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JP6589412B2 - エレクトロクロミック素子の製造方法 - Google Patents
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JP6589412B2 - エレクトロクロミック素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック素子の製造方法に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。エレクトロクロミズムは、一般に対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が生じるときには、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。
そして、このエレクトロクロミズムの現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色を利用した電気化学デバイスは、エレクトロクロミック素子と呼ばれている。このエレクトロクロミック素子は、メモリ効果があること、印加電圧強度により発色濃度を調整できること、低電圧で駆動できることから、調光レンズや調光ガラス、電子ペーパー等の様々なアプリケーションへの応用が期待されており、材料開発からデバイス設計・プロセス開発に至るまで、幅広く研究開発が行なわれている。
エレクトロクロミック素子は、一般に、エレクトロクロミック材料を対向する2つの電極間に形成した後、イオン伝導可能な電解質層を介して貼り合わせ、外周部を封止材により封止することで作製される。この際、電解質層や封止材として、熱又は光エネルギーにより架橋する材料を用いる傾向が多くみられる。
このようなエレクトロクロミック素子は、ディスペンサーを利用して電解質層となる電解質液や封止材となる樹脂の塗布を行い、貼り合わせ工程の後、UV照射等により電解質液及び樹脂の架橋を行うことで作製されることが理想的である。更に、この際、液−液状態で電解質液と樹脂とが接することで、樹脂の電解質液への溶出が懸念されるため、樹脂の架橋は貼り合わせ直後に行うことが要求される。
しかしながら、電解質液及び樹脂の架橋を貼り合わせ直後に同時に行うと、優れた応答特性が得られない。それに加えて、電解質液のパターン塗布を行った場合、塗布痕が発色駆動時の色ムラとして表示されてしまい、表示品質(均一発色性)を著しく損なう原因となる。これは、電解質液を固体化して電解質層が形成された場合、電極物質と固体化した電解質層の界面におけるイオン移動に対する抵抗が大きくなるためである。
このような問題の解決に向けて、固体電解質の電導度を向上させるために電解質液を加えた液状モノマーを重合反応させて電解質液を含む架橋重合体とする方法(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。しかし、十分な電導度は得られていないのが現状である。
又、電導度を改善する他の手段としては、例えば、化学的架橋部を有する固体電解質を用いる方法も開示されているが(例えば、特許文献2参照)、これに関しても未だ伝導度の改善効果は充分には得られていない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電解質層及び封止材の材料として熱又は光エネルギーにより架橋する材料を用いた場合でも、応答特性及び均一発色性の確保を可能とするエレクトロクロミック素子の製造方法を提供することを課題とする。
本エレクトロクロミック素子の製造方法は、互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられたエレクトロクロミック層と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、前記エレクトロクロミック層と接する電解質層と、前記電解質層の周囲に沿って設けられた封止材と、を有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、前記第1の電極上に前記エレクトロクロミック層を形成する工程と前記エレクトロクロミック層上に、前記電解質層となる電解質液を塗布する工程と、前記エレクトロクロミック層上の前記電解質液の周囲に沿って、樹脂を塗布する工程と、熱又は光エネルギーにより前記樹脂を架橋して前記封止材を形成する工程と、前記樹脂を架橋する工程の後、前記電解質液が架橋を開始しない温度範囲で前記電解質液に熱エネルギーを加える工程と、前記熱エネルギーを加える工程の後、熱又は光エネルギーにより前記電解質液を架橋して前記電解質層を形成する工程と、を有することを要件とする。
開示の技術によれば、電解質層及び封止材の材料として熱又は光エネルギーにより架橋する材料を用いた場合でも、応答特性及び均一発色性の確保を可能とするエレクトロクロミック素子の製造方法を提供できる。
第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。 第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図(その1)である。 第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図(その2)である。 第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図(その3)である。 第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。 第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図である。
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[エレクトロクロミック素子の構造]
