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JP6580384B2 - 直液式筆記具及びそれに用いるインキカートリッジ - Google Patents
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JP6580384B2 - 直液式筆記具及びそれに用いるインキカートリッジ - Google Patents

直液式筆記具及びそれに用いるインキカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、インキがインキ貯蔵部からペン芯を介してペン先へ誘導される直液式筆記具とそれに用いられるインキカートリッジに関する。
従来、多数の薄い円盤体が互いに僅かな間隙(櫛溝状間隔)を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなる、所謂ペン芯を介して、インキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するタイプの筆記具(直液式筆記具という)が広く使用されている。
前記ペン芯は通常、合成樹脂材料から成形されており、その表面が相対的に疎水性であるため、水性インキを適用する場合には、インキの表面張力を調整したり、界面活性剤を添加することで、ペン芯との親和性(濡れ性)を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記直液式筆記具においては、経済性が高く環境配慮の観点から、インキ貯蔵部が交換可能なカートリッジタイプの筆記具が用いられる傾向がある(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−79682号公報 特開2005−324336号公報
前記特許文献1の技術では、非イオン系界面活性剤の添加により、インキの表面張力を下げることで生じていたペン先からのインキのボタ落ちやペン芯内のインキ回収不良を生じることなく、ペン芯の濡れ性を良化させるものであるが、適用される筆記具の構造によっては、筆記時のインキ吐出が安定性に欠くものであった。特に、前記水性インキを特許文献2のようなインキカートリッジタイプの筆記具に適用した場合、初期的な筆記時(即ち、最初に接続されたカートリッジを使い切るまでの間)にはインキ吐出安定性が得られるものの、新しいカートリッジに交換した際には、交換時に気泡を巻き込むことで、インキ貯蔵部からペン先へのインキ供給が不安定となり、筆記時のインキ吐出安定性が得られず、均一な筆跡が安定して得られないことがあった。
本発明は、前述のペン芯を備えた筆記具に適用する水性インキにおいて、ペン先からのインキのボタ落ちやペン芯内のインキ回収不良を生じることなくペン芯性能を発現でき、初期的なインキ吐出安定性を付与できることはもちろん、インキカートリッジタイプの直液式筆記具に適用した場合であっても、カートリッジ交換後のペン先へのインキ供給を長期に亘って安定持続できる、筆記時のインキ吐出安定性とカートリッジ交換性に優れた筆記具用水性インキ組成物を内蔵した直液式筆記具とそれに用いられるインキカートリッジを提供するものである。
本発明は、ペン先と、筆記具本体に着脱可能なインキカートリッジ形態のインキ貯蔵部と、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯と、から構成され、前記インキ貯蔵部に、水と、着色剤と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルと、シリカ又はシリコーン樹脂の乳化物を含む水性インキ組成物を内蔵する直液式筆記具を要件とする。
更に、前記乳化物がインキ組成物全量中0.01〜5重量%の範囲で添加されることを要件とする。
更に、前記ペン先が、金属製パイプの先端にボールを抱持するボールペンチップであり、前記金属製パイプ内に中芯が配置され、前記金属パイプの内径Bと、中芯の外径Cが、B/C≦2であることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の直液式筆記具に用いられるインキカートリッジを要件とする。
本発明により、ペン芯を備えた筆記具に適用することで、良好なペン芯性能を発揮するとともに、インキ吐出安定性を長期に亘って得ることができる。特に、インキカートリッジタイプの直液式筆記具に適用した場合には、初期的にはもちろん、インキカートリッジ交換後であっても、ペン先へのインキ供給が安定して持続されるとともに、筆記時には均一な筆跡が長期に亘って形成できる、インキ吐出安定性に優れた筆記具用水性インキ組成物となり、インキカートリッジ交換時のインキ追従性(カートリッジ交換性能)に優れたインキカートリッジや直液式筆記具が得られる。
特に、特定の乳化物をインキ中に追加することで、インキカートリッジ交換に伴う長期的な連続使用に対しても安定したインキ吐出性が維持できる。
一般に、ペン芯を備えた直液式筆記具に適用される水性インキは、表面張力が高すぎる場合、櫛溝部にインキを保持できず、筆記具内部の気圧変化によって誘導芯を介してペン先からインキのボタ落ちが発生したり、特に毛細管力の低いペン先においては筆跡にウスや途切れが発生する。また、表面張力が低すぎる場合、筆記具内部の気圧変化によって櫛溝部に保持されたインキが回収できない等の問題が生じるため、表面張力を規定するように様々なインキ組成が適用されている。これに対して本発明では、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを用いることで、表面張力によらず前記不具合を解消できるとともに、表面張力の調整だけでは得られなかったインキカートリッジ交換時のインキ供給安定性(カートリッジ交換性)が付与できることを見出した。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、一般式(1)で表される化合物であり、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとが任意の配列で重合した構造を持つランダムコポリマーである。また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、一般式(1)の式中のRがHの化合物である。
