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JP6575556B2 - 自動車車体の動的剛性試験方法 - Google Patents
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JP6575556B2 - 自動車車体の動的剛性試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車車体の動的剛性試験方法に関し、特に、自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて動的な剛性試験を行う自動車車体の動的剛性試験方法に関する。
従来、自動車車体の剛性は、特許文献1に記載されるように、自動車車体のフロント側又はリア側のいずれかにおける左右のダンパー取り付け位置を固定し、固定していない反対側の左右のサスペンション締結部それぞれにアクチュエーターを接続し、左右のアクチュエーターを逆位相で動かして、前記自動車車体全体をねじり、一定荷重負荷時のねじれ角を測定するねじり剛性試験による評価が一般的に行われている。
このようなねじり剛性試験で評価される剛性は静的な評価値であり、特許文献2に開示されているように、構造体としての自動車車体の剛性を評価するには有用であり、実車両の走行試験における左右振られ感に基づく乗り心地評価に適用されている。
また、特許文献3には、乗員の乗車位置に一端が固定され、特定の軸を中心とした方向に捻り剛性を有する捻りばね手段を備えた車両を用い、車両走行時における前記捻りばね手段の回転と前記車両の操舵角との位相遅れを検出することで、乗員が感じる操縦性・安定性のフィーリングを数値化し、前記車両の操縦性・安定性に直結した情報を収集する技術が開示されている。
特開2006−292737号公報 特開2015−161587号公報 特開2003−42909号公報
しかしながら、特許文献1または特許文献2に開示された技術のように、従来一般に行われてきたねじり剛性試験では、構造体としての自動車車体の静的な剛性値を求めることはできるが、操縦安定性や乗り心地など実車両の走行時の官能評価項目との相関性は弱く、また、測定部位による相違についても考慮されていない。
また、特許文献3に開示された技術によれば、車両の運転操作に対する人間の感覚と車両の挙動との位相遅れを検出することで、人間の感覚を数値化した操縦性及び安定性を適切に評価することができるとされている。しかしながら、当該技術は、タイヤやサスペンションのある実車両の走行試験を行うものであり、自動車車体自体の剛性を評価するものではない。
実車両の走行試験により評価される官能評価値は、タイヤやサスペンション等の足回り部品やシャシー構造の寄与が大きく、ボディー構造(自動車車体)の剛性のみで決定されるわけではない。しかしながら、自動車車体の動的剛性が十分ではない車両では、シャシー構造の調整のみで官能評価値を満足のいくものにすることはできないので、自動車車体の動的剛性の評価は重要である。
また、走行試験を行うことなく官能評価値に関連する自動車車体の動的な剛性を評価することが可能になると、自動車車体に要求される性能の基準や目標が明確となり、車体骨格の設計段階であっても車両性能の作り込みが容易となる。しかしながら、これまで、実車両の走行時における官能評価と相関性のある自動車車体の動的剛性を試験する方法は提案されていなかった。
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、実車両の走行試験による官能評価と相関性が高い自動車車体の動的な剛性指標を得る自動車車体の動的剛性試験方法を提供することを目的とする。
車両の操縦安定性や乗り心地といった官能評価値に近い指標を、自動車車体を試験対象としたラボスケールでの剛性試験により得るためには、少なくとも負荷荷重の変動に対する自動車車体の動的な変形挙動を測定することが重要である。自動車車体の動的な変形挙動を測定する剛性試験としては、例えば、従来のねじり剛性試験において負荷荷重を連続的に変化させることにより周期的なねじり変形を自動車車体に与え、その時のねじり角の変化や自動車車体各部の変形挙動を測定する手法が考えられる。このようなねじり剛性試験では、タイヤとサスペンションを介して路面の段差により車両上下方向に荷重が入力する場合の変形挙動に関しては、ラボスケールでの試験データとして有用である。
