<第1実施形態>
以下、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンシステムに具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
[ガソリンエンジンシステムの概要について]
図1に、この実施形態におけるエンジンのEGR装置を含むガソリンエンジンシステム(以下、単に「エンジンシステム」という。)を概略構成図により示す。このエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。
吸気通路3には、サージタンク3aが設けられ、サージタンク3aより上流の吸気通路3には、電子スロットル装置14が設けられる。この電子スロットル装置14は、スロットル弁21と、スロットル弁21を開閉駆動するためのステップモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてステップモータ22が駆動することで、スロットル弁21の開度が調節されるようになっている。スロットルセンサ23は、エンジン1の負荷に相当するスロットル開度TAを検出するための負荷検出手段の一例に相当する。排気通路5には、排気を浄化するための触媒コンバータ15が設けられる。
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するためのインジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。また、エンジン1には、燃焼室16にて形成された燃料と吸気との混合気を点火するための点火装置29が設けられる。
このエンジンシステムには、高圧ループ式のEGR装置が設けられる。EGR装置は、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして燃焼室16へ還流するためにEGRガスを排気通路5から吸気通路3へ流すEGR通路17と、EGR通路17におけるEGRガスの流量を調節するためにEGR通路17に設けられるEGR弁18とを備える。EGR通路17は、排気通路5と、吸気通路3のサージタンク3aとの間に設けられる。すなわち、EGR通路17の出口17aは、電子スロットル装置14より下流にてサージタンク3aに接続される。EGR通路17の入口17bは、排気通路5に接続される。
EGR通路17の上流側には、EGRガスを浄化するためのEGR用触媒コンバータ19が設けられる。EGR用触媒コンバータ19より下流のEGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。この実施形態で、EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
[EGR弁の構成について]
図2に、EGR弁18の構成を断面図により示す。図3に、EGR弁18の一部を拡大断面図により示す。図2に示すように、EGR弁18は、ポペット式の電動弁により構成される。すなわち、EGR弁18は、ハウジング31と、ハウジング31の中に設けられる弁座32と、ハウジング31の中で弁座32に対して着座可能かつ移動可能に設けられる弁体33と、弁体33をストローク運動させるためのステップモータ34とを備える。ステップモータ34は、この開示技術におけるアクチュエータの一例に相当する。ハウジング31は、排気通路5の側(排気側)よりEGRガスが導入される導入口31aと、吸気通路3の側(吸気側)へEGRガスを導出する導出口31bと、導入口31aと導出口31bとを連通する連通路31cとを含む。弁座32は、連通路31cの中間に設けられる。
ステップモータ34は、直進的に往復運動(ストローク運動)可能に構成された出力軸35を備え、その出力軸35の先端に弁体33が固定される。出力軸35はハウジング31に設けられる軸受36を介してハウジング31に対しストローク運動可能に支持される。出力軸35の上端部には、雄ねじ部37が形成される。出力軸35の中間(雄ねじ部37の下端付近)には、スプリング受け38が形成される。スプリング受け38は、下面が圧縮スプリング39の受け面となっており、上面にはストッパ40が形成される。
弁体33は円錐形状をなし、その円錐面が弁座32に対して当接又は離間するようになっている。弁体33が弁座32に当接することにより弁体33が全閉となり、弁体33が弁座32から離間することにより、弁体33が開弁するようになっている。弁体33は、スプリング受け38とハウジング31との間に設けられた圧縮スプリング39によりステップモータ34の側へ、すなわち弁座32に着座する閉弁方向へ、付勢されるようになっている。そして、全閉状態の弁体33が、ステップモータ34の出力軸35により、圧縮スプリング39の付勢力に抗して、ストローク運動することにより、弁体33が弁座32から離間(開弁)する。この開弁時には、弁体33は、EGR通路17の上流側(排気側)へ向けて移動する。このように、このEGR弁18は、弁体33が弁座32に着座した全閉状態から、エンジン1の排気圧力又は吸気圧力に抗してEGR通路17の上流側へ移動することで、弁体33が弁座32から離れて開弁する。一方、開弁状態から、弁体33を、ステップモータ34の出力軸35により圧縮スプリング39の付勢方向へ移動させることで、弁体33が弁座32に近付いて閉弁する。この閉弁時には、弁体33は、EGR通路17の下流側(吸気側)へ向けて移動する。
この実施形態では、ステップモータ34の出力軸35をストローク運動させることにより、弁座32に対する弁体33の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸35は、弁体33が弁座32に着座する全閉状態から、弁体33が弁座32から最大限離間する全開状態までの間で所定のストロークだけストローク運動可能に設けられる。
ステップモータ34は、コイル41、マグネットロータ42及び変換機構43を含む。ステップモータ34は、コイル41が通電により励磁されることで、マグネットロータ42を所定のモータステップ数だけ回転させ、変換機構43によりマグネットロータ42の回転運動を出力軸35のストローク運動に変換するようになっている。この出力軸35のストローク運動に伴って、弁体33が弁座32に対しストローク運動するようになっている。
マグネットロータ42は、樹脂製のロータ本体44と、円環状のプラスチックマグネット45とを含む。ロータ本体44の中心には、出力軸35の雄ねじ部37に螺合する雌ねじ部46が形成される。ロータ本体44の雌ねじ部46と出力軸35の雄ねじ部37とが螺合した状態で、ロータ本体44が回転することで、その回転運動が出力軸35のストローク運動に変換される。ここで、雄ねじ部37と雌ねじ部46により、上記した変換機構43が構成される。ロータ本体44の下部には、スプリング受け38のストッパ40が当接する当接部44aが形成される。EGR弁18の全閉時には、ストッパ40の端面が、当接部44aの端面に面接触し、出力軸35の初期位置が規制されるようになっている。
この実施形態では、ステップモータ34のモータステップ数を段階的に変えることにより、EGR弁18の弁体33の開度を、全閉から全開までの間で段階的に微少に調節するようになっている。
[エンジンシステムの電気的構成について]
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御及びEGR制御等をそれぞれ実行するための電子制御装置(ECU)50が設けられる。ECU50は、エンジン1の運転状態に応じて、インジェクタ25、点火装置29、電子スロットル装置14のステップモータ22及びEGR弁18のステップモータ34のそれぞれを制御するようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。ECU50は、この開示技術におけるEGR弁制御手段、EGR弁異常診断手段及び異物除去制御手段の一例に相当する。外部出力回路には、インジェクタ25、点火装置29及び各ステップモータ22,34が接続される。外部入力回路には、スロットルセンサ23をはじめエンジン1の運転状態を検出するための各種センサ27,51〜55が接続される。
各種センサ23,27,51〜55は、この開示技術における運転状態検出手段の一例に相当する。また、ECU50は、EGR弁18を制御するために、所定の指令信号をステップモータ34へ出力するようになっている。
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転速度センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54及び空燃比センサ55が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCを検出し、その検出信号を出力するようになっている。アクセルペダル26は、エンジン1の出力を操作するための操作手段の一例に相当する。吸気圧センサ51は、電子スロットル装置14より下流のサージタンク3aにおける吸気圧力PMを検出し、その検出信号を出力するようになっている。吸気圧センサ51は、この開示技術における吸気圧検出手段の一例に相当する。回転速度センサ52は、エンジン1のクランクシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出し、その検出信号を出力するようになっている。回転速度センサ52は、この開示技術における回転速度検出手段の一例に相当する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水温度THWを検出し、その検出信号を出力するようになっている。エアフローメータ54は、エアクリーナ6の直下流にて吸気通路3を流れる吸気量Gaを検出し、その検出信号を出力するようになっている。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5にて、排気中の空燃比A/Fを検出し、その検出信号を出力するようになっている。
