JP6575358B2 - 含フッ素弾性共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、フッ素置換脂肪族スルホニル化合物の含有量を、金属に対する充分な接着性が得られる量まで増加させると、含フッ素弾性共重合体の成形体の柔軟性(例えば、伸び特性)が充分に確保されなくなる問題がある。
[1]下記単量体(a)に基づく構成単位(A)と、下記単量体(b)に基づく構成単位(B)と、下記単量体(c)に基づく構成単位(C)とを有することを特徴とする含フッ素弾性共重合体。
単量体(a):テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、および下式(I)で表されるペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選ばれる少なくとも1種。
CF2=CF−O−Rf ・・・(I)
ここで、Rfは炭素数1〜8のペルフルオロアルキル基、または炭素数2〜8のペルフルオロ(アルコキシアルキル)基を表す。
単量体(b):下式(II)で表される化合物、および下式(III)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種。
単量体(c):プロピレンおよびエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種。
[2]前記式(II)において、R1が炭素数1または2のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子1〜3個を有する炭素数2〜6のアルキレン基であり、前記式(III)において、R3が炭素数1〜4のアルキレン基である、上記[1]に記載の含フッ素弾性共重合体。
[3]前記単量体(b)が、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、および3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]または[2]に記載の含フッ素弾性共重合体。
[4]前記構成単位(B)の含有量が、前記構成単位(B)を除く全構成単位の合計に対して、モル比で0.0005/100〜10.0/100である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素弾性共重合体。
[5]前記単量体(a)がテトラフルオロエチレンであり、前記単量体(c)がプロピレンである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素弾性共重合体。
[6]前記構成単位(A)と前記構成単位(C)とのモル比[(C)/(A)]が、20/80〜70/30である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の含フッ素弾性共重合体。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法であって、
水性媒体、乳化剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、前記単量体(a)と前記単量体(b)と前記単量体(c)とを含む単量体成分を重合することを特徴とする含フッ素弾性共重合体の製造方法。
[8]水性媒体、乳化剤およびラジカル重合開始剤を仕込んだ反応器に、重合する単量体成分の一部を供給し、重合反応を開始した後、重合反応の進行に応じて、前記単量体成分の残部を供給することにより重合を進行させ、
前記単量体(b)の全量が、前記残部の単量体成分として前記反応器に供給される、上記[7]に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
本発明の含フッ素弾性共重合体の製造方法によれば、接着性および柔軟性に優れる含フッ素弾性共重合体を製造できる。
以下、テトラフルオロエチレンをTFE、ヘキサフルオロプロピレンをHFP、フッ化ビニリデンをVdF、クロロトリフルオロエチレンをCTFE、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)をPAVE、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)をPMVE、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)をPPVE、ヒドロキシエチルビニルエーテルをHEVE、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルをHBVE、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルをCHMVE、ジエチレングリコールモノビニルエーテルをDEGV、エチレンをE、プロピレンをPと記す。
本発明の含フッ素弾性共重合体は、単量体(a)に基づく構成単位(A)と、単量体(b)に基づく構成単位(B)と、単量体(c)に基づく構成単位(C)とを有する。
本発明の含フッ素弾性共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(A)〜(C)のほかに、単量体(a)〜(c)以外の単量体(d)に基づく構成単位(D)を有していてもよい。
CF2=CF−O−Rf ・・・(I)
ここで、Rfは炭素数1〜8のペルフルオロアルキル基、または炭素数2〜8のペルフルオロ(アルコキシアルキル)基を表す。
Rfにおけるペルフルオロアルキル基は、直鎖でも分岐状でもよく、その炭素数は1〜6が好ましく、1〜5がより好ましい。ペルフルオロ(アルコキシアルキル)基は、直鎖でも分岐状でもよく、その炭素数は2〜6が好ましく、2〜5がより好ましい。
