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JP6547295B2 - 電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、高温に晒されたときや過充電時に正負極間を短絡させる機能を有する電池およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる等の利点により、ノート型パソコンや携帯電話などの電池としてすでに実用化されている。しかし、近年では電子機器の高機能化や電気自動車への利用が進み、よりエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池の開発が求められている。
一方、電池のエネルギー容量やエネルギー密度が高くなるほど、外部からの衝撃や回路の不具合により短絡が生じた際や、過充電状態になった場合、電池の温度上昇が起こる。このとき、電池が過剰に発熱すると、活物質の酸素放出反応や電解液の熱分解反応が生じ、電池はさらに発熱するため、場合によっては、温度制御が不能となる熱暴走に至ることもある。
そこで、過充電などによる電池の過剰な温度上昇を抑制するため、従来、様々な提案がなされている。
例えば特許文献1(特許第5003117号明細書)には、所定の温度で正極と負極とを導通させる短絡機構を備え、過充電の際には速やかにエネルギーを放出させることで熱暴走を防止するようにした電池が開示されている。短絡機構は、正極と接続された第1の端子と、負極と接続されて第1の端子と対向配置された第2端子と、第1の端子と第2の端子との間に配置された、セパレータの溶融温度未満の温度で溶融する絶縁部材とを有する。過充電等により電池内部の温度が上昇し、絶縁部材が溶融することによって、第1の端子と第2の端子とが短絡し、結果的に正極と負極とが短絡する。
また、特許文献2(特許第5123624号明細書)には、電池が温度上昇することによって正極端子と負極端子をと電気的に接続する接続機構を有する電池が開示されている。その接続機構は、電池の温度上昇によって溶融する部材を有しており、この部材が溶融することで、正極端子と負極端子とが電気的に接続されるように構成されている。
特許第5003117号明細書 特許第5123624号明細書
上述した従来の電池では、過充電による電池の発熱を利用し、電池の温度をトリガーとして、電池の温度が所定の温度以上となると正極と負極とを短絡させる機構を用いている。しかし、電池が過充電の状態となってから温度が上昇するまでの間にはタイムラグがあり、端子間を短絡させるために溶融する部材を適切に選択しないと、端子間が短絡する前に過充電が進み、結果的に熱暴走に至るおそれがあった。
そこで本発明は、より確実に過充電を抑制できる電池を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、正極端子および負極端子が接続された電池要素と、
前記正極端子および負極端子にそれぞれ接続され、少なくとも一部が互いに対向配置された少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極と、
前記第1電極および第2電極の互いに対向する部分の間に配置された、熱収縮性または熱溶融性を持つ絶縁部材と、
前記第1電極の電位が所定の値以上となると酸化還元反応を生じるレドックスシャトル剤と、
を有する電池が提供される。
本発明の他の態様によれば、電池要素に正極端子および負極端子を接続する工程と、
少なくとも一部が対向配置された少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極との間に、熱収縮性または熱溶融性を持つ絶縁部材を配置する工程と、
前記第1電極および第2電極の周囲に、前記第1電極の電位が所定の値以上となると酸化還元反応を生じるレドックスシャトル剤を配置する工程と、
前記第1電極および第2電極をそれぞれ前記正極端子および前記負極端子に接続する工程と、
を有する電池の製造方法が提供される。
本発明によれば、電池が高温環境下に置かれたときや過充電時に熱暴走が生じるのをより効果的に抑制することができる。
本発明の一実施形態による電池の構成を模式的に示す図である。 図1に示す短絡装置の内部構造の一例を模式的に示す図である。 本発明の他の実施形態による電池の構成を模式的に示す図である。 短絡装置の他の形態の構成を模式的に示す図である。 短絡装置の他の形態の構成を模式的に示す図である。 図1および図3に示す電池において、電池の短絡装置が抵抗成分を有する場合の等価回路図である。 電池の短絡装置が抵抗成分を有し、非線形の電流電圧特性を持つ素子をさらに有する場合の、本発明の他の形態による等価回路図である。 積層型の二次電池が有する電池要素の構造を示す模式的断面図である。 本発明の電池を備えた電気自動車の一例を示す模式図である。 本発明の電池を備えた蓄電設備の一例を示す模式図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電池1が模式的に示されている。電池1は、電池要素10と、電池要素10を封止する外装体13と、電池要素10に電気的に接続されて外装体13の外部に延びる正極端子11および負極端子12と、を有している。外装体13は、可撓性を有する外装材、例えばラミネートフィルムで構成され、電池要素10を包囲した状態で外周部を熱溶着することによって電池要素10を封止している。
電池要素10は、正極、負極、セパレータおよび電解液を含んで構成され、これら電池要素10、正極端子11、負極端子12および外装体13は、従来の電池と同様に構成することができる。
