以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<駆動系統の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る動力分割式無段変速機4が搭載された車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。エンジン2の出力は、トルクコンバータ3および動力分割式無段変速機4を介して、車両1の駆動輪(たとえば、左右の前輪)に伝達される。
トルクコンバータ3は、ポンプインペラ31、タービンランナ32およびロックアップクラッチ33を備えている。ポンプインペラ31には、エンジン2の出力軸(E/G出力軸)が連結されており、ポンプインペラ31は、E/G出力軸と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ32は、ポンプインペラ31と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ33は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とを直結/分離するために設けられている。ロックアップクラッチ33が係合されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが直結され、ロックアップクラッチ33が解放されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが分離される。
ロックアップクラッチ33が解放された状態において、E/G出力軸が回転されると、ポンプインペラ31が回転する。ポンプインペラ31が回転すると、ポンプインペラ31からタービンランナ32に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ32で受けられて、タービンランナ32が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ32には、E/G出力軸の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップクラッチ33が係合された状態では、E/G出力軸が回転されると、E/G出力軸、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体となって回転する。
動力分割式無段変速機4は、インプット軸41、アウトプット軸42、無段変速機構43、出力用遊星歯車機構44およびスプリット変速機構45を備えている。
インプット軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結され、タービンランナ32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
アウトプット軸42は、インプット軸41と平行に設けられている。アウトプット軸42には、出力ギヤ46が相対回転不能に支持されている。
無段変速機構43は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。具体的には、無段変速機構43は、プライマリ軸51と、プライマリ軸51と平行に設けられたセカンダリ軸52と、プライマリ軸51に相対回転不能に支持されたプライマリプーリ53と、セカンダリ軸52に相対回転不能に支持されたセカンダリプーリ54と、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とに巻き掛けられたベルト55とを備えている。
プライマリプーリ53は、プライマリ軸51に固定された固定シーブ61と、固定シーブ61にベルト55を挟んで対向配置され、プライマリ軸51にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ62とを備えている。可動シーブ62に対して固定シーブ61と反対側には、プライマリ軸51に固定されたシリンダ63が設けられ、可動シーブ62とシリンダ63との間に、ピストン室(油室)64が形成されている。
セカンダリプーリ54は、セカンダリ軸52に固定された固定シーブ65と、固定シーブ65にベルト55を挟んで対向配置され、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ66とを備えている。可動シーブ66に対して固定シーブ65と反対側には、セカンダリ軸52に固定されたシリンダ67が設けられ、可動シーブ66とシリンダ67との間に、ピストン室(油室)68が形成されている。
無段変速機構43では、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各ピストン室64,68に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各溝幅が変更されることにより、無段変速機構43での変速比であるベルト変速比が連続的に無段階で変更される。
