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JP6541301B2 - ロボット装置、ロボット装置の制御方法、ロボット制御プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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JP6541301B2 - ロボット装置、ロボット装置の制御方法、ロボット制御プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

ロボット装置、ロボット装置の制御方法、ロボット制御プログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、複数の関節を有する多関節アームを備えるロボット装置ロボット装置の制御方法、ロボット制御プログラム、及び記録媒体に関する。
従来、垂直多関節アーム及びエンドエフェクタ(以下、ロボット本体と呼ぶ)と、ロボット本体を制御する制御装置とを備えたロボット装置が普及している。一般にロボット本体は、モータ等の駆動機構と、タイミングベルトやプーリ等の伝達機構とを備えている。これらの駆動機構や伝達機構は、稼働時の熱損失や摩擦等によって発熱し、熱源になる。このため、ロボット本体を長時間稼動させると、温度が停止時よりも10℃〜数10℃高い状態(以下、暖機状態と呼ぶ)になる。
このロボット本体が設置された生産ラインにおいて、メンテナンスや稼働時間外の停止、あるいは何らかの理由による一時的な停止等、ロボット本体は動作可能であっても動作を中断せざるを得ない場合がある。この動作停止期間中は、ロボット本体が発熱しなくなるため、動作を再開した直後のロボットは暖機状態よりも温度の低い状態(以下、冷機状態と呼ぶ)となる。
このような暖機状態及び冷機状態という異なる温度条件下でロボット本体を動作させると、各状態の間でロボット本体の停止位置や減速停止時の誤差量が僅かに変化してしまい、ロボット本体の運動精度を低下させてしまうことが知られている。ロボット本体を冷機状態から暖機状態にするまでには、動作開始後2〜4時間掛かることがあり、例えば1日8時間操業する場合は、操業時間の25〜50%でロボット本体の運動精度が低下してしまい、作業効率が低下する可能性があるという問題があった。
これを解決するために、ロボット本体にヒータ及び温度センサを搭載し、ヒータによりロボット本体を加熱可能にしたロボット装置が開発されている(特許文献1参照)。このロボット装置によれば、ロボット本体を強制的に加熱すると共に、温度センサを利用したフィードバック制御でロボット本体の温度を適温に制御することにより、ロボット本体を冷機状態から暖機状態にする時間を短縮することができる。
また、ロボット本体に温度センサを搭載し、駆動用のブラシレスモータをベクトル制御する際にd軸電流を調整することで発熱量を増加可能にしたロボット装置が開発されている(特許文献2参照)。このロボット装置によれば、d軸電流を調整してロボット本体を加熱すると共に、温度センサを利用したフィードバック制御でロボット本体の温度を適温に制御することにより、ロボット本体を冷機状態から暖機状態にする時間を短縮することができる。
特開2008−235836号公報 特開昭63−127885号公報
許文献1及び2に記載されたロボット装置では、ロボット本体を冷機状態から暖機状態にする時間を短縮することができるしかしながら、ロボット本体は、稼働開始時に通常の稼働時と同等の暖気状態にないという問題があった。
本発明は、ロボット本体の稼働開始時に通常の稼働時と同等の暖気状態にすることが可能なロボット装置ロボット装置の制御方法、ロボット制御プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、前記モータを制御可能な制御系と、を備えるロボット装置において、前記制御系は、予め設定されている教示データに基づき前記モータに電流を入力することで回転を発生させる回転制御部と、前記モータに前記電流を入力することで前記モータに回転を発生させずに発熱させる発熱制御部と、前記モータを回転させることなく、前記教示データに基づき前記モータ回転させる時と同等に前記モータを発熱させるために必要な昇温用の電流を演算し、前記発熱制御部に前記昇温用の電流を出力させるための昇温用の電流指令を生成し、前記ロボット本体の停止時には、前記発熱制御部に前記昇温用の電流指令を送信する制御部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、前記モータを制御可能な制御系と、を備えるロボット装置において、前記制御系は、予め設定されている教示データに