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JP6594875B2 - 細胞傷害性抗体 - Google Patents
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JP6594875B2 - 細胞傷害性抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、未分化多能性細胞に対して細胞傷害性である抗体に関する。
ヒト胚性幹細胞(hESC)は、初期段階ヒト胚の内部細胞塊から単離される1−4。これらは、無制限に複製可能であり(自己再生)5−8、そして適切な条件下で、三胚葉(外胚葉、内胚葉および中胚葉)4、9、10すべての細胞に分化可能であることによって区別される。ますます多くの研究が、hESCの胚様体(EB)11、ならびにいくつかの細胞系譜特異的細胞タイプ、例えば心筋細胞12−16、肝細胞17、ニューロン18−22、内皮細胞23−28、骨芽細胞29、30、角化細胞31および網膜色素上皮(RPE)32、33への分化の成功を報告してきている。これらの成功は、糖尿病、心不全、パーキンソン病、変性性眼疾患、および骨格組織傷害などの多様な疾患を治療するために、組織操作および再生医学において、hESCが大きな潜在能力を持つことを立証した。しかし、大きな安全性の懸念として、腫瘍原性は、なおも、hESCに基づく療法の進展を妨げている34−36。簡潔には、hESCの腫瘍原性は、残った未分化hESCの存在による、分化した細胞産物における奇形腫(良性腫瘍)またはさらに奇形癌腫(悪性腫瘍)の形成を指す。
以前、hESC集団を特徴付け、そして新規hESC表面マーカーを発見するために、hESCに対する一団のモノクローナル抗体(mAb)が生成された37。WO2007/102787およびWO2010/033084を参照されたい。これらの抗体のうち、mAb84は未分化hESCを殺すことが可能であることが最初に見出された。しかし、mAb84はIgM五量体であるため、分子サイズが比較的大きく、そして凝集体を形成する傾向があるため、腫瘍塊内への浸透効率が妨げられる可能性があった。続いて、mAb84のより小さい抗体断片形式、scFv84−HTHが操作され、そして浸透が改善されていることがLimら38によって立証された。しかし、hESCに対する細胞傷害性を同じレベルで達成するために、scFv84−HTHは、mAb84よりも20倍多い量を必要とする。さらに、mAb84およびscFv84−HTHは、多価または二価のいずれかであるため、著者は抗体の細胞傷害性はその価数と関連すると推測した。
hESCの腫瘍原性を防止するためには、いくつかの戦略36、37があり、これらは3つの段階に分類可能である。第一に、移植前段階において、hESCを望ましい細胞タイプに最終分化させるか、または多様なソーティング技術によって、分化した細胞産物から未分化細胞を除去することも可能である。第二に、初期移植後段階において、遺伝的操作または細胞傷害性薬剤などの方法で、腫瘍進行を中断させることも可能である。第三に、後期移植後段階において、操作された「自殺遺伝子」を所持すると検出された腫瘍を薬剤によって除去することも可能である。異なる段階で、未分化hESCまたは腫瘍形成を排除する多様な技術、ならびにそれらの利点および欠点を図1に要約する。しかし、これらの方法はいずれも、in vivoで、奇形腫または奇形癌腫形成を完全には排除可能ではない。
細胞傷害性抗体の適用は多様である。第一に、細胞傷害性抗体誘導性細胞死を細胞モデルとして用いて、分子および細胞機能を研究することも可能である。1995年、Bazilらは、ヒト造血前駆細胞(HPC)の表面接着分子CD43を認識し、そしてCD43の架橋を通じてHPCを直接殺す、モノクローナル抗体MEM−59を生成した61。MEM−59誘導性HPC死により、CD43は、初期造血事象の負の制御因子と同定された。第二に、細胞傷害性抗体を用いて、細胞死の新規経路を同定し、そして細胞死を特徴付けることも可能である。Matsuokaらは、活性化インターロイキン2依存性T細胞の新規タイプの細胞死を誘導可能なモノクローナル抗体RE2を生成した62。Zhangらもまた、Jurkat細胞に向けた細胞傷害性抗体、抗ポリミンを見出した63。この研究において、彼らは細胞死のまさに最初の細胞表面受容体仲介性経路、ならびに細胞死に際しての細胞反応のいくつかのユニークな特徴、例えば細胞凝集、形質膜透過処理および膜ブレブを紹介した。第三に、先のセクションに言及するように、細胞傷害性抗体は、望ましくない細胞を除去するため、例えば癌治療に意図的に用いられてきている。Bリンパ球上のCD20抗原をターゲティングするモノクローナル抗体であるリツキシマブは、B細胞悪性腫瘍、例えば非ホジキンリンパ腫を、化学療法と組み合わせて治療するために認可された最初の細胞傷害性抗体であった64。リツキシマブは、インキュベーション20時間後、ヤギ抗ヒト二次抗体とハイパークロスリンクした際に細胞死を誘導する。何人かの患者におけるリツキシマブ耐性を克服するため、多くの次世代抗CD20細胞傷害性抗体が生成されてきている65、66。GA101は、リソソーム内容物を細胞質および周囲環境にまき散らすことによってBリンパ球死を誘導する、新規抗CD20細胞傷害性抗体である67。また、再発性腺癌細胞死を誘導するRAV1268および肺癌細胞を直接殺す抗NeuGcGM3抗体69、70などの、他の細胞傷害性抗体もある。これらの細胞傷害性抗体は、すべて細胞死を誘導可能であるが、細胞死の様式は多様である(図2)。
長い間、プログラム細胞死はアポトーシスと同義に用いられてきており、そして腫瘍症は偶発的な細胞死と見なされてきた。しかし、この概念は常に正しいわけではないことが立証され71、この場合、腫瘍症もまた、プログラム細胞死のパターンである可能性もある。実際、パターン(アポトーシスまたは腫瘍症)は細胞タイプおよび刺激の間で多様であるが、すべての細胞は、適切な刺激に際して、「プログラム」された細胞死を経験しうる72、73。一般的に、細胞は、致死性損傷に際して3つの期を経る72
a)可逆性「臨終期」;
b)不可逆性細胞死、「復帰不能点」;
c)死後自己溶解性および変性性変化。
異なるタイプの細胞死を区別する1つの方法およびその用語法は、細胞死の各期における細胞反応によってこれらを定義することである。臨終期において、細胞死の2つの主な様式:アポトーシスおよび腫瘍症がある。これらは主に、細胞体積改変および細胞形態変化によって区別される。アポトーシスおよび腫瘍症の特徴を、以下に詳細に論じる。対照的に、死後細胞変化の大部分は、「壊死」と称され72、これは細胞死後の細胞変化を記述する古典的な用語である。
アポトーシスは、制御された細胞欠失のパターンを記述するため、Kerrらによって、1972年に最初に提唱された。正常な発生および細胞集団の制御において、アポトーシスは、有糸分裂と相補性であるが、反対の役割を演じると考えられた74。アポトーシスの制御不全は、癌、アルツハイマーおよび自己免疫疾患などの多くの疾患を生じるであろう75、76
アポトーシス・プロセスは、緊密に制御され、そして構築される。アポトーシスは、1セットの形態変化、例えば細胞収縮、核クロマチン凝縮および形質膜出芽、ならびに生化学的変化、例えばタンパク質切断、架橋、パターン化されたDNA断片化および食作用性認識によって特徴付けられる77。アポトーシスは通常、誘発事象の12〜24時間後のカスパーゼ活性化で始まる。形質膜タンパク質および細胞骨格における変化は、損なわれていない(intact)形質膜により核および細胞内小器官断片を被包する、アポトーシス小体の形成を生じるであろう74、78。続いて、外膜上に発現されるホスファチジルセリンを含むアポトーシス小体が認識され、そして隣接する細胞、特にマクロファージおよび内皮細胞によって貪食される。最終的に、細胞破片は組織から取り除かれて、炎症反応が回避される78。一般的に、カスパーゼ活性化には3つの主要経路がある:受容体−リガンド結合を通じた外因性カスパーゼ−8活性化、ミトコンドリアを通じた内因性カスパーゼ−9活性化、および小胞体を通じたカスパーゼ−12活性化79。細胞死の他の様式からアポトーシスを区別するため、アポトーシスの特徴およびそれぞれのアッセイを図3に要約する。
腫瘍症は、Von Rechkling−hausenによって、1910年に、膨張を伴う細胞死を記載するために最初に提唱され、そして後に、アポトーシスとは異なる虚血性細胞死を記載するために用いられた80。傷害後、腫瘍症が数秒から数分以内に誘発されて、その後、初期段階において、顕著な細胞形状および体積改変が起こりうる72。腫瘍症は、いくつかの形態学的および生化学的変化によって特徴付けられ、例えば細胞および小器官の明らかな膨張、巨視的空胞化、膜透過処理および細胞骨格タンパク質分解によって特徴付けられた72、80。アポトーシスの理解と比較すると、腫瘍症の機構はなお研究中である。ある研究は、形質膜のイオン性ポンプにおける不全、および細胞ATPレベルの減少が、腫瘍症の原因となっている可能性もあることを示してきている73、80。現在の理解では、腫瘍症は、図4Aに要約するように、それぞれのアッセイで特徴を同定することによって検出可能である。
一般的に、アポトーシスおよび腫瘍症は臨終プロセスであり、これらは、死後壊死につながる可能性もある。アポトーシスおよび腫瘍症期の後、壊死期では、変化は同様であり、アポトーシス性壊死または腫瘍症壊死と称される。
上述のように、細胞傷害性抗体は、細胞死を誘導可能である。これらのいくつかの細胞傷害性抗体に関する研究は、細胞傷害性抗体とのインキュベーションに際して、細胞が、細胞死の異なる様式(アポトーシスまたは腫瘍症)を経ることを示してきている(図2)。
MEM−59は、細胞収縮およびDNA断片化が検出されるにつれて、造血前駆細胞におけるアポトーシスを誘導することが示された61。別の抗体、リツキシマブもまた、インキュベーション18〜20時間後、非ホジキンリンパ腫アポトーシスを誘導する。他の検出されるアポトーシス特徴には、DNA断片化、アネキシンVによって検出されるホスファチジルセリン曝露、およびカスパーゼ−3活性増加が含まれる64
また、細胞において腫瘍症を誘導する抗体もある。RAV12処理腺癌細胞の迅速な膨張は、1時間以内に観察された81。タイムラプス顕微鏡検査下で、膜損傷が検出され、その後、細胞膨張が見られた。さらに、アクチン細胞骨格破壊およびLDH上昇もまた、RAV12処理に際して観察された。抗体誘導性腫瘍症の別の例は、抗ポリミンである63。抗ポリミン処理Jurkat細胞の膜透過性増加が、PI取り込みによって検出された。さらに、細胞膜上の孔の形成もまた、走査型電子顕微鏡(SEM)下で視覚化された。孔ポリミン誘導性腫瘍症の別の特徴は、細胞骨格タンパク質の再編成である。より明らかな例は、腫瘍症を通じたmAb84誘導性hESC死である。研究はまた、mAb84誘導性hESC死のいくつかの腫瘍症性の特徴、例えば迅速な細胞死、細胞凝集の形成、膜完全性の喪失およびアクチン細胞骨格関連タンパク質の分解も示した82。しかし、多くの言及した研究に関して、細胞死の様式は同定されたが、抗体誘導性細胞死の詳細な機構はなお不明である。
WO2012/011876は、抗体が結合するポドカリキシン様タンパク質(PODXL)を発現する細胞に対する細胞傷害性活性を有する候補として、抗体を選択する方法であって、Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含むグリカンへのPODXL結合抗体分子の結合を、Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含むグリカンへの非細胞傷害性PODXL結合抗体分子の結合と比較する工程を含む、前記方法を記載する。
WO2007/102787 WO2010/033084 WO2012/011876
本発明の1つの側面において、抗体を提供し、該抗体のアミノ酸配列は、アミノ酸配列i)〜iii)、またはアミノ酸配列iv)〜vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)〜vi):
i)SASSSVSYMF(配列番号1)
ii)LTSNLAS(配列番号2)
iii)QQWSSNPYT(配列番号3)
iv)GFTFSNYYMN(配列番号4)
v)EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
vi)FGY(配列番号6)
あるいは配列(i)〜(vi)の1またはそれより多くにおける1または2または3のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、その変異体
を含むことも可能である。
抗体は、以下のCDR:
CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)
CDR2: LTSNLAS(配列番号2)
CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含むことも可能である。
抗体は、以下のCDR:
CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)
CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
CDR3: FGY(配列番号6)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含むことも可能である。
抗体は、図15に示すCDRを取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含むことも可能である。抗体は、図15に示すCDRを取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を含むことも可能である。
抗体は、図15に示すアミノ酸配列、あるいは図15に示すmAb A1のV鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくとも1つの軽鎖可変領域を含むことも可能である。
抗体は、図15に示すアミノ酸配列、あるいは図15に示すmAb A1のV鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくとも1つの重鎖可変領域を含むことも可能である。
抗体は、図15に示すようなアミノ酸配列(あるいは図15に示すmAb A1のV鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む、少なくとも1つの軽鎖可変領域、および図15に示すようなアミノ酸配列(あるいは図15に示すmAb A1のV鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む、少なくとも1つの重鎖可変領域を含むことも可能である。
抗体は、場合によって、1またはそれより多いグリコシル化タンパク質に結合することも可能であり、ここで、グリコシル化は、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含む。
本発明の別の側面において、グリコシル化タンパク質に結合する抗体であって、グリコシル化が、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含む、前記抗体を提供する。抗体は、場合によって、上述のようなアミノ酸配列構成要素を有することも可能である。
本発明の任意の側面において、抗体は、好ましくは未分化多能性細胞に対して細胞傷害性である。未分化多能性細胞との接触に際して、該抗体は、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満または1分未満の1つで、細胞を殺すことも可能である。
本発明の任意の側面において、抗体は、好ましくは、未分化多能性細胞から分化した細胞よりも、未分化多能性細胞に特異的に結合する。例えば、抗体は、未分化多能性細胞(単数または複数)から形成される胚様体よりも、未分化多能性細胞に対する特異的結合を示す。
本発明の1つの側面において、単離重鎖可変領域ポリペプチドを提供し、重鎖可変領域ポリペプチドは、以下のCDR:
CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)
CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
CDR3: FGY(配列番号6)
を含む。
本発明の1つの側面において、抗体を提供し、該抗体は、重鎖および軽鎖可変領域配列を含み:
