JP6589412B2 - エレクトロクロミック素子の製造方法 - Google Patents
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[エレクトロクロミック素子の構造]
図1は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック素子1は、第1の支持体10と、第2の支持体11と、第1の電極12と、第2の電極13と、エレクトロクロミック層14と、電解質層16と、多孔質絶縁層17と、封止材18とを有する。
第1の支持体10及び第2の支持体11としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。第1の支持体10及び第2の支持体11としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。又、第1の支持体10及び第2の支持体11として、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
第1の電極12は、第2の電極13に対する電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。第1の電極12の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明な材料からなる透明電極が用いられる。透明電極の材料としては、特に限定されるものではないが、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と略称する場合がある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略称する場合がある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と略称する場合がある)等が好適に用いられる。
エレクトロクロミック層14は、エレクトロクロミック材料を含む層である。エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物や有機エレクトロクロミック化合物、或いはエレクトロクロミズムを示す導電性高分子等を用いることができる。具体的には、例えば、色素系、ポリマー系、金属錯体系、金属酸化物系等の公知のエレクトロクロミック化合物を用いることができる。
多孔質絶縁層17は、第1の電極12と第2の電極13とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質層16を保持する機能を有する。多孔質絶縁層17の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
第2の電極13は、対をなす第1の電極12の電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。第2の電極13の材料は導電性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明電極が用いられる。第2の電極13の形成方法としては、電解質の移動を妨げないような形成方法ならば特に限定されるものではなく、例えば多孔質絶縁層17上に直接形成しても良いし、複数の穿孔を有するフィルム等に形成しても良い。
電解質層16は、第1の電極12と第2の電極13との間でイオンを移動させることで電荷を移動させ、エレクトロクロミック層14の発色/消色反応を起こすためのものである。電解質層16の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等を挙げることができる。
封止材18は、エレクトロクロミック素子1の側面を封止し、大気中の水分や酸素等のエレクトロクロミック素子1が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐ等の機能を有する。封止材18としては、特に限定されず、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
次に、エレクトロクロミック素子1の製造方法の特徴について説明する。図2〜図4は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図であり、図2(b)及び図3(a)は平面図、その他は図1に対応する断面図である。
第2の実施の形態では、第2の電極側にもエレクトロクロミック層を設ける例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
下記〔1〕〜〔7〕により、図1に示す構成に準拠して、エレクトロクロミック素子1を作製した。
第1の電極12上にエレクトロクロミック層14を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の支持体10及び第1の電極12としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布した。そして、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層14を形成した。
第2の電極13上に多孔質絶縁層17を形成するために、以下に示す組成の微粒子分散液を調製した。
[組成]
・シリカ微粒子分散液(シリカ固形分濃度13重量部、水性ポリエステル系ウレタン樹脂)(HW350、DIC株式会社):2重量部
・2,2,2,3−テトラフロロプロパノール:85質量部
得られた微粒子分散液を、第2の支持体11及び第2の電極13としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、120℃で10分間焼成を行い、平均膜厚約1μmの絶縁層を得た。続いて、この上にZnS−SiO2(8/2)の無機絶縁層をスパッタリング法により100nmの膜厚で形成した。これにより多孔質絶縁層17を形成した。
以下に示す組成の電解質液16Lを調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液16L・43mgを、架橋したエレクトロクロミック層14を有するITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)に対して図2(b)に示すドット状のパターンで滴下した。なお、滴下には、ジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いた。
封止材18となる樹脂18Lとして、感光性樹脂であるフォトレック(積水化学工業株式会社製)18mgをディスペンサーを使用して図3(a)に示すパターンで電解質液16Lの周囲に沿って塗布した。
ITOガラス基板(第2の支持体11及び第2の電極13)上に各層が形成された構造体と、ITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)上に各層が形成された構造体とを、各ITOガラス基板を外側にして貼り合せた。
貼り合わせを行った直後に、第1の支持体10上に電解質液16Lの塗布部を覆うフォトマスクを置き遮光処理をした。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、樹脂18Lのみ架橋を行って封止材18を形成した。
樹脂18Lのみ架橋を行った素子について、10分間60℃で素子全体を加熱した。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、電解質液16Lの塗布部の架橋を行って電解質層16を形成し、エレクトロクロミック素子1を完成させた。
<試験1:応答速度試験>
実施例1で作製したエレクトロクロミック素子1に2.0Vの電圧を3秒間印加し発色させ、発色時の吸収ピークを持つ波長450nmの反射率をOcean Optics社製、USB4000で測定した。応答速度の評価は以下の評価基準に基づき行った。
[評価基準]
◎:反射率 5%未満
○:反射率 5%以上10%未満
△:反射率 10%以上
次いで、実施例1のエレクトロクロミック素子1において、下記に示す均一発色試験を行った。
<試験2:均一発色試験>
エレクトロクロミック素子1に、10.0mC/cm2の電荷量となる一定の電圧を10秒間印加し発色させ、発色状態の均一発色の様子を下記基準にて評価した。
[評価基準]
◎:色ムラがなく全面が均一に発色している
○:発色途中は電解質液をドットで滴下した部分のみ濃く発色し色ムラ発生、発色終了時には均一発色
△:発色終了時も電解質液をドットで滴下した部分のみ濃く発色し色ムラが発生している。