これに対し、車両性能の中でも操縦安定性は、コーナーリングや車線変更時における車両の応答挙動と強い相関があると考えられ、このような場合においては、車体幅方向に作用する荷重による非定常の過渡的(動的)な変形挙動に大きく左右される。特に、車線変更時の安定性の観点からは、自動車車体に作用する荷重が消失した後、該自動車車体の変形が復元する過程における振動減衰挙動が重要である。しかしながら、前述のねじり剛性試験では、車体幅方向に作用する荷重による自動車車体の変形挙動を得ることはできない。
そこで発明者らは、振動装置を用いて自動車車体に振動を与えて車体幅方向に荷重を作用させ、該荷重により自動車車体に発生した車体変形の復元による振動減衰挙動を測定し、自動車車体の動的な剛性を評価することで、実車両の走行試験を行わずに操縦安定性といった官能評価に替わる数値指標を得る方法について検討した。
具体的には、評価対象とする自動車車体を水平方向の1軸方向に運動(加速、定速、減速)が可能なスライド機構付きテーブルに固定し、該スライド機構付きテーブルを加速させた後に急制動するように制御された振動装置により前記自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させ、自動車車体の振動減衰挙動を直接的に測定する試験を行った。
しかしながら、自動車車体のごとくスライド機構付きテーブルに対する重量比率が大きく、スライド機構付きテーブルの位置から自動車車体の重心位置が高くモーメントアームが長い場合、自動車車体を加速させた後に急制動する過程においては、自動車車体の振動の影響により、スライド機構付きテーブルに制御外の振動が発生した。
そして、このような制御外の振動が発生すると、これを抑制するために駆動する振動装置によるスライド機構付きテーブルの振動と自動車車体の振動減衰とが干渉して両者の分離が難しくなってしまい、自動車車体の振動減衰挙動の測定結果に基づいて動的な剛性を評価することは困難となった。
そこで、発明者らは、上記問題を解消する手段について検討した。その結果、自動車車体を固定したスライド機構付きテーブルを加速及び制動させるための振動装置に投入する投入エネルギーパターン(投入エネルギーの時間変化)を、異なる自動車車体を試験対象として試験を行う場合においても同一として振動減衰挙動を比較することを想到するに至った。
本発明は、上記検討に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成を備えてなるものである。
(1)本発明に係る自動車車体の動的剛性試験方法は、自動車車体を固定できるスライド機構付きテーブルと、該スライド機構付きテーブルを所定の加速度パターンで水平1軸方向に加振し加速させてその後制動させる振動装置と、を用いたものであって、基準車体を前記スライド機構付きテーブルに固定し、該スライド機構付きテーブルを所定の加速度パターンで加振及び制動させ、該加振及び制動させるために前記振動装置に投入する基準投入エネルギーパターンを取得する基準投入エネルギーパターン取得工程と、加速度計を設置した試験対象とする試験車体を前記スライド機構付きテーブルに固定し、前記振動装置に前記基準投入エネルギーパターンを投入して前記スライド機構付きテーブルを加振及び制動させる加振及び制動工程と、該加振及び制動工程において車体幅方向に荷重が作用された前記試験車体の加速度を前記加速度計により測定し、該測定した加速度に基づいて前記試験車体の振動減衰挙動を取得する振動減衰挙動取得工程と、該取得した振動減衰挙動に基づいて前記試験車体の動的な剛性を評価する評価工程と、を備えたことを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記基準投入エネルギーパターン取得工程は、前記基準車体に加速度計を設置し、前記基準投入エネルギーパターンを取得するとともに前記基準車体の加速度を前記加速度計により測定し、該測定した加速度に基づいて前記基準車体の振動減衰挙動を取得し、前記評価工程は、前記基準車体の振動減衰挙動を基準として前記試験車体の動的な剛性を評価することを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記振動装置は、動電式振動装置であり、前記基準投入エネルギーパターン取得工程は、基準投入エネルギーパターンとして、前記動電式振動装置に投入した基準投入電力パターンを取得し、前記加振及び制動工程は、前記基準投入電力パターンを前記動電式振動装置に投入することを特徴とするものである。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記自動車車体の質量は、前記スライド機構付きテーブルの振動テーブル及び前記振動装置の可動部の合計質量との比率が1以下であることを特徴とするものである。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記評価工程は、前記測定した加速度の絶対値の時間応答曲線を前記スライド機構付きテーブルのパルス状の加速度を付与した時点から前記加速度の振動減衰挙動が収束するまでの区間で時間積分し、該時間積分した値を用いて評価することを特徴とするものである。