この実施形態において、ECU50は、エンジン1の全運転領域において、エンジン1の運転状態に応じてEGRを制御するために、EGR弁18を制御するようになっている。一方、ECU50は、エンジン1の減速時であって、エンジン1への燃料供給が遮断されるとき(減速燃料カット時)には、EGRの流れを遮断するために、EGR弁18を全閉に制御するようになっている。
この実施形態のEGR弁18では、図3に示すように、弁座32と弁体33との間でデポジット等の異物FBの噛み込みや付着が問題になることがある。そこで、この実施形態のEGR装置では、ECU50は、弁座32と弁体33との間における異物FBの噛み込みを含むEGR弁18の開閉に係る異常を診断するために「EGR弁異物噛み込み診断制御」を実行するようになっている。また、この実施形態では、弁座32と弁体33との間に噛み込まれた異物FBを除去するために「EGR弁異物除去制御」を実行するようになっている。
[EGR弁異物噛み込み診断制御について]
図4に、ECU50が実行する「EGR弁異物噛み込み診断制御」の処理内容の一例をフローチャートにより示す。このフローチャートは、エンジン1の減速時であってEGR弁18を全閉に制御するとき又は閉弁制御するときにEGR弁18の異物噛み込み異常の有無を判定するための処理である。
処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ100で、ECU50は、エンジン1の運転状態を示す各種信号を各種センサ等23,51,52,54から取り込む。すなわち、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL、スロットル開度TA、吸気量Ga、吸気圧力PM、エンジン回転変化ΔNE及びスロットル開度変化ΔTAと、EGR弁18の制御開度に対応するステップモータ34のモータステップ数STegrとをそれぞれ取り込む。ここで、ECU50は、スロットル開度TA又は吸気圧力PMに基づきエンジン負荷KLを求めることができる。ECU50は、スロットル開度TAの単位時間当たりの変化を、スロットル開度変化ΔTAとして求めることができる。ECU50は、エンジン回転速度NEの単位時間当たりの変化を、エンジン回転変化ΔNEとして求めることができる。ここで、モータステップ数STegrは、EGR弁18の制御開度(EGR開度)、すなわち弁座32に対する弁体33の開度に比例する関係を有する。
次に、ステップ110で、ECU50は、エンジン1の運転状態が異物噛み込み検出範囲内か否かを判断する。ECU50は、例えば、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLとの関係から規定される範囲が、異物噛み込み検出に適した所定の範囲内であるかを判断することができる。この所定の範囲内として、エンジン1の減速運転又は定常運転が含まれる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ120へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
ステップ120では、ECU50は、モータステップ数STegrが「8ステップ」より小さいか否かを判断する。「8ステップ」は、一例であり、EGR弁18の微小開度に対応する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ130へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ100へ戻す。
ステップ130では、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた減速時の全閉基準吸気圧力PMegr0を取り込む。ECU50は、例えば、図5、図6に示すように予め設定された全閉基準吸気圧力マップを参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた減速時の全閉基準吸気圧力PMegr0を求めることができる。この全閉基準吸気圧力マップは、EGR弁18の弁体33の開度が「0」、すなわち全閉時における、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する全閉基準吸気圧力PMegr0の関係が予め設定されたマップであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。一般に、エンジン1の減速時の吸気圧力PMは、EGR弁18における異物の噛み込みの有無にかかわらずエンジン負荷KLと相関を有し、両者はほぼ比例する。ただし、吸気圧力PMは、エンジン回転速度NEに応じて変化するので、図5、図6では、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対して全閉基準吸気圧力PMegr0が設定されている。
次に、ステップ140で、ECU50は、エンジン回転速度NEに応じた圧力上昇代αを取り込む。ECU50は、予め設定された所定のマップを参照することにより、この圧力上昇代αを求めることができる。この圧力上昇代αは、後述する判定時に誤差等を許容するために全閉基準吸気圧力PMegr0に加算される値である。
次に、ステップ150で、ECU50は、検出される吸気圧力PMが、全閉基準吸気圧力PMegr0と圧力上昇代αとの加算結果より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ160へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ170へ移行する。
ステップ160では、ECU50は、EGR弁18が開弁異常(全閉に制御したにもかかわらず開弁していて異常)であると判定し、すなわち、異物噛み込み異常であると判定し、処理をステップ100へ戻す。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
一方、ステップ170では、ECU50は、EGR弁18が閉弁正常(全閉に閉弁して正常)であると判定し、処理をステップ100へ戻す。
上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、検出されるエンジン回転速度NE及び検出されるエンジン負荷KLに基づいて算出される全閉基準吸気圧力PMegr0(基準吸気圧力)と、検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の弁座32と弁体33との間の開閉に係る異常(EGR弁18の開閉に係る異常)の有無を判定するようになっている。
より詳細には、ECU50は、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する全閉基準吸気圧力PMegr0(基準吸気圧力)の関係が予め設定された全閉基準吸気圧力マップ(基準関数マップ)を備える。そして、ECU50は、このマップを参照することにより、検出されるエンジン回転速度NE及び検出されるエンジン負荷KLとに応じた全閉基準吸気圧力PMegr0を算出し、算出される全閉基準吸気圧力PMegr0と検出される吸気圧力PMとを比較することによりEGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
また、上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速時であってECU50がEGR弁18を全閉に制御するとき又は閉弁制御するときに、求められた全閉基準吸気圧力PMegr0と検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
[EGR弁異物除去制御について]
次に、上記したEGR弁異物噛み込み診断制御の結果を受けて実行される「EGR弁異物除去制御」について説明する。図7に、その処理内容の一例をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ600で、ECU50は、回転速度センサ52及びスロットルセンサ23等の検出値に基づきエンジン回転速度NE、エンジン負荷KLをそれぞれ取り込む。
次に、ステップ610で、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じたEGR弁18の目標EGR開度Tegrを求める。ECU50は、例えば、所定の目標EGR開度マップを参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた目標EGR開度Tegrを求めることができる。
次に、ステップ620で、ECU50は、EGR弁18が異物噛み込み異常であるか否かを判断する。ECU50は、上記したEGR弁異物噛み込み診断制御の判定結果に基づき、この判断を行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ630へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ770へ移行する。
ステップ630で、ECU50は、異物除去フラグXEGROPが「0」か否かを判断する。このフラグXEGROPは、後述するように、EGR弁18に噛み込まれた異物の除去制御(異物除去制御)が実行された場合に「1」に設定されるようになっている。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合はステップ640へ移行し、この判断結果が否定となる場合はステップ730へ移行する。