具体的には、ベルト変速比が下げられるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ53の可動シーブ62が固定シーブ61側に移動し、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が小さくなり、ベルト変速比が下がる。
ベルト変速比が上げられるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト55に対するセカンダリプーリ54の推力がベルト55に対するプライマリプーリ53の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が大きくなり、ベルト変速比が上がる。
一方、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の推力は、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑りが生じない大きさを必要とする。そのため、プライマリ軸51に入力されるトルクの大きさに応じた推力が得られるよう、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各ピストン室64,68に供給される油圧(油量)が制御される。
出力用遊星歯車機構44は、サンギヤ71、キャリア72およびリングギヤ73を備えている。サンギヤ71は、セカンダリ軸52に相対回転不能に支持されている(セカンダリ軸52と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている)。キャリア72は、アウトプット軸42に相対回転可能に外嵌されている。キャリア72は、複数個のピニオンギヤ74を回転可能に支持している。複数個のピニオンギヤ74は、円周上に配置され、サンギヤ71と噛合している。リングギヤ73は、複数個のピニオンギヤ74を一括して取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ74にセカンダリ軸52の回転径方向の外側から噛合している。また、リングギヤ73には、アウトプット軸42が接続され、リングギヤ73は、アウトプット軸42と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
スプリット変速機構45は、増速用遊星歯車機構81、スプリットドライブギヤ82、スプリットドリブンギヤ83およびアイドルギヤ84を備えている。
増速用遊星歯車機構81には、サンギヤ85、キャリア86およびリングギヤ87が含まれる。サンギヤ85は、インプット軸41に相対回転可能に外嵌されている。キャリア86は、インプット軸41に相対回転不能に支持されている。キャリア86は、複数個のピニオンギヤ88を回転可能に支持している。複数個のピニオンギヤ88は、円周上に配置され、サンギヤ85と噛合している。リングギヤ87は、複数個のピニオンギヤ88を一括して取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ88にインプット軸41の回転径方向の外側から噛合している。
スプリットドライブギヤ82は、増速用遊星歯車機構81のサンギヤ85と一体回転可能に設けられている。
スプリットドリブンギヤ83は、出力用遊星歯車機構44のキャリア72と一体回転可能に設けられている。
アイドルギヤ84は、スプリットドライブギヤ82およびスプリットドリブンギヤ83と噛合している。
動力分割式無段変速機4は、出力ギヤ46の回転をデファレンシャルギヤ5に伝達する出力ギヤ機構91を備えている。出力ギヤ機構91は、アウトプット軸42と平行に設けられた出力アイドル軸92と、出力アイドル軸92に相対回転不能に支持されて、出力ギヤ46と噛合する第1出力アイドルギヤ93と、出力アイドル軸92に相対回転不能に支持されて、デファレンシャルギヤ5(デファレンシャルギヤ5の入力ギヤ)と噛合する第2出力アイドルギヤ94とを含む。
また、動力分割式無段変速機4は、ベルトモードクラッチC1、リバースブレーキB1およびスプリットモードブレーキB2を備えている。
ベルトモードクラッチC1は、アウトプット軸42とセカンダリ軸52とを直結(一体回転可能に連結)する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
リバースブレーキB1は、スプリットドライブギヤ82(出力用遊星歯車機構44のキャリア72)を制動する係合状態(オン)と、スプリットドライブギヤ82の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
スプリットモードブレーキB2は、増速用遊星歯車機構81のリングギヤ87を制動する係合状態(オン)と、リングギヤ87の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
<動力伝達モード>
図2は、車両1の前進時および後進時におけるベルトモードクラッチC1、リバースブレーキB1およびスプリットモードブレーキB2の状態を示す図である。図3は、出力用遊星歯車機構44のサンギヤ71、キャリア72およびリングギヤ73の回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。
