JP6558752B2 - ポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法 - Google Patents
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Description
これらの材料の中でもPPやPEなどのポリオレフィン樹脂は軽量プラスチックであると同時に優れた機械物性、成形加工性を有していることから、自動車材料としても広範囲に採用されている。
このポリオレフィン樹脂を用いた基板は単一成分の樹脂材料が使用されており、純粋に回収すれば容易に原料として再利用する、いわゆるマテリアルリサイクルが可能で付加価値も高い。しかし、自動車用内装部品に用いられる基板は、優れたクッション性を持つウレタンフォームが強く融着している部品も多く分離の困難な複合物であるため、マテリアルリサイクルはなされず、燃料としてサーマルリサイクルされているのが現状である。
このようなウレタン樹脂の処理方法としては、化学反応により組成変換した後にリサイクルするケミカルリサイクルに関する技術として特許文献1や特許文献2も開示されている。
特許文献1や特許文献2に開示される発明では、ウレタン樹脂を200〜370℃の高温高圧水で分解するため、この温度では基板であるポリオレフィンの融点を上回っているので回収は不可能であるという課題があった。
上記構成のポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法では、複合材料におけるウレタン樹脂の含有量が20重量%以下、すなわち基材のポリプロピレン樹脂を主成分とする材料の含有量を80重量%以上とすることで、NaOH水溶液に対する負荷を低減しつつ、そして10重量%−25重量%という高濃度のNaOH水溶液とすることでポリプロピレン樹脂の融点以下となる150℃−160℃でもウレタン樹脂のみを分解するように作用する。
上記構成のポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法では、複合材料におけるウレタン樹脂の含有量が5重量%以下、すなわち基材のポリプロピレン樹脂を主成分とし、ABS樹脂又はASA樹脂を含む材料の含有量を95重量%以上とすることで、NaOH水溶液に対する負荷を低減しつつ、そして20重量%−25重量%という高濃度のNaOH水溶液とすることでポリプロピレン樹脂、ABS樹脂及びASA樹脂の融点以下となる130℃−150℃でもウレタン樹脂のみを分解するように作用する。
上記構成のポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法では、複合材料におけるウレタン樹脂の含有量が5重量%以下、すなわち基材のポリエチレン樹脂を主成分とする材料の含有量を95重量%以上とすることで、NaOH水溶液に対する負荷を低減しつつ、そして20重量%−25重量%という高濃度のNaOH水溶液とすることでポリエチレン樹脂の融点以下となる120℃−130℃でもウレタン樹脂のみを分解するように作用する。但し、120℃−130℃のNaOH水溶液では完全にウレタン樹脂を分解できない可能性があり、その場合には粘調なウレタン分解生成物として基材に付着する。そこで、水溶性の希酸又は有機溶媒はこの粘調物を洗浄して除去するように作用する。
なお、ポリエチレン樹脂の融点以下として120℃−130℃と幅があるのはポリエチレンのグレード等によって融点が変動するためである。
上記構成のポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法では、ウレタン樹脂の含有量が20重量%を上回る場合に、比重分離が、破砕されたより軽量のウレタン樹脂を水上あるいは気流中の上層に分布させ、基板のポリオレフィンを主成分とする基材を水中あるいは気流中の下層に分布させてウレタン樹脂の含有量を調整するように作用する。
図1において、ステップS1では、PP(ポリプロピレン)を主成分とする基材と、この基材に接着又は組込まれたウレタン樹脂を含む複合廃材を、ポリプロピレン樹脂の融点以下となる130℃−160℃のNaOH水溶液等のアルカリ水溶液に浸漬して、ウレタン樹脂を分解する。ウレタン樹脂の含有量が複合廃材全体に対して20重量%以下であれば、アルカリ水溶液の負荷が低減されるため、150℃程度の10重量%から25重量%の濃度のNaOH水溶液で十分分解され、さらに、ウレタン樹脂の含有量を5重量%程度にすれば130℃であっても、1時間以内に速やかに完全分解可能である。