(6)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記評価工程は、前記測定した加速度の絶対値の時間応答曲線を前記スライド機構付きテーブルの加振の開始から前記加速度の振動減衰挙動が収束するまでの区間で時間積分し、該時間積分した値を用いて評価することを特徴とするものである。
(7)上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のものにおいて、前記加速度計は、前記自動車車体の骨格部品に設置することを特徴とするものである。
(8)上記(7)に記載のものにおいて、前記加速度計は、前記自動車車体のルーフ部の骨格部品に設置することを特徴とするものである。
本発明においては、自動車車体を固定できるスライド機構付きテーブルと、該スライド機構付きテーブルを所定の加速度パターンで水平1軸方向に加振し加速させてその後制動させる振動装置と、を用いたものであって、基準車体を前記スライド機構付きテーブルに固定し、該スライド機構付きテーブルを所定の加速度パターンで加振及び制動させ、該加振及び制動させるために前記振動装置に投入する基準投入エネルギーパターンを取得する基準投入エネルギーパターン取得工程と、加速度計を設置した試験対象とする試験車体を前記スライド機構付きテーブルに固定し、前記振動装置に前記基準投入エネルギーパターンを投入して前記スライド機構付きテーブルを加振及び制動させる加振及び制動工程と、該加振及び制動工程において車体幅方向に荷重が作用された前記試験車体の加速度を前記加速度計により測定し、該測定した加速度に基づいて前記試験車体の振動減衰挙動を取得する振動減衰挙動取得工程と、該取得した振動減衰挙動に基づいて前記試験車体の動的な剛性を評価する評価工程と、を備えたことにより、前記自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させたときの前記自動車車体の振動減衰挙動を測定することができ、実車両の走行試験を行うことなく実車両の非定常の操縦安定性に関わる官能評価との相関性の高い動的な剛性の指標を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る自動車車体の動的剛性試験方法の処理の流れを説明する図である。 本実施の形態で用いる自動車車体の動的剛性試験装置を説明する図である。 本実施の形態で用いる自動車車体の動的剛性試験装置において、振動装置として用いた動電式振動装置を説明する図である。 本実施の形態に係る自動車車体の動的剛性試験方法において、動電式振動装置に投入する投入電力パターンを決定する処理の流れを説明する図である。 実施例において、補剛部品なしの自動車車体に対して目標とする加速度パターンと、スライド機構付きテーブルの加速度及び変位の測定結果を示す図である。 実施例において、試験車体に補剛部品を装着した状態を示す図である。 実施例において、補剛部品を装着した試験車体についてサイドシルインナーに設置した加速度計により測定した車体幅方向の加速度の絶対値の時間積分値を示す図である。 実施例において、サイドシルインナー及びフロントヘッダーに装着した加速度計により測定した加速度を用いて求めた振動量比率の結果を示す図である。
本発明の実施の形態に係る自動車車体の動的剛性試験方法は、図2に示すような自動車車体の動的剛性試験装置1(以下、単に「動的剛性試験装置1」という)を用いて行うものである。そこで、まずは、本実施の形態で対象とする自動車車体21及び動的剛性試験装置1を図2及び図3に基づいて説明する。
<自動車車体>
自動車車体21は、シャシー部品、足回り部品、駆動部品、内装部品などを含まないホワイトボディーが対象であり、車体フロア部や、サスペンションを締結するサスペンションマウント部を有する。
また、本発明に係る自動車車体21は、振動装置5を駆動するために投入する投入エネルギーの基準とする基準車体21aと、動的剛性の試験対象とする試験車体21bを対象とする。なお、基準車体21aは、試験車体21bの動的剛性を評価する際の基準としてもよい。
<動的剛性試験装置>
動的剛性試験装置1は、図2に示すように、自動車車体21を固定できるスライド機構付きテーブル3と、スライド機構付きテーブル3を所定の加速度パターンで水平1軸方向に加振し加速させて、その後に制動させる振動装置5と、自動車車体21に発生する加速度を測定する加速度計7を備えている。
