次に、図面を参照しながら本発明の一実施形態の蒸着装置及び蒸着方法が説明される。本実施形態の蒸着装置は、全体の構成例が図3Aに、その電磁石3の一例の構造例が図1に示されている。図3Aに示されるように、電磁石3と、電磁石3の一つの磁極と対向する位置に設けられるべき被蒸着基板2を保持する基板ホルダー29と、基板ホルダー29により保持される被蒸着基板2の電磁石3と反対面に設けられ、磁性体を有する蒸着マスク1と、蒸着マスク1と対向させて設けられ、蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源5と、を含んでいる。さらに、図1〜2に示されるように、電磁石3が、第1の向きの磁界(磁場)を発生させる第1の電磁石3Aと、第1の向きと逆向きの磁界(磁場)を発生させる第2の電磁石3Bとを有している。
ここで、本発明者は、蒸着マスク1と被蒸着基板2との密着性(良好な接近性)を得るため、図3Aに示されるような構成で、電磁石3に代えて永久磁石を用い、その永久磁石と、タッチプレート4と、被蒸着基板2と蒸着マスク1とを重ねて、磁束と、蒸着マスク1と被蒸着基板2との間のギャップとの関係を調べた。その結果が図4に示されている。なお、永久磁石は、一面に磁場が生じ、他面には磁場が生じない(磁場が0)シートマグネットを用いた。磁場の異なる3枚の永久磁石を準備し、3枚の永久磁石を交換して蒸着マスク1の面での磁界と、被蒸着基板2と蒸着マスク1とのギャップとの関係を調べた。蒸着マスク1としては、ハイブリッド型のマスクを用いた。なお、ギャップと有機材料の堆積状態との関係を確認した結果から、被蒸着基板2と蒸着マスク1とのギャップは、小さいほど好ましく、3μm以下であれば所望の堆積状態にできることが分っている。
そこで、図4に示される調査結果から、磁石の磁束密度B(B=μH;μは透磁率、Hは磁場の強さ)は大きいほど好ましいことが分る。しかし、本発明者は、前述のように、蒸着マスク1を電磁石3で強い磁場によって吸着し、被蒸着基板2と蒸着マスク1とを充分に接近させると、被蒸着基板2に形成されているTFTなどの素子が破損したり、性能が劣化したり、さらには有機層の特性が劣化し得ることを見出した。本発明者は、さらに鋭意検討を重ねてその原因を調べた結果、電磁石3の電磁コイル(以下、第1の電磁コイルともいう)32に電流を投入する際に、電磁誘導による起電力で被蒸着基板2に形成されたTFT(図示せず)などの回路に過電流が流れることを見出した。そして、本発明者は、その過電流や、その過電流で電極22(図5又は図6参照)などに発生するジュール熱によって、TFTや有機層25(図6参照)が破壊したり、劣化したりすることを見出した。
すなわち、例えば図3Dに従来の電磁石3の一例が示されるように、電磁石3の電磁コイル32に電流を流すと、磁場Hが右ねじの法則によって一定の方向に発生する。この磁場Hによって磁性体を吸着する性質を有している。しかし、この電流を印加する際に、急速に(ほぼ瞬間的に)電流が流れ、電磁石3によって発生する磁束Φ(Φ=BS=μHS;Sはコア31の断面積)が急速に増加する。磁束Φが急速に変化すると、V∝−dΦ/dtに相当する起電力が発生する。電磁コイル32に電流を投入した際に、電流が0から所定の電流に達するまでの時間(立上り時間)Δtは、電磁石3の自己インダクタンスの大きさに依存するが、通常の電磁石3では、10μs(秒)程度となる。Δtは非常に小さいため、微小時間dtをこのΔtで近似し得る。そのため、例えば300ガウス程度の磁束をこの時間Δtで変化させると、30MV程度の起電力が電磁誘導により発生することになる。この起電力によって、被蒸着基板2内の閉回路に電流が流れ、TFTなどを損傷することになる。この起電力Vは、前述の式からも分るように、磁束Φの変化が大きいほど大きくなる。電磁石3の電磁コイル32は自己インダクタンスを有するため磁束Φの変化は抑制されるが、それでも前述の30MV程度という大きな誘導起電力が発生し、このような誘導起電力は、素子の破損や特性劣化に影響することを示している。さらには、ジュール熱の量Q(J)として、Q=V2・t/Rで示される熱が発生する(R:被蒸着基板2内の閉回路の電気抵抗(Ω))。このジュール熱の発生によって、高温に弱い有機材料はその特性を劣化させることがある。