ステップ640では、ECU50は、異物径相当比KΦOPを取り込む。ECU50は、異物噛み込み判定時に検出される吸気圧力PMを、正常時の吸気圧力(エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLの関係から求められる全閉基準吸気圧力PMegr0)で除算することにより、異物径相当比KΦOPを求めることができる。
次に、ステップ650で、ECU50は、異物径相当比KΦOPより異物径相当のEGR開度(異物径相当開度)KegrSTを求める。ECU50は、例えば、所定の異物径相当開度マップを参照することにより、異物径相当比KΦOPに応じた異物径相当開度KegrSTを求めることができる。
次に、ステップ660で、ECU50は、EGR弁18の実際のEGR開度(実EGR開度)Regrを求める。ECU50は、例えば、所定の実EGR開度マップを参照することにより、ステップモータ34のモータステップ数STegrに対応する実EGR開度Regrを求めることができる。
次に、ステップ670で、ECU50は、実EGR開度Regrが、異物径相当開度KegrSTに所定値γを加算した加算結果より大きいか否かを判断する。この所定値γは、EGR弁18を異物径相当開度KegrSTより大きい開度に制御するために加算される定数である。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理を680へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ710へ移行する。
ステップ680では、ECU50は、異物径相当開度KegrSTに所定値γを加算した加算結果を、EGR弁18から異物FBを除去するための異物除去開度KEGROPとして設定する。
次に、ステップ690で、ECU50は、異物除去開度KEGROPにより異物除去制御を実行する。すなわち、ECU50は、EGR弁18を実EGR開度Regrから異物除去開度KEGROPへ制御する。この場合、弁座32と弁体33との間における異物FBの噛み込みが解除され、EGR通路17におけるEGRガスの流れにより弁座32又は弁体33から異物FBが引き剥がされたり、吹き飛ばされたりすることになる。
次に、ステップ700で、ECU50は、所定時間D1が経過するのを待って処理をステップ710へ移行する。
ステップ670又はステップ700から移行してステップ710では、ECU50は、異物除去フラグXEGROPを「1」に設定する。
その後、ステップ720で、ECU50は、EGR弁18を目標EGR開度Tegrに制御し、処理をステップ600へ戻す。
一方、ステップ620から移行してステップ770では、ECU50は、異物除去フラグXEGROPを「0」に設定し、処理をステップ720へ移行する。
また、ステップ630から移行してステップ730では、ECU50は、エンジン1の運転が減速又はアイドルか否かを判断する。ECU50は、この判断を、例えば、スロットル開度TAとエンジン回転速度NEに基づいて行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ740へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ720へ移行する。
ステップ740では、ECU50は、吸気圧力PMが、正常時の吸気圧力(エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLの関係から求めることができる全閉基準吸気圧力PMegr0)に回復したか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ750へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ770へ移行する。
ステップ750では、ECU50は、異物が除去されたことからEGR弁18が正常復帰(正常に復帰した)と判定する。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶することができる。
次に、ステップ760で、ECU50は、EGR弁18の開弁異常判定を解除し、処理をステップ770へ移行する。ECU50は、例えば、メモリに記憶された開弁異常判定結果を削除することができる。
上記したEGR弁異物除去制御によれば、ECU50は、EGR弁18に開弁異常(異物噛み込み異常)が有ると判定されたときに、検出された吸気圧力PMと算出された全閉基準吸気圧力PMegr0(基準吸気圧力)とに基づき弁座32と弁体33との間に噛み込まれた異物FBの径に相当する開度(異物径相当開度KegrST)を求める。そして、ECU50は、弁座32と弁体33との間から異物FBを除去するために、求められた異物FBの径に相当する開度より大きい開度(異物除去開度KEGROP)で弁体33が開弁するようにステップモータ34を制御する異物除去制御を実行するようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、エンジン1の運転時に、EGR弁18の弁座32に対する弁体33の開度、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する全閉基準吸気圧力PMegr0(基準吸気圧力)の関係が予め設定された全閉基準吸気圧力マップ(基準関数マップ)を参照することにより、検出されるエンジン回転速度NE及び検出されるエンジン負荷KLとに応じた全閉基準吸気圧力PMegr0が算出される。そして、算出される全閉基準吸気圧力PMegr0と検出される吸気圧力PMとを比較することによりEGR弁18の開閉に係る異常の有無が判定される。従って、全閉基準吸気圧力マップを参照することにより、エンジン1の各種運転状態に応じた全閉基準吸気圧力PMegr0が求められるので、EGR弁18の開閉に係る異常を診断するために、エンジン1の運転状態をソニック等の特定の条件に制限する必要がなく、EGR弁18の動作状態を特定の条件に制限する必要もない。この実施形態では、特に、エンジン1の減速時において、EGR弁18の開閉に係る異常の有無の判定について説明したが、減速時に限られるものではなく、エンジン1の定常時にも、EGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定することが可能である。このため、エンジン1の運転状態やEGR弁18の動作状態に関する条件を特定の条件に制限することなく、EGR弁18の開閉に係る異常を早期に診断することができる。
この実施形態の構成によれば、エンジン1の減速時であってEGR弁18が全閉に閉弁制御されるとき又は閉弁制御されるときに、算出される全閉基準吸気圧力PMegr0(基準吸気圧力)と検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の開閉に係る異常の有無が判定される。従って、全閉基準吸気圧力PMegr0と吸気圧力PMとの間にある程度の違いがあるときに、その異常が有ると判定される。このため、吸気圧力PMに多少の変動があっても比較的正確にEGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定することができる。
なお、この実施形態では、EGR弁18の開閉に係る異常として、異物FBの噛み込みによる全閉異常を想定したが、異物FBの噛み込みに限らず、弁体33が固着等により全閉にならない異常を想定することもできる。
また、この実施形態の構成によれば、EGR弁18に異物噛み込み異常が有ると判定されたときは、異物FBの径に相当する開度より大きい開度で弁体33が開弁され、弁座32と弁体33との間に噛み込まれた異物FBが除去される。このため、EGR弁18を、異物噛み込み異常から正常状態へ速やかに復帰させることができ、エンジン1の失火やエンストの発生を回避することができる。
<第2実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、EGR弁異物噛み込み診断制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図8に、その制御内容をフローチャートにより示す。
[EGR弁異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ200で、ECU50は、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL、スロットル開度TA、吸気量Ga、吸気圧力PM、スロットル開度変化ΔTA、エンジン回転変化ΔNE及びモータステップ数STegrをそれぞれ取り込む。このステップ200処理内容は、図4のステップ100のそれと同じである。
次に、ステップ210で、ECU50は、EGR弁18の制御開度に対応するモータステップ数STegrが「50ステップ」より小さいか否かを判断する。「50ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度を想定した値である。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ220へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ340へ移行する。
