JP6583665B2 - 自動車ランプ部材用ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
[1] ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、平均粒子径3μm以下の無機フィラー(B)0.005〜20質量部、多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)0.05〜3質量部、非カーボンブラック系顔料(D1)0.05〜10質量部、及び有機染料(D2)0〜10質量部を含有するポリエステル樹脂組成物であって、該ポリエステル樹脂組成物のCIE色差系のL*a*b*系による色相L*値が10以下であることを特徴とする自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物。
[2] ポリエステル樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂(a)とポリエチレンテレフタレート樹脂(b)とを質量比で100:0〜50:50の割合で含んでいる[1]に記載の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物。
[3] 無機フィラー(B)が、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化チタンから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物。
本発明で使用可能なポリエステル樹脂(A)としては、ジカルボン酸成分およびジオール成分を構成単位とするポリエステル樹脂であることが好ましい。
ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸を主成分とするものが好ましい。主成分とは、全ジカルボン酸単位に対して、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上を示す。芳香族ジカルボン酸以外では、脂肪族ジカルボン酸が使用可能である。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上40以下の鎖状あるいは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
以上のジカルボン酸成分は、単独でも2種以上混合して使用することもできる。
ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、ヒドロキシカルボン酸成分やラクトン成分を共重合しても構わない。その使用量は、全モノマー成分に対して、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)は、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度(IV)が0.36〜1.60dl/gであることが好適であり、0.52〜1.25dl/gの範囲にあるものがより好適であり、0.58〜1.12dl/gの範囲にあるものがさらに好適であり、0.62〜1.02dl/gの範囲にあるものが最も好適である。(a)の固有粘度が、0.36〜1.60dl/gであることにより、本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物の機械的特性、成形性が良好となる。
本発明において、ポリブチレンテレフタレート樹脂(a)及びポリエチレンテレフタレート樹脂(b)を特定の配合量で含有することが好ましい。また、本発明において、ポリエステル樹脂(A)としては、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートを使用することも好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)中の、ポリブチレンテレフタレート樹脂(a)及びポリエチレンテレフタレート樹脂(b)の合計量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%であっても良い。
本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、無機フィラー(B)0.005〜20質量部を含有する。
無機フィラー(B)は耐熱性及び剛性をより向上させ、さらに収縮率を小さく制御することができる。特に収縮率が大きいと、射出成形時に金型へのだきつきによる離型不良が生じたり、成形品が大型もしくは形状が複雑な場合、成形品に歪みが生じたりすることがあるため、無機フィラー(B)による収縮率の制御は重要である。