基づき前記モータに電流を入力することで回転を発生させる回転制御部と、前記モータに前記電流を入力することで前記モータに回転を発生させずに発熱させる発熱制御部と、前記モータを回転させることなく、前記教示データに基づき前記ロボット本体を昇温させるために必要な昇温用の電流を演算し、前記発熱制御部に前記昇温用の電流を出力させるための昇温用の電流指令を生成し、前記ロボット本体の停止時には、前記発熱制御部に前記昇温用の電流指令を送信する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ロボット本体の稼働開始時刻には前記ロボット本体が稼働時と同等の暖気状態となるように、前記ロボット本体が前記昇温用の電流により昇温する際の熱時定数に基づき現在の温度から前記同等の暖気状態まで昇温するのに要する昇温時間を演算し、前記稼働開始時刻よりも前記昇温時間の前に前記昇温用の電流指令を前記発熱制御部に送信することを特徴とする。
また、本発明は、複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、制御部を有し、前記モータに電流を入力することにより回転及び熱の少なくとも一方を発生し、前記ロボット本体の動作を制御可能な制御系と、を備えるロボット装置の制御方法において、前記制御部が、予め設定されている教示データに基づき前記モータ回転させる時と同等に前記モータを発熱させるために必要な昇温用の電流を演算する電流演算工程と、前記制御部が、前記ロボット本体の停止時に、前記モータを回転させることなく前記モータに前記昇温用の電流を供給して昇温させる昇温工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、制御部を有し、前記モータに電流を入力することにより回転及び熱の少なくとも一方を発生し、前記ロボット本体の動作を制御可能な制御系と、を備えるロボット装置の制御方法において、前記制御部が、予め設定されている教示データに基づき前記ロボット本体を昇温させるために必要な昇温用の電流を演算する電流演算工程と、前記制御部が、前記ロボット本体の稼働開始時刻には前記ロボット本体が稼働時と同等の暖気状態となるように、前記ロボット本体が前記昇温用の電流により昇温する際の熱時定数に基づき現在の温度から前記同等の暖気状態まで昇温するのに要する昇温時間を演算する時間演算工程と、前記制御部が、前記稼働開始時刻よりも前記昇温時間の前に、前記モータを回転させることなく前記モータに前記昇温用の電流を供給して昇温を開始する昇温工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ロボット本体の稼働開始時に通常の稼働時と同等の暖気状態にすることが可能となる。
本発明の実施形態に係るロボット装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るロボット装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るロボット装置の電流制御器の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るロボット装置が稼働中に一時停止する場合の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るロボット装置が稼働中に一時停止する場合の経過時間とロボット本体の温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るロボット装置が稼働前に昇温する場合の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、ロボット装置1は、ロボット本体2と、ロボット本体2を制御する制御装置3とを備えている。ロボット本体2は、複数の関節を有する6軸の垂直多関節アーム(以下、アームと呼ぶ)20と、エンドエフェクタであるハンド21とを備えている。本実施形態では、アーム20として6軸の垂直多関節アームを適用しているが、軸数は用途や目的に応じて適宜変更してもよい。
ハンド21は、アーム20の先端リンク67に取り付けられて支持され、アーム20の動作により位置及び姿勢の少なくとも一自由度が調整されるようになっている。ハンド21は、ハンド本体24と、ハンド本体24に対して移動可能に配設されて、ワークWを把持可能な複数の指23とを備えている。アーム20は、7つのリンク61〜67と、各リンク61〜67を揺動又は回動可能に連結する6つの関節71〜76とを備えている。各リンク61〜67としては、長さが固定されたものを採用している。但し、例えば、直動アクチュエータにより伸縮可能なリンクを採用してもよい。
