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JP6579370B2 - ダイカストスリーブのクリーニング方法 - Google Patents
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JP6579370B2 - ダイカストスリーブのクリーニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金等のダイカスト用合金の溶湯をダイカスト金型に射出するためのダイカストスリーブを使用した後に、ダイカストスリーブの内周をクリーニングする方法に関する。
ダイカストマシンにおいては、ダイカストスリーブ内に溶融金属(以下、溶湯と云う)を供給し、ダイカストスリーブ内を摺動するプランジャーチップによって、金型に固定したスプールブッシュを介してダイカストスリーブと連通する金型キャビティ内に溶湯を射出して、溶湯を冷却固化させて製品を鋳造する。(ダイカスト用合金の鋳造)。
特許文献1(特開平7−246449)は、高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、窒化珪素、サイアロン等のセラミックスからなる内筒を焼嵌めした複合構造と、前記複合構造の端に設けた固定リング部材(先端リング部材、後端リング部材に相当。たとえばSKD61で構成する)を有するダイカストスリーブを開示している。この特許文献1のダイカストスリーブは、内筒が窒化珪素、サイアロン等のセラミックスで構成されている為、ダイカストマシンで使用したときに、射出回数が10万回以上の安定した射出を行うことができ、内筒の内面の溶湯による溶損、摩耗、焼付き、内筒に軸方向及び円周方向のクラックの発生、スリーブ内の溶湯の温度降下、プランジャーチップの摩耗もない旨が記載されている。
特許文献1に記載されたダイカストスリーブは、たとえば特許文献2(特開2012−152762)の図2に記載されているように、先端リング10が、金型(固定型8c)に固定した金属製のスプールブッシュ8dに接続されて、ダイカストマシンに配置されて使用されている。この金属製のスプールブッシュ8dを構成する材料としては、例えば熱間加工用工具鋼が好ましいと記載されている。スリーブ本体1cの内筒、先端リング10、及びスプールブッシュ8dは、溶融アルミがプランジャーチップ8oに押されて通過する溶湯供給経路に相当する。この段落で用いた符号は特許文献2の符号である。
特開平7−246449号公報 特開2012−152762号公報
特許文献2の図2に係るダイカストマシンを、連続的にダイカスト用合金の鋳造に使用すると、金属製のスプールブッシュの内周面に溶湯の固化した金属が付着するという問題を生じることがあった。これは、スプールブッシュの内周面が磨耗によって表面粗さが大きくなって溶湯の金属が付着し易くなる為である。
さらに、射出回数が例えば10万回を越えるような長期間にわたって連続的に鋳造を行うと、スプールブッシュの内周面に付着していた金属が、プランジャーチップが後退する際に、先端リング部材の内周面や内筒の内周面に移動して、強固に付着することがある。このような内周面に金属が付着した状態で鋳造を継続した場合、プランジャーチップとダイカストスリーブの摺動抵抗が増大して 射出速度が低下するとともに不安定になる。そして射出圧が低下して鋳造されたダイカスト用合金の製品には、充填不良により巣などの欠陥が発生することがあった。また、このような状況でダイカストスリーブを使用し続けると、内周面に金属が付着した先端リング側のセラミックス製内筒に加わる摺動抵抗が大きくなって、セラミックス製内筒の割れや端部の欠損につながり、使用できなくなることもあった。
このようなダイカストスリーブの内周面に強固に付着した金属を除去する方法として、酸に浸漬して除去する方法も考えられるが、セラミックス製の内筒は酸に対する耐食性を有するものの、金属製の先端リングや外筒は内筒に比べて酸に対する耐食性が劣るため、困難である。また、ダイカストマシンからダイカストスリーブを取り出し、更に前記金属製の先端リング部材や金属製の外筒を前記内筒から取り外して、分解した後、セラミックス製内筒のみを酸に浸漬して付着した金属を除去、金属製の先端リング部材を新たに作成して、再度これらの部材を組み立てる方法も考えられるが、作業工数、コストの面から実用的ではない。
本発明の目的は、金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めするとともに、前記外筒の両端に金属製の固定リングを設けたダイカストスリーブを分解することなくダイカストスリーブの寿命を向上する方法を提供することにある。
