JP6571006B2 - 多層シート、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、外皮フィルムと防湿フィルムとをエチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤により積層一体化したバックシートが提案されている。この特許文献2に記載のバックシートでは、防湿フィルムに基材フィルムの表面に無機酸化物のコーティング膜を形成したフィルムを使用し、外皮フィルムにはフッ素樹脂フィルムを用いている。
この多層シートにおいて、前記接着樹脂層に用いられる前記ポリエステル系ブロック共重合体は、前記ハードセグメントを5〜90質量%含有してもよい。前記接着樹脂層としては、軟化点が60〜190℃の接着樹脂層を用いてもよい。前記接着樹脂層は、JIS K7210に規定されるA法により測定した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜30g/10分であってもよい。また、前記接着樹脂層の厚さは、例えば5〜50μmとすることができる。さらに、前記接着樹脂層は、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成されていてもよい。
前記第1の樹脂層を構成する樹脂組成物は、難燃剤及び/又は耐候剤を含有していてもよい。
一方、この多層シートは、例えば130〜260℃の温度範囲で、溶融共押出成形により製膜することができる。
更にこの多層シートでは、前記第1の樹脂層上に、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択された1種以上を樹脂成分として含有する樹脂層が積層されていてもよい。
この太陽電池用バックシートでは、前記第1の樹脂層の前記接着樹脂層が設けられている表面とは反対の表面側に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を樹脂成分として含有する樹脂層が積層されていてもよい。
また、本開示に係る太陽電池モジュールは、前記太陽電池用バックシートを用いたものである。
先ず、本開示に係る第1の実施形態の多層シートについて説明する。図1は本実施形態の多層シート10の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の多層シート10では、第1の樹脂層1と、第2の樹脂層2と、接着樹脂層3とを備え、第1の樹脂層1と第2の樹脂層2とが、接着樹脂層3を介して多層共押出により積層されている。
ここで、第1の樹脂層1は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含有する樹脂組成物から形成されている。第2の樹脂層2は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から形成されている。そして、接着樹脂層は、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成されている。
以下、各樹脂層について詳述する。
第1の樹脂層1は、接着樹脂層3上に、第2の樹脂層2と対向して設けられ、多層シートにおける補強材としての役割を有する。
第1の樹脂層1は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含有する樹脂組成物から形成されている。この樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテル樹脂を、主成分として含むことが好ましい。この場合の主成分とは、第1の樹脂層1を形成する樹脂組成物の樹脂成分中、50質量%以上含まれる樹脂をいう。この樹脂組成物に主成分として含まれる樹脂の含有量は、当該樹脂組成物の樹脂成分に対して、50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることがさらに好ましい。
第1の樹脂層1を形成する樹脂組成物の主成分として用いることが可能な上述の各樹脂は、市販品を用いることができるが、それら各樹脂について以下に詳述する。
ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)は、ジヒドロキシジアリール化合物と、ホスゲンやジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させて得られる重合体である。ポリカーボネート樹脂の原料は特に限定されない。
ジヒドロキシジアリール化合物としては、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ジヒドロキシジアリールエーテル類、ジヒドロキシジアリールスルフィド類、ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、ジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類の具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
ジヒドロキシジアリールエーテル類の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等が挙げられる。
ジヒドロキシジアリールスルフィド類の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
ジヒドロキシジアリールスルホキシド類の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等が挙げられる。
ジヒドロキシジアリールスルホン類の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられる。
なお、ここでいう主たる成分とは、ポリカーボネート樹脂に用いられる全ジヒドロキシジアリール化合物が、80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