図1は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック素子1は、第1の支持体10と、第2の支持体11と、第1の電極12と、第2の電極13と、エレクトロクロミック層14と、電解質層16と、多孔質絶縁層17と、封止材18とを有する。
なお、本実施の形態では、便宜上、エレクトロクロミック素子1の第1の支持体10側を上側又は一方の側、第2の支持体11側を下側又は他方の側とする。又、各部位の第1の支持体10側の面を一方の面又は上面、第2の支持体11側の面を他方の面又は下面とする。但し、エレクトロクロミック素子1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を第1の支持体10の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を第1の支持体10の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
エレクトロクロミック素子1において、第1の支持体10の下面には、表示電極である第1の電極12が設けられている。第1の電極12の下面には、エレクトロクロミック層14が設けられている。
又、第2の支持体11の上面には、対向電極である第2の電極13が設けられている。第1の電極12と第2の電極13とはエレクトロクロミック素子1の厚さ方向に所定の間隔をおいて対向して配置されており、第1の電極12と第2の電極13との間には、エレクトロクロミック層14と接する電解質層16が配置されている。
エレクトロクロミック素子1では、第1の電極12と第2の電極13とが、夫々の電極間に電解質層16が設けられた状態で、多孔質絶縁層17を挟んで貼り合わされてセルが構成されている。第1の電極12と第2の電極13との間に設けられたエレクトロクロミック素子1の各構成物は、各構成物の外周部に設けられた封止材18により封止されている。以下、エレクトロクロミック素子1の各構成物について詳説する。
(第1の支持体、第2の支持体)
第1の支持体10及び第2の支持体11としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。第1の支持体10及び第2の支持体11としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。又、第1の支持体10及び第2の支持体11として、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
(第1の電極)
第1の電極12は、第2の電極13に対する電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。第1の電極12の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明な材料からなる透明電極が用いられる。透明電極の材料としては、特に限定されるものではないが、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と略称する場合がある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略称する場合がある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と略称する場合がある)等が好適に用いられる。
(エレクトロクロミック層)
エレクトロクロミック層14は、エレクトロクロミック材料を含む層である。エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物や有機エレクトロクロミック化合物、或いはエレクトロクロミズムを示す導電性高分子等を用いることができる。具体的には、例えば、色素系、ポリマー系、金属錯体系、金属酸化物系等の公知のエレクトロクロミック化合物を用いることができる。
色素系、ポリマー系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物や、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
特に、ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物を含むことが好ましい。これらの材料は発消色電位が低く、良好な色値を示す。ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物に関しては公知のものも使用することができ、例えば、ビオロゲン系については、特許第3955641号公報、特開2007−171781号公報等に記載されている化合物、ジピリジン系については、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報等に記載されている化合物等が例示される。
金属錯体系の化合物としては、例えば、鉄シアノ錯体、ルテニウムシアノ錯体、オスミウムシアノ錯体、タングステンシュウ酸錯体、希土類ジフタロシアニン錯体等が挙げられる。金属酸化物系の化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化バナジウム等が挙げられる。
エレクトロクロミック層14としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが特に望ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の超微粒子(導電性又は半導体性からなる)を焼結し、その超微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着させた構造である。
このような構造とすれば、超微粒子の大きな表面積効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が投入されるため、発色濃度が大きく発消色の速度が大きい。更に、超微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、高い白反射率を得ることができる。又、導電性又は半導体性微粒子に複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を担持することもできる。
