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JP6579616B2 - 「レーヨン・コットン」ラビング材 - Google Patents
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Description

本発明は、液晶パネルの基板の表面に液晶素子の配列を促す配向膜を形成するために使用されるラビング材に関するものである。
従来、液晶表示装置の製造方法において、液晶層の液晶分子の初期配向を決定する配向処理が知られている(特許文献1)。
この液晶表示装置の製造方法における配向処理では、ラビングクロスが用いられている。
特開2002−296621号公報
しかしながら、上述した特許文献1では、請求項8等に記載されたように、ラビングクロスの材料として、コットンを用いており、この場合、後述する表1に示したように、ラビング後における液晶パネルの基板表面に付着したゴミの量が多くなり、傷も付き易い。
本発明は、このような点に鑑み、パイル糸にレーヨン繊維とコットン繊維を含ませることによって、液晶パネルの基板表面における「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」を両立できるラビング材を提供することを目的とする。
本発明に係るラビング材1は、経糸2及び緯糸3で製織された基布4と、この基布4に織り込まれたパイル糸5を有したラビング材であって、前記パイル糸5がレーヨン繊維及びコットン繊維を含み、前記パイル糸5に含まれたレーヨン繊維及びコットン繊維それぞれの単繊維繊度は、5デニール以下であると同時に、前記パイル糸5全体としての総繊度は、30デニール以上600デニール以下であることを第1の特徴とする。
本発明に係るラビング材1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記パイル糸5、レーヨン繊維糸とコットン繊維糸とを撚り合せた交撚糸である点にある。
本発明に係るラビング材1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記パイル糸5は、レーヨン繊維及びコットン繊維だけを含み、前記基布4における経糸2及び緯糸3は、レーヨン繊維及びコットン繊維を含んでいない点にある。
本発明に係るラビング材1の第4の特徴は、上記第1〜3の何れかの特徴に加えて、前記経糸2は、太経糸2aと、この太経糸2aより細い細経糸2bが2本1組で織幅方向に並んで配置され、前記太経糸2aそれぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、3本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通り、前記細経糸2bそれぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、1本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通り、前記パイル糸5は、前記各組における太経糸2aと細経糸2bの間に、製織方向に沿って複数配置され、前記パイル糸5それぞれは、製織方向に前後する3本の緯糸3に対して、1本の緯糸3の下を通る毎に1本の緯糸3の上を通った後に1本の緯糸3の下を通り、前記パイル糸5それぞれは、前記前後する3本の緯糸3における最も前方の緯糸3aの下を通った後に前記基布4から突出する前パイル片5aと、前記前後する3本の緯糸3における最も後方の緯糸3bの下を通った後に前記基布4から突出する後パイル片5bを形成し、前記細経糸2bそれぞれは、前記最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bの両方の緯糸の上を通っている点にある。