ポリアミド樹脂(PA樹脂)としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ−ε−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ε−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2・6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4・6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8・6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10・6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10・10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12・12)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6、別称:ポリ(メタキシリレンアジパミド))等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)、及びポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル樹脂としては、ジオール系単量体と、ジカルボン酸系単量体とを共重合したものを用いることもできる。この場合のジオール系単量体としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びポリアルキレングリコール等が挙げられる。また、ジカルボン酸系単量体としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂)は、芳香族ポリエーテル構造を有するポリフェニレンエーテル(PPE樹脂)と、他の合成樹脂とをアロイ化した樹脂である。PPE樹脂とアロイ化する他の合成樹脂は、特に限定されないが、ポリスチレン系樹脂が好ましい。PPE樹脂と他の合成樹脂との混合による変性が、製造容易の観点から好ましいが、フェノール系モノマーに他のモノマーを共重合させることによる変性等であってもよい。
第1の樹脂層1を形成する樹脂組成物に配合する難燃剤は、特に限定されるものではなく、例えば、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、及び無機系難燃剤等を使用することができる。
臭素系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロモジフェニルオキサイド、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネート、オクタブロモジフェニルエーテル、及びトリブロモフェノール等が挙げられる。
リン系難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、及びトリスクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
無機系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び三酸化アンチモン等が挙げられる。
耐候剤は、特に限定されない。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、超微粒子酸化チタン、及び超微粒子酸化亜鉛等を使用することができる。光安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物及びヒンダートピペリジン系化合物等を使用することができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系及び燐酸系等を使用することができる。
耐候剤はこれら以外にも、例えば、ポリマーを構成する主鎖若しくは側鎖に、前述したベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物からなる光安定化剤又はフェノール系等の酸化防止剤が化学結合しているポリマー型の紫外線吸収剤、光安定化剤又は酸化防止剤等を使用することもできる。
第2の樹脂層2(以下、「ポリフッ化ビニリデン系樹脂層2」ともいう。)は、第2の樹脂層2を構成する樹脂成分中の50質量%以上がポリフッ化ビニリデン樹脂であるポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物により構成されている。ポリフッ化ビニリデン樹脂は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物における樹脂成分中、50質量%以上(50〜100質量%)となる主成分である。ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有量は、当該組成物における樹脂成分中、50〜99質量%が好ましく、60〜99質量%がより好ましく、70〜95質量%がさらに好ましい。
このポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に含まれるポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンの単独重合体が好適であるが、フッ化ビニリデンと他の単量体の共重合体であってもよい。
上記メタクリル酸エステル単量体のうち、メタクリル酸メチルが好適であり、ポリメタクリル酸エステル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチルが好適である。
ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有量を50〜95質量部とすることで、本実施形態の多層シート10を太陽電池用バックシートとして用いた場合に、十分な耐候性を得ることが可能となる。また、ポリメタクリル酸エステル系樹脂の含有量を5〜50質量部とすることで、接着樹脂層3との接着性を高めることが可能となる。
接着樹脂層3は、前述の第1の樹脂層1と第2の樹脂層2との間に位置し、第1の樹脂層1と第2の樹脂層2との接着層としての役割を有する。
接着樹脂層3は、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成される。
なお、「ハードセグメント」及び「ソフトセグメント」の各文言は、ブロック共重合体である熱可塑性エラストマーにおいて慣用されている意味と同じである。一般的に、「ハードセグメント」は、塑性変形を防止する架橋ゴムの架橋点の役目を果たす分子拘束部分を表し、「ソフトセグメント」は、ゴム弾性を示す柔軟性部分を表す。
ここで、ポリエステル系ブロック共重合体におけるハードセグメント及びソフトセグメントのそれぞれの含有量(質量%)は、NMRを用いて、水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出される値である。
そして、接着樹脂層3は、ポリエステル系ブロック共重合体として、ポリエステル・ポリエーテル型ブロック共重合体、及び/又はポリエステル・ポリエステル型ブロック共重合体を含む樹脂組成物から形成されていることが好ましい。
ポリエステル系ブロック共重合体におけるハードセグメントは、芳香族ポリエステルの構造を有する部分であり、芳香族ポリエステルの構造のみで構成されていてもよく、芳香族ポリエステル以外の他の構造を含んでいてもよい。
芳香族ポリエステルの構造は、ハードセグメントにおける主たる構造であることが好ましい。この場合の主たる構造とは、ハードセグメント中、芳香族ポリエステルの構造が50質量%以上含まれる場合をいう。
ポリエステル系ブロック共重合体におけるソフトセグメントは、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルの構造を有する部分であり、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルの構造のみで構成されていてもよく、他の構造部分を含んでいてもよい。
ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルの構造は、ソフトセグメントにおける主たる構造であることが好ましい。この場合の主たる構造とは、ソフトセグメント中、ポリエーテル又は脂肪族ポリエステルの構造が50質量%以上含まれる場合、又はポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの両方の構造部分の総量で50質量%以上含まれる場合をいう。
また、ポリエステル系ブロック共重合体におけるソフトセグメントに有する脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、及びポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらのポリエーテル及び脂肪族ポリエステルは、1種又は2種以上をソフトセグメントに有していてもよい。
なお、本開示において、軟化点は、JIS K7206に規定される「ビカット軟化温度(VST)試験方法」に準拠した方法により、試験荷重10N、昇温速度50℃/hの条件下で測定された値である。
前述した各層の厚さは、特に限定されるものではなく、用途や求められる特性に応じて、適宜設定することができる。例えば、第1の樹脂層1の厚さを50〜500μmとすると共に、第2の樹脂層2及び接着樹脂層3の厚さをそれぞれ5〜50μmとすることができる。
各樹脂層の厚さを上記数値範囲とすれば、本実施形態の多層シート10を太陽電池用バックシートとして、太陽電池モジュールに好適に用いることができる。
本実施形態の多層シート10を構成する各樹脂層の上記メルトフローレート(MFR)は、上述の通り、第1の樹脂層1及び第2の樹脂層2のMFRは0.5〜25g/10分であることが好ましく、接着樹脂層3のMFRは、0.1〜30g/10分であることが好ましい。
各樹脂層のMFRを上記数値範囲とすることで、溶融共押出成形法によって製膜する場合に、流路内を流れる溶融状態の樹脂の流速分布が均一化し、等速で合流すると共にダイスから速度変動が小さい状態で樹脂が吐出されると考えられる。そのため、各層の厚さにバラツキが少なく、接着状態が良好な多層シートを製造することが可能となる。
次に、前述の如く構成された多層シート10の製造方法について説明する。
第1の樹脂層1と第2の樹脂層2とが接着樹脂層3を介して積層された多層シート10は、第1の樹脂層1、第2の樹脂層2、及び接着樹脂層3を多層共押出により製膜することで製造される。
より具体的には、本実施形態の多層シート10は、第1の樹脂層1、第2の樹脂層2、及び接着樹脂層3を構成する各樹脂組成物を、それぞれ別の押出機で溶融させた後、合流して一体化する共押出法により製膜することができる。
このように、多層シート10の各樹脂層間には、各樹脂層がそれぞれ溶融又は軟化した状態で接着することにより、各樹脂層間に、融着界面を形成することが可能である。
次に、本実施形態の変形例に係る多層シートについて説明する。本変形例の多層シートは、図示を省略するが、図1に示す多層シート10における第1の樹脂層1上に、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択された1種以上を樹脂成分として含有する樹脂層(第3の樹脂層)が設けられている。この第3の樹脂層は、第1の樹脂層の接着樹脂層が設けられている表面とは反対側の表面に設けられる。