図2に示すように、例えば、関節71は、関節機構101と、モータ制御部81と、を備えている。関節機構101は、関節71を駆動するモータ101aと、モータ101aの回転角度を検知するエンコーダ101bとを備えている。また、関節機構101は、タイミングベルトやプーリなどによって構成される不図示の動力伝達機構と、歯車等によって構成される不図示の減速機構と、モータ101aの非通電時に位置姿勢を支える不図示のブレーキ機構等とを備えている。モータ101aは、複数の関節71〜76のうちの少なくとも一部の関節の駆動源として設けられ、例えばq軸電流及びd軸電流に基づくベクトル制御により制御可能なブラシレスモータとしている。これらモータ101a及びエンコーダ101bは、モータ制御部81に接続され、モータ制御部81は、後述する制御装置3に接続されている。
モータ制御部81は、モータ制御切換部81aと、回転制御部81qと、発熱制御部81dと、モータ電流制御器91とを備えている。モータ制御切換部81aは、後述する状態選択部34から伝達される信号に基づいて、モータ101aの制御状態を回転制御と発熱制御とで切り換えるようになっている。回転制御部81qは、後述する回転指令生成部35qからの回転指令値Cqに基づき、指令された回転状態へとモータ101aを制御するためのモータ101aのトルク指令Iqを生成するようになっている。発熱制御部81dは、後述する発熱指令生成部35dからの発熱指令値Cdに基づき、指令された発熱状態にモータ101aを昇温させるために通電する電流量を決定する発熱指令Idを生成するようになっている。
モータ電流制御器91は、トルク指令Iqに基づきモータ101aの巻線に出力する電圧Vqを決定する第1の励磁部91qと、発熱指令Idに基づきモータ101aの巻線に出力する電圧Vdを決定する第2の励磁部91dと、を備えている。
図3に示すように、モータ電流制御器91では、入力されたトルク指令Iqは、後述するトルク寄与電流iqとの差分を取られ、PID制御演算部110qにおいてPID(比例、積分、微分)制御によって演算され、出力値vqとして出力される。この時の演算式は、数式1のようになる。
Figure 0006541301
但し、Kpiq:PID制御の比例制御ゲイン、Kiiq:PID制御の積分制御ゲイン、Kdiq:PID制御の微分制御ゲイン、n:モータ電流制御器の識別インデックス、k:制御周期ごとに+1されるインデックス、Iqn,k:モータ電流制御器nの時刻k+1におけるトルク指令値、iqn,k:モータ電流制御器nの時刻k+1におけるトルク寄与電流、vqn,k+1:モータ電流制御器nの時刻k+1におけるq軸出力
モータ電流制御器91では、入力された発熱指令Idは、後述する発熱電流idとの差分を取られ、PID制御演算部110dにおいてPID制御によって演算され、出力値vdとして出力される。この時の演算式は、数式2のようになる。
Figure 0006541301
但し、Kpid:PID制御の比例制御ゲイン、Kiid:PID制御の積分制御ゲイン、Kdid:PID制御の微分制御ゲイン、n:モータ電流制御器の識別インデックス、k:制御周期ごとに+1されるインデックス、Idn,k:モータ電流制御器nの時刻k+1における発熱指令値、idn,k:モータ電流制御器nの時刻k+1における発熱電流、vdn,k+1:モータ電流制御器nの時刻k+1におけるd軸出力
出力値vq,vdは、出力デューティ値演算部111において、相電圧U,V,Wに変換され、各相電圧U,V,Wに応じて出力デューティ値が演算される。ここでの変換式は、数式3のようになる。
Figure 0006541301
相電圧U,V,Wの出力デューティ値は、ゲート回路112及びブリッジ回路113において、スイッチング素子をPWM駆動によりオンオフ制御してモータ101aに入力される。これにより、第1の励磁部91qの駆動電流量(q軸電流)及び第2の励磁部91dの駆動電流量(d軸電流)を独立に制御することができる。
また、ブリッジ回路113とモータ101aとの間の接続線には電流検出素子が設けられており、電流検出素子はモータ101aのU相及びV相の電流を電圧として計測する。計測された電圧は、A/D変換器114,115によって量子化された数値データに変換される。A/D変換器114,115からの数値データは、エンコーダ101bからの検出信号を電気角変換部117において変換した数値データを参照し、電流値演算部116においてトルク寄与電流iqと発熱電流idとに変換される。ここでの変換式は、数式4のようになる。
Figure 0006541301
尚、他の関節72〜76についても、上述した関節71と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。以下、関節71〜76及び各関節71〜76が有するモータ等については、代表して関節71のみについて説明するものとする。
