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JP6590185B2 - シンチレータ固定化ケイ酸粒子 - Google Patents
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JP6590185B2 - シンチレータ固定化ケイ酸粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、シンチレータ固定化ケイ酸粒子、及びこれを用いた放射線検出材に関する。
近年、放射線検出材として、放射線量の二次元画像化を可能とするイメージングプレート(IP)が注目を浴びている。しかしながら、現状では、IPは非常に高価な上、フェーディングや蛍光量の減衰等に起因する定量性の問題がある。また、IPは、検出にレーザービームを要するため、放射能汚染現場での測定ができないという問題もある。さらに、IPは一旦放射性物質に汚染されると放射性廃棄物となってしまう。これは、IPを汚染防止フィルムで覆うことにより回避可能ではあるが、放射される放射線(β線)が低エネルギーであるトリチウム等の試料を検出する場合は、当該フィルムで覆うと検出が困難となる。このため、トリチウム等の試料を検出する場合には、高価なIPを使い捨てにしなければならなかった。
一方、本発明者は、放射線検出材として、シンチレータ(シンチレータ分子含有シリカ粒子)(特許文献1、非特許文献1)を紙に担持したペーパーシンチレータ(非特許文献1)を開発している。このペーパーシンチレータは、放射線量の二次元画像化が可能であり、またIPよりも安価に作製可能である。さらに、ペーパーシンチレータは、IPのように検出にレーザービームを要することなく、簡便に放射線を検出できる。
特許第4586191号
Radiation Protection Dosimetry (2013), Vol.156, No.3, pp.277-282.
本発明は、より安価に作製することができ、且つ放射線検出感度がより高い放射線検出材を提供することを課題とする。これに加えて、さらに放射線量の二次元画像化が可能であり、放射線の検出がより簡便な放射線検出材を提供することをも課題とする。
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、ケイ酸粒子、及び当該粒子の表面上に固定化されたシンチレータを含有する、シンチレータ固定化ケイ酸粒子を放射線検出材の材料として用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. ケイ酸粒子、及び該粒子の表面上に固定化されたシンチレータを含有する、シンチレータ固定化ケイ酸粒子.
項2. 前記ケイ酸粒子の平均粒径が0.1〜100μmである、項1に記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子.
項3. 前記ケイ酸粒子が珪石粒子である、項1又は2に記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子.
項4. 前記シンチレータが有機シンチレータ分子を含有するシリカナノ粒子である、項1〜3のいずれかに記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子.
項5. 前記シンチレータが接着剤を介してケイ酸粒子に固定化されている、項1〜4のいずれかに記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子.
項6. 項1〜5のいずれかに記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子、及びバインダーを含有する、放射線検出材.
項7. シート状である、項6に記載の放射線検出材.
項8. シンチレータより発せられる蛍光を増強する物質を含有する、項6又は7に記載の放射線検出材.