無機フィラー(B)の含有量が、0.005質量部未満の場合、耐熱性及び剛性の向上効果が小さい。20質量部を超えると、フィラーの浮き出しにより、ランプ部材として用いるために必要な表面平滑性が損なわれる。
耐熱性及び剛性の向上、表面平滑性の観点から、無機フィラー(B)の含有量は0.2質量部以上が好ましく、さらに収縮率制御の観点から、無機フィラー(B)の含有量は5質量部以上がより好ましく、8質量部以上がさらに好ましい。
上記無機フィラーのうち、タルクはポリエステル樹脂に対して結晶核剤効果を有し、少量の添加でポリエステル樹脂の耐熱性を向上させることができる。ただし、タルクは粒子径が比較的大きいため添加量が多いと樹脂表面への浮き出しにより表面平滑性が低下する。
一方、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタンは、ポリエステル樹脂に対して結晶核剤効果を有していないが、タルクに比べて粒子径が小さいため、添加量が多くとも表面平滑性を維持しやすい。収縮率を制御するためには、無機フィラーの添加量が多いほうが好ましく、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタンの使用が適している。
耐熱性向上及び表面平滑性の観点から、タルクは0.005〜1質量部、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化チタンは2〜20質量部を含有することが好ましい。より好ましくは、タルクは0.05〜0.8質量部、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化チタンは3〜19質量部である。さらに好ましくは、タルクは0.1〜0.5質量部、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化チタンは5〜18質量部である。硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化チタンはこの含有量にすることで、収縮率をも制御可能である。
少量のタルクと、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び二酸化チタンからなる群のうちの少なくとも1種を併用して用いる場合、無機フィラー(B)の合計を100質量%としたとき、タルク0.2〜20質量%に対して、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び二酸化チタンからなる群のうちの少なくとも1種の合計が99.8〜80質量%であることが好ましい。
表面処理としては、表面処理剤による処理、脂肪酸による処理、SiO2−Al2O3による処理等が挙げられる。表面処理剤としては、特に限定されず、例えばアミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等を用いることができる。
本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)0.05〜3質量部を含有する。
多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)をこの範囲にすることで、遊離する有機カルボン酸等のガス化成分を効率的に捕捉することができ、優れた低ガス性を実現できる。
多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)が3質量部より多いと、ポリエステル樹脂(A)との反応によりゲル化を引き起こしたり、それにより生産性が著しく低下したりする場合がある。また、多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)が0.05質量部未満であると、遊離する有機カルボン酸の捕捉効果が小さくなり、低ガス性が損なわれる場合がある。多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)の配合量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、0.15〜1質量部であることがより好ましい。
多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)の具体的な成分としては、グリシジル基含有不飽和単量体とビニル芳香族系単量体との共重合体が好ましい。
グリシジル基含有不飽和単量体の共重合量が、1質量%未満では遊離する有機カルボン酸の捕捉効果が小さくなり、低ガス性に悪影響を及ぼす傾向がある。30質量%を超えると樹脂組成物としての安定性が損なわれる場合がある。
本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、非カーボンブラック系顔料(D1)0.05〜10質量部を含有する。
非カーボンブラック系顔料(D1)は意匠性の観点から黒色が好ましい。
