JP6562782B2 - 金属表面処理剤 - Google Patents
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Description
一方、金属構造体(自動車車体等)においては、金属材料の切断過程で生じるバリ部やエッジ部の他、溶接が施された溶接部等の加工部が存在する。この加工部も一般的な金属材料の金属表面と比べると不均一な表面となるため、加工部を化成処理剤で化成処理した場合に、このような金属表面の性状の影響を受けるため、均一な化成皮膜を形成することが困難な場合もある。
よって、様々な金属表面の性状を有する金属材料及びエッジ部や溶接部等の加工部を含んでいる金属構造体に対して、化成皮膜を均一に形成させ、耐食性等の皮膜性能が良好な化成処理剤が望まれている。
しかしながら、発明者らが、特許文献1に記載されている化成処理剤を評価したところ、様々な金属表面の性状を有する金属材料に対する皮膜性能が不十分である場合があることが明らかになってきた。
そこで、本発明は、様々な金属表面の性状を有する金属材料及びエッジ部や溶接部等の加工部等を含む金属構造体に対して優れた耐食性を付与することができ、かつ、環境に有害な物質を含まない金属表面処理剤を提供することを目的とする。また、予め金属表面が清浄化された金属材料を、金属表面処理剤に接触させた後、化成反応工程及び電解化成反応工程から選ばれる少なくとも一の工程により、金属材料の表面に皮膜を形成する金属表面処理方法を提供することも目的とする。
[但し、式(1)のX1〜X3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であり、Zは、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基、アミノ基及び式(2)で表される基から選ばれる基である。]
[式(2)のX4〜X6は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。]
本発明に係る金属表面処理剤の一例は、Zr、Ti、Hf及びBiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(A)、及び多価フェノール化合物(B)を含まなければならない。以下に各成分を説明する。
金属化合物(A)の金属元素がZrの場合、金属化合物(A)は、例えば硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、フルオロジルコニウム酸、及びフルオロジルコニウム錯塩が挙げられる。
本発明において、多価フェノール化合物(B)は、式(1)で示される化合物である。
[但し、式(1)のX1〜X3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であり、Zは、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基、アミノ基及び式(2)で表される基から選ばれる基である。]
[式(2)のX4〜X6は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。]
また、多価フェノール化合物(B)において、式(1)のZが、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であって、ベンゼン環が水酸基を2個又は3個有する多価フェノール化合物(B)がより好ましい。
更に、多価フェノール化合物(B)において、式(1)のZが、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であって、ベンゼン環が水酸基を2個有する多価フェノール化合物(B)が最も好ましい。
本発明の金属表面処理剤のpHは2〜7でなければならない。pHが2.5〜6.5がより好ましい。pHが2未満であると被処理金属材料を過剰にエッチングしてしまうことで皮膜の均一被覆性が損なわれ、pHが7超であると十分な皮膜量が得られなくなるため、耐食性が低下する。なお、本明細書及び特許請求の範囲でのpHは、25℃の剤について、市販のpHメーターで測定した値である。
本発明の金属表面処理方法は、被処理金属である金属材料を本発明の金属表面処理剤に浸漬又はスプレー等の方法で接液させる工程を含む。即ち、本発明の金属表面処理方法は、化成反応により金属化合物(A)由来の金属を主成分とする皮膜を被処理金属材料上に形成させる手法である。
本発明の金属表面処理剤に適用できる金属材料は特に限定されない。金属材料としては、例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板、ホットスタンプ鋼板、亜鉛系めっき鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板等を含む)、アルミニウム材、マグネシウム材等が挙げられる。
本発明に係る金属表面処理皮膜は、本発明の金属表面処理剤を用い、本発明の金属表面処理方法によって得られる。ところで金属化合物(A)の金属がBiの場合は、Bi以外の金属、つまり、Zr、Ti又はHfと比較して、異なる析出機構で皮膜を形成する。
〔実施例〕
実施例1
金属化合物(A)であるZrの供給源としてフルオロジルコニウム酸を用い、Zrが最終的に200mg/Lとなるように添加した。更にヒドロキノンを最終的に500mg/L、硝酸を最終的に1000mg/Lとなるように添加した。pH調整には硝酸又はアンモニア水を用い、所定のpHに調整した。実施例1の金属表面処理剤を表1Aに示す。
