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JP6573219B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents
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JP6573219B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制動制御装置に関し、特に人間の知覚特性に適合した制動特性に基づき車両の挙動を制御可能な車両用制動制御装置に関する。
従来より、車両制御においては、乗員がブレーキペダルを操作したとき、ブレーキペダルの操作量と車両の減速度との相関関係を規定した動作特性(制御マップ)に基づいて目標動作量が設定され、車両の挙動動作が制御されている。
一方で、乗員の操作フィーリングを改善するため、精神物理学に基づいて乗員の感性に即した車両制御を行う制御装置が多数提案されている。
物理量と感覚量(知覚量)の関係を関数の形で表現したものとして、ウェーバー・フェヒナー(Weber-Fechner)の法則やスティーヴンス(Stevens)の法則が知られている。
フェヒナーの法則は、感覚量は刺激強度の対数に比例するという法則性であり、スティーヴンスの法則は、感覚量は刺激強度のべき乗に比例するという法則性である。
特許文献1の車両制御装置は、車両に加速度を発生する加速度発生装置と、乗員によるアクセルペダルの操作に応じたアクセル開度と車速とに基づいて加速度発生装置を制御する制御装置とを備え、アクセル開度と要求加速度との関係は、加速度発生装置により発生可能な最小発生加速度に基づいてウェーバー・フェヒナー指数関数による特性を維持しつつ変更されている。
近年、乗員によって操作される操作手段と、この操作手段に操作反力を付与する反力生成機構と、操作手段に対する操作量に応じて車両が所定の応答量動作するように駆動する駆動手段とを備えたバイワイヤ方式の車両が知られている。
このようなバイワイヤ方式を採用した車両では、操作手段と駆動手段とを機械的機構による連結から電気信号による連結に置き換えることにより、乗員による実際の操作手段の操作量と乗員に対する反力量と車両の応答量とが機械的に分離された独立要素として夫々構成されている。
特許文献2のブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、ブレーキペダルの操作量に基づきブレーキペダルの反力を発生する電動アクチュエータと、車輪に対する制動力を発生するモータシリンダと、電動アクチュエータとモータシリンダを制御可能な制御手段とを備え、ヒールアンドトウ操作時における踏込特性と踏戻特性との間に設定されたヒステリシスを通常操作時におけるヒステリシスよりも大きくしている。
また、特許文献3のブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作量、操作速度、或いは車速に応じてヒステリシスを変更している。
特開2011−143915号公報 特開2008−222030号公報 特開2015−000582号公報
一般に、車両の運転では、乗員による環境認知、乗員による状況判断、乗員による機器操作、車両による応答動作の順に運転状態が推移する。ここで、認知、判断、操作は乗員の感覚領域において主に判断される要素であり、車両の挙動に伴う応答量は物理領域において主に判断される要素である。
それ故、乗員が視覚や体性感覚を介して感じる知覚量と車両が実際に動作する物理的な応答量との間で乖離が生じ、また、乗員が体性感覚を介して感じる知覚量と操作手段を実際に操作する物理的な操作量(或いは操作に伴う反力量)との間でも乖離が生じる。
即ち、乗員が車両の操作手段を操作している状況においては、人間四肢の知覚特性を踏まえた上で、乗員の感覚特性を考慮した知覚量を乗員に対して適宜付与する必要がある。
乗員によるブレーキペダルの踏込及び踏戻操作は、下肢関節の屈曲及び伸展の運動であり、力の方向を逆向きに変化させるために骨格系の特性の影響を受ける。筋活動の観点からは、主に、足関節の底屈及び背屈運動と対応した足部を押し込むためのヒラメ筋及び腓腹筋、引き上げるための前脛骨筋が関与した下肢の筋の協調活動と見做すことができる。
骨格筋は、運動作用による筋収縮によって関節運動を起こす主働筋と、主働筋と対になって逆の働きをする拮抗筋とに分類される。踏込操作の際には、主働筋がヒラメ筋及び腓腹筋、拮抗筋が前脛骨筋となり、主働筋であるヒラメ筋及び腓腹筋を主体とした動作が行われ、踏戻操作の際には、拮抗筋である前脛骨筋を主体とした動作が行われている。