第3の樹脂層として用いられるポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂は、それぞれ、前述の第1の樹脂層1の説明で述べたポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂と同様のものを用いることができる。
第3の樹脂層として用いられるポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリメチルペンテン、及びポリシクロオレフィンなどが挙げられる。
樹脂フィルムにより第3の樹脂層を設ける場合、接着剤を介して、第1の樹脂層と第3の樹脂層とを接着することができる。この際の接着剤も市販品を用いることができ、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、合成ゴム系接着剤、及びシリコーン系接着剤等を用いることができる。
なお、第3の樹脂層は、第1の実施形態に係る多層シート10における第1の樹脂層1上に、押出成形によって製膜されることで形成されてもよく、多層シート10における各樹脂層の形成と共に、共押出により形成されてもよい。
次に、本開示の第2の実施形態に係る太陽電池用バックシート(以下、単にバックシートともいう。)について説明する。本実施形態のバックシートは、前述した第1の実施形態又はその変形例の多層シートを用いたものである。
次に、第2の実施形態の変形例に係るバックシートについて説明する。本変形例のバックシートは、前述した第1の実施形態又はその変形例の多層シートを用いたものである。本変形例のバックシートは、多層シートにおける第1の樹脂層の接着樹脂層が設けられている表面とは反対の表面側にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を樹脂成分として含有する樹脂層(EVA樹脂層)が積層されている。
また、本変形例に係るバックシートに第1の実施形態の変形例に係る多層シートが用いられる場合、前述の第3の樹脂層上に、EVA樹脂層が積層される。
EVA樹脂層は、太陽電池モジュール用封止材として一般に使用されているEVA樹脂組成物により形成することができる。このようなEVA樹脂組成物としては、例えば、酢酸ビニル含有率が10〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分とし、EVA樹脂100質量部に対して、架橋剤として100℃以上でラジカルが発生する有機過酸化物を1〜5質量部配合したものなどが挙げられる。
なお、EVA樹脂層は、第2の樹脂層の接着樹脂層が設けられている表面とは反対の表面側に設けられていてもよい。
次に、本開示の第3の実施形態に係る太陽電池モジュールについて説明する。本実施形態の太陽電池モジュールは、前述した第2の実施形態又はその変形例のバックシートを備える。図2は本実施形態の太陽電池モジュールの構造を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の太陽電池モジュール11は、光起電力素子である太陽電池セル15が、EVA樹脂などの合成樹脂からなる封止材13により封止されている。
[1]ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第1の樹脂層と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から形成される第2の樹脂層と、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルのうちの何れか一方又は両方をソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成される接着樹脂層と、を備え、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層とが、前記接着樹脂層を介して多層共押出により積層された多層シート。
[2]前記ポリエステル系ブロック共重合体は、前記ハードセグメントを5〜90質量%含有する前記[1]に記載の多層シート。
[3]前記接着樹脂層の軟化点が、60〜190℃である前記[1]又は[2]に記載の多層シート。
[4]前記接着樹脂層は、JIS K7210に規定されるA法により測定した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜30g/10分である前記[1]〜[3]の何れか1つに記載の多層シート。
[5]前記接着樹脂層の厚さが5〜50μmである前記[1]〜[4]の何れか1つに記載の多層シート。
[6]前記接着樹脂層は、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成されている前記[1]〜[5]の何れか1つに記載の多層シート。
[7]前記第2の樹脂層を構成するポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン:50〜99質量%及びポリメタクリル酸メチル:1〜50質量%含む樹脂成分100質量部に対して、白色無機顔料を1〜40質量部含有する前記[1]〜[6]の何れか1つに記載の多層シート。
[8]前記第1の樹脂層を構成する樹脂組成物は、難燃剤及び耐候剤のうちの何れか一方又は両方を含有している前記[1]〜[7]の何れか1つに記載の多層シート。
[9]130〜260℃の温度範囲で、溶融共押出成形により製膜されたものである前記[1]〜[8]の何れか1つに記載の多層シート。
[10]前記第1の樹脂層上に、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択された1種以上を樹脂成分として含有する樹脂層が積層されている前記[1]〜[9]の何れか1つに記載の多層シート。
[11]前記[1]〜[10]の何れか1つに記載の多層シートを用いた太陽電池用バックシート。
[12]前記第1の樹脂層の前記接着樹脂層が設けられている表面とは反対の表面側に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を樹脂成分として含有する樹脂層が積層されている前記[11]に記載の太陽電池用バックシート。