本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子は、シンチレータ単独の場合に比べて、一定量のシンチレータ当たりの放射線検出感度がより高い。したがって、これを放射線検出材の材料として用いることにより、一般的に高価であるシンチレータの使用量を減らしつつも、使用量を減らさない場合と同程度の或いはより高い放射線検出感度を有する放射線検出材を得ることができる。
本発明の放射線検出材は、既存のIPよりも安価に製造することができ、低エネルギーの放射線(例えばトリチウム由来のβ線)であっても検出可能であり、シート状にして使用すれば放射線量の二次元画像化も可能である。また、シンチレータ分子を用いているため、IPのように検出にレーザービームを要することなく、簡便に放射線を検出できる。さらに、担体としてケイ酸粒子を用いているので、汚染されたとしても、加熱によりガラス固化体とすれば、そこにRIを封入することが可能である。これにより、汚染の拡大を防ぐことができる。
放射性同位体を含む溶液を滴下したシート状放射線検出材の蛍光画像の一例を示す。左側は各放射性同位体を滴下した位置を示し、右側は蛍光画像を示す。黒色で示される領域が蛍光を発している領域を表わす。
1.シンチレータ固定化ケイ酸粒子
本発明は、ケイ酸粒子、及び該粒子の表面上に固定化されたシンチレータを含有する、シンチレータ固定化ケイ酸粒子(本明細書において、「本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子」と示すこともある)に関する。当該ケイ酸粒子は、表面にシンチレータが固定化されてなるケイ酸粒子、又は表面にシンチレータを固定した状態で含有するケイ酸粒子ということもできる。以下、これについて説明する。
ケイ酸粒子は、二酸化ケイ素を主成分として含む粒子である限り特に限定されない。ケイ酸粒子は、二酸化ケイ素を、例えば70重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上、よりさらに好ましくは90重量%以上、よりさらに好ましくは95重量%以上、よりさらに好ましくは99%以上含む粒子であることができる。ケイ酸粒子として、具体的には、例えば珪石粒子を用いることができる。
ケイ酸粒子の平均粒径は、特に限定されないが、例えば0.1〜100μm程度であることができる。一定量のシンチレータ当たりの放射線検出感度がより高いという観点から、ケイ酸粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1.5〜20μm、よりさらに好ましくは2〜15μm、よりさらに好ましくは3〜12μm、よりさらに好ましくは4〜9μm、よりさらに好ましくは4〜7.5μmであることができる。
ケイ酸粒子は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
シンチレータは、特に限定されず、シンチレータ分子、シンチレータ分子の複合体等を広く採用することができる。これらの中でも、シンチレータ分子の複合体が好ましい。
シンチレータ分子は、特に限定されず、公知のシンチレータ分子、例えば有機シンチレータ分子、無機シンチレータ分子を広く採用することができる。これらの中でも、好ましくは有機シンチレータ分子が挙げられる。
有機シンチレータ分子としては、例えば以下のものが挙げられる。
ベンゾオキサゾール誘導体: 1,1’−ビフェニル 4−イル−6−フェニル−ベンゾオキサゾールTLA、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−(4’−メチルフェニル)−ベンゾオキサゾール、2−(4’−メチルフェニル)−5−メチルベンゾオキサゾール、2−(4’−メチルフェニル)−5−t−ブチルベンゾオキサゾール、2−(4’−t−ブチルフェニル)−ベンゾオキサゾール、2−フェニル−5−t−ブチル−ベンゾオキサゾール、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−t−butylベンゾオキサゾール、2−(4’−ビフェニリル)−ベンゾオキサゾール、2−(4’−ビフェニリル)−5−t−butylベンゾオキサゾール、2−(4’−ビフェニリル)−6−フェニル−ベンゾオキサゾール(PBBO)等
オキサゾール誘導体: 2−p−ビフェニリル−5−フェニルオキサゾール(BPO)、2,2’−p−フェニレンビス(5−フェニルオキサゾール)(POPOB)、2,5−ジフェニルオキサゾール(PPO)、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4−ビス−2−(4−メチル−5−フェニルオキサゾリル)ベンゼン(DMPOPOP)等