非カーボンブラック系顔料(D1)0.05質量部未満では、黒色性が不足し、意匠性が損なわれる場合がある。10質量部を超えると機械特性の低下やブリードアウト、フォギングが問題となる場合がある。非カーボンブラック系顔料(D1)の含有量は、0.1〜8質量部がより好ましく、1〜7質量部がさらに好ましい。
赤外光反射性を有する黒色顔料の場合、顔料濃度を高くしても太陽光の集光により高温になりにくい場合が多いが、(特に無機顔料の場合)10質量部を超えると赤外光の吸収量が多くなり、太陽光の集光によりキズが付く場合がある。黒色性が不足する場合、黒色染料を添加して黒味を調整することが好ましい。
赤外光反射性を持たない黒色顔料の場合、顔料濃度を高くすると(特に無機顔料の場合)5質量部程度の添加でも太陽光の集光により高温となる場合がある。この場合、顔料濃度を5質量部以下に抑え、黒色染料と併用して黒味を調整することが好ましい。
非カーボンブラック系顔料(D1)はコンパウンド時に直接樹脂に添加しても良いし、マスターバッチとして添加しても良い。
これらの中で、赤外光反射性を有するFe‐Cr系、Mn‐Bi系、Co‐Cr‐Fe‐Mn系の複合酸化物系顔料、赤外光吸収性が低い有機系顔料が好ましく用いられる。
これらを単独で用いてもよいし、2種以上の顔料を混合して調色して用いても良い。
無機顔料は一般に赤外光透過性を有さないため、赤外光を反射もしくは吸収する。よって複合酸化物系顔料の中でも赤外光反射率が低いものは、すなわち、より赤外光を吸収しやすいため、太陽光集光により温度上昇しやすい傾向にある(ただし、カーボンブラックよりは温度上昇しにくい)。赤外光吸収性が低く、赤外光反射性が高い顔料は、太陽光集光による温度上昇抑制効果が高いため好ましい。
本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、有機染料(D2)0〜10質量部を含有する。
有機染料(D2)は意匠性の観点から黒色が好ましい。
有機染料(D2)は、非カーボンブラック系顔料(D1)での黒色性が不足する場合に、それを補うことを主目的として含有することが好ましい。非カーボンブラック系顔料(D1)で十分な黒色性が得られる場合には、有機染料(D2)を含有しなくても良い。
有機染料(D2)が10質量部を超えるとブリードアウトやフォギングが問題となる場合がある。有機染料(D2)の含有量は、0〜8質量部がより好ましく、0〜5質量部がさらに好ましく、0〜3質量部が特に好ましく、0〜1質量部が最も好ましい。
ポリエステル樹脂組成物に添加可能な染料としては、例えばキノリン系、アントラキノン系、アゾ系、ペリノン系、ペリレン系、フタロシアニン系、カルボニウム系、インジゴイド系等の染料を挙げることができる。
有機染料(D2)はコンパウンド時に直接樹脂に添加しても良いし、マスターバッチとして添加しても良い。分散性、ハンドリング性の観点から、マスターバッチで添加するほうが好ましい。有機染料がマスターバッチとして市販されている場合は、用いられているベース樹脂や染料の種類にもよるが、染料の含有量は通常5〜20質量%程度であることが多い。
有機染料(D2)のマスターバッチの色相が上記範囲内にあることにより、染料の分散性、ハンドリング性を損なうことなく、十分な黒色性を得ることができる。
マスターバッチの色相が上記範囲を超えると、ポリエステル樹脂組成物が十分な黒色性を得られず、意匠性が損なわれる場合がある。
該マスターバッチペレットの色相は、より好ましくは、CIE色差系のL*a*b*系による色相L*値(Color−L)が21以下、色相a*値(Color−a)が−1以上1以下、色相b*値(Color−b)が−1以上1以下である(いずれもSCE方式による測定値)。
着色剤を構成する大部分が非カーボンブラック系顔料、有機染料からなる場合、ごく少量のカーボンブラックであれば、赤外光反射性の大部分を保持しながら、黒色性を得ることができる。
カーボンブラックの含有量は、非カーボンブラック系顔料(D1)と有機染料(D2)の合計量を100質量%としたとき、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。カーボンブラックの含有量が10質量%以上であると、赤外反射性が著しく低下し、太陽光集光により非常に高温となる場合がある。
分光反射率測定の詳細は、実施例の項に記載する通りであるが、該自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物を金型温度60℃で射出成形して得られた厚さ2mmの平板を用い、分光光度計で測定される。平均値とは、800〜1100nmにおいて、各波長における反射率の和を測定数で割った値である。測定数はサンプリングピッチによって異なる。例えば、サンプリングピッチが1nmの場合、800、801、802、・・・、1098、1099、1100nmのように1nmごとの反射率データが得られ、測定数は301個となる。よってこの場合、波長800〜1100nmにおける反射率の平均値は(各波長における反射率の和/301)で求められる。