図2において、「○」は、ベルトモードクラッチC1、リバースブレーキB1およびスプリットモードブレーキB2が係合状態であることを示している。「×」は、ベルトモードクラッチC1、リバースブレーキB1およびスプリットモードブレーキB2が解放状態であることを示している。
動力分割式無段変速機4は、車両1を前進させるための前進(ドライブ)レンジにおける動力伝達モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードを有している。
ベルトモードでは、図2に示されるように、ベルトモードクラッチC1が係合される。これにより、アウトプット軸42およびセカンダリ軸52が直結される。また、リバースブレーキB1およびスプリットモードブレーキB2が解放される。リバースブレーキB1が解放された状態では、スプリット変速機構45のスプリットドライブギヤ82、スプリットドリブンギヤ83およびアイドルギヤ84ならびに出力用遊星歯車機構44のキャリア72がフリー(自由回転状態)である。スプリットモードブレーキB2が解放された状態では、スプリット変速機構45の増速用遊星歯車機構81のリングギヤ87がフリーである。
インプット軸41に入力される動力は、無段変速機構43のプライマリ軸51に伝達され、プライマリ軸51およびプライマリプーリ53を回転させる。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。アウトプット軸42およびセカンダリ軸52が直結されているので、セカンダリ軸52と一体となって、アウトプット軸42が回転する。したがって、ベルトモードでは、図3に示されるように、動力分割式無段変速機4の全体での変速比であるユニット変速比がベルト変速比と一致する。
スプリットモードでは、図2に示されるように、スプリットモードブレーキB2が係合される。これにより、スプリット変速機構45の増速用遊星歯車機構81のリングギヤ87が制動される。また、ベルトモードクラッチC1およびリバースブレーキB1が解放される。ベルトモードクラッチC1が解放された状態では、アウトプット軸42とセカンダリ軸52との直結が解除されている。
インプット軸41に入力される動力の一部は、無段変速機構43のプライマリ軸51に伝達され、プライマリ軸51およびプライマリプーリ53を回転させる。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。セカンダリ軸52の回転により、出力用遊星歯車機構44のサンギヤ71が回転する。
また、スプリット変速機構45のリングギヤ87が制動されているので、インプット軸41に入力される動力の一部は、スプリット変速機構45のキャリア86を公転させるとともに、そのキャリア86に保持されているピニオンギヤ88を回転させる。ピニオンギヤ88の回転により、ピニオンギヤ88からサンギヤ85に動力が入力される。これにより、スプリットドライブギヤ82が回転する。スプリットドライブギヤ82の回転は、アイドルギヤ84を介して、スプリットドリブンギヤ83に伝達され、スプリットドリブンギヤ83および出力用遊星歯車機構44のキャリア72を回転させる。
スプリット変速機構45の変速比であるスプリット変速比は、一定で不変(固定)であるので、スプリットモードでは、インプット軸41に入力される動力が一定であれば、出力用遊星歯車機構44のキャリア72の回転が一定速度に保持される。そのため、ベルト変速比が上げられると、出力用遊星歯車機構44のサンギヤ71の回転数が下がるので、図3に破線で示されるように、出力用遊星歯車機構44のリングギヤ73(アウトプット軸42)の回転数が上がる。その結果、スプリットモードでは、ベルト変速比が大きいほど、ユニット変速比が小さくなる。
ベルトモードおよびスプリットモードにおけるアウトプット軸42の回転は、出力ギヤ46および出力ギヤ機構91を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト6,7が前進方向に回転する。
車両1を後進させるための後進(リバース)レンジでは、図2に示されるように、ベルトモードクラッチC1およびスプリットモードブレーキB2が解放される。そして、リバースブレーキB1が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ82が制動される。スプリットドライブギヤ82の制動により、スプリット変速機構45のアイドルギヤ84が回転不能となり、さらに、スプリット変速機構45のスプリットドリブンギヤ83および出力用遊星歯車機構44のキャリア72が回転不能となる。
