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JP6555083B2 - 水温制御システム - Google Patents
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本発明は、水田の水温制御システムに関する。
稲は、水温によって生育度合いが変化する。適正な水温で稲を育成できれば、収穫量の向上などが期待できることから、水田の水温を制御する技術に関心が高まっている。
例えば、水温を制御するために、給水水源の水温及び水田の水温と水田内の水の体積に基づいて給水後の水温を計算し、適正な給水量を調整する手段が知られている(特許文献1)。
特開2000−69865号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、給水水源の水温及び水田の水温と水田内の水の体積を計測することなしに給水量が決定できない。水田の正しい体積の算出は、土質毎に違う浸透の度合いや水田の凹凸によるずれといった事象が原因で、困難であった。また、大規模な水田内では、場所によって水温差が生じて、稲の生育状況に差が出るという問題があった。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、水の体積情報を用いることなしに、水田内の水温を精度よく制御することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る水田の水温制御システムは、水田の水温を計測する水温計測装置と、水田へ入水を実行する入水装置と、フィードバック制御を用いて、水温計測装置で計測した水温値と目標とする水温の設定値とを比較して入水装置が備える入水口の開度を決定し、決定した開度になるよう入水装置を動作させる制御装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、水温計測装置で計測した水温に基づいて、入水装置の入水口の開度調整による入水量の調整を行うことで、水田内の水の体積を計測することなしに、水田内の水温を精度よく自動で調整することが可能となる。
好ましくは、入水装置は、入水する水の方向を調整する入水方向調整手段を備えているとよい。この場合、入水する水の方向を調整できるため、より迅速に水田内の場所による水温差を解消することが可能となる。
好ましくは、フィードバック制御は、P制御であるとよい。この場合、入水中、水田の水温の値に基づいて入水量を決定するため、設定値の実現をより迅速に行い、その値を安定的に維持することが可能となる。
好ましくは、フィードバック制御は、三位置制御であるとよい。この場合、入水量の微調整を行わないため、プログラムにおける処理を簡潔に行うことが可能となる。
好ましくは、水温計測装置を複数備えているとよい。この場合、水田中の複数地点の水温を計測できるため、現在の水田の水温を精度よく算出することが可能となる。
好ましくは、水温計測装置を複数備えており、水温計測装置が送信する水温情報には、複数の水温計測装置の設置位置を示す位置情報を含み、水温計測装置で計測した水温値と目標とする水温の設定値との比較、及び位置情報により、入水方向調整手段の入水方向を調整するから構成されるとよい。この場合、水田内で水温の低い場所に、低温の水が進行しないよう方向制御することができ、水温制御を精度よく行うことが可能となる。
本発明によれば、水の体積情報を用いることなしに、水田内の水温を精度よく制御することが可能となる。
本発明の実施形態1に係る水田の水門制御システムのブロック図である。 本発明の実施形態1に係る水田の水門制御システムの配置図である。 本発明の実施形態1に係る水田の水門制御システムの入水装置のイメージ図である。 本発明の実施形態1に係る水田の水門制御システムの動作のフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る水田の水門制御システムの入水装置のイメージ図である。 本発明の実施形態2に係る水田の水門制御システムの配置図である。 本発明の実施形態3に係る水田の水門制御システムの配置図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(実施形態1)
まず、図1を用いて、本発明の実施形態1に係る水温制御システム1の構成ならびに処理動作について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る水温制御システムを示すブロック図である。水温制御システム1は、図1に示すように、水温計測装置1aと、入水装置1bと、制御装置1cから構成されている。
各装置の配置を、図2に示す。水温計測装置1aは水田内に、入水装置1bは水田の水口に、制御装置1cは水田の水口付近などに設置する。制御装置1cと入水装置1bは、ケーブル等で接続されている。
まず、水温計測装置1aは、水温計測装置全体を制御する演算部11aと、水温を計測する水温計測部12aと、計測した水温を後述する制御装置に送信する通信部13aから構成されている。演算部11aを構成するハードウェアとしては、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などが挙げられる。水温計測部12aは、サーミスタを用いる。また、通信部13aは、ZigBee(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)といった無線通信機を用いる。また、演算部11aと通信部13aは一体に構成されていても良い。
