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JP6545951B2 - 煮沸ルウ、食品及び風味増強方法 - Google Patents
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Description

本発明は煮沸ルウ、食品及び風味増強方法に関する。
カレー、ハヤシ、シチュー等の食品は、食用油脂を小麦粉や澱粉等と炒めて煮沸ルウを作り、さらに調味料、香辛料等を加えて調製される。
特許文献1は、コレステロールを低減するために、牛脂や豚脂などの動物性油脂の代わりにカカオバターを用いてコクのあるルウ用油脂を提供するものであるが、得られたルウ用油脂を用いた食品は味が重く、風味、旨味は十分ではなかった。
特開2011-244810
本発明は、風味が増強された煮沸ルウ及び食品を提供することを目的とする。
また、本発明は、煮沸ルウを含む食品の風味増強方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の煮沸ルウ、食品及び風味増強方法を提供するものである。
項1. 食用油脂、小麦粉及びカカオ豆由来成分を含む煮沸ルウであって、前記カカオ豆由来成分はカカオマス及び/又はココアパウダーを含む煮沸ルウ。
項2. さらにカカオバターを含む、項1に記載の煮沸ルウ。
項3. カカオ豆由来成分がカカオマスを含む項1に記載の煮沸ルウ。
項4. カカオ豆由来成分がココアパウダーとカカオバターを含む項1に記載の煮沸ルウ。
項5. 項1〜4のいずれか1項に記載の煮沸ルウを含む食品。
項6. カレールウ、ハヤシルウ、クリームシチュールウ、チャウダールウ、ビーフシチュールウ、パスタ用ルウ及びブイヤベース用ルウからなる群から選ばれるルウ製品、レトルトカレー、レトルトハヤシを含むレトルト食品、或いはブイヤベース、パスタソースを含む各種ソースからなる群から選ばれるいずれかである、項5に記載の食品。
項7. 煮沸ルウにカカオ豆由来成分を配合し、前記カカオ豆由来成分はカカオマス及び/又はココアパウダーを含むことを特徴とする、煮沸ルウを含む食品の風味増強方法。
項8. 前記風味が旨味の強さ、旨味の持続性及び/又は味の深みである、項7に記載の風味増強方法。
煮沸ルウにカカオマス及び/又はココアパウダーを含む前記カカオ豆由来成分を配合することで、煮沸ルウを含む食品の旨味の強さ及び持続性、味の深みなどの風味を増強することができる。
本明細書において、煮沸ルウは、食用油脂、小麦粉及びカカオ豆由来成分などの原料を混合・加熱後、冷却することによって得ることができる。混合・加熱時の温度は、例えば100〜140℃、好ましくは100〜130℃である。煮沸ルウは、さらに澱粉系原料を含んでいてもよい。
煮沸ルウは、当該分野では、ホワイトルウ、白ルウ、ブラウンルウなどと呼ばれることもあり、これらを全て包含する。
食用油脂としては、任意の植物油脂および動物油脂ならびにこれらを原料として得られた硬化油を用いることができる。植物油脂としては、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、コーン油、サフラワー油、パーム油、米油などが挙げられ、動物油脂としては、牛脂、ギー、バター、バターオイル、豚脂などが挙げられ、これらの食用油脂は、単独であるいは混合して用いることができる。
小麦粉としては、強力粉、中力粉、薄力粉のいずれであってもよいが、薄力粉が好ましい。
澱粉系原料としては、特に限定されないが、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、加工澱粉(例えば架橋澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、可溶性澱粉、漂白澱粉)、ライ麦粉、ソバ粉、米粉、コーンフラワー、あわ粉、きび粉、はと麦粉、ひえ粉などが挙げられる。澱粉系原料は1種又は2種以上を選択して用いることができる。
煮沸ルウに占める食用油脂の割合は、質量で好ましくは40〜60%であり、より好ましくは45〜55%である。煮沸ルウに占める小麦粉の割合は、質量で好ましくは25〜45%であり、より好ましくは30〜40%である。煮沸ルウに占めるカカオ豆由来成分の合計量の割合は、質量で好ましくは0.3〜8%程度であり、より好ましくは0.4〜6%である。煮沸ルウに澱粉系原料を配合する場合、澱粉系原料の割合は、質量で好ましくは12%以下、より好ましくは4〜12%であり、さらに好ましくは6〜10%である。煮沸ルウには、さらにガーリック、オニオンパウダーなどを加えてもよい。
本発明の煮沸ルウを含む食品は、カカオマス及び/又はココアパウダーを含む前記カカオ豆由来成分を必須成分として含むものである。カカオマス及び/又はココアパウダーが含まれることが重要であり、カカオ豆由来成分であってもカカオバターのみでは風味が大幅に低下する。