電池1は、短絡装置15をさらに有している。短絡装置15は、正極端子11と負極端子12との間に配置され、これら正極端子11と負極端子12との間の電位差が所定の値以上となると正極端子11と負極端子12とを短絡させる働きを持つ。
短絡装置15は、それぞれ正極端子11および負極端子12に電気的に接続された、少なくとも1つの第1電極17aおよび少なくとも1つの第2電極17bと、第1電極17aおよび第2電極17bの間に配置された絶縁部材16と、を有する。図2に示すように、第1電極17aおよび第2電極17bは、少なくとも先端部が互いに重なり合う位置関係で対向配置されている。絶縁部材16はシート状の部材であり、第1電極17aおよび第2電極17bの間に配置されることで、第1電極17aと第2電極17bが直接接触しないように分離している。第1電極17aおよび第2電極17bは、自身の持つ弾性力などにより両電極を接触させる方向の力が作用するように構成されている。可撓性を有する外装を減圧封止した電池では、第1電極17aおよび第2電極17bを接触させる方向の力として、大気圧を利用することもできる。絶縁部材16は、熱収縮性または熱溶融性を持っており、熱収縮温度あるいは熱溶融温度を超えると収縮または溶融し、その収縮または溶融によって第1電極17aと第2電極17bを接触させ、正極端子11および負極端子12を電気的に短絡させることができる。絶縁部材16は、レドックスシャトル剤を含浸することなどによって、レドックスシャトル剤が第1電極17aと第2電極17bとの間に存在するように保持できるものを使用することができる。そのような絶縁部材16としては、電池要素10に用いられるセパレータと同様の構成を有するフィルム、例えば微多孔フィルムを用いることができる。
絶縁部材16の熱収縮温度あるいは熱溶融温度は、電池の上限使用温度よりも高く、電池に使用されている部材の耐熱温度、特に、セパレータの耐熱温度よりも低いことが好ましい。具体的には90℃以上150℃以下が好ましい。
第1電極17aおよび第2電極17bに対する絶縁部材16の位置ずれが生じないように、絶縁部材16は、例えば端部16aにおいて一方の第1電極17aに固定されていることが好ましい。熱収縮性材料を絶縁部材16とした場合、端部16aに向かって収縮する成分を有するようにすることが好ましい。
絶縁部材16として、電池用セパレータと同様の微多孔フィルムの他に、レドックスシャトル剤が第1電極17aと第2電極17bとの間を移動できるように、熱収縮性フィルムに穴やスリットを設けたものが使用できる。熱収縮性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラートなどの、ガラス転移温度以上で延伸したフィルムを用いることができる。
あるいは、絶縁部材16として、所定の温度以上で引き延ばし、ひずみを保ったまま冷却することで形状を固定した、形状記憶ポリマーのフィルムを用いることができる。形状記憶ポリマーを再度加熱すると、引き伸ばし前の形状が復元される。形状記憶ポリマーのフィルムには、レドックスシャトル剤が第1電極17aと第2電極17bとの間を移動できるように、穴やスリットを設ける。形状記憶ポリマーは、引き延ばした形状に関わらずに元の形状に回復するので、延伸したフィルムと比べて、絶縁部材16、第1電極17aおよび第2電極17bの位置関係を高い自由度で設計できる。形状記憶ポリマーには、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイソプレン、スチレン‐ブタジエン共重合体、などによるものが開発されている。
形状記憶ポリマーを本発明に用いる場合、加熱された時に形状が復元する温度が、電池の上限使用温度よりも高く、かつ、電池部材の耐熱温度、特に、セパレータの耐熱温度よりも低いことが好ましく、具体的には90℃以上150℃以下が好ましい。例えば、特許第5522513号に、形状復元温度が90℃以上の形状記憶ポリマー材料が示されている。
絶縁部材16はフィルム形状に限られない。例えば、対向する第1電極17aおよび第2電極17bの間に配置した熱可塑性絶縁材料からなる複数の粒を絶縁部材16とすることもできる。これらの粒は、第1電極17aおよび第2電極17bが互いに接触しないように両電極間の間隔を維持するスペーサとして働き、第1電極17aと第2電極17bとを絶縁する。レドックスシャトル剤は、粒の間を通って第1電極17aと第2電極17bとの間を移動できる。レドックスシャトル剤が酸化還元反応を繰り返すことで発生した熱により絶縁部材16である粒が加熱され、変形して高さが減ることによって、第1電極17aと第2電極17bとを短絡させることができる。
絶縁部材16である粒は、電池が熱暴走する前に第1電極17aおよび第2電極17bが働くように、90℃以上150℃以下の軟化点または融点を持つことが好ましい。絶縁部材16である粒として、例えば、ポリエチレンが使用できる。
絶縁部材16である粒は、球状に限らず、多面体でも構わない。粒径は、確実な絶縁を保てるように、20μm以上が好ましい。また、大きな粒を用いると、第1電極17aと第2電極17bとの間の距離が大きくなって、後述するレドックスシャトル剤の酸化還元反応による発熱が減るため、粒径は0.1mm以下が好ましい。