エレクトロクロミック層14の好ましい膜厚範囲は0.1〜10μmである。膜厚が0.1μmよりも薄い場合、発色濃度を得難くなる。又、膜厚が10μmよりも厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
導電性又は半導体性微粒子としては、特に限定されるものではないが、金属酸化物が望ましい。材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸素ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。又、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。
電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン、から選ばれる一種、若しくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた表示が可能である。とりわけ、酸化チタンが用いられたとき、より発消色の応答速度に優れた表示が可能である。
又、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」と呼称する場合がある)が大きい微粒子が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた表示が可能である。
(多孔質絶縁層)
多孔質絶縁層17は、第1の電極12と第2の電極13とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質層16を保持する機能を有する。多孔質絶縁層17の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
形成方法としては、例えば、焼結法、抽出法、発泡法、相転換法、放射線照射法等が挙げられる。焼結法は、高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する方法である。抽出法は、溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る方法である。発泡法は、発泡を利用する方法である。相転換法は、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる方法である。放射線照射法は、各種放射線を輻射して細孔を形成させる方法である。
(第2の電極)
第2の電極13は、対をなす第1の電極12の電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。第2の電極13の材料は導電性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明電極が用いられる。第2の電極13の形成方法としては、電解質の移動を妨げないような形成方法ならば特に限定されるものではなく、例えば多孔質絶縁層17上に直接形成しても良いし、複数の穿孔を有するフィルム等に形成しても良い。
(電解質層)
電解質層16は、第1の電極12と第2の電極13との間でイオンを移動させることで電荷を移動させ、エレクトロクロミック層14の発色/消色反応を起こすためのものである。電解質層16の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を挙げることができる。
又、イオン性液体も用いることができる。特に有機のイオン性液体には、室温を含む幅広い温度領域で液体状態を示す分子構造の化合物がある。このような液体状態を示す分子構造例としては、カチオン成分としてN、N−ジメチルイミダゾール塩、N、N−メチルエチルイミダゾール塩、N、N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体、N、N−ジメチルピリジニウム塩、N、N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体等、芳香族系の塩、又は、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム等、脂肪族4級アンモニウム系の塩が挙げられる。
一方、アニオン成分としては大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物がよく、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO等が挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。これらの電解質材料を溶媒に溶解して電解質液として用い、電解質層16に用いることも可能である。
溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類やそれらの混合溶媒等を用いることができる。又、電解質液はゲル状、固体状に形成できるものを用いる。これは、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止という面からも好ましい。
固体化手法としては、電解質と溶媒を樹脂(ポリマー)中に保持することがよい。高いイオン伝導度を維持しつつ固体強度が得られるためである。更に、樹脂(ポリマー)としては光硬化が可能な樹脂(光硬化性樹脂)が好ましい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより樹脂と電解質材料を含む電解質層を薄膜化して形成する方法に比べて、光硬化性樹脂を用いた場合には低温かつ短時間で素子を製造できる利点がある。但し、熱硬化性樹脂を用いてもよい。
