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JP6586018B2 - ロケット連結分離機構 - Google Patents
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Description

本発明は、ロケットの上段側構造体と下段側構造体とを互いに連結し分離するためのロケット連結分離機構に関する。
ロケットは、上下に分離可能な複数段に構成されている。各段には、ロケット推進系が設けられている。下方側の段から順に、ロケット推進系は、燃料の燃焼により燃焼ガスを下方へ噴出させる。各段のロケット推進系は、燃料を使い終わったら、上段側のロケット構造体から切り離される。このようにロケット推進系の使用と切り離しを繰り返して、ロケットは地上から宇宙へ上昇していく。
ロケット構造体を切り離すために、ロケットには、連結分離機構が設けられる。図1において、(A)は、ロケット全体を示し、(B)は、(A)の破線Xで囲んだ部分の拡大断面図であり、従来の連結分離機構を示す。
図1(B)に示す連結分離機構は、上段側の構造体51と下段側の構造体52とを互いに分離可能に連結する。連結分離機構は、上段側構造体51の外殻51aと下段側構造体52の外殻52aにそれぞれ設けたフランジ53,54、フランジ53,54同士を結合する金属バンド55、上段側と下段側の構造体51,52の間に配置されたバネ56などを有する。分離時には、例えば火工品(図示せず)を用いて、金属バンド55を分断する。この時、バネ56により、下段側構造体52が上段側構造体51から押し出される。このような連結分離機構は、例えば下記の非特許文献1に記載されている。
小田野淳次郎、峯杉賢治、「M−V型ロケットの構造・機構」、宇宙科学研究所報告、特集、第47号、2003年3月
ところで、分離された下段側構造体52の外殻52aが、上段側のロケット推進系57のノズル57a(図1を参照)に衝突する可能性がある。この衝突は、次の(A)または(B)のように生じる。
(A)上述のバネ56は、ロケットの周方向の複数箇所に設けられている。これらのバネ56の力にばらつきがあると、上述の衝突の起こる可能性がある。
(B)分離時に、ロケットの回転モーメント(ロケットの中心軸と交差する軸まわりのモーメント)が生じている場合がある。この回転モーメントによって、上述の衝突の起こる可能性がある。
分離時における下段側構造体52の外殻52aとノズル57aとの衝突でノズル57aの破損する可能性がある。
そこで、本発明の目的は、ロケットにおいて、分離された下段側構造体の外殻とノズルとの衝突によるノズルの破損を防止できるロケット連結分離機構を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明によると、ロケットの上段側構造体と下段側構造体とを互いに連結し分離するためのロケット連結分離機構であって、
上段側構造体は、ロケットの中心軸まわりに延びる上段側外殻と、上段側外殻の内部に配置されたロケット推進系と、を備え、該ロケット推進系は、上段側外殻よりも下方へ突出したノズルを有し、
下段側構造体は、前記中心軸をまわる周方向に延びる下段側外殻を備え、該下段側外殻の内側に前記ノズルが位置し、
ロケット連結分離機構は、
上段側外殻の下端部に連結され、前記周方向と直交する幅方向において前記ノズルと下段側外殻との間に位置する保護部材と、
前記保護部材を下段側外殻に連結する連結位置から、当該連結を解除する解除位置へ動作可能な連結部材と、
前記連結部材を連結位置から解除位置へ移動させる連結解除装置と、を備え、
前記保護部材は、前記ノズルを囲むように前記周方向に延び、前記周方向に互いに分離した又は接した複数の分割片から構成され、
各分割片の上端部が、上段側外殻の下端部に前記ロケットの軸方向に係合することにより、各分割片は上段側外殻に連結しており、
前記下段側外殻は、前記保護部材を介して上段側外殻に連結している、ロケット連結分離機構が提供される。
上述した本発明によると、下段側外殻は、保護部材を介して上段側外殻に連結している。したがって、連結解除装置が、連結部材による保護部材と下段側外殻との連結を解除すると、下段側外殻は、保護部材および上段側外殻から分離する。この時、下段側外殻がノズルに衝突することは、幅方向において下段側外殻とノズルとの間に位置する保護部材により防止される。