そして、本発明者がさらに鋭意検討を重ねて調べた結果、電磁石3によって生じる起磁力(N・I;Nはコイルの巻数、Iは電磁コイル32に流れる電流の大きさ)が徐々に大きくなるように変化させることによって、発生する磁束の変化が緩やかになって、このような問題を解決し得ることを見出した。すなわち、磁束Bの変化は、電磁石3の電磁コイル32への電流の投入時及び電流をオフにする際に発生するだけであり、電流が安定すればその電流及びコイルの巻数に応じた磁場が安定して生じ、磁性体を吸着し続ける。従って、磁束Bの変化は、電流の投入時及び切断時のみで、その時間は前述のように、10μs程度の時間であり、例えば1ms(ミリ秒)程度で所定の電流になれば、全く問題は生じない。従って、例えば図3Cに示されるように、第1の電磁コイル32の一部を逆向きに巻回し、第1の電磁石3Aと、これと逆向きの巻回の部分の第2の電磁石3Bとを形成し、電流の投入後に第2の電磁石3Bをオフにすることによって、電磁誘導の発生による問題を解消し得ることを本発明者は見出した。
第1の電磁石3Aによって所定の磁場Hが発生するが、電流の投入によって第2の電磁石3Bにも電流が流れる。この第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35は、第1の電磁石3Aの電磁コイル32と連続しているため、同時に電流が流れる。しかし、第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35は、第1の電磁石3Aの第1の電磁コイル32とコイルの巻き方向が反転している。そのため、この第2の電磁石3Bによって発生する磁場H0は、図の下向きで、第1の電磁石3Aの磁場Hとは逆向きになる。その結果、前述の第1の電磁石3Aによって発生する磁場Hを打ち消すことになり、電流投入時の発生磁場は(H−H0)になる。前述のように、電磁誘導による起電力は、磁束B、すなわち磁場Hの変化の速さに比例するので、磁場(H−H0)が小さくなれば、電磁誘導による起電力が小さくなる。その結果、電磁誘導の影響が小さくなる。従って、電流投入時の電磁誘導による影響を避けることができる。
例えば第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35の巻数を第1の電磁石3Aの半分程度にしておけば、電流投入時の発生磁場は半分程度になる。すなわち、電磁誘導による起電力も半分程度になる。そして、電流の投入後に第2の電磁石3Bをオフにすることによって、本来の蒸着マスク1の吸着のための磁場Hが得られる。そのため、蒸着マスク1の吸着には何ら影響はない。この第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35の巻数は、せいぜい第1の電磁石3Aの電磁コイル32の巻数の1/3〜2/3程度の巻数で形成されればよい。第2の電磁石3Bをオフにすることによって発生する逆向きの電磁誘導が問題になる場合には、第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35に複数の端子を設けて段階的にオフにすることもできる。
また、第2の電磁石3Bとしては、図3Cに示されるように、第1の電磁石3Aと同じコア31を延長して第2の電磁コイル35を巻回させなくても、第1の電磁石3Aの電磁コイル32の外周に絶縁させて直接巻回するか、又は第1の電磁石3Aを空心の電磁石にして、その内部に巻き方向を逆にした第2の電磁石3Bを挿入するか、又は空心の第2の電磁石3Bの内周に第1の電磁石3Aが挿入されてもよい。以下に、この磁界の方向の異なる2つの電磁石3A、3Bの関係が、さらに詳細に説明される。
(実施例1)
図1に示される例は、前述の図3Cに示される例と同様の構成であるが、この例は、電磁石3の断面図で、第1及び第2の電磁コイル32、35への電流の向きが×(下向き)と・(上向き)で示されている。さらに、この例では、第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35に複数の端子35a、35b、35cが形成され、その端子を切り替えて徐々に第2の電磁石3Bを減らすことができる。第1及び第2の電磁コイル32、35の電気抵抗は非常に小さいため、電源回路6の電圧に対して、第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35がオフにされても、残る第1の電磁石3Aの電流は殆ど変らない。そのため、第1の電磁石3Aによる発生磁界Hはそのまま得られる。一方、電流の投入時(メインスイッチ60のオン時)には、第2の電磁コイル35も動作する。前述のように、第1の電磁石3Aの電磁コイル32と、第2の電磁石3Bの第2の電磁コイル35とは連続しているため、電流は同時に両方に流れる。しかし、第2の電磁コイル35は巻き方向が逆であるため、逆向きの磁場H0を発生する。従って、電流投入時(メインスイッチ60のオン時)に生成される磁場は小さくなり、電磁誘導による悪影響を防止することができる。