前述のように、電解質は単独、或いは混合して用いることができる。なお、電解質層16の膜厚は0.5〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは1〜50μmである。この理由は、電解質層16の膜厚が50μmよりも厚いと電荷が拡散しやすく、又、膜厚が1μmよりも薄いと電解質としての機能の保持が困難にあるためである。
(封止材)
封止材18は、エレクトロクロミック素子1の側面を封止し、大気中の水分や酸素等のエレクトロクロミック素子1が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐ等の機能を有する。封止材18としては、特に限定されず、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
[エレクトロクロミック素子の製造方法]
次に、エレクトロクロミック素子1の製造方法の特徴について説明する。図2〜図4は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図であり、図2(b)及び図3(a)は平面図、その他は図1に対応する断面図である。
まず、図2(a)に示す工程では、第1の電極12が形成された第1の支持体10(例えば、ITOガラス基板)の第1の電極12に隣接してエレクトロクロミック層14を形成する。エレクトロクロミック層14は、例えば、所定の組成に調整されたエレクトロクロミック組成物をスピンコート法等により第1の支持体10上に形成された第1の電極12上に塗布し、得られた塗布膜を熱又は光エネルギーにより架橋することで形成できる。
次に、図2(b)に示す工程では、エレクトロクロミック層14上に、架橋すると電解質層16となる電解質液16Lを塗布する。電解質液16Lとしては、熱又は光エネルギーにより架橋する材料を使用する。電解質液16Lは、ジェットディスペンサー等を使用して、ドット形状パターンやライン形状パターン等の意図した所定のパターン形状により、マクロなスケールで均一に塗布対象物上に塗布することが好ましい。これにより、あらゆる種類のサイズの塗布対象物に対応するマクロスケールでの均一塗布及び微小な塗布量制御が可能となる。
次に、図3(a)に示す工程では、ディスペンサー等を使用して、エレクトロクロミック層14上の電解質液16Lの周囲に沿って、架橋すると封止材18となる樹脂18Lを塗布する。樹脂18Lとしては、熱又は光エネルギーにより架橋する材料を使用する。
次に、図3(b)に示す工程では、第2の電極13が形成された第2の支持体11(例えば、ITOガラス基板)の第2の電極13に隣接して多孔質絶縁層17を形成する。多孔質絶縁層17は、例えば、所定の組成に調整された微粒子分散液をスピンコート法等により第2の支持体11上に形成された第2の電極13上に塗布し、得られた塗布膜を熱焼成することで形成できる。なお、多孔質絶縁層17は、複数の絶縁材料を積層した層としてもよい。
次に、図4(a)に示す工程では、エレクトロクロミック層14上に電解質液16L及び樹脂18Lが塗布された図3(a)に示す構造体と、第2の電極13上に多孔質絶縁層17が形成された図3(b)に示す構造体とを、第1の支持体10及び第2の支持体11を外側にして貼り合わせる。このとき、第1の電極12と多孔質絶縁層17との間に電解質液16Lが浸透するため、第1の電極12と多孔質絶縁層17との間に電解質液16Lの薄い層が形成される。その後、熱又は光エネルギーにより樹脂18Lの架橋を行って封止材18を形成する。この時点では、電解質液16Lは架橋されていない。
次に、図4(b)に示す工程では、まず、電解質液16Lが架橋を開始しない温度範囲でエレクトロクロミック素子1に熱エネルギーを加える。その後、熱又は光エネルギーにより電解質液16Lの架橋を行って電解質層16を形成する。
このように、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子1の製造方法では、電解質液16Lを架橋する工程と樹脂18Lを架橋する工程とを同時に実行せず、順次実行する。すなわち、電解質液16Lを架橋する工程を、樹脂18Lを架橋する工程よりも後に実行する。そして、樹脂18Lを架橋する工程と電解質液16Lを架橋する工程との間に、電解質液16Lが架橋を開始しない温度範囲でエレクトロクロミック素子1に熱エネルギーを加える工程を実行する。
従って、樹脂18Lが硬化して封止材18が形成された時点では、電解質液16Lは未硬化であり、エレクトロクロミック素子1内の各層に浸透することが可能である。硬化を遅らせた電解質液16Lが十分な時間を持ってエレクトロクロミック素子1内の各層に浸透していくことができる。
又、電解質液16Lが架橋を開始しない温度範囲でエレクトロクロミック素子1に熱エネルギーを加える工程により、熱によって電解質液16Lの粘性が一時的に低下するため、エレクトロクロミック素子1中の各層への電解質液16Lの浸透を促進できる。
これらにより、エレクトロクロミック素子1の応答特性及び均一発色性の確保を可能とすると共に、素子ごとの特性差を最小限に抑えることができる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第2の電極側にもエレクトロクロミック層を設ける例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図5は、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子を例示する断面図である。図5を参照するに、エレクトロクロミック素子2は、第2の電極13の上面にエレクトロクロミック層15が設けられている点が、エレクトロクロミック素子1(図1参照)と相違する。エレクトロクロミック層15の材料や膜厚は、例えば、エレクトロクロミック層14と同様とすることができる。
エレクトロクロミック素子2を作製するには、第1の実施の形態の図3(b)に示す工程に代えて、図6に示す工程を実施すればよい。その他の工程は、第1の実施の形態と同様とすることができる。