オキサジアゾール誘導体: 2,5−ジフェニルオキサジアゾール(PPD)、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ−(4’−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−フェニル−5−(4’’−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−(4’’−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(ブチル−PBD)等
テルフェニル誘導体: 4,4’’−ジ−tert−アミル−p−テルフェニル(DAT)等
多核芳香族化合物: 4,4’−ビス(2,5−ジメチルスチリル)ジフェニル(BDB)、p−テルフェニルシンチレータ等
ピラゾリン誘導体: 1−フェニル−3−メシチル−2−ピラゾリン(PMP)、1,5−ジフェニル−3−(4−フェニル−1,3−ブタジエニル)−2−ピラゾリン(DBP)、1,5−ジフェニル−β−スチリルピラゾリン(DSP)等
ホスホルアミド誘導体: アニリノビス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド(PDP)等
チオフェン誘導体: 2,5−ビス−ベンゾオキサゾリル(2’)−チオフェン、2,5−ビス−[5’−メチルベンゾオキサゾリル(2’)]−チオフェン、2,5−ビス−[4’,5’−ジメチルベンゾオキサゾリル(2’)]−チオフェン、2,5−ビス−[4’,5’−ジメチルベンゾオキサゾリル(2’)]−3,4−ジメチルチオフェン、2,5−ビス−[5’−イソプロピルベンゾオキサゾリル(2’)]−3,4−ジメチルチオフェン、2−ベンゾオキサゾリル(2’)−5−[7’−sec−ブチル−ベンゾオキサゾリル(2’)]−チオフェン、2−ベンゾオキサゾリル(2’)−5−[5’−t−ブチル−ベンゾオキサゾリル(2’)]−チオフェン、2,5−ビス−[5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル(2’)]−チオフェン(BBOT)等。
無機シンチレータ分子としては、例えばCe添加GdSiO、CsI、CsI(Tl)、CsI(Na)、BiGe12、Ce添加LuSiO、NaI(Tl)、CeF、PbWO、BaF、PbF、LiI(Eu)等が挙げられる。
シンチレータ分子は、放射線を検出できる限りにおいて、適宜組み合わせて用いることもできる。このような組み合わせとしては、例えば、液体シンチレータに用いられる第1溶質と第2溶質との組み合わせを採用することができる。第1溶質としては、例えばp−テルフェニル、2,5−ジフェニルオキサゾール(PPO)、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−(4’’−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(ブチル−PBD)等が挙げられる。第2溶質としては、例えば1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4−ビス−2−(4−メチル−5−フェニルオキサゾリル)ベンゼン(DMPOPOP)等が挙げられる。好ましい組み合わせとしては、例えばPPOとPOPOPとの組み合わせが挙げられる。
シンチレータ分子の複合体としては、シンチレータ分子を含有する複合体であれば特に限定されず、例えば複数のシンチレータ分子のみからなる複合体、或いはシンチレータ分子と他の物質との複合体が挙げられる。これらの中でも、好ましくはシンチレータ分子を含有する担体粒子を挙げることができる。
担体粒子としては、シンチレータ分子を含有させることができる担体粒子であれば特に限定されず、一例としてシリカナノ粒子を挙げることができる。シリカナノ粒子の平均粒子径は、通常のシリカナノ粒子の製造方法で得られる粒子径であれば特に限定されない。シリカナノ粒子の平均粒子径は、例えば10〜500nm、好ましくは30〜400nm、より好ましくは70〜300nm、さらに好ましくは100〜200nm程度であることができる。
「含有する」とは、シンチレータ分子が担体粒子表面上に付着又は担体粒子内部に包含されていることを意味する。シンチレータ分子は、担体粒子内部に包含されていることが好ましい。