つまり、踏力と減速度とからなる制動特性において、踏込特性と踏戻特性との間に介在するヒステリシスを、主働筋(拮抗筋)として機能していた筋が拮抗筋(主働筋)の機能に切り替わるために必要な期間、所謂機能切替期間に対応するように設定することにより、乗員に対して感覚的に応答性に優れた制動特性、換言すれば、乗員の筋特性に適合した制動特性を得ることができる。
特許文献2,3のブレーキ装置は、踏力(ストローク)が小さい程ヒステリシスが小さくなるように設定されている。つまり、筋特性の側面から視たとき、筋の運動量が低く機能切替期間が短い程ヒステリシスが小さくなるように設定されているため、車両挙動の感覚的な応答性は確保できるものと思われる。
しかし、特許文献2,3のブレーキ装置では、乗員が踏込操作から踏戻操作に移行した際、乗員による操作に対する車両の挙動について違和感を覚える虞がある。
即ち、踏戻特性の変化率が踏込特性の変化率よりも格段に大きくなるため、乗員が踏力を同程度変化させた場合であっても、踏込操作による減速度変化傾向と踏戻操作による減速度変化傾向とが異なり、乗員に感覚的な違和感が発生する。特に、減速度零近傍領域では、ヒステリシスが極めて小さくなるため、微小な踏力変化によって車両挙動が不安定になる虞もある。
本発明の目的は、乗員に操作違和感を発生させることなく、車両の応答性を確保可能な車両用制動制御装置等を提供することである。
請求項1の車両用制動制御装置は、ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキペダルの操作量に基づき前記ブレーキペダルの反力を発生する反力発生機構と、車輪に対する制動力を発生する制動力発生機構と、前記反力発生機構と制動力発生機構を制御可能な制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有し、前記踏戻特性における減速度零のときの残踏力が、2N以上で且つ10N以下に設定され、前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御することを特徴としている。
この車両用制動制御装置では、前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有するため、踏戻特性の変化傾向と踏込特性の変化傾向とを略同様にすることができ、乗員が踏込操作から踏戻操作に移行した際、違和感の発生を回避することができる。
前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御するため、運動量が多く主働筋と拮抗筋の機能切替期間が長くなるとき、ヒステリシスを大きくすることができ、運動量が少なく主働筋と拮抗筋の機能切替期間が短くなるとき、ヒステリシスを小さくすることができ、その結果、車両挙動の応答性を乗員の筋特性に適合させることができる。
また、前記踏戻特性における減速度零のときの残踏力が、2N以上で且つ10N以下に設定されるため、減速度零近傍領域におけるブレーキペダルの操作性を確保することができる。残踏力が2N未満の場合、足裏の触覚及び筋による知覚が難しく、また、残踏力が10Nを超える場合、脚感覚によって踏戻終了(減速度零)を認識することができないからである。
請求項の発明は、ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキペダルの操作量に基づき前記ブレーキペダルの反力を発生する反力発生機構と、車輪に対する制動力を発生する制動力発生機構と、前記反力発生機構と制動力発生機構を制御可能な制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有し、前記ヒステリシスが、前記踏戻特性における減速度零のときの残踏力以上且つ前記踏込特性における減速度零のときの踏込開始踏力以下に設定され、前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御することを特徴としている。
この構成によれば、乗員が踏込操作から踏戻操作に移行した際、違和感の発生を回避することができ、車両挙動の応答性を乗員の筋特性に適合させることができる。また、主働筋と拮抗筋の機能切替期間を確保しつつ、減速度零近傍領域におけるブレーキペダルの操作性を確保することができる。
請求項の発明は、ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキペダルの操作量に基づき前記ブレーキペダルの反力を発生する反力発生機構と、車輪に対する制動力を発生する制動力発生機構と、前記反力発生機構と制動力発生機構を制御可能な制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有し、前記制動特性は、前記踏力と減速度とが対数関係になるように設定され、前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御することを特徴としている。