実施例1と同様の作製方法で、表1Aに示す実施例2〜34の金属表面処理剤を作製した。なお、実施例34にのみ、水溶性樹脂として分子量3000のポリアリルアミン(PAA)を加えた金属表面処理剤を作製した。
実施例1と同様の方法で、表1Aに示す実施例35〜53の金属表面処理剤を作製した。なお、金属化合物(A)であるTiの供給源としてフルオロチタン酸を用いた。
金属化合物(A)であるBiの供給源として酸化ビスマスを用いた。最初に脱イオン水にBiに対して3倍のモル質量となるHEDTAを溶解させた。次に表1Bに示すBi濃度となるように酸化ビスマスを溶解させた。更に、金属化合物(A)であるZrの供給源としてフルオロジルコニウム酸を用いて、表1Bに示すジルコニウムの濃度に調整した。その他については実施例1と同様の方法を用い、表1Bに示す金属表面処理薬剤を作製した。
金属化合物(A)であるBiの供給源として酸化ビスマスを用いた。最初に脱イオン水にBiに対し3倍のモル質量となるHEDTAを溶解させた。次にBi濃度が最終的に100mg/Lとなるように酸化ビスマスを溶解させた。更に、ヒドロキノンを最終的に500mg/Lとなるように添加した。pH調整には硝酸又はアンモニア水を用い、所定のpHに調整して、表1Bに示す金属表面処理剤を得た。
表1Bに示す多価フェノール化合物(B)を用いた以外は、実施例57と同様の方法で金属表面処理剤を作製した。
金属化合物(A)は使用せず、表1Bに示す多価フェノール化合物(B)を用いた。表1Bに示す金属表面処理剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で処理液を作製した。
多価フェノール化合物(B)は使用せず、表1Bに示す金属化合物(A)を用いた。Zr、Ti、及びBiの供給源は実施例と同様のものを用いた。表1Bに示す金属表面処理剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で金属表面処理剤を作製した。
多価フェノール化合物(B)の代わりに1個のベンゼン環に1個の水酸基が結合しているフェノールを用いた。金属化合物(A)であるZr、Ti、及びBiの供給源は実施例と同様のものを用い、表1Bに示す金属表面処理剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で処理液を作製した。
表1Bに示す金属表面処理剤の組成とし、その処理剤のpHを硝酸で1.5に調整した以外は、実施例1と同様の方法で金属表面処理剤を作製した。
表1Bに示す金属表面処理剤の組成とし、その処理剤のpHを、比較例10については硝酸で1.5に調整し、比較例11についてはアンモニア水で7.2に調整した以外は、実施例58と同様の方法で金属表面処理剤を作製した。
特開2007−262577号公報の実施例1に記載の金属表面処理組成物を作製した。
従来の金属表面処理剤であるリン酸亜鉛処理を用いた。リン酸亜鉛処理剤には、日本パーカライジング社製「PB−L3020」を用いた。
試験材料として次の金属材料を用意した。
・冷延鋼板:SPCC(JISG3141)、70×150×0.8mm
・高張力鋼板:SPFC980Y(JISG3135)、70×150×1.2mm
・合金化溶融亜鉛めっき鋼板:GA(JISG3302)、70×150×0.8mm
・熱間圧延材:SS400(JISG3101)、70×150×0.8mm
・高張力熱延鋼板:SPH590(JISG3131)、70×150×1.6mm
以下、冷延鋼板をSPC、高張力鋼板をハイテン、合金化溶融亜鉛めっき鋼板をGA、熱間圧延材をSS、高張力熱延鋼板をSPHと表記する。
試験材料には防錆油等の油が付着していることもあり、金属表面処理剤による金属表面処理の前段階として脱脂処理を行った。日本パーカライジング社製のアルカリ脱脂剤である「FC−E2001」を使用した。FC−E2001Aを13g/L、FC−E2001Bを7g/L工業用市水に混合し、40℃に加温した後、試験材料を120秒間のスプレーによって脱脂した。その後、30秒間のスプレーによる水洗した後、次の工程で実施例及び比較例で示した金属表面処理剤による金属処理を行った。
脱脂処理で清浄化した試験材料を、実施例1〜90及び比較例1〜13に示す金属表面処理剤を用いて表面処理をした。実施例1〜90及び比較例1〜12に示す金属表面処理剤については、金属表面処理剤を40℃に加温した後に、清浄化した金属材料を60秒間浸漬させて、皮膜を形成させた。その後、金属材料を金属表面処理剤から取出した後、脱イオン水による水洗を施した後、エアブローで水分を除去することで乾燥させた。比較例13のリン酸亜鉛処理剤については、リン酸亜鉛処理剤の遊離酸度(FA)を0.9pt、促進剤濃度(AC)を4.0ptに調整し、脱脂処理により清浄化した金属材料を、日本パーカライジング社製「PL−X」に30秒間浸漬した後、温度40℃にしたリン酸亜鉛処理剤に試験材料を120秒間浸漬させることで、リン酸亜鉛皮膜を形成させた。その後、リン酸塩処理剤から取出した後、脱イオン水による水洗を施した後に、エアブローで水分を除去することで乾燥させた。
金属表面処理剤による化成処理後の試験材料に析出した金属の付着量を蛍光X線分光分析(XRF)により測定した。
化成処理後の金属材料に析出した金属皮膜の均一被覆性をXPS装置を用いて算出した。
測定機器:島津製作所製ESCA850
X線源:MgKα(8kV−30mA)
スパッタリング:Arスパッタ
測定深さ:
表層:1層(第1層)
第1エッチング層(1.2秒間のエッチング):4層(第2層〜第5層)
第2エッチング層(2.4秒間のエッチング):4層(第6層〜第9層)