R−O−(CO)(CO)−H (1)
〔式中のRはアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して1〜40の数を示す〕
前記一般式のRで表されるアルキル基としては、例えば、炭素数2〜8、好ましくは2〜4のものが適用できる。また、m及びnで示されるエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加モル数としては、それぞれ独立して1〜40であり、好ましくは1〜24である。
特に、分子量が800〜3500のものは、添加によるインキ粘度の上昇が生じ難い点から好適である。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとして、具体的には、ユニルーブ50MB−2、同50MB−5、同50MB−11、同50MB−26、同50MB−72、同50MB−168、同75DE−25、同75DE−60、同75DE−170(以上、日油製)、
カーポールGH−5、同GH−10、同GH−200、同MH−20、同MH−70、同MH−150、同MH−500(以上、アデカ製)等を挙げることができる。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルはインキ組成物全量中、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の範囲で添加することができる。
0.1重量%未満では十分なインキ吐出性能を付与することは困難であり、また、10重量%を越えて添加しても一定以上のインキ吐出性能の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
更に、シリカ又はシリコーン樹脂を乳化剤で乳化した乳化物を併用することで、前記効果を維持したまま、インキカートリッジ交換後のペン先へのインキ供給がより安定化され、長期に亘って均一な筆跡を形成できる。特に、前記安定性効果は長期経時後においても維持されるため、長期間ストックされた複数のインキカートリッジが用いられるとともに、単一の筆記具本体が長期に亘って使用され続けるカートリッジ式筆記具においてより有用なものとなる。
前記シリカやシリコーン樹脂を乳化する乳化剤としては、親水性の強いものと親油性の強いもののいずれを用いることも可能である。具体的に、親水性の強い乳化剤としては、アルカリセッケン、有機アミンセッケン、および高級アルコールの硫酸エステル、トウイーン類の非イオン活性剤、植物ゴム(アラビアゴム、アブラミン、カゼイン等)、アルギン酸、カルボキシメチルセルローズ、サポニン等が例示でき、親油性の強いものとしては、重金属セッケン、ラノリン、ロジン、コレステリンシ、レシチン、非イオン界面活性剤の中の多価アルコールの脂肪酸エステル等が例示できる。
特に、シリカやシリコーン樹脂に対する乳化性が高く、少量で高い効果を発現することから、シリコーン系界面活性剤やソルビタン系界面活性剤が有効である。
前記乳化物はインキ組成物全量中0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲で添加される。
0.01重量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、5重量%を越えて添加しても前記効果の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記着色剤としては、水性媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料が使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤等を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL、顔料分22%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適であり、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として適用される。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものも適用できる。
また、特開2005−1369号公報、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域(実質的二相保持温度域)で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲で用いられる。
また、着色剤として顔料を用いた場合、必要に応じて顔料分散剤を添加できる。前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVP、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
また、水に相溶性のある従来汎用の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、紙面への固着性や粘性を付与するために水溶性樹脂を添加することもできる。前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。前記水溶性樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成中1〜30重量%の範囲で用いられる。
また、インキ中には界面活性剤や水溶性切削油を添加することもできる。これらの界面活性剤や水溶性切削油は、インキ物性を調整するのに有用であり、所望の表面張力値への調整においても効果的に作用する。
前記界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
