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JP6587608B2 - 化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布およびその製造方法 - Google Patents
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JP6587608B2 - 化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布およびその製造方法 - Google Patents

化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化粧料を含浸させ、人体の皮膚等に貼り付けて使用されるシート(本発明において「化粧料含浸皮膚被覆シート」と言う)の基材として用いられる不織布およびその製造方法ならびにかかる不織布を用いた化粧料含浸皮膚被覆シートに関する。
美容・コスメティック分野において、フェイスマスク等の化粧料含浸皮膚被覆シートが製造販売されている。化粧料含浸皮膚被覆シートの基材には、コットン、ビスコースレーヨン繊維等の親水性繊維を主体とした不織布が一般的には使用されている。このような不織布製の化粧料含浸皮膚被覆シートの基材は、一般的に白色であり、化粧料を含浸した状態(以下、本明細書において単に「湿潤状態」とも言う)においても白色に近い色を呈する。
近年、使用していることが目立ちにくい、換言すれば、顔に貼り付けていても、貼り付けていないかのような見た目(肌の色が透けて見えるような状態)が得られるフェイスマスクに対する要望が高まってきている。このようなフェイスマスクの基材には、湿潤状態での透明感が高い不織布が利用される。湿潤状態での透明感が高い不織布としては、湿潤状態での透明感が高くなりやすい繊維、具体的には、無機化合物の含有量、言い換えるならば灰分を極力少なくしたセルロース系繊維を用い、このセルロース系繊維からなる不織布が知られている(特許文献1を参照のこと)。
国際公開第2013/187404号
しかしながら、セルロース系繊維のみから成る不織布(特に、セルロース系再生繊維のみから成る不織布、以下も同様)は、繊維同士の交絡のみで不織布の形状が維持されているため、不織布の機械的強度が低く、湿潤時には乾燥時より一層低くなる。例えば、セルロース系再生繊維の1つであるビスコースレーヨンは、ビスコースレーヨンに含まれる無機化合物(具体的には酸化チタンや酸化亜鉛といった無機化合物が挙げられる)の含有量をできる限り低減することで、湿潤状態において高い透明感を示すものの、このビスコースレーヨン繊維のみで構成された不織布は湿潤状態において乾燥状態に比べて強度が低下することが知られている。かかる不織布を基材に用いて化粧料を含浸させたシートは、わずかな力、例えば商品パッケージからシートを取り出す際に不織布に加えられる力や、折り畳まれたシートを展開する際に不織布に加えられる力でも、シートが伸び、形状が崩れてしまうというおそれがある。また、セルロース系繊維のみから成る不織布は、弾性(コシ)に乏しく、その傾向は湿潤状態において顕著に現れる。かかる不織布を基材に用いて化粧料を含浸させたシートは、折り畳まれた状態から展開し難く、皮膚に装着するまでに時間がかかるおそれや、無理に広げようとして、強い力でシートを引っ張るため、形が崩れやすくなるというおそれもある。
透明感が得られやすい繊維、具体的には無機化合物の含有量を極力少なくしたセルロース系繊維のみから成る不織布において、機械的強度や弾性を高めて、湿潤状態での取扱性を向上させるには、不織布の目付を高くする(高目付にする)ことが考えられる。しかしながら、目付を高くすると、湿潤状態での透明感が低下するため、所期の目的に沿わなくなる。単に湿潤状態での透明感を高めるためだけには、不織布の目付は低い(低目付である)ほどよいが、湿潤状態での取扱性が低下する。
本発明の目的は、化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布であって、化粧料を含浸した状態(湿潤状態)において、高い透明感を示し、かつ取扱性が向上した不織布およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の更なる目的は、かかる不織布を用いた化粧料含浸皮膚被覆シートを提供することにある。
本発明の1つの要旨によれば、1層以上のセルロース系混合繊維層を含む不織布であり、
上記1層以上のセルロース系混合繊維層は、各層中にて、第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で含み、構成繊維の交点の少なくとも一部が、熱接着性繊維によって熱接着されており、
上記第1のセルロース系繊維は、繊維長が20mm以上、110mm以下であり、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、およびトリアセテートから成る群から選択される少なくとも1種であり、下記(a)または(b)の条件:
(a)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下(0質量%も含む)であり、灰分が5質量%以下(0質量%も含む)であるセルロース系繊維
(b)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、灰分が5質量%より大きく50質量%以下であるセルロース系繊維
を満たし、
上記不織布は、全体で25g/m2以上、48g/m2以下の目付を有し、
上記不織布全体における、第1のセルロース系繊維の含有量が40.5質量%以上であり、熱接着性繊維の含有量が8質量%以上である化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布が提供される。
熱接着性繊維は、芯鞘型複合繊維を含んでいてよい。例えば、芯鞘型複合繊維は、第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を含む芯部と、該第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有する第2のポリオレフィン系樹脂を含む鞘部とから構成され得る。
熱接着性繊維は、分割型複合繊維に由来する繊維を含んでいてよい。例えば、分割型複合繊維は、第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂と、該第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有する第2のポリオレフィン系樹脂との組み合わせから構成され得る。
第1のセルロース系繊維は、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、および銅アンモニアレーヨンから成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の1つの態様において、化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布は、1層の上記セルロース系混合繊維層から成るものであってよい。
本発明のもう1つの態様において、1層の上記セルロース系混合繊維層と、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維もしくは繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維層、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布層とが積層されていてよい。また、2層の上記セルロース系混合繊維層の間に、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維もしくは繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維層、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布層が積層されていてもよい。
本発明のこの態様において、上記化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布全体における、第2のセルロース系繊維もしくは第3のセルロース系繊維または熱可塑性樹脂系繊維の含有量が50質量%以下であることが好ましい。
上記別のセルロース系繊維層が、第2のセルロース系繊維としてパルプ繊維を50質量%より多く含み得る。
本発明のもう1つの要旨によれば、上述した本発明の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法であって、
各シート中にて、第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で含む、1枚以上のセルロース系混合繊維シートであって、上記第1のセルロース系繊維は、繊維長が20mm以上、110mm以下であり、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、およびトリアセテートから成る群から選択される少なくとも1種であり、下記(a)または(b)の条件:
(a)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であるセルロース系繊維
(b)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、灰分が5質量%より大きく50質量%以下であるセルロース系繊維
を満たす、1枚以上のセルロース系混合繊維シートを、
場合により、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維もしくは繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維シート、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布シートと共に、
押圧処理および熱処理に付して、該1枚以上のセルロース系混合繊維シートおよび該別のセルロース系繊維シートまたは該長繊維不織布シートをそれぞれ上記1層以上のセルロース系混合繊維層および上記別のセルロース系繊維層または上記長繊維不織布層とし、これにより得られる不織布の表面を平滑化し、ならびに、熱接着性繊維の少なくとも一部を溶融させて、構成繊維の交点の少なくとも一部を熱接着性繊維によって熱接着することを含む、製造方法が提供される。
押圧処理は、上記1枚以上のセルロース系混合繊維シートを、場合により上記別のセルロース系繊維シートまたは上記長繊維不織布シートと共に、一対のロール間に通すことによって実施され得る。
本発明の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法は、押圧処理および熱処理の前に、上記1枚以上のセルロース系混合繊維シートを、場合により上記別のセルロース系繊維シートまたは上記長繊維不織布シートと共に、水流交絡処理に付すことを更に含んでいてよい。
押圧処理は、上記1枚以上のセルロース系混合繊維シートおよび場合により上記別のセルロース系繊維シートまたは上記長繊維不織布シートに対して、湿潤状態にて実施するものであってよい。
本発明の更なる要旨によれば、上述した本発明の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布を基材とし、該基材100質量部に対して、化粧料が150質量部以上、2500質量部以下の範囲内にある割合で含浸されている、化粧料含浸皮膚被覆シートもまた提供される。