波長800〜1100nmの反射率の平均値がこの範囲にあることで、太陽光が集光しても高温になりにくい。
本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物の特徴は、意匠性の高い黒色性を実現しながら、太陽光集光による発熱を効果的に抑制した点、さらに無機フィラーにより優れた耐熱性を付与した点である。そのため太陽光が集光しても高温になりにくく、キズが付きにくい。
波長800〜1100nmの反射率の平均値が7%未満であると、太陽光の集光により非常に高温となる。波長800〜1100nmの反射率の平均値は、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
L*値が10以下であることにより、本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物は十分な黒色性を有することができ、溶融成形等により得られる成形品においても、十分な黒色性を発現することができるため、意匠性に優れる。色相L*値は、好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。色相L*値が10より高いと、黒色性が不足し、意匠性が低い。
熱変形温度が130℃未満であると、耐熱性が不足し、特に耐熱性が要求される用途には使用できない場合がある。熱変形温度が130℃以上の場合、ポリエステル樹脂組成物はランプ部材用樹脂としての耐熱性を満足するといえる。熱変形温度は135℃以上がより好ましく、その場合、ランプ部材用樹脂としての耐熱性をより高度に満足し、140℃以上がさらに好ましく、その場合、さらに高度に満足するといえる。
ガスの発生量が多く、フォギング試験(160℃)後のガラスプレートのヘイズ値が5%を超えると、各種ランプ部品として実用上、フォギングの問題がある。さらに射出成形時に金型を汚染しやすくなり、品位や生産性に悪影響を及ぼす場合がある。
射出成形品(厚さ2mm)から40mm×40mm程度の大きさの小片を切り出し、その合計10gを、アルミ箔を被せて底を作製したガラス筒(例えばφ65×80mm)に入れ、ホットプレート上にセットする。さらに、上記ガラス筒に隙間ができないようにスライドガラス(例えば78mm×76mm×厚さ1mm)で蓋をした後、160℃で24時間、熱処理を行う(この熱処理の結果、スライドガラス内壁にはポリエステル樹脂組成物より昇華した分解物等による付着物が析出する)。スライドガラスのヘイズ値を、ヘイズメーター等を用いて測定する。
離型剤の含有量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜3質量部が好ましい。離型剤が0.1質量部未満であると十分な離型効果が得られず、離型不良や離型ジワ等が問題となる場合がある。離型剤はそれ自体がガスとなったり、及びブリードアウトしたりすることによって、金型を汚染したり、100℃〜200℃の範囲の温度環境下でレンズカバーやミラー等に付着し曇りを発生(フォギング)させたりする問題がある。離型剤が3質量部を超えると、これらの問題が顕著となる。
本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)、(D1)、及び(D2)成分の合計で((D2)成分は0質量%でも良い)、85質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
実施例・比較例で得たペレットを、射出成形機を用いて成形を行った。射出成形機EC−100N(東芝機械社製)を用い、#6000番のやすりで磨かれた鏡面を片面に有する100mm×100mm×2mm厚みの平板成形品を射出成形した。成形はシリンダー温度260℃、金型温度60℃で行った。
分光光度計UV‐3150(島津製作所社製)(標準白色板には硫酸バリウム系白色板を使用)を用いて、サンプリングピッチ1.0nm、スリット幅(20)として波長300〜1500nmの分光反射率を測定し、波長800〜1100nmの反射率の平均値(各波長における反射率の和/301)を算出した。
自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物の平板の色相は以下の方法にて測定した。
射出成形機EC−100N(東芝機械社製)を用い、#6000番のやすりで磨かれた鏡面を片面に有する100mm×100mm×2mm厚みの平板成形品を射出成形した。成形はシリンダー温度260℃、金型温度60℃で行った。
精密型分光光度色彩計 TC−1500SX(東京電色社製)を用いて、JIS Z 8722、JIS Z 8781−4に準じて、成形板の鏡面側の色相L*値(CIE色差系)を測定した。D65光源、10°視野、0°−d法、SCE方式にて測定した。