前記PAVEの具体例としては、PMVE、PPVE、ペルフルオロ(3,6−ジオキサ−1−ヘプテン)、ペルフルオロ(3,6−ジオキサ−1−オクテン)、ペルフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサ−1−ノネン)等が挙げられる。
単量体(a)としては、TFE、HFP、VdFおよびPAVEからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、TFEが最も好ましい。
mが0である場合、(m+2)価の飽和炭化水素基は2価の飽和炭化水素基であり、例えばアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基を含むアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基は直鎖でも分岐でもよい。シクロアルキレン基としては、炭素数5〜8のシクロアルキレン基が好ましく、シクロヘキシレン基が特に好ましい。シクロアルキレン基を含むアルキレン基としては、例えば−CH2−C6H8−CH2−等が挙げられる。
2価の飽和炭化水素基としては、炭素数1または2の直鎖のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子1〜3個を有する炭素数2〜6のアルキレン基(ただし、アルキレン基の炭素数が2の場合に含まれるエーテル性酸素原子の数は1個であり、アルキレン基の炭素数が3の場合に含まれるエーテル性酸素原子の数は1個または2個である。)が好ましい。
mが1または2である場合、(m+2)価の飽和炭化水素基としては、前記2価の飽和炭化水素基からm個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R3におけるアルキレン基は直鎖でも分岐でもよい。R3としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
前記式(III)においては、R3が炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
単量体(b)の具体例としては、HEVE、HBVE、CHMVE、DEGV、アリルグリシジルエーテル、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、5−(2−プロペニルオキシ)−1−ペンタノール、6−(2−プロペニルオキシ)−1−ヘキサノール、2−(2−プロペニルオキシ)−1,4−ブタンジオール、4−(2−プロペニルオキシ)−1,2−ブタンジオール、2−[2−(3−ブテニル)エチル]オキシラン、2−[3−(2−ブテニル)プロピル]オキシラン、および2−[4−(2−ブテニル)ブチル]オキシランからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、HBVE、アリルグリシジルエーテル、および3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、HBVEが最も好ましい。
単量体(c)としては、Pが好ましい。
単量体(d)としては、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、ペルフルオロシクロブテン、CH2=CHCF3、CH2=CHCF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF2CF3等の(ペルフルオロアルキル)エチレン類等の含フッ素系単量体;
イソブチレン、ペンテンなどのα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル類等の非フッ素系単量体;等が挙げられる。
これらの単量体(d)は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記モル比は0.01/100以上が好ましく、0.05/100以上がより好ましく、0.1/100以上が更に好ましく、0.2/100以上が特に好ましい。
上記モル比は5.0/100以下が好ましく、2.0/100以下がより好ましく、1.0/100以下が更に好ましく、0.5/100以下が特に好ましい。
(1)VdFに基づく単位と、HFPに基づく単位と、TFEに基づく単位と、Eに基づく単位と、Pに基づく単位との組み合わせ。
(2)VdFに基づく単位と、HFPに基づく単位と、TFEに基づく単位と、Pに基づく単位との組み合わせ。
(3)VdFに基づく単位と、HFPに基づく単位と、Eに基づく単位と、Pに基づく単位との組み合わせ。
(4)VdFに基づく単位と、Pに基づく単位と、TFEに基づく単位との組み合わせ。
(5)TFEに基づく単位と、Pに基づく単位との組み合わせ。
(6)TFEに基づく単位と、PAVEに基づく単位との組み合わせ。
(7)VdFに基づく単位と、PAVEに基づく単位との組み合わせ。
(8)Eに基づく単位と、PAVEに基づく単位との組み合わせ。
(5)の組み合わせにおいて、TFEに基づく単位/Pに基づく単位のモル比は、30/70〜80/20が好ましく、40/60〜70/30がより好ましく、50/50〜65/35が最も好ましい。
(7)の組み合わせにおいて、TFEに基づく単位/PAVEに基づく単位のモル比は、85/15〜25/75が好ましく、75/25〜40/60がより好ましい。
含フッ素弾性共重合体の貯蔵弾性率G’の上限は、特に限定されないが、柔軟性に優れる点で、700kPa以下が好ましく、650kPa以下がより好ましい。