本発明によれば、化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布において、第1のセルロース系繊維として、繊維長が20mm以上、110mm以下であり、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、およびトリアセテートから成る群から選択される少なくとも1種であり、下記(a)または(b)の条件:
(a)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であるセルロース系繊維
(b)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、灰分が5質量%より大きく50質量%以下であるセルロース系繊維
を満たすものを選択し、かかる第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で含むセルロース系混合繊維層を用いて、構成繊維の交点の少なくとも一部を、熱接着性繊維によって熱接着し、不織布全体について、目付を25g/m2以上、48g/m2以下とし、第1のセルロース系繊維の含有量を40.5質量%以上とし、熱接着性繊維の含有量を8質量%以上としている。
これにより、化粧料を含浸した状態(湿潤状態)において、高い透明感を示し、かつ取扱性が向上した化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布が提供される。また、本発明によれば、かかる化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法およびこれを用いた化粧料含浸皮膚被覆シートも提供される。
本発明の実施例4における不織布のセルロース系混合繊維層の切断面の走査型電子顕微鏡写真(150倍)である。
本発明の不織布は、化粧料含浸皮膚被覆シートの基材として用いられる、化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布であって、1層以上のセルロース系混合繊維層を含んで構成される。以下、本発明の2つの実施形態における化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布およびその製造方法ならびに該不織布を用いた化粧料含浸皮膚被覆シートについて詳述する。
なお、本発明において、用語「化粧料含浸」は、化粧料を含浸させるのに好適であることを意味し、「化粧料」のみに限定する意図で用いるものではなく、「化粧料」と置換可能な他の液状物、例えば「薬剤」等を含浸させてもよい。
[実施形態1]
本実施形態は、1層のセルロース系混合繊維層から構成される単層タイプの化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布およびその製造方法ならびにかかる不織布を用いた化粧量含浸皮膚被覆シートに関する。
セルロース系混合繊維層は、第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で(但し、これらの合計は100質量%を超えない)含み、構成繊維の交点の少なくとも一部が、熱接着性繊維によって熱接着されて成る。
第1のセルロース系繊維は、セルロースをベースに構成され、具体的には、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、およびトリアセテートから成る群から選択される少なくとも1種であり、かつ、繊維長が20mm以上、110mm以下であり、繊維が含有する無機成分、すなわち灰分に関する以下の2つの条件(a)および(b)のうち、いずれかを満たす。
(a)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であるセルロース系繊維
(b)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、灰分が5質量%より大きく50質量%以下であるセルロース系繊維
なお、本発明において、セルロース系繊維に関して、灰分とは、JIS L1015 8.20(2010)に準拠した方法、あるいは後述する方法で測定される灰分を言う。灰分は、所定の対象繊維中の全無機化合物(屈折率によらない)の含有量を表しているものと考えられる。
また、本発明において、無機化合物の屈折率は、屈折率ベッケ線法によって求められる。屈折率ベッケ線法は、プレパラート上に無機化合物の粉末をセットし、分散液を滴下した後、顕微鏡により無機化合物の縁の内側と外側に生じるベッケ線を目視により観察する。この時、鏡筒を上下させ、ベッケ線が確認できるまで、分散液の屈折率を調節し、分散液の屈折率から無機化合物の屈折率を求める方法である。
かかる第1のセルロース系繊維は、湿潤状態で高い透明感を示し得る。よって、セルロース系混合繊維層が、第1のセルロース系繊維を主成分として(50質量%以上で)含むことは、最終的に得られる不織布の湿潤状態における透明感向上に寄与する。セルロース系混合繊維層(本実施形態においては、即ち不織布全体)における第1のセルロース系繊維の含有量は、50質量%以上であればよいが、より高い透明感を得るには、より高いほうが好ましく、不織布全体の目付にもよるが、例えば60質量%以上、更には70質量%以上であってよい。
セルロース系再生繊維は、セルロースを溶解して繊維状に再生したものを言う。セルロース系再生繊維は、繊維中に含まれる無機化合物の量、すなわち灰分や、無機化合物の組成にもよるが、湿潤状態において特に高い透明感を示しやすいので、好ましい。本発明に使用可能なセルロース系再生繊維としては、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース(または精製セルロースとも称す)、および銅アンモニアレーヨンが挙げられ、これらはいずれも親水性であり、湿潤状態において特に高い透明感を示す。なかでも、ビスコースレーヨンを用いる場合に、後述する取扱性向上の効果が著しい。溶剤紡糸セルロースは、リヨセルとも呼ばれ、テンセル(登録商標)等の名称で上市されている。銅アンモニアレーヨンは、キュプラとも呼ばれる。セルロース系再生繊維の繊維断面は、略円形、角形、菊花状などの任意の形態であってよいが、例えば略円形または菊花状であってよい。セルロース系再生繊維が菊花状の繊維断面を有する場合、最終的に得られる不織布は、顔面等の皮膚に対して、湿潤状態において特に高い密着性(フィット性)を示すという利点がある。菊花状の繊維断面は、ビスコースレーヨンである場合に好適に得ることができる。他方、セルロース系再生繊維が略円形の繊維断面を有する場合、光の乱反射が低減され得、最終的に得られる不織布は、湿潤状態において特に高い透明感を示し得るという利点がある。略円形の繊維断面は、溶剤紡糸セルロースまたは銅アンモニアレーヨンである場合に好適に得ることができる。セルロース系半合成繊維は、セルロースを化学反応に付して繊維状に合成したものを言う。本発明に使用可能なセルロース系半合成繊維としては、ジアセテートおよびトリアセテートが挙げられる。
本発明でいう第1のセルロース系繊維は、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下である。本発明とは異なり、一般的な不織布に用いられるビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、トリアセテートには、光沢を抑えるための艶消剤(または紫外線遮蔽剤とも呼ばれ得る)として酸化チタンや酸化亜鉛などの屈折率が高い無機化合物の粉末が紡糸時の原料に添加されている。しかしながら、かかる無機化合物を多く含むセルロース系繊維は、湿潤状態における透明感が低くなる。したがって、本発明でいう第1のセルロース系繊維は、屈折率が1.6以上の無機化合物を極力含んでいないことが好ましく、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下でなければならない。屈折率が1.6以上の無機化合物の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、などが挙げられる。かかるセルロース系繊維として、いわゆる「ブライト」に分類される繊維を使用することができる。これに対して、いわゆる「ダル」や「セミダル」に分類される繊維は、酸化チタンの含有量が比較的多く、一般的には、「ダル」で約1質量%程度、「セミダル」で0.5〜0.6質量%程度であり、好ましくない。屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量は0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明で使用可能な第1のセルロース系繊維は、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量について上記の条件を満たし、かつ灰分が5質量%以下の繊維である。すなわち、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量を極力抑えつつ、セルロース系繊維に占める灰分すなわち全無機化合物の量を低く抑えたセルロース系繊維が挙げられる。このようなセルロース系繊維は湿潤状態における透明感が高く、灰分すなわち全無機化合物の含有量が低いため、親水性が高く、保水性・保液性に優れている。この条件を満たす第1のセルロース系繊維の具体例として、ダイワボウレーヨン(株)より販売されている『BHレーヨン』、レンチング社より販売されている『テンセル(登録商標)スキン』が挙げられる。
本発明で使用可能な別の第1のセルロース系繊維は、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量について上記の条件を満たし、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、かつ灰分が5質量%より大きく、50質量%以下の繊維である。すなわち、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量を極力抑えつつ、低屈折率の無機化合物を含有させたセルロース系繊維が挙げられる。このようなセルロース系繊維は湿潤状態における透明感が高く、灰分すなわち全無機化合物の含有量が高いため、繊維が柔軟な繊維となり、得られる不織布も柔軟な不織布になる。屈折率が1.6未満の無機化合物の例としては、二酸化ケイ素、二酸化ケイ素を主成分とする鉱物(例えば珪藻土)、ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。この条件を満たす第1のセルロース系繊維の具体例として、ダイワボウレーヨン(株)より販売されている『FR』、『FRL』が挙げられる。
第1のセルロース系繊維は、親水性を有していることが好ましいことから、カルボキシル基またはカルボキシメチル基を実質的に含まないものが好ましい。
第1のセルロース系繊維の繊維長は、20mm以上、110mm以下の範囲で適宜選択され得る。かかる繊維長は、嵩高く、良好な手持ち感および取扱性を得ることができ、また、後述する水流交絡処理により繊維間を交絡させ易く、手で持ったときにコシがありつつも、手触りが柔らかで、透明感の高いシートを得ることができる。第1のセルロース系繊維は、いわゆるステープル繊維であってよい。第一のセルロース系繊維の繊維長は28mm以上、96mm以下であることが好ましく、32mm以上、72mm以下であることがより好ましく、38mm以上、64mm以下であることが特に好ましい。
第1のセルロース系繊維の繊度は、高い透明感を得る観点からは、太いほうが好ましい。繊度が太いと、繊維本数が減り、光の乱反射が低減されると考えられる。しかしながら、繊度が太すぎると、皮膚への密着性(フィット性)が低下し得、肌あたりが悪くなり(チクチクし)得る。第1のセルロース系繊維の繊度は特に限定されないが、例えば0.4dtex以上、4.4dtex以下であり、好ましくは0.6dtex以上、3.3dtex以下であり、特に好ましくは0.8dtex以上、2.8dtex以下である。