第3エッチング層(4.8秒間のエッチング):7層(第10層〜第16層)
合計16層(第1層〜第16層)
測定元素:金属化合物(A)由来の金属、Fe、Zn、C、O(ただし、Znは、金属材料がGAの場合のみ測定)
実施例1〜90及び比較例1〜13の金属表面処理剤による皮膜処理が施された金属材料についてカチオン電着塗装をした。カチオン電着塗料としては、関西ペイント社製のGT−100を用いた。カチオン電着塗料浴に前記金属材料を浸漬した状態にて、180秒間、定電圧の陰極電解をしてカチオン電着塗膜を皮膜処理後の試験材料に析出させた。その後、水洗、脱イオン水の水洗をした後、170℃で20分間の加熱焼付をしてカチオン電着塗膜を硬化させた。なお、カチオン電着塗装の膜厚は、15μmとなるように調整した。
塩水浸漬試験(SDT)
カチオン電着塗装まで施された試験板にカッターナイフを用いてクロスカットを施し、55℃に加温した5質量%の塩化ナトリウム水溶液に240時間浸漬した。更に過酷な条件下における性能を評価する為、480時間浸漬も実施した。浸漬終了後水道水で水洗し、布等で水分を除去した。次いでクロスカット部を粘着テープで剥離し、塗膜の片側最大剥離幅を測定し、SDT性能を以下の判定基準で評価した。
◎+:1mm未満
◎:1mm以上2mm未満
○:2mm以上3mm未満
△:3mm以上5mm未満
×:5mm以上
カチオン電着塗装まで施された試験板を、40℃の脱イオン水に240時間浸漬した。浸漬終了後、布等で水分を除去した後、カッターナイフを用いて2mm間隔の碁盤目を100個切った。碁盤目部を粘着テープで剥離した後、塗膜の碁盤目剥離個数を算出し、密着性を以下の判定基準で評価した。
○:0個
△:1〜10個
×:11個以上
本発明で用いた塗装性能評価において、△以上の評価が得られたものについては実用上問題のないレベルの性能を有していると言える。すなわち、実施例1〜90はいずれの水準も良好な性能を示したのに対し、比較例1〜13については、比較例13のGA材の評価を除いた全ての処理水準で×評価が有り、十分な耐食性を得るには至らなかった。比較例1及び2については、金属化合物(A)が無いため、そもそも金属皮膜の形成がなされずSDT性能及び密着性能共に性能が得られなかったと考えられる。比較例3〜5は金属皮膜形成をしているものの、SDT性能、密着性能共に十分な性能を得られていないが、これは多価フェノール化合物(B)が無いため被覆性の高い皮膜形成が為されなかった影響だと考えられる。比較例6〜8では、多価フェノール化合物(B)の代わりに、ベンゼン環1個当りに1個の水酸基が結合しているフェノールを適用したが、金属化合物(A)の被覆性改善には全く寄与せず、十分な耐食性及び密着性が得られなかったと考える。比較例9及び10は、処理剤のpHが1.5であったため、金属材料のエッチングが過剰となった結果、均一被覆性の劣る皮膜形成となってしまったために耐食性が劣ったもの考えられる。比較例11は処理剤のpHが7.2であったため、十分な金属皮膜量が得られず、特に過酷の条件下のSDT評価において性能が劣った。比較例12は特開2007−262577に記載の実施例1の金属表面処理組成物で処理を行ったものであるが、SPC材、及びその他の金属材料であるSS材やSPH材ともに特にSDTの過酷な条件下で性能が不十分であった。比較例13は市場実績十分なリン酸亜鉛処理であり、通常のSDT評価では十分な性能を有しているが、過酷な条件下では性能が劣るが、これはリン酸亜鉛皮膜はアルカリ環境下では皮膜が溶解する特徴を持っているため、長時間浸漬により溶解によりリン酸亜鉛皮膜が恐らく無くなったため、性能が悪くなったと考えられる。
Claims (4)
- 金属元素としてZr、Ti及びHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(A)及び式(1)で表される多価フェノール化合物(B)を加えてなる、pHが2〜7である金属表面処理剤。
[但し、式(1)のX1〜X3は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基、エチル基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であり、Zは、水素原子又はメチル基、エチル基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基、アミノ基及び式(2)で表される基から選ばれる基である。]
[式(2)のX4〜X6は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基、エチル基、水酸基、スルホン基、ニトロ基、カルボキシル基、メトキシ基及びアミノ基から選ばれる基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。] - 前記金属化合物(A)を、前記金属元素の合計濃度として10〜5000mg/L加えてなる請求項1に記載の金属表面処理剤。
- 前記多価フェノール化合物(B)を、濃度として10〜10000mg/L加えてなる請求項1又は2に記載の金属表面処理剤。
- 予め表面が清浄化された被処理金属材料を、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面処理剤に接触させた後、化成反応工程及び電解化成反応工程から選ばれる少なくとも一の工程により、前記被処理金属材料の表面に皮膜を形成する金属表面処理方法。
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