従来のロケットとその連結分離機構を示す。 本発明が適用可能なロケットを示す。 本発明の実施形態によるロケット連結分離機構を示す。 図2と図3のIV―IV矢視図であり、ロケットの断面全体の概略を示す。 図3において下段側構造体を分離する時の状態を示す。 上段側構造体と下段側構造体との連結部分付近を示す。 下段側構造体を分離した状態を示す。 連結部材と連結解除装置の他の構成例1を示す。 連結部材と連結解除装置の他の構成例2を示す。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図2は、本発明が適用可能なロケット1を示す。ロケット1は、上下に分離可能な複数段の構造体3A,3B,3Cを備える。各段の構造体3A,3B,3Cには、ロケット推進系5が設けられている。なお、最上段の構造体3Aにおいては、例えば、そのロケット推進系5よりも上方側に衛星6が設けられている。この場合、最上段の構造体3Aにおいて、そのロケット推進系5と衛星6とが互いに分離可能になっている。
図3は、図2の破線Xで囲んだ部分の拡大図である。図3は、本発明の実施形態によるロケット連結分離機構10を示す。ロケット連結分離機構10は、ロケット1の上段側構造体3Bと下段側構造体3Cとを互いに連結し分離するためのものである。
上段側構造体3Bは、図3に示すように、上段側外殻7とロケット推進系5を備える。上段側外殻7は、ロケット1の中心軸をまわる周方向(以下、単に周方向という)に延びている。上段側外殻7は、円筒形であるのがよい。ロケット推進系5は、上段側外殻7の内部に配置されている。ロケット推進系5は、上段側外殻7(の下端)よりも下方へ突出したノズル5aを有する。ロケット推進系5は、燃料を燃焼させることにより燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスをノズル5aから下方へ噴出させる。これにより、ロケット1に推力を与える。
下段側構造体3Cは、下段側外殻9を備える。下段側外殻9は、周方向に延びている。下段側外殻9の上端部付近において、下段側外殻9の上端部の内側には、上段側構造体3Bのロケット推進系5のノズル5aが位置している。
ロケット連結分離機構10は、保護部材11、連結部材13、および連結解除装置15を備える。
保護部材11は、上段側外殻7の下端部7aに連結されている。保護部材11は、下端部7aから下方へロケット1の軸方向(以下、単に軸方向という)に延びている。保護部材11は、周方向と直交する幅方向(本実施形態では、ロケット1の半径方向)において上段側構造体3Bのノズル5aと下段側外殻9との間に位置する(以下、ロケット1の半径方向を単に半径方向という)。保護部材11は、このノズル5aを囲むように周方向に延びている。本実施形態では、保護部材11は円筒形である。
図4は、図2と図3のIV―IV矢視図であり、ロケット1の断面全体を示す。保護部材11は、図4のように、周方向に互いに隣り合う複数の分割片11Aから構成されている。ここで、保護部材11は、2つ以上(好ましくは、3つ以上)の分割片11Aから構成されていればよい。図4において、保護部材11と後述の滑走案内部17と下段側外殻9とノズル5a以外の図示を省略している。図3は、複数の分割片11Aのうち1つの分割片11Aのみを図示しているが、他の分割片11Aも図3の分割片11Aと同じ構成を有する。
各分割片11Aの上端部が、上段側外殻7の下端部7aに軸方向に係合していることにより、各分割片11Aは上段側外殻7に連結している。そのために、上段側外殻7の下端部7aの内周面には、窪み7bが形成されている。一方、各分割片11Aの上端部には、半径方向外方に突出した嵌合部11aが形成されている。嵌合部11aが窪み7bに嵌合することにより、保護部材11は、下端部7aに軸方向に係合する。
各分割片11Aは、図4において半径方向内側へ移動しようとすると互いに引っ掛かることにより、嵌合部11aは窪み7bから抜けないようになっている。例えば、各分割片11A(対象分割片11Aという)の外周縁の周方向寸法が、この分割片11Aの周方向両側に位置する2つの分割片11A(隣接分割片11Aという)の内周縁の周方向間隔よりも大きい。したがって、対象分割片11Aは、隣接分割片11Aの周方向間隔を半径方向内側へ通過できない。