熱接着性繊維は、熱処理により少なくとも部分的に溶融する繊維を言う。熱処理温度は、熱接着性繊維の成分に応じて適宜選択可能である。かかる熱接着性繊維によって、セルロース系混合繊維層を構成する繊維の交点の少なくとも一部が熱接着(固定)される。セルロース系混合繊維層が、熱接着された繊維交点(固定点)を多数有することは、最終的に得られる不織布の湿潤状態における取扱性(機械的強度、弾性等、ひいては湿潤状態での展開性および耐伸び性)向上に寄与する。セルロース系混合繊維層(本実施形態においては、即ち化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布全体)における熱接着性繊維の含有量は、8質量%以上、40質量%以下であればよいが、より高い取扱性を得るには、最終的に得られる不織布の湿潤状態における透明感を損ねない範囲で高いほうが好ましく、例えば9質量%以上、37質量%以下であってよく、10質量%以上、35質量%以下であるとより好ましく、10質量%以上、32質量%以下であると特に好ましい。
熱接着性繊維は、典型的には合成繊維であり、融点が比較的高い(例えば140℃を超える)熱可塑性樹脂の成分(以下、「高融点成分」)と、融点がそれより低い(例えば140℃以下)熱可塑性樹脂の成分(以下、「低融点成分」)とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を占める複合繊維であることが好ましい。融点は、繊維にした後の樹脂の融点であり、JIS K7121(1987)に準じて測定したDSC曲線より求め得る。かかる複合繊維を、高融点成分の融点未満かつ低融点成分の融点以上の温度で熱処理することにより、高融点成分を残存させつつ低融点成分を溶融させて他の繊維と融着できるので、繊維間をしっかりと接合することができる。
高融点成分は、低融点成分と十分な融点差、好ましくは5℃以上の融点差、より好ましくは10℃以上の融点差を有し、低融点成分を溶融する温度で熱により変形等しないものであることが好ましい。高融点成分は、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂であってよく、低融点成分は、それより低い融点を有するポリオレフィン系樹脂であってよい。高融点成分/低融点成分の具体的な組み合わせとしては、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。ポリエチレンには、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が含まれる。
より詳細には、熱接着性繊維は、芯鞘型複合繊維であってよい。芯鞘型複合繊維は、芯部と鞘部とで異なる2つの成分から成る複合繊維であり、芯部と鞘部の配置は特に限定されない、すなわち、繊維断面において、芯成分が1箇所に存在する単芯であってもよいし、芯成分が2箇所以上に存在する多芯であってもよい。また、繊維断面において芯成分と鞘成分の位置関係が、芯成分と鞘成分が同心円状に配置されている同心円型であってもよいし、芯成分が偏って配置されている偏心型であってもよいし、芯成分と鞘成分が並ぶように配置された並列型(サイドバイサイドとも称す)であってもよい。本発明の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布において、より少ない熱接着繊維の含有量で、不織布全体を均一に、ある程度強力に繊維間を熱接着する必要があるため、繊維表面に低融点成分が均一に分布している、同心円型の繊維断面を有する芯鞘型複合繊維を用いることが好ましい。
芯鞘型複合繊維は、例えば、第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂(高融点成分)を含む芯部と、該第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の融点(高融点成分)より低い融点を有する第2のポリオレフィン系樹脂(低融点成分)を含む鞘部とから構成されていてよい。具体的には、高融点成分はポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等であってよく、好ましくはポリプロピレンであり、低融点成分は高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1等であってよく、好ましくは高密度ポリエチレンである。
芯鞘型複合繊維の繊度は、高い透明感を得る観点からは、太いほうが好ましい。繊度が太いと、繊維本数が減り、光の乱反射が低減されると考えられる。しかしながら、繊度が太すぎると、熱接着される繊維交点(固定点)の数が減るため、取扱性の向上効果が低減するおそれがある。加えて、芯鞘型複合繊維の繊度が太すぎると不織布の触感が硬くなったり、不織布を肌に接触させたときに刺激感(例えばチクチクとした触感)が強くなり、化粧料含浸皮膚被覆シートの基布として適さなくなったりするおそれがある。芯鞘型複合繊維の繊度は、例えば0.5dtex以上、4.0dtex以下であり、より好ましくは0.8dtex以上、3.6dtex以下であり、特に好ましくは1.2dtex以上、2.8dtex以下であり、1.4dtex以上、2.6dtex以下であると最も好ましい。
また、熱接着性繊維は、分割型複合繊維に由来する繊維であってよい。分割型複合繊維は、2以上の成分から成る複合繊維であって、分割により1本の繊維から複数本のより繊度の小さい繊維を形成し得る繊維である。「分割型複合繊維に由来する繊維」とは、分割型複合繊維の分割により形成された、分割前の一つのセクションのみから成る単一繊維、および2以上のセクションから成る繊維のほか、1本の分割型複合繊維の一部が分割されているが、他の部分において全く分割していない繊維を指す。あるいは、セルロース系混合繊維層中に分割型複合繊維の分割により形成された繊維が含まれる限りにおいて、1本の分割型複合繊維が全く分割されていないことがある場合に、そのような全く分割されていない分割型複合繊維も、分割型複合繊維に由来する繊維に含まれる。
分割型複合繊維は、具体的には、繊維断面において構成成分のうち少なくとも1成分が2個以上に区分されてなり、構成成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、その露出部分が繊維の長さ方向に連続的に形成されている繊維断面構造を有する。
例えば、分割型複合繊維は、第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂(高融点成分)と、該第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂(高融点成分)の融点より低い融点を有する第2のポリオレフィン系樹脂(低融点成分)との組み合わせから構成されていてよい。具体的には、高融点成分はポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等であってよく、好ましくはポリエチレンテレフタレートであり、低融点成分は高密度ポリエチレン低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1等であってよく、好ましくは高密度ポリエチレンである。
分割型複合繊維の繊度は、各成分に分割したときに(即ち、各セクションが一本の繊維となったときに)、繊度0.6dtex以下、好ましくは繊度0.5dtex以下の極細繊維を与えるものであれば、特に限定されない。本発明においては、分割型複合繊維に由来する繊維として、低融点成分から成る極細繊維が含まれ、これが繊維同士の交点の少なくとも一部を熱接着している。低融点成分から成る極細繊維の繊度が0.6dtex以下であると、熱接着点が小さいために、不織布が過度に硬くなりにくいため、不織布の風合いが損なわれにくい。
そのような極細繊維を発生させるために、分割型複合繊維の繊度は、好ましくは、1.1dtex以上、5.8dtex以下であり、より好ましくは、1.3dtex以上、4.8dtex以下であり、さらにより好ましくは、1.4dtex以上、3.6dtex以下であり、最も好ましくは1.6dtex以上、2.8dtex以下である。また、分割型複合繊維における各成分への分割数(即ち、複合繊維におけるセクションの数)は、例えば、4以上、32以下であることが好ましく、4以上、20以下であることがより好ましく、6以上、16以下であることが最も好ましい。分割数が小さいと、繊度0.6dtex以下の極細繊維を形成するために、分割前の繊度を小さくする必要がある。極細繊維の繊度の下限は、特に限定されないが、0.05dtex以上であることが好ましい。
セクションの形状は特に限定されない。例えば、分割型複合繊維は、楔形のセクションが菊花状に並べられたものであってよい。あるいは、分割型複合繊維は、繊維断面において各セクションが層状に並べられたものであってよい。また、分割型複合繊維は繊維断面を観察したとき長さ方向に連続する空洞部分を有さない、いわゆる中実分割型複合繊維であってよく、あるいは長さ方向に連続する1箇所以上の空洞部分を有する、いわゆる中空分割型複合繊維であってもよい。
上記のような芯鞘型複合繊維または分割型複合繊維を構成する低融点成分と高融点成分との容積比は、特に限定されないが、例えば2:8〜8:2、好ましくは3:7〜7:3、より好ましくは35:65〜65:35(低融点成分:高融点成分)であってよい。
セルロース系混合繊維層(本実施形態においては、即ち不織布全体)における熱接着性繊維の含有量は、8質量%以上、40質量%以下の範囲内で適宜選択され得るが、熱接着性繊維が芯鞘型複合繊維である場合には8質量%以上、35質量%以下であることが好ましく、熱接着性繊維が分割型複合繊維に由来する繊維である場合には12質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、このように好ましい含有量の範囲が異なる理由は、分割型複合繊維のほうが分割により繊度が細くなってしまうため、芯鞘型複合繊維と同程度の弾性(コシ)向上効果を得るには、より多く添加する必要があることによると考えられる。
熱接着性繊維の繊維長は、特に限定されず、例えば20mm以上、110mm以下であってよいが、好ましくは、地合の均一な繊維ウェブが容易に得られ、後述する水流交絡処理により繊維間を交絡させ易い長さ、代表的には28mm以上、96mm以下であってよい。熱接着繊維の繊維長は32mm以上、72mm以下であるとより好ましく、38mm以上、64mm以下であることが特に好ましい。
なお、前記熱接着性繊維、すなわち、前記芯鞘型複合繊維、または分割型複合繊維は、得られる化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の透明感を阻害しないようにするため、第1のセルロース繊維と同じく、灰分が特定の条件を満たすことが好ましい。すなわち、前記熱接着性繊維は、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であることが好ましい。熱接着性繊維の灰分が前記条件を満たすことで、熱接着性繊維によって、本発明の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の透明感が熱接着性繊維に起因して低下しにくくなる。