ステップ220で、ECU50は、エンジン1の運転状態が異物噛み込み検出範囲内か否かを判断する。このステップ220の処理内容は、図4のステップ110のそれと同じである。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ230へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ戻す。
ステップ230では、ECU50は、第1の開弁基準吸気圧力マップを参照することで、第1のEGR開度(20ステップ)のときの第1の開弁基準吸気圧力PMegr20を取り込む。「20ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度(50ステップに対応する開度より小さい)を想定した値である。ECU50は、例えば、図9、図10に示すように予め設定された第1の開弁基準吸気圧力マップを参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた第1の開弁基準吸気圧力PMegr20を求めることができる。図9、図10に示す第1の開弁基準吸気圧力マップは、EGR弁18の弁座32に対する弁体33の開度(20ステップに対応する第1のEGR開度)、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する第1の開弁基準吸気圧力PMegr20の関係が予め設定されたものであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。
次に、ステップ240で、ECU50は、第2の開弁基準吸気圧力マップを参照することで、第2のEGR開度(30ステップ)のときの第2の開弁基準吸気圧力PMegr30を取り込む。「30ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度(20ステップに対応する開度より大きい)を想定した値である。ECU50は、例えば、図11、図12に示すように予め設定された第2の開弁基準吸気圧力マップを参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた第2の開弁基準吸気圧力PMegr30を求めることができる。図11、図12に示す第2の開弁基準吸気圧力マップは、EGR弁18の弁座32に対する弁体33の開度(30ステップに対応する第2のEGR開度)、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する第2の開弁基準吸気圧力PMegr30の関係が予め設定されたものであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。
次に、ステップ250で、ECU50は、現在のEGR開度(制御開度)に対応するモータステップ数STegrを取り込む。
次に、ステップ260で、ECU50は、取り込まれたモータステップ数STegrが20ステップより小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ270へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ320へ移行する。
ステップ270では、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMが第1の開弁基準吸気圧力PMegr20より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ280へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ320へ移行する。
ステップ280では、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMが第2の開弁基準吸気圧力PMegr30より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ290へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ310へ移行する。
ステップ290では、ECU50は、モータステップ数STegrが20ステップより小さいにもかかわらず、噛み込み異物径KΦXOPが第2のEGR開度に対応する「30ステップ」以上であることから、EGR弁18が異物噛み込み異常と判定する。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
次に、ステップ300で、ECU50は、最小スロットル開度制御を実行する。すなわち、ECU50は、噛み込み異物径KΦXOPに応じた全閉スロットル開度TAcを求め、電子スロットル装置14の最小スロットル開度TAminを全閉スロットル開度TAcに制御する。この制御は、異物噛み込みによりEGR弁18からサージタンク3aへ漏れ流れるEGRガスを吸気増量によって適度に希釈するために、電子スロットル装置14(スロットル弁21)の開度を増大させる制御である。その後、ECU50は、処理をステップ200へ戻す。
一方、ステップ280から移行してステップ310では、ECU50は、噛み込み異物径KΦXOPが「20〜30ステップ」となることから、EGR弁18が異物噛み込み異常と判定した後、処理をステップ300へ移行する。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
ここで、ECU50は、「20〜30ステップ」の間の噛み込み異物径KΦXOPについては、以下の(式1)によって補間計算することで求めることができる。
KΦXOP=[(PMegr30−PM)/(PMegr30−PMegr20)]
*(30−20)+20 ・・・(式1)
一方、ステップ260又はステップ270から移行してステップ320では、ECU50は、EGR弁18の異物噛み込み判定を保留する。
次に、ステップ330で、ECU50は、最小スロットル開度制御を解除する、すなわち、電子スロットル装置14の制御を、通常のスロットル制御へ戻す。その後、ECU50は、処理をステップ200へ戻す。
一方、ステップ210から移行してステップ340では、EGR弁18の制御開度に対応するモータステップ数STegrが50より大きいことから、ECU50は、第3の開弁基準吸気圧力マップ(図示略)を参照することで、第3のEGR開度(60ステップ)のときの第3の開弁基準吸気圧力PMegr60を取り込む。「60ステップ」は一例であり、EGR弁18のある開度(50ステップに対応する開度より大きい)を想定した値である。第3の開弁基準吸気圧力マップも、EGR弁18の弁座32に対する弁体33の開度(60ステップに対応する第3のEGR開度)、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する第3の開弁基準吸気圧力PMegr60の関係が予め設定されたものであり、この開示技術における基準関数マップの一例に相当する。
次に、ステップ350で、ECU50は、取り込まれた吸気圧力PMが、第3の開弁基準吸気圧力PMegr60から圧力上昇代αを減算した結果より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ360へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ戻す。
そして、ステップ360では、ECU50は、EGR弁18が、60ステップに対応する第3のEGR開度であるにも関わらず吸気圧力PMが第3の開弁基準吸気圧力PMegr60前後より低いことから、EGR流量が低下した異常(EGR流量低下異常)と判定し、処理をステップ200へ戻す。ここでは、EGR弁18の開度が比較的大きくなるときにEGR流量が低下することから、EGR通路17の配管詰まり等の異常を想定することができる。
上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに対する第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60(基準吸気圧力)の関係が予め設定された第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力マップ(基準関数マップ)を備える。そして、ECU50は、これらマップを参照することにより、検出されるエンジン回転速度NE及び検出されるエンジン負荷KLとに応じた第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60(基準吸気圧力)を算出する。更に、ECU50は、算出される各開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60と検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の開閉に係る異常(EGR弁18の異物噛み込み異常、EGR流量低下異常)の有無を判定するようになっている。
また、上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速時であってECU50がEGR弁18を全閉に制御するとき又は閉弁制御するときに、求められた第1、第2及び第3の開弁基準吸気圧力PMegr20,PMegr30,PMegr60(基準吸気圧力)と検出される吸気圧力PMとを比較することにより、EGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、EGR弁異物噛み込み診断制御の処理内容が異なるものの、EGR弁18の異常診断について、第1実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。また、EGR弁異物除去制御については、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