なお、図3と図4の状態への組み立ては、例えば次のように行われる。まず、上段側外殻7を、保護部材11のように周方向において複数の分割片に分割しておく。複数の分割片11Aを互いに組み付けて円筒形の保護部材11を構成する。次いで、上段側外殻7の複数の分割片を、保護部材11に組み付ける。これにより、円筒形の保護部材11の各分割片11Aの嵌合部11aが、円筒形の上段側外殻7の窪み7bに挿入された状態(図3と図4の状態)にすることができる。
また、次のように組み立ててもよい。上段側外殻7は、分割されていなくてよい。円筒形に組んだ複数の分割片11Aを適宜の手段(例えばワイヤ)で互いに緩く仮止めして、この円筒形がある程度保たれるようにする。次いで、複数の分割片11Aを、上段側外殻7に組み付ける。すなわち、複数の分割片11Aの嵌合部11aを、上段側外殻7の窪み7bに挿入する。この時、複数の分割片11Aは互いの周方向端面が引っ掛かるので、この挿入が可能となるように分割片11Aを強い力で撓ませてよい。次いで仮止めを解除する。
組み立てを容易にするため、下段側外殻9は、軸方向において、図3の環状ガスシール部19付近で上側部分と下側部分とに分割されていてもよい。この場合、上段側外殻7と保護部材11とを互いに組み付けた後、下段側外殻9の上側部分を連結部材13で保護部材11に連結する。次いで、下段側外殻9の上側部分と下側部分とを互いに結合させる。
保護部材11の強度は、次のように低くてもよい。保護部材11を介して、下段側構造体3Cは、上段側構造体3Bに連結している。その一方、下段側外殻9における環状の上端面9aは、上段側外殻7における環状の下端面7cに接する。したがって、下段側構造体3Cのロケット推進系5によりロケット1の推力を発生させている時、この推力は、下段側外殻9における環状の上端面9aから上段側外殻7における環状の下端面7cへ直接伝達する。そのため、保護部材11は、推力の伝達経路から外れる。よって、保護部材11は、下段側構造体3Cから上段側構造体3Bへ推力を伝達させるのに必要な強度を有していなくてもよい。
保護部材11は、軽量な材料で形成されているのがよい。例えば、上段側外殻7と下段側外殻9を形成する材料よりも軽量な(すなわち、密度が低い)材料で形成されてよい。
連結部材13は、分割片11A毎に設けられる。各連結部材13は、分割片11Aを下段側外殻9に連結する。連結部材13は、保護部材11を下段側外殻9に連結する連結位置と、この連結を解除する解除位置との間で動作可能である。
本実施形態では、連結部材13は、分割片11Aに対して半径方向に移動可能に分割片11Aに取り付けられている。すなわち、連結部材13は、半径方向へ移動可能に分割片11Aに嵌合している。図3の例では、分割片11Aには、半径方向の貫通穴11bが形成されており、連結部材13は、貫通穴11bに嵌合している。なお、連結部材13は、半径方向に移動可能に、分割片11Aの下端部に適宜の手段により嵌合していてもよい。
下段側外殻9の内周面には、係合穴9bが形成されている。連結部材13が連結位置にある状態では、連結部材13の先端部が係合穴9bに挿入されている。これにより、下段側外殻9(すなわち、下段側構造体3C)は、保護部材11を介して、上段側外殻7(すなわち、上段側構造体3B)に連結されている。連結部材13は、ピン状の部材であることが好ましい。
各分割片11Aは、上述のように上段側外殻7に軸方向に係合しているので、保護部材11を介して、上段側構造体3Bと下段側構造体3Cとを、互いに十分な結合力で連結させられる。
連結用の弾性部材14は、分割片11A毎に設けられる。弾性部材14は、分割片11Aと連結部材13との間に設けられる。図3の状態で、弾性部材14の弾性力により、連結部材13は係合穴9bへ押されている。これにより、連結部材13が係合穴9bから抜けることが防止される。図3の例では、弾性部材14は、内部を連結部材13が貫通しているコイルバネである。コイルバネ14の一端部は、分割片11Aの外面12に係止され、コイルバネ14の他端部は、連結部材13の拡径部13aに係止されている。図3でコイルバネ14は圧縮されている。なお、弾性部材14は、板ばねであってもよいし、他の弾性体であってもよい。