なお、本実施の形態では、ウレタン樹脂が付着する材料には、基材としてポリプロピレン樹脂を単一成分としてもよいが、ABS樹脂やASA樹脂を含んでいてもよい。このように他の樹脂が含まれる場合には、ポリプロピレン樹脂よりも融点が低くなる場合があるので、NaOH等のアルカリ水溶液の温度については調整する必要がある。ABS樹脂やASA樹脂の場合にはポリプロピレン樹脂よりも融点が低くなるので、150℃よりも低温で130℃程度の範囲まで下げる必要がある。また、ウレタン樹脂以外にも副成分としてPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂が含まれていても、ウレタン樹脂と合計で20重量%以内であればポリプロピレン樹脂等を基材とする複合材料からウレタン樹脂とPET樹脂を分解することも可能であり、よって基材のリサイクルも可能である。
第1の実施の形態において使用するアルカリは特に限定されないが、コスト及びアルカリ強度を考慮すると、NaOHが好適である。なお、NaOH水溶液の濃度は、前述のとおり10重量%以上の高濃度とし、望ましくは15〜25重量%濃度とする。このような高濃度とするのは、ウレタン樹脂が低温でも速やかに分解されるためである。また、NaOH水溶液への浸漬時間としては1時間以内の短時間で処理する。
なお、第1の実施の形態における複合廃材の基材にPP樹脂以外のABS樹脂やASA樹脂が含まれる場合には、温度を低下させつつNaOH水溶液の濃度は前述のとおり20重量%から25重量%であることが必要である。
このようにアルカリ水溶液に浸漬すると、PP等の基材による不溶分と、分解されたウレタン樹脂が可溶分として含まれるアルカリ分解液とが分離される。
その後、PP等樹脂組成の基材による不溶分は、ステップS2として、アルカリ水溶液を取り除くための洗浄をし、さらに脱水した後に、ステップS3として再度ペレット化されて、原料リサイクルに供される。もちろん、基材の形状や大きさが維持される場合には、ステップS3の再ペレット化を行わなくとも原料としてリサイクル可能な場合もあるので、ステップS3は選択肢として採用されるとよい。
ステップS4ではアルカリ反応溶液の質を維持するために一部を抽出してCa(OH)2(水酸化カルシウム)を添加して濾過する。このCa(OH)2には、NaOHが空気中のCO2(二酸化炭素)を吸収することで生成されるNa2CO3(炭酸ナトリウム)を元のNaOHに戻す働きとウレタン樹脂が不完全分解してできる粘調な物質を吸着して濾過を容易にする働きがある。
濾過して分離される固形分はステップS5でスラッジとして処分し、濾液はステップS6でアルカリ反応溶液の質(濃度)を維持するためにNaOHを追加して、NaOH濃度を調整してアルカリ反応溶液へ戻す。
このように構成される第1の実施の形態に係るポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法では、ポリプロピレン樹脂の融点以下となる温度であって、高濃度のアルカリ水溶液に、ポリプロピレン樹脂を主成分とする基材とこの基材に接着又は組込まれたウレタン樹脂を含む複合廃材を浸漬することで、ポリプロピレン樹脂が溶融することなく、ウレタン樹脂が分解されて除去された状態で廃材の際の形状のままあるいは再度ペレット化して回収可能であることから、燃料としてのリサイクルではなく原材料としてリサイクルすることができる。
図2において、ステップS1では、PEを主成分とする基材と、この基材に接着又は組込まれたウレタン樹脂を含む複合廃材を、ポリエチレン樹脂の融点以下となる120℃−130℃のNaOH水溶液等のアルカリ水溶液に浸漬して、ウレタン樹脂を分解する。
本実施の形態では、ポリオレフィンとしてポリエチレンが用いられている基材であることから、第1の実施の形態よりもウレタン樹脂を分解する温度を120℃−130℃として低くしなければならない。従って、アルカリ水溶液であるNaOH水溶液の反応性が低下するので、ウレタン樹脂の含有量を複合廃材全体に対して5重量%以下に下げる必要があり、さらにNaOH水溶液の濃度を20重量%から25重量%という高濃度にしなければならない。
しかしながら、それでもウレタン樹脂は完全に分解しないことも多く、粘調物としてPE樹脂に付着したままとなることが多い、そこで、第1の実施の形態ではステップS2として単にアルカリ水溶液を洗浄したが本実施の形態では、ステップS2aとして、ウレタン樹脂の粘調物を希釈した硫酸やクエン酸などの水溶性の希酸やアセトン等の有機溶媒で洗浄し、脱水させる工程を設けている。
