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JP6544337B2 - 冷間成形角形鋼管および柱梁接合部 - Google Patents
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本発明は、例えば建築用柱材として使用される冷間成形角形鋼管および柱梁接合部に関し、特に、冷間成形角形鋼管の柱に溶接した通しダイアフラムに、梁を溶接してなる柱梁接合部に関するものである。
大地震時等で、局部座屈が発生しにくい幅厚比が小さい冷間成形角形鋼管からなる柱に大変形が生じた場合、通しダイアフラム溶接部の冷間成形角形鋼管断面角部に延性き裂が発生し、この延性き裂が成長して破断に至ることがある(例えば、非特許文献1を参照)。これに対し、部材全体の耐破断性能を向上させた技術として、例えば特許文献1、2に示すような技術が知られている。
特許文献1では、柱として利用する冷間成形角形鋼管に適切な材料を適用するとともに、適切なビード寸法を有する多パス・化粧盛溶接を行うことによって溶接ビード止端部の靭性を改善し、破断しにくい冷間成形角形鋼管を得るようにしている。
特許文献2では、化粧盛溶接のビードを所要の形状とすることによって、弱点となる溶接熱影響部(HAZ)の形状を制御し、溶接ビード止端部に発生するき裂を、性能が劣化しているHAZ上ではなく、相対的に性能が高い冷間成形角形鋼管の母材側へ導くことで、冷間成形角形鋼管の耐破断性能の向上を図っている。
桑村仁、秋山宏、延性き裂発生ひずみに及ぼす冷間塑性加工の影響、日本建築学会構造系論文報告集第454号、1993.12
特開2003-293450号公報 特開2002-172462号公報
ところで、上記の従来の特許文献1、2に示される溶接方法は、所要のビード寸法を達成するための難度が高く、ロボット溶接による施工では対応可能であるものの、職人が半自動CO溶接で施工する場合には高度な技能を必要とする。このため、溶接施工の難度を上げずに耐破断性能の高い冷間成形角形鋼管とダイアフラムの接合部を得ることのできる技術の開発が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐破断性能の高い冷間成形角形鋼管および柱梁接合部を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る冷間成形角形鋼管は、通しダイアフラムが溶接され、柱として用いられる冷間成形角形鋼管であって、通しダイアフラム溶接ビード止端部近傍の冷間成形角形鋼管の角部の一部に、板厚が減少した曲面状の凹部を有することを特徴とする。
また、本発明に係る他の冷間成形角形鋼管は、上述した発明において、凹部の位置の板厚が、凹部がない場合の板厚の75%以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る他の冷間成形角形鋼管は、上述した発明において、凹部の曲面の曲率半径が50mm以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る他の冷間成形角形鋼管は、上述した発明において、通しダイアフラム溶接ビード止端部と凹部の端部との距離が0〜10mmであることを特徴とする。
また、本発明に係る柱梁接合部は、上述した冷間成形角形鋼管からなる柱と、鋼材からなる梁とを、冷間成形角形鋼管に溶接した通しダイアフラムを介して接合したものであることを特徴とする。
本発明によれば、大変形時に破壊起点となる通しダイアフラム溶接ビード止端部近傍の冷間成形角形鋼管の角部の一部に減肉した凹部を設けることで、この溶接ビード止端部での応力およびひずみを低減し、これによって冷間成形角形鋼管および柱梁接合部の耐破断性能の向上を図ることができる。ここで、凹部を曲面状に緩やかに凹んだ形状とすることで、応力集中・ひずみ集中を緩和し凹部が起点となる早期の破壊を防止することが可能となる。