なお、第1の電磁石3Aの電磁コイル32よりも第2の電磁コイル35の巻数は少ないので、第2の電磁石3Bをオフにすることによって発生し得る電磁誘導の逆向きの起電力による影響は小さい。しかし、必要に応じて第2の電磁石3Bの切断を段階的に行うことによってその影響は限りなく小さくなり得る。この段階的なオフは、図1に示されるように、第2の電磁コイル35に複数の端子35a、35b、35cが形成され、切替スイッチ61によって順次切り替えられることによって得られる。この第2の電磁石3Bのオフ時のスピードは、時間的にμ秒という短時間の制約を受けるものではなく、例えば手動によるスライドスイッチの切替でもよい。極端な言い方をすれば、秒オーダや分オーダの時間をかけても何ら問題はない。しかも、電流投入のメインスイッチ60と連動して切替スイッチ61をスライドさせる回路を組み込むこともできる。
この第2の電磁石3Bの切断は、例えば図1に示されるように、端子35a、35b、35cを形成しておき、電流投入時には、切替スイッチ61が端子35cと接続された状態にしておき、電流投入後に切替スイッチ61と接続する端子を、端子35b、35aとスライドさせることによって第2の電磁石3Bの動作を徐々に減らすことができる。この端子の数は、3個に限定される訳ではなく、何個でも形成され得る。
また、例えば被蒸着基板2と蒸着マスク1との位置合わせの際には、この両方の電磁石3A、3Bを動作させた弱い磁場の状態で行い、セッティングが終った後で第2の電磁石3Bが徐々に切断されてもよい。そうすることによって、被蒸着基板2と蒸着マスク1とをある程度接近させた状態で位置合せをすることができ、正確な位置合せが行われやすい。しかも、位置合せ後に磁場が印加される場合にも、徐々に磁場が印加され、相互の位置ずれなども生じ難い。
このような第2の電磁石3Bが並置される構造であれば、蒸着が終了して第1の電磁石3Aをオフにする場合でも、電流投入時と逆の動作、すなわち第2の電磁石3Bの切替スイッチ61を端子35aから順次端子35cに切り替えて第2の電磁石3Bを動作させてから、電源回路6のメインスイッチ60をオフにし得る。そうすることで、被蒸着基板2の取り外しの際にも、電磁誘導の影響を全く受けることなく、電磁石3の磁界を簡単に解除し得る。すなわち、電磁石3の電流をオフにする際にも、電流の投入時と全く同じ電磁誘導の問題が生じやすいが、本実施形態によれば、その問題も解消し得る。
前述の例では、コア31を長くして第2の電磁石3Bが形成されたが、前述のように、この例に限らず、コイル同士の電気的絶縁が得られれば、第1の電磁石3Aの電磁コイル32の上に多重に第2の電磁コイル35が巻きつけられてもよい。また、第2の電磁石3Bが第1の電磁石3Aの内部もしくは外周部に形成されてもよい。いずれの場合でも、第1の電磁石3Aの電磁コイル32と、第2の電磁コイル35とは接続されることが好ましい。同時に電流を印加し得るからである。
(実施例2)
前述の図1に示される例では、同じコア31に巻回される第1及び第2の電磁コイル32、35の巻回方向を変えることによって第1及び第2の電磁石3A、3Bが形成されている。しかし、同じコアに2種類の電磁コイルが巻回される必要はない。例えば、図2に示されるように、第1の電磁石3A(3A1、3A2)が複数個の単位電磁石3A1、3A2で形成されており、その一部又は全体の外周に第2の電磁石3Bが形成されてもよい。この例では、2個の単位電磁石3A1、3A2の外側に、設けられた筒体36の回りに第3の電磁コイル38が第1の電磁石3Aと逆向きの磁界を発生させるように巻回されている。第1の電磁石3A1、3A2の電磁コイル32が直列に接続されているが、並列接続でも構わない。しかし、巻き方向は同じ方向に形成されている。一方、第2の電磁石3Bの第3の電磁コイル38は、第1の電磁石3Aの電磁コイル32と逆向きで、かつ、直列に接続されていることが好ましい。電流の投入が同時に行われる必要があるからである。
図2に示される例でも、図1の場合と同様に、第3の電磁コイル38に複数の端子38a、38b、38cが形成されており、切替スイッチ61によって、その接続が切り替えられるようになっている。他の構成は、前述の図1に示される例と同じであり、同じ部分には同じ符号を付して、その説明は省略される。