シンチレータ分子の複合体は、公知の方法に従って得ることができる。例えば、有機シンチレータ分子含有シリカナノ粒子であれば、特許文献1、非特許文献1等に記載の方法に従って、有機シンチレータ分子の存在下で(例えばゾル−ゲル法により)シリカナノ粒子を形成させることにより得ることができる。より具体的には、有機シンチレータ分子含有シリカナノ粒子は、例えば有機溶媒中に有機シンチレータ分子を溶解後、ここに低級アルコール、ケイ酸源、及び触媒を加えることより得ることができる。
有機シンチレータ分子を溶解させる有機溶媒としては、例えばDMSO、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン等が挙げられる。有機シンチレータと有機溶媒との配合比(有機シンチレータ重量:有機溶媒重量)は、有機シンチレータを有機溶媒に溶解することができる限り特に限定されない。該配合比は、例えば1:10〜90、好ましくは1:30〜70程度であることができる。
有機シンチレータ分子を溶解する際に、安息香酸、フェノール、ヒドロキノン等の、ベンゼンの水素原子(好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個)が水酸基、カルボキシ基等で置換されてなる化合物を共存させることにより、有機シンチレータをシリカナノ粒子になじみ易くすることができる。これらの共存物を加える場合、共存物と有機溶媒との配合比は、例えば1:10〜90、好ましくは1:30〜70程度であることができる。
低級アルコールは、ゾル−ゲル法によるシリカナノ粒子の形成に用いることができる低級アルコールである限り特に限定されない。低級アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等挙げられ、好ましくはエタノールが挙げられる。低級アルコールの配合量は、特に限定されないが、例えば有機溶媒の1〜5倍程度であることができる。
ケイ酸源は、ゾル−ゲル法によるシリカナノ粒子の形成に用いることができるケイ酸源である限り特に限定されない。ケイ酸源としては、例えばアルコキシシランが挙げられ、より具体的には例えばオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)等が挙げられ、好ましくはオルトケイ酸テトラエチルが挙げられる。ケイ酸源の配合量は、特に限定されないが、例えば低級アルコールの1/500〜1/5程度であることができる。
触媒は、ゾル−ゲル法によるシリカナノ粒子の形成に用いることができる触媒である限り特に限定されない。触媒としては、例えば塩基触媒、酸触媒等が挙げられ、好ましくは塩基触媒が挙げられる。塩基触媒としては、アンモニア等が挙げられ、酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等が挙げられる。
シンチレータ分子の複合体の総重量に占めるシンチレータ分子の割合は、例えば5〜80重量%、好ましくは15〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%、さらに好ましくは30〜55重量%であることができる。
シンチレータは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子においては、シンチレータがケイ酸粒子の表面上に固定化されている。シンチレータは、ケイ酸粒子の表面上に直接固定化されていてもよいし、他の物質(例えば接着剤)を介して固定化されていてもよい。より多くのシンチレータを固定化できるという観点からは、接着剤を介して固定化されていることが好ましい。
接着剤は、シンチレータをケイ酸粒子に接着させることができる物質である限り特に限定されない。接着剤としては、例えばケイ酸ナトリウム、テトラエチルオルソシリケート等の、ケイ素原子を含む接着剤が挙げられ、好ましくはケイ酸ナトリウムが挙げられる。
シンチレータ固定化ケイ酸粒子の総重量に占めるシンチレータの割合は、例えば1〜70重量%、好ましくは3〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜50重量%であることができる。この範囲の中でも、シンチレータとしてシンチレータ分子含有シリカナノ粒子を用いた場合の好ましい範囲としては、例えば20〜50重量%、好ましくは30〜50重量%であることができる。
シンチレータ固定化ケイ酸粒子は、例えばケイ酸粒子を、必要に応じて接着剤と混合(第1混合)した後、シンチレータと混合(第2混合)することにより得ることができる。