この構成によれば、乗員が踏込操作から踏戻操作に移行した際、違和感の発生を回避することができ、車両挙動の応答性を乗員の筋特性に適合させることができる。また、乗員に対して踏力に比例する減速度を知覚させることができ、ブレーキペダルの操作性を向上することができる。
本発明の車両用制動制御装置によれば、車両の制動特性を乗員の筋特性に適合させることにより、乗員に操作違和感を発生させることなく、車両の応答性を確保することができる。
実施例1に係る車両用制動制御装置の概略構成図である。 ストロークと踏力との関係を示す踏力特性のマップである。 踏力と減速度との関係を示す制動特性のマップである。 減速度と制動剛性との関係を示す制動剛性特性のマップである。 車両制動時における各要素についてのタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両用制動制御装置に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すように、制動制御装置1は、ブレーキバイワイヤ機構を構成し、ブレーキペダル2のストローク(踏込状態)に応じたブレーキ液圧を生成可能なマスタシリンダ3と、車両の前後左右輪FL,FR,RL,RRの回転を夫々制動するホイールシリンダ4a〜4dにブレーキ液圧を供給可能な制動液圧生成機構5(制動力発生機構)を備えている。
制動液圧生成機構5の正常時、制動液圧生成機構5から各ホイールシリンダ4a〜4dに対してブレーキペダル2の操作に対して倍力(例えば、2倍以上)されたブレーキ液圧を供給し、制動液圧生成機構5の異常時、マスタシリンダ3から各ホイールシリンダ4a〜4dに対してブレーキペダル2の操作に対応したブレーキ液圧を供給するように構成されている。
更に、制動液圧生成機構5の正常時において、ブレーキペダル2のストロークに応じた反力をブレーキペダル2に発生させる反力発生機構6が設けられている。
まず、マスタシリンダ3について説明する。
マスタシリンダ3は、第1圧力発生室3aと、第2圧力発生室3bとを備えている。
第1,第2圧力発生室3a,3bは、リザーバタンク7に夫々接続され、内部に圧縮スプリングを夫々備えている。これら第1,第2圧力発生室3a,3bは、ブレーキペダル2の踏込操作に応じて略同様のブレーキ液圧を圧送可能に構成されている。
第1圧力発生室3aは、開閉可能な電磁弁11を介してホイールシリンダ4a,4bに連通され、第2圧力発生室3bは、開閉可能な電磁弁14を介してホイールシリンダ4c,4dに連通されている。電磁弁11,14は、通電時、閉作動すると共に制動液圧生成機構5の異常時、非通電状態にされて開作動される。
次に、制動液圧生成機構5について説明する。
制動液圧生成機構5は、リザーバタンク7に接続され、電動モータと、油圧ポンプ等によって構成されている。
この制動液圧生成機構5は、開閉可能な電磁弁12を介してホイールシリンダ4a,4bに連通され、開閉可能な電磁弁13を介してホイールシリンダ4c,4dに連通されている。電磁弁12,13は、通電時、開作動されている。
図1に示すように、電磁弁11,14が開作動且つ電磁弁12,13が閉作動のとき、各ホイールシリンダ4a〜4dに対してマスタシリンダ3から直接的にブレーキ液圧が供給され、電磁弁11,14が閉作動且つ電磁弁12,13が開作動のとき、各ホイールシリンダ4a〜4dに対して制動液圧生成機構5からブレーキ液圧が供給されている。
各ホイールシリンダ4a〜4dの上流側流路には、ブレーキ液圧をリザーバタンク7にリターンさせるリターン流路が夫々設けられている。
次に、反力発生機構6について説明する。
反力発生機構6は、消費油量をシミュレートし、マスタシリンダ3から圧送されたブレーキ液圧を吸収して消費可能なストロークシミュレータによって構成されている。
この反力発生機構6は、第1圧力発生室3aと電磁弁11とを連通する流路に接続され、例えば、シリンダと、このシリンダ内に摺動自在なピストンと、ピストンを付勢する付勢手段等によって形成されている。
これにより、乗員がブレーキペダル2を踏込又は踏戻操作したとき、ブレーキペダル2を介して予め設定された特性を備えた反力(踏力)を乗員に対して作用させることができる。尚、ブレーキペダル2から乗員の脚に対して作用する反力と乗員がブレーキペダル2を操作する踏力は作用反作用の関係であるため、以下、表現を踏力に統一して説明する。
ブレーキペダル2には、乗員によるブレーキペダル2の踏込又は踏戻操作量であるペダルストロークStを検出するストロークセンサ8(操作量検出手段)が配設されている。