本発明に係るラビング材1の第5の特徴は、上記第1〜の何れかの特徴に加えて、前記経糸2は、太経糸2aと、この太経糸2aより細い細経糸2bが2本1組で織幅方向に並んで配置され、前記太経糸2aそれぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、3本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通り、前記細経糸2bそれぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、1本の緯糸3の上を通る毎に3本の緯糸3の下を通り、前記パイル糸5は、前記各組における太経糸2aと細経糸2bの間に、製織方向に沿って複数配置され、前記パイル糸5それぞれは、製織方向に前後する3本の緯糸3に対して、1本の緯糸3の下を通る毎に1本の緯糸3の上を通った後に1本の緯糸3の下を通り、前記パイル糸5それぞれは、前記前後する3本の緯糸3における最も前方の緯糸3aの下を通った後に前記基布4から突出する前パイル片5aと、前記前後する3本の緯糸3における最も後方の緯糸3bの下を通った後に前記基布4から突出する後パイル片5bを形成し、前記細経糸2bそれぞれは、前記最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bのうち、最も後方の緯糸3bだけの上を通っている点にある。
これらの特徴により、パイル糸5にレーヨン繊維及びコットン繊維を含ませることで、表1で示したように、特許文献1の如くコットンを用いた場合に比べ、ラビング後における液晶パネルの基板表面に付着したゴミの量が少なくなり、傷も付き難い。
つまり、「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」の両立が実現する。
パイル糸5に含まれたレーヨン繊維の繊度Sを5デニール以下とすることが好ましく、パイル糸5に含まれるレーヨン繊維をキュプラ繊維とすることで、更なる「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」が図れる。
又、パイル糸5において、レーヨン繊維が含まれる割合Rを30%以上としても良い。
更に、各太経糸2aを複数本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下に通し、各細経糸2bを1本の緯糸3の上を通る毎に1本以上3本以下の緯糸3の下に通し、太経糸2aと細経糸2bの間の各パイル糸5を、1本の緯糸3の下を通る毎に1本の緯糸3の上を通った後に1本の緯糸3の下に通し、パイル糸5で、最も前方の緯糸3aの下を通る前パイル片5aと、最も後方の緯糸3bの下を通る後パイル片5bを形成すると共に、各細経糸2bを、最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bのうちの少なくとも一方の緯糸の上に通すことで、パイル糸の突出部が地組織の緯糸方向に傾斜した状態に保持されるように形態安定加工を別途することなく、基布4の製織、パイル糸5の織り込みを行うだけで、パイル片5a、5bを、織幅方向に傾斜させることが可能となる。
又、ラビングロールの幅(回転軸方向の長さ)が何れの値(例えば、2.3mを越える値)であっても、パイル片を織幅方向に傾斜させたラビング材1であれば、ラビングロールの回転方向に沿ってパイル片を傾斜させることが可能となる。
本発明に係るラビング材によると、パイル糸にレーヨン繊維とコットン繊維を含ませて、液晶パネルの基板表面における「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」を両立できる。
本発明に係るラビング材を例示しており、(a)は組織図であり、(b)は(a)の組織図における太経糸2aと細経糸2bの織り込み箇所での第1断面側面図であり、(c)は(a)の組織図における太経糸2a’と細経糸2b’の織り込み箇所での第2断面側面図である。 本発明における試験で用いた実施例、比較例を示すAFM画像と、当該AFM画像の側断面図であって、(a)が実施例1を示し、(b)が実施例2を示し、(c)が比較例1を示す。 本発明に係るラビング材の変形例1を示しており、(a)は組織図、(b)は第1断面側面図、(c)は第2断面側面図である。 本発明に係るラビング材の変形例2を示しており、(a)は組織図、(b)は第1断面側面図、(c)は第2断面側面図である。 本発明に係るラビング材の変形例3を示しており、(a)は組織図、(b)は第1断面側面図、(c)は第2断面側面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<ラビング材1の全体構成>
図1〜5には、本発明の実施形態に係るラビング材(ラビングクロス)1が例示されている。