有機染料(D2)マスターバッチペレットの色相は以下の方法にて測定した。
精密型分光光度色彩計TC−1500SX(東京電色社製)を用いて、JIS Z 8722、JIS Z 8781−4に準じて、ペレットを付属のケースに入れ、回転台にセットし、色相L*a*b*値(CIE色差系)を測定した。D65光源、10°視野、0°−d法、SCE方式にて測定した。
厚さ2mmの射出成形品から40mm×40mm程度の大きさの小片を切り出し、その合計10gを、アルミ箔を被せて底を作製したガラス筒(φ65×80mm)に入れ、ホットプレート(ネオホットプレートHT−1000、アズワン社製)上にセットした。さらに、上記ガラス筒にスライドガラス(78mm×76mm×厚さ1mm)で蓋をした後、160℃で24時間、熱処理を実施した。この熱処理の結果、スライドガラス内壁には樹脂組成物より昇華した分解物等による付着物が析出した。これらのスライドガラスのヘイズ値を、ヘイズメーターNDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定した。
射出成形機EC−100N(東芝機械社製)を用い、#6000番のやすりで磨かれた鏡面を片面に有する100mm×100mm×2mm厚みの平板成形品を射出成形した。成形はシリンダー温度260℃、金型温度60℃、サイクルタイム40秒であり、表面にフィラー浮きが起こりやすい低速の射出速度で実施した。成形品の鏡面を、フィラーの浮きによる不良(白化、表面の荒れ)がないか目視により評価した。
◎:白化、表面の荒れが全く無い。
○:白化、表面の荒れが目視の角度によりわずかに認められるが、実用上問題ない程度である。
△:白化、表面の荒れが認められる。
×:白化、表面の荒れが極めて目立つ。
上述の(4)外観評価で用いた平板成形品を、130℃に設定した棚式恒温乾燥機中に4時間置きアニール処理を行ったのち、成形品の鏡面を、フィラーの浮き等による不良(白化、表面の荒れ)がないか目視により評価した。
◎:白化、表面の荒れが全く無い。
○:白化、表面の荒れが目視の角度によりわずかに認められるが、実用上問題ない程度である。
△:白化、表面の荒れが認められる。
×:白化、表面の荒れが極めて目立つ。
樹脂組成物の耐熱性の指標として、熱変形温度(HDT)を用いた。射出成形機EC−100N(東芝機械社製)を用いてISO−3167の多目的試験片を成形し、ISO−75に従って荷重0.45MPaでHDTを測定した。
厚さ2mmに射出成形した平板成形品を用いて、蓄熱温度測定を実施した。
測定雰囲気23℃、湿度50%とした環境下において、平板成形品に照射距離400mmとして赤外線ランプ(250W)を照射し、30分経過後の平板成形品中央部の表面到達温度を非接触温度計(オプテックス社製赤外線サーモグラフィi5)にて測定した。
この到達温度の高低により、太陽光の照射による樹脂組成、顔料の違いにおける蓄熱性の影響を比較することができる。到達温度は低ければ低いほど好ましい。
なお、本測定値は太陽光が一様に照射した場合の到達温度であり、水準間の到達温度の高低の傾向は実際の環境下での傾向と変わらないが、実際の環境下では太陽光の集光による到達温度はさらに高いものとなる(水準間の温度差は太陽光の集光の場合、さらに大きくなる)。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(a):IV=0.83dl/g、酸価=30eq/t
ポリエチレンテレフタレート樹脂(b):IV=0.62dl/g、酸価=30eq/t
下記平均粒子径は、レーザー回折法により測定した値(重量(体積)累積粒度分布の50%径)を示す。
(B−1)タルク(平均粒子径:2.6μm):ミクロエースSG−95(日本タルク社製)
(B−2)タルク(平均粒子径:12.0μm):タルカンPK−C(林化成社製)
(B−3)沈降性硫酸バリウム(平均粒子径:0.7μm):B−54(堺化学工業社製)
(B−4)硫酸バリウム(平均粒子径:11.6μm):BMH−100(堺化学工業社製)
(B−5)炭酸カルシウム(平均粒子径:1.8μm):SCP E−#2010(林化成社製)
(B−6)炭酸カルシウム(平均粒子径:20.0μm):SCP E−#45(林化成社製)
(B−7)二酸化チタン(平均粒子径(二次粒子径):0.6μm):PF−739(石原産業社製)
(C−1)ARUFON UG−4050(東亜合成社製、Mw:8500、エポキシ価0.67meq/g、屈折率1.55)
(C−2)ARUFON UG−4070(東亜合成社製、Mw:9700、エポキシ価1.4meq/g、屈折率1.57)
(D1−1)赤外線反射性無機顔料:IRR Black6350(Fe‐Cr系;アサヒ化成工業社製)
(D1−2)赤外線反射性無機顔料:Sicopal Black K 0095(Co‐Cr‐Fe‐Mn系;BASF社製)