それぞれ、重鎖は、CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)、CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)、CDR3: FGY(配列番号6)に少なくとも85%の全体の配列同一性を有するCDR1、CDR2、CDR3を含み、そして軽鎖は、CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)、CDR2: LTSNLAS(配列番号2)、CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)に少なくとも85%の全体の配列同一性を有するCDR1、CDR2、CDR3を含む。
いくつかの態様において、配列同一性の度合いは、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つであることも可能である。
本発明の別の側面において、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む、場合によって単離された抗体を提供し、ここで:
重鎖配列は、図15Aに示すA1H重鎖配列に対して、少なくとも85%の配列同一性を有し、そして
軽鎖配列は、図15Bに示すA1L軽鎖配列に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。
いくつかの態様において、配列同一性の度合いは、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の1つであることも可能である。
いくつかの態様において、抗体またはポリペプチドは、CDR間の可変領域重鎖フレームワーク配列をさらに含む。フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来することも可能である。
本発明の1つの側面において、場合によって本明細書に記載するような重鎖可変領域ポリペプチドと組み合わされた、単離軽鎖可変領域ポリペプチドを提供し、軽鎖可変領域ポリペプチドは、以下のCDR:
CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)
CDR2: LTSNLAS(配列番号2)
CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)
を含む。
いくつかの態様において、抗体またはポリペプチドは、CDR間の可変領域軽鎖フレームワーク配列をさらに含む。フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来することも可能である。
本発明の別の側面において、組成物、例えば薬学的組成物または薬剤を提供する。組成物は、本明細書に記載するような抗体またはポリペプチド、および少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアー、賦形剤、アジュバントまたは希釈剤を含むことも可能である。
抗体はIgGであることも可能である。該抗体は、約140〜160kDa、好ましくは約150kDaの分子量を有することも可能である。
いくつかの態様において、好ましい抗体は二価である。
いくつかの態様において、抗体はmAb A1であることも可能である。
抗体mAb A1は、ハイブリドーマ細胞TAG−A1から産生され、該細胞は、Agency for Science, Technology and Research, 1 Fusionoplois Way, #20−10 Connexis, Singapore 138632によって、2014年3月20日、寄託番号PTA−121134の下に、ブダペスト条約の条項にしたがって、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、米国バージニア州マナサスに寄託されている。
したがって、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに、寄託番号PTA−121134で寄託されている、ハイブリドーマ細胞株TAG−A1を提供する。アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに、寄託番号PTA−121134で寄託されている、ハイブリドーマ細胞株TAG−A1から産生されるモノクローナル抗体を提供する。
抗体は、好ましくは、1より多いグリコシル化タンパク質抗原、特に未分化多能性細胞中に、または該細胞上に存在するグリコシル化タンパク質抗原に対して、特異的な結合を示し、ここで、タンパク質抗原上のグリコシル化は、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含む。このモチーフは、場合によってより大きいグリカンの一部として存在してもよいし、または完全グリカンに相当してもよい。グリカンは、好ましくは、タンパク質にO連結されることも可能である。
多能性細胞は、細胞中および/または細胞表面上のいずれかに、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを有する、1またはそれより多いグリコシル化タンパク質を発現することも可能である。本明細書において、未分化多能性細胞は、未分化多能性幹細胞であることも可能である。好ましくは、これらはヒトまたは哺乳動物である。
本発明の別の側面において、本明細書記載の抗体またはポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。
本発明の1つの側面において、本明細書記載の核酸を含むベクターを提供する。本発明の別の側面において、ベクターを含む宿主細胞を提供する。例えば、宿主細胞は、真核、または哺乳動物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)、またはヒトであってもよく、あるいは原核細胞、例えば大腸菌(E. coli)であってもよい。
本発明の1つの側面において、本明細書記載の抗体またはポリペプチドを作製するための方法であって、本明細書記載の宿主細胞を、抗体またはポリペプチドをコードするベクターの発現に適した条件下で培養し、そして抗体またはポリペプチドを回収する工程を含む、前記方法を提供する。
本発明の別の側面において、単数または複数の未分化多能性細胞を含有する試料において、こうした細胞を破壊する方法であって、未分化多能性細胞を含有する細胞の試料を、本発明記載の抗体と接触させる工程を含む、前記方法を提供する。
本発明の別の側面において、単数または複数の未分化多能性細胞を含有する試料から、こうした細胞を取り除く方法であって、未分化多能性細胞を含有する細胞の試料を、本発明記載の抗体と接触させる、前記方法を提供する。
本発明の別の側面において、未分化多能性細胞、および分化を経たかまたは経ている細胞を含む混合物から、分化を経たかまたは経ている多能性細胞を濃縮する方法であって、混合物を、本発明記載の抗体と、該抗体が未分化多能性細胞を殺すために十分な期間、接触させる工程を含む、前記方法を提供する。方法は、死んだ細胞から生存細胞を分離する工程をさらに含むことも可能である。
本発明の別の側面において、未分化多能性細胞から分化した細胞を含有し、実質的に未分化多能性細胞を含有しない組成物を調製する方法であって:
(i)未分化多能性細胞および未分化多能性幹細胞から分化した細胞を含む細胞集団を提供し;
(ii)該集団を、本発明記載の抗体と、該抗体が未分化多能性細胞を殺すことを可能にする条件下で接触させ;そして
(iii)工程(ii)の後に残っている生存細胞を死んだ細胞から分離する;
工程を含む、前記方法を提供する。
該方法は、(iii)由来の分離された細胞を、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバントまたは希釈剤と混合する工程をさらに含むことも可能である。
本発明の別の側面において、本発明記載の抗体に結合した未分化多能性細胞を含む、in vitro複合体を提供する。該複合体を単離してもよい。
本発明記載の方法は、好ましくはin vitroで実行可能である。該方法は、細胞および抗体を、該抗体が細胞傷害性効果を発揮するために十分である、あらかじめ決定された期間、一緒にインキュベーションする工程を含むことも可能である。こうした期間は、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも50分間、または少なくとも60分間の1つであることも可能である。
本発明の別の側面において、細胞療法を必要とする患者を治療する方法であって、患者に、未分化多能性細胞から分化した細胞を含有する組成物を投与する工程を含み、該組成物が実質的に未分化多能性細胞を含有せず、組成物が本明細書記載の方法によって得られる、前記方法を提供する。
細胞療法を必要とする患者を治療するための薬剤製造において、本明細書記載の方法によって得られる未分化多能性細胞から分化した細胞の使用もまた提供する。
細胞療法を必要とする患者を治療する際の使用のための、未分化多能性細胞から分化し、そして本明細書記載の方法によって得られる単数または複数の細胞もまた、提供する。
図面の簡単な説明
本発明の原理を例示する態様および実験を、ここで、付随する図を参照しながら論じる。
hESC腫瘍原性を防止する方法の概観を示す表。 特定のターゲット細胞において、細胞死を誘導することが可能な細胞傷害性抗体を示す表。 アポトーシスの特徴およびそれぞれのアッセイを示す表。 (A)腫瘍症の特徴およびそれぞれのアッセイ、ならびに(B)腫瘍症およびアポトーシスの間の相違を示す表。 (A)腫瘍症の特徴およびそれぞれのアッセイ、ならびに(B)腫瘍症およびアポトーシスの間の相違を示す表。 hESCおよびiPS(ESIMR90)細胞のフローサイトメトリー分析の結果を示すチャート。(左)hESCおよびiPS細胞(ESIMR90)へのA1の結合。(右)hESCおよびiPS細胞両方に対するA1の細胞傷害性。左のバーは、未処理対照を示し、そして右のバーは、A1処理細胞を示す。 分化したhESCに対するA1のフローサイトメトリー分析。EB形成(a)およびFGF−2飢餓(b)を通じて、hESCから分化した細胞へのA1の結合を示すFACsチャート。EB形成(c)およびFGF−2飢餓(d)を通じて、hESCから分化した細胞に対するA1の細胞傷害性を示すチャート。 分化したhESCに対するA1のフローサイトメトリー分析。EB形成(a)およびFGF−2飢餓(b)を通じて、hESCから分化した細胞へのA1の結合を示すFACsチャート。EB形成(c)およびFGF−2飢餓(d)を通じて、hESCから分化した細胞に対するA1の細胞傷害性を示すチャート。 hESCに対するA1およびmAb84両方の細胞傷害性が投薬量依存性であることを示すチャート。 hESCに対するA1およびmAb84の細胞傷害性が時間依存性であることを示すチャート。 A1細胞傷害性の動力学のフローサイトメトリー分析を示すチャート。(a)10分ごとに0.25μg〜4μgのA1の多様な投薬量で細胞を処理した。(b)2分ごとに0.5μg〜2μgのA1の多様な投薬量で細胞を処理した。 mAb84およびA1の間の競合的阻害のフローサイトメトリー分析を示すFACSチャート。(a)処理を伴わない二重陰性対照;(b)A1に関する陽性対照:細胞をA1で処理し、そしてFITCで標識した;(c)mAb84に関する陽性対照:細胞をmAb84で処理し、そしてAPCで標識した;(d)細胞をA1およびmAb84で同時に処理した;(e)細胞を、A1に先行して、まずmAb84で処理した;(f)細胞を、mAb84に先行して、まずA1で処理した。 それぞれ、(A)40kDa、(B)70kDaおよび(C)2000kDaデキストランビーズでの孔サイズの決定を示すチャート。細胞をmAb84、mAb85とインキュベーションするか、またはいかなるmAbでも処理せず、その後、蛍光デキストランビーズで処理した。陽性対照として、細胞を固定し、そして透過処理した。細胞内蛍光の増加は細胞内へのデキストランビーズの進入と相関する。高い蛍光を持つ細胞集団をゲート処理し、そして割合をグラフ中に示す。 それぞれ、(A)40kDa、(B)70kDaおよび(C)2000kDaデキストランビーズでの孔サイズの決定を示すチャート。細胞をmAb84、mAb85とインキュベーションするか、またはいかなるmAbでも処理せず、その後、蛍光デキストランビーズで処理した。陽性対照として、細胞を固定し、そして透過処理した。細胞内蛍光の増加は細胞内へのデキストランビーズの進入と相関する。高い蛍光を持つ細胞集団をゲート処理し、そして割合をグラフ中に示す。 hESC上のA1ターゲット抗原の分析。(a)過ヨウ素酸塩処理を伴う/伴わない;(c)シアリダーゼ、PNGアーゼおよびβ脱離処理を伴う/伴わない;(f)糖ブロックA1またはmAb84を伴う/伴わない、免疫沈降A1抗原のウェスタンブロット分析。hESCに対する糖ブロックA1またはmAbの結合(d)および殺傷(g)のフローサイトメトリー分析。(b)hESC上のA1ターゲット抗原の4つの分類。(e)hESC上のA1の結合および殺傷をブロックする3つのグリカンの模式的構造。共通のグリカンモチーフを円で強調する。 hESC上のA1ターゲット抗原の分析。(a)過ヨウ素酸塩処理を伴う/伴わない;(c)シアリダーゼ、PNGアーゼおよびβ脱離処理を伴う/伴わない;(f)糖ブロックA1またはmAb84を伴う/伴わない、免疫沈降A1抗原のウェスタンブロット分析。hESCに対する糖ブロックA1またはmAbの結合(d)および殺傷(g)のフローサイトメトリー分析。(b)hESC上のA1ターゲット抗原の4つの分類。(e)hESC上のA1の結合および殺傷をブロックする3つのグリカンの模式的構造。共通のグリカンモチーフを円で強調する。 hESC上のA1ターゲット抗原の分析。(a)過ヨウ素酸塩処理を伴う/伴わない;(c)シアリダーゼ、PNGアーゼおよびβ脱離処理を伴う/伴わない;(f)糖ブロックA1またはmAb84を伴う/伴わない、免疫沈降A1抗原のウェスタンブロット分析。hESCに対する糖ブロックA1またはmAbの結合(d)および殺傷(g)のフローサイトメトリー分析。(b)hESC上のA1ターゲット抗原の4つの分類。(e)hESC上のA1の結合および殺傷をブロックする3つのグリカンの模式的構造。共通のグリカンモチーフを円で強調する。 hESC上のA1ターゲット抗原の分析。(a)過ヨウ素酸塩処理を伴う/伴わない;(c)シアリダーゼ、PNGアーゼおよびβ脱離処理を伴う/伴わない;(f)糖ブロックA1またはmAb84を伴う/伴わない、免疫沈降A1抗原のウェスタンブロット分析。hESCに対する糖ブロックA1またはmAbの結合(d)および殺傷(g)のフローサイトメトリー分析。(b)hESC上のA1ターゲット抗原の4つの分類。(e)hESC上のA1の結合および殺傷をブロックする3つのグリカンの模式的構造。共通のグリカンモチーフを円で強調する。 hESC上のA1ターゲット抗原の分析。(a)過ヨウ素酸塩処理を伴う/伴わない;(c)シアリダーゼ、PNGアーゼおよびβ脱離処理を伴う/伴わない;(f)糖ブロックA1またはmAb84を伴う/伴わない、免疫沈降A1抗原のウェスタンブロット分析。hESCに対する糖ブロックA1またはmAbの結合(d)および殺傷(g)のフローサイトメトリー分析。(b)hESC上のA1ターゲット抗原の4つの分類。(e)hESC上のA1の結合および殺傷をブロックする3つのグリカンの模式的構造。共通のグリカンモチーフを円で強調する。 糖阻害アッセイで用いる糖タイプの図示。 hESCに対する糖ブロックA1またはmAb84の結合(d)のフローサイトメトリー分析を示すチャート。 mAb84(上列)およびA1(下列)の間の可変領域のアミノ酸配列の整列および相違。(A)完全重鎖、(B)完全軽鎖。CDR配列を太字で示す。A1 CDRの配列中の相違を下線で示す。 mAb84(上列)およびA1(下列)の間の可変領域のアミノ酸配列の整列および相違。(A)完全重鎖、(B)完全軽鎖。CDR配列を太字で示す。A1 CDRの配列中の相違を下線で示す。 未処理およびA1処理hESCの透過型電子顕微鏡写真。未処理hESCは均一に分布し(a)、そして直径約10μmの規則的なサイズおよび均一に染色されるタンパク質を有した;(c)A1処理hESCは同型接着を形成する;(d)4細胞によって形成される同型接着のユニット;細胞は均一には染色されず、そして異なる度合いで膜および細胞完全性を失った;2つの膨張している細胞に関して直径を示した;(e)ミトコンドリアの膨張およびミトコンドリアの細胞間接着部位への末梢再局在(黄色い円)。(f)3細胞によって形成される同型接着の別のユニット;赤で囲んだ細胞は膨張しており、ミトコンドリアが有意に濃縮され(円)、そして細胞質の空胞化(矢印)が見られる;(g)よく発達したクリステを示すミトコンドリアの拡大図、細胞がエネルギー産生期であることを示唆する。 未処理hESCの走査型電子顕微鏡写真。(a1、上部左)未処理hESCは、正常に分布し、そして均一な細胞サイズを有する;(a2、下部左)未処理hESC表面上の滑らかな膜輪郭および豊富な微絨毛;(a3、右)損なわれていない細胞膜の拡大図および微絨毛の提示。 A1処理hESCの走査型電子顕微鏡写真。