[13]前記[11]又は[12]に記載の太陽電池用バックシートを備える太陽電池モジュール。
<原料>
第1の樹脂層の原料には、ポリカーボネート樹脂(帝人株式会社製、商品名:パンライト(登録商標)L1225;MFR=10g/10分)を用いた。
接着樹脂層の原料には、ハードセグメントに芳香族ポリエステルの構造を32質量%有すると共に、ソフトセグメントにポリエーテルの構造を68質量%有するポリエステル系ブロック共重合体(三菱化学株式会社製、商品名:プリマロイ(登録商標)A1700、MFR:10g/10分、軟化点:74℃)を用いた。
多層共押出用設備として単軸押出機3台を3種3層のフィードブロックに接続し、更にこのフィードブロックで合流した3層の樹脂が、リップ幅600mmのコートハンガーダイに流入するように接続した。なお、単軸押出機3台の仕様は、以下の通りである。
・押出機1(第1の樹脂層用):スクリュー径90mm、L/D=30、スクリューはフルフライトスクリュー。
・押出機2(第2の樹脂層用):スクリュー径40mm、L/D=30、スクリューはフルフライトスクリュー。
・押出機3(接着樹脂層用):スクリュー径40mm、L/D=30、スクリューはフルフライトスクリュー。
・押出機1(第1の樹脂層用):スクリュー回転数100回転/分、吐出速度150kg/時間、押出機バレル設定温度230℃。
・押出機2(第2の樹脂層用):スクリュー回転数25回転/分、吐出速度15kg/時間、押出機バレル設定温度230℃。
・押出機3(接着樹脂層用):スクリュー回転数25回転/分、吐出速度15kg/時間、押出機バレル設定温度230℃。
次に、前述した方法で作製した実施例1の多層シ−トを使用して、太陽電池モジュールを製造した。具体的には、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材シ−ト、直列配線を組んだ4枚の多結晶シリコンセル、封止材シート、バックシート(実施例1の多層シート)の順に積層し、真空ラミネータ中にて1気圧、135℃で10分間加圧、加熱して積層し、太陽電池モジュ−ルを製造した。
(1)多層シートの各層の接着力評価
JIS K6854−3に規定される「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T型はく離」に準拠し、実施例1の多層シートにおける各層間のはく離接着強さを室温(25℃)の下、測定した。このとき、サンプルの形状は、幅15mm×長さ(接着部)250mmの短冊状とし、剥離試験の際の引張速度を200mm/分とした。
また、この多層シートを、温度100℃の環境下に100時間放置した後のはく離接着強さ、並びに温度125℃かつ湿度100%の環境下に100時間放置した後のはく離接着強さについても評価した。
さらに、温度85℃かつ湿度85%の環境下に1000時間放置した後及び3000時間放置した後のはく離接着強さについても評価した。
JIS C8990の10.13の高温高湿試験に準拠して、温度85℃、湿度85%、1000時間の環境試験を実施し、ソーラーシミュレーターにて試験前後の最大電力を測定し、最大電力の低下率を評価した。同様の測定を、3000時間経過後にも行った。加えて、3000時間経過後のモジュールの外観を観察した。
第1の樹脂層の原料として、メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応から得られる結晶性のポリアミド樹脂:メタキシレンジアミン−6ナイロン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:ナイロンMXD6、MFR:5g/10分)を用いた以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
第1の樹脂層の原料として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ポリプラスチック株式会社製、商品名:ジュラネックス(登録商標)700FP、MFR:7g/10分)を用いたこと以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
第1の樹脂層の原料として、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名:ユピエース(登録商標)LN40、MFR:11g/10分)を用いたこと以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
第2の樹脂層の原料として、ポリフッ化ビニリデン樹脂:55質量部と、ポリメタクリル酸メチル樹脂:45質量部を準備したこと以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した(第2の樹脂層を形成するブレンド材のMFR:2g/10分)。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
第2の樹脂層の原料として、ポリフッ化ビニリデン樹脂:90質量部と、ポリメタクリル酸メチル樹脂:10質量部を準備したこと以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した(第2の樹脂層を形成するブレンド材のMFR:6g/10分)。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
接着樹脂層の原料として、ハードセグメントに芳香族ポリエステルの構造を19質量%有すると共に、ソフトセグメントにポリエーテルの構造を81質量%有するポリエステル系ブロック共重合体(三菱化学株式会社製、商品名:プリマロイ(登録商標)B1900NS、MFR:24g/10分、軟化点:92℃)を用いた以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