制御装置3は、コンピュータにより構成され、モータ101aを制御することによりロボット本体2を制御可能になっている。図1に示すように、制御装置3を構成するコンピュータは、例えばCPU(制御部)30と、各部を制御するためのプログラムを記憶するROM31と、データを一時的に記憶するRAM32と、入出力インタフェース回路(I/F)33とを備えている。
図2に示すように、CPU30は、回転指令生成部35qと、発熱指令生成部35dと、状態選択部34とを備えている。
回転指令生成部35qは、RAM32に予め記録されている教示データに基づいてモータ101aの運動状態の時系列の目標値を設定し、回転指令値Cqとして出力するようになっている。回転指令値Cqは、上述した回転制御部81qに入力され、モータ101aがq軸電流制御によって回転駆動される。
発熱指令生成部35dは、力学解析等の手段を用いてモータ101aの負荷、即ち出力トルクを推定するようになっている。即ち、教示データに基づいてモータ101aが稼働する際に、角度(位置)、(角)速度、(角)加速度、トルク等の運動状態を算出し、これらの運動状態に基づいて出力トルクを推定する。そして、発熱指令生成部35dは、モータ101aを回転させることなく所定温度まで昇温させるために必要な昇温用の電流を演算するようになっている。更に、発熱指令生成部35dは、発熱制御部81dに昇温用の電流を出力させるための昇温用の電流指令を生成し、発熱指令値Cdとして出力するようになっている。発熱指令値Cdは、上述した発熱制御部81dに入力され、モータ101aがd軸電流制御によって回転駆動することなく昇温される。尚、ここでの所定温度は、ロボット本体2の停止時に、ロボット本体2が停止せずに動作していれば達すると推測される温度としている。また、昇温用の電流は電流値と通電時間との積算で求められる電流量として算出し、電流値及び通電時間は許容範囲内で適宜調整することが好ましい。
状態選択部34は、工場のライン全体の状態を示す信号30aに基づき、ロボット本体2の動作状態を駆動モードと発熱モードとで選択するようになっている。例えば、状態選択部34は、ライン全体が正常に稼働しているという信号30aが入力されている場合は、回転指令生成部35qに対して信号を送信し、モータ101aを回転駆動させるようになっている(駆動モード)。また、状態選択部34は、ラインの一部が停止したという信号30aが入力された場合は、発熱指令生成部35dに対して信号を送信し、モータ101aを回転させることなく発熱させるようになっている(発熱モード)。即ち、CPU30は、ロボット本体2の停止時には、発熱制御部81dに発熱指令値Cdを送信するようになっている。
ここで、本実施の形態では、モータ制御部81とCPU30とにより、ロボット本体2の動作を制御可能な制御系10を構成している。即ち、制御系10は、ロボット本体2に設けられると共に回転制御部81q及び発熱制御部81dを有するモータ制御部81と、ロボット本体2と別個に設けられると共に発熱指令生成部35dを有するCPU30と、を備えている。
上述したロボット装置1の制御方法の手順について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。尚、ここでのロボット装置1は、例えば工場で用いられるものとし、ロボット本体2が同じ動作を繰り返す動作を行うものとする。また、ここでのサイクル動作とは、ロボット本体2が繰り返し行う一連の動作を意味する。動作周期とは、1つのサイクル動作が始まってから、次のサイクル動作が始まるまでの時間を意味する。待機動作とは、1つのサイクル動作が終わってから、次のサイクル動作が始まるまでの間、ロボット本体2が静止している状態を意味する。
図4に示すように、工場のラインの操業が開始する場合等にロボット装置1の電源がオンされる(ステップS1)。CPU30の発熱指令生成部35dは、教示データ等に基づいて、出力トルクを演算し、発熱指令値Cdを生成する(ステップS2、電流演算工程)。即ち、電流演算工程では、CPU30は、モータ101aを回転させることなく所定温度まで昇温させるために必要な昇温用の電流を出力トルクから演算し、昇温用の電流を発生させる発熱指令値Cdを生成する。