第1混合は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。例えば接着剤としてケイ酸ナトリウムを用いる場合は、この水溶液である水ガラスとケイ酸粒子とを混合することにより第1混合を行うことが好ましい。第1混合の時間は、特に限定されないが、例えば6〜48時間程度であることができる。ケイ酸粒子と接着剤との配合比(ケイ酸粒子重量:接着剤重量)は、接着剤の種類によっても違うが、接着剤がケイ酸ナトリウムである場合であれば、例えば1:0.005〜0.5、好ましくは1:0.01〜0.1であることができる。
第2混合も、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、特に限定されず、例えば水や、上記シンチレータ分子含有シリカナノ粒子の製造に用いる有機溶媒、低級アルコール等を用いることができる。第2混合の時間は、特に限定されないが、例えば、24〜100時間程度であることができる。ケイ酸粒子とシンチレータとの配合比(ケイ酸粒子重量:シンチレータ重量)は、シンチレータの種類によっても違うが、例えば1:0.01〜3、好ましくは0.1〜1.5であることができる。
第2混合後は、必要に応じて混合物から溶媒を蒸発させることにより、シンチレータ固定化ケイ酸粒子を得ることができる。
2.放射線検出材
本発明は、本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子、及びバインダーを含有する、放射線検出材(本明細書において、「本発明の放射線検出材」と示すこともある)に関する。以下、これについて説明する。
バインダーとしては、本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子同士を接着させることができるものであれば、特に限定されず、公知のバインダーを広く採用することができる。バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂接着剤、アクリル樹脂嫌気性接着剤、アクリル樹脂エマルジョン接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂接着剤、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、ウレタン樹脂エマルジョン接着剤、エーテル系セルロ−ス、エチレン−酢酸ビニル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、ポリアミド樹脂接着剤、ポリイミド樹脂接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、スチレン−ブタジエンゴム溶液系接着剤、ニトロセルロース接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤等の有機系接着剤が挙げられる。
本発明の放射線検出材の総重量に占める本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子の割合は、放射線の検出が可能な程度の量である限り特に限定されないが、例えば1〜99重量%、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは30〜90重量%、よりさらに好ましくは60〜90重量%であることができる。
本発明の放射線検出材には、シンチレータより発せられる蛍光を増強する物質(本明細書において、「蛍光増強物質」と示す場合もある)が含まれていてもよい。蛍光増強物質によって、シンチレータ由来の蛍光を増強することができ、これにより放射線検出感度をより高めることができる。蛍光増強物質としては、例えば特定の波長の光により表面プラズモン共鳴が起こる物質(金ナノ粒子、銀ナノ粒子等)が挙げられる。金ナノ粒子や銀ナノ粒子を用いる場合、その粒径は、シンチレータ分子から発せられる蛍光の波長に応じて適宜設定することができる。好適な組み合わせとしては、シンチレータ分子:PPO及びPOPOPと、蛍光増強物質:金ナノ粒子との組み合わせが挙げられる。該組み合わせの場合、金ナノ粒子の粒子径に応じて、POPOPから発せられる蛍光を、より金ナノ粒子に吸収され易い波長の蛍光に変換するための物質(例えばO−Auramin等)を本発明の放射線検出材に含ませることが望ましい。該組み合わせは、89Sr、204Tl等から発せられる放射線の検出感度を高めるために特に適している。
本発明の放射線検出材は、放射線検出が可能である限りにおいて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、シリカナノカプセルや多孔性シリカナノ粒子、表面修飾したシリカナノ粒子や多孔性シリカナノ粒子等が挙げられる。