入水装置1bは、入水口11bと、入水方向調整手段の一実施例である入水口遮蔽部を有する。入水装置1bは、制御装置1cが決定した入水口遮蔽部を、決定した開度に応じて入水口11bから取水できるように開き、水田の脇を流れている入水用水路から取水し、水田へ水を供給する役割を担っている。例えば、入水装置1bとしては、図3に示すように、入水装置1bの入水口遮蔽部が、扉Aと扉Bの2枚によって構成されており、これが上下に開閉し、入水量および入水方向を調整できるようになっているとよい。例えば、図2において、領域(い)が日陰になりやすいといった理由で水温が低い場合、水田と比べて水温の低い入水用水路の水が領域(い)に流れ込まないよう、扉Aのみを開門することもできる。また、扉Aを10cm開口し、扉Bを2cm開口するなど、扉の開度を異ならせて入水口11bを開き、入水方向を調整してもよい。つまり、予め水温が低くなると予想される場所を制御装置1cに入力しておき、これを加味して演算部13cが扉Aまたは扉Bの開度を決定することにより入水量および入水方向を調整する。これにより、水田内で水温の低い場所に、低温の水が進行しないよう方向制御することができ、水温制御を精度よく行うことが可能となる。
なお、扉Aと扉Bは、上下に開閉する場合を示したが、扉Aは扉B側に、扉Bは扉A側にスライドさせる構成としても良い。例えば図2に示す領域(い)側に入水用水路の水を給水させる場合は、扉Bを扉A側にスライドさせて、入水口11bの右側の開度を調整する。また、領域(あ)側に入水用水路の水を給水させる場合は、扉Aを扉B側にスライドさせる。領域(あ)および領域(い)のそれぞれの領域に給水させたい場合は、扉Aを扉B側に、扉Bを扉A側にそれぞれスライドさせ、所望の入水量になるよう入水口11bの両側の開度を決定する。これにより、入水量および入水方向を調整できるので、水田内で水温の低い場所に、低温の水が進行しないよう方向制御することができ、水温制御を精度よく行うことが可能となる。
制御装置1cは、通信部12cと演算部13cから構成される。通信部12cは、水温計測装置1aから送信されてきた水温の計測値を受信する。通信部12cを構成するハードウェアとしては、ZigBee(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)といった無線通信機を用いるとよい。演算部13cは、通信部12cが受信した、水田の水温を基に、フィードバック制御を用いて扉Aまたは扉Bの開度と方向を決定し、入水装置1bに指示する。演算部13cを構成するハードウェアとしては、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などが挙げられる。
フィードバック制御として、P制御を用いるとよい。P制御では、水田の水温の、設定値との差に応じて入水装置1bの入水口遮蔽部を調整し、入水口の開度と水田へ入水する水の方向を決定する。例えば、図3に示したような入水装置1bを用いる場合、設定値が20℃で水温の計測値が25℃の場合は10cm開門する、設定値が20℃で水温の計測値が23℃の場合は5cm開門するなどして、開度を決定する。また、予め制御装置1cに入力された水田内の領域による水温差情報を加味して、扉Aや扉Bの開度に応じて入水口を開口させ、入水方向を決定してもよい。この場合、入水中、水温の値に基づいて入水量や入水方向を決定するため、設定値の実現をより迅速に行い、その値を安定的に維持することが可能となる。
続いて、図4を参照して、本発明の実施形態1に係る水温制御システム1の処理動作について説明する。図4は、本発明の実施形態1に係る水温制御システム1の処理動作を示すフローチャートである。
まず、水温計測装置1aの水温計測部12aが、水田の水温を計測し、通信部13aから制御装置1cに水温の計測値を送信する。(ステップS01)
次に、制御装置1cは、水温計測装置1aが送信した水温の計測値を通信部12cで受信し、フィードバック制御のひとつであるP制御により入水装置1bの入水口遮蔽部を調整し、入水口の開度と水田へ入水する水の方向を決定する。(ステップS02)
P制御として、具体的に以下のような手順で開度を決定する。水田内の現在水温をNT、水田内の理想水温をOTとし、NTとOTの差をとる。これにより、現在の水温の理想水温との差diffを求める。
NT−OT=diff … (1)
次に、以下に示す式(2)
OW = Kp × diff … (2) Kpは定数
を用いて、開口度OWを決定する。Kpは、ステップ応答法や限界感度法といった手法を用いて、予め決定しておく。
次に、制御装置1cは、ステップS02で決定した開度だけ入水装置1bの入水口遮蔽部を開き、水田に水を引き入れる。(ステップS03)例えば、10分に1度のように、予め決めておいた間隔でステップS01〜ステップS03の手順を繰り返して、水田の水温が設定値になるよう、調整する。
以上のように、本実施形態に関わる水温制御システムは、水温計測装置1aと、入水装置1bと、制御装置1cを備え、制御装置1cの入水口の開度と方向調整による入水制御と、水温計測を繰り返し行う。そのため、水田内の場所による水温差を解消することが可能となる。
(実施形態2)
次に、図5と図6を参照して、本発明の実施形態2に係る水温制御システムの構成について説明する。図5は、本発明の実施形態2に係る水温制御システムの入水装置の図で平面図と水田側から見た側面図を示している。図6は設置例である。