連結解除装置15は、弾性部材14に抗して、連結部材13を係合穴9bから引き抜いて解除位置へ移動させることにより、連結部材13による保護部材11と下段側外殻9との連結を解除する。その結果、下段側外殻9(すなわち、下段側構造体3C)は、保護部材11と上段側外殻7(すなわち、上段側構造体3B)から分離する。
連結解除装置15は、ワイヤ15aと滑車15bとドラム15cとモータ15dを備える。ワイヤ15aの一端部は、連結部材13に固定されている。ワイヤ15aの中間部分は滑車15bに掛けられている。ワイヤ15aの他端側部分はドラム15cに巻かれる。滑車15bとドラム15cは、それぞれ、自身の軸まわりに回転自在に保護部材11に取り付けられている。モータ15dがドラム15cを回転駆動することにより、ワイヤ15aをドラム15cに巻き取る。これにより、モータ15dは、ワイヤ15aを介して、連結部材13を係合穴9bから引き抜く。図5は、図3において上述のように連結部材13が係合穴9bから引き抜かれた状態を示す。
連結解除装置15の各構成要素(すなわち、ワイヤ15aと滑車15bとドラム15cとモータ15d)は、分割片11A毎に設けられてもよい。
代わりに、ワイヤ15aと滑車15bは、分割片11A毎に設けられるが、ドラム15cとモータ15dは、複数の分割片11Aに共通のものであってもよい。この場合、複数の分割片11Aの連結部材13にそれぞれ固定された複数のワイヤ15aの他端側部分は1つのドラム15cに巻かれている。モータ15dが、このドラム15cを回転駆動することにより、複数のワイヤ15aを1つのドラム15cに巻き取る。これにより、モータ15dは、複数のワイヤ15aを介して、複数の連結部材13を係合穴9bから引き抜く。
滑走案内部17は、分割片11A毎に設けられている。滑走案内部17は、分割片11Aの外周面に固定され周方向に延びている。複数の分割片11Aにそれぞれ設けられた複数の滑走案内部17は、軸方向から見た場合に全体として環状であってよい。滑走案内部17は、下段側外殻9の内周面に接している。滑走案内部17は、保護部材11および上段側外殻7から分離した下段側外殻9を軸方向に円滑に滑走させる機能を有する。
図6は、図2の部分拡大斜視図であり、上段側構造体3Bと下段側構造体3Cとの連結部分付近を示す。図6において、下段側外殻9の一部の図示を省略している。
好ましくは、ロケット連結分離機構10は、さらに、加圧装置21と分離用の弾性部材29の一方または両方を備える。なお、本発明によると、加圧装置21と弾性部材29の一方または両方は無くてもよい。
加圧装置21は、内部空間S(図3を参照)を加圧する。内部空間Sは、上段側構造体3Bのロケット推進系5と、このロケット推進系5の外周面と上段側外殻7の内周面との間に設けられ周方向に延びて1周している環状ガスシール部18と、下段側構造体3Cのロケット推進系5と、このロケット推進系5の外周面と下段側外殻9の内周面との間に設けられ周方向に延びて1周している環状ガスシール部19などにより形成される。加圧装置21は、例えば、内部空間Sに設けられる。加圧装置21は、上段側構造体3Bに設けられた姿勢制御装置23の気蓄器23aを有していてよい。この場合、姿勢制御装置23は、気蓄器23a、液体燃料タンク23b、燃焼器23c、および、ノズル23dを含む。姿勢制御装置23は、下段側構造体3Cが上段側構造体3Bから分離された後に次のように使用される。気蓄器23aは、液体燃料タンク23bへ加圧ガスを供給する。これにより、液体燃料タンク23bから液体状の燃料(例えばヒドラジン)が燃焼器23cへ押し出される。燃焼器23cでは、燃焼器23cの触媒と燃料との反応により、燃焼ガスが発生する。この燃焼ガスがノズル23dから噴出されて、上段側構造体3Bの姿勢(向き)が変化する。
加圧装置21は、気蓄器23aにより構成される場合、さらに、配管23eとバルブ23fを有していてよい。配管23eは、気蓄器23aから延びている。この配管23eの一部(例えば配管23eの先端)に開口23e1が形成されている。バルブ23fは、開口23e1と気蓄器23aとの間に位置するように配管23eに設けられる。このバルブ23fを、適宜の駆動装置により開けることにより、加圧ガスが、気蓄器23aから内部空間Sへ供給される。その結果、内部空間Sが加圧される。なお、加圧装置21は、他の手段(例えば、高圧ガスが充填された別の気蓄器)により構成されてもよい。