また、この実施形態の構成によれば、第3の開弁基準吸気圧力PMegr60を参照することにより、EGR通路17における配管詰まり等の異常を想定したEGR流量低下異常の有無を判定することができる。
更に、この実施形態の構成によれば、EGR弁18に異物噛み込みがある場合は、最小スロットル開度アップ制御を実行することにより、電子スロットル装置14(スロットル弁21)の開度が増大されるので、異物噛み込みによってEGR弁18からサージタンク3aへ漏れ出たEGRガスが吸気によって適度に希釈される。このため、EGR弁異物噛み込み診断制御が実行される間で、エンジン1の運転を安定化させることができる。
<第3実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁異物噛み込み診断制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図13に、その制御内容をフローチャートにより示す。このフローチャートでは、ステップ140とステップ150との間にステップ400とステップ410が設けられる点で図4のフローチャートと異なる。
[EGR弁異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行し、ECU50は、ステップ100〜ステップ140の処理を実行した後、ステップ400で、エンジン1の減速時に、スロットル開度TAが所定開度B1以下となったときにカウントを開始する減速定常判定カウンタCdwにつき、エンジン回転速度NEに応じた第1の遅延時間b1を取り込む。ECU50は、例えば、図14に示すような遅延時間マップを参照することにより、エンジン回転速度NEに応じた第1の遅延時間b1を求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが低くなるほど第1の遅延時間b1が大きくなるように設定される。
次に、ステップ410で、ECU50は、減速定常判定カウンタCdwのカウントが第1の遅延時間b1より大きくなるのを待って処理をステップ150へ移行する。
上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、図4のフローチャートに示すEGR弁異物噛み込み診断制御の処理に加え、次のような処理を実行する。すなわち、ECU50は、検出される運転状態に基づき、エンジン1の減速開始から第1の遅延時間b1が経過したときにEGR弁18の異物噛み込み異常の診断を開始するようになっている。また、ECU50は、検出されるエンジン回転速度NEが低いほど第1の遅延時間b1を長く設定するようになっている。
ここで、図15に、上記したEGR弁異物噛み込み診断制御における各種パラメータの挙動をタイムチャートにより示す。図15において、(a)はアクセル開度ACC(破線)と、スロットル開度TA(実線)の変化を示す。(b)はEGR弁開度の変化を示す(実線は正常な場合を示し、破線は異物噛み込み異常がある場合を示す。(c)及び(d)において同様)。(c)はEGR弁異物噛み込み判定の変化を示す。(d)は吸気圧力PMの変化を示す。
図15において、時刻t1で(a)のアクセル開度ACCが減少し始めると、少し遅れた時刻t2で(a)のスロットル開度TAと(b)のEGR弁開度がそれぞれ減少し始める。すなわち、電子スロットル装置14とEGR弁18がそれぞれ閉弁し始める。その後、時刻t3で(a)のスロットル開度TAが所定の減速開度に達し、(b)のEGR弁開度が全閉になる。しかし、時刻t3の直前でEGR弁に異物噛み込みがある場合は、(b)に破線で示すように、EGR弁開度は全閉にはならず、異物噛み込みによりある開度で開弁したままとなる。また、(a)に示すように、時刻t3の直前で、スロットル開度TAが所定開度B1より小さくなると、(a)に2点鎖線で示すように、減速定常判定カウンタCdwのカウントが開始される。そして、時刻t5でそのカウンタCdwのカウントが第1の遅延時間b1に達すると、(c)のEGR弁異物噛み込み判定が「1」となる、すなわちEGR弁18に異物噛み込み異常が有ることが判定される。
このように、エンジン1の減速時に、EGR弁18が全閉となってから異物噛み込み異常の判定まで第1の遅延時間b1の経過を待つのは、エンジン1の減速時に吸気圧力PMが安定するまでにある程度時間がかかるからである。また、エンジン回転速度NEに応じた第1の遅延時間b1を求めるのは、エンジン回転速度NEが低いほど、減速時に吸気圧力PMの安定に要する時間が長くなるからである。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、エンジン1の減速開始から第1の遅延時間b1が経過したときにEGR弁18の診断が開始されるので、診断開始までに吸気圧力PMが安定することになる。このため、EGR弁18の開閉に係る異常の診断精度を向上させることができる。
また、この実施形態の構成によれば、検出されるエンジン回転速度NEが低いほど第1の遅延時間b1が長く設定されるので、エンジン回転速度NEが低くて吸気圧力PMの安定に時間を要するときでも、診断開始までに吸気圧力PMが確実に安定することになる。このため、エンジン回転速度NEの違いにかかわらずEGR弁18の開閉に係る異常の診断精度を向上させることができる。
<第4実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁異物噛み込み診断制御の内容の点で第3実施形態と構成が異なる。図16に、その制御内容をフローチャートにより示す。このフローチャートでは、ステップ100の代わりにステップ420が設けられ、ステップ140とステップ150との間に、ステップ400とステップ410に代わってステップ430〜ステップ470が設けられる点で図13のフローチャートと異なる。
[EGR弁異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ420で、ECU50は、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL、スロットル開度TA、吸気量Ga、吸気圧力PM、エンジン回転変化ΔNE、スロットル開度変化ΔTA、吸気圧力変化ΔPM及びモータステップ数STegrをそれぞれ取り込む。ECU50は、吸気圧力PMの単位時間当たりの変化を、吸気圧力変化ΔPMとして求めることができる。
その後、ECU50は、ステップ110〜ステップ140の処理を実行した後、ステップ430で、エンジン1の減速時に、スロットル開度TAが所定開度B1以下となったときに、カウントを開始する減速定常判定カウンタCdwにつき、エンジン回転速度NEに応じた第1の遅延時間b1と第2の遅延時間c1をそれぞれ取り込む。ECU50は、例えば、図17に示すような遅延時間マップを参照することにより、エンジン回転速度NEに応じた第1及び第2の遅延時間b1,c1(c1<b1)をそれぞれ求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが低くなるほど各遅延時間b1,c1が大きくなるように設定される。
次に、ステップ440で、ECU50は、エンジン回転速度NEに応じた判定吸気圧力変化ΔPMdwを取り込む。ECU50は、例えば、図18に示すような判定吸気圧力変化マップを参照することにより、エンジン回転速度NEに応じた判定吸気圧力変化ΔPMdwを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが低くなるほど判定吸気圧力変化ΔPMdwが減少する(負の値が大きくなる)ように設定される。
次に、ステップ450で、ECU50は、減速定常判定カウンタCdwのカウントが第2の遅延時間c1より大きくなるのを待って処理をステップ460へ移行する。
ステップ460では、ECU50は、吸気圧力変化ΔPMが判定吸気圧力変化ΔPMdwより小さい否か、すなわち吸気圧力PMの低下速度(吸気圧力変化ΔPM)が所定の低下速度(判定吸気圧力変化ΔPMdw)より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、吸気圧力PMの低下速度が相対的に小さいことから、処理をステップ470へ移行する。一方、ECU50は、この判断結果が否定となる場合は、吸気圧力PMの低下速度が相対的に大きいことから、処理をステップ160へジャンプする。
ステップ470では、ECU50は、減速定常判定カウンタCdwのカウントが第1の遅延時間b1より大きくなるのを待って処理をステップ150へ移行する。
上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、第3実施形態におけるEGR弁異物噛み込み診断制御とは異なり、エンジン1の減速時であってECU50がEGR弁18を全閉に制御するとき又は閉弁制御するときに、エンジン1の減速開始から第1の遅延時間b1が経過する前であって第2の遅延時間c1(c1<b1)が経過したときは、検出される吸気圧力PMの低下速度(吸気圧力変化ΔPM)と所定の低下速度(判定吸気圧力変化ΔPMdw)とを比較することによりEGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
ここで、図19に、上記したEGR弁異物噛み込み診断制御における各種パラメータの挙動をタイムチャートにより示す。図19において、(a)はアクセル開度ACC(破線)と、スロットル開度TA(実線)の変化を示す。(b)はEGR弁開度の変化を示す(実線は正常な場合を示し、破線は異物噛み込みがある場合を示す。(c)〜(e)において同様)。(c)はEGR弁異物噛み込み判定の変化を示す。(d)は吸気圧力変化ΔPMの変化を示す。(e)は吸気圧力PMの変化を示す。