発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に係るダイカストスリーブのクリーニング方法を適用することで、金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めするとともに、前記外筒の両端に金属製の固定リングを設けたダイカストスリーブを分解することなく、ダイカストスリーブの寿命を向上できることを見いだし、本発明に想到した。
すなわち、本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法は、金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めするとともに、前記外筒の両端に金属製の固定リングを設けたダイカストスリーブをダイカスト用合金の鋳造に使用した後、回転軸の一方の端に可撓性研磨部材、他方の端に保持部を有するクリーニング用具の少なくとも前記可撓性研磨部材を前記ダイカストスリーブの内周内に挿入し、回転する前記可撓性研磨部材を前記ダイカストスリーブの内周面に付着した金属を主体とする付着物及び前記内周面に接触させて研磨する研磨処理を有することを特徴とする。
前記本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法において、前記可撓性研磨部材は、表面に砥粒を有する研磨布或いは研磨紙で構成した複数の研磨部と、前記複数の研磨部を放射状に配置、支持する回転軸部を有するフラップホイールであることを特徴とする。前記本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法において、前記可撓性研磨部材の外径Rと前記ダイカストスリーブの内径dが、R/d=0.2〜0.6の関係を有することを特徴とする。
前記本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法において、前記研磨処理を行う前に、回転軸の一方の端に砥石、他方の端に保持部を有するクリーニング用具の少なくとも前記砥石を前記ダイカストスリーブの内周内に挿入し、回転する前記砥石を前記内筒の内周面に付着した金属を主体とする付着物及び前記内筒の内周面に接触させて研磨する粗研磨処理を有することを特徴とする。
前記本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法において、前記砥石はレジノイド砥石であることを特徴とする。前記本発明において、前記砥石の外径rと前記ダイカストスリーブの内径dが、r/d=0.1〜0.5の関係を有することを特徴とする。
前記本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法において、前記金属を主体とする付着物の少なくとも一部を、先端にヘラ部を有する金属製のスクレーパーを用いて削減する削減処理を有する。
本発明に係るダイカストスリーブのクリーニング方法を適用することにより、金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めするとともに、前記外筒の両端に金属製の固定リングを設けたダイカストスリーブを分解することなく、ダイカストスリーブの内周面に付着した金属を主体とする付着物を除去できるため、セラミックス製の内筒を有するダイカストスリーブの長寿命化が達成できるとともに、ダイカストスリーブの射出速度が安定化して高い品質で製品を得ることができる。
本発明のクリーニング方法の一例を示す断面図である。 フラップホイールを示す(a)正面図、(b)側面図である。 フラップホイールの一部を拡大した(a),(b),(c)概略図である。 フラップホイールの研磨部の一部断面を拡大した概略図である。 スクレーパーを示す(a)正面図、(b)上面図である。 クリーニング用具を示す概略図である。
本発明の実施形態を、添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明は勿論それらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
(ダイカストスリーブ)
