用するようにしてもよい。上記の各実施形態において、各分割帯域から代表パワースペクトル比(代表値)を取得する位置は限定されないものであるが、例えば、中央値等を取得するようにしてもよい。
以上のように、上記の各実施形態では、目的エリア音判定において、分割帯域ごとのパワースペクトル比(例えば、平均パワースペクトル比や代表パワースペクトル比)の最大値(例えば、最大平均パワースペクトル比Umaxや最大代表パワースペクトル比等)を用いる。
100…収音装置(判定装置)、1…信号入力部、2…指向性形成部、3…遅延補正部、4…空間座標データ、5…目的エリア音パワー補正係数算出部、6…目的エリア音抽出部、7…周波数帯域分割部、8…帯域別平均パワースペクトル比算出部、9…エリア音判定部、MA、MA1、MA2…マイクロホンアレイ、M、M1、M2…マイクロホン。

Claims (5)

  1. 入力信号からビームフォーマにより目的エリア方向に指向性を形成する指向性形成手段と、
    前記指向性形成手段で形成された指向性による目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出する非目的エリア音抽出手段と、
    前記ビームフォーマの出力から、前記非目的エリア音抽出手段が抽出した目的エリア方向に存在する非目的エリア音を利用して目的エリア音を抽出した結果の抽出音を出力する目的エリア音抽出手段と、
    前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割する帯域分割手段と、
    前記帯域分割手段で分割された分割帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出するパワースペクトル比算出手段と、
    前記パワースペクトル比算出手段で算出された分割帯域ごとのパワースペクトル比を用いて、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段で目的エリア音が存在すると判定された場合に収音結果として前記抽出音を出力する出力手段と
    前記入力信号と前記抽出音の全帯域の平均パワースペクトル比を算出する全帯域平均パワースペクトル比算出手段とを有し、
    前記判定手段は、まず、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比に基づいて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第1の判定処理を行い、
    前記帯域分割手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、
    前記パワースペクトル比算出手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記帯域分割手段で分割された帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、
    前記判定手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記パワースペクトル比算出手段で算出されたパワースペクトル比から前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第2の判定処理を行う
    ことを特徴とする収音装置。
  2. 前記判定手段は、前記第1の判定処理で、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比が第2の閾値を超える値だった場合前記入力信号に目的エリア音が存在すると判定し、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比が前記第2の閾値よりも小さい第3の閾値以下の値だった場合前記入力信号に目的エリア音が存在しないと判定し、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比が前記第3の閾値を超えており前記第2の閾値以下だった場合には、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否か判定できないという結果を得ることを特徴とする請求項に記載の収音装置。
  3. 前記判定手段は、前記第2の判定処理で、前記パワースペクトル比算出手段が算出した分割帯域ごとのパワースペクトル比の最大値と第1の閾値との比較結果に応じて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項又はに記載の収音装置。
  4. コンピュータを、
    入力信号からビームフォーマにより目的エリア方向に指向性を形成する指向性形成手段と、
    前記指向性形成手段で形成された指向性による目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出する非目的エリア音抽出手段と、
    前記ビームフォーマの出力から、前記非目的エリア音抽出手段が抽出した目的エリア方向に存在する非目的エリア音を利用して目的エリア音を抽出した結果の抽出音を出力する目的エリア音抽出手段と、
    前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割する帯域分割手段と、
    前記帯域分割手段で分割された分割帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出するパワースペクトル比算出手段と、
    前記パワースペクトル比算出手段で算出された分割帯域ごとのパワースペクトル比を用いて、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段で目的エリア音が存在すると判定された場合に収音結果として前記抽出音を出力する出力手段と、
    前記入力信号と前記抽出音の全帯域の平均パワースペクトル比を算出する全帯域平均パワースペクトル比算出手段として機能させ、
    前記判定手段は、まず、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比に基づいて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第1の判定処理を行い、
    前記帯域分割手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、
    前記パワースペクトル比算出手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記帯域分割手段で分割された帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、
    前記判定手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記パワースペクトル比算出手段で算出されたパワースペクトル比から前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第2の判定処理を行う
    ことを特徴とする収音プログラム。
  5. 指向性形成手段、非目的エリア音抽出手段、目的エリア音抽出手段、帯域分割手段、パワースペクトル比算出手段、判定手段、出力手段、及び全帯域平均パワースペクトル比算出手段を有し、
    前記指向性形成手段は、入力信号からビームフォーマにより目的エリア方向に指向性を形成し、
    前記非目的エリア音抽出手段は、前記指向性形成手段で形成された指向性による目的エリア方向に存在する非目的エリア音を抽出し、
    前記目的エリア音抽出手段は、前記ビームフォーマの出力から、前記非目的エリア音抽出手段が抽出した目的エリア方向に存在する非目的エリア音を利用して目的エリア音を抽出した結果の抽出音を出力し、
    前記帯域分割手段は、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、
    前記パワースペクトル比算出手段は、前記帯域分割手段で分割された分割帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、
    前記判定手段は、前記パワースペクトル比算出手段で算出された分割帯域ごとのパワースペクトル比を用いて、前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定し、
    前記出力手段は、前記判定手段で目的エリア音が存在すると判定された場合に収音結果として前記抽出音を出力し、
    前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段は、前記入力信号と前記抽出音の全帯域の平均パワースペクトル比を算出し、
    前記判定手段は、まず、前記全帯域平均パワースペクトル比算出手段が算出した前記全帯域の平均パワースペクトル比に基づいて前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第1の判定処理を行い、
    前記帯域分割手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記入力信号と前記抽出音をそれぞれ複数の帯域に分割し、
    前記パワースペクトル比算出手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記帯域分割手段で分割された帯域ごとに、前記入力信号と前記抽出音のパワースペクトル比を算出し、
    前記判定手段は、前記第1の判定処理で前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かが判定できなかった場合に、前記パワースペクトル比算出手段で算出されたパワースペクトル比から前記入力信号に目的エリア音が存在するか否かを判定する第2の判定処理を行う
    ことを特徴とする収音方法。
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