煮沸ルウを含む食品としては、容器に入れられたルウ製品、ソース、レトルト食品などが挙げられ、具体的には、カレールウ、ハヤシルウ、クリームシチュールウ、チャウダールウ、ビーフシチュールウ、パスタ用ルウ及びブイヤベース用ルウなどのルウ製品、レトルトカレー、レトルトハヤシなどのレトルト食品、ブイヤベース、パスタソースを含む各種ソースが挙げられる。
ルウの形状は、任意であり特に制限されないが、例えばブロック状、フレーク状、顆粒状およびペースト状が挙げられる。
カカオ豆由来成分の煮沸ルウ、食品への添加は、カカオマスにより行ってもよく、カカオマスとココアパウダーの組合せ、カカオマスとカカオバターの組合せ、カカオマスとココアパウダーとカカオバターの組合せ、ココアパウダーとカカオバターの組合せなどにより行うことができる。カカオ豆由来成分としては、カカオマスがさらに好ましい。好ましい実施形態において、カカオマスは、深煎りカカオマス、浅煎りカカオマスのいずれを使用してもよいが、深煎りカカオマスが特に好ましい。
市販のココアパウダーは、10〜12質量%程度のカカオバターを含有するものが多く、最も少ないもので8質量%程度、最も多いもので24質量%程度のカカオバターを含有する。脱脂タイプのココアパウダーを使用することもできる。
カカオ豆由来成分中のカカオバターの含有量は、質量で10〜95%程度、好ましくは20〜85%程度、さらに好ましくは30〜75%程度、特に好ましくは40〜65%程度である。
カカオ豆由来成分は添加後に加熱することにより効果が増強される。煮沸ルウの製造時にカカオ豆由来成分を加えて食用油脂、小麦粉などと加熱すると各原料には含まれていない成分、例えばイソブチルアルデヒド、アリルアルコール、2−エトキシエタノール、ジメチルトリスルフィドの少なくとも1種が生成する。これら4成分の少なくとも1種を含む煮沸ルウ、煮沸ルウを含む食品は、風味を増強することができるので好ましい。
カカオ豆由来成分は焙煎したカカオ豆から得たものが好ましい。焙煎温度は110℃〜150℃程度であり、深煎りタイプは130℃〜150℃、浅煎りタイプは110℃〜130℃である。深煎りタイプはロースト感が強く、香ばしい風味があるので好ましい。
容器入りのルウ製品は、煮沸ルウに乳製品、肉類、魚介類、野菜、果実等を原料とした煮汁、エキス、ブイヨン等の調味原料や香辛料、カレー粉、食塩、糖類(特に砂糖)、オニオンパウダー、調味料(アミノ酸等)等の粉体原料等から適宜選択したものを添加し、50〜70℃位にまで冷却し、容器に充填し更に冷却して得ることができる。本発明の煮沸ルウを含む食品のうち容器入りルウの全量に対するカカオ豆由来成分の配合量は0.3〜8質量%、好ましくは0.4〜6質量%である。
レトルト食品、ソース類などの食品は、ルウと肉類、魚介類、種実、海藻、野菜類、水などを適宜配合して加熱・混合することにより得ることができる。本発明の食品のうちレトルト食品、ソース類の全量に対するカカオ豆由来成分の配合量は質量で0.02〜5%程度、好ましくは0.05〜4%程度である。
カカオ豆由来成分の配合量が少な過ぎると本発明の効果が不十分となり、配合量が多すぎると旨味が強すぎて全体の味のバランスが崩れる。
果実の例としては、リンゴ、ココナツ、マンゴ、レーズン、バナナ、パパイア、パイナップルなどが挙げられる。
香辛料は、当該分野で用いられる任意の香辛料を使用でき、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。複数の香辛料を組み合わせることによって複合香辛料としてのカレー粉を得ることができる。香辛料は一般に、香味性香辛料、辛味性香辛料および香色性香辛料に分けられる。香味性香辛料とは、香味を有する香辛料であって、辛味が弱く、主に香味付けに用いられる香辛料である。香味性香辛料の例としては、玉葱、エシャロット、ニンニク、コリアンダー、カルダモン、クミン、フェンネル、クローブ、シナモン、ナツメグ、メース、オールスパイス、フェヌグリーク、スターアニス、ガーリック、リカリス、アニス、ディル、キャラウェイ、ローレル、セボリー、オレガノ、ローズマリー、セージ、マジョラム、タイム、陳皮、バジルおよびマンダリン等が挙げられる。辛味性香辛料とは、辛味を有する香辛料であって、主に辛味付けに用いられる香辛料である。辛味性香辛料の例としては、黒胡椒、白胡椒、赤唐辛子、ショウガおよびマスタード等が挙げられる。香色性香辛料とは、多量の色素を含む香辛料であって、辛味が弱く、香味があり、着色力が強い香辛料である。香色性香辛料の例としては、ターメリック、パプリカおよびサフラン等が挙げられる。目的とするルウの風味を調整するために、1種または2種以上の香辛料を選択して用いることができる。
糖類としては、特に限定されないが、例えば砂糖、異性化糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、乳糖、トレハロース、マルチトール、パラチニット、ハチミツ、リン酸化オリゴ糖、黒砂糖、糖蜜、水飴、デキストリン、ポリデキストロースなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