図1は本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法の1例を示す断面図である。図1において、直線A−Aはスリーブ1の中心軸線を示す。このダイカストスリーブは、スリーブ本体15として、金属製の外筒11と、前記外筒11内に焼嵌めにより装着されたセラミックス製の内筒12を備える。前記外筒11の先端部にはダイカストマシンに固定するための金属製の固定リングである先端リング部材2が装着され、前記外筒11の後端面には金属製の固定リングである後端リング部材3がボルト31,31により固定されている。符号7は溶湯を注ぐための給湯口である。外筒11の外周面のうち先端部に隣接する位置に鍔状凸部11cが形成されており、先端リング部材2は鍔状凸部11cにボルト51,51により固定されており、外筒11の先端部からのズレが防止されている。ダイカストスリーブの内径はたとえば75〜180mmであり、内径内をプランジャーチップ(図示せず)が後端側から先端側に移動してアルミニウム合金等の溶湯に射出するため、先端リング部材2と内筒12の内径は、同一寸法としている。一方、後端リング内筒の内径は、内筒12の内径より僅かに大きめとしている。内筒の軸方向の全長はたとえば600〜1300mmである。
内筒を構成するセラミックスとしては、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性、溶湯保温性及び耐焼付き性に優れた窒化珪素又はサイアロン等の窒化珪素質焼結体が好ましい。前記窒化珪素質焼結体、窒化珪素粒子又はサイアロン粒子からなる主相と、希土類元素を含む粒界相等により構成されている。
外筒を構成する金属としては、セラミックス製の内筒を焼嵌めすることから、590MPa以上の引張強度を有する高強度金属材料が好ましく、例えばSKD−61などの熱間金型用鋼や、高強度低熱膨張性金属などを用いることができる。特に高強度低熱膨張金属材料を用いると、20℃から600℃まで熱膨張係数が約3×10-6/℃である窒化珪素質セラミックスからなる内筒との熱膨張差が小さいため、ダイカスト鋳造に使用してスリーブ全体の温度が上昇したとしても焼嵌めが緩まないため好ましい。
高強度低熱膨張性金属は、20℃から300℃までの平均熱膨張係数が1×10-6〜5×10-6/℃であり、20℃から600℃までの平均熱膨張係数が5×10-6/℃以上であるのが好ましい。このような高強度低熱膨張性金属の一例は、Fe−Ni−Co系合金に1種以上の析出強化元素を添加したものであり、析出強化元素としてはAl、Ti、Nb等が挙げられる。このような高強度低熱膨張性金属の好ましい組成例は、Ni:30〜35質量%、Co:12〜17質量%、Al:0.5〜1.5質量%、Ti:1.5〜3質量%、残部Fe及び不可避不純物である。
金属製の先端リング部材は、たとえばSKD61のような熱間金型用鋼もしくは高強度低熱膨張性金属で構成することが好ましい。さらに、先端リングの内周面には、窒化層などの耐食処理を施すことが好ましい。
(ダイカストスリーブのクリーニング)
このようなダイカストスリーブを用いてダイカスト用合金の鋳造を行うと、射出回数が少ない場合には、前記先端リング部材2及び前記内筒12の内周面に金属を主体とする付着物は付着しない。ただし、射出回数が増大すると、先端リング部材2及び内筒12の内周面2b及び12bに金属を主体とする付着物(たとえばアルミニウム合金等)が付着して射出速度が低下して不安定になることがある。金属を主体とする付着物の厚さ(内筒の径方向における金属を主体とする付着物の寸法)は、たとえば0.1mm以上、0.5mm以下であり、軸方向に沿ってスリーブ下側に貼り付くような形態をしている。金属を主体とする付着物とは、ダイカスト用合金、例えばアルミニウム合金、亜鉛合金、およびマグネシウム合金等を含む付着物であり、これら金属の酸化物や潤滑剤に由来する成分を含むものである。金属を主体とする付着物は、先端リング部材及び内筒の内周面の下面側に付き易い。なお、後端リング部材3の内径は、内筒の内径より大きくしていることから、後端リング部材の内周面には、基本的には、金属を主体とする付着物が付着することはない。このような状態になった場合、ダイカストマシンの運転を停止してダイカストスリーブの内周面のクリーニングを行う。クリーニングは、ダイカストスリーブをダイカストマシンに固定した状態で行うが、ダイカストスリーブをダイカストマシンから外した状態で行えることは言うまでもない。
(研磨処理)