図19において、時刻t1で(a)のアクセル開度ACCが減少し始めると、少し遅れた時刻t2で(a)のスロットル開度TAと(b)のEGR弁開度がそれぞれ減少し始める。すなわち、電子スロットル装置14とEGR弁18がそれぞれ閉弁し始める。その後、時刻t3で(a)のスロットル開度TAが所定の減速開度に達し、(b)のEGR弁開度が全閉になる。しかし、時刻t3の直前でEGR弁に異物噛み込みがある場合は、(b)に破線で示すように、EGR弁開度は全閉にはならず、異物噛み込みによりある開度で開弁したままとなる。また、(a)に示すように、時刻t3の直前で、スロットル開度TAが所定開度B1より小さくなると、(a)に2点鎖線で示すように、減速定常判定カウンタCdwのカウントが開始され、時刻t4でそのカウンタCdwのカウントが第2の遅延時間c1に達する。このとき、(d)の吸気圧力変化ΔPMが所定の判定吸気圧力変化ΔPMdwより小さくなければ、(c)に破線で示すように、時刻t4でEGR弁異物噛み込み判定が「1」となる。一方、時刻t4で(d)の吸気圧力変化ΔPMが判定吸気圧力変化ΔPMdwより小さくなる場合は、その後、時刻t5で減速定常判定カウンタCdwが第1の遅延時間b1に達すると、(c)に2点鎖線で示すようにEGR弁異物噛み込み判定が「1」となる。
このように、エンジン1の減速時に、EGR弁18が閉弁してから異物噛み込み判定まで所定の遅延時間b1,c1だけ待つのは、エンジン1の減速時に、吸気圧力PMが安定するまでにある程度の時間がかかるからである。また、各遅延時間b1,c1をエンジン回転速度NEに応じて求めるのは、エンジン回転速度NEが低いほど減速時に吸気圧力PMの安定に要する時間が長くなるからである。また、EGR弁18に異物が噛み込まれた場合は、エンジン1が加速から減速するときの吸気圧力PMの低下速度が遅くなる、すなわち、吸気圧力PMの低下方向への変化が小さくなる。そこで、吸気圧力変化ΔPMに基づくタイミングで異物噛み込み判定を行うようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、エンジン1の減速時には、吸気圧力PMは低下するが、全閉に制御される又は閉弁制御されるEGR弁18が全閉にならない又は閉弁しない場合は、吸気圧力PMの低下速度が正常な場合に比べて小さくなる。ここで、エンジン1の減速時であってEGR弁18が全閉に制御されるとき又は閉弁制御されるときに、検出される吸気圧力PMの低下速度(吸気圧力変化ΔPM)が所定の低下速度(判定吸気圧力変化ΔPMdw)より小さくなるときに、EGR弁18に異常が有ると判定される。従って、各種基準吸気圧力PMegr0,PMegr20,PMegr30等と吸気圧力PMとを比較することなくEGR弁18の開閉に係る異常が判定される。このため、エンジン1の減速時にEGR弁18の開閉に係る異常の診断を早期に行うことができる。
<第5実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁異物除去制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図20に、その処理内容をフローチャートにより示す。このフローチャートでは、ステップ600の代わりにステップ800が設けられ、ステップ670とステップ680との間にステップ810〜ステップ860が設けられ、ステップ770の後にステップ870が設けられる点で図7のフローチャートと異なる。
[EGR弁異物除去制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ800で、ECU50は、回転速度センサ52、スロットルセンサ23及びエアフローメータ54等の検出値に基づきエンジン回転速度NE、エンジン負荷KL及び吸気量Gaをそれぞれ取り込む。
その後、ECU50は、ステップ610〜ステップ670の処理を実行し、ステップ670の判断結果が肯定となる場合に、ステップ810で、エンジン1が燃料カット(F/C)でないか否か、すなわちエンジン1に対する燃料供給が遮断されていないか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ820へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ680へジャンプする。
ステップ820では、ECU50は、吸気量Gaに応じた追加開度βを求める。ECU50は、例えば、図21に示すような追加開度マップを参照することにより、吸気量Gaに応じた追加開度βを求めることができる。このマップでは、吸気量Gaの増加に対し追加開度βが直線的に増加するように設定される。
次に、ステップ830で、ECU50は、エンジン負荷KLに応じた追加開度補正係数kβを求める。ECU50は、例えば、図22に示すような追加開度補正係数マップを参照することにより、エンジン負荷KLに応じた追加開度補正係数kβを求めることができる。このマップでは、エンジン負荷KLが「0%〜約80%」で増加するに連れて追加開度補正係数kβが「1.0」へ向けて曲線的に増加し、「約80%」以上のエンジン負荷KLでは同補正係数kβが「1.0」で一定となるように設定される。
次に、ステップ840で、ECU50は、追加開度βに追加開度補正係数kβを乗算することにより、最終追加開度Kβを算出する。
次に、ステップ850で、ECU50は、異物径相当開度KegrSTと所定値γとの加算結果が、目標EGR開度Tegrと最終追加開度Kβとの加算結果より小さいか否かを判断する。ここで、目標EGR開度Tegrと最終追加開度Kβとの加算結果は、異物FBの除去に必要な弁体33の開度に係り、この開示技術における所定の上限開度に相当する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、EGR異物除去制御等を実行するために処理をステップ680へ移行し、この判断結果が否定となる場合は、EGR異物除去制御を実行することなく処理をステップ860へ移行する。
ステップ860では、ECU50は、所定の最小スロットル開度制御を実行し、処理をステップ800へ戻す。最小スロットル開度制御とは、エンジン1の減速時に、EGR弁18の異物噛み込みに応じてスロットル開度TAを最低限増加させる制御であり、エンジン1の減速時にEGRガス流入によりエンジン1に失火やドライバビリティの悪化が発生するのを防止するためにアイドル回転速度を増加させる制御である。
一方、ステップ770から移行してステップ870では、ECU50は、最小スロットル開度制御を解除し、通常のスロットル制御へ復帰した後、処理をステップ720へ移行する
上記したEGR弁異物除去制御によれば、ECU50は、第1実施形態におけるEGR弁異物除去制御の処理内容に加え、次のような処理を実行する。すなわち、ECU50は、エンジン1の減速時にエンジン1への燃料供給が遮断されているときは、異物除去制御を直ちに実行する。一方、ECU50は、エンジン1の減速時にエンジン1への燃料供給が遮断されていないときは、異物FBの除去に必要な弁体33の開度(KegrST+γ)が所定の上限開度(Tegr+Kβ)より小さくなる場合に、異物除去制御を実行するようになっている。また、ECU50は、エンジン1における燃焼耐力に関するエンジン1の運転状態(吸気量Ga及びエンジン負荷KL)に応じて上限開度(Tegr+Kβ)を補正するようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、エンジン1の減速時に燃料カットが行われる場合は、エンジン1にEGRガス流入による失火等のおそれがないことから、異物除去制御により異物FBが直ちに除去される。一方、エンジン1の減速時に燃料カットが行われない場合は、エンジン1にEGRガス流入による失火等のおそれがあることから、異物FBを除去するための弁体33の開度(KegrST+γ)が上限開度(Tegr+Kβ)より小さくなるときだけ異物除去制御により異物FBが除去される。このため、エンジン1にてEGRガス流入による失火等を防止しながら、EGR弁18を、異物噛み込み異常から正常状態へ復帰させることができる。
また、この実施形態の構成によれば、エンジン1における燃焼耐力に応じて上限開度(Tegr+Kβ)が補正されるので、エンジン1における燃焼耐力を確保できる範囲で極力大きな異物FBが除去されることになる。このため、EGR弁18において異物FBを除去できる機会を増やすことができる。
<第6実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁異物除去制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図23に、その処理内容をフローチャートにより示す。このフローチャートでは、ステップ680とステップ690の代わりにステップ900〜ステップ950が設けられる点で図7のフローチャートと異なる。
[EGR弁異物除去制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ600〜ステップ670の処理を実行し、ステップ670の判断結果が肯定となる場合に、処理をステップ900へ移行する。ステップ900では、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じ、EGR弁18の失火限界開度Tegr2を求める。ECU50は、例えば、図24に示すような失火限界開度マップを参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた失火限界開度Tegr2を求めることができる。