本発明の放射線検出材の形状は、特に制限されず、検出対象の形状等に応じて、例えばシート状、球状、柱状、直方体等の種々の形状であることができる。放射線量の二次元画像化がより行いやすいという観点から、シート状であることが好ましい。シートの厚みとしては、例えば0.01mm〜5mm程度、好ましくは0.01mm〜2mm程度であることができる。
本発明の放射線検出材は、本発明のシンチレータ固定化ケイ酸粒子、バインダー、及び必要に応じて蛍光増強物質や他の成分を混合することにより得ることができる。例えば、水やアルコールなどの適当な溶媒の存在下で、上記成分を混合後、乾燥等により溶媒を除去することにより得ることができる。また、乾燥前又は乾燥後に、所望の形状になるように成型してもよい。
本発明の放射線検出材は、種々の核種、例えばH、63Ni、14C、35S、33P、89Sr、204Tl、32P、241Am等から発せられる放射線を検出することができる。本発明の放射線検出材は、より高い検出感度が得られるという観点から、好ましくは100〜500keV、より好ましくは150〜300kevの放射線(例えば35S、33P等から発せられる放射線)の検出に特に適している。一方、本発明の放射線検出材は、シンチレータ単独で用いた場合に比べてより高い検出感度が得られるという観点から、好ましくは35S、33P、又は32Pから発せられる放射線、より好ましくは32Pから発せられる放射線の検出に特に適している。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1:シンチレータ固定化ケイ酸粒子の放射線検出感度の評価
シンチレータ固定化ケイ酸粒子を調製し、その放射線検出感度の測定及び評価を行った。具体的には次のように行った。
珪石粉末(広浦鉱業社製、二酸化ケイ素純度99.8%)(粒子径2.25μmの珪石粉末2.2680g、粒子径4.77μmの珪石粉末2.130g、粒子径6.78μmの珪石粉末2.1436g、又は粒子径10μmの珪石粉末2.1291g)を、0.54重量%水ガラス水溶液 25mLに加えて、室温で1日撹拌した。一方で、ジメチルスルホキシド(DMSO) 30mLに、1,4−ビス−[2−(5−フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP) 52.9〜55.1mg、2,5−ジフェニルオキサゾール(PPO) 524.3〜544.2mg、及び安息香酸 512.8〜611.1mgを溶解した後、エタノール70mL、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS) 2.5mL、及び濃アンモニア水 2.5mLを加えて撹拌した。非特許文献1に開示されるように、この操作により、粒子径が約100〜200nmのシンチレータ分子含有シリカナノ粒子が形成される。このシンチレータ分子含有シリカナノ粒子を含む溶液を、珪石粉末と水ガラス水溶液との上記混合溶液に加えて、室温で約3日間撹拌した。その後、ヒーターで約120〜140℃に加熱しながらエタノール等の溶媒を蒸発させて、粉末(シンチレータ固定化ケイ酸粒子)を得た。
また、珪石粉末を加えない以外は同様にして、粉末(シンチレータ(シンチレータ分子含有シリカナノ粒子))を得た。
得られた粉末の総重量(A)、総重量中のシンチレータ分子含有シリカナノ粒子の重量(=総重量−珪石粉末重量)(B)、及び総重量に対するシンチレータ分子含有シリカナノ粒子の重量の割合(B/A)を表1に示す。
得られた粉末(シンチレータ固定化ケイ酸粒子、又はシンチレータ(シンチレータ分子含有シリカナノ粒子))50mgに1%のPVA(重合度500)水溶液 1mLを加え、メノウ乳鉢で混合した。得られた混合液を、3cm×3cmの透明プラスチック板上に塗布し、シェーカーで回転させながら室温で乾燥し、シート状放射線検出材を得た。
得られたシート状放射線検出材に、放射性同位体を含む溶液(H(37kBq、1μL)、63Ni(37kBq、10μL)、14C(740Bq、1μL)、35S(29kBq、0.1μL)、33P(16.2kBq、0.1μL)、89Sr(37kBq、10μL)、又は32P(8.6kBq、0.1μL))(H、14C、35S、33P、及び32PはPerkin Elmer社製、89Sr及び63NiはEckert&Ziegler Isotope Products (EZIP)社製)を滴下した。シート状放射線検出材をImager(GEヘルスケアライフサイエンス社製、ImageQuant LAS−4000 Mini)の2段目にセットし、Precision 5minにて、該シートの蛍光画像を得た。得られた蛍光画像の一例(シンチレータ固定化ケイ酸粒子を用いた場合)を図1に示す。該画像中、Hを含む溶液(37kBq)を滴下した位置の黒い領域の面積は約10mmであったことから、3.7kBqのHが1mm内に存在する場合であれば、シンチレータ固定化ケイ酸粒子を用いたシート状放射線検出材によって、検出可能であることが示された。