図1は、本発明に係る冷間成形角形鋼管からなる柱と通しダイアフラムとの溶接継手部の実施の形態を示す外観図である。 図2は、本発明に係る冷間成形角形鋼管からなる柱と通しダイアフラムとの溶接継手部の断面図である。 図3は、従来の冷間成形角形鋼管柱と通しダイアフラムとの溶接継手部の外観図である。 図4は、従来の冷間成形角形鋼管柱と通しダイアフラムとの溶接継手部の断面図である。 図5は、冷間成形角形鋼管柱の柱部材角と溶接ビード止端の相当塑性ひずみの関係を示す図である。 図6は、冷間成形角形鋼管柱の柱部材角と溶接ビード止端の応力三軸度の関係を示す図である。 図7は、柱部材角の定義を示す図である。
以下に、本発明に係る冷間成形角形鋼管および柱梁接合部の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1および図2に示すように、本発明に係る柱梁接合部10は、冷間成形角形鋼管柱1(本発明の冷間成形角形鋼管)と、冷間成形角形鋼管柱1に溶接した通しダイアフラム2と、この通しダイアフラム2に溶接したH形鋼梁11(梁)とにより構成される。なお、一般的に、冷間成形角形鋼管の断面角部外表面の曲率半径は板厚×2.0〜板厚×4.0となっている。通しダイアフラム溶接部3の溶接ビード止端部4近傍の冷間成形角形鋼管柱1の母材の断面角部7には、母材の板厚が減少した曲面状の減肉部5(凹部)が設けられている。なお、図1中の符号6は冷間成形角形鋼管1の断面平板部であり、図2中の符号8は裏当て金である。
ここで、減肉部5の形状変化が急激であると応力が集中し、そこからの破壊が懸念される。したがって、減肉部5は緩やかな曲面状に加工形成することが望ましい。その際、減肉部5の曲面の曲率半径を50mm以上とすると危険部位である溶接ビード止端部4のひずみを周囲に分散させることが可能となる。現実的な加工作業を行う観点から、減肉部5の曲面の曲率半径の上限は1000mmとする。
また、冷間成形角形鋼管柱1の全塑性モーメントを確保するために、板厚の減肉量は最大25%まで、すなわち、図2に示すように、減肉部5の板厚最小値tをもとの板厚tの75%以上とすることが好ましい。溶接ビード止端部4での応力およびひずみを低減する効果を得るために、少なくとも3%以上減肉することが望ましい。
また、減肉部5の位置が溶接ビード止端部4から遠ざかると、応力低減の効果が低下するため、図1に示すように、減肉部5の溶接ビード止端部4に近い側の端部5aを溶接ビード止端部4から0〜10mm程度の位置にすることが好ましい。このようにすれば、応力低減効果の低下を避けることができる。
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。
従来の柱梁接合部と本発明による柱梁接合部についてFEM解析を行って、破壊起点となる溶接ビード止端の相当塑性ひずみ、応力三軸度を比較した。表1にFEM解析条件を示す。
表1に示すように、ケース1が本発明のタイプ(実施例)であり、ケース2が通常タイプ(比較例)である。ともに径500mm、板厚32mmの断面の冷間成形角形鋼管に通しダイアフラムを溶接した部分をモデル化している。ケース1のモデルは図1および図2に示すような外観であり、ケース2のモデルは図3および図4に示すような外観である。すなわち、ケース1では、断面角部の母材に曲面の曲率半径が50mmの減肉部(凹部)を設けている。板厚の減肉量は25%であり、減肉部の板厚最小値は24mmとなっている。また、溶接ビード止端から減肉部の端部までの距離は10mmとした。ケース2の通常タイプはこのような減肉部を有しておらず、材料特性はケース1と同じにしている。
図5に、冷間成形角形鋼管柱の柱部材角(柱回転角)と溶接ビード止端(図1〜図4に示す符号4)の相当塑性ひずみの関係を示す。また、図6に、柱部材角と溶接ビード止端の応力三軸度の関係を示す。図5に示すように、冷間成形角形鋼管柱の柱部材角が同じときに、溶接ビード止端の相当塑性ひずみを比較すると、ケース1(実施例)の相当塑性ひずみは、ケース2(比較例)の相当塑性ひずみよりも小さくなっていることが分かる。図6に示すように、応力三軸度についても、柱部材角が0〜0.015radの範囲で同様の傾向を得ている。これらの結果から、本発明によれば、溶接ビード止端の相当塑性ひずみ、応力三軸度を低減させることができ、これによって耐破断性能の向上させることができると言える。これらの現象は下記のように説明できる。すなわち、ケース2(比較例)では、変形時の塑性化が溶接ビード止端部に集中するのに対して、ケース1(実施例)では、減肉部周辺にも塑性化がひろがる。そうすると、鋼管母材が溶接ビード止端部を引っ張る力が減少し、これによって、溶接ビード止端の相当塑性ひずみ、応力三軸度が低減される。ここで、柱部材角は図7に示すようにモデル化している。すなわち、通しダイアフラム2を固定と考えて、変形後に冷間成形角形鋼管柱1の変曲点を結んだ直線Lと、変形前に冷間成形角形鋼管柱1が存在した直線Lとのなす角度を柱部材角9として定義する。