セルロース系混合繊維層は、本発明の効果が阻害されない、すなわち湿潤状態における透明感や取扱性が低下しない範囲において、第1のセルロース系繊維および熱接着性繊維に加えて、他の繊維を含んでいてよい。かかる他の繊維の例としては、パルプ、麻、シルク、およびウールなどの天然繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、およびエチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド系繊維、ならびにアクリル系繊維等の合成繊維およびその改質物が挙げられる。なお、第1のセルロース系繊維および熱接着性繊維以外の繊維(前記他の繊維)を使用する場合、得られる化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の透明感を損なわないようにするため、他の繊維も第1のセルロース繊維と同じく、灰分が前記の条件を満たすことが好ましい。すなわち、前記他の繊維は、屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であることが好ましい。他の繊維の灰分が前記条件を満たすことで、他の繊維によって、本発明の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の透明感が熱接着性繊維に起因して低下しにくくなる。
本実施形態における不織布は、上記の通り説明したセルロース系混合繊維層の単層から成る。本実施形態の単層タイプの不織布の目付(実測目付)は、全体で25g/m2以上、48g/m2以下とし、好ましくは28g/m2以上、46g/m2以下であり、より好ましくは32g/m2以上、44g/m2以下であり、特に好ましくは34g/m2以上、42g/m2以下である。これにより、湿潤状態で高い透明感を示し、かつ、取扱性(湿潤状態での展開性および耐伸び性)が向上した不織布を実現することができる。
かかる本実施形態の不織布は、次のようにして製造し得る。
まず、繊維長が20mm以上、110mm以下である第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で含むセルロース系混合繊維シートを準備する。第1のセルロース系繊維および熱接着性繊維については上記と同様の説明が当て嵌まる。但し、この段階では、構成繊維の交点は熱接着性繊維によって未だ熱接着されておらず、熱接着性繊維として分割型複合繊維を用いる場合には未分割であり得る。このセルロース系混合繊維シートは、上述したセルロース系混合繊維層の前駆体であり、特に説明のない限り、セルロース系混合繊維層と同様の説明が当て嵌まる。
かかるセルロース系混合繊維シートは、ウェブの形態であっても、交絡および/または接着などにより繊維間が結合された不織布の形態であってもよく、いずれの形態の場合にも単層であっても、2つ以上の積層体であってもよい。セルロース系混合繊維シートがウェブである場合、例えばカードウェブであってよく、より詳細には、パラレルウェブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等であってよく、好ましくはパラレルウェブである。エアレイドウェブや湿式ウェブでは完全にランダム配向になるのに対して、カードウェブでは配向性を付与することができるので、高い透明感を得るのに適する。特にパラレルウェブでは、繊維が一方向、特に縦方向(MD)に配向する繊維が多くなり、湿潤状態においてより高い透明感を得ることができる。
次に、このセルロース系混合繊維シート1枚のみから成る単層体(以下、単に「単層体」と言う)を水流交絡処理(スパンレース)に付す。水流交絡処理は、単層体を支持体の上に載せ、これに対して柱状水流を噴射して、繊維同士を交絡させることにより実施できる。水流交絡処理は、例えば単層体を途中で(支持体ごと)反転させて、上面側および下面側の双方から柱状水流を噴射してもよい。
最終的に得られる不織布において高い透明感を得るためには、その表面は、押圧処理前においてもできるだけ平滑にしておくことが好ましい。水流交絡処理は、例えばニードルパンチなどの他の交絡方法に比べて、高い平滑性が得られるので好ましい。
水流交絡処理は、一般的には、水圧が1MPa以上、10MPa以下の水流を用いて実施され得る。しかし、交絡後の単層体の平滑性を向上させるためには、比較的低い水圧条件とすることが好ましい。例えば、水圧は1MPa以上、7MPa以下とすることが好ましい。また、かかる水圧条件によれば、最終的に得られる不織布において高い伸長性を得ることもできる。
その後、単層体を押圧処理および熱処理に付して、これにより得られる不織布の表面(上面および下面)を平滑化し、ならびに、熱接着性繊維の少なくとも一部を溶融させて、構成繊維の交点の少なくとも一部を熱接着性繊維によって熱接着する。
押圧処理は、単層体を一対のロール間に通して実施するのが、連続処理が可能となるので好ましい。また、押圧処理は、単層体が湿潤状態にあるときに行うことが好ましい。セルロース系繊維の強度は湿潤状態のほうが低いため、また、セルロース系繊維同士の水素結合が湿潤によって切断されるため、湿潤状態において押圧処理を行うことによって、より高い平滑性を得ることができる。押圧処理に際して単層体に含浸させる液状物は、特に限定されず、例えば水または任意の水性組成物等であってよい。簡便には、水流交絡処理の後に続けて押圧処理を実施してよく、この場合、水流交絡処理に用いた水が単層体に含浸されて湿潤状態を形成している。湿潤状態での押圧処理は、湿潤状態にある単層体を一対のロール間に通して実施するものであってよく、この場合、単層体はロール間を通ることにより押圧されると共に、単層体に含浸されている液状物が部分的に除去されるものであってよい。湿潤状態にある単層体を一対のロール間に通して押圧処理を実施する場合、線圧150N/cm以上、550N/cm以下にて単層体を押圧することが好ましい。またあるいは、押圧処理は、例えば平板(平面)プレス等により実施してもよい。この場合、圧力0.1MPa以上、0.5MPa以下にて単層体を押圧することが好ましい。
熱処理は、熱接着性繊維によって繊維同士を熱接着させるため、熱接着性繊維が少なくとも部分的に溶融または軟化する温度で実施される。例えば、熱接着性繊維として複合繊維を用いた場合、複合繊維の低融点成分の融点以上、複合繊維の高融点成分の融点未満の温度で熱処理するとよい。また、熱処理温度をこの範囲内で変化させることによって、得られる不織布の風合い、強力、および伸長性を調節することも可能である。
押圧処理および熱処理は、順次実施しても、同時に実施してもよい。押圧処理および熱処理を順次実施する場合、その間に単層体を適宜乾燥させてもよい。乾燥温度は、好ましくは100℃以上、160℃以下に設定され、より好ましくは120℃以上、150℃以下、特に好ましくは130℃以上、145℃以下に設定される。
この結果、セルロース系混合繊維シートはセルロース系混合繊維層となり、これにより、本実施形態の不織布を製造することができる。
本実施形態の不織布は、化粧料含浸皮膚被覆シートの基材として好適に用いられ、液状の化粧料を含浸させて、人体の皮膚等に貼り付けて使用される。
液状の化粧料は、一般的に水性組成物であり、有効成分として、例えば、保湿成分、クレンジング成分、制汗成分、香り成分、美白成分、血行促進成分、紫外線防止成分、痩身成分等を含むことが好ましいが、これらに限定されるものでなく、皮膚に対して特定の作用を奏することが期待される任意の成分を含んでよい。
液状の化粧料の含浸量は、基材100質量部に対して、化粧料を150質量部以上、2500質量部以下、好ましくは400質量部以上、2000質量部以下の範囲とし得る。化粧料含浸量をこの範囲とすることによって、十分量の有効成分を皮膚に供給するとともに、液だれ等の使用時の不都合を回避することができる。最適な化粧料含浸量は、化粧料含浸皮膚被覆シートの性質、特に吸水性によって適宜決定する。好ましい態様においては、設定された使用時間中、化粧料含浸皮膚被覆シートの飽和量以上の化粧料が存在するように、化粧料含浸量が調整される。
化粧料含浸皮膚被覆シートは、フェイスマスクの形態であってよい。フェイスマスクは、顔を被覆するのに適した形状に加工され、例えば、目、鼻および口に相当する部分に、必要に応じて打ち抜き部または切り込み部が設けられる。あるいは、フェイスマスクは、顔の一部分(例えば、目元、口元、鼻または頬)のみを覆うような形状に加工してよい。あるいはまた、フェイスマスクは、2つまたはそれよりも多い部分を別々に覆うシートのセットとして提供してよい。
化粧料含浸皮膚被覆シートは1回以上折り畳まれた状態で、1枚または複数枚で、パッケージ(例えば包装袋または容器)に封入されていてよい。また、化粧料含浸皮膚被覆シートにおいて、液状の化粧量を含浸させた不織布の片面または両面にプラスチック製等のフィルムが積層されていてもよい。かかるフィルムは、使用(皮膚への貼り付け)に際して剥離されるものであってよい。
本実施形態の不織布は、湿潤状態において高い透明感を示しながらも、取扱性が向上し、伸びにくくなるので、化粧料を含浸させて折り畳まれた状態から展開しやすくなり、また、折り畳まれた状態から展開した際に生じる不織布の伸び、即ち、変形度合いを小さくできる。
[実施形態2]
本実施形態は、1層または2層のセルロース系混合繊維層と、別のセルロース系繊維層または長繊維不織布層とから構成される積層タイプの化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布およびその製造方法ならびにかかる不織布を用いた化粧量含浸皮膚被覆シートに関する。
まず、本実施形態の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の積層構造を成す、セルロース系混合繊維層と、これと択一的に組み合わされる別のセルロース系繊維層および長繊維不織布層について以下に説明する。
(セルロース系混合繊維層)
セルロース系混合繊維層については、実施形態1における説明と同様の説明が当て嵌まる。2層のセルロース系混合繊維層を用いる場合、各層につき、実施形態1における説明と同様の説明が当て嵌まり、これは互いに同じであっても、異なっていてもよい。但し、本実施形態においては、最終的に得られる不織布全体における、第1のセルロース系繊維の含有量を40.5質量%以上とし、熱接着性繊維の含有量が8質量%以上とする。不織布全体における第1のセルロース系繊維の含有量を40.5質量%以上、好ましくは50質量%以上とすることにより、不織布全体で、湿潤状態において高い透明感を示すことができる。また、不織布全体における熱接着性繊維の含有量を8質量%以上、好ましくは9質量%以上とすることにより、不織布全体で、湿潤状態における高い取扱性を得ることができる。不織布全体における第1のセルロース系繊維および熱接着性繊維の各含有量は、高い透明感と優れた取扱性を達成し得るように、不織布全体の目付に応じて選択することが好ましい。
(別のセルロース系繊維層)
別のセルロース系繊維層は、1層または2層の上記セルロース系混合繊維層と積層され、かつ、セルロース系混合繊維層と区別されるものである。別のセルロース系繊維層は、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維または繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む層である。第2のセルロース系繊維は、セルロースをベースに構成されており、かつ、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である限り、任意の適切な繊維を使用し得る。かかる第2のセルロース系繊維を50質量%以上含む別のセルロース系繊維層としては、第2のセルロース系繊維を主体とした湿式不織布が一例として挙げられ、かかる湿式不織布は保水性が高いため、化粧料含浸皮膚被覆シートを使用している際に、化粧料が垂れて落下する、『液だれ』を防ぐ効果が得られると考えられる。別のセルロース系繊維層における第2のセルロース系繊維の含有量は、50質量%以上を超えるものであればよいが、例えば60質量%以上、更には70質量%以上であってよい。