具体的には、発熱指令生成部35dは、製造ラインの設計時に定めるロボット動作のタイミングチャートに基づき、ロボットの動作周期を決定する。そして、発熱指令生成部35dは、動力学解析に基づき、ロボット本体2のサイクル動作時のロボット本体2のモータ駆動トルクを計算する。一般に、モータの駆動トルクは、q軸電流と比例関係にある(T=Ki、T:モータトルク、i;q軸電流、K:トルク定数)。このため、トルクTをトルク定数Kで除した値が、q軸電流、即ちモータ電流となる。更に、この方法と同様にして、待機動作時のモータ電流も算出する。そして、発熱指令値Cdとしては、動作周期の間、動作周期時のq軸電流を通電し、待機動作の間、待機動作時のq軸電流を通電する時系列のサイクルとなるように、発熱制御部81dに動作させるような値とする。即ち、ここでの方法では、負荷の推定を、動力学解析から求められるモータの駆動トルクをトルク定数で除した時系列データから行うようにしている。
その後、ロボット装置1の運転が開始されると(ステップS3)、予め規定された組立等の動作を実行する。ラインが正常に稼働している際には、上位からその旨の信号30aが送信され、状態選択部34は駆動モードを選択して実行する(ステップS4)。駆動モードでは、回転指令生成部35qは、回転指令値Cqを生成して回転制御部81qに発信する。モータ制御部81は、モータ制御切換部81aにより回転制御部81qを起動する。回転制御部81qは、モータ101aの運動状態を制御するサーボ機構であり、エンコーダ101bからの回転角度と回転指令値Cqに基づき、トルク指令Iqを決定し、第1の励磁部91qによりq軸電流を制御してモータ101aを回転制御する。一方、発熱制御部81dは停止しており、発熱指令Idとして常に0を出力し、第2の励磁部91dは励磁電流(d軸電流)idを常に0となるよう制御する。
CPU30は、状態選択部34に入力される上位からの信号30aに基づき、ラインが停止したか否かを判断する(ステップS5)。CPU30が、ラインは停止していないと判断した場合は、予め規定されたサイクルが終了したか否かを判断する(ステップS6)。CPU30が、規定サイクルが終了したと判断した場合は処理を終了し、規定サイクルが終了していないと判断した場合は駆動モードを続行する(ステップS4)。ここで、ロボット本体2の運転開始後はロボット本体2の温度は急激に上昇し、ある程度の時間が経過するとほぼ一定になる(図5の時間0〜t参照)。
一方、ラインが不測の理由により停止した場合は、上位からその旨の信号30aが送信され、CPU30はステップS5においてラインは停止したと判断し、状態選択部34は発熱モードを選択する(ステップS7、昇温工程)。即ち、昇温工程では、CPU30は、ロボット本体2の停止時に、モータ101aに昇温用の電流を供給して昇温させる。
発熱モードでは、発熱指令生成部35dは、予め生成しておいた発熱指令値Cdを発熱制御部81dに発信する。また、停止した状況によっては、予め生成した発熱指令値Cdを適宜対応させて変更するようにしてもよい。モータ制御部81は、モータ制御切換部81aにより回転制御部81qを停止し、発熱制御部81dを起動する。回転制御部81qは停止信号を受信すると、トルク指令Iqとして常に0を出力し、モータ101aはトルクを出力しない状態となる。発熱制御部81dは、エンコーダ101bからの回転角度と発熱指令値Cdに基づき、発熱指令Idを決定し第2の励磁部91dに出力する。第2の励磁部91dは、駆動モード実施時と同等の発熱を行う電流をモータ101aへ通電することにより、モータ101aの発熱状態を稼働時の状態と同一に維持する。この時、モータ101aはトルクを支持しないのでロボット本体2の関節71〜76はブレーキ機構によって支持される。
CPU30は、状態選択部34に入力される上位からの信号30aに基づき、ラインが復旧したか否かを判断する(ステップS8)。CPU30が、ラインは復旧していないと判断した場合は、発熱モードを続行する(ステップS7)。CPU30が、ラインは復旧したと判断した場合は、再度駆動モードを実行する(ステップS4)。この時、ロボット本体2は発熱モードによって駆動モードと同等の暖機状態にあるので、ライン停止前と同等の精度を持つ動作を直ちに再開することができる。
次に、上述のロボット本体2の稼働開始前に昇温を開始する場合のロボット装置1の制御方法の手順について、図6に示すフローチャートに沿って説明する。ここでは、例えば工場のラインに設置されたロボット本体2を、朝の稼働開始時に暖機させておく場合について説明する。
図6に示すように、工場のラインの操業が開始する前(例えば、数時間前)等にロボット装置1の電源がオンされる(ステップS11)。これは、例えば、前日の終業時に電源をオンしておく。発熱指令生成部35dは、教示データ等に基づいて、出力トルクを演算し、発熱指令値Cdを生成する(ステップS12、電流演算工程)。即ち、電流演算工程では、CPU30は、モータ101aを回転させることなく所定温度まで昇温させるために必要な昇温用の電流を出力トルクから演算し、昇温用の電流を発生させる発熱指令値Cdを生成する。