図1に示すようにクリーニングを行うダイカストスリーブの内周内に、回転軸66の一方の端に可撓性研磨部材20、他方の端に保持部67を有するクリーニング用具70の少なくとも前記可撓性研磨部材を挿入し、回転する前記可撓性研磨部材を前記ダイカストスリーブの内周面に付着した金属を主体とする付着物及び前記内周面に接触させて研磨する研磨処理を行う。具体的には、先端リング部材2又は後端リング部材3の開口から、クリーニング用具70を軸方向(A−A方向)に沿って挿入して、回転軸66の先端に設けた可撓性研磨部材20を回転させた状態で、その外周面を内周面2b,12bに付着した金属を主体とする付着物又は内筒の内周面12bに接触させ、回転軸を内周面に沿うように公転させるとともに前進させることで研磨して金属を主体とする付着物を除去する。図1では、先端リング部材の内周面2bにクリーニング用具70の先端に取り付けた可撓性研磨部材20の外周面を接触させる例を示しているが、内筒12の内周面12bにも可撓性研磨部材の外周を接触させて先端リング部材および内筒の内周面に付着した金属を主体として付着物を除去する。可撓性研磨部材20は研磨部23が撓み易くなっている為、金属を主体とする付着物や内周面に与える力が緩和され、SKD61のような硬質の熱間金型用鋼で形成された先端リング部材やセラミックス製の内筒に研磨疵などのダメージを与えることなく金属を主体とする付着物が優先的に研磨、低減、除去される。
(可撓性研磨部材)
可撓性研磨部材として、たとえば図2に示すように、表面に砥粒を有する研磨布或いは研磨紙で構成した複数の研磨部23と、前記複数の研磨部23を放射状に配置、支持する回転軸部を有するフラップホイール20bを用いるのが好ましい。前記回転軸部は軸部21とフランジ部22で構成してもよい。図2のフラップホイール20bの一部を拡大して図3(a)に示す。研磨部23は一端が固定され、他端が自由端になっている為、内筒や先端リング部材の内周面に接触すると、図3(b)に示すように研磨部23が撓み易く、研磨部が金属を主体とする付着物や内周面に与える力が緩和されて、SKD61のような硬質の熱間金型用鋼で形成された先端リング部材やセラミックス製の内筒に研磨疵などのダメージを与えることなく、金属を主体とする付着物が優先的に研磨、低減、除去される。
前記フラップホイール20bは、表面に砥粒を有する研磨布或いは研磨紙で構成した研磨部が、放射状に配置されていれば、図3(c)に示すように、研磨布片或いは研磨紙片をフラップホイールの外周に相当する箇所で折り曲げた研磨部23bをフランジ部22bに設けるようにしてもよい。図4は、図3(c)のフラップホイールの研磨部23bの厚さ方向の断面を拡大した概略図で示す。研磨部23bは、紙製の基材25の片面(表面)にボンド26を介して複数の砥粒27が固定されている。フランジ部に設けられる研磨部23bは、たとえば50〜200枚である。紙製の基材25を布製の基材に置き換えてもよい。図3(a)のフラップホイールの研磨部23は、紙製の基材の両面にボンドを介して複数の砥粒が固定されている。フラップホイールの砥粒は、例えばアルミナを主成分とするアルミナ質の砥粒を用い、その粒度をたとえば#40〜#400の範囲内として、より好ましくは#40〜#80とする。
可撓性研磨部材の外径Rは、ダイカストスリーブの内径dと、R/d=0.2〜0.6の関係を有することが好ましい。R/dが0.2未満であると、研磨処理に必要以上に時間がかかるためであり、R/dが0.6を超えると作業性が悪化して細かな研磨残りが発生することもあるからである。R/dは、0.3以上、0.5以下がより好ましく、0.4以上が更に好ましい。可撓性研磨部材の幅Dは15〜40mmが好ましい。幅Dが15mm未満であると、研磨処理に必要以上に時間がかかるためであり、幅Dが40mmを超えると作業性が悪化して細かな研磨残りが発生することもあるからである。
(粗研磨処理)
本発明のダイカストスリーブのクリーニング方法において、前記研磨処理を行う前に、回転軸の一方の端に砥石、他方の端に保持部を有するクリーニング用具の少なくとも前記砥石を前記ダイカストスリーブの内周内に挿入し、回転する前記砥石を前記セラミックス製内筒の内周面に付着した金属を主体とする付着物及び前記内筒の内周面に接触させて研磨する粗研磨処理を有することが好ましい。内筒の内周面を砥石で研磨する粗研磨処理は、内筒の内周面に付着した金属を主体とする付着物の厚さを大幅に低減して、研磨に係る時間的な工数を短縮する。ここで、粗研磨処理は前記金属製固定リングの内周面には施さない。金属製固定リングの内周面が砥石により研磨され、内径が大きくなって、使用できなくなることもからである。
(砥石)