このストロークセンサ8によって検出された乗員のストローク操作量Stは、ECU(Electronic Control Unit)10(制御手段)に検出信号として出力されている。
次に、ECU10について説明する。
ECU10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。ROMには、踏力及び制動力を制御するための種々のプログラムやデータ及びマップが格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
ECU10は、制動液圧生成機構5と、反力発生機構6と、ストロークセンサ8と、電磁弁11〜14とに電気的に接続され、減速度制御処理及び踏力制御処理を実行可能に形成されている。
まず、減速度制御処理について説明する。
図2に示すように、ECU10は、踏力特性マップM1を有している。
次式(1)に示すように、乗員の感覚の強さは刺激の強さの対数に比例している(ウェーバー・フェヒナーの法則)。尚、Aは感覚量、Bは物理量、kはゲイン、Kは積分定数である。
A=klogB+K …(1)
それ故、踏力特性マップM1には、乗員がブレーキペダル2を操作する踏力Fとブレーキペダル2のストロークStとが対数関係になる踏力特性L1が予め設定されている。
ECU10は、ストロークセンサ8で検出されたストロークStと踏力特性マップM1とに基づき初期値となる踏力Fを設定している。
これにより、乗員が知覚するブレーキペダル2の踏力F(操作力)とブレーキペダル2のストロークSt(操作量)との関係を人間の知覚特性上線形にすることができ、乗員が体性感覚を介して感じる知覚量とブレーキペダル2を操作する物理的な操作量との乖離を回避している。
図3に示すように、ECU10は、制動特性マップM2を有している。
ECU10は、検出されたストロークStを介して設定された踏力Fを第1踏力F1に設定すると共に、この第1踏力F1と制動特性マップM2とを用いて車両の目標減速度に相当する減速度Dを設定し、電磁弁11,14が閉作動且つ電磁弁12,13が開作動された状態において減速度Dに対応した作動指令信号を制動液圧生成機構5に出力している。
これにより、各ホイールシリンダ4a〜4dが駆動され、制動特性マップM2に基づく減速度Dの制動が実行されている。
尚、ECU10が、減速度検出手段に相当している。
制動特性マップM2は、乗員によるブレーキペダル2の操作力に対応した第1踏力F1と車両の減速度Dとによって規定されており、踏込特性T1と、踏戻特性T2と、踏戻開始時の踏込特性T1と踏戻特性T2との踏力差(オフセット量)に相当するヒステリシスT3とから構成された制動特性Tが設定されている。
踏込特性T1は、第1踏力F1が閾値α未満のとき、乗員がブレーキペダル2を操作する第1踏力F1と車両の減速度Dとが対数関係になる特性L2上に設定され、第1踏力F1が閾値α以上のとき、特性L2よりも高く且つ線形関係(第1踏力F1と減速度Dが比例関係)になる特性L3上に設定されている。踏戻特性T2は、踏込特性T1を踏力減少側に、例えば、15〜20N、オフセットしている。
本実施例では、特性L3は、特性L2の座標(α,β)における接線によって形成されている。
制動特性Tは、例えば、緊急制動時に要求される減速度Dの閾値β(これに対応した第1踏力F1の閾値α)まで、つまり、通常走行時、第1踏力F1と車両の減速度Dとが対数関係であるため、乗員が知覚する操作量(第1踏力F1の知覚量)と車両の挙動(減速度D)とのリニアリティを確保することができ、良好な操作感を得ることができる。
一方、緊急制動時、車両の減速度Dが、乗員の知覚操作量と車両の挙動とのリニアリティ関係以上になるように増加制御されているため、乗員による制動要求、所謂急減速意思に合致した応答性の良い制動性能を発揮することができる。
図3に示すように、制動特性Tは、踏戻特性T2における減速度Dが零のときの残踏力γが、2N以上で且つ10N以下に設定されている。
残踏力γが2N未満の場合、足裏の触覚及び脚の筋によるブレーキペダル2の操作知覚が難しく、また、残踏力γが10Nを超える場合、ブレーキペダル2に対する脚感覚によって踏戻終了(減速度Dが零)を認識することができないからである。
また、図3に示すように、ECU10は、踏戻開始の減速度Dが低い程ヒステリシスT3が小さくなるように制動特性T(1点鎖線)を設定し、踏戻開始の減速度Dが高い程ヒステリシスT3が大きくなるように制動特性T(2点鎖線)を設定している。