尚、リン酸エステル系界面活性剤は、金属類に対して吸着力があるため、ボールやチップ本体に対して吸着することで高い潤滑性を示す。よって、ボールペン形態の筆記具においてはより有用である。
前記リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、リン酸トリエステル、或いはその誘導体等が例示でき、これらのリン酸エステル系界面活性剤は、単独又は二種以上混合して使用される。その中でもインキ経時安定性を考慮すれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、リン酸ジエステルが最も好適である。
その他、必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤を使用してもよい。
更に、ボールペン形態の筆記具に適用する際には潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
更に、必要に応じて剪断減粘性付与剤を添加し、インキに適当な粘性を与えて実用に供することができる。用いられる剪断減粘性付与剤は従来公知のものから適宜選択することができ、その具体例としては、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン等の多糖類、ポリアクリル酸、架橋型アクリル酸、ポリビニルアセトアミド、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、会合性ウレタンエマルジョン等が挙げられ、単独或いは混合して用いられる。
前記水性インキ組成物は、各種チップを筆記先端部に装着し、軸筒内部(インキ貯蔵部)に直接インキを収容し、合成樹脂製の櫛溝状インキ流量調節部材(ペン芯)を介在させる構造を有するマーキングペン、ボールペン、筆ペン、万年筆等の汎用の直液式(ペン芯式)筆記具に直接充填される他、筆記具本体に着脱可能なインキカートリッジのインキ貯蔵部に充填される。
前記筆記具を構成するチップのうち、マーキングペンチップとしては、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、毛筆等が適用でき、ボールペンチップとしては、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等が適用できる。尚、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等が適用でき、直径0.15mm〜2.0mmの範囲のものが好適に用いられる。更に、前記ボールには、DLCコート等の表面処理を施すこともできる。
また、万年筆形態のチップ(ペン体)としては、ステンレス板、金合金板等の金属板を先細テーパー状に裁断し、屈曲又は湾曲したものや、ペン先形状に樹脂成形したもの等が適用できる。尚、前記ペン体には中心にスリットを設けたり、先端に玉部を設けることもできる。
前述のように、本発明のインキはペン先へのインキ供給性能に優れるため、ペン先の種類によらず高い吐出安定性を発現できる点で有用である。
特に、ボールペンチップは、チップ自体の毛細管力が乏しく、筆記先端へのインキ誘導力が低いため、水性インキのように表面張力が高いと吐出安定性が低下する傾向にある。そのため、特にインキ吐出性が悪い金属製パイプを用いたチップでは、チップ内に中芯を配設することで、チップ内部の毛細管力を高めた構成とすることが好ましい。
この場合、前記金属パイプの内径Bと、中芯の外径Cが、B/C≦2の範囲になるように設定することで、水性インキの詰まりや過剰吐出を発生することなく、高い吐出安定性を維持できるボールペンとなる。
前記ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等いずれを用いることもできるが、特に成形性が高く、ペン芯性能が得られやすい点からアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が好適である。
更に、前記ペン芯後方に配設され、水性インキを収容するインキ貯蔵部は、筆記具本体に着脱可能な構造としてインキカートリッジ形態とすることもできる。この場合、先に収容するインキを使い切った後に新たなインキカートリッジと取り替えて使用されるため、新たにインキ貯蔵部内のインキをペン先に流動させる必要が生じる。そのため、本願構成のインキの適用がより有用なものとなる。
前記インキカートリッジとしては、筆記具本体に接続することで筆記具を構成する軸筒を兼ねたものや、筆記具本体に接続した後に軸筒(後軸)を被覆して保護するものが適用できる。尚、後者においては、インキカートリッジ単体での適用の他、使用前の筆記具において、筆記具本体とインキカートリッジが接続されているものや、ユーザーが筆記具使用時に軸筒内のインキカートリッジを接続して使用を開始するように非接続状態で軸筒内に収容したもののいずれであってよい。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表に実施例及び比較例の直液式筆記具用水性インキの組成と使用した中芯の外径を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。尚、表面張力は、協和界面科学(株)製の表面張力計DY−300を用いて20℃で測定した。
Figure 0006580384
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック191L
(2)山陽色素(株)製、商品名:サンダイスーパーブラックC−E:顔料分30%
(3)ダイワ化成工業(株)製、商品名:ブリリアントブルーFCF−L
(4)日油(株)製、商品名:ユニルーブ75DE−60
(5)日油(株)製、商品名:ユニルーブ50MB−11
(6)日光ケミカルズ(株)製、商品名:ニッコールNP−20
(7)AGCセイミケミカル(株)製、商品名:サーフロンS−111N
(8)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(9)アーチケミカルズジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