絶縁部材16である粒の変形により第1電極17aと第2電極17bとをより良好に短絡させるためには、第1電極17aと第2電極17bとの対向面の少なくとも一方が少なくとも1つの凸部を有し、粒が凸部以外の場所に配置されることが好ましい。第1電極17aと第2電極17bとの少なくとも一方が凸部を有することにより、粒の高さがその凸部の高さ以下の高さになるまで変形すると、凸部が形成された箇所で第1電極17aと第2電極17bとを短絡させることができる。凸部の高さは、熱可塑性絶縁材料の粒が熱で軟化、変形したときに所定の温度で第1電極17aと第2電極17bとが接触するように、熱可塑性絶縁材料の粒の高さとの関係に応じて設定されるが、凸部が高くなると対向する第1電極17aと第2電極17bとの平均間隔が大きくなって、後述するレドックスシャトル剤の酸化還元反応による発熱が減るため、0.1mm未満が好ましい。
短絡装置15は、正極端子11と接続された第1電極17aの電位が所定の値以上となると、第1電極17aでの酸化反応と、酸化反応によって生成した化合物の、負極端子12と接続された第2電極17bでの還元反応を繰り返して熱を発生するレドックスシャトル剤をさらに含む。ここで、「所定の値」とは、レドックスシャトル剤に酸化反応を生じさせる、レドックスシャトル剤に固有の反応電位を意味する。
レドックスシャトル剤としては、芳香族化合物、複素環錯体、フェロセン等のメタロセン錯体、Ce化合物、ラジカル化合物などが挙げられる。また、レドックスシャトル剤は一種のみを単独で用いることができ、または二種以上を組み合わせて用いることもできる。
レドックスシャトル剤の具体的な化合物としては、例えば、3,4−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、1−メトキシ−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン、2,3,5,6−テトラフルオロアニソール、4−(トリフルオロメトキシ)アニソール、3,4−ジメトキシベンゾニトリル、1,2,3,4−テトラクロロ−5,6−ジメトキシベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロ−3,6−ジメトキシベンゼン4−フルオロ−1,2−ジメトキシベンゼン、4−ブロモ−1,2−ジメトキシベンゼン、2−ブロモ−1,4−ジメチルベンゼン、1−ブロモ−3−フルオロ−4−メトキシベンゼン、2−ブロモ−1,3−ジフルオロ−5−メトキシベンゼン、4,5−ジフルオロ−1,2−ジメトキシベンゼン、2,5−ジフルオロ−1,4−ジメトキシベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−5,5−ジメトキシシクロペンタジエン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2,3−トリメトキシベンゼン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジメトキシベンゼン、4−tert−ブチル−1,2−ジメトキシベンゼン、1,4−ジテトラブチル−2,5−トリフルオロメトキシベンゼン、1,2−ジテトラブチル−4,5−トリフルオロメトキシベンゼン、等の1つ以上の電子吸引性もしくは電子供与性の置換基を有する単素環式化合物;4−クロロ−1,2−メチレンジオキシベンゼン、4−ブロモ−1,2−メチレンジオキシベンゼン、3,4−メチレンジオキシベンゾニトリル、4−ニトロ−1,2−メチレンジオキシベンゼン、2−クロロ−5−メトキシピラジン等の複素環式化合物;ニトロキシルラジカル化合物等のラジカル化合物;硝酸セリウム等のセリウム化合物;フェロセン錯体等のメタロセン錯体;等のうち、1種または2種以上を混合して用いることができる。
レドックスシャトル剤は、非水電解質中に均一に溶解もしくは分散し得る化合物であって、必要とされる正極の最大電位に応じて適宜選択することができる。これらの化合物は、それぞれ化合物に応じた反応電位をもち、その電位より高くなると酸化反応速度が大幅に増大する。例えば、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジメトキシベンゼンは、約3.9V、4−ブロモ−1,2−ジメトキシベンゼンは約4.3V程度の反応電位を有する。
なお、1つ以上のアルコキシ基を有する芳香族化合物(メトキシベンゼン類やジメトキベンゼン類)は、酸化反応により生じる酸化体の化学的安定性が優れているため、副反応等で電池性能が低下することを抑制し得る。また、ハロゲン原子を有する化合物は、レドックス反応電位が高く、より酸化還元電位の高い正極、すなわちより高エネルギー密度の二次電池に適用することができる。
短絡装置15は、外装体13の中に配置することもできるし、外装体13の外側に配置することもできる。図1に示す例では、外装体13の中に短絡装置15が配置されている。この場合、電解液がレドックスシャトル剤を含むことができる。
電解液がレドックスシャトル剤を含むことにより、定電流での充電時において、電池要素10の正負極間が高電圧となって、レドックスシャトル剤が反応電位よりも高い電位に晒された場合、レドックスシャトル剤が反応し、正極と負極との間で酸化還元反応を繰り返す。同様に、正極と負極に接続された第1電極17aと第2電極17bとの間でも、レドックスシャトル剤の酸化還元反応が生じる。レドックスシャトル剤の酸化還元反応の量に応じて、電池要素10に流れる電流が抑制される。同時に、レドックスシャトル剤は、酸化還元反応を繰り返す過程で熱を発生する。
図3に、短絡装置15が外装体13の外側に配置された電池1を示す。短絡装置15が外装体13の外側に配置される場合、図4に示すように、短絡装置15は容器18をさらに有することができる。端部16aは、容器18に固定されることが好ましい。レドックスシャトル剤は、一対の第1電極17a、第2電極17bの一部および絶縁部材16とともに、この容器18内に封入される。容器18は、レドックスシャトル剤を封入することができるものであれば任意の形態であってよく、例えば、電池要素10を封止する外装体13と同様、可撓性を有するラミネートフィルム等から形成することもできるし、缶体とすることもできる。