(D1−3)有機顔料:Lumogen Black FK4280(ペリレン系;BASF社製)
(D1−4)有機顔料:CHROMOFINEBLACK A1103(イソインドリノン‐アゾ系、大日精化工業社製)
(D1−5)無機顔料:Black3250(Cu‐Cr‐Mn系;アサヒ化成工業社製)
(D2−1)有機染料マスターバッチ:PBF−TT2399B−PBT(PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂ベースの黒色染料マスターバッチ、複数の染料を混合した調色品、染料含有率10質量%;レジノカラー工業社製)、ペレット色相:Color−L=19.5、Color−a=−0.2、Color−b=−0.9
カーボンブラック(三菱化学社製)
トリグリセリンフルベヘン酸エステル:ポエムTR−FB(理研ビタミン社製)
安定剤;
酸化防止剤:Irganox1010(BASF社製)
表1〜3に示す組み合わせで配合した配合成分を、シリンダー温度260℃に設定した同方向二軸押出機でコンパウンドを行い、得られたストランドを水冷し、ペレット化した。得られた各ペレットを130℃で4時間乾燥し、上述の各評価試験に用いた。結果を表1〜3に記す。実施例3、6は、表1、表2の両方に記す。
表2に示すように、実施例3、6、13〜19の本発明の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物から得られる成形品は、いずれもカーボンブラックのみを使用した比較例7よりも高い反射率を示し、到達温度が低いことが分かる。有機染料の添加量が少ない実施例17、18は、実施例3と比べて、色相L*値が高かった。実施例19は、カーボンブラックの少量の添加により色相L*値が低くなった。
無機フィラーを含まない比較例1は、熱変形温度が低下した。
平均粒子径が3μm超の無機フィラーを使用した比較例2〜4は、実施例1〜11に比べ、外観、アニール後の外観がともに悪化した。良好な成形品が得られなかったため、反射率は測定しなかった。
無機フィラー(B)の添加量が規定の範囲よりも多い比較例5、6は、実施例1〜12に比べ、外観が悪化し、アニール後の外観がさらに悪化した。良好な成形品が得られなかったため、反射率は測定しなかった。
カーボンブラックを用いた比較例7は赤外光反射率が低く、到達温度が高かった。
多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)を含まない比較例8は、実施例3〜5に比べてフォギング性が悪かった。
Claims (3)
- ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、平均粒子径3μm以下の無機フィラー(B)0.005〜20質量部、多官能グリシジル基含有スチレン系ポリマー(C)0.05〜3質量部、非カーボンブラック系顔料(D1)0.05〜10質量部、及び有機染料(D2)0〜10質量部を含有するポリエステル樹脂組成物であって、前記非カーボンブラック系顔料(D1)が、Cu‐Cr‐Mn系、Co‐Fe‐Cr系、Fe‐Cr系、Mn‐Bi系、Co‐Cr‐Fe‐Mn系の複合酸化物系顔料、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、イソインドリノン系、キナクリドン系、ペリレン系の有機系顔料から選ばれた単独、もしくは2種以上のものであり、該ポリエステル樹脂組成物のCIE色差系のL*a*b*系による色相L*値が10以下であることを特徴とする自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物。
- ポリエステル樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂(a)とポリエチレンテレフタレート樹脂(b)とを質量比で100:0〜50:50の割合で含んでいる請求項1に記載の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物。
- 無機フィラー(B)が、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化チタンから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車のランプ部材用ポリエステル樹脂組成物。
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| JP2015122623A JP6583665B2 (ja) | 2015-06-18 | 2015-06-18 | 自動車ランプ部材用ポリエステル樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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