内筒の内周面に粗研磨処理を行う砥石はレジノイド砥石を用いるのが好ましい。レジノイド砥石は、他のメタルボンド砥石やビトリファイド砥石に比べてクッション性が良いため、セラミックス製内筒の内周面の疵などの発生を阻止することができるとともに、切れ味の悪くなった最表面の砥粒が脱落し易く、新しい砥粒が表面に出現して切れ味を維持できるため、粗研磨処理が効率よく行えるからである。レジノイド砥石の外形は円筒状、円柱状、或いは円錐状としてもよい。レジノイド砥石の砥粒としては、例えばアルミナを主成分とするアルミナ質の砥粒を用い、その粒度をたとえば#40〜#400の範囲内として、より好ましくは#40〜#80とする。#400よりも#40は砥粒の粒度が大きいので、金属を主体とする付着物を低減し易く好ましい。レジノイド砥石の砥粒としては、ダイヤモンド砥粒は硬度が高すぎて内筒を大きく削る恐れがあるので、ダイヤモンド砥粒よりも硬度の低い砥粒を用いるのが好ましい。砥粒を固定するボンドは、たとえばフェノール樹脂を用いる。
砥石の外径rは、ダイカストスリーブの内径dと、r/d=0.1~0.5の関係を有することが好ましい。r/dが0.1未満であると、研磨処理に必要以上に時間がかかるためであり、r/dが0.5を超えると、作業性が悪化して細かな研磨残りが発生することもあるからである。r/dは、0.2以上、0.4以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましい。可撓性研磨部材の幅Dは15〜40mmが好ましい。幅Dが15mm未満であると、研磨処理に必要以上に時間がかかるためであり、幅Dが40mmを超えると、作業性が悪化して細かな研磨残りが発生することもあるからである。
(削減処理)
本発明において、前記金属を主体とする付着物の少なくとも一部を、先端にヘラ部を有する金属製スクレーパーを用いて削減する削減処理を有することが好ましい。たとえばスクレーパーは、先端リング部材の内周面に付着した金属を主体とする付着物の少なくとも一部をはぎ取る工具として用いる。先端にヘラ部を有する金属製スクレーパー40の一例を図5に示す。スクレーパー40は、作業者がスクレーパーをハンドリングするための保持部41と、保持部に隣接した板状部42と、前記板状部42先端の角に丸みをつけたヘラ部43(刃に相当する部分)を有する。ヘラ部43を金属を主体とする付着物の少なくとも一部に接触させ、保持部41に荷重をかけることにより、付着物を削減する。前記研磨処理、粗研磨処理に加えて本削減処理を行うことにより、金属を主体とする付着物を効率よく低減でき、クリーニング時間を低減できる。なお、先端にヘラ部を有する金属製スクレーパーは、ステンレスを用いることが好ましい。本削減処理は、粗研磨処理を行う前に実施しても良いし、粗研磨処理後、研磨処理前に行っても良い。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すものと同様の形状であって、セラミックス製の内筒12の内径130mm、金属製の外筒11の外径260mm、前記外筒11及びセラミックス製の内筒12の長さ875mm、先端リングの内径130mm、長さ300mm、後端リングの内径130.2mm、長さ55mm、であるダイカストスリーブを作製した。前記外筒11は、Ni:32.6質量%、Co:14.9質量%、Al:0.8質量%、Ti:2.3質量%、残部Fe及び不可避的不純物からなる高強度低熱膨張性の金属で構成した。前記内筒12は、Si:87質量%、Y:6質量%、Al:4質量%、及びAlN:3質量%に原料配合して焼結してなるサイアロンセラミックスで構成した。先端リング部材2及び後端リング部材3は、熱間金型用鋼のSKD61で構成した。内筒と外筒は焼嵌め率1/1000で焼嵌めにより両者を一体化した後、外筒の先端側に先端リングを焼嵌め組み立て、外筒のフランジ部にボルト締結し、更に、外筒の後端側に後端リングをボルト締結して、ダイカストスリーブとした。
ついで、このダイカストスリーブを型締力2500トンの横型のダイカストマシンの射出装置に設けて、アルミニウム合金のダイカスト成形に使用した(自動車用部品:成形重量16kg)。射出回数が10万回になるまで使用したところ、射出速度が低下して射出が不安定になり、これ以上継続して使用すると鋳造不良の発生や、内筒の割れの発生する虞があると判断してダイカストマシンの運転を停止した。ダイカストスリーブをダイカストマシンに設置した状態で、先端リング部材の開口及び後端リング部材の開口を開放して内周面を確認したところ、先端リング部材及びセラミックス製内筒の内周面の下面側にアルミニウムを主体とする付着物が付着していた。最初に内周面に残留していた潤滑剤等の汚れをウェスで拭き取った後、先端リング及び内筒の内径を測定し、以下に示すクリーニングを行った。