図4では絶縁部材16が第1電極17aおよび第2電極17bの延びる方向側の端部16aで容器18に固定されている形態を示したが、容器18と絶縁部材16との固定位置は任意であってよい。その一例として、例えば、図5に示すように、第1電極17aおよび第2電極17bの延びる方向と直角な方向での端部16bが固定されるようにすることもできるし、端部以外の部位を容器18に固定することもできる。
このように、短絡装置15のレドックスシャトル剤を含む溶液を容器18内に封入することで、短絡装置15のレドックスシャトル剤を含む溶液では、非水溶媒の種類、レドックスシャトル剤濃度、支持塩の種類および濃度を、電池要素10を動作させるための電解液から独立して設定することができる。また、電池要素10を動作させる電解液にレドックスシャトル剤を含ませなくて良いため、レドックスシャトル剤によって電池要素10が発熱することがなくなる。レドックスシャトル剤を封入する容器18を短絡装置15が備えている場合であっても、短絡装置15を容器18ごと外装体13の内部に配置することができる。こうすることによって、短絡装置15を外装体13の内部に配置しても上記と同様の効果が得られる。
以上説明したように、本形態によれば、レドックスシャトル剤により、過充電時の電圧上昇を抑制し、かつ、充電エネルギーを熱エネルギーとして利用することで、過充電が進行する前、すなわち電池要素10に含まれる活物質が過充電状態になる前に正極端子11と負極端子12とを短絡させることができる。それによって、電池要素10に蓄えられたエネルギーを放出させることができる。その結果、過度の発熱による発火や、電解液の気化に伴う外装体13の内圧上昇による電池1の破裂を生じにくくすることができる。
また、電池1の周囲の温度が上昇した際にも正極端子11と負極端子12とを短絡させることができるので、過充電時のみならず、電池1が高温に晒される条件下においても、電池要素10のエネルギーを放出させることができる。その結果として、電池1の熱暴走を生じにくくすることができる。
電池1の充電中、短絡装置15内においてレドックスシャトル剤による酸化還元反応が生じているかどうかは、電池1を、例えば1ItAあるいはそれ以下の電流にて充電し続けた場合でも、電池の電圧が、レドックスシャトル剤の反応電位に応じたある一定の電圧よりも上昇しなくなることで確認することができる。具体的には、横軸を時間、縦軸を電池1の電圧としたグラフを描いたときに、描かれた電圧上昇カーブが横軸と平行であり、その状態が続けば、それは短絡装置15内においてレドックスシャトル剤による酸化還元反応が生じていると考えてよい。電解液の分解が始まった場合も、電圧上昇が一旦止まる可能性があるが、この場合は、電解液の分解によってガスが発生したり、電解液の分解生成物が電極表面に付着したりするので、セル体積の増加や内部抵抗の増加が急激に起こる。よって、レドックスシャトル剤による酸化還元反応と電解液の分解による現象は区別ができる。したがって、充電を続けていても電池1の電圧が上昇しないという現象は、電池1の充電中における、レドックスシャトル剤による酸化還元反応が繰り返されることにより生じる特有の現象である。
ただし、電池要素10を充電する際の充電電流が、レドックスシャトル剤が消費する電流よりも大きい場合、レドックスシャトル剤が酸化還元反応を生じていても電圧の上昇がゼロにならないこともある。このように電圧の上昇が見られる場合は、短絡装置15が電池1の正極端子11および負極端子12に接続された状態と、短絡装置15を取り外した状態とで、電圧上昇カーブを比較すればよい。レドックスシャトル剤による酸化還元反応が生じている場合は、両者で電圧上昇カーブに違いが見られる。具体的には、レドックスシャトル剤による酸化還元反応が生じている場合は、短絡装置15が接続された状態のほうが、電圧の上昇割合が小さい。
端子間の短絡機能を有する短絡装置15においては、正極端子11と負極端子12との間の短絡経路中に電気抵抗成分を有することが好ましい。電気抵抗成分を有することにより、端子間の短絡により電池要素10から放電される電流が過大にならないように制限することができる。電気抵抗成分は、第1電極17aおよび第2電極17bの少なくとも一方の表面に抵抗体を形成することによって付与することもできるし、第1電極17aおよび第2電極17bの少なくとも一方に抵抗体を直列接続することによって付与することもできる。
図6に、図1に示す電池の短絡装置15が抵抗成分20を有する場合の等価回路を示す。図6に示す等価回路では、直流電源が電池要素10に相当し、スイッチが一対の短絡用電極17およびその間の絶縁部材16の組み合わせに相当する。
短絡装置15は、図6に示す等価回路図におけるスイッチ(16、17)に直列接続された、非線形の電流電圧特性(IV特性)を持つ素子をさらに有することができる。その場合の等価回路図を図7に示す。
図7に示す短絡装置15は、短絡用電極17および絶縁部材16からなるスイッチ、および抵抗成分20に加えて、非線形のIV特性を持つ素子21が直列接続されている。そのような素子21としては、例えば、ダイオード、ツェナーダイオード、バリスタなど、非線形のIV特性を持つ任意の素子を用いることができる。また、素子21の数は任意であってよく、1つであってもよいし必要に応じて複数を直列に配置、あるいは、並列に配置することができる。