ステップS3以降のその他の工程については第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、PPあるいはPE等ポリオレフィンを主成分とする基材とウレタン樹脂の複合廃材において、ウレタン樹脂が複合廃材に対して20重量%を超えて含まれる場合に、既に説明した第1の実施の形態又は第2の実施の形態に係るポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法を採用可能なようにウレタン樹脂の含有量を下げる工程を追加するものである。
従って、図3ではステップS1の前段にステップS0aとステップS0bという2つの工程を追加しているが、それ以降は図1又は図2に記載される工程が続くものである。
図3において、ステップS0aは破砕工程である。まず、PPあるいはPE等ポリオレフィンとウレタン樹脂の複合廃材を破砕する。その後が、ステップS0bの比重分離工程である。フォーム状ウレタン樹脂はPPやPE等と比較して軽量であるので、水中や風力による比重選別が可能である。そこで、水中あるいは気流中に破砕した複合廃材を投入し、水上面あるいは気流上層に集合するウレタン樹脂と水中あるいは気流下層に集合するポリオレフィン樹脂を比重分離することで、リサイクル方法に供するウレタン樹脂の含有量を調整することが可能である。
このように破砕工程と比重分離工程をアルカリ水溶液に浸漬する工程の前工程として設けることで、第1の実施の形態に係るポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法や第2の実施の形態に係るポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法の実施に適したウレタン樹脂の含有量に調整することができる。基材に含まれるポリオレフィン樹脂の種類やその他のABS樹脂やASA樹脂等の含有量に応じて適切なウレタン樹脂の含有量に調整して、ステップS1及びそれ以降のリサイクル工程を実施すればよい。
まず、約14重量%のウレタンフォームが裏打ちされたPP板を10mmφのスクリーンを使用して破砕した。その破砕片の写真を図11に示す。白く見える部分がウレタンフォームであり、黒く見える部分が基材であるPPである。
破砕した材料150gを1000mlの圧力容器に入れ、20重量%のNaOH水溶液500mlを加え、昇温速度80〜100℃/hで所定温度(横軸に記載されている温度)まで上げ、所定温度に到達したらすぐにヒーター電源を切る「0時間保持」を行い、冷却して内部を回収し重量を測定することにより分解率を計算した。また、同条件で所定温度に1時間保持する「1時間保持」実験も行った。
図4において、20重量%のNaOH水溶液で0時間保持時における分解率のプロット点を丸印で、1時間保持時の分解率のプロット点を四角印で示している。
反応温度が160℃の場合は、0時間保持時で分解率100%となり、反応温度が150℃の場合は、1時間保持時で分解率100%となっている。また、反応温度が130℃程度であれば、0時間保持時と1時間保持時で分解率が40%程度で相違はあまりないが、それ以上の反応温度では1時間保持時の分解率が概ね15%程度高くなっている。
図5の写真のとおり160℃でウレタンフォームを完全分解することが可能であったが、このときの回収品の表面をATR法で測定したIRスペクトル(赤外吸収スペクトル)を図6に示す。また、図7は150℃のNaOH水溶液によって1時間保持後に完全に分解された後の回収品の表面のIRスペクトルである。
これらの図によれば、2800cm−1の大きな吸収、1400、1500cm−1付近の2本の吸収以外に大きな吸収がないことでPPと特定できる。なお、800−1200cm−1にも小さい吸収があるが、ここは1000cm−1を中心としたフィーラーの吸収と重なっていることを確認している。
従って、図6及び図7共にPPのみになっている結果が得られており、ウレタンフォームが完全に分解されていることがわかる。
図9は図8にIRスペクトルが示されたPP板が受けた分解処理時よりもさらに低温の120℃で0時間保持されたPP板の写真である。図9の写真のとおり白っぽく見えるウレタンが完全に分解されずに残存していることがよく理解できる。
この残存しているウレタンは元の樹脂そのものであり、温水で洗浄しても完全に除去することができなかった。従って、そのままPP板をリサイクルするのは困難であると考えられる。また、この図9に示されるPP板の表面にはウレタンの不十分な分解によって生成された粘調物が付着している。この粘調物は目視で確認できないレベルのものであるが、手で触るとべたつくためその生成を確認することができる。