ラビング材1は、液晶パネルの基板の表面に液晶素子の配列を促す配向膜を形成するラビング処理に用いられる。
ラビング処理では、ラビング材1(液晶パネル基板ラビング材とも言う)を周面に巻き付けた回転するラビングロールを、液晶パネルの基板の表面に当てて擦り、その回転方向に沿った微細な擦過溝を形成する。
このようなラビング材1は、経糸2及び緯糸3で製織された基布4と、この基布4に織り込まれたパイル糸5を有している。
ラビング材1の厚みは、基布4の厚みと、パイル糸5の上下長さ(パイル長)を足した値であって、特に限定はないが、例えば、0.5mm以上5.0mm以下、好ましくは0.7mm以上4.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以上4.0mm以下(2.0mmや2.2mm)であっても良い。
<経糸2>
図1〜5で示したように、経糸2は、製織される基布4における製織方向(経方向)に沿って配置されている(換言すれば、織幅方向に並んで配置されている)。
経糸2は、緯糸3と製織されて基布4を構成するのであれば、何れの組織でも良いが、例えば、太経糸2aと細経糸2bを有していて、これら2種類の経糸2a、2bは、2本1組で織幅方向に並んで配置されていても良い。
<太経糸2a>
図1〜5に示したように、太経糸2aは、上述した細経糸2bより太い経糸であって、モノフィラメントやマルチフィラメントなど何れの構成でも良い。
太経糸2aの繊度(総繊度)は、細経糸2bより太ければ、特に制限はないが、例えば、30デニール(d)以上500デニール(d)以下、好ましくは40d以上450d以下、更に好ましくは50d以上400d以下(75d≒84デシテックス(dtex)(より詳しくは、84T/36F(36本のマルチフィラメント全体で84dtex))や、150dなど)であっても良い。
太経糸2aの素材は、特に制限はないが、例えば、PETなどのポリエステル繊維や、コットン(綿)繊維などでも良い。
その他、太経糸2aの素材として、レーヨン繊維、ナイロン繊維、アセテート繊維や、ここまで上述した各繊維の交撚糸、混紡糸であっても構わない。
<細経糸2b>
図1〜5に示したように、細経糸2bは、上述した太経糸2aより細い経糸であって、モノフィラメントやマルチフィラメントなど何れの構成でも良い。
細経糸2bの繊度(総繊度)も、太経糸2aより細ければ、特に制限はないが、例えば、20d以上490d以下、好ましくは30d以上440d以下、更に好ましくは40d以上390d以下(50d≒56dtex(より詳しくは、56T/24F(24本のマルチフィラメント全体で56dtex))や、100dなど)であっても良い。
細経糸2bの素材も、同様に特に制限はないが、例えば、PETなどのポリエステル繊維や、コットン繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、アセテート繊維、これらの交撚糸、混紡糸などでも良い。
<緯糸3>
図1〜5に示したように、緯糸3は、製織される基布4における織幅方向(緯方向)に沿って配置されている(換言すれば、製織方向に並んで配置されている)。
緯糸3も、モノフィラメントやマルチフィラメントなど何れの構成でも良く、緯糸3の繊度も、特に制限はないが、例えば、20d以上500d以下、好ましくは30d以上450d以下、更に好ましくは40d以上400d以下(50d≒56dtex(より詳しくは、56T/24F(24本のマルチフィラメント全体で56dtex))や100dなど)であっても良い。
緯糸3の素材も、同様に特に制限はないが、例えば、PETなどのポリエステル繊維や、コットン繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、アセテート繊維、これらの交撚糸、混紡糸などでも良い。又、緯糸3の打込み本数(1インチにおいて打ち込んだ緯糸3の本数)も、特に制限はなく、例えば、90〜110本(100本)等であっても良い。
<基布4>
図1〜5に示したように、基布4は、上述した経糸2(太経糸2a、細経糸2b)と、緯糸3を製織して構成される。
基布4の組織(織組織)は、特に制限はないが、例えば、経糸2における太経糸2aと細経糸2bが2本1組で織幅方向に並んで配置され、各太経糸2aは、複数本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通っていても良い。