(b1、上部左)A1処理ESCは同型接着を形成する;(b2、中央左)A1処理hESCは、膜孔を形成し、そして微絨毛を喪失した;(b3、上部右)膜領域は多くの孔を形成し、そして微絨毛を完全に喪失した;(b4、下部左)膜領域は膜完全性および微絨毛を部分的に喪失した;(b5、下部右)膜領域はなお損なわれておらず、そして微絨毛に覆われている。 A1処理hESCの膨張および収縮を示す走査型電子顕微鏡写真。(左)A1処理hESCのサイズは10μmより大きい;(右)A1処理hESCのサイズは10μmより小さい。 アクチン細胞骨格再編成およびhESCに対するA1細胞傷害性の関連。(a)アクチン阻害剤(サイトカラシンB、サイトカラシンDおよびラトランクリンA)での処理が、hESCに対するA1細胞傷害性を防止しうることを示すチャート。対照=アクチン阻害剤処理を伴わないhESC。(b)A1処理に際してのアクチン細胞骨格関連タンパク質のウェスタンブロット分析。 A1誘導性hESC細胞死はアポトーシスを介してではない。A1処理hESCに対する2つのアポトーシスアッセイのフローサイトメトリー分析を示すチャート。DNA断片化および増加したアポトーシス活性は、アポトーシスを経ている細胞の特徴である。UVへの曝露は、hESCのアポトーシスを導く。(A)TUNELアッセイは、DNA断片化を測定する:UTP陽性細胞は、DNA断片化増加に相関した;(BおよびC)カスパーゼアッセイは、カスパーゼ9およびカスパーゼ3&7の活性を測定する。同時に、細胞死を7−AAD取り込みによって測定する。 A1誘導性hESC細胞死はアポトーシスを介してではない。A1処理hESCに対する2つのアポトーシスアッセイのフローサイトメトリー分析を示すチャート。DNA断片化および増加したアポトーシス活性は、アポトーシスを経ている細胞の特徴である。UVへの曝露は、hESCのアポトーシスを導く。(A)TUNELアッセイは、DNA断片化を測定する:UTP陽性細胞は、DNA断片化増加に相関した;(BおよびC)カスパーゼアッセイは、カスパーゼ9およびカスパーゼ3&7の活性を測定する。同時に、細胞死を7−AAD取り込みによって測定する。 SEM下での、hESCの段階的形態変化。走査型電子顕微鏡(SEM)下での、A1によって誘発された5段階hESC形態変化を示す走査型電子顕微鏡写真。(A)未処理hESCは均一な形状、豊富な微絨毛および損なわれていない膜を有する;(B、左)段階1でのA1処理hESC:膜は比較的損なわれていないが、分解された/短くなった微絨毛および細胞膨張が見られる;(B、右)融合した微絨毛は、段階1から段階2への遷移である可能性がある;(C、左)段階2でのA1処理hESC:多様なサイズの膜孔の形成、および強調するような円形の部分的に損傷を受けた膜領域;(C、右)この円形領域は、通常、融合した微絨毛によって取り囲まれ、一方、この領域内には、微絨毛はなく、細胞骨格様構造が存在する;(D、左)段階3のA1処理hESC:微絨毛がさらに短くなるかまたは完全に消失する;(D、右)円形領域周囲の融合した微絨毛、ならびに細胞骨格様構造の消失;(E、左)段階4のA1処理hESC:大規模な膜損傷;(E、右)膜損傷は、段階3の損傷を受けた円形領域から悪化し、そして可視核は、大規模な細胞骨格構造に覆われた;(E、左)段階5のA1処理hESC:損傷を受けた膜が核から剥がれ落ちる;(F、右)A1処理hESCの覆いが取れた核。細胞膨張および膜孔の形成は、腫瘍性細胞死の特徴である。スケールバー=1μm。 SEM下での、hESCの段階的形態変化。走査型電子顕微鏡(SEM)下での、A1によって誘発された5段階hESC形態変化を示す走査型電子顕微鏡写真。(A)未処理hESCは均一な形状、豊富な微絨毛および損なわれていない膜を有する;(B、左)段階1でのA1処理hESC:膜は比較的損なわれていないが、分解された/短くなった微絨毛および細胞膨張が見られる;(B、右)融合した微絨毛は、段階1から段階2への遷移である可能性がある;(C、左)段階2でのA1処理hESC:多様なサイズの膜孔の形成、および強調するような円形の部分的に損傷を受けた膜領域;(C、右)この円形領域は、通常、融合した微絨毛によって取り囲まれ、一方、この領域内には、微絨毛はなく、細胞骨格様構造が存在する;(D、左)段階3のA1処理hESC:微絨毛がさらに短くなるかまたは完全に消失する;(D、右)円形領域周囲の融合した微絨毛、ならびに細胞骨格様構造の消失;(E、左)段階4のA1処理hESC:大規模な膜損傷;(E、右)膜損傷は、段階3の損傷を受けた円形領域から悪化し、そして可視核は、大規模な細胞骨格構造に覆われた;(E、左)段階5のA1処理hESC:損傷を受けた膜が核から剥がれ落ちる;(F、右)A1処理hESCの覆いが取れた核。細胞膨張および膜孔の形成は、腫瘍性細胞死の特徴である。スケールバー=1μm。 hESCへのmAb A1またはmAb84の結合に対する糖の影響を示す表。 化学量論アッセイにおいて未結合A1および結合A1の量の間の関連、ならびにA1の異なる初期量でのhESCに対する対応するA1殺傷を示すグラフ。(A)hESCあたりのA1分子数を化学量論アッセイから測定した。フローサイトメトリーを通じて、ヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって、A1殺傷を測定した。結合飽和および殺傷飽和点を垂直の点線で強調する。結合飽和および殺傷飽和は同じ点で達成され、ここで、hESCあたり、約3.0x10 A1分子がある。(B)結合したA1の量は、化学量論アッセイから測定される、A1の初期量および未結合A1の量の間の差(different)である。飽和A1殺傷点を垂直な点線で強調する。殺傷飽和は、未結合A1の量が結合A1の量よりも有意に高い場合にのみ達成される。 N−グリコシル化およびO−グリコシル化は、阻害剤処理に際して部分的に阻害された。ツニカマイシンおよびベンジル−a−GalNacを用いて、それぞれ、N−グリコシル化およびO−グリコシル化を阻害した。異なる治療条件におけるHES−3をビオチン・コンジュゲート化コンカナバリンA(A)またはTra−1−60に対するmAb(B)で染色した。ConAは、N連結グリカンに特異的に結合し、そしてTra−1−60に対するmAbは、hESC上のO連結グリカンエピトープを認識する。細胞に結合したレクチンまたは抗体を、FITCコンジュゲート化ストレプトアビジンまたは抗マウス抗体で検出した。影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。(A)ツニカマイシン処理の影響を示す結合ヒストグラム、ビオチンコンジュゲート化ConAの結合ヒストグラムは、左方向にシフトし、これは、N−グリコシル化の減少を示した。(B)B−GalNac処理の影響を示す結合ヒストグラム、Tra−1−60に対するmAbの結合ヒストグラムは、左方向にシフトし、これは、O−グリコシル化の減少を示した。(C)阻害剤処理に際して、hESC多能性における変化はない。異なる処理条件におけるHES−3をOct3/4に対するmAbで染色した。細胞に結合した抗体を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート化抗マウス抗体で検出した。影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。ツニカマイシン処理またはB−GalNac処理いずれかに際して、Oct3/4抗体の結合ヒストグラムは、陰性対照のこれらに匹敵し、阻害剤処理に際してhESC多能性には変化がないことを示す。 N−グリコシル化およびO−グリコシル化は、阻害剤処理に際して部分的に阻害された。ツニカマイシンおよびベンジル−a−GalNacを用いて、それぞれ、N−グリコシル化およびO−グリコシル化を阻害した。異なる治療条件におけるHES−3をビオチン・コンジュゲート化コンカナバリンA(A)またはTra−1−60に対するmAb(B)で染色した。ConAは、N連結グリカンに特異的に結合し、そしてTra−1−60に対するmAbは、hESC上のO連結グリカンエピトープを認識する。細胞に結合したレクチンまたは抗体を、FITCコンジュゲート化ストレプトアビジンまたは抗マウス抗体で検出した。影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。(A)ツニカマイシン処理の影響を示す結合ヒストグラム、ビオチンコンジュゲート化ConAの結合ヒストグラムは、左方向にシフトし、これは、N−グリコシル化の減少を示した。(B)B−GalNac処理の影響を示す結合ヒストグラム、Tra−1−60に対するmAbの結合ヒストグラムは、左方向にシフトし、これは、O−グリコシル化の減少を示した。(C)阻害剤処理に際して、hESC多能性における変化はない。異なる処理条件におけるHES−3をOct3/4に対するmAbで染色した。細胞に結合した抗体を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート化抗マウス抗体で検出した。影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。ツニカマイシン処理またはB−GalNac処理いずれかに際して、Oct3/4抗体の結合ヒストグラムは、陰性対照のこれらに匹敵し、阻害剤処理に際してhESC多能性には変化がないことを示す。 A1は、hESC上のO連結グリカンを認識し、そしてO連結グリカンに対する結合は、hESCに対するA1細胞傷害性に必須である。異なる処理条件において、HES−3をキメラA1で処理した。(A)細胞に結合した抗体をFITCコンジュゲート化抗ヒト抗体で検出した。影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。B−GalNac処理に際して、A1の結合ヒストグラムは、陰性対照およびツニカマイシン処理に比較して左方向にシフトし、O−グリコシル化が阻害された際にのみ、A1結合が下方制御されることを示す。A1は、O連結グリカンのみを認識し、N連結グリカンを認識しない。(B)細胞生存度をPI取り込みによって概算した。異なる処理条件における細胞生存度を、対応する陰性対照(A1処理なし)に対して規準化した。B−GalNac処理に際して、A1処理に際しての細胞生存度は、陰性対照(CM対照およびDMSO対照)ならびにツニカマイシン処理のものよりも有意により高かった。これは、hESCに対するO−グリコシル化もまた、A1が細胞傷害性を誘発するために必須であることを示唆する。バーは、少なくとも3回の別個の実験からの平均±SEMに相当する。 A1誘導性hESC死および活性酸素種(ROS)産生は直接相関する。(A)フローサイトメトリーの結果を示すチャート。ROS産生を、フローサイトメトリーを通じたジヒドロエチジウム(HE)染色で概算した。ゲート処理集団は、ROS産生レベルに相当する。(B)顕微鏡写真:あるいは、ROS産生をカルボキシ−H2DCFDAで測定した。ROSの存在下で、カルボキシ−H2DCFDAは、緑色蛍光を放出するカルボキシ−DCFに酸化される。(C)チャート:バーは、少なくとも3回の独立の実験由来の平均ROS産生±SEMに相当する。A1処理に際して、hESCにおける大規模なROS産生がある。(D)チャート:細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。A1処理後、上部右象限における細胞集団の有意な増加があり、これは高レベルのROS産生を伴う死んだ細胞に相当する。ROS産生および細胞死は直接相関する。 A1誘導性hESC死および活性酸素種(ROS)産生は直接相関する。(A)フローサイトメトリーの結果を示すチャート。ROS産生を、フローサイトメトリーを通じたジヒドロエチジウム(HE)染色で概算した。ゲート処理集団は、ROS産生レベルに相当する。(B)顕微鏡写真:あるいは、ROS産生をカルボキシ−H2DCFDAで測定した。ROSの存在下で、カルボキシ−H2DCFDAは、緑色蛍光を放出するカルボキシ−DCFに酸化される。(C)チャート:バーは、少なくとも3回の独立の実験由来の平均ROS産生±SEMに相当する。A1処理に際して、hESCにおける大規模なROS産生がある。(D)チャート:細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。A1処理後、上部右象限における細胞集団の有意な増加があり、これは高レベルのROS産生を伴う死んだ細胞に相当する。ROS産生および細胞死は直接相関する。 ROS産生(O2−)は、A1誘導性hESC死に必要である。(A)チャート:A1を添加する前、hESCをPBSあるいはROSスカベンジャー、Tiron(50mM)またはTempol(120mM)で1時間処理した。TironおよびTempol両方のROSターゲットは、スーパーオキシド(O2−)である。次いで、細胞生存度をPI取り込みによって測定した。バーは、少なくとも3回の独立の実験由来の平均細胞生存度±SEMに相当する;ROSスカベンジャーは、hESCに対するA1殺傷を部分的にブロック可能である。(B)チャート:細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。Tironの存在下で、A1処理後のhESCは、細胞死ならびにROS産生の有意な減少を有する。ROSスカベンジャーによるROSの枯渇は、hESC死の減少と直接相関する。 A1誘導性hESC死は、NADPHオキシダーゼによって仲介され、これはNox2を通じる可能性が最も高い。(A)チャート:HES−3を、A1処理(45分間)前に、NADPHオキシダーゼ阻害剤、DPI(240μM)、Apo(40mM)、またはMPA(3.12mM)と1時間プレインキュベーションした。異なる処理条件における細胞生存度をPI取り込みによって概算し、そしてそれぞれの非A1処理対照に規準化した。NADPHオキシダーゼ阻害剤は、A1殺傷を部分的にブロック可能である。(B)チャート:細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。A1処理後、阻害剤処理したhESCは、細胞死およびROS産生において有意な減少を有する。NADPHオキシダーゼ阻害剤によるROS産生の阻害は、hESC死減少と直接相関する。(C)NADPHオキシダーゼ阻害剤のターゲットのための要約表。(D)HES−3を、Nox2に対する2つの異なるsiRNA(siNOX2_3787およびsiNox2_3788)でトランスフェクションした。Nox2のノックダウンは、q−RT−PCR(D)およびウェスタンブロッティング(E)によって確認された。ノックダウンに際して、次いで、細胞をA1(0.5μg/ml)で処理し、そしてPI取り込みによって、45分後に細胞死に関して評価した(F)。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。Nox2は、A1処理hESCにおけるROS産生の主な供給源である。 A1誘導性hESC死は、NADPHオキシダーゼによって仲介され、これはNox2を通じる可能性が最も高い。(A)チャート:HES−3を、A1処理(45分間)前に、NADPHオキシダーゼ阻害剤、DPI(240μM)、Apo(40mM)、またはMPA(3.12mM)と1時間プレインキュベーションした。異なる処理条件における細胞生存度をPI取り込みによって概算し、そしてそれぞれの非A1処理対照に規準化した。NADPHオキシダーゼ阻害剤は、A1殺傷を部分的にブロック可能である。(B)チャート:細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。A1処理後、阻害剤処理したhESCは、細胞死およびROS産生において有意な減少を有する。NADPHオキシダーゼ阻害剤によるROS産生の阻害は、hESC死減少と直接相関する。(C)NADPHオキシダーゼ阻害剤のターゲットのための要約表。(D)HES−3を、Nox2に対する2つの異なるsiRNA(siNOX2_3787およびsiNox2_3788)でトランスフェクションした。Nox2のノックダウンは、q−RT−PCR(D)およびウェスタンブロッティング(E)によって確認された。ノックダウンに際して、次いで、細胞をA1(0.5μg/ml)で処理し、そしてPI取り込みによって、45分後に細胞死に関して評価した(F)。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。Nox2は、A1処理hESCにおけるROS産生の主な供給源である。 A1誘導性hESC死は、NADPHオキシダーゼによって仲介され、これはNox2を通じる可能性が最も高い。(A)チャート:HES−3を、A1処理(45分間)前に、NADPHオキシダーゼ阻害剤、DPI(240μM)、Apo(40mM)、またはMPA(3.12mM)と1時間プレインキュベーションした。異なる処理条件における細胞生存度をPI取り込みによって概算し、そしてそれぞれの非A1処理対照に規準化した。NADPHオキシダーゼ阻害剤は、A1殺傷を部分的にブロック可能である。(B)チャート:細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。