このように、短絡装置15が非線形のIV特性を持つ素子21を備えることで、レドックスシャトル剤の酸化還元反応を、レドックスシャトル剤の持つ反応電位とは異なる電圧で生じさせることができる。よって、この素子21は、動作電圧調整素子ということもできる。このことは、例えば、反応電位が3.8Vのレドックスシャトル剤を用いた場合であっても、それよりも高い、例えば4.3V以上といった比較的高い電圧で動作する短絡装置15を構成することができることを意味する。これにより、様々な駆動電圧の電池に対応することが可能となり、また、レドックスシャトル剤の材料選択の自由度が高くなる。さらに、酸化還元電位が高いレドックスシャトル剤は劣化し易い傾向があるため、低い酸化還元電位を有するレドックスシャトル剤を使用できるということは、短絡装置15の高寿命化の点でも有利である。
使用する素子21の特性は、目的とする動作電圧および回路を流れる電流の大きさなどに応じて決定することができる。例えば、素子21の特性として重要なことの一つは、想定している充電電流で動作可能なことである。また、素子21は、非線形性が高いこと、すなわち、IV特性が変化するある電圧(閾値電圧)以下では電流が十分に小さく、かつ、閾値電圧以上では電流が十分に高いことが好ましい。1個の素子21ではIV特性が変化する閾値電圧以上において十分な電流が得られない場合は、複数の素子21を並列に接続した回路を構成して最大電流を増やすことができる。また、素子21は正負極間に接続されることを考慮し、設計に応じて適切なことを考慮し電圧(通常は、1.5V程度以下)で動作するものを選択することが好ましい。必要に応じて素子21を複数直列に接続し、閾値電圧を高くすることができる。また、通常動作時でのリーク電流を小さくするためには、素子21は、閾値電圧以下でのリーク電流が小さいことが求められる。
以上、本発明について代表的な形態を挙げて説明した。本発明は、上述した形態に限定されるものではないが、好ましくはリチウムイオン二次電池に適用することができる。また、本発明における短絡装置は、対となる電極の間に絶縁部材を配置しているという点で電池と共通の構成を有している。よって、本発明における短絡装置の第1電極/第2電極および絶縁部材にも、以下に述べる二次電池の「正極/負極」および「セパレータ」の材料および構成などを利用し、レドックスシャトル剤は、「電解液」に含有されることができる。その際、「セパレータ」としては、熱収縮性または熱溶融性を有し、かつレドックスシャトル剤の酸化還元反応により発生する熱により収縮または溶融する材料が用いられる。また、短絡装置が「容器」を有する場合は、「容器」として、以下に述べる「外装体」の材料および構成を利用することができる。
また、以下の説明から明らかなように、短絡装置は、複数の第1電極および複数の第2電極を有することができる。この場合、絶縁部材を介して第1電極と第2電極が対向した構成であれば、第1電極の数と第2電極の数は異なっていてもよい。
二次電池は、電極の構造や形状等により、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、コイン型、扁平捲回ラミネート型および積層ラミネート型等、種々のタイプがある。本発明はこれらの何れのタイプにも適用可能である。これらのうち、本発明が適用される二次電池の形状は、電池要素が発熱したときの放熱性に優れている観点から、積層ラミネート型であることが好ましい。以下、積層ラミネート型の二次電池について説明する。
積層ラミネート型の二次電池は、電池要素と、電池要素を封止した外装体とを有する。電池要素の断面模式図を図8に示す。図8に示すように、電池要素は、複数の負極aと複数の正極cとを、セパレータbを間に挟んで交互に積層した構成を有することができる。電解液は、これら負極a、正極cおよびセパレータbとともに、外装体内に封止される。負極aは、セパレータbから突き出ている延長部(タブともいう)を有している。延長部は、負極aが有する負極集電体dの正極活物質に覆われていない端部である。正極cも同様、正極cの正極集電体eの正極活物質に覆われていない端部である延長部(タブ)がセパレータbから突き出ている。正極cの延長部と負極aの延長部は、正極cと負極aとを積層したときに互いに干渉しない位置に形成されている。すべての負極aの延長部は一つに集められて、負極端子gに溶接により接続される。正極cも同様に、すべての正極cの延長部が一つに集められて、正極端子fに溶接によって接続される。
以下、これらの各要素について、リチウムイオン二次電池を例に挙げて詳細に説明する。
<セパレータ>
セパレータとしては、有機材料からなるウェブおよびシート、例えば、ポリアミド、ポリイミド、セルロースなどの織布、不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリアミド、ポリイミド、多孔性ポリフッ化ビニリデン膜等の多孔性ポリマー膜、またはイオン伝導性ポリマー電解質膜等を用いることができる。これらは単独または組み合わせで使用することができる。
また、セパレータとして、セラミックやガラスなどの無機材料からなるセパレータを使用することもできる。無機セパレータとしては、アルミナ、アルミナ−シリカ、チタン酸カリウム等のセラミック短繊維からなる不織布セパレータ、または、織物、不織布、多孔質のフィルムからなる基材と耐熱性含窒素芳香族重合体およびセラミック粉末を含む層とからなるセパレータ、または、表面の一部に耐熱層が設けられており、この耐熱層が、セラミック粉末を含有する多孔質薄膜層、耐熱性樹脂の多孔質薄膜層、またはセラミック粉末と耐熱性樹脂の複合体からなる多孔質薄膜層セパレータ、または、セラミック物質の1次粒子の一部が焼結もしくは溶解再結晶結合されてなる2次粒子がバインダーによって結合されてなる多孔膜の層を備えるセパレータ、または、ポリオレフィン多孔質膜から成る基材層と、この基材層の片面又は両面に形成された耐熱絶縁層を備え、この耐熱絶縁層が、耐酸化性セラミックス粒子と耐熱性樹脂を含むセパレータ、または、セラミックス物質とバインダーが結合して形成される多孔性膜を含み、セラミックス物質として、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、チタン酸化物(TiO)、シリコン(Si)の窒化物、アルミニウム(Al)の水酸化物、ジルコニウム(Zr)のアルコキシド化物、チタン(Ti)のケトン化合物を用いたセパレータ、または、ポリマー基材と、このポリマー基材に形成されたAl、MgO、TiO、Al(OH)、Mg(OH)、Ti(OH)のセラミック含有コーティング層を含むセパレータなどが挙げられる。