第2のセルロース系繊維は、例えばパルプ繊維であってよい。一般的に、パルプ繊維の繊度は、1.0〜4.0dtex程度、繊維長は0.8〜10mm程度であるが、この範囲外の繊度および/または繊維長を有するパルプ繊維を使用してもよい。パルプ繊維は、ある程度高い透明感を示し、かつ、湿潤状態において適度な強度と伸長性を示すので、最終的に得られる不織布の湿潤状態における透明感を高く維持しつつ、その取扱性の向上に寄与する。また、パルプ繊維は、保液性が高いという利点もある。
第3のセルロース系繊維は、セルロースをベースに構成されており、かつ、繊維長が110mmを超えるものである限り、任意の適切な繊維を使用できるが、好ましくは屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であることが好ましい。かかる第3のセルロース系繊維、特に屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下である第3のセルロース系繊維で構成された繊維層は湿潤状態における透明感が高いため、不織布全体を高目付にしても透明感が失われにくくなる。別のセルロース系繊維層における第3のセルロース系繊維の含有量は、50質量%以上を超えるものであればよいが、例えば60質量%以上、更には70質量%以上であってよい。
第3のセルロース系繊維は、例えば溶剤紡糸セルロースの長繊維または連続繊維(実質的に連続している繊維)、または銅アンモニアレーヨン(キュプラ)の長繊維または連続繊維であってよい。溶剤紡糸セルロースの長繊維や銅アンモニアレーヨンの長繊維は、高い透明感を示しやすいだけでなく、後述する水流交絡処理により、セルロース系混合繊維層と別のセルロース系繊維層との間にまたがって繊維間を強く交絡させ得るので、最終的に得られる不織布の透明感を高く維持しつつ、その取扱性の向上に寄与する。
第3のセルロース系繊維の繊度は、高い透明感を得る観点からは、太いほうが好ましい。繊度が太いと、繊維本数が減り、光の乱反射が低減されると考えられる。しかしながら、繊度が太すぎると、別のセルロース系繊維層の保水性が低下して、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用した際に液だれが発生しやすくなるおそれがあるだけでなく、太すぎる第3のセルロース系繊維の一部が不織布表面に露出している場合、不織布を肌に接触させたときに刺激感(例えばチクチクとした触感)が強くなり、化粧料含浸皮膚被覆シートの基布として適さなくなったりするおそれがある。第3のセルロース系繊維の繊度は、例えば0.1dtex以上であり、好ましくは0.3dtex以上であり、かつ、特に好ましくは4.4dtex以下である。
しかしながら、第2のセルロース系繊維および第3のセルロース系繊維は、上記の例に限定されず、セルロース系再生繊維、セルロース系半合成繊維、セルロース系天然繊維などのいずれの材料から成っていてもよく、その繊維長に応じて適宜選択され得る。
別のセルロース系繊維層は、本発明の効果が阻害されない、すなわち湿潤状態における透明感や取扱性が低下しない範囲において、第2のセルロース系繊維または第3のセルロース系繊維に加えて、他の繊維を含んでいてよい。かかる他の繊維の例としては、麻、シルク、およびウールなどの天然繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、およびエチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド系繊維、ならびにアクリル系繊維等の合成繊維およびその改質物が挙げられる。なかでも親水性繊維、具体的には、麻、シルク、およびウールなどの天然繊維や、合成繊維に親水化処理を施したもの等が好ましい。
(長繊維不織布層)
長繊維不織布層は、別のセルロース系繊維層に代えて用いられ、1層または2層の上記セルロース系混合繊維層と積層され、かつ、セルロース系混合繊維層と区別されるものである。長繊維不織布層は、繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る不織布層である。
長繊維不織布層を構成する熱可塑性樹脂系繊維の灰分が0.5質量%以下であることで、この長繊維不織布層は湿潤状態での透明感が高い層、あるいは湿潤状態で透明感を阻害しにくい層になる。前記長繊維不織布層の灰分は0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が特に好ましく、0.15質量%以下が最も好ましい。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂系繊維に関して、灰分とは、JIS L1015 8.20(2010)に準拠した方法、あるいは後述する方法で測定される灰分を言う。灰分は、所定の対象繊維中の全無機化合物(屈折率によらない)の含有量を表しているものと考えられる。
長繊維不織布層は、灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂から製造された繊維長が110mmを超える繊維または連続繊維からなる不織布であれば特に限定されない(熱可塑性樹脂から製造された繊維は、合成繊維とも称され得る)。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンといったポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびその共重合体などから選択されるポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66などから選択されるポリアミド系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック;ならびにそれらのエラストマーといった合成樹脂が使用できる。このなかでも長繊維不織布を容易に製造できること、市販されている長繊維不織布の種類が多いこと、および、後述する熱処理で溶融しないことが好ましいといった点から、上記長繊維不織布層は、融点がそれぞれ140℃以上である、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の合成樹脂で製造された長繊維不織布であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂および/またはポリエステル系樹脂からなる長繊維不織布であることがより好ましい。長繊維不織布層の製造方法は特に限定されず、スパンボンド法で得られるスパンボンド不織布や、メルトブローン法で得られるメルトブローン不織布、またエレクトロスピニング法を用いて製造した不織布や、繊維長が110mmを超える繊維を用いて製造した不織布を、上記長繊維不織布層として用いることができるが、スパンボンド不織布またはメルトブローン不織布であることが好ましく、スパンボンド不織布であることがより好ましい。
長繊維不織布層の目付は特に限定されない。しかし、上記1層または2層のセルロース系混合繊維層と、この長繊維不織布層とを積層一体化させる際、セルロース系混合繊維層と長繊維不織布層とを交絡させたり、該長繊維不織布層を挟んでセルロース系混合繊維層の構成繊維同士を交絡させたりするためには、長繊維不織布層はある程度目の粗い、空隙が大きい不織布であるほうが好ましい。したがって、長繊維不織布層の目付は3g/m2以上、25g/m2以下であることが好ましい。長繊維不織布層の目付が3g/m2未満であると、このような不織布や、最終的に得られる化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布(積層体)について、生産性が悪化するおそれがある。長繊維不織布層の目付が25g/m2を超えると、得られる積層体の透明感が低下するおそれがある。長繊維不織布層の目付は5g/m2以上、20g/m2以下であることが好ましく、5g/m2以上、18g/m2以下であることがより好ましく、7g/m2以上、15g/m2以下が特に好ましい。
長繊維不織布層を構成する熱可塑性樹脂系繊維の繊度は特に限定されない。しかし、上記1層または2層のセルロース系混合繊維層と、この長繊維不織布層とを積層一体化させる際、セルロース系混合繊維層と長繊維不織布層とを交絡させたり、該長繊維不織布層を介してセルロース系混合繊維層の構成繊維同士を交絡させたりすること、また、得られる積層体の湿潤状態における透明感を考慮すると、長繊維不織布層を構成する熱可塑性樹脂系繊維の繊度は0.05dtex以上、18dtex以下であることが好ましい。長繊維不織布層を構成する熱可塑性樹脂系繊維の繊度が0.05dtex未満であると、長繊維不織布層が緻密な繊維層となり、他の繊維層との交絡性が低下したり、不織布全体の透明感が低下したりするおそれがある。長繊維不織布層を構成する熱可塑性樹脂系繊維の繊度が18dtexよりも大きくなると、不織布の風合いが硬くなったり、不織布が肌に触れた際の刺激が大きくなったりするおそれがある。長繊維不織布層を構成する熱可塑性樹脂系繊維の繊度は0.8dtex以上、15dtex以下であることがより好ましく、1.5dtex以上、12dtex以下であることが特に好ましく、3.0dtex以上、10dtex以下であることが最も好ましい。
(積層構造)
本実施形態における不織布は、実施形態1にて説明したセルロース系混合繊維と同様の1層または2層のセルロース系混合繊維層と、上記の通り説明した別のセルロース系繊維層または長繊維不織布層とから構成される。
より詳細には、1層のセルロース系混合繊維層と、別のセルロース系繊維層とが積層された不織布であってよい。また、2層のセルロース系混合繊維層(上側繊維層および下側繊維層)の間に、別のセルロース系繊維層(中間繊維層)が積層された不織布であってよい。いずれの場合にも、不織布全体における第2のセルロース系繊維または第3のセルロース系繊維の含有量は、50質量%以下であることが好ましい。第2のセルロース系繊維が多すぎると、湿潤状態における透明感が低下し得、第3のセルロース系繊維が多すぎると、湿潤状態における取扱性が低下し得る。
1層または2層のセルロース系混合繊維層と積層一体化させる繊維層が別のセルロース系繊維層である場合、この別のセルロース系繊維層は柔軟で保水性に優れる繊維層であることから、長繊維不織布層を使用した場合と比較して、柔軟な化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布になり、化粧料含浸皮膚被覆シートを着用して、ある程度時間が経過してもシートが乾燥しにくい化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布が得られる。
あるいは、1層のセルロース系混合繊維層と、長繊維不織布層とが積層された不織布であってもよい。また、2層のセルロース系混合繊維層(上側繊維層および下側繊維層)の間に、長繊維不織布層(中間繊維層)が積層された不織布であってもよい。いずれの場合にも、不織布全体における、繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維の含有量は、50質量%以下であることが好ましい。第2のセルロース系繊維が多すぎると、湿潤状態における透明感が低下し得、第3のセルロース系繊維が多すぎると、湿潤状態における取扱性が低下し得る。
1層または2層のセルロース系混合繊維層と積層一体化させる繊維層が長繊維不織布層である場合、この長繊維不織布層は強度に優れた不織布であることから、別のセルロース系繊維層を使用した場合と比較して、展開性(折り畳まれた状態からの開きやすさ)に優れ、使用時の伸びが小さい化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布が得られる。