本発明の一実施形態の蒸着装置は、図3Aに示されるように(電源回路6は図示されていない)、タッチプレート4上に載置される電磁石3と、電磁石3の一方の磁極の面にタッチプレート4を介して被蒸着基板2を保持できるように設けられる基板ホルダー29と、基板ホルダー29により保持される被蒸着基板2の電磁石3と反対面に設けられる蒸着マスク1と、蒸着マスク1と対向するように設けられ、蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源5とを有している。そして、蒸着マスク1が磁性体からなる金属層(金属支持層12:図3B参照)を有し、電磁石3は、蒸着マスク1が有する金属支持層12を吸着するように電磁コイル32、35に電流を印加する電源回路6(図1〜2、3C参照)に接続されている。蒸着マスク1は、マスクホルダー15上に載置されており、基板ホルダー29、及び、タッチプレート4を保持する支持フレーム41はそれぞれ上に持ち上げられるようになっている。そして、図示しないロボットアームにより運搬された被蒸着基板2が基板ホルダー29上に載せられ、基板ホルダー29が下げられることにより、被蒸着基板2が蒸着マスク1と接触する。さらに支持フレーム41を下げることにより、タッチプレート4が被蒸着基板2と重ね合される。その上に、電磁石3が図示しない電磁石支持部材の操作によりタッチプレート4上に装着される。なお、タッチプレート4は、被蒸着基板2を平坦にすると共に、図示されていないが内部に冷却水を循環させることにより、被蒸着基板2及び蒸着マスク1を冷却するために設けられている。このタッチプレート4は、蒸着マスク1の面での磁界の面内分布を均一にするために材質や厚さが定められる。
電磁石3は、図3Cに概略図が示されるように、鉄心などからなるコア(磁心)31の周囲に第1及び第2の電磁コイル32、35が巻回されている。第2の電磁コイル35は、前述のように、第1の電磁石3Aの電磁コイル32と逆向きに巻回されている。図3Aは、例えば蒸着マスク1の大きさが、1.5m×1.8m程度の大きさになるので、図3Cに示される単位電磁石の断面が5cm角程度の大きさの磁心31を有する電磁石3が、蒸着マスク1の大きさに合せて複数個(個々の電磁石を単位電磁石という)並べて配置された構造を示している(図3Aでは、横方向が縮尺され、単位電磁石の数が少なく描かれている)。図3Aに示される例では、各磁心31に巻回される第1及び第2の電磁コイル32、35が直列に接続され、さらに複数個の単位電磁石が直列に接続されている。すなわち、単位電磁石の端子32b、32c、32dで直列に接続され、全体の両端の端子32a、32eが図示しない電源回路に接続されている。しかし、それぞれの単位電磁石の電磁コイル32が並列に接続されてもよい。また、数個単位が直列に接続されてもよい。単位電磁石の一部に独立して電流が印加されてもよい。しかし、電流の印加は、複数個の単位電磁石で同時に行われることが好ましい。
この電磁石3の電磁コイル32に直流電流が流されると、図3Dに示されるように、右ネジの法則により磁界Hが発生する。その磁界H内に磁性体が置かれると、磁界Hの大きさに応じた磁気が磁性体に誘起される。この磁界Hの大きさは、前述のように、電磁コイル32の巻数Nと流れる電流の大きさIの積N・Iで定まる。従って、電磁コイル32の巻数Nを多くするほど、また電流Iを大きくするほど大きな起磁力N・Iを得ることができる。しかし、このN・Iの変化の割合に応じて電磁誘導が発生するので、前述のように、この変化が大きすぎるとトラブルが生じる。そこで、この急激な磁界Hの変化にならないように、前述の第2の電磁石3B(図3C参照)が形成される。
図3Aに示される例では、単位電磁石の周囲がシリコーンゴム、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂33で固定されている。この樹脂33は必ずしも必要ではないが、単位電磁石を固定することができ、電磁石3の取り扱いが容易になる。しかし、本実施形態では、この電磁石3は真空状態で使用されるものであるので、単位電磁石を樹脂33で固めるのではなく、周囲を素通しにして熱放射で電磁石3を冷却し得るようにされてもよい。このとき、電磁石3の表面が、アルマイト処理等の黒色化処理がされた処理面であることが好ましい。また、電磁石3の表面が、例えば算術平均粗さRaで、10μm以上の粗面とされた粗面化処理面であってもよい。すなわち、表面粗さがRa10μm以上になるように、表面の粗面化処理が行われることが好ましい。表面粗さがRa10μmということは、粗面化によって形成される凸部が理想的な半球であるとすると、表面積が2.18倍になる。その結果、放熱効果も2倍以上になる。冷却装置は、このような熱放射又は前述のような水冷をすることができる装置の他、上述の電磁石3の処理面が形成された表面を有する電磁石3も含む広義の意味である。連続して電流が多く流される場合には、電磁石3が発熱する可能性があり、そのような場合は、電磁石3を水冷で冷却することが好ましい。例えば、前述の樹脂33内に水冷管を埋め込み冷却水を流すことが考えられる。