本発明において、貯蔵弾性率G’は、ASTM D6204に準拠して、100℃、振動数0.83Hzの条件で測定される値である。
本発明の含フッ素弾性共重合体は、前記の単量体(a)と、単量体(b)と、単量体(c)と、必要に応じて単量体(d)を共重合することにより製造できる。
重合法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が挙げられる。含フッ素弾性共重合体の分子量や共重合体組成の調整が容易で、生産性に優れることから、水性媒体および乳化剤の存在下で単量体を重合する乳化重合法が好ましい。
乳化重合法では、水性媒体、乳化剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)とを含む単量体成分を重合(乳化重合)する工程(以下、乳化重合工程とも記す。)を経て、含フッ素弾性共重合体のラテックスを得る。乳化重合工程においては、pH調整剤を添加してもよい。
水性媒体とは、水単独、または水と水溶性有機溶剤との混合物である。
水溶性有機溶剤としては、水と任意の割合で溶解できる公知の化合物を適宜用いることができる。水溶性有機溶剤としては、アルコール類が好ましく、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等が挙げられる。これらのうち、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
水性媒体としては、水、水およびtert−ブタノールの混合物又は水およびプロピレングリコールの混合物が好ましく、水およびtert−ブタノールの混合物がより好ましい。
また、水性媒体の使用量は反応容器体積に対し40〜80%が好ましく、50〜70%がより好ましい。
乳化剤は、乳化重合法において使用される公知の乳化剤を適宜用いることができる。ラテックスの機械的および化学的安定性に優れる点から、イオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤がより好ましい。
アニオン性乳化剤としては、乳化重合法において公知のものが使用できる。具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等の炭化水素系乳化剤;ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、ペルフルオロヘキサン酸アンモニウム等の含フッ素アルキルカルボン酸塩;下記式(V)で表わされる化合物(以下、化合物(V)と記す。)等が挙げられる。
式(V)中、Xはフッ素原子または炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基を表し、Aは、水素原子、アルカリ金属原子、またはNH4を表し、pは1〜10の整数を表し、qは0〜3の整数を表す。
Xとしては、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。Aとしては、NaまたはNH4が好ましい。pは1〜5が好ましい。qは1〜2が好ましい。
アニオン性乳化剤の使用量は、乳化重合工程で生成される含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して、1.5〜5.0質量部が好ましく、1.5〜4.5質量部がより好ましく、1.7〜4.0質量部が特に好ましい。乳化重合で得られる含フッ素弾性共重合体のラテックスにおける乳化剤の含有量がこの範囲内であると、ラテックスの安定性に優れる。
pH調整剤は無機塩が好ましい。無機塩としては、乳化重合におけるpH調整剤として公知の無機塩を用いることができる。pH調整剤として、具体的には、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。リン酸塩のより好ましい具体例としては、リン酸水素二ナトリウム2水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物等が挙げられる。
前記無機塩以外のpH調整剤を用いてもよい。例えば、所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基類;硫酸、塩酸、硝酸などの酸類などを併用してもよい。
後述する乳化重合工程における水性媒体中のpHは、4〜12が好ましく、6〜11がより好ましい。
ただし、含フッ素弾性共重合体のラテックス中の金属分の含有量を低減させる点では、pH調整剤の使用量はできるだけ少ない方が好ましい。
乳化重合で使用されるラジカル重合開始剤は、水溶性重合開始剤が好ましい。水溶性重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム塩等の過硫酸類;ジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等の有機系開始剤;等が挙げられる。これらのうち、過硫酸アンモニウム塩等の過硫酸類が好ましい。
いずれの系でも、水溶性重合開始剤の使用量は、乳化重合工程で生成される含フッ素弾性共重合体の100質量部に対して、0.0001〜3質量部が好ましく0.001〜1質量部がより好ましい。
乳化重合工程は、公知の乳化重合法により行うことができる。
乳化重合工程においては、水性媒体、乳化剤およびラジカル重合開始剤を仕込んだ反応器に、重合する単量体成分の一部(初期仕込みの単量体成分)を供給し、重合反応を開始した後、重合反応の進行に応じて前記単量体成分の残部(後添加の単量体成分)を供給することにより重合を進行させることが好ましい。また、前記単量体(b)の全量が、前記残部の単量体成分として前記反応器に供給されることが好ましい。