スライド機構付きテーブル3は、自動車車体21を固定し、自動車車体21の車体幅方向に直線運動するものであり、図2に示すように、自動車車体21の車体幅方向に設置されたリニアガイド11と、リニアガイド11上を直線運動可能に設置された振動テーブル9を備えている。
自動車車体21は、車体フロア部やサスペンションマウント部など、実車両での走行時において力の入力点となりうる部位でスライド機構付きテーブル3と固定する。もっとも、自動車車体21を固定する部位は、自動車車体21の特性を評価する内容や目的に応じて適宜選択すればよい。
振動装置5は、自動車車体21を固定したスライド機構付きテーブル3(振動テーブル9)を所定の加速度パターンで水平1軸方向に加振し加速させてその後制動させるものであり、可動部13を介してスライド機構付きテーブル3と連結されている。
そして、振動装置5を駆動してスライド機構付きテーブル3が所定の加速度パターンで加振及び制動されることで、スライド機構付きテーブル3に固定された自動車車体21の車体幅方向に荷重を作用させる。これにより、自動車車体21においては、車体幅方向に荷重が作用されることで、弾性変形が生じる。
振動装置5は、基準車体21aを固定したスライド機構付きテーブル3を所定の加速度パターンで加振及び制動させるために振動装置5に投入する基準投入エネルギーパターンを生成及び取得する機能と、該取得した基準投入エネルギーパターンにしたがって振動装置5を駆動させ、試験対象とする試験車体21bを固定したスライド機構付きテーブル3を加振させ、その後に制動する機能を有する。
振動装置5としては、図3に示す動電式振動装置15を用いることができる。
動電式振動装置15は、励磁コイルにより発生した磁界中においてドライブコイルに所定の電流を流して発生する力により、該ドライブコイルを図3に示す動作方向に駆動するものである。そして、動電式振動装置15のドライブコイルを有する可動部13をスライド機構付きテーブル3と連結することで、動電式振動装置15の駆動に伴ってスライド機構付きテーブル3を加振及び制動することができる。
動電式振動装置15は、基準車体21aを固定したスライド機構付きテーブル3を目標とする加速度パターンで駆動する機能を実現するものとして、動電式振動装置15を駆動制御する制御装置を備えている。当該制御装置としては、例えば、自動車車体21を固定したスライド機構付きテーブル3を周波数スイープやホワイトノイズなど複数周波数の加振を行って応答挙動を事前に測定し、スライド機構付きテーブル3を所定の加速度パターンで加振させるために動電式振動装置15に投入する投入電力パターンを生成する機能を有するものを用いることができる。さらに、制御装置は、動電式振動装置15を駆動させるために投入した投入電力パターンの実績データを出力する機能も備えていることが好ましい。
さらに、動的剛性試験装置1は、上記の構成以外に、必要に応じてスライド機構付きテーブル3の動作を検出する加速度計や変位計などを設置したものであってもよい。
<自動車車体の動的剛性試験方法>
本実施の形態に係る動的剛性試験方法(以下、単に「動的剛性試験方法」という)は、図2に示す動的剛性試験装置1を用いたものであって、図1に示すように、基準投入エネルギーパターン取得工程S1と、加振及び制動工程S3と、振動減衰挙動取得工程S5と、評価工程S7と、を備えたものである。
以下、動的剛性試験装置1の動作とともに上記の各工程について説明する。
<基準投入エネルギーパターン取得工程>
基準投入エネルギーパターン取得工程S1は、図2に示すように、基準車体21aをスライド機構付きテーブル3に固定し、スライド機構付きテーブル3を加振及び制動させ、所定の加速度パターンで加振及び制動させるために振動装置5に投入する基準投入エネルギーパターンを取得する工程である。
振動装置5に投入する基準投入エネルギーパターンは、図4に示す手順により取得することができる。以下、振動装置5に動電式振動装置15を用いた場合において、動電式振動装置15に投入する基準投入エネルギーパターンとして基準投入電力パターンを取得する手順について説明する。
まず、基準車体21aを固定したスライド機構付きテーブル3の伝達関数(周波数毎の応答関数)を測定し(S11)、測定した伝達関数に基づいて、所定の加速度パターンで動電式振動装置15を駆動させるための制御定数を決定する(S13)。
次に、決定した制御定数を用い、加速度パターンで駆動させるために動電式振動装置15を駆動制御する制御プログラムを生成する(S15)。
そして、上記のように決定された制御プログラムを出力し、基準車体21aを固定したスライド機構付きテーブル3の駆動に要する基準投入電力パターンを取得する(S17)。