図6に示すように、回転軸66の先端に接続部65を介して可撓性研磨部材20を設け、回転軸66を保持部67で支持し、回転軸66にホース68を介して圧縮空気を送ることで回転軸66(及び可撓性研磨部材20)を回転させるクリーニング用具70を準備した。この可撓性研磨部材20として、外径R60mm、フランジ部の径30mm、幅D30mm、研磨布の表面に粒度#60のアルミナ質砥粒を有する研磨部23を94枚有するフラップホイール20bを用いた。回転軸66は、長さ420mm、直径20mmである。保持部67は、長さ180mm、直径50mmである。可撓性研磨部材20の外径Rとダイカストスリーブの内径dは、R(60mm)/d(130mm)=0.46の関係を有する。
ついで、作業者が保持部67を保持して、後端リング部材3の開口からクリーニング用具70の回転軸66及びフラップホイール20bを挿入した。圧縮空気を回転軸66に供給してフラップホイール20bが回転数18000rpmで回転している状態にした後、回転軸66をダイカストスリーブの軸心方向(A−A方向)に略平行にフラップホイール20bの回転周面が内筒の内周面に付着したアルミニウムを主体とする付着物に接触する状態を保つように、同心円状かつ前進するよう螺旋状に移動させた。この際、内周面の全周にフラップホイール20bの回転周面が接触するようにした。フラップホイールの回転周面が内筒の内周面に付着したアルミニウムを主体とする付着物を研磨して低減していった。内筒の内周面の軸芯方向略半分(後端リング部材側)の領域において、目視で認識できなくなるまでアルミニウムを主体とする付着物を研磨して除去した後に、クリーニング用具70の回転軸66の回転を停止して開口から取り出した。
続けて、先端リング部材の開口からクリーニング用具70の回転軸66及びフラップホイール20bを挿入して、前記した後端リング部材側で行ったことと同様にして、内筒の内周面の軸芯方向略半分(先端リング部材側)の領域と、先端リング部材の内周面とにおいて、目視で認識できなくなるまでアルミニウムを主体とする付着物を研磨して除去した後、クリーニング用具70の回転軸66の回転を停止して開口から取り出した。
ついで、先端リング部材の内周面、内筒の内周面、及び後端リング部材の内周面に残留している研磨粉や汚れをウェスで拭き取って、クリーニングを終了した。その後先端リング部材及び内筒の内径を1部材で3箇所測定し、クリーニング前のダイカストスリーブの内径(1部材で3箇所)と比較した。クリーニング前における先端リング部材の内径130mm+0.02〜0.09mm、内筒の内径130mm+0〜0.02mmであり、クリーニング後における先端リング部材の内径130mm+0.08〜0.13mm、内筒の内径130mm+0〜0.04mmであり、内径の変化量は僅かであり、内径は所定の寸法公差内であることを確認した。クリーニング後のダイカストスリーブを、前記と同様にダイカストマシンの射出装置に設けて、アルミニウム合金の成形に使用した(自動車用部品:成形重量16kg)ところ、射出速度は安定していた。更に継続して連続的に使用した結果、更に射出回数10万回まで使用することができた。表1にクリーニング条件及び評価結果を示す。また、クリーニング時間は、実施例1の場合を1として相対評価した。
(実施例2)
実施例1と同様のダイカストスリーブを用意した。ついで、このダイカストスリーブを型締力2500トンの横型のダイカストマシンの射出装置に設けて、アルミニウム合金のダイカスト成形に使用した(自動車用部品:成形重量16kg)。射出回数が10万回になるまで使用したところ、射出速度が低下して射出が不安定になり、これ以上継続して使用すると鋳造不良の発生や、内筒の割れの発生する虞があると判断して、ダイカストマシンの運転を停止した。ダイカストスリーブをダイカストマシンに設置した状態で、先端リング部材の開口及び後端リング部材の開口を開放して内周面を確認したところ、先端リング部材及びセラミックス製内筒の内周面の下面側にアルミニウムを主体とする付着物が付着していた。最初に内周面に残留していた潤滑剤等の汚れをウェスで拭き取った後、先端リング及び内筒の内径を測定し、以下に示すクリーニングを行った。
図6のクリーニング用具において、可撓性研磨部材20を軸付きのレジノイド砥石に交換して、レジノイド砥石付きのクリーニング用具を準備した。このレジノイド砥石は、その軸を接続部65に固定でき、外径r32mm、幅D32mmであり、レジノイド砥石の砥粒は粒度#36のアルミナとした。ボンドはフェノール樹脂とした。砥石の外径rとスリーブの内径dは、d(32mm)/d(130mm)=0.25の関係を有する。