本実施形態の積層タイプの不織布の目付(実測目付)は、全体で25g/m2以上、48g/m2以下とし、好ましくは28g/m2以上、46g/m2以下であり、より好ましくは32g/m2以上、44g/m2であり、特に好ましくは34g/m2以上、42g/m2以下である。これにより、湿潤状態で高い透明感を示し、かつ、取扱性(湿潤状態での展開性および耐伸び性)が向上した不織布を実現することができる。
かかる本実施形態の不織布は、次のようにして製造し得る。
まず、セルロース系混合繊維シートを、所望の積層構造に応じて1枚または2枚準備する。セルロース系混合繊維シートについては、実施形態1における説明と同様の説明が当て嵌まる。
また、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維または繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維シート、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布シートを準備する。
第2のセルロース系繊維および第3のセルロース系繊維については上記と同様の説明が当て嵌まる。この別のセルロース系繊維シートは、上述した別のセルロース系繊維層の前駆体であり、特に説明のない限り、別のセルロース系繊維層と同様の説明が当て嵌まる。
長繊維不織布シートを構成する、繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維については上記と同様の説明が当て嵌まる。この長繊維不織布シートは、上述した長繊維不織布層の前駆体であり、特に説明のない限り、長繊維不織布層と同様の説明が当て嵌まる。
かかる別のセルロース系繊維シートは、ウェブの形態であっても、交絡および/または接着などにより繊維間が結合された不織布の形態であってもよい。他方、長繊維不織布シートは、交絡および/または接着などにより繊維間が結合された不織布の形態である。別のセルロース系繊維シートおよび長繊維不織布シートのいずれの場合にも、各シートは、単層であっても、2つ以上の層の積層体であってもよい
別のセルロース系繊維シートが、第2のセルロース系繊維を50質量%より多く含むものである場合、かかるシートは、湿式ウェブまたは湿式不織布であることが好ましい。湿式ウェブまたは湿式不織布は、ウェブまたは不織布の表面方向と平行な繊維の割合が多く、例えばエアレイドウェブまたはエアレイド不織布に比べて高い平滑性を有するので、最終的に得られる不織布の透明感向上に寄与し、また、不織布表面の均一性(地合)も向上する。かかるシートが不織布である場合、市販の不織布を使用することも可能である。
別のセルロース系繊維シートが第2のセルロース系繊維を含む場合、第2のセルロース系繊維はパルプ繊維であってよい。別のセルロース系繊維シートがパルプ繊維から成る場合、積層体を形成するに際して、上述のようなウェブまたは不織布の形態に加えて、綿状のパルプ(フラッフ(fluff)パルプ)としても提供され得る。特に、パルプ繊維は、扁平状の繊維断面を有しており、これを含む湿式ウェブまたは湿式不織布は水流交絡したときに扁平面が積層された構成をとり、シート表面にパルプ繊維が露出しにくく、セルロース系混合繊維層の風合いに影響を及ぼしにくいので、好ましく用いられる。また、湿式不織布は、湿潤状態において比較的破断し易く、最終的に得られる不織布の耐伸び性の向上に寄与する。パルプ繊維を含む(または実質的にパルプ繊維から成る)湿式不織布には、紙が含まれる。紙には、パルプ繊維のみから成り、繊維同士がバインダーおよび/または水素結合により結合したティッシュ(ティッシュペーパーとも呼ばれる)が含まれる。また、紙には、波状または皺状に加工された、いわゆるクレープ紙も含まれる。
別のセルロース系繊維シートが第3のセルロース系繊維を含む場合、第3のセルロース系繊維は精製セルロース繊維や銅アンモニアレーヨン繊維の長繊維または連続繊維であってよい。別のセルロース系繊維シートが銅アンモニアレーヨン繊維の長繊維または連続繊維から成る場合、市販のセルロース系長繊維不織布、例えば商品名「ベンリーゼ」(旭化成せんい(株)製)などを使用してよい。
そして、1枚または2枚のセルロース系混合繊維シートと、別のセルロース系繊維シートまたは長繊維不織布シートとを積層する。
より詳細には、1層のセルロース系混合繊維シートと、別のセルロース系繊維シートとを積層して積層体としてよい。また、2層のセルロース系混合繊維シート(上側繊維シートおよび下側繊維シート)の間に、別のセルロース系繊維シート(中間繊維シート)を積層して積層体としてよい。
あるいは、1層のセルロース系混合繊維シートと、長繊維不織布シートとを積層して積層体としてよい。また、2層のセルロース系混合繊維シート(上側繊維シートおよび下側繊維シート)の間に、長繊維不織布シート(中間繊維シート)を積層して積層体としてよい。
次に、このようにして得られた1枚または2枚のセルロース系混合繊維シートと別のセルロース系繊維シートまたは長繊維不織布シートとを積層した積層体(以下、単に「積層体」と言う)を水流交絡処理(スパンレース)に付す。
その後、積層体を押圧処理および熱処理に付して、これにより得られる不織布の表面(上面および下面)を平滑化し、ならびに、熱接着性繊維の少なくとも一部を溶融させて、構成繊維の交点の少なくとも一部を熱接着性繊維によって熱接着する。
水流交絡処理、押圧処理および熱処理については、実施形態1において単層体について説明したものと同様の説明が当て嵌まる。
特に、別のセルロース系繊維シートが第2のセルロース系繊維を50質量%より多く含む場合、水流交絡処理を適用すると、別のセルロース系繊維シートの透明感および耐伸び性を高めることができ、ひいては最終的に得られる不織布全体の透明感および耐伸び性を一層高めることができる。その理由は、本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、次のように考えられる。水流交絡処理を適用すると、柱状水流が打たれた箇所は、繊維量が比較的少なくなり、これが不織布に筋状に現れることとなる。かかる繊維量が比較的少ない筋状箇所を本明細書において「筋状の低繊維密度部」と言うものとし、通常は縦方向(MD)に現れるが、これに限定されない。この筋状の低繊維密度部では、繊維量が比較的少ないため、湿潤状態において高い透明感が得られる。また、筋状の低繊維密度部では、繊維量が比較的少ないため、筋状の低繊維密度部の方向(通常は縦方向(MD))と直交する方向(通常は幅方向(CD))に伸長し易くなる。そして、別のセルロース系繊維シートが第2のセルロース系繊維を含む場合には、第2のセルロース系繊維は、繊維長が短く、かつ親水性であるために、柱状水流により抜け落ち易く、かつ水に流され易く、この結果、筋状の低繊維密度部において繊維量がとりわけ少なくなって、一層高い透明感および耐伸長性を得ることができると考えられる。最終的に得られるシートのうち、第1のセルロース系繊維を主成分とするセルロース系混合繊維層(3層構造の場合は上側繊維層および下側繊維層)は、上述したように、湿潤状態において特に高い透明感を示す。これに対して、第2のセルロース系繊維を主成分とする別のセルロース系繊維層(3層構造の場合は中間繊維層)は、透明感よりも、湿潤状態における液保持性(保液性)を担う機能を果たし得る。そして、上記のように水流交絡処理を適用した場合には、筋状の低繊維密度部において特に別のセルロース系繊維層の繊維量を効果的に低減できて、別のセルロース系繊維層の透明感および伸長性を高めることができ、ひいては最終的に得られるシート全体の透明感および伸長性を一層高めることができると考えられる。
以上の結果、セルロース系混合繊維シートと、別のセルロース系繊維シートまたは長繊維不織布シートとは、それぞれセルロース系混合繊維層と、別のセルロース系繊維層または長繊維不織布層となり、これにより、本実施形態の不織布を製造することができる。
本実施形態の不織布も、化粧料含浸皮膚被覆シートの基材として好適に用いられ、液状の化粧料を含浸させて、人体の皮膚等に貼り付けて使用される。液状の化粧料の含浸量は、基材100質量部に対して、化粧料を150質量部以上、2500質量部以下、好ましくは400質量部以上、2000質量部以下の範囲とし得る。化粧料含浸皮膚被覆シートについては、実施形態1における説明と同様の説明が当て嵌まる。
以上、本発明の2つの実施形態を通じて、本発明の不織布およびその製造方法ならびにかかる不織布を用いた化粧料含浸皮膚被覆シートについて説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の改変が可能である。
上述の実施形態1および2においては、押圧処理の前に水流交絡処理を実施するものとした。しかしながら、このことは、本発明の不織布の製造方法に必ずしも要しない点に留意されたい。例えば、好ましさは劣るが、押圧処理の後に水流交絡処理を実施しても、水流交絡処理に代えて他の交絡処理および/または繊維間結合処理、例えばケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ等を実施してもよい。
また、上述の実施形態2においては、1層または2層のセルロース系混合繊維層と1層の別のセルロース系繊維層または長繊維不織布層とから構成される積層構造を有する不織布について説明した。しかしながら、シートの透明感を著しく損なわない限り、この積層構造の片側または両側の表面や、隣接する2つの層の間などに、1つまたはそれ以上の他の層が存在していてもよい。またあるいは、1層のセルロース系混合繊維層を、2層の別のセルロース系繊維層または長繊維不織布層の間に積層して不織布を構成してもよい。
また、本発明によって得られる化粧料含浸皮膚被覆シートの用途は、フェイスマスクに限定されず、種々の用途に使用可能である。例えば、保湿成分を含む液状の化粧料を含浸させたシートを、首、肘または踵に貼付して使用してよい。あるいは、痩身成分を含む液状の化粧料を含浸させたシートを腹部または大腿部に貼付して使用してよい。あるいはまた、鎮痛消炎剤等の液状の薬剤を含浸させたシートを、肘、肩、腰または足首に貼付して使用することも可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。
本実施例および比較例において、セルロース系混合繊維シートに用いる第1のセルロース系繊維および熱接着性繊維、ならびに第2のセルロース系繊維を含む別のセルロース系繊維シートとして下記のものを用意した。
[第1のセルロース系繊維]
・レーヨン: 繊度1.7dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン(製造時のビスコース溶液に酸化チタンを添加せずに製造。灰分0.09質量%、商品名「BH」、ダイワボウレーヨン(株)製)
[熱接着性繊維]
・芯鞘A: 繊度1.7dtex、繊維長51mmのポリプロピレン(芯部)/高密度ポリエチレン(鞘部)から成る芯鞘型複合繊維(灰分0.05質量%、ヒュービス社(Huvis Corporation)製)
・芯鞘B: 繊度1.7dtex、繊維長51mmのポリプロピレン(芯部)/高密度ポリエチレン(鞘部)から成る芯鞘型複合繊維(灰分0.06質量%、商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック(株)製)
・芯鞘C: 繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリプロピレン(芯部)/高密度ポリエチレン(鞘部)から成る芯鞘型複合繊維(灰分0.06質量%、商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック(株)製)
・芯鞘D: 繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリプロピレン(芯部)/高密度ポリエチレン(鞘部)から成る芯鞘型複合繊維(灰分0.06質量%、商品名「NBF(H)」、ダイワボウポリテック(株)製)