図3Aに示されるように、蒸着装置には基板ホルダー29及びマスクホルダー15が設けられている。この基板ホルダー29は、複数のフック状のアームで被蒸着基板2の周縁部を保持し、上下に昇降できるように、図示しない駆動装置に接続されている。ロボットアームによりチャンバー内に搬入された被蒸着基板2をフック状のアームで受け取り、被蒸着基板2が蒸着マスク1に近接するまで基板ホルダー29が下降する。そして位置合せを行えるように図示しない撮像装置も設けられている。タッチプレート4は支持フレーム41により支持され、タッチプレート4を被蒸着基板2と接するまで下降させる駆動装置に支持フレーム41を介して接続されている。タッチプレート4が下降されることにより、被蒸着基板2が平坦にされる。蒸着装置は、本実施形態の蒸着マスク1と被蒸着基板2との位置合せの際に、蒸着マスク1と被蒸着基板2のそれぞれに形成されたアライメントマークを撮像しながら、被蒸着基板2を蒸着マスク1に対して相対的に移動させる微動装置も備えている。位置合せは、電磁石3により蒸着マスク1を不必要に吸着させないように、電磁石3への通電を止めた状態で行われる。前述のように、本実施形態によれば、この位置合せの際に第1及び第2の電磁石3A、3Bの両方を動作させて行うことによって、弱い磁界の下で、接近させて位置合せが行われ得る。なお、図示されていないが、蒸着装置は、図3Aに示される装置の全体がチャンバー内に入れられ、内部を真空にする装置も備えられている。
蒸着マスク1は、図3Bに示されるように、樹脂フィルム11と金属支持層12と、その周囲に形成されるフレーム(枠体)14を備えており、蒸着マスク1は、図3Aに示されるように、フレーム14が、マスクホルダー15上に載置される。金属支持層12に磁性材料が用いられる。その結果、電磁石3の磁心31との間で吸引力が働き、被蒸着基板2を挟んで吸着される。なお、金属支持層12は強磁性体で形成されてもよい。この場合、金属支持層12は、電磁石3の強い磁界によって、着磁(外部磁界が除去されても強い磁化が残留する状態)される。このような強磁性体が用いられていると、電磁石3と蒸着マスク1とを分離する際に、電磁石3に逆向きの電流を流した方が分離しやすい。このような着磁のための強い磁界を生成する場合でも、本実施形態によって、電磁誘導による支障は生じない。また、電磁石3と蒸着マスク1とを分離する際に、第1及び第2の電磁石3A、3Bの両方を動作させて行うことができる。
金属支持層12としては、例えばFe、Co、Ni、Mn又はこれらの合金が用いられ得る。その中でも、被蒸着基板2との線膨張率の差が小さいこと、熱による膨張が殆どないことから、インバー(FeとNiの合金)が特に好ましい。金属支持層12の厚さは、5μm〜30μm程度に形成される。
なお、図3Bでは、樹脂フィルム11の開口11aと金属支持層12の開口12aが被蒸着基板2(図3A参照)側へ向かって先細りするようなテーパ形状になっている。その理由が以下に説明される。蒸着源5は、点状、線状、面状など、種々の蒸着源5が用いられ得る。例えばるつぼが線状に並べて形成されたライン型の蒸着源5(図3Aの紙面と垂直方向に延びている)が、例えば紙面の左端から右端まで走査されることにより、被蒸着基板2の全面に蒸着が行われる。この蒸着源5は、前述のように、るつぼの形状により定まる蒸着材料の放射ビームの断面形状が、一定角度θで広がる断面扇形の形状で、蒸着材料を放射する。この扇形の断面形状の側面付近の蒸着粒子でも、金属支持層12や樹脂フィルム11に遮られることなく、被蒸着基板2の所定の場所に届くように、金属支持層12及び樹脂フィルム11の開口12a及び開口11aがテーパ状に形成されている。金属支持層12の開口12aが大きく形成されればテーパ状でなくてもよい。
(蒸着方法)
次に、本発明の一実施形態による蒸着方法が説明される。本発明の一実施形態の蒸着方法は、前述の図3Aに示されるように、電磁石3と、被蒸着基板2と、磁性体を有する蒸着マスク1とを重ね合せ、かつ、電源回路6(図1〜2参照)からの電磁石3への通電によって被蒸着基板2と蒸着マスク1とを吸着させる工程、及び蒸着マスク1と離間して配置される蒸着源5からの蒸着材料51の飛散によって被蒸着基板2に蒸着材料51を堆積する工程、を含んでいる。そして、電磁石3が、第1の向きの磁界を発生させる第1の電磁石3Aと、第1の向きと逆向きの磁界を発生させる第2の電磁石3Bとを有し、第1及び第2の電磁石3A、3Bの同時の通電の後に第2の電磁石3Bをオフにすることにより行われる。電磁石3による吸着の前に、蒸着マスク1と被蒸着基板2との位置合せが行われてもよい。