加圧装置21が設けられる場合、上述の滑走案内部17が、内部空間Sをロケット1の外部から密閉するためのガスシールとしても機能する。すなわち、各滑走案内部17は、分割片11Aと下段側外殻9との隙間を塞ぐように周方向に延びている。
また、加圧装置21が設けられる場合、内部空間Sをロケット1の外部から密閉するために必要な他の箇所にもガスシール部が設けられる。本実施形態では、ガスシール部25,27が設けられる。
複数のガスシール部25は、図3に示すように、上段側外殻7と複数の分割片11Aとの間にそれぞれ設けられ周方向に延びている。複数のガスシール部25は、軸方向から見た場合に全体として環状になっている。
ガスシール部27は、図6のように、周方向に隣り合う分割片11A同士の境界に設けられる。ガスシール部27は、この境界を塞ぐように、分割片11Aの軸方向寸法の全体にわたって軸方向に延びている。このような境界の数だけガスシール部27が設けられる。すなわち、分割片11Aの数がn個である場合には、境界の数もn個であるので、n個のガスシール部27がn個の境界にそれぞれ設けられる。
また、図3の例では、貫通穴11bの内周面と、連結部材13との間にも、ガスシール部(図示せず)が設けられる。
弾性部材29は、各保護部材11と下段側外殻9とを互いに軸方向に離間させる弾性力を両者に作用させるように設けられる。弾性部材29は、好ましくは、コイルバネである。弾性部材29は、例えば図3のように、下段側外殻9の内面から突出した部分と、保護部材11の下端面との間に配置されてよい。
上述したロケット連結分離機構10による上段側構造体3Bと下段側構造体3Cとの分離動作は、次の(1)〜(4)の順に行われる。
(1)まず、ロケット1が地上から打ち上げられて、下段側構造体3Cに設けたロケット推進系5が燃焼ガスをノズル5aから噴出している時点を想定する。この時点では、ロケット連結分離機構10は、図3と図6に示す状態にある。
(2)この状態から、下段側構造体3Cに設けたロケット推進系5からの燃焼ガスの噴出が終了する。この時、図5のように、連結解除装置15により、各分割片11Aの連結部材13が係合穴9bから同時に引き抜かれる。
(3)これにより、下段側外殻9が、保護部材11から分離する。すなわち、下段側構造体3Cが上段側構造体3Bから分離する。この時、下段側外殻9は、滑走案内部17上を滑走することにより保護部材11に沿って移動する。これにより、下段側外殻9は、上段側構造体3Bから軸方向へ離れていく。
(4)上記(3)のように下段側構造体3Cが分離すると、各分割片11Aの下端側部は、半径方向に変位する。その結果、各分割片11Aの嵌合部11aは、窪み7bから外れる。
上記(4)において、分割片11Aは、例えば、次のように半径方向に変位または変形する。分割片11Aは、下段側外殻9(下段側構造体3C)から滑走案内部17を介して力を受ける。この力は、上記(3)の時に生じているロケット1の回転モーメント(ロケット1の中心軸と交差する軸まわりのモーメント)により生じる。
滑走案内部17は、上述のようにガスシールとして機能する場合には、上記(4)で、各分割片11Aの下端側部は、次のように半径方向に変位してもよい。滑走案内部17は、弾性材料(例えばゴム)で形成されている。上記(3)の以前において、滑走案内部17は、下段側外殻9と保護部材11との間で半径方向に圧縮されている。上記(3)での下段側構造体3Cの分離により、滑走案内部17は、圧縮状態から半径方向に解放される。この解放の勢いにより、分割片11Aの下端側部は、上記(4)で、半径方向に変位する。
内部空間Sが加圧装置21により加圧されている場合には、上記(4)で、各分割片11Aの下端側部は、内部空間Sの圧力により半径方向に変位する。
なお、上記(4)において、分割片11Aが、万一、上段側外殻7から分離しなくても問題はない。
加圧装置21が設けられている場合には、上記(2)の時までに、加圧装置21により内部空間Sが加圧されている。したがって、上記(3)において、内部空間Sの圧力により、保護部材11に対する下段側外殻9の軸方向の移動が促される。この移動は、弾性部材29によっても促される。また、上記(4)において、内部空間Sの圧力により、各分割片11Aは半径方向外側へ飛ばされる。
上記(1)〜(4)の順でロケット連結分離機構10が動作するように、ロケット連結分離機構10(連結解除装置15、加圧装置21など)を制御する制御装置が、ロケット1に設けられてよい。
(実施形態の作用効果)