発熱指令生成部35dは、ロボット本体2が昇温用の電流により昇温する際の熱時定数に基づき現在の温度から所定温度まで昇温するのに要する昇温時間を演算する(ステップS13、時間演算工程)。この時間演算工程では、ロボット本体2の稼働開始時刻にはロボット本体2が所定温度に達しているように昇温時間を演算する。ここでの現在の温度は、例えば、ロボット本体2に設けられた温度センサからの検出値を用いたり、あるいは気温等を考慮して適宜入力してもよい。また、稼働開始時刻は、使用者が適宜入力する。
そして、CPU30は、現在時刻が稼働開始時刻の昇温時間前であるか否かを判断する(ステップS14)。CPU30が、現在時刻は稼働開始時刻の昇温時間前ではないと判断した場合は、再度時刻を判断する(ステップS14、昇温工程)。CPU30が、現在時刻は稼働開始時刻の昇温時間前であると判断した場合は、モータ101aに昇温用の電流を供給して昇温を開始する(ステップS15、昇温工程)。尚、ここでの昇温方法は、図4のステップS7と同様であるので、詳細な説明は省略する。
これにより、ロボット本体2の稼働開始時には、ロボット本体2は通常の稼働時と同等の暖機状態にあるので、通常の稼働時と同等の精度を持つ動作を直ちに実行することができる。
上述したように本実施形態のロボット装置1によれば、CPU30が、モータ101aを回転させることなく所定温度まで昇温させるために必要な昇温用の電流を演算し、ロボット本体2の停止時に所定温度まで昇温させる。このため、ロボット本体2に対して温度センサ等の別部材を搭載することなく、ロボット本体2の停止時に昇温できるようになる。しかも、所定温度までの昇温であるので、必要以上の昇温や不十分な昇温を防止して適度に昇温できるようになる。
また、本実施形態のロボット装置1によれば、発熱指令生成部35dは、力学解析等の手段を用いてモータ101aの負荷、即ち出力トルクを推定するので、高精度な制御が可能になる。即ち、ロボット本体2の駆動系の走行抵抗(摩擦、粘性負荷)が大きい場合、モータに電流が通電することによる発熱(ジュール熱)の他に、駆動系の機械的な負荷(走行抵抗)が大きくなる。この場合、ロボットの運動エネルギが熱に変換されることによる駆動系の発熱が無視できないほど大きくなる。この時のエネルギ損失を何らかの解析モデルで見積もり、それに相当する発熱量を、これまでに計算した駆動トルクに相当する発熱指令値に上乗せすることで、より実際に近い発熱量を算出することが可能になる。
上述した実施形態では、CPU30は、ロボット本体2が所定の動作を行う際に推測されるロボット本体2の駆動トルクに基づいて昇温用の電流を設定したが、これには限られない。例えば、ロボット本体2が実際に所定の動作を行う際にモータ101aに通電される電流の実測値に基づいて設定するようにしてもよい。この場合、例えば、ロボット本体2の作業中に温度状態が安定してから、サイクル動作におけるq軸電流の時刻歴応答を記録し続ける。同様に、実作業中に、動作周期及び待機動作時の駆動電流を記録し続ける。得られた複数サイクルのモータ電流の時刻歴応答の各時刻における平均、動作周期の平均、待機動作時の平均をそれぞれ求める。そして、発熱制御時のd軸電流の指令値は、時刻歴応答の各時刻における平均を動作周期の平均ごとに繰り返し出力する。また、次のサイクルが開始するまでの間は、待機動作時の平均の電流値を指令値とする。この方法によれば、複雑な計算を不要として、簡易に設定できるようになる。
また、上述した実施形態では、ブレーキ機構の動作について特に限定はしていないが、例えば、モータ101aの出力トルクが0であり、関節に配置されたブレーキ機構で自重を支持する状態で発熱制御を実施するようにしてもよい。この場合は、モータ101aのトルクが無くても、関節を確実に固定することができる。
あるいは、モータ101aの出力トルクにより負荷の静的成分、即ち自重及び起動トルクを支持し、発熱制御での指令値が推定された負荷の動的成分、即ち速度や加速度等に起因する負荷に相当する量であるようにしてもよい。この場合、ブレーキ機構の動作によらず、モータ101aのみでも関節を固定することができるようになる。
更には、発熱制御実施時に、関節に配置されたブレーキ機構は自重を支持しない解放状態であるようにしてもよい。この場合、ブレーキ機構も発熱することから、その熱も利用してロボット本体2の昇温を行うことができる。
尚、以上述べた本実施形態の各処理動作は具体的にはCPU30により実行されるものである。従って、上述した機能を実現するソフトウェアのロボット制御プログラムを記録した記録媒体をCPU30に供給し、CPU30が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによって達成されるようにしてもよい。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した各実施の形態の機能を実現することになり、ロボット制御プログラム自体及びそのプログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