<加振及び制動工程>
加振及び制動工程S3は、図2に示すように、加速度計7を設置した試験対象とする試験車体21bをスライド機構付きテーブル3に固定し、基準投入エネルギーパターン取得工程S1で取得した基準投入エネルギーパターンを振動装置5に投入してスライド機構付きテーブル3を加振及び制動させる工程である。
加振及び制動工程S3においては、スライド機構付きテーブル3に固定されたフロントサスペンション部や車体フロア部を介して試験車体21bに力が伝達することで、試験車体21bの車体幅方向に荷重が作用して弾性変形が生じる。
試験車体21bに加速度計7を設置する位置については、例えばルーフパネルなどは車体剛性への寄与が少なく、該ルーフパネル自体の変形に関する振動成分が多いため好ましくなく、試験車体21bの骨格部品(例えば、サイドシル、ルーフサイドレール、フロントヘッダーなど)とすることが好ましい。さらに、試験車体21bが弾性体であり、その下部をスライド機構付きテーブル3に固定して加振及び制動する場合、試験車体21bの上部骨格がより大きく振動するため、図2に示すように、試験車体21bのルーフ部17の骨格部品(ルーフサイドレール、フロントヘッダーなど)に加速度計7を設置することがより好ましい。
<振動減衰挙動取得工程>
振動減衰挙動取得工程S5は、加振及び制動工程S3において車体幅方向に荷重を作用させた試験車体21bの加速度を加速度計7により測定し、該測定した加速度に基づいて試験車体21bの振動減衰挙動を取得する工程である。
振動減衰挙動取得工程S5においては、例えば、加振及び制動工程S3におけるスライド機構付きテーブル3の加振開始からその制動が終了するまでの試験車体21bの加速度の時間応答曲線を振動減衰挙動として取得することができる。図5に、試験車体21bの加速度の時間応答曲線の一例を示す。図5中の加速度(実績)が、試験車体21bに設置した加速度計7により測定した加速度の時間応答曲線である。
なお、振動減衰挙動の取得においてスライド機構付きテーブル3の加振開始とは、図5に示すようなパルス状の加速度を付与する場合においては、該パルス状の加速度を付与する時点とすることができる。また、振動減衰挙動の取得においてスライド機構付きテーブル3の制動終了とは、試験車体21bの加速度の振動減衰が十分に収束した時点とすることができる。
<評価工程>
評価工程S7は、振動減衰挙動取得工程S5で取得した振動減衰挙動に基づいて試験車体21bの動的な剛性を評価する工程である。
まず、振動減衰挙動取得工程S5で取得した加速度の絶対値の時間応答曲線をスライド機構付きテーブル3の加振開始から制動終了するまでの区間で時間積分する。そして、加速度の絶対値の時間応答曲線を時間積分した値を試験車体21bの振動量とみなし、該振動量に基づいて試験車体21bの動的な剛性を評価することができる。
ここで、スライド機構付きテーブル3の加振開始とは、図5に示すようなパルス状の加速度を付与する場合においては、該パルス状の加速度を付与する時点とすることができる。また、振動減衰挙動の取得においてスライド機構付きテーブル3の制動終了とは、試験車体21bの加速度の振動減衰挙動が十分に収束した時点とすることができる。
このように求めた振動量は、車体変形の弾性復元による振動減衰挙動との相関が高く、前記振動量の値が大きい場合、試験車体21bの動的な剛性は低いと評価し、前記振動量の値が小さい場合、試験車体21bの動的な剛性は高いと評価することができる。
なお、前記スライド機構付きテーブル3の加振開始として、図5に示す予備加速段階からの加速度を付与する時点としてよい。
また、基準投入エネルギーパターン取得工程S1は、基準車体21aに加速度計7を設置し、前記基準投入エネルギーパターンを取得するとともに基準車体21aの加速度を加速度計7により測定し、該測定した加速度に基づいて基準車体21aの振動減衰挙動を取得し、評価工程S7は、基準車体21aの振動減衰挙動を基準として試験車体21bの動的な剛性を評価するようにしてもよい。
この場合、評価工程S7では、基準車体21aについて取得した振動減衰挙動の時間応答曲線を時間積分して振動量を求め、基準車体21aについての振動量を基準として試験車体21bについての振動量との相対比率を求めることできる。これにより、例えば自動車車体21に補剛部品を取り付けたことによる剛性向上の効果や、異なる自動車車体21の剛性を一定の基準で評価することができて好ましい。