つまり、各太経糸2aは、各緯糸3と綾織組織を構成しているとも言える。
一方、各細経糸2bは、1本の緯糸3の上を通る毎に1本以上3本以下の緯糸3の下を通っていても良く、各緯糸3と平織組織、又は、綾織組織を構成しているとも言える。
詳解すれば、各細経糸2bは、1本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通る場合(平織組織)と、1本の緯糸3の上を通る毎に2本の緯糸3の下を通る場合(綾織組織)と、1本の緯糸3の上を通る毎に3本の緯糸3の下を通る場合(綾織組織)の何れでも構わない。
尚、図1、2は、各細経糸2bが1本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通る場合を示し、図3、4は、各細経糸2bが1本の緯糸3の上を通る毎に2本以上の緯糸3の下を通る場合を示している。
基布4の厚みは、特に限定はないが、例えば、0.01mm以上1.00mm以下、好ましくは0.05mm以上0.90mm以下、更に好ましくは0.10mm以上0.80mm以下(0.3mm)であっても良い。又、基布4の幅も、特に限定はなく、例えば、20〜100インチ(60インチ)であっても良い。更に、基布4やパイル5を製織する織機の筬の数も、特に限定はなく、例えば、40〜50羽(46羽)であっても良い。
<パイル糸5>
図1〜5に示したように、パイル糸5は、上述した基布4に織り込まれていて、レーヨン繊維及びコットン繊維を含んでいる。
パイル糸5は、基布4に織り込まれているのであれば、何れの構成でも良いが、例えば、2本1組となった太経糸2aと細経糸2bの間に、製織方向に沿って複数配置されても良い。
又、各パイル糸5は、製織方向に前後する3本以上で奇数本の緯糸3に対して、1本の緯糸3の下を通る毎に1本の緯糸3の上を通った後に1本の緯糸3の下を通っていても良い。
この場合、基布4に織り込まれた各パイル糸5は、ファストパイル(Fast Pile )を構成しているとも言える。
<前後のパイル片5a、5b>
各パイル糸5は、前後する3本以上で奇数本の緯糸3における最も前方の緯糸3aの下を通った後に基布4から突出する前パイル片5aと、前後する3本以上で奇数本の緯糸3における最も後方の緯糸3bの下を通った後に基布4から突出する後パイル片5bを形成しても良い。
ここで、上述した各細経糸2bは、最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bのうちの少なくとも一方の緯糸の上を通っていても良い。
これによって、パイル糸の突出部が地組織の緯糸方向に傾斜した状態に保持されるように形態安定加工を別途することなく、基布4の製織、パイル糸5の織り込みを行うだけで、パイル片5a、5bを、織幅方向に傾斜させることが可能となる。
又、ラビングロールの幅(回転軸方向の長さ)が何れの値(例えば、2.3mを越える値)であっても、パイル片(前後のパイル片5a、5b)を織幅方向に傾斜させたラビング材1であれば、ラビングロールの回転方向に沿ってパイル片(前後のパイル片5a、5b)を傾斜させることが可能となる。
尚、パイル片の傾斜角度は、特に限定はないが、例えば、20°以上90°(つまり、直立)より小さい、好ましくは25°以上85°以下、更に好ましくは30°以上80°以下(75°)であっても良い。
パイル糸5の上下長さ(パイル長)とは、これら前後のパイル片5a、5bの上下方向の長さであって、特に制限はないが、例えば、0.4mm以上5.0mm以下、好ましくは0.6mm以上4.5mm以下、更に好ましくは0.9mm以上4.0mm以下(1.7mmや1.9mm)であっても良い。
<パイル糸5の素材>
各パイル糸5は、レーヨン繊維及びコットン繊維を含んでいるのであれば、それ以外に何れの素材を含んでいても良く、例えば、PET等のポリエステル繊維を含んでいても構わない。
それとは逆に、各パイル糸5は、レーヨン繊維及びコットン繊維だけを含んでいても良く、この場合、各パイル糸5は、レーヨン繊維とコットン繊維の交撚糸や、混紡糸であっても良い。
各パイル糸5は、それぞれに、レーヨン繊維及びコットン繊維が含まれる構成であったり、複数のパイル糸5において、レーヨン繊維だけを含むパイル糸5と、コットン繊維だけを含むパイル糸5が、それぞれ存在しても良い。