また、本実施形態では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体がROM31であり、ROM31にプログラムが格納される場合について説明したが、これに限定するものではない。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。例えば、プログラムを供給するための記録媒体としては、HDD、外部記憶装置、記録ディスク等を用いてもよい。
工場のラインに設置されたロボット装置について、所定の動作を行わせた際の稼働後の経過時間とロボット本体の温度との関係を求めた。その結果を図5に示す。図5中、tにおいてラインが停止し、tにおいてラインが復旧したものとする。
(実施例)
上述した本実施の形態のロボット装置1での結果を、図5のTに示す。
(比較例1)
上述した本実施の形態のロボット装置1で、t〜tの範囲でもロボット本体2の動作を停止しなかった場合の結果を、図5のTに示す。
(比較例2)
上述した本実施の形態のロボット装置1で、t〜tの範囲でも昇温動作を行わなかった場合の結果を、図5のTに示す。
これらの結果から明らかなように、t〜tの範囲において、本実施の形態のロボット本体2ではロボット本体2が停止しなかった比較例1とほぼ変わらない温度を維持することができた。また、本実施の形態のロボット本体2は、t〜tの範囲において昇温動作を行わなかった比較例2に比べて、短い時間で温度を平衡状態に復帰させることができた。従って、動作を復帰させた後、直ちに高精度な動作が可能であることが確認された。
1…ロボット装置、2…ロボット本体、3…制御装置、10…制御系、20…多関節アーム、30…CPU(制御部)、71〜76…複数の関節、81…モータ制御部、81d…発熱制御部、81q…回転制御部、101a…モータ、Cd…発熱指令値(昇温用の電流指令)

Claims (15)

  1. 複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、前記モータを制御可能な制御系と、を備えるロボット装置において、
    前記制御系は、予め設定されている教示データに基づき前記モータに電流を入力することで回転を発生させる回転制御部と、前記モータに前記電流を入力することで前記モータに回転を発生させずに発熱させる発熱制御部と、前記モータを回転させることなく、前記教示データに基づき前記モータ回転させる時と同等に前記モータを発熱させるために必要な昇温用の電流を演算し、前記発熱制御部に前記昇温用の電流を出力させるための昇温用の電流指令を生成し、前記ロボット本体の停止時には、前記発熱制御部に前記昇温用の電流指令を送信する制御部と、を備える、
    ことを特徴とするロボット装置。
  2. 前記昇温用の電流は、前記ロボット本体が実際に所定の動作を行う際に前記モータに通電される電流の実測値に基づいて設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
  3. 前記昇温用の電流は、前記ロボット本体が所定の動作を行う際に推測される前記ロボット本体の駆動トルクに基づいて設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
  4. 複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、前記モータを制御可能な制御系と、を備えるロボット装置において、
    前記制御系は、予め設定されている教示データに基づき前記モータに電流を入力することで回転を発生させる回転制御部と、前記モータに前記電流を入力することで前記モータに回転を発生させずに発熱させる発熱制御部と、前記モータを回転させることなく、前記教示データに基づき前記ロボット本体を昇温させるために必要な昇温用の電流を演算し、前記発熱制御部に前記昇温用の電流を出力させるための昇温用の電流指令を生成し、前記ロボット本体の停止時には、前記発熱制御部に前記昇温用の電流指令を送信する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記ロボット本体の稼働開始時刻には前記ロボット本体が稼働時と同等の暖気状態となるように、前記ロボット本体が前記昇温用の電流により昇温する際の熱時定数に基づき現在の温度から前記同等の暖気状態まで昇温するのに要する昇温時間を演算し、前記稼働開始時刻よりも前記昇温時間の前に前記昇温用の電流指令を前記発熱制御部に送信する、
    ことを特徴とするロボット装置。