したがって、本発明によれば、大変形時に破壊起点となる通しダイアフラム溶接ビード止端部近傍の母材に減肉した減肉部(凹部)を設けることで、この溶接ビード止端部での応力およびひずみを低減し、これによって冷間成形角形鋼管および柱梁接合部の耐破断性能の向上を図ることができる。ここで、減肉部を曲面状に緩やかに凹んだ形状とすることで、応力集中・ひずみ集中を緩和し減肉部が起点となる早期の破壊を防止することが可能となる。
また、冷間成形角形鋼管や通しダイアフラムに780N/mm級鋼材などの高強度材料を用いる場合、溶接部で同等の強度を確保することが一般に困難となるが、本発明はこのような場合に特に有効であり、溶接部で同等の強度を確保することが可能である。
また、本発明によれば、冷間成形角形鋼管の設計に用いる全塑性モーメントMpを確保することができる。
冷間成形角形鋼管の全塑性モーメントMpは下記の式(1)で計算される。
Mp=Zp×σy ・・・ 式(1)
ここに、Mp:全塑性モーメント
Zp:塑性断面係数
σy:平板部の降伏強度
設計時においては、上式(1)のσyとして断面平板部の降伏強度を用いる。実際の冷間成形角形鋼管では、冷間加工によるひずみ硬化のため、断面角部の降伏耐力が平板部の降伏耐力の約1.25倍に上昇している。したがって、角部の板厚を約25%低減したとしても、設計で想定している全塑性モーメントMpが確保される。
また、本発明は、通常の方法で溶接施工可能であることから、特別な溶接法を用いることによるコストアップ要因はなく、補修溶接も通常通り対応することができる。
以上説明したように、本発明によれば、大変形時に破壊起点となる通しダイアフラム溶接ビード止端部近傍の冷間成形角形鋼管の角部の一部に減肉した凹部を設けることで、この溶接ビード止端部での応力およびひずみを低減し、これによって冷間成形角形鋼管および柱梁接合部の耐破断性能の向上を図ることができる。ここで、凹部を曲面状に緩やかに凹んだ形状とすることで、応力集中・ひずみ集中を緩和し凹部が起点となる早期の破壊を防止することが可能となる。
1 冷間成形角形鋼管柱(冷間成形角形鋼管、柱)
2 通しダイアフラム
3 溶接部
4 溶接ビード止端部
5 減肉部(凹部)
6 断面平板部
7 断面角部
8 裏当て金
9 柱部材角
10 柱梁接合部
11 H形鋼梁(梁)

Claims (5)

  1. 通しダイアフラムが溶接され、柱として用いられる冷間成形角形鋼管であって、
    通しダイアフラム溶接ビード止端部近傍の冷間成形角形鋼管の角部の一部に、板厚が減少した曲面状の凹部を有することを特徴とする冷間成形角形鋼管。
  2. 凹部の位置の板厚が、凹部がない場合の板厚の75%以上であることを特徴とする請求項1に記載の冷間成形角形鋼管。
  3. 凹部の曲面の曲率半径が50mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷間成形角形鋼管。
  4. 通しダイアフラム溶接ビード止端部と凹部の端部との距離が0〜10mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の冷間成形角形鋼管。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の冷間成形角形鋼管からなる柱と、鋼材からなる梁とを、冷間成形角形鋼管に溶接した通しダイアフラムを介して接合したものであることを特徴とする柱梁接合部。
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