更には、複数のパイル糸5において、レーヨン繊維だけを含むパイル糸5と、コットン繊維だけを含むパイル糸5と、レーヨン繊維及びコットン繊維を含むパイル糸5が、それぞれ存在しても良い。
パイル糸5も、レーヨン繊維及びコットン繊維を含んでいるのであれば、レーヨン繊維(モノフィラメント又はマルチフィラメント)とコットン繊維(モノフィラメント又はマルチフィラメント)の交撚糸であったり、レーヨン繊維とコットン繊維の混紡糸であるなど何れの構成でも良い。
パイル糸5全体としての繊度(総繊度)も、特に制限はないが、例えば、30d以上600d以下、好ましくは40d以上550d以下、更に好ましくは50d以上5000d以下(238dなど)であっても良い。
<レーヨン繊維の繊度S、レーヨン繊維が含まれる割合R>
パイル糸5に含まれたレーヨン繊維の繊度(単繊維繊度)Sは、特に限定はないが、例えば、5デニール(5.0d)以下、好ましくは4.5d以下、更に好ましくは4.0d以下であっても良く、3.5d(より詳しくは、167T(≒150d)/42F(42本のマルチフィラメント全体で167dtex(≒150d)))などでも構わない。
前記パイル糸5に含まれたレーヨン繊維は、キュプラ繊維(レーヨン繊維の一種)であっても良く、この時の単繊維繊度(繊度S)も、特に限定はないが、上述したように、5.0d以下、好ましくは4.5d以下、更に好ましくは4.0d以下であっても良く、例えば、1.6d(より詳しくは、167T(≒150d)/90F(90本のマルチフィラメント全体で167dtex(≒150d)))であっても構わない。
パイル糸5において、レーヨン繊維が含まれる割合(重量比)Rも、5%や10%、20%など、特に限定はないが、例えば、30%以上であっても良く、好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上(略62%など)でも構わない。
<コットン繊維の繊度S’>
パイル糸5に含まれたコットン繊維の繊度(単繊維繊度)S’も、特に限定はないが、レーヨン繊維よりも細くても良い。
具体的には、コットン繊維の繊度S’も、特に限定はないが、例えば、5.0d以下、好ましくは4.5d以下、更に好ましくは4d以下であっても良く、1.0d以上1.2d以下(より詳しくは、60綿番手の単糸)などでも構わない。
尚、60綿番手=88.58026・・・デニール≒89デニール(89d)とも表記できる。
<試験>
本発明の試験においては、ここまで述べたラビング材1について、実施例1、実施例2、比較例1を作成し、これら実施例1、実施例2、比較例1に対して、液晶パネルの基板表面の「付着するゴミ量」と「傷付き具合」を調べる。
まずは、実施例1、実施例2、比較例1について詳解する。
<実施例1>
実施例1のラビング材1では、太経糸2aを総繊度75d/36F(84dtex/36F)のポリエステル繊維加工糸とし、細経糸2bを総繊度50d/24F(56dtex/24F)のポリエステル繊維加工糸とし、緯糸3を総繊度50d/24F(56dtex/24F)のポリエステル繊維加工糸としていると共に、パイル糸5を総繊度150d/42F(167dtex/42F)のレーヨン繊維糸と、60綿番手(60/1綿番手=88.58026・・・d≒89d)のコットン繊維糸とを撚り合せた交撚糸(双糸)としている。
各太経糸2aは、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、3本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通る綾織組織を構成し、各細経糸2bも、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、1本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通る平織組織を構成することで、基布4を形成している。
各パイル糸5は、2本1組で織幅方向に並んで配置された太経糸2aと細経糸2bの間に、製織方向に沿って複数配置され、製織方向に前後する3本の緯糸3に対して、1本の緯糸3の下を通った後に、1本の緯糸3の上を通り、その後に、1本の緯糸3の下を通って、側断面視で略W型(つまり、ファストパイル)となっている。