これにより、運動量が多く主働筋と拮抗筋の機能切替期間が長くなる踏戻開始の減速度Dが高いとき、ヒステリシスT3を大きくすると共に、運動量が少なく主働筋と拮抗筋の機能切替期間が短くなる踏戻開始の減速度Dが低いとき、ヒステリシスT3を小さくすることによって、車両挙動の応答性を乗員の筋特性に適合させている。
ヒステリシスT3の設定範囲は、残踏力γ以上且つ踏込特性T1における減速度Dが零のときの踏込開始踏力δ(例えば、30N)以下に設定されている。
これは、主働筋と拮抗筋の機能切替期間を確保しつつ、減速度Dが零近傍領域のときのブレーキペダル2の操作性を確保するためである。
次に、踏力制御処理について説明する。
図4に示すように、ECU10は、制動剛性特性マップM3を有している。
ECU10は、検出されたストロークStと設定された減速度Dと制動剛性特性マップM3とを用いて第2踏力F2を設定し、この第2踏力F2に対応した作動指令信号を反力発生機構6に出力している。ここで設定された第2踏力F2が、実際に乗員に作用する反力であり、ブレーキペダル2の操作に必要な乗員の踏力Fとされる。
制動剛性特性マップM3は、減速度Dと制動剛性Sによって制動剛性特性L4が設定されている。制動剛性Sは、乗員によるブレーキペダル2の第2踏力F2とブレーキペダル2のストロークStを次式(2)に代入することにより求められる。
S=F2/St …(2)
前提条件として、第2踏力F2と減速度Dとは、対数関係が成立している。
ここで、制動剛性特性L4を設定した理由について説明する。
通常、図5に示すように、車両の運転操作は、乗員によるブレーキペダル2の踏込行程(t0〜t2)、保持行程(t2〜t3)、ブレーキペダル2の踏戻行程(t3〜t4)、停車保持行程(t4〜t5)、車両の再発進行程(t5〜)から構成される。
尚、ばね定数は、ブレーキペダル2の物理的作動特性を示している。
踏込行程には、乗員が足をブレーキペダル2に移し替えると共にブレーキペダル2の操作によりブレーキペダル2等の機構的な遊びを解消する(詰める)足載領域(t0〜t1)と、意識的に踏込操作が行われる踏込領域(t1〜t2)とが存在している。
そして、ブレーキバイワイヤ機構では、足載領域の終了時期と遊び解消時期(ストロークStの変曲点)との一致性と、減速度Dの開始時期と遊び解消時期との一致性とがブレーキペダル2の操作性能に影響を与えているため、第1踏力F1を用いるのではなく、制動剛性特性L4とストロークStに基づいて第2踏力F2を設定し、この第2踏力F2をブレーキペダル2を介して乗員に付与している。
図4に示すように、制動剛性特性L4の極小点Pを境にして制動剛性Sの傾斜特性が負から正に変更されているため、極小点Pが、ブレーキペダル2の踏込操作における乗員の認識開始点になっている。それ故、極小点Pが減速度Dの増加側に移行する程、実際には車両に減速度Dが発生しているにも拘らず、乗員による踏込認識が遅くなり、結果的に、車両の挙動と操作認識との乖離が生じる。従って、操作性の観点から、極小点Pは、零近傍領域の減速度Dになるように設定されている。
本実施例では、極小点Pが、乗員によって知覚可能な減速度Dの最小閾値εよりも僅かに大きい減速度Dになるように設定されている。これにより、車両の制動応答性を向上しつつ、乗員が負側の制動剛性Sを伴う操作によってブレーキペダル2の実踏込操作開始を予見(遊び解消を認識)することができる。
また、制動剛性特性L4の極小点Pよりも増加側の傾斜角度が、例えば、0.10〜0.30((N/mm)/(m/s2))に設定されている。
制動剛性特性L4の傾斜角度が、0.10未満の場合、乗員によるブレーキペダル2の踏み応えが小さいため、ブレーキペダル2の操作感を知覚することが難しく(スポンジー感が高く)、0.30を超える場合、ブレーキペダル2の操作に必要な踏力Fが高いため、ブレーキペダル2の踏込みが難しく(板踏み感が高く)操作性が低下するためである。
次に、上記車両用制動制御装置1の作用、効果について説明する。
実施例1に係る制動制御装置1によれば、ブレーキペダル2の第1踏力F1と車両の減速度Dとによって設定された制動特性Tであって、踏込特性T1とこの踏込特性T1よりも踏力減少側にヒステリシスT3を以てオフセットさせた踏戻特性T2とからなる制動特性Tを設定するECU10を有するため、踏戻特性T2の変化傾向と踏込特性T1の変化傾向とを略同様にすることができ、乗員が踏込操作から踏戻操作に移行した際、違和感の発生を回避することができる。ECU10が、踏戻開始の減速度Dが低い程制動特性TのヒステリシスT3を小さくすると共にその制動特性Tに基づき制動液圧生成機構5を制御するため、運動量が多く主働筋と拮抗筋の機能切替期間が長くなるとき、ヒステリシスT3を大きくすることができ、運動量が少なく主働筋と拮抗筋の機能切替期間が短くなるとき、ヒステリシスT3を小さくすることができ、その結果、車両挙動の応答性を乗員の筋特性に適合させることができる。