<負極>
負極は、金属箔で形成される負極集電体と、負極集電体の両面に塗工された負極活物質とを有する。負極活物質は負極用結着材によって負極集電体を覆うように結着される。負極集電体は、負極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には負極活物質は塗工されない。
本実施形態における負極活物質は、特に制限されるものではなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料、リチウムと合金可能な金属、およびリチウムイオンを吸蔵、放出し得る金属酸化物等が挙げられる。
炭素材料としては、例えば、炭素、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い炭素は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
金属としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。負極活物質として酸化スズ若しくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンは、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、その全部または一部がアモルファス構造を有することが好ましい。アモルファス構造は、結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する要素が比較的少ないと考えられる。なお、金属酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有することは、エックス線回折測定(一般的なXRD測定)にて確認することができる。具体的には、金属酸化物がアモルファス構造を有しない場合には、金属酸化物に固有のピークが観測されるが、金属酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有する場合が、金属酸化物に固有ピークがブロードとなって観測される。
なお、炭素材料、金属、金属酸化物を単独で用いずに、混合して用いることもできる。例えば、黒鉛と非晶質炭素のように、同種の材料同士を混合しても良いし、黒鉛とシリコンのように、異種の材料を混合しても構わない。
負極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜25質量部が好ましい。
負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
<正極>
正極は、金属箔で形成される正極集電体と、正極集電体の両面に塗工された正極活物質とを有する。正極活物質は正極用結着剤によって正極集電体を覆うように結着される。正極集電体は、正極端子と接続する延長部を有して形成され、この延長部には正極活物質は塗工されない。
正極活物質としては、LiMnO、LixMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造を持つマンガン酸リチウムまたはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、LiCoO、LiNiOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの、LiNi1/3Co1/3Mn1/3などの特定の遷移金属が半数を超えないリチウム遷移金属酸化物、これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの、LiFePOなどのオリビン構造を有するもの、等が挙げられる。また、これらの金属酸化物に、Al、Fe,P,Ti,Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。特に、LiαNiβCoγAlδ(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)またはLiαNiβCoγMnδ(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6、γ≦0.2)が好ましい。正極活物質は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ラジカル材料等を正極活物質として用いることも可能である。
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものと用いることができる。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜15質量部が好ましい。