図6は、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック素子の製造工程を例示する図であり、図5に対応する断面図である。図6に示す工程では、第2の電極13が形成された第2の支持体11(例えば、ITOガラス基板)の第2の電極13に隣接してエレクトロクロミック層15を形成する。エレクトロクロミック層15は、例えば、所定の組成に調整されたエレクトロクロミック組成物をスピンコート法等により第2の支持体11上に形成された第2の電極13上に塗布し、得られた塗布膜を熱又は光エネルギーにより架橋することで形成できる。
続いて、エレクトロクロミック層15上に多孔質絶縁層17を形成する。多孔質絶縁層17は、例えば、所定の組成に調整された微粒子分散液をスピンコート法等によりエレクトロクロミック層15上に塗布し、得られた塗布膜を熱焼成することで形成できる。なお、多孔質絶縁層17は、複数の絶縁材料を積層した層としてもよい。
このように、第1の電極12上と第2の電極13上の両方にエレクトロクロミック層を設けてもよい。この場合も、第1の実施の形態と同様に、硬化を遅らせた電解質液が十分な時間を持ってエレクトロクロミック素子2内の各層に浸透していく。これにより、エレクトロクロミック素子2の応答特性及び均一発色性の確保を可能とすると共に、素子ごとの特性差を最小限に抑えることができる。又、2層のエレクトロクロミック層による着色濃度の向上が期待できる。
又、エレクトロクロミック層15を、エレクトロクロミック層14の酸化還元反応による発色と補色の関係にある発色が該酸化還元反応の逆反応により起生するように選択された層とすることで、容易に黒色を発色させることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
〈実施例1〉
下記〔1〕〜〔7〕により、図1に示す構成に準拠して、エレクトロクロミック素子1を作製した。
〔1〕第1の電極12上へのエレクトロクロミック層14の形成
第1の電極12上にエレクトロクロミック層14を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の支持体10及び第1の電極12としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布した。そして、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層14を形成した。
〔2〕第2の電極13上への多孔質絶縁層17の形成
第2の電極13上に多孔質絶縁層17を形成するために、以下に示す組成の微粒子分散液を調製した。
[組成]
・シリカ微粒子分散液(シリカ固形分濃度13重量部、水性ポリエステル系ウレタン樹脂)(HW350、DIC株式会社):2重量部
・2,2,2,3−テトラフロロプロパノール:85質量部
得られた微粒子分散液を、第2の支持体11及び第2の電極13としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、120℃で10分間焼成を行い、平均膜厚約1μmの絶縁層を得た。続いて、この上にZnS−SiO2(8/2)の無機絶縁層をスパッタリング法により100nmの膜厚で形成した。これにより多孔質絶縁層17を形成した。
〔3〕電解質液16Lの塗布
以下に示す組成の電解質液16Lを調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液16L・43mgを、架橋したエレクトロクロミック層14を有するITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)に対して図2(b)に示すドット状のパターンで滴下した。なお、滴下には、ジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いた。
〔4〕樹脂18Lの塗布
封止材18となる樹脂18Lとして、感光性樹脂であるフォトレック(積水化学工業株式会社製)18mgをディスペンサーを使用して図3(a)に示すパターンで電解質液16Lの周囲に沿って塗布した。
〔5〕貼り合わせ
ITOガラス基板(第2の支持体11及び第2の電極13)上に各層が形成された構造体と、ITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)上に各層が形成された構造体とを、各ITOガラス基板を外側にして貼り合せた。
〔6〕樹脂18Lの架橋
貼り合わせを行った直後に、第1の支持体10上に電解質液16Lの塗布部を覆うフォトマスクを置き遮光処理をした。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、樹脂18Lのみ架橋を行って封止材18を形成した。
〔7〕電解質液16Lの浸透促進処理及び架橋
樹脂18Lのみ架橋を行った素子について、10分間60℃で素子全体を加熱した。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、電解質液16Lの塗布部の架橋を行って電解質層16を形成し、エレクトロクロミック素子1を完成させた。
実施例1で作製したエレクトロクロミック素子1において、下記に示す応答速度試験を行った。
<試験1:応答速度試験>
実施例1で作製したエレクトロクロミック素子1に2.0Vの電圧を3秒間印加し発色させ、発色時の吸収ピークを持つ波長450nmの反射率をOcean Optics社製、USB4000で測定した。応答速度の評価は以下の評価基準に基づき行った。
[評価基準]
◎:反射率 5%未満
○:反射率 5%以上10%未満
△:反射率 10%以上
次いで、実施例1のエレクトロクロミック素子1において、下記に示す均一発色試験を行った。
<試験2:均一発色試験>
エレクトロクロミック素子1に、10.0mC/cmの電荷量となる一定の電圧を10秒間印加し発色させ、発色状態の均一発色の様子を下記基準にて評価した。
[評価基準]
◎:色ムラがなく全面が均一に発色している