踏戻特性T2における減速度Dが零のときの残踏力γが、2N以上で且つ10N以下に設定されたため、減速度Dが零近傍領域におけるブレーキペダル2の操作性を確保することができる。
ヒステリシスT3が、踏戻特性T2における減速度Dが零のときの残踏力γ以上且つ踏込特性T1における減速度Dが零のときの踏込開始踏力δ以下に設定されたため、主働筋と拮抗筋の機能切替期間を確保しつつ、減速度Dが零近傍領域におけるブレーキペダル2の操作性を確保することができる。
制動特性Tは、第1踏力F1と減速度Dとが対数関係になるように設定されたため、乗員に対して第1踏力F1に比例する減速度Dを知覚させることができ、ブレーキペダル2の操作性を向上することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、第1踏力が閾値未満のとき、乗員がブレーキペダルを操作する第1踏力と車両の減速度とが対数関係になる特性上に設定され、第1踏力が閾値以上のとき、特性よりも高く且つ線形関係特性上に設定された制動特性の例を説明したが、単に第1踏力と車両の減速度とが対数関係になる制動特性を用いても良い。
2〕前記実施形態においては、第2踏力を制動剛性特性マップとストロークと制動特性マップに基づき設定した減速度を用いて設定した例を説明したが、速度センサ等の減速度検出手段を設け、第2踏力を制動剛性特性マップとストロークと検出された減速度を用いて設定しても良い。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 制動制御装置
2 ブレーキペダル
5 制動液圧生成機構
6 反力発生機構
8 ストロークセンサ
10 ECU
T 制動特性
T1 踏込特性
T2 踏戻特性
T3 ヒステリシス

Claims (3)

  1. ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキペダルの操作量に基づき前記ブレーキペダルの反力を発生する反力発生機構と、車輪に対する制動力を発生する制動力発生機構と、前記反力発生機構と制動力発生機構を制御可能な制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、
    前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有し、
    前記踏戻特性における減速度零のときの残踏力が、2N以上で且つ10N以下に設定され、
    前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御することを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキペダルの操作量に基づき前記ブレーキペダルの反力を発生する反力発生機構と、車輪に対する制動力を発生する制動力発生機構と、前記反力発生機構と制動力発生機構を制御可能な制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、
    前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有し、
    前記ヒステリシスが、前記踏戻特性における減速度零のときの残踏力以上且つ前記踏込特性における減速度零のときの踏込開始踏力以下に設定され、
    前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御することを特徴とする車両用制動制御装置。
  3. ブレーキペダルの操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレーキペダルの操作量に基づき前記ブレーキペダルの反力を発生する反力発生機構と、車輪に対する制動力を発生する制動力発生機構と、前記反力発生機構と制動力発生機構を制御可能な制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、
    前記ブレーキペダルの反力に応じた踏力と車両の減速度とによって設定された制動特性であって、踏込特性とこの踏込特性よりも踏力減少側にヒステリシスを以てオフセットさせた踏戻特性とからなる制動特性を設定する制動特性設定手段を有し、
    前記制動特性は、前記踏力と減速度とが対数関係になるように設定され、
    前記制御手段が、踏戻開始の減速度が低い程前記制動特性のヒステリシスを小さくすると共にその制動特性に基づき前記制動力発生機構を制御することを特徴とする車両用制動制御装置。
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