ついで、作業者が保持部67を保持して、後端リング部材の開口から、クリーニング用具の回転軸66及びレジノイド砥石を挿入した。圧縮空気を回転軸66に供給してレジノイド砥石が回転数18000rpmで回転している状態にした後、回転軸66をダイカストスリーブの軸心方向(A−A方向)に略平行にレジノイド砥石の回転周面がセラミックス製の内筒の内周面に付いたアルミニウムを主体とする付着物に接触する状態を保つように、同心円状かつ前進するように螺旋状に移動させた。この際にレジノイド砥石の回転周面で内筒の内周面の軸芯方向略半分(後端リング部材側)の領域を粗研磨した。レジノイド砥石の回転周面が内筒の内周面に付着したアルミニウムを主体とする付着物を研磨して低減した。ついで、クリーニング用具の回転軸の回転を停止して開口から取り出した。
続けて、先端リング部材の開口からクリーニング用具の回転軸66及びレジノイド砥石を挿入して、前記した内筒の内周面の軸芯方向半分(後端リング部材側)の領域側で行ったことと同様にして、内筒の内周面の軸芯方向略半分(先端リング部材側)の領域において、アルミニウムを主体とする付着物を研磨して低減した(S31:粗研磨処理)。ついで、クリーニング用具70の回転軸の回転を停止して開口から取り出した。ここで先端リング部材の内周面には粗研磨処理を行わない。
ついで、レジノイド砥石をフラップホイール20bに交換して、実施例1と同様のクリーニング用具70として、実施例1と同様に先端リング、及び内筒の内周面の研磨処理を行い、目視で認識できるアルミニウムを主体とする付着物が認識できなくなるまで研磨を行った。
ついで、先端リング部材の内周面、内筒の内周面、及び後端リング部材の内周面に残留している研磨粉や汚れをウェスで拭き取って、クリーニングを終了した。その後、先端リング部材及び内筒の内径を1部材で3箇所測定し、クリーニング前のダイカストスリーブの内径(1部材で3箇所)と比較した。クリーニング前における先端リング部材の内径130mm+0.01〜0.03mm、内筒の内径130mm+0.01〜0.03mmであり、クリーニング後における先端リング部材の内径130mm+0.03〜0.10mm、内筒の内径130mm+0.02〜0.04mmであり、内径の変化量は僅かであり、実施例1と同様内径は所定の寸法公差内であることを確認した。クリーニング後のダイカストスリーブを、前記と同様にダイカストマシンの射出装置に設けて、アルミニウム合金の成形に使用した(自動車用部品:成形重量16kg)ところ、射出速度は安定していた。更に継続して連続的に使用した結果、更に射出回数10万回まで使用することができた。表1にクリーニング条件及び評価結果を示す。また、クリーニング時間は、実施例1の場合を1として相対評価した。
(実施例3)
実施例1と同様のダイカストスリーブを用意した。ついで、このダイカストスリーブを型締力2500トンの横型のダイカストマシンの射出装置に設けて、アルミニウム合金のダイカスト成形に使用した(自動車用部品:成形重量16kg)。射出回数が10万回になるまで使用したところ、射出速度が低下して射出が不安定になり、これ以上継続して使用すると鋳造不良の発生や、内筒の割れの発生する虞があると判断してダイカストマシンの運転を停止した。ダイカストスリーブをダイカストマシンに設置した状態で、先端リング部材の開口及び後端リング部材の開口を開放して内周面を確認したところ、先端リング部材及びセラミックス製内筒の内周面にアルミニウムを主体とする付着物が付着していた。特に内周面の下側には、多くの付着物が付着していた。最初に内周面に残留していた潤滑剤等の汚れをウェスで拭き取った後、先端リング及び内筒の内径を測定し、以下に示すクリーニングを行った。
まず、図5に示す、先端にヘラ部を有する金属製のスクレーパー40を準備した。金属製スクレーパーは、ステンレス鋼SUS304のものを用いた。板状部42の厚さは1mm、幅は25mmで先端に先端角度18°のヘラ部を設けている。保持部41の厚さは5mm、幅は30mmである。この金属製スクレーパーの保持部41を手作業で保持し、先端リング部材の開口から挿入して、先端リング部材の内周面に付着したアルミニウムを主体とする付着物の少なくとも一部、特に付着の多いスリーブ下側にヘラ部を接触させて、付着物の一部をはぎ取った(S42:削減処理)。ここで内筒の内周面には削減処理を行わない。ついで、実施例2と同様にして、内筒の内面の粗研磨処理を行った。使用したレジノイド砥石は実施例2と同じものである。
次いで実施例2と同様にして、先端リング、及び内筒の内周面の研磨を行い、目視で認識できるアルミニウムを主体とする付着物が認識できなくなるまで研磨を行った。