各パイル糸5は、前後する3本の緯糸3における最も前方の緯糸3aの下を通った後に基布4から突出する前パイル片5aと、前後する3本の緯糸3における最も後方の緯糸3bの下を通った後に基布4から突出する後パイル片5bを形成すると共に、各細経糸2bは、最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bの両方の緯糸3の上を通っている。
このように織成されたファストパイルのパイル織物は、パイル密度480本/cm2 、厚み2.0mm(パイル長1.7mm)、パイル片5a、5bの基布4に対する傾斜は略75°であって、このパイル織物の基布4の裏面にアクリル樹脂系接着剤(エマルジョン)を塗布してラビング材1に仕上げたものを実施例1とする。
<実施例2>
実施例2のラビング材1と、実施例1のラビング材1との相違点は、パイル糸5を総繊度150d/42F(167dtex/42F)のキュプラ繊維糸と、総繊度60綿番手(60/1綿番手=88.58026・・・d≒89d)のコットン繊維糸とを撚り合せた交撚糸(双糸)としている点のみであって、その他の繊度、構成は、実施例1と同様である。
<比較例1>
比較例1のラビング材1と、実施例1、2のラビング材1との主な相違点は、パイル糸5を40綿番手(60/1綿番手)のコットン繊維糸2本を撚り合せた交撚糸(双糸)として点であり、比較例1で用いるコットン繊維糸は、極限まで抜け毛を梳いた超コーマ―糸である。
又、比較例1のラビング材1では、太経糸2aや細経糸2b、緯糸3もコットン繊維糸としており、織成されたパイル織物は、パイル密度300本/cm2 、厚み2.2mm、パイル糸は、側断面視で略V型となっている。その他の構成は、実施例1、2と同様である。
これら実施例1、実施例2、比較例1における特徴、ラビング後に液晶パネルの基板に付着したゴミの量、液晶パネルの基板表面の傷の付き易さ(レーザー散乱実験)、ラビング材1における凹凸の平均を、下記の表1に示す。
又、実施例1、実施例2、比較例1の表面の状態を示すAFM画像(Atomic Force Microscope 、原子間力顕微鏡の画像)と、当該AFM画像の断面を図2に示す。
<試験の評価>
表1より、実施例1、2のように、パイル糸5にレーヨン繊維やコットン繊維を含ませることで、比較例1のように、コットン繊維だけを用いた場合に比べ、ラビング後における液晶パネルの基板表面に付着したゴミの量が少なくなり、傷も付き難い。
つまり、「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」の両立が実現する。
又、実施例1と実施例2を比較して、パイル糸5に含まれるレーヨン繊維をキュプラ繊維とすることで、更なる「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」が図れる。
尚、これら実施例1、2におけるパイル糸5に含まれたレーヨン繊維(又は、キュプラ繊維)の繊度(単繊維繊度)Sは、実施例1では総繊度150d÷42F=3.571428・・・≒3.6d、実施例2では総繊度150d÷90F=1.666・・・≒1.7dとなっており、5.0d以下、好ましくは4.5d以下、更に好ましくは4.0d以下であるとしても良い。
又、パイル糸5において、レーヨン繊維が含まれる割合(重量比)Rについて以下に述べる。
実施例1において、パイル糸5全体としては、レーヨン繊維糸150dと、コットン繊維糸60綿番手≒89dのコットン繊維糸とを足して、総繊度が239dとなる。
ここで、レーヨン繊維の比重(密度)が1.51g/cm3 であり、コットン繊維の比重(密度)が1.54g/cm3 であることから、重量比Rは、レーヨン繊維:コットン繊維=150×1.51:89×1.54=226.5:137.06=62.300・・・:37.696・・・≒62:38となる。
つまり、実施例1において、レーヨン繊維が含まれる割合(重量比)Rは、略62%となる。
これと同様に、実施例2のパイル糸5全体としては、実施例1と同様で、キュプラ繊維糸150dと、コットン繊維糸89dとなり、キュプラ繊維の比重(密度)が1.50g/cm3 であることから、重量比Rは、キュプラ繊維:コットン繊維=150×1.50:89×1.54=225.0:137.06=62.144・・・:37.855・・・≒62:38となる。