入水装置2bの入水口遮蔽部は、入水方向調整手段の一実施例である扉Cと扉Dの2枚によって構成されており、これらがそれぞれ奥側へ左右に開閉し、入水方向を調整できる点で、実施形態1と相違している。設定値との水温差に応じて開度を、水温に基づいて入水方向を調整するのは、実施形態1と共通である。扉Cと扉Dは、それぞれの扉に駆動部材21bが固定されている。この駆動部材21bは、制御装置1cからの指令に基づいて移動するようになっている。駆動部材21bが移動すると、これに固定されている扉Cまたは扉Dも連動する。例えば、図6において、領域(い)と領域(う)の水温が、日陰になりやすいといった理由で低い場合、水田と比べて水温の低い水路の水が領域(い)と領域(う)に流れ込まないよう、扉Dを、角度調節した上で開門する。これにより、水田内で水温の低い場所に、低温の水が進行しないよう方向制御することができ、水温制御を精度よく行うことが可能となる。
入水方向調整手段は、実施形態1,2に挙げた例だけでなく、入水方向を調整できる手段であれば、どのようなものでもよい。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る水温制御システムの構成について説明する。
水温制御システムは、フィードバック制御に三位置制御を用いている点で、実施形態1と相違している。三位置制御は、目標とする制御量の値が、一点でなく、ある範囲内に入っていれば良い時に用いるフィードバック制御の手法のひとつで、場合によってはP制御よりも良い精度で制御量の制御が可能となる。本システムでは、開門するときの水田の水温の値と、閉門するときの水田の水温の値が異なる。例えば、設定値±3℃以内の水温が、制御すべき水温の目標範囲である場合、設定値+3℃以上で開門、設定値−3℃以下で閉門する。この場合、入水量の微調整を行わないため、プログラムにおける処理を簡潔に行うことが可能となる。
(実施形態4)
次に、図7を参照して、本発明の実施形態4に係る水温制御システム10の構成について説明する。図7は、本発明の実施形態4に係る水温制御システム10の配置図である。
水温制御システム10は、水温計測装置1aが複数ある点で、実施形態1と相違している。本実施形態では、2つの水温計測装置1aが、各地点の水温の計測値を制御装置1cに送信する。2つの水温計測装置1aは、水田中で最も水温の低い場所、水田中で最も水温の高い場所の2か所に設置する。例えば、水田中で最も水温の低い場所は、図7に示すような、水田の水口付近が挙げられる。水田中で最も水温の高い場所は、図7に示すような、水田の水口から、不要な水を排水する排水口である水尻までの水の流れから外れた場所が挙げられる。制御装置1cは、水温計測装置1aの通信部13aから水温の計測値を受信し、その結果で入水口の開度を決定する。制御装置1cの演算部11aは、入水口の開度を決定するときに、各地点の水温計測値を平均した値を用いる。この場合、水田中の水温の最高値と最低値の平均を用いているため、水田の水温を精度よく算出することが可能となる。
(実施形態5)
本実施形態5は、水田内の各水温計測装置1aが、設置位置IDを持っている点で、実施形態1〜4と異なっている。水温計測装置1aから制御装置1cに送信する水温情報は、水温の計測値以外に水温計測装置1aの設置位置を示す位置情報である設置位置IDを含んで送信する。この設置位置IDと水温の計測値を制御装置1cの通信部12cが受信すると、制御部1cの演算部13cで入水口の開度と入水方向を決定し、入水装置1bに送信する。例えば、位置情報Aの水温の計測値が、位置情報Bの水温の計測値より低温であった場合は、入水用水路からの冷水が位置情報Bの水温計測装置1bに向けて入水されるよう、入水口の開度と入水方向を入水方向調整手段により調整する。このように、制御装置1cは、水田内のどの位置の水温が低いか把握できるため、水田内で水温の低い場所に、低温の水が進行しないよう方向制御することができるなど、水温制御を精度よく行うことが可能となる。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、入水装置1b,2bの近傍に、ヒーターや水温コントローラ等の温度調節器を備えておき、水温計測装置1aから送信される水温の計測値に基づいて、予め入水温度を調節しておいても構わない。
1…水温制御システム、1a…水温計測装置、11a…演算部、12a…水温計測部、13a…通信部、1b、2b…入水装置、11b…入水口、1c…制御装置、12c…通信部、13c…演算部、21b…駆動部材

Claims (3)

  1. 水田の水温を調整する水温制御システムであって、
    前記水田の水温を計測する複数の水温計測装置と、
    水田へ入水を実行する入水装置と、
    フィードバック制御を用いて、前記水温計測装置で計測した水温値と目標とする水温の設定値とを比較して前記入水装置が備える入水口の開度を決定し、決定した前記開度になるよう前記入水装置を動作させる制御装置と、
    を備え
    前記入水装置は、入水する水の方向を調整する入水方向調整手段を備え、
    前記水温計測装置が送信する水温情報には、複数の前記水温計測装置の設置位置を示す位置情報を含み、
    前記水温計測装置で計測した水温値と目標とする水温の設定値との比較、及び前記位置情報により、前記入水方向調整手段の入水方向を調整する水温制御システム。
  2. 前記フィードバック制御は、P制御であることを特徴とする、請求項に記載の水温制御システム。
  3. 前記フィードバック制御は、三位置制御であることを特徴とする、請求項に記載の水温制御システム。
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