・分割A: 繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート/高密度ポリエチレンの組み合わせから成る、分割数8の分割型複合繊維(分割により形成される繊維のうち最小の繊度を有するものの繊度は0.275dtex(商品名「DFS(SH)」、ダイワボウポリテック(株)製)
[第2のセルロース系繊維を含む別のセルロース系繊維シート]
・パルプ繊維100質量%から成る湿式不織布(目付17g/m2または26g/m2、平均繊維長5mm)、ハビックス(株)製
[繊維の灰分]
セルロース系繊維および熱可塑性樹脂系繊維の灰分は、JIS L1015 8.20(2010)に準拠した方法、あるいは後述する方法(手順)で測定することができる。より詳細には、かかる灰分は、JIS L1015 8.20(2010)に準拠した方法で測定できない(例えば、これに指定されている装置等を準備できない)場合や、より簡便に測定する場合に、以下の手順で測定することができる。
まず、るつぼを用意し、600℃に設定した電気炉にて1時間以上加熱し、冷却後の質量(るつぼの恒量:M(g))を測定する。次に灰分を測定する繊維(試料)を1〜10g用意し、その質量(試料の質量:M(g))を電子天秤にて測定する。次に、ガスバーナーを用い、恒量を測定したるつぼを2分間加熱し、るつぼを充分に加熱する。るつぼを充分に加熱した後、試料(質量を測定した繊維)を少し投入し、入れた繊維が黒い灰状になるまで加熱する。投入した繊維が黒い灰状になったら、残りの試料を少しずつ入れる動作を、試料(質量を測定した繊維)を全てるつぼに投入するまで繰り返す。
試料を全てるつぼに入れ、るつぼから煙が出なくなるまで加熱する。るつぼから煙が発生しなくなったら、少し隙間ができるように、るつぼに蓋をした後、マッフルの内部に入れ、再びガスバーナーにて1時間以上強熱する。試料が完全に白い灰状になったことを確認した後、マッフルからるつぼを取り出し、デシケーターに入れてからるつぼに蓋をして冷却する。冷却後、蓋を外して、るつぼと灰とを合わせた質量(M(g))を測定する。
よって、上記の試料を用いて得られた灰の質量は、M−M(g)であり、灰分(質量%)は下記の式で計算される。
[単層タイプの不織布]
(実施例1)
・セルロース系混合繊維シート(単層体)の作製
第1のセルロース系繊維として上記「レーヨン」80質量%と、熱接着性繊維として上記「芯鞘A」20質量%とを混合して、パラレルカード機を用いて、目付(ウェブ狙い目付)約35g/m2でパラレルウェブ(セルロース系混合繊維シート)を作製した。
・水流交絡処理
このウェブ(セルロース系混合繊維シートの単層体)をネット上に載置して速度4m/分で進行させながら、水流交絡処理に付した。水流交絡処理は、孔径0.10mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを備えたウォータージェット装置を用いて、単層体の上面に対して水圧1MPaおよび2MPaの柱状水流を1回ずつ噴射し、その後、同様のウォータージェット装置を用いて、単層体の下面に対して水圧1MPaおよび2MPaの柱状水流を1回ずつ噴射した。単層体の表面とオリフィスとの間の距離は15mmとした。ネットには、経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織りポリエチレンテレフタレート製ネットを用いた。
・押圧処理
水流交絡後の単層体を、一対のマングルロール間に通して線圧350N/cmで押圧処理に付した。
・乾燥処理および熱処理
その後、単層体を140℃の熱風に約1分間曝して、乾燥処理と熱処理とを同時に行った。この熱処理により、熱接着性繊維を構成する高密度ポリエチレンのみを溶融させて、高密度ポリエチレンによって構成繊維同士を熱接着して、不織布を得た。
(実施例2〜10、比較例1)
第1のセルロース系繊維の割合、熱接着性繊維の種類および割合(比較例1では使用せず)、ならびに目付(ウェブ狙い目付)を表1に示すとおりとしてウェブ(セルロース系混合繊維シートの単層体)を作製し、その後、実施例1で採用した条件と同じ条件で水流交絡処理、押圧処理および熱処理(乾燥処理を兼ねる)を実施して不織布を得た。
[積層タイプの不織布]
(実施例11)
・セルロース系混合繊維シートの作製
第1のセルロース系繊維として上記「レーヨン」80質量%と、熱接着性繊維として上記「芯鞘A」20質量%とを混合して、パラレルカード機を用いて、目付(ウェブ狙い目付)約11.5g/m2でパラレルウェブ(セルロース系混合繊維シート)を2枚作製した。
・積層体の作製
これら2枚のウェブ(セルロース系混合繊維シート)の間に、パルプ繊維100質量%から成る湿式不織布(目付17g/m2、平均繊維長5mm)(別のセルロース系繊維シート)を挟んで積層し、三層構造の積層体を作製した。
・水流交絡処理
この積層体(セルロース系混合繊維シート(上)/別のセルロース系繊維シート(中)/セルロース系混合繊維シート(下)から成る積層体)をネット上に載置して速度4m/分で進行させながら、水流交絡処理に付した。水流交絡処理は、孔径0.10mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを備えたウォータージェット装置を用いて、積層体の上面に対して水圧1MPaおよび2MPaの柱状水流を1回ずつ噴射し、その後、同様のウォータージェット装置を用いて、積層体の下面に対して水圧1MPaおよび2MPaの柱状水流を1回ずつ噴射した。積層体の表面とオリフィスとの間の距離は15mmとした。ネットには、経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織りポリエチレンテレフタレート製ネットを用いた。
・押圧処理
水流交絡後の積層体を、一対のマングルロール間に通して線圧350N/cmで押圧処理に付した。
・乾燥処理および熱処理
その後、積層体を140℃の熱風に約1分間曝して、乾燥処理と熱処理とを同時に行った。この熱処理により、熱接着性繊維を構成する高密度ポリエチレンのみを溶融させて、高密度ポリエチレンによって構成繊維同士を熱接着して、不織布を得た。
(実施例12、比較例2〜6)
第1のセルロース系繊維の割合、熱接着性繊維の種類および割合(比較例2では使用せず)、ならびに目付(ウェブ狙い目付)を表2に示すとおりとしてウェブ(セルロース系混合繊維シート)を2枚作製し、パルプ繊維の湿式不織布(別のセルロース系繊維シート)を表2に示すとおりの目付として、これら2枚のウェブの間に挟んで積層し、三層構造の積層体を作製し(セルロース系混合繊維シート(上)/別のセルロース系繊維シート(中)/セルロース系混合繊維シート(下)から成る積層体)、その後、実施例11で採用した条件と同じ条件で水流交絡処理、押圧処理および熱処理(乾燥処理を兼ねる)を実施して不織布を得た。
実施例1〜12および比較例1〜6で得た不織布について、実測目付、厚さ、乾燥時物性、湿潤時物性および使用感を、以下の方法に従って評価した。評価結果を表1および表2に併せて示す。また、実施例4で得た不織布のセルロース系混合繊維層の切断面の走査型電子顕微鏡写真(150倍)を図1に示す。
[実測目付、厚さ、比容積]
不織布の実測目付(目付の実測値)は、所定寸法の試料片を、化粧料や水等で濡らさない状態で、質量測定して算出した。
不織布の厚さは、厚み測定機(商品名「THICKNESS GAUGE」、モデル CR−60A、(株)大栄科学精器製作所製)を用い、化粧料や水等で濡らさず、かつ試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
不織布の比容積は、目付(実測値)および厚みから算出した。
[乾燥時物性および湿潤時物性:引張強度、破断伸度、10%伸長時応力]
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(引張強度)、破断伸度、ならびに10%伸長時応力を測定した。引張試験は、化粧料や水等で濡らさない状態(乾燥時)の試料片と、試料100質量部に対して、200質量部の蒸留水を含浸させた状態(湿潤時)の試料片の双方につき、縦方向(MD)および幅方向(CD)の2つの引張方向にて実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
[使用評価]
本発明の不織布をウェットシートにして使用した場合の使用感を評価するため、下記の方法で官能評価を行った。
不織布を縦20cm×横20cmの大きさに裁断した。次に、前記不織布の試料100質量部に対し、600質量部となるように市販の化粧料(ロート製薬(株)製 極潤(登録商標) ヒアルロン液)を秤量した。裁断した不織布をまず3つ折りにし、その後に長辺方向に2つ折りした状態でポリエチレン製の袋に入れ、その中に秤量した化粧料を入れ、不織布試料が折られた状態を維持しつつ、無加重の状態で平面にて24時間放置して、不織布に化粧料を十分に含浸させた。ポリエチレン袋から試料を静かに取り出し、折り畳んだ状態から広げ、その際の展開性(広げやすさ)と耐伸び性(伸びにくさ)を評価した。シート状に広げた試料表面を成人女性が指先で触り、不織布の柔らかさを評価し、その後、顔面に貼り付けて透明感と密着感を評価した。透明感、密着感、柔らかさ、展開性(広げやすさ)、展開後の耐伸び性(伸びにくさ)の評価基準は下記のとおりである。
(1)透明感
+++:装着者の肌の色が透けて見え、不織布の色がほとんど確認できない。
++:装着者の肌の色が透けて見えるが、不織布の色も確認できる。
+:装着者の肌の色が透けて見えるが、不織布の色により肌の色が確認しにくい。
−:装着者の肌の色が、全く透けて見えない。
(2)密着感
+++:肌への密着性が極めて高く、装着時に剥がれが全く生じない。
++:肌への密着性が良好で、装着時に剥がれにくい。
+:肌への密着性が多少劣るが、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用できる。
−:肌に装着しても密着感がなく、剥がれやすい。
(3)柔らかさ
+++:非常にソフトで肌あたりが良く、不織布表面に刺激感が全くない。
++:触感がソフトで肌あたりもよく、不織布表面の刺激も少ない。
+:触感に硬さがあるが、強い刺激感はなく、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用できる。
−:不織布が硬く皮膚にチクチクした強い刺激を感じる。
(4)展開性
+++:不織布同士の貼り付きがなく、簡単に、短時間で完全に開くことができる。
++:不織布同士の貼り付きはあるが、簡単に完全に開くことができる。
+:完全に開くことができるが、不織布同士の貼り付きにより、開くまでに若干時間を要する。
−:一部において開くことができない、または完全に開くのに相当な時間を要する。
(5)展開後の耐伸び性
+++:開いた後に、不織布がほとんど伸びない。
++:開いた後に、不織布が若干伸びている。
+:開いた後に、不織布が伸びているが、形の崩れは使用できる程度である。
−:開いた後に、不織布が伸び、形が大きく崩れている。