  5. 前記制御部は、前記モータを回転させることなく前記モータの回転時と同等に前記モータを発熱させるために必要な昇温用の電流を演算する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のロボット装置。
  6. 前記モータは、q軸電流及びd軸電流に基づくベクトル制御により制御可能なブラシレスモータであり、
    前記回転制御部は、前記モータに前記q軸電流を入力することで回転を発生させ、
    前記発熱制御部は、前記モータに前記d軸電流を入力することで前記モータに回転を発生させずに発熱させる、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のロボット装置。
  7. 前記制御系は、前記ロボット本体に設けられると共に前記回転制御部及び前記発熱制御部を有するモータ制御部と、前記ロボット本体と別個に設けられると共に前記制御部を有する制御装置と、を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のロボット装置。
  8. 前記モータは、複数であり、
    前記昇温用の電流は、前記教示データに基づき、前記モータごとに演算される、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のロボット装置。
  9. 前記関節を固定するブレーキ機構を備え、
    前記ブレーキ機構は、前記モータに前記昇温用の電流を供給している間、前記関節を固定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のロボット装置。
  10. 複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、制御部を有し、前記モータに電流を入力することにより回転及び熱の少なくとも一方を発生し、前記ロボット本体の動作を制御可能な制御系と、を備えるロボット装置の制御方法において、
    前記制御部が、予め設定されている教示データに基づき前記モータ回転させる時と同等に前記モータを発熱させるために必要な昇温用の電流を演算する電流演算工程と、
    前記制御部が、前記ロボット本体の停止時に、前記モータを回転させることなく前記モータに前記昇温用の電流を供給して昇温させる昇温工程と、を備える、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  11. 複数の関節を含む多関節アームを有するロボット本体と、前記関節の駆動源として設けられるモータと、制御部を有し、前記モータに電流を入力することにより回転及び熱の少なくとも一方を発生し、前記ロボット本体の動作を制御可能な制御系と、を備えるロボット装置の制御方法において、
    前記制御部が、予め設定されている教示データに基づき前記ロボット本体を昇温させるために必要な昇温用の電流を演算する電流演算工程と、
    前記制御部が、前記ロボット本体の稼働開始時刻には前記ロボット本体が稼働時と同等の暖気状態となるように、前記ロボット本体が前記昇温用の電流により昇温する際の熱時定数に基づき現在の温度から前記同等の暖気状態まで昇温するのに要する昇温時間を演算する時間演算工程と、
    前記制御部が、前記稼働開始時刻よりも前記昇温時間の前に、前記モータを回転させることなく前記モータに前記昇温用の電流を供給して昇温を開始する昇温工程と、を備える、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  12. 前記ロボット装置は、前記モータを複数備え、
    前記昇温用の電流は、前記教示データに基づき、前記モータごとに演算される、
    ことを特徴とする請求項10又は11に記載のロボット装置の制御方法。
  13. 前記ロボット装置は、前記関節を固定するブレーキ機構を備え、
    前記昇温工程にあって、前記モータに前記昇温用の電流を供給している間、前記ブレーキ機構が前記関節を固定する、
    ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載のロボット装置の制御方法。
  14. 請求項10乃至13のいずれか1項に記載のロボット装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのロボット制御プログラム。
  15. 請求項14に記載のロボット制御プログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
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