単量体(b)は、単量体(a)や単量体(c)と比べて重合速度が速く、単量体(b)の全量を一括で供給すると、含フッ素弾性共重合体に導入される構成単位(B)の量や分布にばらつきが生じやすい。
単量体(b)を重合反応中に、重合反応の進行にあわせて徐々に供給することで、構成単位(B)が均等に導入された含フッ素弾性共重合体が得られやすい。このような含フッ素弾性共重合体は、金属等に対する接着性がより優れる。
まず、耐圧反応器を脱気した後、該反応器内に水性媒体、乳化剤、ラジカル重合開始剤、必要に応じてpH調整剤、およびレドックス重合開始剤系ではレドックス触媒を仕込む。次いで、所定の重合温度に昇温させた後、単量体(a)および単量体(c)を含む単量体混合物(初期仕込みの単量体成分)を圧入する。また、必要に応じて触媒(レドックス重合開始剤系ではロンガリット触媒等)を供給する。重合反応が開始されると、反応器内の圧力が低下し始める。
重合中に反応器内に供給される単量体の組成は、得ようとする含フッ素弾性共重合体における構成単位の比率と同じとすることが好ましい。
こうして得られる含フッ素弾性共重合体のラテックスは、水性媒体中に、含フッ素弾性共重合体の粒子および乳化剤を含有する。
重合反応期間中の重合圧力は、1.0〜10MPaGが好ましく、1.5〜5.0MPaGがより好ましく、1.7〜3.0MPaGが特に好ましい。重合圧力が1.0MPaG未満であると、重合速度が遅すぎる場合がある。上記の範囲であると、重合速度が適切で制御しやすく、また生産性に優れる。なお、「MPaG」の「G」は、ゲージ圧を意味する。
重合反応期間中の重合圧力は、1.0〜10MPaGが好ましく、1.5〜5.0MPaGがより好ましく、1.7〜3.0MPaGが特に好ましい。重合圧力が1.0MPaG未満であると、重合速度が遅すぎる場合がある。上記の範囲であると、重合速度が適切で制御しやすく、また生産性に優れる。
ラテックスに含まれる含フッ素弾性共重合体の粒子の平均粒子径は、乳化剤の種類、添加量等、公知の方法にて調節することができる。
本発明の含フッ素弾性共重合体は、該含フッ素弾性共重合体をそのまま、または必要に応じて任意成分を添加して含フッ素弾性共重合体組成物とした後、公知の方法により成形して成形体とすることができる。
任意成分としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、充填剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、加工助剤、滑剤、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、補強剤、加硫促進剤等が挙げられる。これらの任意成分はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体または含フッ素弾性共重合体組成物の成形方法としては、例えば射出成形、押出成形、共押出成形、ブロー成形、圧縮成形、インフレーション成形、トランスファー成形、カレンダー成形等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体または含フッ素弾性共重合体組成物の成形と共に、または成形の後に、架橋を行ってもよい。架橋方法は特に限定されず、例えば、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド等の有機過酸化物を架橋剤として使用した化学架橋法、X線、γ線、電子線、陽子線、重陽子線、α線、β線等の電離性放射線を使用した照射架橋法等が挙げられる。
また、本発明の含フッ素弾性共重合体は、樹脂に対する接着性にも優れる。そのため、本発明の含フッ素弾性共重合体は、含フッ素弾性共重合体または含フッ素弾性共重合体組成物の成形体と樹脂成形体とが複合化された構造体の製造にも使用できる。かかる構造体を構成する成形体においては、本発明の含フッ素弾性共重合体の成形体と樹脂成形体とが良好に密着する。
樹脂成形体を構成する樹脂としては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
本発明の含フッ素弾性共重合体の用途としては、具体的には、ガスケット、パッキン、オイルシール、ベアリングシールなどのシール材が挙げられる。また、シール材のほか、各種のゴム製品、例えば、ダイヤフラム、Oリング、チューブ、ホース、ブッシュ、クッション、各種ゴムロールなどとしても使用できる。また、樹脂との積層により、積層チューブ、ホース、シートなどとしても利用できる。
実施例および比較例における測定および評価は以下の方法で行った。
含フッ素弾性共重合体のラテックスを、塩化カルシウムの1.5質量%水溶液に添加し、塩析させて含フッ素弾性共重合体を凝集析出させ、析出した凝集物はイオン交換水により洗浄した後、100℃のオーブンで15時間乾燥させ、含フッ素弾性共重合体を得た。
得られた含フッ素弾性共重合体の共重合組成を、19F−NMRおよび1H−NMRにより測定した。その結果から、含フッ素弾性共重合体中の構成単位(A)と構成単位(C)とのモル比[(A)/(C)]、構成単位(B)以外の全構成単位の合計に対する構成単位(B)のモル比を算出した。
含フッ素弾性共重合体のラテックスに、1.5質量%の塩化カルシウム水溶液を加え、塩析させて含フッ素弾性重合体を凝集析出させ、析出した凝集物はイオン交換水により洗浄した後、100℃のオーブンで15時間乾燥した。乾燥させて得られた含フッ素弾性重合体を貯蔵弾性率G’の測定に用いた。含フッ素弾性重合体の貯蔵弾性率G’(kPa)は、ASTM D6204に準拠して、100℃、振動数0.83Hzの条件で、アルファテクノロジーズ社製「ラバープロセスアナライザ(RPA−2000)」を用いて測定した。