A1処理後、阻害剤処理したhESCは、細胞死およびROS産生において有意な減少を有する。NADPHオキシダーゼ阻害剤によるROS産生の阻害は、hESC死減少と直接相関する。(C)NADPHオキシダーゼ阻害剤のターゲットのための要約表。(D)HES−3を、Nox2に対する2つの異なるsiRNA(siNOX2_3787およびsiNox2_3788)でトランスフェクションした。Nox2のノックダウンは、q−RT−PCR(D)およびウェスタンブロッティング(E)によって確認された。ノックダウンに際して、次いで、細胞をA1(0.5μg/ml)で処理し、そしてPI取り込みによって、45分後に細胞死に関して評価した(F)。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。Nox2は、A1処理hESCにおけるROS産生の主な供給源である。 A1誘導性細胞死におけるROS産生は、同型接着の下流、およびアクチン再編成の上流にある。(A)顕微鏡写真:A1処理(45分間)の前、HES−3をPBSあるいはTiron(50mM)またはApo(40mM)と1時間インキュベーションした。光学顕微鏡検査によって、同型接着に関して細胞を評価した。同型接着は、TironまたはAPOの存在下で形成される。(B)顕微鏡写真:A1処理(45分間)の前、HES−3をPBSまたはTiron(50mM)と1時間プレインキュベーションした。走査型電子顕微鏡検査によって、細胞形態を評価した。Tironの存在下で、A1処理は、微絨毛の短縮化のみを導き、大規模な膜破壊は起こさない。(C、D)チャート:HES−3をTiron(50mM)を含みまたは含まず、1時間プレインキュベーションし、その後、A1処理(45分間)の前に、PBS、またはラトランクリンA(0.4μg/ml)、またはサイトカラシンB(0.4μg/ml)、またはサイトカラシンD(0.4μg/ml)で5分間処理した。PI取り込みによって細胞生存度を概算し(C)、そしてHE染色でROS産生を評価した(D)。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。Tironの存在下で、アクチン阻害剤は、hESCに対してさらなる阻害効果を持たない。アクチン阻害剤処理を含むまたは含まないROS産生において、有意な相違はない。 A1誘導性細胞死におけるROS産生は、同型接着の下流、およびアクチン再編成の上流にある。(A)顕微鏡写真:A1処理(45分間)の前、HES−3をPBSあるいはTiron(50mM)またはApo(40mM)と1時間インキュベーションした。光学顕微鏡検査によって、同型接着に関して細胞を評価した。同型接着は、TironまたはAPOの存在下で形成される。(B)顕微鏡写真:A1処理(45分間)の前、HES−3をPBSまたはTiron(50mM)と1時間プレインキュベーションした。走査型電子顕微鏡検査によって、細胞形態を評価した。Tironの存在下で、A1処理は、微絨毛の短縮化のみを導き、大規模な膜破壊は起こさない。(C、D)チャート:HES−3をTiron(50mM)を含みまたは含まず、1時間プレインキュベーションし、その後、A1処理(45分間)の前に、PBS、またはラトランクリンA(0.4μg/ml)、またはサイトカラシンB(0.4μg/ml)、またはサイトカラシンD(0.4μg/ml)で5分間処理した。PI取り込みによって細胞生存度を概算し(C)、そしてHE染色でROS産生を評価した(D)。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。Tironの存在下で、アクチン阻害剤は、hESCに対してさらなる阻害効果を持たない。アクチン阻害剤処理を含むまたは含まないROS産生において、有意な相違はない。 hESCに対するその細胞傷害性には、A1が二価であることが必要であるが、結合にその必要はない。細胞を、A1(0.5μg/ml)、またはF(ab)2_A1(0.5μg/ml)、またはFab_A1(0.5μg/ml)と45分間インキュベーションした。(A)チャート:hESCへの結合を、FITCコンジュゲート化抗カッパ軽鎖特異的抗体で検出した;F(ab)2_A1およびFab_A1両方のhESCへの結合は、hESCに対するA1結合に匹敵する。(B)チャート:PI取り込みによって、細胞生存度を概算した;二価F(ab)2_A1のみが、hESCに対するA1の細胞傷害性を再現する。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。(C)顕微鏡写真:光学顕微鏡検査によって、同型接着を評価した。同型接着の形成には、A1が二価であることが必要である。 hESCに対するその細胞傷害性には、A1が二価であることが必要であるが、結合にその必要はない。細胞を、A1(0.5μg/ml)、またはF(ab)2_A1(0.5μg/ml)、またはFab_A1(0.5μg/ml)と45分間インキュベーションした。(A)チャート:hESCへの結合を、FITCコンジュゲート化抗カッパ軽鎖特異的抗体で検出した;F(ab)2_A1およびFab_A1両方のhESCへの結合は、hESCに対するA1結合に匹敵する。(B)チャート:PI取り込みによって、細胞生存度を概算した;二価F(ab)2_A1のみが、hESCに対するA1の細胞傷害性を再現する。バーは、少なくとも3回の別個の実験由来の平均±SEMに相当する。(C)顕微鏡写真:光学顕微鏡検査によって、同型接着を評価した。同型接着の形成には、A1が二価であることが必要である。
抗体
本発明記載の抗体は、好ましくは、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含むグリカンに対するか、あるいはグリコシル化がグリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含むグリコシル化タンパク質に対する。
いくつかの態様において、本発明記載の抗体は、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcを含むグリカンまたはグリコシル化タンパク質に結合する。
いくつかの態様において、本発明記載の抗体は、グリカンモチーフ(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcを含むグリカンまたはグリコシル化タンパク質に結合する。
いくつかの態様において、本発明記載の抗体は、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含むグリカンまたはグリコシル化タンパク質に結合する。
抗体は、好ましくは、未分化多能性細胞に対して細胞傷害性である。未分化多能性細胞との接触に際して、本発明記載の抗体は、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満または1分未満の1つで、細胞を殺すことも可能である。
未分化多能性細胞に対する抗体の細胞傷害性は、好ましくは、時間および投薬量依存性である。抗体は、好ましくは、腫瘍症を通じた、そして好ましくはアポトーシスを通じない細胞死を誘導する。
抗体で処理された未分化多能性細胞は、好ましくは、形態変化、例えば膜微絨毛喪失、膜孔の形成、細胞膨張、ミトコンドリア濃縮および末梢再局在、アクチン細胞骨格の破壊および核の曝露を示す。
好ましくは、抗体は、未分化多能性細胞から分化した細胞(分化子孫細胞)よりも、未分化多能性細胞(親多能性細胞)に特異的に結合する。例えば、抗体は、未分化多能性細胞(単数または複数)から形成された胚様体よりも、こうした細胞に対する特異的結合を示す。
本発明記載の抗体は、単離型で提供されてもよい。
「抗体」によって、本発明者らは、その断片または誘導体、あるいは合成抗体または合成抗体断片も含める。
モノクローナル抗体技術に関連した今日の技術を考慮すると、抗体は、大部分の抗原に対して調製可能である。抗原結合部分は、抗体の部分(例えばFab断片)または合成抗体断片(例えば一本鎖Fv断片[ScFv])であってもよい。選択した抗原に対する適切なモノクローナル抗体は、既知の技術、例えば、“Monoclonal Antibodies: A manual of techniques”, H Zola(CRC Press, 1988)に、そして“Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications”, J G R Hurrell(CRC Press, 1982)に開示されるものによって調製可能である。キメラ抗体は、Neubergerら(1988, 8th International Biotechnology Symposium Part 2, 792−799)によって論じられる。
モノクローナル抗体(mAb)は、本発明の方法において有用であり、そして抗原上の単一のエピトープを特異的にターゲティングする抗体の均質な集団である。したがって、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを有するグリコシル化タンパク質に結合するmAbは、潜在的に、未分化細胞または特定の細胞系譜に分化しつつある単数または複数の未分化細胞を特徴付ける抗原のレパートリーを示す生存細胞サブセットを精製するかまたは除去するのに使用可能である。
ポリクローナル抗体は、本発明の方法において有用である。単一特異的ポリクローナル抗体が好ましい。当該技術分野に周知の方法を用いて、適切なポリクローナル抗体を調製してもよい。
FabおよびFab断片などの抗体断片もまた用いてもよく、遺伝子操作した抗体および抗体断片もまた用いてもよい。抗体の可変重鎖(V)および可変軽鎖(V)ドメインは、抗原認識に関与し、この事実は、初期のプロテアーゼ消化実験によって最初に認識された。さらなる確認は、齧歯類抗体の「ヒト化」によって見出された。齧歯類起源の可変ドメインを、ヒト起源の定常ドメインに融合させて、生じる抗体が、齧歯類親抗体の抗原特異性を保持するようにしてもよい(Morrisonら(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851−6855)。
抗原特異性は可変ドメインによって与えられ、そして定常ドメインからは独立であることは、すべて1またはそれより多くの可変ドメインを含有する抗体断片の細菌発現を伴う実験から知られる。これらの分子には、Fab様分子(Betterら(1988) Science 240, 1041); Fv分子(Skerraら(1988) Science 240, 1038); VおよびVパートナードメインが可動性(flexible)オリゴペプチドを通じて連結される、一本鎖Fv(ScFv)分子(Birdら(1988) Science 242, 423; Hustonら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879);ならびに単離Vドメインを含む単一ドメイン抗体(dAb)(Wardら(1989) Nature 341, 544)が含まれる。特異的結合部位を保持する抗体断片合成に関与する技術の一般的な概説は、Winter & Milstein(1991) Nature 349, 293−299中に見出されるはずである。
「ScFv分子」によって、本発明者らは、VおよびVパートナードメインが、例えば可動性オリゴペプチドによって、共有結合されている分子を意味する。
Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体断片は、すべて大腸菌において発現可能であり、そして大腸菌から分泌可能であり、したがって、多量の前記断片の容易な産生が可能になる。
全抗体、およびF(ab’)断片は「二価」である。「二価」によって、本発明者らは、前記抗体およびF(ab’)断片が2つの抗原結合部位を有することを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFvおよびdAb断片は一価であり、1つの抗原結合部位しか持たない。また、当該技術分野に周知であるようなファージディスプレイ技術を用いて、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを有するグリコシル化タンパク質に結合する合成抗体も作製してもよい。
特定の方法において、抗体は、mAb A1またはmAb A1の変異体である。mAb A1は、以下のCDR配列を含む:
軽鎖:
i)SASSSVSYMF(配列番号1)
ii)LTSNLAS(配列番号2)
iii)QQWSSNPYT(配列番号3)
重鎖:
iv)GFTFSNYYMN(配列番号4)
v)EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
vi)FGY(配列番号6)
CDR配列は、Chothia/AbM定義によって決定される。
本発明記載の抗体は、mAb A1のCDRを含むことも可能である。本発明記載の抗体において、配列(i)〜(vi)の1または2または3または4は多様であることも可能である。変異体は、配列(i)〜(vi)の1または2において、1または2のアミノ酸置換を有することも可能である。
mAb A1のVおよびV鎖のアミノ酸配列(およびコードポリヌクレオチド配列)は、図15に示すように決定されてきている。
mAb A1の軽鎖および重鎖CDR 1〜3はまた、多くの異なるフレームワーク領域と組み合わされて特に有用である可能性もある。したがって、mAb A1のCDR
1〜3を有する軽鎖および/または重鎖は、別のフレームワーク領域を所持することも可能である。適切なフレームワーク領域は当該技術分野に周知であり、そして例えば、本明細書に援用される、M. Lefranc & G. Le:franc(2001) ”The Immunoglobulin FactsBook”, Academic Pressに記載される。
本明細書において、抗体は、図15のmAb A1 Vおよび/またはVアミノ酸配列に高い割合の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、Vおよび/またはV鎖を有することも可能である。
例えば、本発明記載の抗体には、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAc(好ましくは、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを有するグリコシル化タンパク質)に結合し、そして図15に示すmAb A1のV鎖アミノ酸配列に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV鎖を有する、抗体が含まれる。
本発明記載の抗体には、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAc(好ましくは、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを有するグリコシル化タンパク質)に結合し、そして図15に示すmAb A1のV鎖アミノ酸配列に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV鎖を有する、抗体が含まれる。
本発明記載の抗体を用いて、分化後に、そして場合によって分化細胞の機能を試験するための動物移植試験前に、残った未分化多能性細胞を除去することも可能である。
移植前に、本発明記載の抗体を(場合によって、WO2007/102787に記載されるような他のmAbと組み合わせて)用いて、残った未分化hESCまたは未分化人工多能性幹細胞を除去し、こうして再生臨床適用において、移植片の成功および安全性を増加させることも可能である。
本発明記載の抗体を潜在的に用いて、未分化多能性細胞を特徴付ける抗原レパートリーを示す生存細胞サブセットを除去することも可能である。
本発明記載の抗体は、検出可能に標識されているか、または少なくとも検出が可能である。例えば、抗体を放射性原子または着色分子または蛍光分子または任意の他の方式で容易に検出可能な分子で標識してもよい。適切な検出可能分子には、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、酵素基質、および放射標識が含まれる。結合部分を、検出可能標識で直接標識してもよいし、または間接的に標識してもよい。例えば、結合部分は、それ自体が標識されている別の抗体によって検出可能な非標識抗体であってもよい。あるいは、第二の抗体が、結合しているビオチンを有してもよく、そしてビオチンに対する標識ストレプトアビジンの結合を用いて、第一の抗体を間接的に標識する。
方法
本発明記載の方法は:
(a)親未分化多能性細胞から、多能性細胞から分化した細胞を単離する工程;
(b)親未分化多能性細胞から、多能性細胞から分化した細胞を分離する工程;
(c)親未分化多能性細胞から、多能性細胞から分化した細胞を濃縮する工程;
(d)未分化多能性細胞を実質的に含まない、多能性細胞から分化した細胞の組成物を調製する工程;
を含んでもよい。