(10)シリカをシリコーン系界面活性剤で乳化した乳化物、東レダウコーニング社製、商品名:FSアンチフォーム013A
(11)シリコーン樹脂をソルビタン系界面活性剤で乳化した乳化物、信越化学工業(株)製、商品名:KM−72
インキの調製
水に各成分を添加し、室温又は必要に応じて50℃〜60℃の範囲に加温して混合攪拌した後、加温したものは放冷することで各インキを調製した。
筆記具Aの作製
前記各インキ組成物をボールペン形態のペン先を有するペン芯式筆記具(パイロットコーポレーション社製、Hi−TecpointV5)外装のインキ貯蔵部に0.5g充填し、キャップを嵌合することで試料用筆記具Aを作製した。尚、前記筆記具のペン芯はABS樹脂材料を射出成形することで形成した。
インキカートリッジの作製
ポリエチレン樹脂からなる有底筒状の成形体内部をインキ貯蔵部とし、前記各インキ組成物0.9gを充填した後、開口部内側に栓体を圧入嵌合させることでインキカートリッジを得た。
筆記具Bの作製
前記筆記具Aで用いたボールペン形態のペン先を有するペン芯を使用し、インキ貯蔵部が着脱可能となる接続部(槍体)を設けた前軸に対し、インキカートリッジを収容可能な後軸を螺合することで筆記具本体とした(キャップが嵌合されている)。
前記筆記具本体に対して、先に作製したインキカートリッジを接続することで試料用筆記具Bを作製した。尚、ペン先には、内径0.5mmのステンレスパイプを用い、中芯として、0.10mm、0.30mm、0.46mmのものを使用した。
前記試料筆記具を用いて以下の試験を行った。
筆記試験
筆記可能であることを確認した各試料筆記具Aを、室温にて市販のレポート用紙に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した。その際の筆跡の滲みの有無を目視により確認した。
ペン芯性能試験
ペン先下向き状態で保持した試料用筆記具Aを、キャップ嵌合状態で0℃、1時間放置した後、ペン先下向き状態のままキャップを外して30℃まで上昇させた際のペン芯櫛溝部へのインキ流入状態及びペン先からのインキボタ落ちの有無を観察した。更に、再び0℃に冷却した際にペン芯櫛溝部からインキ貯蔵部へのインキの回収状態を観察した。
カートリッジ交換試験
前記試料筆記具Bを、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに走行試験機(精機工業研究所製)で螺旋状の丸を連続筆記して書き切った後、同じ構成の新しいインキカートリッジに交換し、キャップを外したペン先下向き状態で1時間放置した。その後、前記走行試験機で500m連続筆記した際の筆跡の状態を確認した。
インキ吐出性試験
筆記可能であることを確認した各試料筆記具Bを、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに前記走行試験機で連続筆記して書き切った後、同じ構成の新しいインキカートリッジに交換し、室温にて市販のレポート用紙に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した際の筆跡の状態を確認した。
経時性能試験
筆記可能であることを確認した各試料筆記具B及びインキカートリッジを、50℃の条件下で30日間保管した後、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに前記走行試験機で連続筆記して書き切った。更に、使用済カートリッジを50℃にて保管された前記インキカートリッジに交換し、キャップを外したペン先下向き状態で一時間放置した。その後、前記走行試験機で100m連続筆記してインキ吐出量の計測を行った。100m連続筆記毎の計測を5回(計500m)繰り返した際のインキ吐出量と、その筆跡の状態を確認した。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
Figure 0006580384
尚、試験結果の評価は以下の通りである。
筆記試験
○:良好な筆跡を示した。
×:筆跡に滲みが見られた。
ペン芯性能試験
○:円滑に流入し、ボタ落ちは発生しなかった。また、ペン芯内の全てのインキを良好に回収した。
×:流入が変則的で、ボタ落ちが発生した、またはインキが回収されず、ペン芯櫛溝部内に残留した。
カートリッジ交換試験
○:ペン先へのインキ供給が安定しており、カスレや線飛びは見られず良好な筆跡が得られた。
×:ペン先へのインキ供給が変則的で筆跡にカスレや線飛びが見られた。
インキ吐出性試験
○:良好な筆跡を示した。
×:筆跡に断続的に連続したカスレや線飛びが生じた。
経時性能試験
◎:カスレや線飛びは見られず、一定したインキ吐出で良好な筆跡が得られた。
○:僅かなカスレ箇所は見られるが、一定したインキ吐出であった。
×:ペン先へのインキ供給が変則的であり、筆跡に連続したカスレや線飛び箇所が断続的に生じた。

Claims (4)

  1. ペン先と、筆記具本体に着脱可能なインキカートリッジ形態のインキ貯蔵部と、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯と、から構成され、前記インキ貯蔵部に、水と、着色剤と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルと、シリカ又はシリコーン樹脂の乳化物を含む水性インキ組成物を内蔵する直液式筆記具。
  2. 前記乳化物がインキ組成物全量中0.01〜5重量%の範囲で添加される請求項1記載の直液式筆記具。
  3. 前記ペン先が、金属製パイプの先端にボールを抱持するボールペンチップであり、前記金属製パイプ内に中芯が配置され、前記金属パイプの内径Bと、中芯の外径Cが、B/C≦2である請求項1又は2に記載の直液式筆記具。
  4. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の直液式筆記具に用いられるインキカートリッジ。
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