本発明において、ラテックスに含まれる含フッ素弾性共重合体の粒子の平均粒子径は、大塚電子社製のレーザーゼータ電位計のELS−8000等を使用して、動的光散乱法による散乱強度分布から測定した値である。
含フッ素弾性共重合体のラテックスと、カルボキシメチルセルロース溶液(固形分2質量%)とを、固形分換算の質量比で1:1となるように混合して混合液を作製した。得られた混合液を、銅箔(幅20mm×長さ150mm)の上に、乾燥後の厚みが70μmになるように広げ、80℃のホットプレート上で乾燥させた。これにより、銅箔と含フッ素弾性共重合体のシートとが積層した積層体を得た。
乾燥後、得られた積層体の長さ方向に沿って、含フッ素弾性共重合体のシートを、50mm/minの速度で180℃方向に剥離したときの強度(N)を5回測定し、その平均値を剥離強度とした。この値が大きいほど、含フッ素弾性共重合体と金属との接着性(密着性)に優れていることを示す。
レドックス重合開始剤を用い、以下の手順で含フッ素弾性共重合体Aを製造した。
すなわち、撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、1700gのイオン交換水、乳化剤として17.7gのラウリル硫酸ナトリウム、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム12水和物の60gおよび水酸化ナトリウムの0.9g、開始剤として過硫酸アンモニウムの8.4g(1時間半減期温度82℃)を加えた。さらに、200gのイオン交換水に、レドックス触媒として0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(以下、EDTAと記す。)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.2であった。
次いで、25℃で、TFE/P=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させながら、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の水溶液47gを反応器に加え、重合反応を開始させた。
重合温度を40℃に維持して重合を進行させ、重合の進行に伴い反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P=56/44(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。この操作を繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。
また、該ラテックス中に残存するHBVEはガスクロマトグラフでは検出されなかった。このことから、反応器内に供給したHBVEはすべて反応したと推測できる。
含フッ素弾性共重合体Aの物性(貯蔵弾性率G’およびラテックス粒子径)を、実施例2〜5、および比較例1で得られた含フッ素弾性共重合体B〜Fの物性と合わせて表1に示す。
実施例1におけるHBVEの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Bを得た。
すなわち、反応器へのTFE/Pの単量体混合ガスの圧入量20g毎に、HBVEのtert−ブタノール溶液(HBVE/tert−ブタノール=6/52(質量比))の2mLを、反応器内に窒素背圧で圧入し、合計22mL圧入した。
重合時間は4.4時間であった。ラテックス中における含フッ素弾性共重合体Bの含有量は21質量%であった。
含フッ素弾性共重合体Bの共重合組成において、構成単位(A)(TFEに基づく単位)と構成単位(C)(Pに基づく単位)とのモル比[(A)/(C)]は56/44であり、構成単位(B)(HBVEに基づく単位)以外の全構成単位の合計(すなわち構成単位(A)と構成単位(C)との合計)に対する構成単位(B)のモル比[(B)/{(A)+(C)}]は0.2/100であった。
HBVEからアリルグリシジルエーテルに変更した以外は、実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Cのラテックスを得た。
重合時間は4.5時間であった。ラテックス中における含フッ素弾性共重合体Cの含有量は22質量%であった。
含フッ素弾性共重合体Cの共重合組成において、構成単位(A)(TFEに基づく単位)と構成単位(C)(Pに基づく単位)とのモル比[(A)/(C)]は56/44であり、構成単位(B)(アリルグリシジルエーテルに基づく単位)以外の全構成単位の合計(すなわち構成単位(A)と構成単位(C)との合計)に対する構成単位(B)のモル比[(B)/{(A)+(C)}]は0.2/100であった。
HBVEから3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールに変更した以外は、実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Dのラテックスを得た。
重合時間は4.5時間であった。ラテックス中における含フッ素弾性共重合体Dの含有量は21質量%であった。
含フッ素弾性共重合体Dの共重合組成において、構成単位(A)(TFEに基づく単位)と構成単位(C)(Pに基づく単位)とのモル比[(A)/(C)]は56/44であり、構成単位(B)(3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールに基づく単位)以外の全構成単位の合計(すなわち構成単位(A)と構成単位(C)との合計)に対する構成単位(B)のモル比[(B)/{(A)+(C)}]は0.5/100であった。
実施例1におけるHBVEの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Eを得た。