なお、自動車車体21(基準車体21a又は試験車体21b)の質量がスライド機構付きテーブル3と振動装置5の可動部13との合計質量よりも大きい場合、自動車車体21の振動による制御外の振動の影響が大きくなり、スライド機構付きテーブル3を所定の加速度パターンで加振及び制動できなくなる場合がある。そのため、本実施の形態に係る動的剛性試験方法は、自動車車体21の質量を、スライド機構付きテーブル3と可動部13の合計質量との比率で1以下とすることが好ましい。
さらに、上記の説明では、振動装置5として動電式振動装置15を用いた例を示しているが、振動装置5は、所定の加速度パターンでスライド機構付きテーブル3を加振及び制動できるものであれば動電式振動装置15に限るものではなく、油圧式やモーター式などの駆動方式を備えた装置を用いることができ、振動周波数、荷重、ストロークなどの諸元が試験条件を満足していれば特別な制限はない。
例えば、油圧式の振動装置5を用いた場合、サーボバルブを用いて所定の加速度パターンで加振する制御機能と、振動装置5の駆動に投入した投入エネルギーパターンの実績データとして油圧やサーボバルブの開閉などの時系列データを出力する機能を有するものであればよい。この場合、油圧式の振動装置5により所定の加速度パターンを制御するためのサーボバルブの開閉の制御データにより、投入エネルギーパターンを取得することができる。
また、モーター式の振動装置5を用いる場合には、例えばパルスモーターにより所定の加速度パターンで加振する制御機能と、パルスモーターを駆動させるために投入した投入電力の時間変化を実績データとして出力する機能を有するものであればよい。この場合、モーターを駆動するために投入した電力から投入エネルギーパターンを取得することができる。
<実車両の走行試験による官能評価との関係>
本実施の形態に係る動的剛性試験方法により、操縦安定性や乗り心地などの官能評価と相関のある物理的な数値指標を得ることができる理由について説明する。
実車両の走行試験において車両が決められた経路を走行する時、ドライバーの制御でタイヤを含むシャシーが走行経路をたどり、シャシーに固定されたボディーはシャシーとの結合点から前後左右さまざまな方向の力が伝達される。
動的剛性試験装置1において試験車体21bは、車体下部である車体フロア部やサスペンションマウント部など、実車両の走行時において力の入力点となりうる位置でスライド機構付きテーブル3と固定されている。そのため、スライド機構付きテーブル3は、車両走行時に車両の運動方向や速度の変化を車体骨格に伝えるシャシーを模擬するものと考えることができる。
そして、走行試験は決められた走行経路を走行し、操縦安定性や乗り心地などを官能評価するものであり、同一プラットフォームでのボディーの影響評価が目的の場合、シャシーからボディーに伝達する入力はほぼ同一であると想定され、同一入力を受けた際のボディーの応答挙動・特性の相違が官能評価の評価指標となる。
走行試験としてダブルレーンチェンジなど、所定の走行経路を逸脱することなく通過可能か否かで評価する場合、ドライバーのステアリング操作はボディー特性を含む車両挙動により大きく変化し、官能評価としての操縦安定性も変化する。特に、限界値近傍条件での走行時では、ボディーに作用する慣性力や応答遅れにより所定の走行経路を逸脱する方向に横方向応力が発生し、車両挙動の乱れを生じやすい。ドライバーはこの車両挙動の乱れを知覚し、追加のステアリング操作(修正操舵)によりコース逸脱を回避する。そして、同一の走行条件では、追加のステアリング操作が少ない車両ほど操縦安定性は良好と判断される。
このような走行試験における追加のステアリング操作は、本実施の形態に係る動的剛性試験方法では、スライド機構付きテーブル3の制御外の振動を抑制するために振動装置5に投入される投入エネルギーパターンに相当すると考えられる。
すなわち、目的とするパルス状の加速度波形を入力して試験車体21bが弾性変形した後、該弾性変形が復元することで発生する振動の影響によりスライド機構付きテーブル3に起こる制御外の振動が、走行試験におけるコース逸脱方向の作用力に相当し、スライド機構付きテーブル3の制御外の振動を抑制するための振動装置5の駆動が走行試験における追加のステアリング操作による車体の操舵に相当すると考えられる。
ここで、試験車体21bの剛性が低いほど、パルス状の加速度の入力による弾性変形が大きくなることから、該弾性変形が復元することで発生する振動の影響によるスライド機構付きテーブル3の制御外の振動も大きくなり、該制御外の振動を抑制するために振動装置5に投入される投入エネルギーは増加し、投入エネルギーパターンが変化する。よって、振動装置5に投入する投入エネルギーパターンを同一としたときの試験車体21bの振動減衰挙動を測定することで、走行試験において同一の走行条件で得られた操縦安定性の官能評価と相関のある動的剛性の数値指標を得ることができる。