つまり、実施例2において、キュプラ繊維が含まれる割合(重量比)Rも、略62%となる。
よって、重量比Rの下限値としては、比較例1の0%と、実施例1、2の略62%の間に、付着するゴミ量が低減し始め、傷付きが抑制され始める重量比Rの値が必ず存在することから、言うならば、重量比Rが、0%と略62%の間の30%以上であれば、「付着するゴミ量の低減」と「傷付きの抑制」が生じるとも言える。
よって、パイル糸5において、レーヨン繊維が含まれる割合(重量比)Rは、30%以上であっても良く、好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上でも構わない。
尚、パイル糸5は、レーヨン繊維及びコットン繊維を含んでいるため、レーヨン繊維が含まれる割合(重量比)Rの上限値は、例えば、99%であっても良い。
<変形例1>
図3には、本発明の実施形態の変形例1に係るラビング材1が示されている。
この変形例1において上述した実施形態(実施例1、2)と最も異なるのは、各細経糸2bが、製織方向に並んで配置された緯糸3に対して、1本の緯糸3の上を通る毎に2本の緯糸3の下を通る綾織組織を構成している点と、各細経糸2bは、最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bのうち一方の緯糸3(最も後方の緯糸3b)の上だけを通っている点である。
このように、各細経糸2bが、最も後方の緯糸3bの上だけを通っていても、後パイル片5bが傾斜状態を維持するので、パイル糸の突出部が地組織の緯糸方向に傾斜した状態に保持されるように形態安定加工を別途することなく、基布4の製織、パイル糸5の織り込みを行うだけで、パイル片を、十分に織幅方向に傾斜させることが出来る。
尚、変形例1や実施例1、2において、各太経糸2aが下を通る1本の緯糸3は、最も後方の緯糸3bとなっている。
その他のラビング材1の構成、作用効果及び使用態様は、上述した実施形態と同様である。
<変形例2>
図4には、本発明の実施形態の変形例2に係るラビング材1が示されている。
この変形例2は、各太経糸2aが3本の緯糸3の上を通る毎に1本の緯糸3の下を通る綾織組織を構成している点や、各パイル糸5が1本の緯糸3(最も前方の緯糸3a)の下を通った後に1本の緯糸3(言わば、中間の緯糸3c)の上を通り、その後に1本の緯糸3(最も後方の緯糸3b)の下を通って側断面視で略W型のファストパイルを構成している点は、上述した実施形態(実施例1、2)と同様である。
しかし、変形例2では、各太経糸2aが下を通る1本の緯糸3の位置が、上述した実施例1、2とは異なっている。
詳解すれば、変形例2における各太経糸2aが下を通る1本の緯糸3は、最も前方の緯糸3a、中間の緯糸3c、最も後方の緯糸3bの何れでもなく、各パイル糸5が下や上を通らないその他の緯糸3dである。
その他のラビング材1の構成、作用効果及び使用態様は、上述した実施形態と同様である。
<変形例3>
図5には、本発明の実施形態の変形例3に係るラビング材1が示されている。
この変形例3上述した実施形態(実施例1、2)や変形例1、2と最も異なるのは、各パイル糸5が、1本の緯糸3に対して、織り込まれている点である。
つまり、変形例3における各パイル5は、1本の緯糸3だけの下を通っており、前パイル片5aも後パイル片5bも、同じ緯糸3の下を通った後に基布4から突出している(最も前方の緯糸3aと最も後方の緯糸3bが一致しているとも言える)。
この場合、基布4に織り込まれた各パイル糸5は、ルーズパイル(Loose Pile)を構成しているとも言える。
その他のラビング材1の構成、作用効果及び使用態様は、上述した実施形態、変形例1、2と同様である。
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。ラビング材1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
各パイル糸5は、製織方向に前後する5本の緯糸3に対して、最も前方の緯糸3aの下を通り、その後に1本の緯糸3(中間の緯糸3c)の上を通る毎に1本の緯糸3(中間の緯糸3c)の上を通り、その後に1本の緯糸3(最も後方の緯糸3b)の下を通っても良い。
その他、各パイル糸5は、製織方向に前後する7本以上で奇数本の緯糸3に対しても同様である。
1 ラビング材
2 経糸
2a 太経糸