図10は図9に示されるPP板からアセトンで溶解し分離した粘調物質のIRスペクトルである。すなわち、粘調物そのものを透過法で分析したIRスペクトルであるためPP板の影響を受けることがない。従って、図6、図7と同様に2800cm−1にPP板と同様の吸収が見られるものの、これは粘調物の赤外吸収ということになる。
図12に示されるのは、ウレタン分5%程度の水中部分であり、図13に示されるのはほぼ全量ウレタンフォームの水上部分である。このようにPPに比較して軽量であるウレタンフォームが裏打ちされたPP板の破砕片それぞれのウレタンフォームの含有量に応じて水上に浮く破砕片と水中に留まる破砕片に分離することができる。
従って、ウレタンフォームの含有量が高い場合に、破砕片として比重分離し、その後にウレタンフォームの含有量を低下させてNaOH水溶液等のアルカリ水溶液を用いて分解処理することが可能である。
表1に実施例1及び実施例3の試験結果をまとめて示す。
この表において示されるウレタンの分解レベルは、回収されたPP板の表面をATR法で測定したIRスペクトルの分析によって判断されるものである。
二重丸印で示されているのはウレタンが全く検出されなかったレベルであり、丸印はわずかに3400cm−1周辺に吸収が観察されるものの粘調物が触ってもほとんどないレベルである。また、三角印は明らかに粘調物が付着しており、IRでも大きく吸収が観察されている。しかし、希酸や有機溶剤で洗浄することで完全に取れるので、リサイクルしても問題のないものである。また、そのレベルの粘調物はPP面表面についていても目視では艶がある程度としかわからず、写真撮影してもわからない程度のものである。但し、バツ印はウレタンが分解しておらず、元の状態で残っており、希酸やアセトン(有機溶剤)で洗浄しても取れないため、リサイクルはできないレベルである。
その結果、試料表面のIRスペクトルは図14に示すとおりとなり、粘調物質は完全に除去できた。アセトンに代えてメタノールを用いても同様に完全に除去できた。すなわち、安全で使用が容易な有機溶剤を用いて簡単に除去することができた。
試料は、15重量%のウレタンフォームが裏打ちされたPP板の破砕片を150℃の5重量%NaOH水溶液で1時間保持して作製した。その試料を0.2%硫酸、1%硫酸、2.5%クエン酸で洗浄したところ、実施例4と同等のIRスペクトル(図15)が得られ、粘調物質は完全に除去できた。このときの重量減少(粘調物質の重量比)は0.7%程度であった。
Claims (3)
- ポリオレフィンのうちポリプロピレン樹脂を主成分とする基材と、この基材に接着又は組込まれたフォーム状、繊維状又は薄膜状のウレタン樹脂とを有し、前記ウレタン樹脂の含有量が20重量%以下である複合材料を、10重量%−25重量%濃度かつ150℃−160℃のNaOH水溶液に浸漬して、前記ウレタン樹脂を分解し、不溶の前記基材のポリプロピレン樹脂を抽出することを特徴とするポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法。
- ポリオレフィンのうちポリプロピレン樹脂を主成分とし、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂又はASA(アクリロニトリルスチレンアクリレート)樹脂を含む基材と、この基材に接着又は組込まれたフォーム状、繊維状又は薄膜状のウレタン樹脂とを有し、前記ウレタン樹脂の含有量が5重量%以下である複合材料を、20重量%−25重量%濃度かつ130℃−150℃のNaOH水溶液に浸漬して、前記ウレタン樹脂を分解し、不溶の前記基材のポリオレフィン樹脂及びABS樹脂又はASA樹脂を抽出することを特徴とするポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法。
- ポリオレフィンのうちポリエチレン樹脂を主成分とする基材と、この基材に接着又は組込まれたフォーム状、繊維状又は薄膜状のウレタン樹脂とを有し、前記ウレタン樹脂の含有量が5重量%以下である複合材料を、20重量%−25重量%濃度かつ120℃−130℃のNaOH水溶液に浸漬して、前記ウレタン樹脂を分解した後、ポリエチレン樹脂表面に付着した粘調なウレタン分解生成物を水溶性の希酸又は有機溶媒で洗浄して除去し、不溶の前記基材のポリエチレン樹脂を抽出することを特徴とするポリオレフィン複合材料からのポリオレフィンリサイクル方法。
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