前述のように、蒸着マスク1の上に被蒸着基板2が重ねられる。この被蒸着基板2と蒸着マスク1との位置合せが次のように行われる。被蒸着基板2と蒸着マスク1のそれぞれに形成された位置合せ用のアライメントマークを撮像装置で観察しながら、被蒸着基板2を蒸着マスク1に対して相対的に移動させることにより行われる。この際、前述のように、第1及び第2の電磁石3A、3Bを共に動作させた状態であれば、弱い磁界で被蒸着基板2と蒸着マスク1とを接近させて行える。しかし、磁界を全く発生させないで位置合せがされてもよい。この方法により、蒸着マスク1の開口11aと被蒸着基板2の蒸着場所(例えば後述される有機EL表示装置の場合、装置基板の第1電極22のパターン)とを一致させることができる。位置合せされた後に、第2の電磁石3Bがオフにされるか、第1及び第2の電磁石3A、3Bを動作させてから第2の電磁石3Bがオフにされる。磁束が安定したら、その磁束が維持され、電磁誘導の発生も殆どなく、安定した磁場が得られる。その結果、電磁石3と蒸着マスク1との間で強い吸引力が働き、被蒸着基板2と蒸着マスク1とがしっかりと接近する。
その後、図3Aに示されるように、蒸着マスク1と離間して配置される蒸着源5からの蒸着材料51の飛散(気化又は昇華)によって被蒸着基板2に蒸着材料51が堆積される。具体的には、前述のように、るつぼなどか線状に並べて形成されたラインソースが用いられるが、これには限定されない。例えば有機EL表示装置を作製する場合、開口11aが一部の画素に形成された蒸着マスク1が複数種類用意され、その蒸着マスク1が取り換えられて複数回の蒸着作業で有機層が形成される。
この蒸着方法によれば、電磁石3により生成される磁界(磁束)は、電流の印加の初期では、第1の電磁石3Aと第2の電磁石3Bとの相殺によって、磁界(磁場)が小さく、電磁誘導による起電力が抑制される。しかし、第2の電磁石3Bのオフによって、磁界は本来の磁界となり、強い吸着力によって被蒸着基板2と蒸着マスク1との接近は充分に得られる。この第2の電磁石3Bのオフは、一度に行われないで、段階的に行われてもよい。その結果、電磁誘導により被蒸着基板2に流れる過電流が抑制され、被蒸着基板2に形成された素子や有機材料などへの影響を抑制することができる。
本実施形態では、蒸着が完了して被蒸着基板2を取り外すために、電磁石3をオフにする場合にも、電流の投入と逆の方法で行える。すなわち、第2の電磁石3Bを動作させてから、電磁石3がオフにされることが好ましい。第1の電磁石3Aがオフにされる場合に、急激に電流が所定の値から0に変化するため、電流投入時とは逆向きの電磁誘導が発生するが、その電磁誘導が小さく制御され得る。
(有機EL表示装置の製造方法)
次に、上記実施形態の蒸着方法を用いて有機EL表示装置を製造する方法が説明される。蒸着方法以外の製造方法は、周知の方法で行えるため、本発明の蒸着方法により有機層を積層する方法を主として、図5〜6を参照しながら説明される。
本発明の一実施形態の有機EL表示装置の製造方法は、支持基板21の上に図示しないTFT、平坦化膜及び第1電極(例えば陽極)22を形成し、その一面に蒸着マスク1を位置合せして重ね合せ、蒸着材料51を蒸着するに当たり、前述の蒸着方法を用いて有機層の積層膜25を形成することを含んでいる。積層膜25上に第2電極26(図6参照;陰極)が形成される。
例えばガラス板などの支持基板21は、完全には図示されていないが、各画素のRGBサブ画素ごとにTFTなどの駆動素子が形成され、その駆動素子に接続された第1電極22が、平坦化膜上に、AgあるいはAPCなどの金属膜と、ITO膜との組み合わせにより形成されている。サブ画素間には、図5〜6に示されるように、サブ画素間を区分するSiO2又はアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などからなる絶縁バンク23が形成されている。このような支持基板21の絶縁バンク23上に、前述の蒸着マスク1が位置合せして固定される。この固定は、前述の図3Aに示されるように、例えば支持基板21の蒸着面と反対側にタッチプレート4を介して設けられる電磁石3を用いて、吸着することにより行われる。前述のように、蒸着マスク1の金属支持層12(図3B参照)に磁性体が用いられているので、電磁石3により磁界が与えられると、蒸着マスク1の金属支持層12が磁化して磁心31との間で吸引力が生成する。電磁石3が磁心31を有しない場合でも、電磁コイル32に流れる電流により発生する磁界によって吸着される。この際、前述のように、電流投入時には、第1及び第2の電磁石3A、3Bを同時に動作させることによって、急激な磁束変化は生じない。従って、電磁誘導による起電力の影響が抑制される。なお、蒸着マスク1の開口11aは絶縁バンク23の表面の間隔よりも小さく形成されている。絶縁バンク23の側壁には有機材料ができるだけ被着しないようにし、有機EL表示装置の発光効率の低下の防止が図られている。
