JP6580384B2 - 直液式筆記具及びそれに用いるインキカートリッジ - Google Patents
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前記ペン芯は通常、合成樹脂材料から成形されており、その表面が相対的に疎水性であるため、水性インキを適用する場合には、インキの表面張力を調整したり、界面活性剤を添加することで、ペン芯との親和性(濡れ性)を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記直液式筆記具においては、経済性が高く環境配慮の観点から、インキ貯蔵部が交換可能なカートリッジタイプの筆記具が用いられる傾向がある(例えば、特許文献2参照)。
更に、前記乳化物がインキ組成物全量中0.01〜5重量%の範囲で添加されることを要件とする。
更に、前記ペン先が、金属製パイプの先端にボールを抱持するボールペンチップであり、前記金属製パイプ内に中芯が配置され、前記金属パイプの内径Bと、中芯の外径Cが、B/C≦2であることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の直液式筆記具に用いられるインキカートリッジを要件とする。
特に、特定の乳化物をインキ中に追加することで、インキカートリッジ交換に伴う長期的な連続使用に対しても安定したインキ吐出性が維持できる。
R−O−(C3H6O)m(C2H4O)n−H (1)
〔式中のRはアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して1〜40の数を示す〕
前記一般式のRで表されるアルキル基としては、例えば、炭素数2〜8、好ましくは2〜4のものが適用できる。また、m及びnで示されるエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加モル数としては、それぞれ独立して1〜40であり、好ましくは1〜24である。
特に、分子量が800〜3500のものは、添加によるインキ粘度の上昇が生じ難い点から好適である。
カーポールGH−5、同GH−10、同GH−200、同MH−20、同MH−70、同MH−150、同MH−500(以上、アデカ製)等を挙げることができる。
0.1重量%未満では十分なインキ吐出性能を付与することは困難であり、また、10重量%を越えて添加しても一定以上のインキ吐出性能の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
特に、シリカやシリコーン樹脂に対する乳化性が高く、少量で高い効果を発現することから、シリコーン系界面活性剤やソルビタン系界面活性剤が有効である。
0.01重量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、5重量%を越えて添加しても前記効果の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
また、特開2005−1369号公報、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域(実質的二相保持温度域)で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
また、着色剤として顔料を用いた場合、必要に応じて顔料分散剤を添加できる。前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVP、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
尚、リン酸エステル系界面活性剤は、金属類に対して吸着力があるため、ボールやチップ本体に対して吸着することで高い潤滑性を示す。よって、ボールペン形態の筆記具においてはより有用である。
更に、ボールペン形態の筆記具に適用する際には潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、万年筆形態のチップ(ペン体)としては、ステンレス板、金合金板等の金属板を先細テーパー状に裁断し、屈曲又は湾曲したものや、ペン先形状に樹脂成形したもの等が適用できる。尚、前記ペン体には中心にスリットを設けたり、先端に玉部を設けることもできる。
前述のように、本発明のインキはペン先へのインキ供給性能に優れるため、ペン先の種類によらず高い吐出安定性を発現できる点で有用である。
この場合、前記金属パイプの内径Bと、中芯の外径Cが、B/C≦2の範囲になるように設定することで、水性インキの詰まりや過剰吐出を発生することなく、高い吐出安定性を維持できるボールペンとなる。
前記インキカートリッジとしては、筆記具本体に接続することで筆記具を構成する軸筒を兼ねたものや、筆記具本体に接続した後に軸筒(後軸)を被覆して保護するものが適用できる。尚、後者においては、インキカートリッジ単体での適用の他、使用前の筆記具において、筆記具本体とインキカートリッジが接続されているものや、ユーザーが筆記具使用時に軸筒内のインキカートリッジを接続して使用を開始するように非接続状態で軸筒内に収容したもののいずれであってよい。
以下の表に実施例及び比較例の直液式筆記具用水性インキの組成と使用した中芯の外径を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。尚、表面張力は、協和界面科学(株)製の表面張力計DY−300を用いて20℃で測定した。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック191L
(2)山陽色素(株)製、商品名:サンダイスーパーブラックC−E:顔料分30%
(3)ダイワ化成工業(株)製、商品名:ブリリアントブルーFCF−L
(4)日油(株)製、商品名:ユニルーブ75DE−60
(5)日油(株)製、商品名:ユニルーブ50MB−11
(6)日光ケミカルズ(株)製、商品名:ニッコールNP−20
(7)AGCセイミケミカル(株)製、商品名:サーフロンS−111N