○:発色途中は電解質液をドットで滴下した部分のみ濃く発色し色ムラ発生、発色終了時には均一発色
△:発色終了時も電解質液をドットで滴下した部分のみ濃く発色し色ムラが発生している。
〈比較例1〉
実施例1において〔6〕の工程でフォトマスクを使用せず樹脂18Lの塗布部及び電解質液16Lの塗布部を同時に架橋して封止材18及び電解質層16を形成し、〔7〕を実施しない以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例2〉
実施例1において〔7〕の工程で加熱を行わず室温で放置する以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例3〉
実施例1において〔7〕の工程で加熱の温度を40℃に変更した以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例4〉
実施例1において〔7〕の工程で加熱の温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈実施例2〉
下記〔1〕〜〔7〕により、図5に示す構成に準拠して、エレクトロクロミック素子2を作製した。
〔1〕第1の電極12上へのエレクトロクロミック層14の形成
第1の電極12上にエレクトロクロミック層14を形成するために、以下に示す組成の黄緑色に発色する第1のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の支持体10及び第1の電極12としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布した。そして、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層14を形成した。
〔2〕第2の電極13上へのエレクトロクロミック層15及び多孔質絶縁層17の形成
第2の電極13上にエレクトロクロミック層15を形成するために、以下に示す組成の、第1のエレクトロクロミック組成物の発色と補色の関係にある紫色に発色する第2のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・ビオロゲン化合物:2質量部
・2,2,2,3−テトラフロロプロパノール:98質量部
第2の支持体11及び第2の電極13としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に酸化チタン微粒子分散液(SP210 昭和タイタニウム)をスピンコートした。そして、120℃で15分間のアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成し、更に第2のエレクトロクロミック組成物をスピンコートし、120℃で10分間のアニール処理を施した。
次に、第2の電極13上に多孔質絶縁層17を形成するために、以下に示す組成の微粒子分散液を調製した。
[組成]
・シリカ微粒子分散液(シリカ固形分濃度13重量部、水性ポリエステル系ウレタン樹脂)(HW350、DIC株式会社):2重量部
・2,2,2,3−テトラフロロプロパノール:85質量部
得られた微粒子分散液を、エレクトロクロミック層15を有する第2の電極13上にスピンコート法により塗布し、120℃で10分間焼成を行い、平均膜厚約1μmの絶縁層を得た。続いてこの上にZnS−SiO(8/2)の無機絶縁層をスパッタリング法により100nmの膜厚で形成した。これにより多孔質絶縁層17を形成した。
〔3〕電解質液16Lの塗布
以下に示す組成の電解質液16Lを調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液16L・43mgを、架橋したエレクトロクロミック層14を有するITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)に対して図2(b)に示すドット状のパターンで滴下した。なお、滴下には、ジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いた。
〔4〕樹脂18Lの塗布
封止材18となる樹脂18Lとして、感光性樹脂であるフォトレック(積水化学工業株式会社製)18mgをディスペンサーを使用して図3(a)に示すパターンで電解質液16Lの周囲に沿って塗布した。
〔5〕貼り合わせ
ITOガラス基板(第2の支持体11及び第2の電極13)上に各層が形成された構造体と、ITOガラス基板(第1の支持体10及び第1の電極12)上に各層が形成された構造体とを、各ITOガラス基板を外側にして貼り合せた。
〔6〕樹脂18Lの架橋
貼り合わせを行った直後に、第1の支持体10上に電解質液16Lの塗布部を覆うフォトマスクを置き遮光処理をした。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、樹脂18Lのみ架橋を行って封止材18を形成した。
〔7〕電解質液16Lの浸透促進処理及び架橋
樹脂18Lのみ架橋を行った素子について、10分間60℃で素子全体を加熱した。その後、UV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間素子に照射を行い、電解質液16Lの塗布部の架橋を行って電解質層16を形成し、エレクトロクロミック素子2を完成させた。
<発消色駆動>
〔7〕項で作製したエレクトロクロミック素子2を駆動したところ、エレクトロクロミック層14及びエレクトロクロミック層15の夫々が対応する発色を呈し、両者は補色の関係にあるため、エレクトロクロミック素子2の全体としては黒色の発色を確認した。
作製したエレクトロクロミック素子2について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例5〉
実施例2において〔6〕の工程でフォトマスクを使用せず樹脂18Lの塗布部及び電解質液16Lの塗布部を同時に架橋して封止材18及び電解質層16を形成し、〔7〕を実施しない以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例6〉