接着樹脂層の原料として、ハードセグメントに芳香族ポリエステルの構造を28質量%有すると共に、ソフトセグメントにポリエーテルの構造を72質量%有するポリエステル系ブロック共重合体(東洋紡株式会社製、商品名:ペルプレン(登録商標)P95C、MFR:17g/10分、軟化点:162℃)を用いた以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
実施例1と同様の原料を準備し、押出機1のスクリュー回転数を10回転/分、吐出速度15kg/時間に変更して、第1の樹脂層の厚みを30μmとした。その多層シートの第1の樹脂層上にウレタン系接着剤を塗布した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ320μm)を加熱及び加圧することにより接着し、第1の樹脂層、接着樹脂層及び第2の樹脂層を備える多層シートとPETフィルムとを一体化した、多層シートを作製したこと以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製し、評価した。また、この多層シートを用いて、実施例1と同様の方法で太陽電池モジュ−ルを作製し、評価した。
接着樹脂層の原料として、水添スチレン系熱可塑性エラストマーであるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテック(登録商標)M1943、MFR:8g/10分)を用いた以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製した。初期の剥離強度は十分であったが、温度85℃、湿度85%の環境下に1000時間、3000時間保持したところ、剥離強度は非常に小さいものとなった。また、太陽電池モジュールを作製し、環境試験を実施したところ、最大電力の低下率は大きいものであった。
接着樹脂層の原料として、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学株式会社製、商品名:ボンドファースト(登録商標)7B)を用いた以外は、前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製した。この比較例2の多層シートは、初期の剥離強度が非常に小さいものであったため、各種評価を行うことができなかった。
第1の樹脂層の原料として、高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、商品名:ノバテック(登録商標)HF560;MFR=7.0g/10分)を用いたこと以外は前述した実施例1と同様の方法で多層シートを作製した。この比較例3の多層シートは、初期の剥離強度が非常に小さいものであったため、各種評価を行うことができなかった。
2 第2の樹脂層
3 接着樹脂層
10 多層シート
11 太陽電池モジュール
12 透明基板
13 封止材
14 フレーム
15 太陽電池セル
16 太陽光
Claims (12)
- ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第1の樹脂層と、
ポリフッ化ビニリデン:50〜99質量%及びポリメタクリル酸メチル:1〜50質量%含む樹脂成分100質量部に対して、白色無機顔料を1〜40質量部含有するポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から形成される第2の樹脂層と、
芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成される接着樹脂層と、を備え、
前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層とが、前記接着樹脂層を介して多層共押出により積層された多層シート。 - 前記ポリエステル系ブロック共重合体は、前記ハードセグメントを5〜90質量%含有する請求項1記載の多層シート。
- 前記接着樹脂層の軟化点が、60〜190℃である請求項1又は2記載の多層シート。
- 前記接着樹脂層は、JIS K7210に規定されるA法により測定した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜30g/10分である請求項1〜3の何れか1項記載の多層シート。
- 前記接着樹脂層の厚さが5〜50μmである請求項1〜4の何れか1項記載の多層シート。
- 前記接着樹脂層は、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとするポリエステル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物から形成されている請求項1〜5の何れか1項記載の多層シート。
- 前記第1の樹脂層を構成する樹脂組成物は、難燃剤及び/又は耐候剤を含有している請求項1〜6の何れか1項記載の多層シート。
- 130〜260℃の温度範囲で、溶融共押出成形により製膜されたものである請求項1〜7の何れか1項記載の多層シート。
- 前記第1の樹脂層上に、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択された1種以上を樹脂成分として含有する樹脂層が積層されている請求項1〜8の何れか1項記載の多層シート。
- 請求項1〜9の何れか1項記載の多層シートを用いた太陽電池用バックシート。
- 前記第1の樹脂層の前記接着樹脂層が設けられている表面とは反対の表面側に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を樹脂成分として含有する樹脂層が積層されている請求項10記載の太陽電池用バックシート。
- 請求項10又は11に記載の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
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