2b 細経糸
3 緯糸
3a 最も前方の緯糸
3b 最も後方の緯糸
4 基布
5 パイル糸
5a 前パイル片
5b 後パイル片
S レーヨン繊維の繊度
R レーヨン繊維が含まれる割合

Claims (5)

  1. 経糸(2)及び緯糸(3)で製織された基布(4)と、この基布(4)に織り込まれたパイル糸(5)を有したラビング材であって、
    前記パイル糸(5)がレーヨン繊維及びコットン繊維を含み、
    前記パイル糸(5)に含まれたレーヨン繊維及びコットン繊維それぞれの単繊維繊度は、5デニール以下であると同時に、
    前記パイル糸(5)全体としての総繊度は、30デニール以上600デニール以下であることを特徴とするラビング材。
  2. 前記パイル糸(5)は、レーヨン繊維糸とコットン繊維糸とを撚り合せた交撚糸であることを特徴とする請求項1に記載のラビング材。
  3. 前記パイル糸(5)は、レーヨン繊維及びコットン繊維だけを含み、
    前記基布(4)における経糸(2)及び緯糸(3)は、レーヨン繊維及びコットン繊維を含んでいないことを特徴とする請求項1又は2に記載のラビング材。
  4. 前記経糸(2)は、太経糸(2a)と、この太経糸(2a)より細い細経糸(2b)が2本1組で織幅方向に並んで配置され、
    前記太経糸(2a)それぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸(3)に対して、3本の緯糸(3)の上を通る毎に1本の緯糸(3)の下を通り、
    前記細経糸(2b)それぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸(3)に対して、1本の緯糸(3)の上を通る毎に1本の緯糸(3)の下を通り、
    前記パイル糸(5)は、前記各組における太経糸(2a)と細経糸(2b)の間に、製織方向に沿って複数配置され、
    前記パイル糸(5)それぞれは、製織方向に前後する3本の緯糸(3)に対して、1本の緯糸(3)の下を通る毎に1本の緯糸(3)の上を通った後に1本の緯糸(3)の下を通り、
    前記パイル糸(5)それぞれは、前記前後する3本の緯糸(3)における最も前方の緯糸(3a)の下を通った後に前記基布(4)から突出する前パイル片(5a)と、前記前後する3本の緯糸(3)における最も後方の緯糸(3b)の下を通った後に前記基布(4)から突出する後パイル片(5b)を形成し、
    前記細経糸(2b)それぞれは、前記最も前方の緯糸(3a)と最も後方の緯糸(3b)の方の緯糸の上を通っていることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のラビング材。
  5. 前記経糸(2)は、太経糸(2a)と、この太経糸(2a)より細い細経糸(2b)が2本1組で織幅方向に並んで配置され、
    前記太経糸(2a)それぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸(3)に対して、3本の緯糸(3)の上を通る毎に1本の緯糸(3)の下を通り、
    前記細経糸(2b)それぞれは、製織方向に並んで配置された緯糸(3)に対して、1本の緯糸(3)の上を通る毎に3本の緯糸(3)の下を通り、
    前記パイル糸(5)は、前記各組における太経糸(2a)と細経糸(2b)の間に、製織方向に沿って複数配置され、
    前記パイル糸(5)それぞれは、製織方向に前後する3本の緯糸(3)に対して、1本の緯糸(3)の下を通る毎に1本の緯糸(3)の上を通った後に1本の緯糸(3)の下を通り、
    前記パイル糸(5)それぞれは、前記前後する3本の緯糸(3)における最も前方の緯糸(3a)の下を通った後に前記基布(4)から突出する前パイル片(5a)と、前記前後する3本の緯糸(3)における最も後方の緯糸(3b)の下を通った後に前記基布(4)から突出する後パイル片(5b)を形成し、
    前記細経糸(2b)それぞれは、前記最も前方の緯糸(3a)と最も後方の緯糸(3b)のうち、最も後方の緯糸(3b)だけの上を通っていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のラビング材。
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