各方法は、未分化多能性細胞(親多能性細胞)および親多能性細胞から分化した細胞(分化子孫細胞)を含有する試料と、本発明記載の抗体を、抗体が細胞傷害性効果を発揮し、そして試料中に含有される未分化多能性細胞を殺すために十分な期間、接触させる工程を含むことも可能である。好ましくは、用いる抗体量および期間は、試料中の未分化細胞のすべてまたは実質的にすべてが殺され、分化した子孫細胞の精製された集団である試料が残るために十分である。十分な時間は、例えば、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも60分間、90分間、または2時間より長くの1つであることも可能である。
抗体および細胞の接触は、試料中に存在するグリコシル化タンパク質抗原への抗体の結合を可能にするのに適した条件下であってもよい。こうした条件は、一般の当業者に周知であり、例えば、生理学的pHおよび生理学的緩衝液を含む。
本発明記載の方法は、抗体によって殺されない細胞を分配するか、取り除くか、単離するか、分離するか、精製するかまたは濃縮する工程を含んでもよい。本発明記載の方法は、抗体が結合している細胞を破壊する工程を含んでもよい。本発明記載の方法は、分配されているか、取り除かれているか、単離されているか、分離されているか、精製されているかまたは濃縮されている細胞を定量化する工程をさらに含んでもよい。
本発明の方法において、未分化多能性細胞(単数または複数)がアフィニティ結合によって結合可能であるように、抗体を、固体支持体上に固定してもよく、例えば固体支持体にコンジュゲート化してもよい。好適には、固体支持体は、アガロース、アクリルアミド、SepharoseTMおよびSephadexTMなどの任意の適切なマトリックスを含む。固体支持体は、マイクロタイタープレートまたはチップ、あるいはカラムなどの固体支持体であってもよい。
いくつかの態様において、結合した際に、適切な磁場の提供に際して、未分化多能性細胞(単数または複数)が試料の残りから分離可能であるように、抗体は、磁気的に標識されている(直接または間接的のいずれかで)。磁気細胞ソーティングに用いられるマイクロビーズは、しばしば、MACSコロイド状超常磁性マイクロビーズと呼ばれる。この方式で標識された未分化多能性細胞は、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)によってソーティング可能である。
特異的細胞マーカーを含む細胞を分離する他の方法が当該技術分野に知られ、そしてこれには、抗体が蛍光分子で標識されるFACS(蛍光活性化細胞ソーティング)が含まれる。
本発明記載の方法は、分配されているか、取り除かれているか、単離されているか、分離されているか、精製されているかまたは濃縮されている分化子孫細胞を培養する工程を含んでもよい。
本発明記載の方法を用いて、分化子孫細胞の濃縮されたかまたは実質的に単離された組成物を提供してもよい。こうした組成物を多様な方式で用いてもよく、例えばこれを細胞療法で用いてもよいし、またはこれを細胞供給源として用いて、これを次いで、特定の療法に有用な特定の細胞系譜に(連続してまたはさらに分化させて)分化させるよう促してもよいし、またはこれを用いて、細胞が他の細胞に分化することを可能にする因子を調べてもよい(in vitroまたはin vivo)。
典型的には、分化子孫細胞の濃縮組成物は、分化子孫細胞としての細胞を少なくとも50%含有し、好ましくは少なくとも70%、または少なくとも90%、または少なくとも95%含有する。好ましくは、組成物中の細胞はすべて、前記分化子孫細胞である。
細胞集団を濃縮するための方法は、好ましくは、試料中の細胞濃度を増加させるか、あるいは絶対的にまたは試料中の他の細胞の数に対して相対的にのいずれかで、細胞集団(すなわち所定のタイプの細胞数)を増加させることを伴う。
本発明はまた、単数または複数の未分化多能性細胞を破壊する方法であって、未分化多能性細胞(単数または複数)と本発明の抗体を接触させる工程を含む、前記方法も提供する。
いくつかの方法において、抗体は、腫瘍症機構によって細胞死を仲介し、該機構は、細胞浸透性(ヨウ化プロピジウム/トリパンブルーなどの色素に対する透過性によって立証されるようなもの)および細胞収縮の増加を導く、膜損傷から生じる細胞死の型である。本発明の方法によって誘導される細胞死には、細胞膜の孔形成(poration)、ブレブ化および/または細胞凝集が先行する可能性もある。
未分化多能性細胞を破壊するための方法を用いて、分化するように誘導されている細胞集団から、未分化多能性細胞を除去することも可能である。組織または臓器の移植前に、未分化多能性細胞を破壊するための方法を用いて、残ったIPSCを除去し、こうして、特に奇形腫形成リスクを減少させることによって、移植片の成功および安全性を増加させることも可能である。
本発明記載の方法は、好ましくはin vitroで行われる。用語「in vitro」は、培養中の細胞を用いた実験を含むように意図され、一方、用語「in vivo」は、損なわれていない多細胞生物を用いた実験を含むように意図される。
キット
本発明のいくつかの側面にしたがって、本発明記載の抗体を含む、部分のキットを提供する。
キットはさらに、多能性マーカーを検出可能な剤を含むことも可能である。マーカーは、Oct4、SSEA−4、Tra−1−60、Tra−1−81およびGCTM−2の1またはそれより多くであることも可能である。剤は、こうしたマーカーに結合する抗体、例えばmAb 5、mAb 8、mAb 14、mAb 63、mAb 84、mAb 85、mAb 95、mAb 375、mAb 432、mAb 529の1つであることも可能である。
いくつかの態様において、キットは、本発明記載の抗体、ならびにOct4、SSEA−4、Tra−1−60、Tra−1−81およびGCTM−2の1またはそれより多くに対する抗体を含む。典型的には、キットはまた:免疫化学において使用するための試薬;固体支持体に固定された抗体;抗体を標識するための手段;細胞毒性部分に抗体を連結するための手段の1またはそれより多くも含有してもよい。
試料
本発明のいくつかの方法は、細胞を含有する試料を伴う。試料は、1またはそれより多くの未分化多能性細胞を含有するかまたは含有すると推測される任意の量の細胞であってもよい。試料は、in vitroで増殖する細胞の培養物であってもよい。例えば、培養物は、細胞懸濁物あるいは培養プレートまたはディッシュ中で培養される細胞を含んでもよい。
好ましい態様において、試料は、未分化多能性細胞を含有する。いくつかの態様において、試料は、未分化多能性細胞、および分化を経たかまたは分化を経ている多能性細胞を含有する。分化を経たかまたは分化を経ている多能性細胞は、もはや多能性ではない可能性もあり、そして好ましくは、本発明記載の抗体によって結合されない。
試料は、未分化多能性細胞が、胚様体に、または特定の細胞系譜に分化するよう促されている(または促進されている)ものであってもよく、そしてしたがって、試料は、未分化および分化細胞の混合物を含有する可能性もある(分化はしばしば効率的なプロセスではないため)。典型的には、こうした試料中で、未分化多能性細胞は、細胞総数の数パーセントを構成する。典型的には、試料中の分化細胞は、外胚葉、内胚葉、中胚葉(分化細胞の3つの主な系譜に相当する)、心筋細胞、膵島細胞、ニューロン前駆体細胞または間葉幹細胞の1つまたはそれより多くであってもよく、これらは(分化によって)多能性細胞から得られる。潜在的に、未分化多能性細胞は望ましくない奇形腫を形成しうるため、分化細胞を含有する試料の臨床適用前に、こうした試料から(またはこうした試料において)未分化多能性細胞を除去(または破壊)することは、有用であろう。典型的には、本発明の方法において、未分化多能性細胞の少なくとも95%を取り除くか、分配するか、または破壊する。好ましくは、前記細胞すべてを取り除くか、分配するか、または破壊する。
幹細胞
用語「幹細胞」は、一般的に、分裂に際して、2つの発生オプションに直面する細胞を指す:娘細胞は元来の細胞と同一であってもよいし(自己再生)、またはこれらはより特殊化された細胞タイプの子孫であってもよい(分化)。したがって、幹細胞は、1つまたは別の経路を採用可能である(各細胞タイプを1つ形成可能である、さらなる経路が存在する)。したがって、幹細胞は、最終的に分化しておらず、そして他のタイプの細胞を産生可能な細胞である。
多能性幹細胞
多能性幹細胞は真の幹細胞であり、体の中で任意の分化した細胞を作製する潜在能力を持つが、完全な生物は作製できない。これらは胚体外膜を作製するのに寄与できず、該膜は栄養膜に由来する。胚性幹細胞および人工多能性幹細胞を含む、いくつかのタイプの多能性幹細胞が見出されてきている。
本明細書において、未分化多能性細胞は、未分化多能性幹細胞であることも可能である。
多能性幹細胞は、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他の齧歯類、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、非ヒト霊長類あるいは他の非ヒト脊椎動物生物に由来することも可能である。好ましい態様において、多能性幹細胞はヒトである。
胚性幹細胞
胚性幹(ESC)細胞は、着床が起こる胚発生段階である胚盤胞の内部細胞塊(ICM)から単離可能である。
本出願において、胚性幹細胞は、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他の齧歯類、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、非ヒト霊長類あるいは他の非ヒト脊椎動物生物に由来することも可能である。好ましい態様において、胚性幹細胞はヒトである。
胚性幹細胞は、胚盤胞から得られることも可能であるが、いくつかの態様において、本発明は、胚の破壊を引き起こす方法によって得られた胚性幹細胞(特にヒト)を含まない。
人工多能性幹細胞
一般的にiPS細胞またはiPSCと略される人工多能性幹細胞は、特定の遺伝子を挿入することによって、非多能性細胞、典型的には成体体細胞に人工的に由来する多能性幹細胞のタイプである。iPS細胞は、すべて本明細書に援用される、Takahashi, K. & Yamanaka(2006)、Yamanaka Sら(2007)、Wernig Mら(2007)、Maherali Nら(2007)、Yu Jら(2007)およびTakahashiら(2007)に概説され、そして論じられる。
iPS細胞は、典型的には、非多能性細胞、例えば成体線維芽細胞内に特定の幹細胞関連遺伝子をトランスフェクションすることによって得られる。トランスフェクションは、典型的には、ウイルスベクターを通じて、例えばレトロウイルス再プログラミングを通じて達成される。トランスフェクション遺伝子には、マスター転写制御因子Oct−3/4(Pouf51)およびSox2が含まれるが、他の遺伝子が誘導効率を増進させると示唆される。3〜4週間後、少数のトランスフェクション細胞が、形態学的におよび生化学的に多能性幹細胞と類似となり始め、そして典型的には、形態学的選択、倍加時間を通じて、またはレポーター遺伝子および抗生物質感染を通じて単離される。
IPSCは、1またはそれより多くの転写因子でのトランスフェクションによって、線維芽細胞などの体細胞から誘導可能である。いくつかの場合、細胞をOct3/4、Sox2、c−MycおよびKlf4で形質転換する。転写因子および/またはマーカー遺伝子を含む他の遺伝子で、細胞をさらにトランスフェクションしてもよい。Cre/loxP組換え系などのトランスポゾン系を用いて、または外因性再プログラミング遺伝子を含まないiPSCを生じるため、非組込みベクターを用いて、遺伝子を導入してもよい。レトロウイルスなどのウイルスベクターを用いて、トランスフェクションを達成してもよい。ウイルスは両種指向性ウイルスであってもよい。細胞がトランスフェクションされたら、細胞をESC培地にトランスファーする前に、フィーダー細胞上で増殖させてもよい。
IPSCは、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他の齧歯類、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、非ヒト霊長類あるいは他の非ヒト脊椎動物生物に由来してもよい。好ましい態様において、IPSCは、ヒト細胞に由来する。
本発明で有用なiPS細胞は、肺、包皮線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、角化細胞、血液前駆体細胞、骨髄細胞、肝細胞、胃上皮細胞、膵臓細胞、神経幹細胞、Bリンパ球、ES由来体細胞および胚性線維芽細胞を含む、任意の適切な細胞タイプに由来してもよい。iPS細胞は、ヒト、マウスまたは他の哺乳動物に由来してもよい。好ましくは、iPS細胞はヒトである。いくつかの場合、細胞はヒト皮膚線維芽細胞でない。IPSCは、ESCに類似の遺伝子発現パターンおよび表現型を示してもよい。
ESC同様、分化人工多能性幹細胞の将来の療法的適用は、残った未分化IPSCが混入することによる、奇形腫形成のリスクを負う。この問題にもかかわらず、現在、これらの細胞集団を分離するために開発された戦略はそれほど多くはない。
多分化能(multipotent)幹細胞
多分化能幹細胞は、真の幹細胞であるが、限定された数のタイプにしか分化しえない。例えば、骨髄は、血液細胞のすべてを生じさせるが、他のタイプの細胞を生じさせない、多分化能幹細胞を含有する。多分化能幹細胞は、成体動物において見られる。体内のすべての臓器がこうした細胞を含有すると考えられ、これらは死んだ細胞または損傷を受けた細胞を置換しうる。
幹細胞を特徴付ける方法が当該技術分野に知られ、そしてこれには、クローンアッセイ、フローサイトメトリー、長期培養、ならびに分子生物学的技術、例えばPCR、RT−PCRおよびサザンブロッティングなどの標準的なアッセイ法の使用が含まれる。
成体幹細胞
成体幹細胞は、非常に多様なタイプを含み、ニューロン、皮膚、および骨髄移植における活性構成要素である血液形成幹細胞を含む。
これらの後者の幹細胞タイプはまた、臍帯由来幹細胞の主な特徴でもある。成体幹細胞は、実験室内および体内の両方で、機能するより特殊化された細胞タイプに成熟可能であるが、細胞タイプの正確な数は、選択した幹細胞のタイプによって制限される。
幹細胞培養
幹細胞を培養する任意の適切な方法を、本明細書に記載する方法および組成物において用いてもよい。
任意の適切な容器を用いて、本明細書に記載する方法および組成物にしたがって、幹細胞を増殖させてもよい。適切な容器には、米国特許公報US2007/0264713(Terstegge)に記載されるものが含まれる。
容器には、例えば、バイオリアクターおよびスピナーが含まれてもよい。本文書で用いる際、用語「バイオリアクター」は、真核細胞、例えば動物細胞または哺乳動物細胞を、例えば大規模に培養するのに適した容器である。制御バイオリアクターの典型的な培養体積は、20ml〜500mlの間である。
バイオリアクターは、1またはそれより多くの条件、例えば酸素分圧を調節または監視可能な制御バイオリアクターを含んでもよい。これらの条件を測定しそして制御するためのデバイスが当該技術分野に知られる。例えば、酸素分圧に関して、酸素電極を用いてもよい。選択するガス混合物(例えば空気、あるいは空気および/または酸素および/または窒素および/または二酸化炭素の混合物)の量および組成を通じて、酸素分圧を制御してもよい。酸素分圧を測定しそして制御するのに適したデバイスは、Bailey, J E.(Bailey, J E., Biochemical Engineering Fundamentals, 第2版, McGraw−Hill, Inc. ISBN 0−07−003212−2 Higher Education, (1986))またはJackson A T. Jackson A T., Verfahrenstechnik in der Biotechnologie, Springer, ISBN 3540561900(1993))に記載される。
他の適切な容器にはスピナーが含まれる。スピナーは、ガラスボール攪拌装置、羽根車攪拌装置、および他の適切な攪拌装置などの多様な攪拌機構を用いて攪拌可能な、制御または非制御バイオリアクターである。スピナーの培養体積は、典型的には20ml〜500mlの間である。回転ボトルは、400〜2000cmの間の培養面積を有するプラスチックまたはガラス製の丸い細胞培養フラスコである。これらのフラスコの全内表面に沿って、細胞を培養する;細胞は培地で覆われ、これは「回転」運動によって達成され、すなわちボトルをそれ自体の個々の軸の周りに回転させる。
あるいは、培養は静的であってもよく、すなわち培養/培地の能動的な攪拌を使用しなくてもよい。培養の攪拌を減少させることによって、細胞凝集体の形成が可能になりうる。何らかの攪拌を使用して、培養細胞上への培地の分布および流動を促してもよいが、凝集体形成を実質的に妨害しないようにこの攪拌を適用してもよい。例えば、低いrpm、例えば30rpm未満または20rpm未満の攪拌を使用してもよい。