この状態で、図5に示されるように、蒸着装置内で蒸着源(るつぼ)5から蒸着材料51が飛散され、蒸着マスク1の開口11aが形成された部分のみの支持基板21上に蒸着材料51が蒸着され、所望のサブ画素の第1電極22上に有機層の積層膜25が形成される。前述のように、蒸着マスク1の開口11aは、絶縁バンク23の表面の間隔より小さく形成されているので、絶縁バンク23の側壁には蒸着材料51は堆積されにくくなっている。その結果、図5〜6に示されるように、ほぼ、第1電極22上のみに有機層の積層膜25が堆積される。この蒸着工程は、順次蒸着マスク1が交換され、各サブ画素に対して行われてもよい。複数のサブ画素に同時に同じ材料が蒸着される蒸着マスク1が用いられてもよい。蒸着マスク1が交換される場合には、図5には図示されていない電磁石3(図3A参照)により蒸着マスク1の金属支持層12(図3B参照)への磁界を除去するように電源回路6(図1〜2参照)がオフにされる。この際にも、支持基板21に形成されるTFTなどの素子が電磁誘導の影響を抑制できるように第2の電磁石3Bが動作されてから電源回路6がオフにされることが好ましい。
図5〜6では、有機層の積層膜25が単純に1層で示されているが、有機層の積層膜25は、異なる材料からなる複数層の積層膜25で形成されてもよい。例えば陽極22に接する層として、正孔の注入性を向上させるイオン化エネルギーの整合性の良い材料からなる正孔注入層が設けられる場合がある。この正孔注入層上に、正孔の安定な輸送を向上させると共に、発光層への電子の閉じ込め(エネルギー障壁)が可能な正孔輸送層が、例えばアミン系材料により形成される。さらに、その上に発光波長に応じて選択される発光層が、例えば赤色、緑色に対してはAlq3に赤色又は緑色の有機物蛍光材料がドーピングされて形成される。また、青色系の材料としては、DSA系の有機材料が用いられる。発光層の上には、さらに電子の注入性を向上させると共に、電子を安定に輸送する電子輸送層が、Alq3などにより形成される。これらの各層がそれぞれ数十nm程度ずつ積層されることにより有機層の積層膜25が形成されている。なお、この有機層と金属電極との間にLiFやLiqなどの電子の注入性を向上させる電子注入層が設けられることもある。本実施形態では、これらも含めて有機層の積層膜25と言っている。このような積層膜25は、電磁誘導の影響を受ける可能性があるが、本実施形態では、前述のように電流の投入又は切断の際に、第1の電磁石3Aと逆向きの磁界を発生させる第2の電磁石3Bを動作させているので、磁界の急激な変化は生じない。その結果、電磁誘導の影響が抑制される。
有機層の積層膜25のうち、発光層は、RGBの各色に応じた材料の有機層が堆積される。また、正孔輸送層、電子輸送層などは、発光性能を重視すれば、発光層に適した材料で別々に堆積されることが好ましい。しかし、材料コストの面を勘案して、RGBの2色又は3色に共通して同じ材料で積層される場合もある。2色以上のサブ画素で共通する材料が積層される場合には、共通するサブ画素に開口が形成された蒸着マスク1が形成される。個々のサブ画素で蒸着層が異なる場合には、例えばRのサブ画素で1つの蒸着マスク1を用いて、各有機層を連続して蒸着することができる。また、RGBで共通の有機層が堆積される場合には、その共通層の下側まで、各サブ画素の有機層の蒸着がなされ、共通の有機層のところで、RGBに開口が形成された蒸着マスク1を用いて一度に全画素の有機層の蒸着がなされる。なお、大量生産する場合には、蒸着装置のチャンバーが何台も並べられ、それぞれに異なる蒸着マスク1が装着されていて、支持基板21(被蒸着基板2)が各蒸着装置を移動して連続的に蒸着が行われてもよい。
LiF層などの電子注入層などを含む全ての有機層の積層膜25の形成が終了したら、前述のように、電磁石3の電源回路6をオフにし蒸着マスク1から電磁石3が分離される。その後、第2電極(例えば陰極)26が全面に形成される。図6に示される例は、トップエミッション型で、図中支持基板21と反対面から光を出す方式になっているので、第2電極26は透光性の材料、例えば、薄膜のMg-Ag共晶膜により形成される。その他にAlなどが用いられ得る。なお、支持基板21側から光が放射されるボトムエミッション型の場合には、第1電極22にITO、In3O4などが用いられ、第2電極26としては、仕事関数の小さい金属、例えばMg、K、Li、Alなどが用いられ得る。この第2電極26の表面には、例えばSi3N4などからなる保護膜27が形成される。なお、この全体は、図示しないガラス、樹脂フィルムなどからなるシール層により封止され、有機層の積層膜25が水分を吸収しないように構成される。また、有機層はできるだけ共通化し、その表面側にカラーフィルタを設ける構造にすることもできる。
(まとめ)