正極集電体24としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、又はそれらの合金を用いることができる。正極集電体の形状としては、例えば、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。正極集電体としては、アルミニウム箔を好適に用いることができる。
正極活物質の塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
<電解液>
本実施形態で用いる電解液は、リチウム塩(支持塩)と、この支持塩を溶解する非水溶媒を含む非水電解液を用いることができる。
非水溶媒としては、炭酸エステル(鎖状又は環状カーボネート)、カルボン酸エステル(鎖状又は環状カルボン酸エステル)、リン酸エステル等の非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
炭酸エステル溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体が挙げられる。
カルボン酸エステル溶媒としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の炭酸エステル(環状または鎖状カーボネート類)が好ましい。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
また、非水電解液に含有できる溶媒としては、その他にも、例えば、エチレンサルファイト(ES)、プロパンサルトン(PS)、ブタンスルトン(BS)、Dioxathiolane−2,2−dioxide(DD)、スルホレン、3−メチルスルホレン、スルホラン(SL)、無水コハク酸(SUCAH)、無水プロピオン酸、無水酢酸、無水マレイン酸、ジアリルカーボネート(DAC)、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、2,5−ジオキサヘキサンニ酸ジメチル、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジフェニルジサルファイド(DPS)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン、クロロエチレンカーボネート、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、フェニルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、テトラヒドロピラン(THP)、1,4−ジオキサン(DIOX)、1,3−ジオキソラン(DOL)、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルジフルオロアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルフォルメイト、エチルフォルメイト、エチルブチレート、イソプロピルブチレート、メチルイソブチレート、メチルシアノアセテート、ビニルアセテート、ジフェニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、アジポニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、イソブチロニトリル、ビフェニル、チオフェン、メチルエチルケトン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、カーボネート電解液、グライム、エーテル、アセトニトリル、プロピオンニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)イオン液体、ホスファゼン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、又は、これらの化合物の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
本実施形態における支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等の通常のリチウムイオン電池に使用可能なリチウム塩を用いることができる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
非水溶媒は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
<外装体>
外装体としては、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウムと樹脂のラミネートフィルムを用いることが好ましい。外装体は、単一の部材で構成してもよいし、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。
本発明の電池要素は、以上のリチウムイオン二次電池の電池要素に限られるものではなく、本発明はどのような電池にも適用可能である。ただし、電池の熱暴走は多くの場合、高容量化した電池において問題になることが多いため、本発明は、高容量化した電池、特にリチウムイオン二次電池に適用することが好ましい。
以上説明したように、本発明の一実施形態による電池1は、
正極端子11および負極端子12が接続された電池要素10と、
正極端子11および負極端子12にそれぞれ接続され、少なくとも一部が互いに対向配置された少なくとも1つの第1電極17aおよび少なくとも1つの第2電極17bと、
第1電極17aと第2電極17bとの互いに対向する部分の間に配置された、熱収縮性または熱溶融性を持つ絶縁部材16と、
正極端子11に接続された第1電極17aの電位が所定の値以上となると酸化還元反応を生じるレドックスシャトル剤と、