継代による増殖
本明細書に記載する方法および組成物は、培養中の継代または分割を含んでもよい。該方法は、連続的なまたは頻繁な継代を伴ってもよい。
「頻繁な」または「連続的な」によって、本発明者らは、本発明者らの方法が、幹細胞が継代される、例えば増殖中のプレートまたはマイクロキャリアーから剥がされ、そして他のプレート、マイクロキャリアーまたは粒子にトランスファーされるのを可能にする方式で該細胞の増殖を可能にすることを意味し、そしてこのプロセスを少なくとも1回、例えば2回、3回、4回、5回等、反復してもよいことを意味する。いくつかの場合、これを任意の回数、例えば不確定にまたは無限に反復してもよい。
培養中の細胞を、支持体またはフラスコから解離させ、そして組織培地内に希釈しそして再プレーティングすることによって、「分割する」か、継代培養するか、または継代してもよい。
粒子上で増殖している細胞を、粒子培養に継代し直してもよい。あるいは、これらを慣用的な(2D)培養に継代し直してもよい。プレート上で増殖している組織培養細胞を粒子培養に継代し直してもよい。
用語「継代」は、一般的に、細胞培養のアリコットを取り、細胞を完全にまたは部分的に解離させ、希釈し、そして培地に接種するプロセスを指してもよい。継代を1回またはそれより多く反復してもよい。アリコットは、細胞培養のすべてまたは一部を含んでもよい。アリコットの細胞は、完全に集密、部分的に集密、または集密でなくてもよい。継代は、工程の以下の順列の少なくともいくつかを含んでもよい:吸引、リンス、トリプシン処理、インキュベーション、除去、反応停止(quenching)、再植え付けおよびアリコット。カリフォルニア大学サンディエゴ校のHedrick研究室によって公表されたプロトコルを用いてもよい(http://hedricklab.ucsd.edu/Protocol/COSCell.html)。
当該技術分野に知られる機械的または酵素的手段などの任意の適切な手段によって、細胞を解離させてもよい。機械的解離によって、例えば細胞スクレーパーまたはピペットを用いて、細胞を破壊してもよい。100ミクロンまたは500ミクロン篩を通じるなど、適切な篩サイズを通じて篩にかけることによって、細胞を解離させてもよい。酵素的解離によって、例えばコラゲナーゼまたはtrypLEでの処理によって採取し、分割してもよい。解離は完全であってもまたは部分的であってもよい。
希釈は任意の適切な希釈であってもよい。細胞培養中の細胞を任意の適切な比で分割してもよい。例えば、細胞を1:2またはそれより多く、1:3またはそれより多く、1:4またはそれより多くあるいは1:5またはそれより多くの比で分割してもよい。したがって、幹細胞を1継代またはそれより多く、継代してもよい。例えば、幹細胞を2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25継代またはそれより多く、継代してもよい。継代を細胞増殖の世代として表してもよい。本発明者らの方法および組成物は、幹細胞が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25世代またはそれより多く、増殖することを可能にする。
また、継代を細胞倍加の回数として表してもよい。本発明者らの方法および組成物は、幹細胞が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25細胞倍加またはそれより多く、増殖することを可能にする。
幹細胞特性の維持
増殖した幹細胞は、親幹細胞の少なくとも1つの特性を維持しうる。幹細胞は、1回またはそれより多くの継代後、該特性を維持しうる。幹細胞は、複数回の継代後、その特性を維持しうる。幹細胞は、上述のような言及する回数の継代後、該特性を維持しうる。
特性は、形態学的特性、免疫組織化学的特性、分子生物学的特性等を含んでもよい。特性は、生物学的活性を含んでもよい。
幹細胞特性
本発明者らの方法によって増殖する幹細胞は、以下の幹細胞特性のいずれを示してもよい。
幹細胞は、Oct4および/またはSSEA−1および/またはTRA−1−60の発現増加を示しうる。自己再生性である幹細胞は、自己再生性でない幹細胞に比較して短い細胞周期を示しうる。
幹細胞は定義される形態を示しうる。例えば、標準的顕微鏡画像の二次元において、ヒト胚性幹細胞は、画像平面における高い核/細胞質比、顕著な仁、および細胞接合がほとんど認識不能な緊密なコロニー形成を示す。
幹細胞はまた、以下にさらに詳細に記載するような、発現細胞マーカーによっても特徴付け可能である。
多能性マーカーの発現
維持される生物学的活性は、1またはそれより多くの多能性マーカーの発現を含んでもよい。
ステージ特異的胎児抗原(SSEA)は、特定の胚性細胞タイプに特徴的である。SSEAマーカーに対する抗体は、Developmental Studies Hybridoma Bank(メリーランド州ベセスダ)より入手可能である。他の有用なマーカーは、Tra−1−60およびTra−1−81と称される抗体を用いて検出可能である(Andrewsら, Cell Lines from Human Germ Cell Tumors, E. J. Robertson, 1987, 上記中)。ヒト胚性幹細胞は、典型的には、SSEA−1陰性およびSSEA−4陽性である。hEG細胞は、典型的には、SSEA−1陽性である。霊長類多能性幹細胞(pPS)細胞のin vitroでの分化は、SSEA−4、Tra−1−60、およびTra−1−81発現の喪失、ならびにSSEA−1発現増加を生じる。pPS細胞はまた、アルカリホスファターゼ活性の存在によっても特徴付け可能であり、これは、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、そして次いで、製造者によって記載されるように、基質としてVector Redで現像することによって検出可能である(Vector Laboratories、カリフォルニア州バーリンゲーム)。
胚性幹細胞はまた、典型的には、テロメラーゼ陽性およびOCT−4陽性である。テロメラーゼ活性は、商業的に入手可能なキット(TRAPeze.RTM. XKテロメラーゼ検出キット、カタログ番号s7707; Intergen Co.、ニューヨーク州パーチェス;またはTeloTAGGG.TM.テロメラーゼPCR ELISAプラス、カタログ番号2,013,89; Roche Diagnostics, インディアナポリス)を用い、TRAP活性アッセイ(Kimら, Science 266:2011, 1997)を用いて決定可能である。また、RT−PCRによって、mRNAレベルでhTERT発現を評価してもよい。LightCycler TeloTAGGGTM hTERT定量化キット(カタログ番号3,012,344; Roche Diagnostics)が、研究目的のため、商業的に入手可能である。
FOXD3、PODXL、アルカリホスファターゼ、OCT−4、SSEA−4、TRA−1−60およびMab84等を含む、これらの多能性マーカーの任意の1またはそれより多くが、増殖幹細胞によって保持されうる。
マーカーの検出は、当該技術分野に知られる任意の手段を通じて、例えば免疫学的に達成可能である。組織化学染色、フローサイトメトリー(FACS)、ウェスタンブロット、酵素連結イムノアッセイ(ELISA)等が使用可能である。
フロー免疫細胞化学を用いて、細胞表面マーカーを検出してもよい。細胞内または細胞表面マーカーに関して、免疫組織化学(例えば固定細胞または組織切片の)を用いてもよい。細胞抽出物に対してウェスタンブロット分析を行ってもよい。細胞抽出物または培地内に分泌される産物に関して、酵素連結イムノアッセイを用いてもよい。
この目的のため、商業的供給源から入手可能であるような、多能性マーカーに対する抗体を用いてもよい。
ステージ特異的胎児抗原1および4(SSEA−1およびSSEA−4)ならびに腫瘍拒絶抗原1−60および1−81(TRA−1−60、TRA−1−81)を含む幹細胞マーカーの同定のための抗体は、例えばChemicon International, Inc(米国カリフォルニア州テメキュラ)より得られうる。モノクローナル抗体を用いたこれらの抗原の免疫学的検出は、多能性幹細胞を特徴付けるために広く用いられてきている(Shamblott M.J.ら(1998) PNAS 95:13726−13731; Schuldiner M.ら(2000). PNAS 97:11307−11312; Thomson J.A.ら(1998). Science 282:1145−1147; Reubinoff B.E.ら(2000). Nature Biotechnology 18:399−404; Henderson J.K.ら(2002). Stem Cells 20:329−337; Pera M.ら(2000). J. Cell Science 113:5−10.)。
組織特異的遺伝子産物の発現はまた、ノーザンブロット分析、ドットブロット分析によって、あるいは標準的増幅法において配列特異的プライマーを用いた逆転写酵素開始ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって、mRNAレベルで検出可能である。本開示に列挙する特定のマーカーに関する配列データは、GenBank(URL www.ncbi.nlm.nih.gov:80/entrez)などの公的データベースから得られうる。さらなる詳細に関しては、米国特許第5,843,780号を参照されたい。
実質的にすべての増殖細胞、またはそのかなりの部分が、マーカー(単数または複数)を発現しうる。例えば、単数または複数のマーカーを発現する細胞の割合は、50%またはそれより多く、60%またはそれより多く、70%またはそれより多く、80%またはそれより多く、90%またはそれより多く、93%またはそれより多く、95%またはそれより多く、97%またはそれより多く、98%またはそれより多く、99%またはそれより多く、あるいは実質的に100%でありうる。
細胞生存度
生物学的活性は、言及する回数の継代後の細胞生存度を含んでもよい。細胞生存度は、例えばトリパンブルー排除によるなど、多様な方式でアッセイされうる。
生存染色のプロトコルは以下の通りである。適切な試験管に、適切な体積の細胞懸濁物(20〜200μL)および等体積の0.4%トリパンブルーを入れ、そして穏やかに混合し、室温で5分間放置する。10μlの染色細胞を血球計数板に入れ、そして生存(未染色)および死亡(染色)細胞の数を計数する。各象限の未染色細胞の平均数を計算し、そして2x10を乗じて、細胞/mlを見出す。生存細胞の割合は、生存細胞数を死亡細胞および生存細胞の数で割ったものである。
細胞生存度は、50%またはそれより多く、60%またはそれより多く、70%またはそれより多く、80%またはそれより多く、90%またはそれより多く、93%またはそれより多く、95%またはそれより多く、97%またはそれより多く、98%またはそれより多く、99%またはそれより多く、あるいは実質的に100%でありうる。
核型
増殖幹細胞は、増殖中または増殖後、正常な核型を保持しうる。「正常な」核型は、幹細胞が由来する親幹細胞の核型と同一であるか、類似であるかまたは実質的に類似である核型、あるいは親幹細胞と異なるが、いかなる実質的な方式でも異ならないものである。例えば、転座、染色体の喪失、欠失等のいかなる全体的な異常もあってはならない。
核型は、いくつかの方法によって、例えば光学顕微鏡検査のもとで視覚的に評価可能である。核型は、McWhirら(2006)、Hewittら(2007)、ならびにGallimoreおよびRichardson(1973)に記載されるように、調製および分析可能である。また、標準的なGバンド形成技術(カリフォルニア州オークランドのCytogenetics Labなどの、ルーチンの核型決定サービスを提供する多くの臨床診断実験室で利用可能)を用いて細胞の核型を決定し、そして公表される幹細胞核型と比較してもよい。
増殖細胞のすべてまたはかなりの部分が正常な核型を保持しうる。この比率は、50%またはそれより多く、60%またはそれより多く、70%またはそれより多く、80%またはそれより多く、90%またはそれより多く、93%またはそれより多く、95%またはそれより多く、97%またはそれより多く、98%またはそれより多く、99%またはそれより多く、あるいは実質的に100%でありうる。
多能性
増殖幹細胞は、3つの細胞系譜すべて、すなわち内胚葉、外胚葉および中胚葉に分化する能力を保持しうる。幹細胞を誘導して、これらの細胞系譜の各々に分化させる方法が当該技術分野に知られ、そしてこれを用いて、増殖幹細胞の能力をアッセイしてもよい。増殖細胞のすべてのまたはかなりの部分がこの能力を保持しうる。これは、増殖幹細胞の50%またはそれより多く、60%またはそれより多く、70%またはそれより多く、80%またはそれより多く、90%またはそれより多く、93%またはそれより多く、95%またはそれより多く、97%またはそれより多く、98%またはそれより多く、99%またはそれより多く、あるいは実質的に100%でありうる。
生成される幹細胞の多能性は、適切なアッセイの使用によって決定可能である。こうしたアッセイは、多能性の1またはそれより多くのマーカー、例えばSSEA−1抗原、アルカリホスファターゼ活性、Oct−4遺伝子および/またはタンパク質発現を検出する工程を含んでもよいし、SCIDマウスにおける奇形腫形成または胚様体形成の度合いを観察することによってもよい。Oct−4、SSEA−4、Tra−1−60、Tra−1−81、SOX−2およびGCTM−2などの1またはそれより多くのマーカーの発現によって、hESCの多能性を定義してもよい。
共培養およびフィーダー
方法は、共培養の存在下または非存在下で、幹細胞を培養する工程を含んでもよい。用語「共培養」は、一緒に増殖する2またはそれより多くの異なる種類の細胞混合物、例えば間質フィーダー細胞の混合物を指す。2またはそれより多くの異なる種類の細胞を、同じ表面上で、例えば粒子または細胞容器表面上で、または異なる表面上で、増殖させてもよい。異なる種類の細胞を異なる粒子上で増殖させてもよい。
本文書で用いる場合、用語、フィーダー細胞は、異なるタイプの細胞の培養のために用いられるかまたは必要とされる細胞を意味する。幹細胞培養の状況において、フィーダー細胞は、生存、増殖、および細胞多能性の維持を確実にする機能を有する。細胞多能性は、フィーダー細胞を直接共培養することによって達成されうる。あるいは、またはさらに、フィーダー細胞を培地中で培養して、培地を馴化させてもよい。馴化培地を用いて、幹細胞を培養してもよい。
培養ディッシュなどの容器の内表面を、分裂しないように処理してあるマウス胚性皮膚細胞のフィーダー層でコーティングしてもよい。フィーダー細胞は、ES細胞増殖に必要な栄養分を培地内に放出する。したがって、粒子上で増殖する幹細胞は、こうしたコーティングされた容器中で増殖可能である。
フィーダー細胞が存在しないか、または必要とされない設定もまた可能である。例えば、フィーダー細胞または幹細胞によって馴化された培地中で細胞を増殖させてもよい。
培地およびフィーダー細胞
多能性幹細胞を単離しそして増殖させるための培地は、得られる細胞が望ましい特性を有し、そしてさらに増殖可能である限り、いくつかの異なる配合のいずれを有してもよい。
適切な供給源は以下の通りである:ダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)、Gibco#11965−092;ノックアウト・ダルベッコの修飾イーグル培地(KO DMEM)、Gibco#10829−018; 200mM L−グルタミン、Gibco#15039−027;非必須アミノ酸溶液、Gibco 11140−050;ベータ−メルカプトエタノール、Sigma#M7522;ヒト組換え塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、Gibco#13256−029。例示的な血清含有胚性幹(ES)培地は、80% DMEM(典型的にはKO DMEM)、熱不活化されていない20%定義ウシ胎児血清(FBS)、0.1mM非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mMベータ−メルカプトエタノールで作製される。培地をろ過し、そして4℃で2週間以内、保存する。血清不含胚性幹(ES)培地は、80% KO DMEM、20%血清代用品(replacement)、0.1mM非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mMベータ−メルカプトエタノールで作製される。有効な血清代用品は、Gibco#10828−028である。培地をろ過し、そして4℃で2週間以内、保存する。使用直前、ヒトbFGFを最終濃度4ng/mLまで添加する(Bodnarら、Geron Corp、国際特許公報WO 99/20741)。