単層タイプについて、表1に示されるように、実施例1の不織布は、使用感評価項目である透明感、密着感、柔らかさ、展開性および展開後の耐伸び性のうち、透明感、展開性および展開後の耐伸び性がいずれも「++」以上の評価で、かついずれの項目についても「−」評価が1つもないという高い評価が得られ、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用するのに適しているものであった。比較例1の不織布は、実施例1の不織布に比べて、展開性および展開後の耐伸び性が劣っていた。実施例2〜7、9、10の不織布も、透明感、展開性および展開後の耐伸び性がいずれも「++」以上の評価で、かついずれの項目についても「−」評価が1つもないという高い評価が得られ、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用するのに適しているものであった。実施例8の不織布は、実施例1〜7、9、10の不織布より好ましさは劣るものの、透明感が「++」以上の評価であり、かつ、比較例1の不織布に比べて展開性に優れていた。これは、比較例1では、繊維間が交絡しているものの、熱接着性繊維が使用されていないため熱接着されていないのに対し、本願発明の実施例1〜10では、本願発明の種々の条件を満たすこと、特に、不織布のセルロース系混合繊維層の切断面の電子顕微鏡写真(図1)から理解されるように、第1のセルロース系繊維と熱接着繊維とから構成されるセルロース系混合繊維層において、構成繊維の交点の少なくとも一部が、熱接着性繊維によって熱接着されていることにより、湿潤状態において、高い透明感を示しつつ取扱性が向上したものとなったと考えられる。
積層タイプについて、表2に示されるように、実施例11の不織布は、使用感評価項目である透明感、密着感、柔らかさ、展開性および展開後の耐伸び性のうち、透明感、展開性および展開後の耐伸び性がいずれも「++」以上の評価で、かついずれの項目についても「−」評価が1つもないという高い評価が得られ、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用するのに適しているものであった。比較例2の不織布は、実施例11の不織布に比べて、展開後の耐伸び性が劣っていた。実施例12の不織布も、透明感、展開性および展開後の耐伸び性がいずれも「++」以上の評価で、かついずれの項目についても「−」評価が1つもないという高い評価が得られ、化粧料含浸皮膚被覆シートとして使用するのに適しているものであった。これは、比較例2では、繊維間が交絡しているものの、熱接着性繊維が使用されていないため熱接着されていないのに対し、本願発明の実施例11、12では、本願発明の種々の条件を満たすこと、特に、第1のセルロース系繊維と熱接着繊維とから構成されるセルロース系混合繊維層において、構成繊維の交点の少なくとも一部が、熱接着性繊維によって熱接着されていることにより、湿潤状態において、高い透明感を示しつつ取扱性が向上したものとなったと考えられる。
また、表2から理解されるように、比較例3〜6の不織布は、熱接着性繊維を用いてはいるものの、実施例11、12の不織布に比べて、透明感が劣っており、更に比較例4、6では展開性も劣っていた。比較例3では、不織布全体の目付が高すぎたために、透明感が低下したものと考えられる。比較例4では、不織布全体における熱接着性繊維の含有量が少なかったために、展開性が不十分となったものと考えられる。比較例5では、不織布全体における第1のセルロース系繊維の含有量が少なかったために、透明感が低下したものと考えられる。比較例6では、不織布全体の目付が高すぎるうえ、不織布全体における第1のセルロース系繊維の含有量が少なく、第2のセルロース系繊維の含有量が多かったことから、透明感が低下し、展開性が不十分となったものと考えられる。
本発明の不織布は、化粧料を含浸させたフェイスマスク等の基材として好適に使用される。
本願は、2014年3月31日付けで日本国に出願された特願2014−72535に基づく優先権を主張し、その記載内容の全てが、参照することにより本明細書に援用される。

Claims (14)

  1. 1層以上のセルロース系混合繊維層を含む不織布であり、
    前記1層以上のセルロース系混合繊維層は、各層中にて、第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で含み、構成繊維の交点の少なくとも一部が、熱接着性繊維によって熱接着されており、
    前記第1のセルロース系繊維は、繊維長が20mm以上、110mm以下であり、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、およびトリアセテートから成る群から選択される少なくとも1種であり、下記(a)または(b)の条件:
    (a)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であるセルロース系繊維
    (b)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、灰分が5質量%より大きく50質量%以下であるセルロース系繊維
    を満たし、
    前記不織布は、全体で25g/m2以上、48g/m2以下の目付を有し、
    前記不織布全体における、第1のセルロース系繊維の含有量が40.5質量%以上であり、熱接着性繊維の含有量が8質量%以上であり、
    前記熱接着性繊維が、芯鞘型複合繊維、および/または、分割型複合繊維に由来する繊維を含み、
    前記芯鞘型複合繊維の繊度が、0.5dtex以上、4.0dtex以下であり、
    前記分割型複合繊維の繊度が、1.1dtex以上、5.8dtex以下である、
    化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  2. 芯鞘型複合繊維が、第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を含む芯部と、該第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有する第2のポリオレフィン系樹脂を含む鞘部とから構成されている、請求項に記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  3. 分割型複合繊維が、第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂と、該第1のポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有する第2のポリオレフィン系樹脂との組み合わせから構成されている、請求項1または2に記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  4. 第1のセルロース系繊維が、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、および銅アンモニアレーヨンから成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  5. 1層の前記セルロース系混合繊維層から成る、請求項1〜のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  6. 1層の前記セルロース系混合繊維層と、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維もしくは繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維層、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布層とが積層されている、請求項1〜のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  7. 2層の前記セルロース系混合繊維層の間に、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維もしくは繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維層、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布層が積層されている、請求項1〜のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  8. 前記不織布全体における、第2のセルロース系繊維もしくは第3のセルロース系繊維の含有量または熱可塑性樹脂系繊維の含有量が50質量%以下である、請求項またはに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  9. 前記別のセルロース系繊維層が、第2のセルロース系繊維としてパルプ繊維を50質量%より多く含む、請求項のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布。
  10. 粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法であって、
    各シート中にて、第1のセルロース系繊維を50質量%以上で、および熱接着性繊維を8質量%以上、40質量%以下で含む、1枚以上のセルロース系混合繊維シートであって、前記第1のセルロース系繊維は、繊維長が20mm以上、110mm以下であり、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、およびトリアセテートから成る群から選択される少なくとも1種であり、下記(a)または(b)の条件:
    (a)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、灰分が5質量%以下であるセルロース系繊維
    (b)屈折率が1.6以上の無機化合物の含有量が0.5質量%以下であり、屈折率が1.6未満の無機化合物の含有量が5質量%以上、50質量%以下であり、灰分が5質量%より大きく50質量%以下であるセルロース系繊維
    を満たす、1枚以上のセルロース系混合繊維シートを、
    場合により、繊維長が0.5mm以上、20mm未満である第2のセルロース系繊維もしくは繊維長が110mmを超える第3のセルロース系繊維を50質量%より多く含む別のセルロース系繊維シート、または繊維長が110mmを超えるか連続繊維であり、かつ灰分が0.5質量%以下である熱可塑性樹脂系繊維から成る長繊維不織布シートと共に、
    押圧処理および熱処理に付して、該1枚以上のセルロース系混合繊維シートおよび該別のセルロース系繊維シートまたは該長繊維不織布シートをそれぞれ前記1層以上のセルロース系混合繊維層および前記別のセルロース系繊維層または前記長繊維不織布層とし、これにより得られる不織布の表面を平滑化し、ならびに、熱接着性繊維の少なくとも一部を溶融させて、構成繊維の交点の少なくとも一部を熱接着性繊維によって熱接着することを含む、製造方法。
  11. 押圧処理が、前記1枚以上のセルロース系混合繊維シートを、場合により前記別のセルロース系繊維シートまたは前記長繊維不織布シートと共に、一対のロール間に通すことによって実施される、請求項10に記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  12. 押圧処理および熱処理の前に、前記1枚以上のセルロース系混合繊維シートを、場合により前記別のセルロース系繊維シートまたは前記長繊維不織布シートと共に、水流交絡処理に付すことを更に含む、請求項10または11に記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  13. 押圧処理が、前記1枚以上のセルロース系混合繊維シートおよび場合により前記別のセルロース系繊維シートまたは前記長繊維不織布シートに対して、湿潤状態にて実施される、請求項1012のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布の製造方法。
  14. 請求項1〜のいずれかに記載の化粧料含浸皮膚被覆シート用不織布を基材とし、該基材100質量部に対して、化粧料が150質量部以上、2500質量部以下の範囲内にある割合で含浸されている、化粧料含浸皮膚被覆シート。
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