上述した実施形態によると、上段側外殻7の下端部7aに連結した保護部材11は、ノズル5aと下段側外殻9との間に位置する。したがって、下段側外殻9の分離時に、保護部材11は、下段側外殻9がノズル5aに衝突することを防止できる。
連結部材13が下段側外殻9の係合穴9bに挿入されていることにより、保護部材11と下段側外殻9とを互いに連結できる。連結解除装置15は、係合穴9bから連結部材13を引き抜くことにより、保護部材11と下段側外殻9との連結を解除できる。
保護部材11は、複数の分割片11Aから構成されているので、上記(4)のように各分割片11Aを上段側外殻7から分離できる。この分離により、上段側構造体3Bの重量に保護部材11の重量が加わることを回避できる。
分離した分割片11Aは、上段側構造体3Bにおけるロケット推進系5のノズル5aに衝突する場合もあり得る。これについて、分割片11Aは、連結解除装置15により下段側外殻9から分離されている。したがって、下段側構造体3Cよりも大幅に軽量な分割片11Aが、ノズル5aに衝突しても、衝撃が小さい。よって、ノズル5aの破損が防止される。
内部空間Sが加圧される場合、内部空間Sの圧力は、下段側構造体3C全体には、下方へ作用する。これにより、上記(3)において、上段側構造体3Bに対する下段側外殻9(すなわち、下段側構造体3C)の相対加速度が大きくなる。したがって、分離時に許容される残留推力が大きくなる。残留推力は、燃え残り燃料の燃焼ガスによる推力を意味する。燃え残り燃料は、下段側構造体3Cのロケット推進系5の燃え残り燃料(この例では、固体推進薬)であって、速やかに完全に燃え尽きずに次第に少なくなっていく燃料である。上段側構造体3Bから分離した下段側構造体3Cが残留推力の影響で上段側構造体3Bに衝突することを防ぐために、下段側構造体3Cのロケット推進系の残留推力が許容される値まで小さくなってから、下段側構造体3Cを上段側構造体3Bから分離する。
また、内部空間Sの圧力は、半径方向外方へ各分割片11Aに作用する。したがって、上記上記(4)において分離した分割片11Aは、内部空間Sの圧力により、半径方向外方へ移動する。よって、分割片11Aがノズル5aに衝突することを防止できる。
さらに、弾性部材29の弾性力により、上記(3)において、上段側構造体3Bに対する下段側外殻9の相対加速度が大きくなる。したがって、この弾性力によっても、分離時に許容される残留推力が大きくなる。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例1〜7のいずれかを採用してもよいし、変更例1〜7の2つ以上を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で説明しない点は上述と同じである。
(変更例1)
保護部材11を構成する複数の分割片11Aの少なくともいずれかに対して連結部材13が設けられていればよい。例えば、1つの分割片11Aに対してのみ連結部材13が設けられてもよい。
あるいは、保護部材11を構成する複数の分割片11Aの一部となる2つ以上の分割片11Aに対してのみ連結部材13が設けられてもよい。この場合、上述した図3の構成に関して、ドラム15cとモータ15dは、これら2つ以上の分割片11Aに共通のものであってもよい。すなわち、上述したように、2つ以上の分割片11Aに対してそれぞれ設けた複数の連結部材13から延びているワイヤ15aが1つのドラム15cに巻かれる。
(変更例2)
上段側構造体と下段側構造体は、それぞれ、図2の構造体3Aと構造体3Bであってもよい。この場合、上述において、上段側構造体3Bと下段側構造体3Cは、それぞれ、上段側構造体3Aと下段側構造体3Bに読み替えられる。
(変更例3)
内部空間Sは、ロケット1を地上から打ち上げるまでに予め加圧されていてもよい。この場合には、上述の加圧装置21を省略してよい。
(変更例4)
上述では、ロケット1は、3段の構造体3A,3B,3Cから構成されていたが、2段または4段以上の構造体から構成されていてもよい。この場合、上述した上段側構造体と下段側構造体は、ロケット1の隣接する任意の2つの構造体であってよい。
(変更例5)