培地は、10%血清置換培地(Invitrogen−Gibco、ニューヨーク州グランドアイランド)、5ng/ml FGF2(Invitrogen−Gibco、ニューヨーク州グランドアイランド)および5ng/ml PDGF AB(Peprotech、ニュージャージー州ロッキーヒル)を補充したノックアウトDMEM培地(Invitrogen−Gibco、ニューヨーク州グランドアイランド)を含んでもよい。
フィーダー細胞(用いる場合)は、90% DMEM(Gibco#11965−092)、10% FBS(Hyclone#30071−03)、および2mMグルタミンを含有するmEF培地中で増殖可能である。mEFをT150フラスコ(Corning#430825)中で増殖させ、トリプシンを用いて、1日おきに1:2で細胞を分割し、細胞を集密以下に維持する。フィーダー細胞層を調製するため、増殖を阻害するが、ヒト胚性幹細胞を支持する、重要な因子の合成を可能にする線量(約4000radガンマ照射)で、細胞を照射する。6ウェル培養プレート(Falcon#304など)を、ウェルあたり1mLの0.5%ゼラチンと、37℃で一晩インキュベーションすることによってコーティングし、そしてウェルあたり375,000の照射mEFをプレーティングする。フィーダー細胞層は、典型的には、プレーティング5時間後〜4日後に用いられる。
他の幹細胞を培養するための条件が知られ、そして細胞タイプに応じて、適切に最適化可能である。先のセクションに言及する特定の細胞タイプのための培地および培養技術は、引用する参考文献中に提供される。
血清不含培地
本明細書に記載する方法および組成物には、血清不含培地中の幹細胞の培養が含まれてもよい。
用語「血清不含培地」は、血清タンパク質、例えばウシ胎児血清を含まない細胞培地を含んでもよい。血清不含培地は、当該技術分野に知られ、そして例えば、米国特許5,631,159および5,661,034に記載される。血清不含培地は、例えば、Gibco−BRL(Invitrogen)から商業的に入手可能である。
血清不含培地は、タンパク質、加水分解物、および未知の組成の構成要素を欠いていてもよいという点で、タンパク質不含であってもよい。血清不含培地は、すべての構成要素が既知の化学構造を有する、化学的に定義された培地を含んでもよい。化学的に定義される血清不含培地は、変動を排除し、そして改善された再現性およびより一貫した性能を可能にし、そして不定の剤による混入の可能性を減少させる、完全に定義された系を提供するため、好適である。
血清不含培地は、ノックアウトDMEM培地(Invitrogen−Gibco、ニューヨーク州グランドアイランド)を含んでもよい。
血清不含培地に、例えば5%、10%、15%等の濃度で、血清置換培地などの1またはそれより多くの構成要素を補充してもよい。血清不含培地に、Invitrogen−Gibco(ニューヨーク州グランドアイランド)の血清置換培地を10%補充してもよい。
解離または脱凝集された胚性幹細胞を培養する血清不含培地は、1またはそれより多くの増殖因子を含んでもよい。FGF2、IGF−2、ノギン、アクチビンA、TGFベータ1、HRG1ベータ、LIF、S1P、PDGF、BAFF、April、SCF、Flt−3リガンド、Wnt3Aおよびその他を含む、いくつかの増殖因子が当該技術分野に知られる。増殖因子(単数または複数)を、1pg/ml〜500ng/mlの間などの任意の適切な濃度で用いてもよい。
培地補充物
培地に1またはそれより多くの添加物を補充してもよい。例えばこれらは:脂質混合物、ウシ血清アルブミン(例えば0.1% BSA)、大豆タンパク質の加水分解物の1またはそれより多くから選択可能である。
多能性幹細胞の供給源
現在、胚の破壊につながらない、例えば成体体細胞または生殖細胞の形質転換(誘導)による、多能性幹細胞の単離のためのいくつかの方法が提供されてきている。これらの方法には、以下が含まれる:
1.核トランスファーによる再プログラミング。この技術は、体細胞から卵母細胞または接合子内への核のトランスファーを伴う。いくつかの状況において、これは、動物−ヒト・ハイブリッド細胞の生成を導きうる。例えば、ヒト体細胞と動物卵母細胞または接合子の融合、あるいはヒト卵母細胞または接合子と動物体細胞の融合によって、細胞を生成することも可能である。
2.胚性幹細胞との融合による再プログラミング。この技術は、体細胞と胚性幹細胞の融合を伴う。この技術はまた、上記1におけるように、動物−ヒト・ハイブリッド細胞の生成を導きうる。
3.培養による自発的再プログラミング。この技術は、長期培養後の非多能性細胞からの多能性細胞の生成を伴う。例えば、始原生殖細胞(PGC)の長期培養によって、多能性胚性生殖(EG)細胞が生成されてきている(本明細書に援用される、Matsuiら, Derivation of pluripotential embryonic stem cells from murine primordial germ cells in culture. Cell 70, 841−847, 1992)。骨髄由来細胞の長期培養後の多能性幹細胞の発生もまた報告されてきている(本明細書に援用される、Jiangら, Pluripotency of mesenchymal stem cells derived from adult marrow. Nature 418, 41−49, 2002)。Jiangらは、これらの細胞を多分化能成体前駆細胞(MAPC)と称した。Shinoharaらもまた、新生マウス精巣由来の生殖系列幹(GS)細胞の培養経過中に多能性幹細胞が生成可能であることを示し、これを多分化能生殖系列幹(mGS)細胞と称した(Kanatsu−Shinoharaら, Generation of pluripotent stem cells from neonatal mouse testis. Cell 119, 1001−1012, 2004)。
4.定義される因子による再プログラミング。例えば、レトロウイルスが仲介する、例えば上述のようなマウス胚性または成体線維芽細胞内への転写因子(例えばOct−3/4、Sox2、c−Myc、およびKLF4)の導入による、iPS細胞の生成。Kajiら(Virus−free induction of pluripotency and subsequent excision of reprogramming factors. Nature. Online publication 1 March 2009)はまた、2Aペプチドと連結されたc−Myc、Klf4、Oct4およびSox2のコード配列を含む、単一多タンパク質発現ベクターの非ウイルストランスフェクションを記載し、これは、マウスおよびヒト線維芽細胞をどちらも再プログラミング可能であった。この非ウイルスベクターで産生されたiPS細胞は、多能性マーカーの頑強な発現を示し、再プログラミング状態が、in vitro分化アッセイおよび成体キメラマウスの形成によって、機能的に確認されることを示した。Kajiらは、胚性線維芽細胞から、多能性マーカーを頑強に発現する再プログラミングヒト細胞株を確立するのに成功した。
方法1〜4は、本明細書に援用される、山中伸弥による、Strategies and New Developments in the Generation of Patient−Specific Pluripotent Stem Cells(Cell Stem Cell 1, July 20072007 Elsevier Inc)に記載され、そして論じられる。
5.単一卵割球または生検卵割球由来のhESC株の誘導。すべて本明細書に援用される、Klimanskaya I, Chung Y, Becker S, Lu SJ, Lanza R. Human embryonic stem cell lines derived from single blastomeres. Nature 2006; 444:512、Leiら Xeno−free derivation and culture of human embryonic stem cells: current status, problems and challenges. Cell Research(2007)17:682−688、Chung Y, Klimanskaya I, Becker Sら Embryonic and extraembryonic stem cell lines derived from single mouse blastomeres. Nature. 2006;439:216−219. Klimanskaya I, Chung Y, Becker Sら Human embryonic stem cell lines derived from single blastomeres. Nature. 2006;444:481−485. Chung Y, Klimanskaya I, Becker Sら Human embryonic stem cell lines generated without embryo destruction. Cell Stem Cell. 2008;2:113−117およびDusko Ilicら(Derivation of human embryonic stem cell lines from biopsied blastomeres on human feeders with a minimal exposure to xenomaterials. Stem Cells And Development−公表前の論文)を参照されたい。
6. in vitroで、卵割を停止し、そして桑実胚および胚盤胞まで発生するのに失敗した停止胚から得られるhESC株。どちらも本明細書に援用される、Zhang X, Stojkovic P, Przyborski Sら Derivation of human embryonic stem cells from developing and arrested embryos. Stem Cells 2006;24:2669−2676およびLeiら Xeno−free derivation and culture of human embryonic stem cells: current status, problems and challenges. Cell Research(2007)17:682−688を参照されたい。
7.単為生殖。この技術は、未受精卵を化学的または電気的に刺激して、胚性幹細胞を得られうる桑実胚に発生させる工程を伴う。例えば、幹細胞を産生するために未受精中期II卵母細胞の化学的活性化を使用した、Linら Multilineage potential of homozygous stem cells derived from metaphase II oocytes. Stem Cells. 2003;21(2):152−61を参照されたい。
8.胎児起源の幹細胞。これらの細胞は、可能性の観点からは胚性および成体幹細胞の間に位置し、そしてこれを用いて、多能性または多分化能細胞を得ることも可能である。多能性マーカー(Nanog、Oct−4、Sox−2、Rex−1、SSEA−3、SSEA−4、Tra−1−60、およびTra−1−81、β−ガラクトシダーゼ染色によって示されるような老化の証拠が最小限であること、およびテロメラーゼ活性の一貫した発現を含む)を発現するヒト臍帯由来胎児間質幹細胞(UC fMSCs)が、Chris H. Joら(本明細書に援用される、Fetal mesenchymal stem cells derived from human umbilical cord sustain primitive characteristics during extensive expansion. Cell Tissue Res(2008)334:423−433)によって成功裡に得られている。Winston Costa Pereiraら(本明細書に援用される、Reproducible methodology for the isolation of mesenchymal stem cells from human umbilical cord and its potential for cardiomyocyte generation J Tissue Eng Regen Med 2008;2:394−399)は、ヒト臍帯のWhartonゼリーから、間葉幹細胞の純粋な集団を単離した。Whartonゼリー由来の間葉幹細胞はまた、Troyer & Weiss(Concise Review: Wharton’s Jelly−Derived Cells Are a primitive Stromal Cell Population. Stem Cells 2008:26:591−599)にも概説されている。Kimら(本明細書に援用される、Ex vivo characteristics of human amniotic membrane−derived stem cells. Cloning Stem Cells 2007 Winter;9(4):581−94)は、ヒト羊膜からヒト羊膜由来間葉細胞を単離することに成功した。臍帯は、通常廃棄される組織であり、そしてこの組織由来の幹細胞は、道徳的または倫理的な反対を招かない傾向がある。
9. Chungら[(2008)Human Embryonic Stem Cell Lines Generated Without Embryo Destruction. Cell Stem Cell. 2(2)113−117. Epub 2008 Jan 10]は、胚の破壊を伴うヒト胚性幹細胞株の精製を記載する。
人工多能性幹細胞は、これらが胚の破壊を引き起こさない方法によって、より具体的には、ヒトまたは哺乳動物胚の破壊を引き起こさない方法によって得られうるという利点を有する。
Chungらによって記載される方法(上記項目9)はまた、ヒト胚の破壊を引き起こさない方法によって、ヒト胚性幹細胞を得ることも可能にする。
こうしたものとして、こうした細胞が得られうるヒトまたは動物胚の破壊を必然的に伴う方法のみによって調製されたのではない細胞を用いることによって、本発明の側面を行うかまたは実施してもよい。この場合による限定は、欧州特許庁拡大審判廷の2008年11月25日の決定G0002/06を考慮に入れることが特に意図される。
未分化細胞の分化
未分化多能性細胞を誘導して、多様な異なる細胞タイプに分化させることも可能である。例えば未分化多能性細胞を誘導して、心臓細胞(心筋細胞)、肝細胞、神経細胞、軟骨(軟骨細胞)、筋肉、脂肪(脂肪細胞)、骨(骨細胞)または他の細胞に分化させることも可能である。未分化多能性細胞を誘導して、上皮組織、中胚葉、内胚葉、外胚葉または表皮などの組織を形成することも可能である。
幹細胞を分化させる方法は当該技術分野に知られ、そして例えば、Itskovitz−Eldor(2000)およびGraichenら(2007)に記載され、そして未分化多能性細胞でこれらを用いてもよい。また、胚様体を形成するために培養幹細胞を用いてもよい。胚様体および胚様体を作製するための方法が当該技術分野に知られる。用語「胚様体」は、懸濁中で胚性幹細胞を増殖させることによって産生可能な、培養中に見られる球状コロニーを指す。胚様体は、混合細胞タイプのものであり、そして特定の細胞タイプの分布および出現タイミングは、胚内で観察されるものに対応する。半固形培地などの培地上に胚性幹細胞をプレーティングすることによって、胚様体を生成することも可能である。Limら, Blood. 1997;90:1291−1299に記載されるように、メチルセルロース培地を用いてもよい。
例えばItskovitz−Eldor(2000)に記載される方法を用いて、胚性幹細胞を誘導して胚様体を形成してもよい。胚様体は、3つの胚性胚葉すべて(内胚葉、外胚葉、中胚葉)の細胞を含有する。
例えば適切な誘導因子または環境変化への曝露によって、胚様体をさらに誘導して、異なる細胞系譜に分化させることも可能である。Graichenら(2007)は、p38MAPキナーゼ経路の操作によって、ヒト胚性幹細胞からの心筋細胞の形成を記載する。Graichenは、10μm未満のSB203580などのp38 MAPキナーゼの特異的阻害剤に曝露することによって、幹細胞から心筋細胞形成が誘導されることを示す。
当該技術分野に知られるような、再生療法および細胞移植などの、任意の適切な目的のために、分化細胞を使用してもよい。
療法使用
本発明の方法によって得られる分化子孫細胞は、医学において、例えば細胞療法において、多様な使用を有する。細胞療法は、個々の細胞の集団として、あるいは細胞凝集体または組織の形で、ならびに/あるいは再生療法、例えば組織再生、置換および/または修復のいずれでもよい、細胞の移入または移植を含んでもよい。分化子孫細胞をin vitro培養で拡大して、そして患者に直接投与してもよい。外傷後の損傷組織の再増殖および/または修復のために、これらを用いてもよい。
分化子孫細胞を、ex vivo拡大によって作製してもよいし、または患者に直接投与してもよい。また、外傷後の損傷組織の再増殖および/または修復のために、これらを用いてもよい。