実施例1において〔6〕の工程でフォトマスクを使用せず樹脂18Lの塗布部及び電解質液16Lの塗布部を同時に架橋して封止材18及び電解質層16を形成し、〔7〕を実施しない以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例1において〔7〕の工程で加熱を行わず室温で放置する以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例1において〔7〕の工程で加熱の温度を40℃に変更した以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例1において〔7〕の工程で加熱の温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
下記〔1〕〜〔7〕により、図5に示す構成に準拠して、エレクトロクロミック素子2を作製した。
第1の電極12上にエレクトロクロミック層14を形成するために、以下に示す組成の黄緑色に発色する第1のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の支持体10及び第1の電極12としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布した。そして、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層14を形成した。
〔2〕第2の電極13上へのエレクトロクロミック層15及び多孔質絶縁層17の形成
第2の電極13上にエレクトロクロミック層15を形成するために、以下に示す組成の、第1のエレクトロクロミック組成物の発色と補色の関係にある紫色に発色する第2のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・ビオロゲン化合物:2質量部
・2,2,2,3−テトラフロロプロパノール:98質量部
第2の支持体11及び第2の電極13としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に酸化チタン微粒子分散液(SP210 昭和タイタニウム)をスピンコートした。そして、120℃で15分間のアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成し、更に第2のエレクトロクロミック組成物をスピンコートし、120℃で10分間のアニール処理を施した。
[組成]
・シリカ微粒子分散液(シリカ固形分濃度13重量部、水性ポリエステル系ウレタン樹脂)(HW350、DIC株式会社):2重量部
・2,2,2,3−テトラフロロプロパノール:85質量部
得られた微粒子分散液を、エレクトロクロミック層15を有する第2の電極13上にスピンコート法により塗布し、120℃で10分間焼成を行い、平均膜厚約1μmの絶縁層を得た。続いてこの上にZnS−SiO2(8/2)の無機絶縁層をスパッタリング法により100nmの膜厚で形成した。これにより多孔質絶縁層17を形成した。
〔3〕電解質液16Lの塗布
以下に示す組成の電解質液16Lを調製した。
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液16L・43mgを、架橋したエレクトロクロミック層14を有するITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)に対して図2(b)に示すドット状のパターンで滴下した。なお、滴下には、ジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いた。
〔4〕樹脂18Lの塗布
封止材18となる樹脂18Lとして、感光性樹脂であるフォトレック(積水化学工業株式会社製)18mgをディスペンサーを使用して図3(a)に示すパターンで電解質液16Lの周囲に沿って塗布した。
〔5〕貼り合わせ
ITOガラス基板(第2の支持体11及び第2の電極13)上に各層が形成された構造体と、ITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)上に各層が形成された構造体とを、各ITOガラス基板を外側にして貼り合せた。
〔6〕樹脂18Lの架橋
貼り合わせを行った直後に、第1の支持体10上に電解質液16Lの塗布部を覆うフォトマスクを置き遮光処理をした。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、樹脂18Lのみ架橋を行って封止材18を形成した。
〔7〕電解質液16Lの浸透促進処理及び架橋
樹脂18Lのみ架橋を行った素子について、10分間60℃で素子全体を加熱した。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、電解質液16Lの塗布部の架橋を行って電解質層16を形成し、エレクトロクロミック素子2を完成させた。
<発消色駆動>
〔7〕項で作製したエレクトロクロミック素子2を駆動したところ、エレクトロクロミック層14及びエレクトロクロミック層15の夫々が対応する発色を呈し、両者は補色の関係にあるため、エレクトロクロミック素子2の全体としては黒色の発色を確認した。
実施例2において〔6〕の工程でフォトマスクを使用せず樹脂18Lの塗布部及び電解質液16Lの塗布部を同時に架橋して封止材18及び電解質層16を形成し、〔7〕を実施しない以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例2において〔7〕の工程で加熱を行わず室温で放置する以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例2において〔7〕の工程で加熱の温度を40℃に変更した以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例2において〔7〕の工程で加熱の温度を80℃に変更した以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
実施例1及び2と比較例1〜8における試験1及び2の結果を表1に示す。
10 第1の支持体
11 第2の支持体
12 第1の電極
13 第2の電極
14、15 エレクトロクロミック層
16 電解質層
16L 電解質液
17 多孔質絶縁層
18 封止材
18L 樹脂
Claims (5)
- 互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられたエレクトロクロミック層と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、前記エレクトロクロミック層と接する電解質層と、
前記電解質層の周囲に沿って設けられた封止材と、を有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
前記第1の電極上に前記エレクトロクロミック層を形成する工程と
前記エレクトロクロミック層上に、前記電解質層となる電解質液を塗布する工程と、
前記エレクトロクロミック層上の前記電解質液の周囲に沿って、樹脂を塗布する工程と、
熱又は光エネルギーにより前記樹脂を架橋して前記封止材を形成する工程と、
前記樹脂を架橋する工程の後、前記電解質液が架橋を開始しない温度範囲で前記電解質液に熱エネルギーを加える工程と、
前記熱エネルギーを加える工程の後、熱又は光エネルギーにより前記電解質液を架橋して前記電解質層を形成する工程と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。 - 前記第1の電極上に前記エレクトロクロミック層が形成され、前記エレクトロクロミック層上に前記電解質液及び前記樹脂が塗布された構造体の、前記樹脂側に前記第2の電極を貼り合わせる工程と、を有し、
前記貼り合わせる工程の後に、前記樹脂を架橋する工程、前記熱エネルギーを加える工程、及び前記電解質液を架橋する工程が順次実行されることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。 - 前記電解質液は、所定のパターン形状に塗布されることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
- 前記第1の電極と前記第2の電極との間に多孔質絶縁層を設ける工程を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
- 前記エレクトロクロミック層は、第1のエレクトロクロミック層と、前記第1のエレクトロクロミック層の酸化還元反応による発色と補色の関係にある発色が該酸化還元反応の逆反応により起生するように選択された第2のエレクトロクロミック層と、を含み、
前記第1の電極に隣接して前記第1のエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記第2の電極に隣接して前記第2のエレクトロクロミック層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
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