次に、ステップ910で、ECU50は、異物径相当開度KegrSTと所定値γとの加算結果を、異物除去開度KEGROPとして設定する。
次に、ステップ920で、ECU50は、異物除去開度KEGROPにより異物除去制御を実行する。すなわち、ECU50は、EGR弁18を実EGR開度Regrから異物除去開度KEGROPへ制御する。この場合、弁座32と弁体33との間での異物FBの噛み込みが解除され、EGR通路17を流れるEGRガスにより異物が弁座32又は弁体33から引き剥がされたり、吹き飛ばされたりすることになる。
次に、ステップ930で、ECU50は、エンジン1が燃料カット(F/C)でないか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ940へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ700へジャンプする。
ステップ940では、ECU50は、異物除去開度KEGROP(異物径相当開度KegrSTと所定値γとの加算結果)が、失火限界開度Tegr2より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、異物FBの径がエンジン1の失火限界の開度より小さいことから、処理をステップ700へ移行し、この判断結果が否定となる場合は、異物FBの径が失火限界の開度より大きいことから、処理をステップ950へ移行する。
ステップ950では、ECU50は、所定時間D2(D2<D1)の経過を待って処理をステップ710へ移行する。
上記したEGR弁異物除去制御によれば、ECU50は、第1実施形態におけるEGR弁異物除去制御の処理内容に加え、次のような処理を実行する。すなわち、ECU50は、異物除去制御を実行した後、エンジン1で燃料カットが行われない場合は、異物除去開度KEGROPと、現在の運転状態(エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL)に応じた失火限界開度Tegr2とを比較する。そして、異物除去開度KEGROPが、現在の運転状態(エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL)に応じた失火限界開度Tegr2よりも小さい場合は、ECU50は、所定時間D1が経過してからEGR弁18を通常の目標EGR開度Tegrに制御する。一方、異物除去開度KEGROPが失火限界開度Tegr2以上となる場合は、所定時間D1より短い所定時間D2が経過してからEGR弁18を通常の目標EGR開度Tegrに制御するようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、異物除去制御が実行された後、エンジン1で燃料カットが行われない場合は、異物除去開度KEGROPが失火限界開度Tegr2以上となる場合は、比較的短い時間が経過してからEGR弁18が通常の目標EGR開度Tegrに制御される。従って、異物除去開度KEGROPが失火限界開度Tegr2以上になる場合でも、EGR弁18が比較的早く目標EGR開度Tegrへ向けて制御されることになる。このため、エンジン1にてEGRガス流入による失火等を防止しながら、EGR弁異物除去制御から通常のEGR制御へ復帰させることができる。
<第7実施形態>
次に、エンジンのEGR装置をガソリンエンジンに具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGR弁異物噛み込み診断制御の内容の点で前記各実施形態と構成が異なる。図25に、その制御内容をフローチャートにより示す。
[EGR弁異物噛み込み診断制御について]
処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ1000で、ECU50は、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL、吸気圧力PM及びモータステップ数STegrをそれぞれ取り込む。モータステップ数STegrは、この開示技術における制御開度に相当する。
次に、ステップ1010で、ECU50は、エンジン1の運転状態が減速又は軽負荷か否かを判断する。ECU50は、取り込まれたエンジン回転速度NE、エンジン負荷KL、吸気圧力PM等に基づいてこの判断を行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1020へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1000へ戻す。
ステップ1020では、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLとの乗算結果と吸気圧力PMの関数式より、推定EGR開度PMstegrを求める。ここでは、ECU50は、全閉基準吸気圧力PMegr0等を求めることなく、所定の基準関数式に基づき推定EGR開度PMstegrを求めることができる。この推定EGR開度PMstegrは、モータステップ数として表されるものであり、本開示技術における基準開度に相当する。
次に、ステップ1030で、ECU50は、モータステップ数STegrが所定値A1以下か否かを判断する。ここで、所定値A1として、EGR弁18が微開又は全閉となる値を当てはめることができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1040へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1000へ戻す。
ステップ1040では、ECU50は、推定EGR開度PMstegrからモータステップ数STegrを減算することによりEGR弁18の開度誤差に相当するステップ数変化量ΔSTegrを算出する。
次に、ステップ1050で、ECU50は、ステップ数変化量ΔSTegrが所定値C1より大きいか否かを判断する。ここで、所定値C1として、EGR弁18に異物噛み込みを判定できる程度の値を当てはめることができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1060へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1090へ移行する。このステップ1050の判断結果は、推定EGR開度PMstegr(基準開度)とモータステップ数STegr(制御開度)とを比較した結果を示す。
ステップ1060では、ECU50は、EGR弁18が開弁異常(全閉に制御したにもかかわらず開弁していて異常)であると判定し、すなわち、異物噛み込み異常であると判定する。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
次に、ステップ1070で、ECU50は、推定EGR開度PMstegrに基づき異物径相当開度KegrSTを求める。ECU50は、例えば、所定の異物径相当開度マップを参照することにより、推定EGR開度PMstegrに応じた異物径相当開度KegrSTを求めることができる。
次に、ステップ1080で、ECU50は、異物径相当開度KegrSTに基づき異物径相当比KΦOPを求める。ECU50は、例えば、所定の異物径相当比マップを参照することにより、異物径相当開度KegrSTに応じた異物径相当比KΦOPを求めることができる。その後、ECU50は、処理をステップ1000へ戻す。
一方、ステップ1050から移行してステップ1090では、ECU50は、EGR弁18が閉弁正常(全閉に閉弁して正常)であると判定し、処理をステップ1000へ戻す。
上記したEGR弁異物噛み込み診断制御によれば、ECU50は、検出されるエンジン回転速度NE、検出されるエンジン負荷KL及び検出される吸気圧力PMに基づいて算出されるEGR弁18の推定EGR開度PMstegr(基準開度)と、ECU50により制御されているEGR弁18のモータステップ数STegr(制御開度)とを比較することによりEGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
より詳細には、ECU50は、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL及び吸気圧力PMに対するEGR弁18の推定EGR開度PMstegrの関係が予め設定され基準関数式を備える。そして、ECU50は、基準関数式を参照することにより、検出されるエンジン回転速度NE、検出されるエンジン負荷KL及び検出される吸気圧力PMに応じた推定EGR開度PMstegrを算出し、算出される推定EGR開度PMstegrとモータステップ数STegrとを比較することによりEGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンのEGR装置の構成によれば、EGR弁異物噛み込み診断制御の処理内容が異なるものの、EGR弁18の異常診断について、前記各実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。すなわち、検出されるエンジン回転速度NE、検出されるエンジン負荷KL及び検出される吸気圧力PMに基づいて基準関数式を参照することにより算出される推定EGR開度PMstegr(EGR弁18の基準開度)と、モータステップ数STegr(EGR弁18の制御開度)とを比較することにより、EGR弁18の開閉に係る異常の有無が判定される。このため、エンジン1の運転状態やEGR弁18の動作状態に関する条件を特定の条件に制限することなく、EGR弁18の開閉に係る異常を早期に診断することができる。