上述では、各分割片11Aの上端部に嵌合部11aが設けられ、上段側外殻7の下端部7aに窪み7bが設けられていた。本発明によると、各分割片11Aの上端部は、上段側外殻7の下端部7aに軸方向に係合していればよい。例えば、各分割片11Aの上端部に設けた幅方向(半径方向)の窪みまたは穴に、上段側外殻7の下端部7aに設けた突出部が幅方向に嵌合していることにより、各分割片11Aの上端部は、上段側外殻7の下端部7aに軸方向に係合していてもよい。
(変更例6)
連結部材13と連結解除装置15は、上述の構成に限定されない。連結部材13は、保護部材11を下段側外殻9に連結する連結位置から、この連結を解除する解除位置へ動作可能であればよい。連結解除装置15は、連結位置から解除位置へ連結部材13を移動させるものであればよい。例えば、連結部材13と連結解除装置15の構成として、以下の他の構成例1または2を採用してもよい。
<構成例1>
図8(A)は、図3の一部に相当するが、連結部材13と連結解除装置15の構成例1を示す。連結部材13は、軸C1まわりに回転可能に下段側外殻9に取り付けられている。
連結部材13は、図8(A)では連結位置にある。すなわち、図8(A)の状態で、連結部材13は、分割片11Aと軸方向に係合している。
図8では、弾性部材14は、軸C1を中心として図8(A)の時計回りに連結部材13に弾性力を与えている。これにより、連結部材13は連結位置へ保持されている。
このような連結部材13と弾性部材14は、分割片11A毎に設けられてもよいし、一部の分割片11Aに対して設けられてもよい。複数の連結部材13が設けられる場合には、これらの連結部材13は、周方向に整合して配置される。
連結解除装置15は、弾性部材14に抗して、連結部材13を解除位置へ回転移動させる。図8(B)では、連結部材13は解除位置にある。連結解除装置15は、モータ15eを備える。複数の連結部材13が設けられる場合には、連結解除装置15は、さらにワイヤ15fを備える。ワイヤ15fは、周方向に延びる環状であり、複数の連結部材13に掛けられている。各連結部材13には、周方向に貫通する溝または穴(図8では穴)が設けられ、これらの溝または穴にワイヤ15fが通されている。したがって、図8のように、1つのモータ15eが、対応する連結部材13を図の反時計回りに回転させることにより、ワイヤ15fを介して複数の連結部材13が連結位置から解除位置へ回転移動させられる。
なお、弾性部材29は、図8では図示を省略しているが、図8と異なる周方向位置に設けられてよい。
<構成例2>
図9(A)は、図3の一部に相当するが、連結部材13と連結解除装置15の構成例2を示す。図9(B)は、図9(A)のB−B矢視図である。
図9(B)に示すように分割片11Aには、周方向に延びる第1溝31と軸方向に延びる第2溝32が形成されている。第1溝31と第2溝32は互いにつながっている。第2溝32は、分割片11Aの下端に開口している。第1溝31と第2溝32は、幅方向(半径方向)に分割片11Aを貫通していてよい。
連結部材13は、図9(A)(B)において幅方向(半径方向)に第1溝31に挿入されており、連結位置にある。連結部材13は、連結位置にある時には、第2溝32から周方向にずれた位置にある。
連結解除装置15は、連結位置から解除位置へ連結部材13を周方向に移動させる。図9(C)は、図9(B)において、連結部材13が解除位置へ移動した状態を示す。
このような連結解除装置15は、ボールネジとナットを用いて、モータの回転を直線運動に変換するアクチュエータであってよい。この場合、連結解除装置15は、モータと、モータの出力シャフトに形成された雄ねじに螺合するナットを有する。ナットは、回転不可能であるがモータの出力軸の方向には移動可能に下段側外殻9に取り付けられている。ナットは連結部材13に固定されている。この構成で、モータの回転をナットと連結部材13の直線運動(すなわち、周方向の移動)に変換する。
構成例2において、連結部材13と連結解除装置15は、分割片11A毎に設けられてもよいし、一部の分割片11Aに対して設けられてもよい。
(変更例7)
本発明によると、保護部材11は、周方向に互いに分離した又は接した複数の分割片11Aから構成されていればよい。この場合、周方向に隣り合う分割片11Aが、周方向に隙間なく互いに接していてもよいし、図4のように、周方向に隣り合う分割片11A同士の間がガスシール部27で埋められていてもよいし、周方向に互いに分離した分割片11A同士の間に空間(例えば隙間)が設けられてもよい。