インプット軸41に入力される動力は、無段変速機構43のプライマリ軸51に伝達され、プライマリ軸51およびプライマリプーリ53を回転させる。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。セカンダリ軸52の回転により、出力用遊星歯車機構44のサンギヤ71が回転する。キャリア72が回転不能なため、図3に二点鎖線で示されるように、サンギヤ71が回転すると、リングギヤ73がサンギヤ71と逆方向に回転する。このリングギヤ73の回転方向は、前進レンジ(ベルトモードおよびスプリットモード)におけるリングギヤ73の回転方向と逆方向となる。そして、リングギヤ73と一体にアウトプット軸42が回転する。アウトプット軸42の回転は、出力ギヤ46および出力ギヤ機構91を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト6,7が後進方向に回転する。
<セカンダリプーリ>
図4Aおよび図4Bは、セカンダリプーリ54の構成を示す断面図である。
セカンダリプーリ54の固定シーブ65は、セカンダリ軸52と一体的に形成され、セカンダリ軸52から径方向に鍔状に張り出している。固定シーブ65は、セカンダリ軸52側ほど可動シーブ66に近づくように傾斜した挟持面101を有している。
可動シーブ66は、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能に外嵌された内円筒部102と、内円筒部102の固定シーブ65側の端部から径方向に鍔状に張り出す鍔状部103と、鍔状部103の外周端部から固定シーブ65側と反対側に延び、内円筒部102と径方向に対向する外円筒部104とを一体的に備えている。
内円筒部102の固定シーブ65側の端面と鍔状部103の固定シーブ65側の側面とは、面一に形成され、セカンダリ軸52側ほど固定シーブ65に近づくように傾斜した挟持面105をなしている。この挟持面105と固定シーブ65の挟持面101との間に、ベルト55が挟持されている。
内円筒部102には、セカンダリ軸52と摺擦する内周面に、オイル供給溝106が全周にわたって形成されている。オイル供給溝106は、可動シーブ66(内円筒部102)の可動範囲内であれば、可動シーブ66の位置にかかわらず、セカンダリ軸52の内部に形成された供給油路107と常に連通している。また、内円筒部102には、一端がオイル供給溝106に接続され、他端が内円筒部102の外周面で開放されるオイル導入路108が形成されている。可動シーブ66とシリンダ67との間のピストン室68には、供給油路107からオイル供給溝106およびオイル導入路108を介して油圧が供給される。
シリンダ67は、セカンダリ軸52から径方向に鍔状に張り出す第1円環部109と、円環状をなし、その内周端部が第1円環部109の外周端部に可動シーブ66側から重なるように形成された第2円環部110と、第2円環部110の外周端部から可動シーブ66側に延びる延部111とを一体的に備えている。
第2円環部110の内径は、可動シーブ66の内円筒部102の外径よりも大きく、第2円環部110の内側に、内円筒部102が入り込むことが可能になっている。
延部111の外周端部は、径方向外側に湾曲ないし屈曲し、その先端面112が可動シーブ66の外円筒部104に径方向内側から対向している。先端面112には、シール溝113が全周にわたって形成されている。シール溝113には、オイルシール114が嵌合されている。オイルシール114は、可動シーブ66の外円筒部104に液密的に当接している。
また、可動シーブ66の鍔状部103とシリンダ67の第2円環部110との間には、スプリング115が介在されている。スプリング115の弾性力により、可動シーブ66およびシリンダ67は、互いに離間する方向に付勢されている。
そして、シリンダ67の第1円環部109の可動シーブ66側の面には、セカンダリ軸52の周囲を取り囲む円環状のストッパ116が配置されている。ストッパ116は、摩擦係数が比較的小さい材料を用いて、シリンダ67と別体に形成されている。ストッパ116は、摩擦係数が比較的大きい材料を用いて形成され、その表面に摩擦係数を小さくするためのコーティング加工が施されていてもよい。
ベルト変速比(無段変速機構43の変速比)が最大のときには、図4Aに示されるように、可動シーブ66の内円筒部102は、シリンダ67の第2円環部110内から抜け、シリンダ67の延部111と間隔を空けて対向している。
プライマリプーリ53(図1参照)に対するベルト55の巻きかけ径が増大されると、可動シーブ66がシリンダ67側に移動する。可動シーブ66の移動が進むと、内円筒部102がシリンダ67の第2円環部110の内側に入り込む。可動シーブ66がシリンダ67側にさらに移動されると、図4Bに示されるように、内円筒部102のシリンダ67側の端面がストッパ116に当接する。これにより、可動シーブ66のそれ以上の移動が阻止され、可動シーブ66がストッパ116に当接した状態で固定される。そのため、セカンダリプーリ54に対するベルト55の巻きかけ径がそれ以上に小さくならず、このとき、ベルト変速比が最小となる。
ストッパ116は、その最小のベルト変速比がスプリット変速機構45の一定変速比であるスプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満である所定値と一致するように、その形状(可動シーブ66の内円筒部102が当接する部分の厚み)が設計されている。所定値は、スプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満であれば、たとえば、スプリット変速比に0.07〜0.12を加えた値であってもよいし、スプリット変速比に1.1〜1.3を乗じた値であってもよい。