ついで、先端リング部材の内周面、内筒の内周面、及び後端リング部材の内周面に残留している研磨粉や汚れをウェスで拭き取って、クリーニングを終了した。
その後、先端リング部材及び内筒で内径を1部材で3箇所測定し、クリーニング前のダイカストスリーブの内径(1部材で3箇所)と比較した。クリーニング前における先端リング部材の内径130mm+0.02〜0.05mm、内筒の内径130mm+0.01〜0.03mmであり、クリーニング後における先端リング部材の内径130mm+0.05〜0.09mm、内筒の内径130mm+0.03〜0.04mmであり、内径の変化量は僅かであり、実施例1と同様内径は所定の寸法公差内であることを確認した。クリーニング後のダイカストスリーブを、前記と同様にダイカストマシンの射出装置に設けて、アルミニウム合金の成形に使用した(自動車用部品:成形重量16kg)ところ、射出速度は安定していた。更に継続して連続的に使用した結果、更に射出回数10万回まで使用することができた。表1にクリーニング条件及び評価結果を示す。また、クリーニング時間は、実施例1の場合を1として相対評価した。
実施例1〜3でクリーニング後のダイカストスリーブは、ダイカストマシンで用いると射出速度が安定しており(射出速度の低下が無く)、クリーニング前の使用(射出回数:約10万回)と同等以上の射出回数を更に使用することができた(使用期間が2倍以上になった)。実施例2は、クリーニングに要する時間が実施例1に比べて大幅に短縮された。実施例3は実施例2に比べてクリーニングに要する時間が更に短縮された。
2:先端リング部材、 2b:先端リング部材の内周面、
3:後端リング部材、 7:給湯口、
11:外筒、 11c:鍔状凸部、
12:内筒、 12b:内筒の内周面、
15:スリーブ本体、
20:可撓性研磨部材、 20b:フラップホイール、 21:軸部、
22:フランジ部、 23:研磨部、 22b:フランジ部、 23b:研磨部、
25:紙の基材、 26:ボンド、 27:砥粒、
31:ボルト、
40:スクレーパー、 41:保持部、
42:板状部、 43:ヘラ部、
51:ボルト、
65:接続部、 66:回転軸、 67:保持部、 68:ホース、
70:クリーニング用具

Claims (6)

  1. 金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めするとともに、前記外筒の両端に金属製の固定リングを設けたダイカストスリーブをダイカスト用合金の鋳造に使用した後、回転軸の一方の端に表面に砥粒を有する研磨布或いは研磨紙で構成した複数の研磨部と、前記複数の研磨部を放射状に配置、支持する回転軸部を有するフラップホイールである可撓性研磨部材、他方の端に保持部を有するクリーニング用具の少なくとも前記可撓性研磨部材を前記ダイカストスリーブの内周内に挿入し、回転する前記可撓性研磨部材を前記ダイカストスリーブの内周面に付着した金属を主体とする付着物及び前記内周面に接触させて研磨する研磨処理を有することを特徴とするダイカストスリーブのクリーニング方法。
  2. 前記可撓性研磨部材の外径Rと前記ダイカストスリーブの内径dが、R/d=0.2〜0.6の関係を有することを特徴とする請求項1に記載のダイカストスリーブのクリーニング方法。
  3. 前記研磨処理を行う前に、回転軸の一方の端に砥石、他方の端に保持部を有するクリーニング用具の少なくとも前記砥石を前記ダイカストスリーブの内周内に挿入し、回転する前記砥石を前記内筒の内周面に付着した金属を主体とする付着物及び前記内筒の内周面に接触させて研磨する粗研磨処理を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のダイカストスリーブのクリーニング方法。
  4. 前記砥石はレジノイド砥石であることを特徴とする請求項に記載のダイカストスリーブのクリーニング方法。
  5. 前記砥石の外径rと前記ダイカストスリーブの内径dが、r/d=0.1〜0.5の関係を有することを特徴とする請求項又はに記載のダイカストスリーブのクリーニング方法。
  6. 前記金属を主体とする付着物の少なくとも一部を、先端にヘラ部を有する金属製のスクレーパーを用いて削減する削減処理を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のダイカストスリーブのクリーニング方法。
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