本発明に係る自動車車体の動的剛性試験方法の作用効果について確認するための具体的な実験を行ったので、以下これについて説明する。
本実施例では、図2に示す動的剛性試験装置1を用い、振動装置5として動電式振動装置15により自動車車体21の車体幅方向に加振及び制動させたときの自動車車体21の振動減衰挙動を取得し、自動車車体21に補剛部品を装着したときの動的な剛性向上の効果を検討した。
動的剛性試験に供した自動車車体21は、市販小型車の車体骨格(ドア類・フード・フェンダーなし、バンパーリンフォース、フロントガラス装着、質量240kg)とし、自動車車体21の骨格部品であるルーフ部17のルーフサイドレールとサイドシル部19のサイドシルインナーのそれぞれに加速度計7を設置し(図2参照)、スライド機構付きテーブル3を加振及び制動したときの自動車車体21の振動減衰挙動として加速度の時間応答曲線を測定した。
また、自動車車体21を固定する固定治具を含む振動テーブル9と動電式振動装置15の可動部13の合計質量は320kgとし、自動車車体21の質量は、前記スライド機構付きテーブル3の振動テーブル9と動電式振動装置15の可動部13の合計質量との比率が240kg/320kg=0.75であった。
本実施例では、基準車体21aをスライド機構付きテーブル3に固定し、目標とする加速度パターンとなるように駆動させたときの加速度周波数応答挙動から、動電式振動装置15に投入する基準投入電力パターンを取得した。ここで、基準車体21aの加振及び制動の目標とする加速度パターンは、最大加速度6.0m/s2、作用時間50msのハーフサイン形状のシングルパルス波とした。
図5に、基準車体21aをスライド機構付きテーブル3に固定して加振及び制動したときの基準車体21aの加速度の時間応答曲線とスライド機構付きテーブル3の変位の測定結果、及び、目標とする加速度パターンを示す。
測定開始から2.0秒の経過後、動電式振動装置15に電力が投入されてスライド機構付きテーブル3の予備加速が開始し、2.5秒を中心とする0.05秒の間に目標とするパルス状の加速度(最大加速度6.0m/s2)が発生している。そして、パルス状の加速度を入力した後、スライド機構付きテーブル3の振動は0.5秒程度(2.5秒〜3.0秒)で急激に減衰・収束している。ここで、スライド機構付きテーブル3の加速度波形は周期毎に減少する投入電力パターンと概ね逆位相であるものの、基準車体21aの振動の影響によりスライド機構付きテーブル3に制御外の振動が起こり、加速度波形に周期毎に減少しない乱れが生じていることがわかる。
次に、図6に示す試験車体21bにボルトオンタイプの補剛部品を装着し、基準投入電力パターンで動電式振動装置15を駆動して試験車体21bの振動減衰挙動を測定した。ここで、試験車体21bに装着する補剛部品としては2種類の補剛部品A及び補剛部品Bを用い、補剛部品Aのみを装着した場合と、補剛部品Aと補剛部品Bの両者を装着した場合のそれぞれについて試験を行った。
なお、本実施例で用いた補剛部品A及び補剛部品Bは、実車両の走行試験による官能評価において、いずれの補剛部品を装着していない実車両よりも操縦安定性は向上し、補剛部品Aのみを装着した場合に比べて両者を装着した実車両の方が、操縦安定性はより向上する結果が実証されたものである。
図7に、補剛部品Aのみを装着した試験車体21bにおいて、サイドシルインナーに設置した加速度計7により測定した車体幅方向の加速度絶対値の時間積分値を示す。時間1.5秒に測定を開始し、0.5秒後の時間2.0秒に規定のパルス振動を入力して試験車体21bに振動が発生し、2.5秒で目標とするパルス状の加速度が発生し、該振動は0.5秒程度で急激に減衰及び収束していることがわかる。
図7の結果から、パルス状の加速度の入力から振動収束までの0.5秒間について測定した加速度の絶対値を時間積分し、該時間積分した値の積算値を振動量と定義し、補剛部品の装着による振動量の変化を比較した。
図8に、補剛部品を装着していない基準車体21aと、補剛部品を装着した試験車体21bについて、サイドシルインナー及びルーフサイドレールに装着した加速度計7を用いて測定した加速度により求めた振動量の結果を示す。図8において、横軸に示す「基準」は、基準車体21a、「補剛A」は補剛部品Aを装着した試験車体21b、「補剛A+B」は補剛部品Aと補剛部品Bを装着した試験車体21bであり、縦軸の「振動量比率」は、補剛部品を装着していない基準車体21aの振動量で規格化したものである。