蛍光画像中、蛍光を発している領域(黒色の領域)の濃さ(=蛍光強度)を数値化した。さらに、この蛍光強度の数値に、上記粉末の総重量に対するシンチレータ分子含有シリカナノ粒子の重量の割合(B/A)の逆数(A/B)を乗じて、補正蛍光強度を求めた。この補正蛍光強度は、珪石粉末無しの場合(B/A=1)のシート状放射線検出材中のシンチレータ重量(50mg)と同重量のシンチレータがシート状放射線検出材に含まれるように調整した場合の、蛍光強度を示す。この補正蛍光強度が、珪石粉末無しの場合よりも高ければ、一定重量のシンチレータ当たりの放射線検出感度がより高まっていることを意味する。Hの結果を表2に、63Niの結果を表3に、14Cの結果を表4に、35Sの結果を表5に、33Pの結果を表6に、89Srの結果を表7に、又は32Pの結果を表8に示す。
表2〜8に示されるように、シンチレータを単独で用いた場合(珪石粉末無しの場合)に比べて、シンチレータ固定化ケイ酸粒子を用いた場合(珪石粉末有りの場合)の方が、補正蛍光強度(すなわち一定重量のシンチレータ当たりの放射線検出感度)が約2倍以上高かった。中でも、35S、89Sr、及び32Pについては、珪石粉末の粒径にもよるが、5倍以上(特に32Pについては20倍以上)高かった。以上より、シンチレータをケイ酸粒子に固定化することにより、一定重量のシンチレータ当たりの放射線検出感度が向上することが示された。
また、表2〜8より、35S(放射線エネルギー:167keV)及び33P(放射線エネルギー:249keV)の検出で得られた蛍光強度は、他の各種の検出で得られた蛍光強度に比べて、高い傾向にあった。
試験例2:蛍光増強物質の、放射線検出感度に与える影響の評価
シンチレータより発せられる蛍光を増強する物質(蛍光増強物質)が、放射線検出感度に与える影響を評価した。具体的には次のように行った。
上記試験例1で得られた粉末(シンチレータ固定化ケイ酸粒子、又はシンチレータ(シンチレータ分子含有シリカナノ粒子))50mgに、1%のPVA(重合度500)水溶液 20mL、蛍光増強物質である金微粒子(粒子サイズ15nm)の0.0070重量%水分散液(田中貴金属工業社製、Auコロイド溶液−SC) 1.8mL及びO−Auramin 2mgを加え、メノウ乳鉢で混合した。得られた混合液を、3cm×3cmの透明プラスチック板上に塗布し、シェーカーで回転させながら室温で乾燥し、シート状放射線検出材を得た。
得られたシート状放射線検出材(蛍光増強物質含む)に、放射性同位体を含む溶液(89Sr(3.7kBq、1μL)、又は204Tl(3.7kBq、1μL))を滴下した。さらに、試験例1で得られたシート状放射線検出材(蛍光増強物質含まない)に、放射性同位体を含む溶液(89Sr(37kBq、10μL)、又は204Tl(37kBq、10μL))を滴下した。試験例1と同様にして、蛍光画像を得て、蛍光強度を数値化した。蛍光増強物質を含むシート状放射線検出材に滴下したRI量は、蛍光増強物質を含まないシート状放射線検出材に滴下したRI量の1/10であったので、蛍光増強物質を含むシート状放射線検出材から得た蛍光強度を10倍にして、蛍光増強物質を含まないシート状放射線検出材から得た蛍光強度と比較した。89Srの結果を表9に、204Tlの結果を表10に示す。
表9〜10より、蛍光増強物質を含めることにより、シート状放射線検出材の放射線検出感度を2倍以上高められることが示された。

Claims (5)

  1. 珪石粒子、及び該粒子の表面上に固定化されたシンチレータを含有
    前記珪石粒子の平均粒径が1.5〜20μmであり、
    前記シンチレータが有機シンチレータ分子を含有するシリカナノ粒子であり、且つ
    前記シリカナノ粒子の平均粒子径が30〜400nmである、
    シンチレータ固定化ケイ酸粒子。
  2. 前記シンチレータが接着剤を介して前記珪石粒子に固定化されている、請求項に記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子。
  3. 請求項1又は2に記載のシンチレータ固定化ケイ酸粒子、及びバインダーを含有する、放射線検出材。
  4. シート状である、請求項に記載の放射線検出材。
  5. シンチレータより発せられる蛍光を増強する物質を含有する、請求項又はに記載の放射線検出材。
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