(1)本発明の第1の実施形態に係る蒸着装置は、電磁石と、前記電磁石の一つの磁極と対向する位置に設けられ、被蒸着基板を保持する基板ホルダーと、前記基板ホルダーによって保持される前記被蒸着基板の前記電磁石と反対面に対向する位置に設けられ、磁性体を有する蒸着マスクと、前記蒸着マスクと対向させて設けられ、蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源と、前記電磁石を駆動する電源回路と、を有する蒸着装置であって、前記電磁石が、第1の向きの磁界を発生させる第1の電磁石と、前記第1の向きと逆向きの磁界を発生させる第2の電磁石とを有している。
本発明の一実施形態の蒸着装置によれば、電磁石で蒸着マスクを吸着する構成にしているので、被蒸着基板と蒸着マスクとの位置合せは、磁場の印加なしで、又は弱い磁場で容易に行うことができる。また、磁場の印加によって、その間に挟まれる被蒸着基板と蒸着マスクとが充分に接近され得る。しかも、本実施形態では、電磁石が第1の向きの磁界を発生させる第1の電磁石と、第1の向きとは逆向きの第2向きの磁界を発生させる第2の電磁石とを含んでいる。そのため、電流の投入時に第2の電磁石の動作によって磁界は弱くされ得る。そうすることによって、電磁石に電流を投入しても、被蒸着基板に形成されるTFTなどの素子が、電流の投入によって発生する電磁誘導の影響を受けるのを抑制し得る。
(2)前記電源回路は、前記第1及び第2の電磁石の同時の通電後に前記第2の電磁石の通電をオフにする切替スイッチを有することによって、前述の通電開始時に電磁誘導の影響を避けながら、通常の動作時には所望の磁界を得ることができる。
(3)前記第1の電磁石に対応する第1の電磁コイルと、前記第2の電磁石に対応する第2の電磁コイルとが直列に接続され、前記第2の電磁コイルは前記第1の電磁コイルよりも少ない巻数で、かつ、前記第1の電磁コイルと逆向きに巻回されていてもよい。2つの電磁コイルが直列に接続されることによって、2つの電磁石に同時に電流を印加することができる。また、第2の電磁コイルによって、第1の電磁コイルによる磁界の一部が相殺される。
(4)前記第2の電磁コイルは両端の端子の他に、前記第2の電磁コイルの中間に第3端子を有し、前記切替スイッチは前記第2の電磁コイルの端子の切り替えによって段階的に前記第2の電磁石の通電をオフにしてもよい。第2の電磁石をオフにすることによって発生し得る電磁誘導の影響を避けることができる。
(5)前記第1の電磁石が単位電磁石を複数個配列することで形成され、前記第2の電磁石が前記単位電磁石の複数個を取り囲むように巻回される第3の電磁コイルによって形成されてもよい。電磁石のスペースによって選択し得る。
(6)前記第3の電磁コイルは両端の端子の他、前記第3の電磁コイルの中間に第3端子を有し、前記切替スイッチは前記第3の電磁コイルの端子の切り替えによって段階的に前記第2の電磁石の通電をオフにすることもできる。前述のように、段階的に第2の電磁石をオフにすることができる。
(7)また、本発明の第2の実施形態の蒸着方法は、電磁石と、被蒸着基板と、磁性体を有する蒸着マスクとを重ね合せ、かつ、電源回路からの前記電磁石への通電によって前記被蒸着基板と前記蒸着マスクとを吸着させる工程、及び前記蒸着マスクと離間して配置される蒸着源からの蒸着材料の飛散によって前記被蒸着基板に前記蒸着材料を堆積する工程、を含み、前記電磁石が、第1の向きの磁界を発生させる第1の電磁石と、前記第1の向きと逆向きの磁界を発生させる第2の電磁石とを有し、前記第1及び第2の電磁石の同時の通電の後に前記第2の電磁石をオフにすることを含んでいる。
本発明の第2の実施形態の蒸着方法によれば、電磁石への電流の投入時には、第1の電磁石と第2の電磁石とが同時に動作するため、磁界が弱くなり、電磁誘導の影響が抑制される。一方、電流の投入後に第2の電磁石がオフにされるので、第1の電磁石による磁界がそのまま提供され、必要な吸着力が得られる。その結果、被蒸着基板と蒸着マスクとの吸着が充分に行われながら、素子や有機層の特性の劣化が抑制され得る。
(8)前記第2の電磁石をオフにする際に、段階的にオフにすることによって、第2の電磁石をオフにする際の逆向きの電磁誘導の発生も抑制され得る。
(9)前記蒸着材料の蒸着の完了後に、前記第2の電磁石を動作させてから、前記電磁石への電流をオフにすることによって、電流をオフにする際の電磁誘導の発生も抑制され得る。
(10)さらに、本発明の第3の実施形態の有機EL表示装置の製造方法は、支持基板上にTFT及び第1電極を少なくとも形成し、前記支持基板上に前記(7)〜(9)のいずれかの蒸着方法を用いて有機材料を蒸着することによって有機層の積層膜を形成し、前記積層膜上に第2電極を形成することを含んでいる。
本発明の第3の実施形態の有機EL表示装置の製法によれば、有機EL表示装置が製造される際に、支持基板の上に形成される素子や有機層の特性が劣化せず、繊細なパターンの表示画面が得られる。