を有する。
上記の電池1において、正極端子11と負極端子12との短絡経路中に電気抵抗成分20を有することが好ましい。また、第1電極17aと第2電極17bとの互いに対向する部分、絶縁部材16およびレドックスシャトル剤が容器18に封入されることが好ましい。この場合、絶縁部材16はシート状の部材であり、シート状の部材の一部が容器18に固定されていることがより好ましい。
以下に、本発明の電池の製造方法の一形態について説明する。
本発明の電池の製造方法の一形態は、
電池要素10に正極端子11および負極端子12を接続する工程と、
少なくとも一部が対向配置された少なくとも1つの第1電極17aおよび少なくとも1つの第2電極17bの間に、熱収縮性または熱溶融性を持つ絶縁部材16を配置する工程と、
第1電極17aおよび第2電極17bの周囲に、正極端子11と接続される第1電極17aの電位が所定の値以上となると酸化還元反応を生じるレドックスシャトル剤を配置する工程と、
第1電極17aと第2電極17bとをそれぞれ正極端子11および負極端子12に接続する工程と、
を有する。
上記の製造方法において、第1電極17aと第2電極17bとの互いに対向する部分、絶縁部材16およびレドックスシャトル剤を容器18に封入する工程をさらに有することが好ましい。この場合、絶縁部材16はシート状の部材であり、容器18に封入する工程は、シート状の部材の一部を容器18に固定することを含むことがより好ましい。
本発明による電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車などの電動車両を含む、電車や衛星や潜水艦などの移動・輸送用媒体の電源;UPSなどのバックアップ電源;太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備;などに、利用することができる。
上記の各種機器および蓄電設備の一例として、図9および図10に、それぞれ電気自動車200および蓄電設備300を示す。電気自動車200および蓄電設備300は、それぞれ組電池210、310を有する。組電池210、310は、上述した電池1を複数、直列および並列に接続し、必要とされる容量および電圧を満たすように構成したものである。
1 電池
10 電池要素
11 正極端子
12 負極端子
13 外装体
15 短絡装置
16 絶縁部材
16a、16b 端部
17a 第1電極
17b 第2電極
18 容器
20 抵抗成分
21 (非線形の電流電圧特性を持つ)素子
200 電気自動車
210、310 組電池
300 蓄電設備

Claims (11)

  1. 正極端子および負極端子が接続された電池要素と、
    前記正極端子と前記負極端子との間に接続された短絡装置と、
    を有し、
    前記短絡装置は、前記正極端子に接続された少なくとも1つの第1電極と、前記負極端子に接続され、前記第1電極と対向する部分を持つ少なくとも1つの第2電極と、前記第1電極および前記第2電極対向する部分の間に配置された、熱収縮性または熱溶融性を持つ絶縁部材と、前記第1電極の電位が所定の値以上となると酸化還元反応を生じるレドックスシャトル剤と、を有し、
    前記絶縁部材および前記レドックスシャトル剤は前記電池要素が過充電となる前に前記正極端子と前記負極端子とを短絡させるように選択される電池。
  2. 前記正極端子と負極端子との短絡経路中に電気抵抗成分を有する請求項1に記載の電池。
  3. 前記レドックスシャトル剤は前記第1電極と第2電極との間に存在している請求項1または2に記載の電池。
  4. 前記電池要素を封入する外装体をさらに有する請求項1から3のいずれか一項に記載の電池。
  5. 前記第1電極と第2電極との互いに対向する部分、前記絶縁部材および前記レドックスシャトル剤を封入する容器をさらに有する請求項4に記載の電池。
  6. 前記絶縁部材はシート状の部材であり、前記シート状の部材の一部が前記容器に固定されている請求項5に記載の電池。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の電池を有する電動車両。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載の電池を有する蓄電設備。
  9. 電池要素に正極端子および負極端子を接続する工程と、
    前記正極端子と前記負極端子との間に短絡装置を接続する工程と、
    を有し、
    前記短絡装置を接続する工程は、少なくとも1つの第1電極少なくとも1つの第2電極とを互いに対向する部分を持って配置する工程と、前記第1電極と前記第2電極との間に、熱収縮性または熱溶融性を持つ絶縁部材を配置する工程と、前記第1電極および第2電極の周囲に、前記第1電極の電位が所定の値以上となると酸化還元反応を生じるレドックスシャトル剤を配置する工程と、前記第1電極および第2電極をそれぞれ前記正極端子および前記負極端子に接続する工程と、を有し、
    前記絶縁部材および前記レドックスシャトル剤は、前記電池要素が過充電となる前に前記正極端子と前記負極端子とを短絡させるように選択される電池の製造方法。
  10. 前記第1電極および第2電極の互いに対向する部分、前記絶縁部材および前記レドックスシャトル剤を容器に封入する工程をさらに有する請求項9に記載の電池の製造方法。
  11. 前記絶縁部材はシート状の部材であり、前記容器に封入する工程は、前記シート状の部材の一部を前記容器に固定することを含む請求項10に記載の電池の製造方法。
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