図8より、基準、補剛A、補剛A+Bの順に振動量比率は低下していることから、補剛部品を装着することにより動的な剛性は向上し、また、補剛部品Aと補剛部品Bを装着することにより、動的な剛性はさらに向上すると評価できる。前述のとおり、実車両の走行試験においては、補剛部品の装着なし、補剛部品Aを装着、補剛部品Aと補剛部品Bの両者を装着、の順に操縦安定性が向上する結果であり、本実施例で得られた試験車体21bの動的剛性の評価結果は、実車両の走行試験における操縦安定性の結果と相関性が高いことがわかる。
また、加速度計7を設置する位置の違いに関しては、図8において補剛A及び補剛A+Bのいずれの結果とも、サイドシルインナーに比べてルーフサイドレールに設置した加速度計7により測定した加速度を用いた方が、振動量比率は小さい値になっている。このことから、試験車体21bの上部にあるルーフサイドレールの方が下部にあるサイドシルインナーに比べて大きく振動するため、補剛部品の装着による剛性向上の効果が大きいことが示唆された。
以上、本発明に係る自動車車体の動的剛性試験方法によれば、実車両の走行試験を行わずに自動車車体を用いたラボ試験により、操縦安定性との相関性が高い動的剛性を評価できることが示された。
1 動的剛性試験装置
3 スライド機構付きテーブル
5 振動装置
7 加速度計
9 振動テーブル
11 リニアガイド
13 可動部
15 動電式振動装置
17 ルーフ部
19 サイドシル部
21 自動車車体
21a 基準車体
21b 試験車体

Claims (7)

  1. 自動車車体を固定できるスライド機構付きテーブルと、該スライド機構付きテーブルを所定の加速度パターンで水平1軸方向に加振し加速させてその後制動させる振動装置と、を用いた自動車車体の動的剛性試験方法であって、
    基準車体を車体幅方向に荷重が作用されるように前記スライド機構付きテーブルに固定し、該スライド機構付きテーブルを所定の加速度パターンで加振及び制動させるために前記振動装置に投入する基準投入エネルギーパターンを取得し、取得した基準エネルギーパターンを入力したときの前記基準車体の加速度を測定し、該測定した加速度に基づいて前記基準車体の振動減衰挙動を取得する基準投入エネルギーパターン取得工程と、
    加速度計を設置した試験対象とする試験車体を車体幅方向に荷重が作用されるように前記スライド機構付きテーブルに固定し、前記振動装置に前記基準投入エネルギーパターンを投入して前記スライド機構付きテーブルを加振及び制動させる加振及び制動工程と、
    該加振及び制動工程において車体幅方向に荷重が作用された前記試験車体の加速度を前記加速度計により測定し、該測定した加速度に基づいて前記試験車体の振動減衰挙動を取得する振動減衰挙動取得工程と、
    該取得した前記試験車体の振動減衰挙動に基づいて、前記基準車体の振動減衰挙動を基準として前記試験車体の動的な剛性を評価する評価工程とを備えたことを特徴とする自動車車体の動的剛性試験方法。
  2. 前記振動装置は、動電式振動装置であり、前記基準投入エネルギーパターン取得工程は、基準投入エネルギーパターンとして、前記動電式振動装置に投入する基準投入電力パターンを取得し、前記加振及び制動工程は、前記基準投入電力パターンを前記動電式振動装置に投入することを特徴とする請求項に記載の自動車車体の動的剛性試験方法。
  3. 前記自動車車体の質量は、前記スライド機構付きテーブルの振動テーブル及び前記振動装置の可動部の合計質量との比率が1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車車体の動的剛性試験方法。
  4. 前記評価工程は、前記測定した加速度の絶対値の時間応答曲線を前記スライド機構付きテーブルのパルス状の加速度を付与した時点から前記加速度の振動減衰挙動が収束するまでの区間で時間積分し、該時間積分した値を用いて評価することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の自動車車体の動的剛性試験方法。
  5. 前記評価工程は、前記測定した加速度の絶対値の時間応答曲線を前記スライド機構付きテーブルの加振の開始から前記加速度の振動減衰挙動が収束するまでの区間で時間積分し、該時間積分した値を用いて評価することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動車車体の動的剛性試験方法。
  6. 前記加速度計は、前記自動車車体の骨格部品に設置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の自動車車体の動的剛性試験方法。
  7. 前記加速度計は、前記自動車車体のルーフ部の骨格部品に設置することを特徴とする請求項に記載の自動車車体の動的剛性試験方法。
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