実施例2において〔7〕の工程で加熱を行わず室温で放置する以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例7〉
実施例2において〔7〕の工程で加熱の温度を40℃に変更した以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈比較例8〉
実施例2において〔7〕の工程で加熱の温度を80℃に変更した以外は、実施例2と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び2を行った。
〈実施例と比較例の検討〉
実施例1及び2と比較例1〜8における試験1及び2の結果を表1に示す。
Figure 0006589412
表1の結果から、実施例1は応答速度及び均一発色性に関して何れも良好な結果を示した。これに対して、比較例1では応答速度は遅く、色ムラも大きく目立つ結果となった。これは、電解質液の架橋のタイミングが早いために、エレクトロクロミック素子内の各層に電解質液が一様に浸透できず、ジェットディスペンサー塗布領域のみしか発色しなかったためと考えられる。
比較例2及び3では浸透時間を設けたものの、加熱温度が低いために電解質液の粘性が十分に下がらず、結果として浸透が不十分になったと考えられる。又、比較例4の結果は、加熱温度が高すぎると電解質液の架橋が熱によって促進されてしまい、浸透が十分に進行しないことを示している。これは、両極にエレクトロクロミック層を設けた実施例2及び比較例5〜8の結果等、エレクトロクロミック素子の構成を変更しても当てはまる。
以上より、封止材18となる樹脂18Lの架橋のタイミングで電解質層16となる電解質液16Lを架橋させず、60℃加熱処理を施してから電解質液16Lの架橋を行うことで、電解質液16Lがエレクトロクロミック素子内の各層に十分浸透することが確認できた。すなわち、架橋型の電解質液や塗布方法にジェットディスペンサーを用いた場合でも、色ムラがなく応答速度も良好なエレクトロクロミック素子を作製することができた。つまり、この技術は、応答特性及び均一発色性を著しく低下させることなく安全性・スケーラブルなエレクトロクロミック素子の作製技術として極めて有効である。
なお、ここでは、樹脂18L及び電解質液16Lを光エネルギーにより架橋する実施例を示したが、樹脂18L及び電解質液16Lの何れか一方又は双方を熱エネルギーにより架橋する場合も、上記と同様の効果が得られる。この場合も、硬化を遅らせた電解質液16Lが十分な時間を持ってエレクトロクロミック素子内の各層に浸透していくからである。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
1、2 エレクトロクロミック素子
10 第1の支持体
11 第2の支持体
12 第1の電極
13 第2の電極
14、15 エレクトロクロミック層
16 電解質層
16L 電解質液
17 多孔質絶縁層
18 封止材
18L 樹脂
特開昭63−94501号公報 特開平11−288738号公報

Claims (5)

  1. 互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられたエレクトロクロミック層と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、前記エレクトロクロミック層と接する電解質層と、
    前記電解質層の周囲に沿って設けられた封止材と、を有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
    前記第1の電極上に前記エレクトロクロミック層を形成する工程と
    前記エレクトロクロミック層上に、前記電解質層となる電解質液を塗布する工程と、
    前記エレクトロクロミック層上の前記電解質液の周囲に沿って、樹脂を塗布する工程と、
    熱又は光エネルギーにより前記樹脂を架橋して前記封止材を形成する工程と、
    前記樹脂を架橋する工程の後、前記電解質液が架橋を開始しない温度範囲で前記電解質液に熱エネルギーを加える工程と、
    前記熱エネルギーを加える工程の後、熱又は光エネルギーにより前記電解質液を架橋して前記電解質層を形成する工程と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
  2. 記第1の電極上に前記エレクトロクロミック層が形成され、前記エレクトロクロミック層上に前記電解質液及び前記樹脂が塗布された構造体の、前記樹脂側に前記第2の電極を貼り合わせる工程と、を有し、
    前記貼り合わせる工程の後に、前記樹脂を架橋する工程、前記熱エネルギーを加える工程、及び前記電解質液を架橋する工程が順次実行されることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  3. 前記電解質液は、所定のパターン形状に塗布されることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  4. 前記第1の電極と前記第2の電極との間に多孔質絶縁層を設ける工程を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  5. 前記エレクトロクロミック層は、第1のエレクトロクロミック層と、前記第1のエレクトロクロミック層の酸化還元反応による発色と補色の関係にある発色が該酸化還元反応の逆反応により起生するように選択された第2のエレクトロクロミック層と、を含み、
    前記第1の電極に隣接して前記第1のエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記第2の電極に隣接して前記第2のエレクトロクロミック層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
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