乳製品としては、特に限定されないが、例えば生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳などが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
調味料としては、特に限定されないが、例えばL−グルタミン酸ナトリウム、食塩、醤油、ウスターソース、核酸(イノシン酸、グアニル酸など)、酢およびトマトケチャップが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
肉類としては、牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉および鴨肉が挙げられる。
魚介類としては、カツオ、イワシ、サケ、タラ、ブリ、サバ、タイ、アジ、イカ、タコ、エビ、カニ、ムール貝、アサリ、ハマグリ、シジミ、ホタテ貝およびカキが挙げられる。
種実としては、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、タマリンド、へーゼルナッツおよび大豆が挙げられる。
海藻としては、海苔および昆布が挙げられる。
野菜類としては、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジン、トマト、セロリ、ハクサイ、シイタケ、シメジおよびマッシュルームが挙げられる。
以下、本発明を実施例に従いより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1〜3及び比較例1〜2
(1)煮沸ルウの製造
表1に示す配合量で煮沸ルウ成分として小麦粉、食用油脂、コーンスターチ、ガーリック、オニオンパウダー、並びに、深煎りカカオマス(実施例1)、浅煎りカカオマス(実施例2)、ココアパウダー(実施例3)、カカオバター(比較例1)及びカカオ豆成分無添加(比較例2)を混合して130℃に加温し、煮沸ルウを得た。
(2)カレールウの製造
上記で得られた煮沸ルウを70℃に冷却し、カレールウ成分としてカレー粉、砂糖、食塩、畜肉ペースト、野菜・果実ペースト、調味料(アミノ酸等)、その他粉体原料を配合してさらに混合し、容器に充填し更に冷却して容器入りルウを得た。
Figure 0006545951
(3)評価
煮沸ルウを含むカレールウを適量の水に加熱しながら溶解してカレーソースを作製し、5名のパネラーによりドリンク評価を行った。さらに、カカオマス無添加の煮沸ルウと実施例1〜3及び比較例2の各カレーソースについて揮発成分の分析をHP-SPME-GC/MS法により行った。ドリンク評価の結果を表2に示し、揮発成分の分析結果を表3に示す。
評価基準
5: 旨味の強さ、コク、持続性が非常に優れている
4: 旨味の強さ、コク、持続性が優れている
3: 旨味の強さ、コク、持続性がやや優れている
2: カカオ豆由来成分を含まない従来品と同じ
1: カカオ豆由来成分を含まない従来品より劣る
Figure 0006545951
Figure 0006545951
表3に示されるイソブチルアルデヒド、アリルアルコール、2−エトキシエタノール、ジメチルトリスルフィドは煮沸ルウにもカカオマスにも含まれていない成分であり、これらの成分が生成することで、カレーのコク、持続性、旨味が増強することが示唆された。

Claims (8)

  1. 食用油脂、小麦粉及びカカオ豆由来成分を含む煮沸ルウであって、前記カカオ豆由来成分はカカオマス及び/又はココアパウダーを含み、前記煮沸ルウはホワイトルウ、白ルウ又はブラウンルウである、煮沸ルウ。
  2. さらにカカオバターを含む、請求項1に記載の煮沸ルウ。
  3. カカオ豆由来成分がカカオマスを含む請求項1に記載の煮沸ルウ。
  4. カカオ豆由来成分がココアパウダーとカカオバターを含む請求項1に記載の煮沸ルウ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の煮沸ルウを含む食品。
  6. カレールウ、ハヤシルウ、クリームシチュールウ、チャウダールウ、ビーフシチュールウ、パスタ用ルウ及びブイヤベース用ルウからなる群から選ばれるルウ製品、レトルトカレー、レトルトハヤシを含むレトルト食品、或いはブイヤベース、パスタソースを含む各種ソースからなる群から選ばれるいずれかである、請求項5に記載の食品。
  7. 煮沸ルウにカカオ豆由来成分を配合し、前記カカオ豆由来成分はカカオマス及び/又はココアパウダーを含むことを特徴とする、煮沸ルウを含む食品の風味増強方法。
  8. 前記風味が旨味の強さ、旨味の持続性及び/又は味の深みである、請求項7に記載の風味増強方法。
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