なお、この実施形態でも、ECU50は、EGR弁18に異常が有ると判定されたときに、算出された推定EGR開度PMstegr(EGR弁18の基準開度)とモータステップ数STegr(EGR弁18の制御開度)とに基づき弁座32と弁体33との間に噛み込まれた異物FBの径に相当する開度を求める。そして、ECU50は、弁座32と弁体33との間から異物FBを除去するために、求められた異物の径に相当する開度より大きい開度で弁体33が開弁するようにステップモータ34を制御する異物除去制御を実行するように構成することもできる。これにより、EGR弁18に異常が有ると判定されたときは、異物FBの径に相当する開度より大きい開度で弁体33が開弁され、弁座32と弁体33との間に噛み込まれた異物FBが除去されることになる。このため、EGR弁18を、異物噛み込み異常から正常状態へ速やかに復帰させることができ、エンジン1の失火やエンストの発生を回避することができる。
<補足説明>
次に、上記した「EGR弁異物噛み込み診断制御」に関する補足事項を以下に説明する。
[大径異物の噛み込み判定について]
図26に、エンジン1の減速時における各種パラメータの挙動をタイムチャートにより示す。図26において、(a)は、スロットル開度TA(破線)、EGR開度EA(太線)、異物噛み込み時のEGR開度EAF(点線)及びエンジン回転速度NE(実線)の変化を示す。(b)は、異物噛み込み無し(正常)時の吸気圧力変化ΔPM(太線)及び異物噛み込み時の吸気圧力変化ΔPMF(点線)の変化を示す。(c)は、吸気圧力PM及びエンジン負荷KLの変化を示す(実線:Φ0.8相当開度時の吸気圧力PMΦ0.8、点線:Φ0.6の異物噛み込み時の吸気圧力PMΦ0.6、1点鎖線:Φ0.4相当開弁時の吸気圧力PMΦ0.4、太線:異物噛み込み無しの吸気圧力PM(Tegr)、破線:EGR弁全閉時の吸気圧力PMΦ0.0、2点鎖線:エンジン負荷KL(%))。ここで、図26において、1点鎖線で囲んで示す「DE」の範囲は、エンジン1の減速初期を示し、同じく「DL」の範囲は、エンジン1の減速後期を示し、同じく「SA」の範囲は、減速定常又はアイドルを示す。
エンジン1の減速開始後において、EGR弁18での異物噛み込みによる吸気圧力PMの上昇は、図26に示すように、エンジン回転速度NEが低くなるほど大きくなり、その変化に基づく異物噛み込みの判定は容易となる。しかし、大径異物噛み込みの場合は、EGRガスの漏れ量が多くなり、エンストに至るおそれがある。そこで、エンスト回避のためには、エンジン1の減速初期DEに異物噛み込みを判定し、減速定常又はアイドルSAの前に吸気量を増加させてエンストを回避することが必要になる。
[全閉基準吸気圧力の学習について]
図27に、エンジン回転速度NEが「500rpm」の場合のエンジン負荷KLに対する全閉基準吸気圧力PMegr0の関係をグラフにより示す。図27において、太線は、20%と40%のエンジン負荷KLを通る標準的な全閉基準吸気圧力PMegr0(100kPa_abs. @25℃)を示し、破線は、空気密度が「10%」低下したときに補正した全閉基準吸気圧力PMegr0を示し、二点鎖線は、空気密度が「10%」増加したときに補正した全閉基準吸気圧力PMegr0を示す。一般に、空気密度の増減の影響は、全閉基準吸気圧力PMegr0の空気密度を補正することで対応することができる。すなわち、大気圧力、外気温度が変化すると、エアフローメータで検出される等質量の吸気量Gaに対して体積流量が増減し、吸気圧力PMに影響を与えることになる。そこで、空気密度に応じて全閉基準吸気圧力PMegr0を補正することが好ましい。例えば、標準状態から空気密度が「10%」低下した場合は、エンジン負荷KLが「40%」のときの全閉基準吸気圧力PMegr0(太線)を、エンジン負荷KLが「36%」のときの全閉基準吸気圧力PMegr0(破線)として補正することができる。
[EGR弁開弁制御時におけるEGR弁異物噛み込み診断制御について]
EGR弁異物噛み込み診断は、エンジン1の減速時であってEGR弁18を全閉に制御又は閉弁制御するとき以外に、エンジン1の定常時であって、EGR弁18を開弁制御するときにも診断することができる。図28に、EGR弁開弁制御時におけるEGR弁異物噛み込み診断制御の処理内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ500で、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL及び吸気圧力PMと、EGR弁18の制御開度に対応するステップモータ34のモータステップ数STegrとをそれぞれ取り込む。
次に、ステップ510で、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた、EGR弁18の現在の開度に対応する基準吸気圧力PMegr(X±a)を取り込む。ECU50は、所定のマップ(図示略)を参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた、EGR弁18の現在の開度に対応する基準吸気圧力PMegr(X±a)を求めることができる。
次に、ステップ520で、ECU50は、吸気圧力PMが、EGR弁18の現在の開度に対応する基準吸気圧力PMegr(X+a)より大きいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ530へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ540へ移行する。
ステップ530では、ECU50は、EGR弁18が開弁異常である(異物噛み込み異常)であると判定し、処理をステップ500へ戻す。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
一方、ステップ540で、ECU50は、吸気圧力PMが、EGR弁18の現在の開度に対応する基準吸気圧力PMegr(X−a)より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ550へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ560へ移行する。
ステップ550では、ECU50は、EGR弁18が閉弁異常である(流量低下)であると判定し、処理をステップ500へ戻す。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶したり、この判定結果を受けて所定の異常報知制御を実行したりすることができる。
一方、ステップ560で、ECU50は、EGR弁18が閉弁正常であると判定し、処理をステップ500へ戻す。ECU50は、この判定結果をメモリに記憶することができる。
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の運転が定常状態であってECU50がEGR弁18を開弁制御するときに、検出される運転状態に基づきEGR弁18の開閉に係る異常の有無を判定するようになっている。
従って、この実施形態の構成によれば、エンジン1の定常時に、EGR弁18の動作状態に関する条件を特定の条件に制限することなく、EGR弁18の開閉に係る異常を早期に診断することができる。
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記第1〜第6の実施形態では、基準関数マップとしての各種基準吸気圧力マップを参照することにより、それぞれ検出されるエンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた各種基準吸気圧力PMegr0,PMegr20,PMegr30,PMegr60を算出し、算出される各種基準吸気圧力PMegr0,PMegr20,PMegr30,PMegr60と検出される吸気圧力PMとを比較することによりEGR弁18の異常の有無を診断するように構成した。これに対し、所定の基準関数式を参照することにより、それぞれ検出されるエンジン回転速度とエンジン負荷に応じた基準吸気圧力を算出し、算出される基準吸気圧力と検出される吸気圧力とを比較することによりEGR弁の異常の有無を診断するように構成することもできる。
(2)前記第7実施形態では、所定の基準関数式を参照することにより、それぞれ検出されるエンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた推定EGR開度PMstegr(EGR弁18の基準開度)を算出し、算出される推定EGR開度PMstegrとモータステップ数STegr(EGR弁18の制御開度)とを比較することによりEGR弁18の異常の有無を診断するように構成した。これに対し、所定の基準関数マップを参照することにより、それぞれ検出されるエンジン回転速度とエンジン負荷に応じた推定EGR開度(EGR弁の基準開度)を算出し、算出される推定EGR開度とモータステップ数(EGR弁の制御開度)とを比較することによりEGR弁の異常の有無を診断するように構成することもできる。
(3)前記各実施形態では、EGR装置を、過給機を備えないガソリンエンジンシステムにおける、いわゆる「高圧ループ式」のEGR装置に具体化したが、過給機を備えたガソリンエンジンシステムにおける、いわゆる「高圧ループ式」及び「低圧ループ式」のEGR装置に具体化することもできる。
(4)前記各実施形態では、この開示技術におけるエンジンのEGR装置を、過給機を備えないガソリンエンジンシステムに具体化したが、このエンジンのEGR装置を、過給機を備えたガソリンエンジンシステムに具体化することもできる。
(5)前記各実施形態では、この開示技術におけるエンジンのEGR装置をガソリンエンジンシステムに適用したが、このEGR装置をディーゼルエンジンシステムに適用することもできる。