<作用効果>
図5は、動力分割式無段変速機4のユニット変速比とユニット効率との関係を示すグラフである。
スプリットモードでは、インプット軸41に入力される動力の一部がスプリット変速機構45を介してアウトプット軸に伝達される。それゆえ、スプリットモードでは、同じベルト変速比でベルトモードと比較すると、スプリット変速機構45よりも伝達効率の低い無段変速機構43に伝達される動力が低いので、図5に示されるように、動力分割式無段変速機4の伝達効率(ユニット効率)が良い。
また、無段変速機構43では、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径とセカンダリプーリ54に対するベルト55の巻きかけ径との差が小さい状態、つまりベルト変速比が1付近となる状態で伝達効率が最も良く、ベルト変速比が1から離れるほど伝達効率が下がる。それゆえ、動力分割式無段変速機4は、図5に示されるように、ベルトモードおよびスプリットモードの各動力伝達モードにおいて、ベルト変速比が1付近となる状態でユニット効率が最も良く、ベルト変速比が1から離れるほどユニット効率が悪化する特性を有している。
セカンダリプーリ54の可動シーブ66が固定シーブ65から離間する側に移動すると、セカンダリプーリ54に対するベルトの巻きかけ径が小さくなり、ベルト変速比が小さくなる。可動シーブ66の移動が進むと、可動シーブ66がストッパ116に当接し、可動シーブ66のそれ以上の移動が阻止される。このとき、ベルト変速比が最小となり、その最小のベルト変速比がスプリット変速機構45のスプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満である所定値と一致する。
これにより、ベルト変速比が所定値を超えて小さくなることを禁止することができるので、ユニット変速比がスプリット変速比付近のユニット効率の悪い領域になることを抑制できる。すなわち、ユニット効率の谷の使用を避けることができる。
なお、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えは、ベルト変速比が所定値に一致した状態において、ベルトモードクラッチC1とスプリットモードブレーキB2とが掛け替えられることにより達成される。
セカンダリプーリ54は、可動シーブ66に対して固定シーブ65側と反対側に、可動シーブ66の移動方向に固定的に設けられたシリンダ67をさらに備え、ストッパ116は、シリンダ67と別体に形成されている。
そのため、ストッパ116の位置または形状の変更により、可動シーブ66がストッパ116に当接するときの可動シーブ66の位置を変更することができ、所定値(ベルト変速比の最小値)を変更することができる。したがって、スプリット変速機構45のスプリット変速比が変更になっても、シリンダ67の形状を変更せずに、ストッパ116の位置または形状の変更により、スプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満である所定値を設定することができる。よって、動力分割式無段変速機4に種々の車種に搭載可能な汎用性を持たせることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、ストッパ116がシリンダ67と別体に形成されている構成を取り上げた。しかしながら、ストッパ116は、シリンダ67と一体に形成されていてもよい。言い換えれば、シリンダ67がストッパ116の機能を発揮する形状に形成されて、可動シーブ66がシリンダ67に当接することにより、ベルト変速比がスプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満である所定値と一致する構成であってもよい。
また、前述の実施形態では、セカンダリプーリ54にストッパ116が設けられ、可動シーブ66が移動によりストッパ116に当接すると、可動シーブ66のそれ以上の移動が阻止されて、ベルト変速比がスプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満である所定値と一致する構成を取り上げた。
この構成に代えて、または、その構成に加えて、同様な作用効果を得ることを目的とするストッパがプライマリプーリ53に設けられてもよい。すなわち、プライマリプーリ53にストッパが設けられ、可動シーブ62が移動によりストッパに当接すると、可動シーブ62のそれ以上の移動が阻止されて、ベルト変速比がスプリット変速比よりも大きく、かつ、1未満である所定値と一致する構成が採用されてもよい。
たとえば、セカンダリプーリ54の各部(シリンダ67など)の形状は、一例であり、セカンダリプーリ54のサイズなどに応じて適宜に変更されるとよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。