(8)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(9)アーチケミカルズジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
(10)シリカをシリコーン系界面活性剤で乳化した乳化物、東レダウコーニング社製、商品名:FSアンチフォーム013A
(11)シリコーン樹脂をソルビタン系界面活性剤で乳化した乳化物、信越化学工業(株)製、商品名:KM−72
水に各成分を添加し、室温又は必要に応じて50℃〜60℃の範囲に加温して混合攪拌した後、加温したものは放冷することで各インキを調製した。
前記各インキ組成物をボールペン形態のペン先を有するペン芯式筆記具(パイロットコーポレーション社製、Hi−TecpointV5)外装のインキ貯蔵部に0.5g充填し、キャップを嵌合することで試料用筆記具Aを作製した。尚、前記筆記具のペン芯はABS樹脂材料を射出成形することで形成した。
ポリエチレン樹脂からなる有底筒状の成形体内部をインキ貯蔵部とし、前記各インキ組成物0.9gを充填した後、開口部内側に栓体を圧入嵌合させることでインキカートリッジを得た。
前記筆記具Aで用いたボールペン形態のペン先を有するペン芯を使用し、インキ貯蔵部が着脱可能となる接続部(槍体)を設けた前軸に対し、インキカートリッジを収容可能な後軸を螺合することで筆記具本体とした(キャップが嵌合されている)。
前記筆記具本体に対して、先に作製したインキカートリッジを接続することで試料用筆記具Bを作製した。尚、ペン先には、内径0.5mmのステンレスパイプを用い、中芯として、0.10mm、0.30mm、0.46mmのものを使用した。
筆記試験
筆記可能であることを確認した各試料筆記具Aを、室温にて市販のレポート用紙に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した。その際の筆跡の滲みの有無を目視により確認した。
ペン先下向き状態で保持した試料用筆記具Aを、キャップ嵌合状態で0℃、1時間放置した後、ペン先下向き状態のままキャップを外して30℃まで上昇させた際のペン芯櫛溝部へのインキ流入状態及びペン先からのインキボタ落ちの有無を観察した。更に、再び0℃に冷却した際にペン芯櫛溝部からインキ貯蔵部へのインキの回収状態を観察した。
前記試料筆記具Bを、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに走行試験機(精機工業研究所製)で螺旋状の丸を連続筆記して書き切った後、同じ構成の新しいインキカートリッジに交換し、キャップを外したペン先下向き状態で1時間放置した。その後、前記走行試験機で500m連続筆記した際の筆跡の状態を確認した。
筆記可能であることを確認した各試料筆記具Bを、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに前記走行試験機で連続筆記して書き切った後、同じ構成の新しいインキカートリッジに交換し、室温にて市販のレポート用紙に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した際の筆跡の状態を確認した。
筆記可能であることを確認した各試料筆記具B及びインキカートリッジを、50℃の条件下で30日間保管した後、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに前記走行試験機で連続筆記して書き切った。更に、使用済カートリッジを50℃にて保管された前記インキカートリッジに交換し、キャップを外したペン先下向き状態で一時間放置した。その後、前記走行試験機で100m連続筆記してインキ吐出量の計測を行った。100m連続筆記毎の計測を5回(計500m)繰り返した際のインキ吐出量と、その筆跡の状態を確認した。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
筆記試験
○:良好な筆跡を示した。
×:筆跡に滲みが見られた。
ペン芯性能試験
○:円滑に流入し、ボタ落ちは発生しなかった。また、ペン芯内の全てのインキを良好に回収した。
×:流入が変則的で、ボタ落ちが発生した、またはインキが回収されず、ペン芯櫛溝部内に残留した。
カートリッジ交換試験
○:ペン先へのインキ供給が安定しており、カスレや線飛びは見られず良好な筆跡が得られた。
×:ペン先へのインキ供給が変則的で筆跡にカスレや線飛びが見られた。
インキ吐出性試験
○:良好な筆跡を示した。
×:筆跡に断続的に連続したカスレや線飛びが生じた。
経時性能試験
◎:カスレや線飛びは見られず、一定したインキ吐出で良好な筆跡が得られた。
○:僅かなカスレ箇所は見られるが、一定したインキ吐出であった。
×:ペン先へのインキ供給が変則的であり、筆跡に連続したカスレや線飛び箇所が断続的に生じた。
Claims (4)
- ペン先と、筆記具本体に着脱可能なインキカートリッジ形態のインキ貯蔵部と、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯と、から構成され、前記インキ貯蔵部に、水と、着色剤と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルと、シリカ又はシリコーン樹脂の乳化物を含む水性インキ組成物を内蔵する直液式筆記具。
- 前記乳化物がインキ組成物全量中0.01〜5重量%の範囲で添加される請求項1記載の直液式筆記具。
- 前記ペン先が、金属製パイプの先端にボールを抱持するボールペンチップであり、前記金属製パイプ内に中芯が配置され、前記金属パイプの内径Bと、中芯の外径Cが、B/C≦2である請求項1又は2に記載の直液式筆記具。
- 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の直液式筆記具に用いられるインキカートリッジ。
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