すなわち、反応器へのTFE/Pの単量体混合ガスの圧入量20g毎に、HBVEのtert−ブタノール溶液(HBVE/tert−ブタノール=33/57(質量比))の2mLを、反応器内に窒素背圧で圧入し、合計48mL圧入した。
重合時間は5時間であった。ラテックス中における含フッ素弾性共重合体Eの含有量は23質量%であった。
含フッ素弾性共重合体Eの共重合組成において、構成単位(A)(TFEに基づく単位)と構成単位(C)(Pに基づく単位)とのモル比[(A)/(C)]は56/44であり、構成単位(B)(HBVEに基づく単位)以外の全構成単位の合計(すなわち構成単位(A)と構成単位(C)との合計)に対する構成単位(B)のモル比[(B)/{(A)+(C)}]は3.0/100であった。
HBVEを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Fのラテックスを得た。
重合時間は4時間であった。ラテックス中における含フッ素弾性共重合体Fの含有量は22質量%であった。
含フッ素弾性共重合体Eの共重合組成において、構成単位(A)(TFEに基づく単位)と構成単位(C)(Pに基づく単位)とのモル比[(A)/(C)]は56/44であった。
また、貯蔵弾性率G’の測定結果から、含フッ素弾性共重合体A〜Eは、含フッ素弾性共重合体Fと同等かそれ以上の柔軟性を有していることが確認できた。
なお、2014年1月27日に出願された日本特許出願2014−012809号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (6)
- 下記単量体(a)に基づく構成単位(A)と、下記単量体(b)に基づく構成単位(B)と、下記単量体(c)に基づく構成単位(C)とを有することを特徴とする含フッ素弾性共重合体であり、
前記構成単位(B)の含有量が、前記構成単位(B)を除く全構成単位の合計に対して、モル比で0.0005/100〜1.0/100であり、
前記単量体(c)はプロピレンであり、
構成単位(A)と構成単位(C)とのモル比[(C)/(A)]は、45/55〜60/40であり、
含フッ素弾性共重合体の貯蔵弾性率G’が、250kPa以上、700kPa以下である含フッ素弾性共重合体。
単量体(a):テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、および下式(I)で表されるペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選ばれる少なくとも1種。
CF2=CF−O−Rf・・・(I)
ここで、Rfは炭素数1〜8のペルフルオロアルキル基、または炭素数2〜8のペルフルオロ(アルコキシアルキル)基を表す。
単量体(b):下式(II)で表される化合物、および下式(III)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種。
ここで、nは0または1であり、mは0〜2の整数であり、R1は炭素数1〜8の(m+2)価の飽和炭化水素基、またはエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜8の(m+2)価の飽和炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜8の2価の飽和炭化水素基、またはエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜8の2価の飽和炭化水素基を表し、R3は炭素数1〜8のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜8のアルキレン基を表す。 - 前記式(II)において、R1が炭素数1または2のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子1〜3個を有する炭素数2〜6のアルキレン基であり、前記式(III)において、R3が炭素数1〜4のアルキレン基である、請求項1に記載の含フッ素弾性共重合体。
- 前記単量体(b)が、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、および3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の含フッ素弾性共重合体。
- 構成単位(A)および構成単位(C)の組み合わせが、フッ化ビニリデンに基づく単位と、プロピレンに基づく単位と、テトラフルオロエチレンに基づく単位との組み合わせ、または、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、プロピレンに基づく単位との組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素弾性共重合体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法であって、
水性媒体、乳化剤およびラジカル重合開始剤の存在下に、前記単量体(a)と前記単量体(b)と前記単量体(c)とを含む単量体成分を重合することを特徴とする含フッ素弾性共重合体の製造方法。 - 水性媒体、乳化剤およびラジカル重合開始剤を仕込んだ反応器に、重合する単量体成分の一部を供給し、重合反応を開始した後、重合反応の進行に応じて前記単量体成分の残部を供給することにより重合を進行させ、
前記単量体(b)の全量が前記単量体成分の残部として前記反応器に供給される、請求項5に記載の含フッ素弾性共重合体の製造方法。
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