周方向に互いに分離した分割片11A同士の間に空間を設ける場合には、例えば図8連結部材15により、または他の拘束手段により、各分割片11Aを半径方向内側へ移動しないようにすることができる。これにより、嵌合部11aは窪み7bから抜けないようになる。上記他の拘束手段としては、例えば図3において連結部材13が、貫通穴11bと係合穴9bにきつく嵌る構成を採用してもよい。または、図9(A)(B)において、軸方向に延びている、連結部材13の部分が、分割片11Aの内周面に接する構成を上記他の拘束手段として採用してもよい。
分割片11A同士の間に空間を設ける場合には、分割片11Aを小さくできる。したがって、分割片11Aがノズル5aに衝突した場合にノズル5aの破損する可能性がさらに低くなる。なお、この場合には、加圧装置21やガスシール部27は省略される。
1 ロケット、3A,3B,3C 構造体、5 ロケット推進系、5a ノズル、6 衛星、7 上段側外殻、7a 下端部、7b 窪み、7c 下端面、9 下段側外殻、9a 上端面、9b 係合穴、10 ロケット連結分離機構、11 保護部材、11A 分割片、11a 嵌合部、11b 貫通穴、12 外面、13 連結部材、13a 拡径部、14 弾性部材(コイルバネ)、15 連結解除装置、15a ワイヤ、15b 滑車、15c ドラム、15d モータ、17 滑走案内部、18,19 環状ガスシール部、21 加圧装置、23 姿勢制御装置、23a 気蓄器、23b 液体燃料タンク、23c 燃焼器、23d ノズル、23e 配管、23e1 開口、23f バルブ、25,27 ガスシール部、29 弾性部材、31 第1溝、32 第2溝、S 内部空間

Claims (6)

  1. ロケットの上段側構造体と下段側構造体とを互いに連結し分離するためのロケット連結分離機構であって、
    上段側構造体は、ロケットの中心軸まわりに延びる上段側外殻と、上段側外殻の内部に配置されたロケット推進系と、を備え、該ロケット推進系は、上段側外殻よりも下方へ突出したノズルを有し、
    下段側構造体は、前記中心軸をまわる周方向に延びる下段側外殻を備え、該下段側外殻の内側に前記ノズルが位置し、
    ロケット連結分離機構は、
    上段側外殻の下端部に連結され、前記周方向と直交する幅方向において前記ノズルと下段側外殻との間に位置する保護部材と、
    前記保護部材を下段側外殻に連結する連結位置から、当該連結を解除する解除位置へ動作可能な連結部材と、
    前記連結部材を連結位置から解除位置へ移動させる連結解除装置と、を備え、
    前記保護部材は、前記ノズルを囲むように前記周方向に延び、前記周方向に互いに分離した又は接した複数の分割片から構成され、
    各分割片の上端部が、上段側外殻の下端部に前記ロケットの軸方向に係合することにより、各分割片は上段側外殻に連結しており、
    前記下段側外殻は、前記保護部材を介して上段側外殻に連結している、ロケット連結分離機構。
  2. 前記連結部材を前記連結位置へ保持するように前記連結部材に弾性力を与える弾性部材を備え、
    前記連結解除装置は、前記弾性部材に抗して、前記連結部材を前記解除位置へ移動させる、請求項1に記載のロケット連結分離機構。
  3. 前記保護部材の外周面に固定され周方向に延びる滑走案内部を備え、
    該滑走案内部は、下段側外殻の内周面に接している、請求項1または2に記載のロケット連結分離機構。
  4. 上段側外殻と下段側外殻とにより形成される内部空間は、ロケットの外部に対して密閉されており、
    前記内部空間は、予め加圧されており、または、前記内部空間を加圧する加圧装置が設けられる、請求項3に記載のロケット連結分離機構。
  5. 前記滑走案内部は、前記保護部材と下段側外殻との隙間を塞ぎ、
    前記周方向に隣り合う前記分割片同士の境界に設けられ、該境界を塞ぐように前記ロケットの軸方向に延びているガスシール部を備える、請求項4に記載のロケット連結分離機構。
  6. 分割片毎に設けられ、分割片と下段側外殻とを互いに軸方向に離間させる弾性力を両者に作用させる分離用の弾性部材を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロケット連結分離機構。
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