したがって、骨髄置換のために造血前駆細胞を用いてもよいし、一方、心臓不全患者のために心臓前駆細胞を用いてもよい。患者のための皮膚移植片を増殖させるために皮膚前駆細胞を使用してもよく、そしてステントまたは人工心臓などの人工装具の内皮化(endothelization)のために内皮前駆細胞を使用してもよい。
本明細書記載の方法および組成物によって産生される分化子孫細胞を、疾患治療のために、または疾患治療用の薬学的組成物調製のために用いてもよい。こうした疾患は、心不全、骨髄疾患、皮膚病、火傷、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病および癌などの変性疾患を含む、再生療法によって治療可能な疾患を含むことも可能である。
分化子孫細胞を、必要があるヒト患者における組織再構成または再生に用いてもよい。細胞が意図される組織部位に移植され、そして機能的に欠陥がある領域を再構成するかまたは再生するのを可能にする方式で、細胞を投与する。
例えば、本明細書記載の方法および組成物を用いて、幹細胞の分化を調節してもよい。分化細胞を組織操作のため、例えば皮膚移植片の増殖のため、用いてもよい。人工臓器または組織のバイオエンジニアリングのため、あるいはステントなどの装具のため、幹細胞分化の調節を用いてもよい。
別の例において、治療中の疾患に応じて、中枢神経系の実質部位またはクモ膜下腔内部位に、神経幹細胞を直接移植する。μLあたり25,000〜500,000細胞の密度で単細胞懸濁物または小凝集体を用いて、移植を行う(米国特許第5,968,829号)。McDonaldら(Nat. Med. 5:1410, 1999)によって記載されるように、急性脊髄傷害のラットモデルにおいて、神経細胞移植の有効性を評価してもよい。成功した移植は、2〜5週間後に、病変中に存在する移植片由来細胞が、アストロサイト、オリゴデンドロサイトおよび/またはニューロンに分化し、そして病変端から脊髄に沿って移動し、そしてゲート、協調および重量負荷が改善していることを示すであろう。
神経系に対する急性または慢性損傷の治療のため、特定の神経前駆細胞を設計する。例えば、癲癇、脳卒中、虚血、ハンチントン病、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む多様な状態において、興奮毒性が関連付けられてきている。本明細書に記載する方法にしたがって作製するような特定の分化細胞はまた、ペリツェウス・メルツバッヘル病、多発性硬化症、白質ジストロフィー、神経炎および神経疾患などのミエリン形成不全障害(dysmyelinating disorders)を治療するのにもまた適切でありうる。これらの目的に適しているのは、再ミエリン形成を促進する、オリゴデンドロサイトまたはオリゴデンドロサイト前駆体が濃縮された細胞培養である。
本発明者らの方法を用いて調製した肝細胞および肝細胞前駆体が肝臓損傷を修復する能力に関して、動物モデルにおいて評価してもよい。1つのこうした例は、D−ガラクトサミンの腹腔内注射によって引き起こされる損傷である(Dabevaら, Am. J. Pathol. 143:1606, 1993)。肝臓細胞マーカーに関する免疫組織化学染色、増殖中の組織において毛細胆管構造が形成されるかどうかの微視的決定、および治療が肝臓特異的タンパク質の合成を回復する能力によって、治療有効性を決定してもよい。直接投与によって、または被験体の肝臓組織が、劇症肝不全後に再生する間、一時的な肝機能を提供する生体補助(bioassist)デバイスの一部として、療法において肝細胞を用いてもよい。
Graichenら(2007)に記載されるような、特異的p38 MAPキナーゼ阻害剤であるSB203580を用いて、MPAキナーゼ経路を調節することにより、幹細胞の分化を誘導することによって、心筋細胞を調製してもよい。治療を伴わないと左心室壁組織の55%を瘢痕組織にする、心臓凍結傷害(cryoinjury)の動物モデルにおいて、こうした心筋細胞の有効性を評価してもよい(Liら, Ann. Thorac. Surg. 62:654, 1996; Sakaiら, Ann. Thorac. Surg. 8:2074, 1999、 Sakaiら, J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 118:715, 1999)。治療が成功すると、瘢痕面積が減少し、瘢痕拡大が限定され、そして収縮期圧、拡張期圧、および最大圧によって決定されるように、心臓機能が改善されるであろう。また、左前下行枝の遠位部分において塞栓コイルを用いて、心臓傷害をモデリングしてもよく(Watanabeら, Cell Transplant. 7:239, 1998)、そして組織学および心臓機能によって、治療有効性を評価してもよい。療法において、心筋細胞調製物を用いて、心筋を再生し、そして不十分な心臓機能を治療してもよい(米国特許第5,919,449号およびWO 99/03973)。
未分化多能性細胞が多様な細胞タイプに分化するように導き、そして置換細胞および組織の再生可能供給源が、ある範囲の疾患および障害を治療する可能性を提供することも可能である。これらの疾患および障害には、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄傷害、骨傷害(例えば骨折)、脳卒中、火傷、心臓疾患、糖尿病、骨関節炎、および関節リウマチが含まれる。移植可能組織および臓器を必要とする疾患および障害が治療可能であり、そして特に例えば奇形腫の形成を防止するために、移植前に未分化細胞を破壊することが有用である場合にあてはまる。
本発明は、本発明の方法のいずれかによって単離された分化子孫細胞を含んでもよい、薬剤および薬学的組成物を提供する。該薬剤および薬学的組成物は、上述のような医学的治療法で使用するため、提供可能である。適切な薬学的組成物は、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバントまたは希釈剤をさらに含んでもよい。
したがって、本発明はまた、本発明の方法を用いて、未分化多能性細胞を破壊するように処理されている細胞を含む、薬学的組成物および薬剤も提供する。
本発明記載の方法によって単離される分化子孫細胞を、医学的治療法において用いてもよい。医学的治療法は、治療の必要がある個体に、療法的に有効な量の前記薬剤または薬学的組成物を投与する工程を含んでもよい。
治療しようとする被験体は、任意の動物またはヒトであってもよい。被験体は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。被験体は男性(雄)または女性(雌)であってもよい。被験体は患者であってもよい。療法的使用は、ヒトまたは動物(獣医学的使用)におけるものであってもよい。
本発明の側面にしたがった薬剤および薬学的組成物を、限定されるわけではないが、非経口、静脈内、動脈内、筋内、腫瘍内、経口および経鼻を含む、いくつかの経路による投与のために配合してもよい。薬剤および組成物を注射用に配合してもよい。
投与は、好ましくは、「療法的に有効な量」であり、これは、個体に対して利益を示すのに十分な量である。投与する実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、治療される疾患の性質および重症度に応じるであろう。治療の指示、例えば投薬量に関する決定等は、開業医および他の医師の責任の範囲内であり、そして典型的には、治療される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与法、および医師に知られる他の要因が考慮されるであろう。上述の技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第20版, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins刊行に見出されうる。
薬学的に有用な組成物および薬剤の配合
本発明にしたがって、こうして得られる単数または複数の細胞に基づいてもよい、薬学的に有用な組成物を産生するための方法もまた提供する。本明細書に記載する方法の工程に加えて、こうした産生法は:
(a)分化子孫細胞を単離しそして/または得る工程;
(b)分化子孫細胞と、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバントまたは希釈剤を混合する工程
より選択される1またはそれより多くの工程をさらに含んでもよい。
工程(b)は、好ましくは、療法的使用に適した薬学的組成物または薬剤の配合/調製を生じる。
タンパク質発現
本発明記載のポリペプチドを産生するために適した分子生物学技術が当該技術分野に周知であり、例えばSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Press, 1989に示されるものがある。ポリペプチドは、ヌクレオチド配列から発現させることも可能である。ヌクレオチド配列は、細胞中に存在するベクター中に含有されてもよいし、または細胞ゲノム内に取り込まれてもよい。
「ベクター」は、本明細書において、細胞内に外因性遺伝物質をトランスファーするためのビヒクルとして用いられるオリゴヌクレオチド分子(DNAまたはRNA)である。ベクターは、細胞において、遺伝物質を発現させるための発現ベクターであることも可能である。こうしたベクターには、発現しようとする遺伝子配列をコードするヌクレオチド配列に機能可能であるように連結されたプロモーター配列が含まれることも可能である。ベクターにはまた、末端コドンおよび発現エンハンサーも含まれることも可能である。当該技術分野に知られる任意の適切なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび終結コドンを用いて、本発明記載のベクターからポリペプチドを発現させることも可能である。適切なベクターには、プラスミド、バイナリーベクター、ウイルスベクターおよび人工染色体(例えば酵母人工染色体)が含まれる。
本明細書において、用語「機能可能であるように連結される」には、選択されたヌクレオチド配列および制御ヌクレオチド配列(例えばプロモーターおよび/またはエンハンサー)が、制御配列の影響または調節下で、ヌクレオチド配列の発現を達成するような方式で、共有連結される(それによって発現カセットを形成する)。したがって、制御配列がヌクレオチド配列の転写を達成可能であるならば、制御配列は、選択されたヌクレオチド配列に、機能可能であるように連結されている。適切な場合、生じた転写物は、次いで、望ましいタンパク質またはポリペプチドに翻訳されることも可能である。
本発明記載のペプチドを産生するため、ポリペプチドの発現に適した任意の細胞が使用可能である。細胞は、原核細胞または真核細胞であることも可能である。適切な原核細胞には大腸菌が含まれる。真核細胞の例には、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞が含まれる。いくつかの場合、ある原核細胞は、真核細胞と同じ翻訳修飾を可能にしないため、細胞は原核細胞ではない。さらに、真核細胞では非常に高い発現レベルが可能であり、そして適切なタグを用いると、真核細胞からタンパク質を精製することがより容易でありうる。培地へのタンパク質の分泌を増進させる特定のプラスミドもまた、利用可能である。
関心対象のポリペプチドを産生する方法は、ポリペプチドを発現するように修飾された細胞の培養または発酵を伴うことも可能である。培養または発酵は、栄養素、空気/酸素および/または増殖因子の適切な供給を提供されるバイオリアクター中で実行可能である。細胞から、培地/発酵ブロスを分配し、タンパク質内容物を抽出し、そして個々のタンパク質を分離して、分泌されたポリペプチドを単離することによって、分泌タンパク質を収集することも可能である。培養、発酵および分離技術は、当業者に周知である。
バイオリアクターには、その中で細胞を培養可能である1またはそれより多い容器が含まれる。バイオリアクター中の培養は、連続して生じてもよく、リアクター内への反応物の連続流動、およびリアクターからの培養細胞の連続流動が伴う。あるいは、培養はバッチで生じてもよい。バイオリアクターは、培養中の細胞のために最適な条件が提供されるように、pH、酸素、容器内へのおよび容器外への流速、および容器内の攪拌などの環境条件を監視し、そして調節する。
関心対象のポリペプチドを発現する細胞の培養後、好ましくはそのポリペプチドを単離する。当該技術分野に知られる、細胞培養からポリペプチド/タンパク質を分離するための任意の適切な方法が使用可能である。培養から関心対象のポリペプチド/タンパク質を単離するため、まず、関心対象のポリペプチド/タンパク質を含有する培地から、培養された細胞を分離する必要がある可能性もある。関心対象のポリペプチド/タンパク質が細胞から分泌される場合、分泌されたポリペプチド/タンパク質を含有する培養から、遠心分離によって細胞を分離することも可能である。関心対象のポリペプチド/タンパク質が細胞内に集積する場合、遠心分離前に、例えば超音波、迅速凍結融解または浸透圧溶解を用いて、細胞を破壊する必要があるであろう。遠心分離は、培養細胞を含有するペレット、または培養細胞の細胞破片、ならびに培地および関心対象のポリペプチド/タンパク質を含有する上清を生じるであろう。
次いで、他のタンパク質および非タンパク質構成要素も含有しうる上清または培地から、関心対象のポリペプチド/タンパク質を単離することが望ましい可能性もある。上清または培地からポリペプチド/タンパク質構成要素を分離するための一般的なアプローチは、沈殿による。異なる溶解度のポリペプチド/タンパク質は、硫酸アンモニウムなどの沈殿剤の異なる濃度で沈殿する。例えば、低濃度の沈殿剤では、水溶性タンパク質が抽出される。したがって、増加する濃度の沈殿剤を添加することによって、異なる溶解度のタンパク質が区別可能である。続いて、透析を用いて、分離されたタンパク質から硫酸アンモニウムを除去することも可能である。
異なるポリペプチド/タンパク質を区別するための他の方法が当該技術分野に知られ、例えばイオン交換クロマトグラフィおよびサイズクロマトグラフィがある。これらを沈殿の代替法として用いてもよいし、または沈殿に続いて行ってもよい。
関心対象のポリペプチド/タンパク質が、ひとたび培養から単離されたら、タンパク質を濃縮する必要がある可能性もある。関心対象のタンパク質を濃縮するためのいくつかの方法が当該技術分野に知られ、例えば限外濾過または凍結乾燥がある。
配列同一性
配列同一性パーセント(%)は、配列を整列させ、そして最大配列同一性を達成するために、必要であればギャップを導入した後、そしていかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なさずに、所定の列挙する配列(配列番号によって言及する)中の残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合と定義される。配列同一性は、好ましくは、各配列の全長に渡って計算される。
整列させる配列が異なる長さである場合、より短い比較配列の配列同一性を、より長い所定の配列の全長に渡って決定してもよいし、または比較配列が所定の配列より長い場合、比較配列の配列同一性を、より短い所定の配列の全長に渡って決定してもよい。
アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列を、当業者に知られる多様な方式で達成してもよく、例えば公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えばClustalW 1.82. T−coffeeまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを用いてもよい。こうしたソフトウェアを用いる場合、好ましくは、デフォルトパラメーター、例えばギャップペナルティおよび伸長ペナルティに関するものを用いる。ClustalW 1.82のデフォルトパラメーターは:タンパク質ギャップ・オープンペナルティ=10.0、タンパク質ギャップ伸長ペナルティ=0.2、タンパク質マトリックス=Gonnet、タンパク質/DNA ENDGAP=−1、タンパク質/DNA GAPDIST=4である。
本発明には、記載する側面および好ましい特徴の組み合わせが含まれるが、こうした組み合わせが明らかに許容されえないかまたは明らかに回避される場合を除く。
本明細書に用いるセクション見出しは、構成上の目的のみのためであり、そして記載する主題を限定するとは意図されないものとする。
例えば、付随する図に言及して、本発明の側面および態様がここで例示される。さらなる側面および態様が当業者には明らかであろう。本明細書に言及するすべての文書は、本明細書に援用される。
ヒト胚性幹細胞(hESC)は、初期段階ヒト胚の内部細胞塊に由来し、無制限に複製可能であり(自己再生)、そして適切な条件下で、三胚葉すべての派生物に分化可能である(多能性)。多様な研究が、組織操作および再生医学において、hESCが大きな潜在能力を持つことを立証した。しかし、hESC適用の大きな懸念は、残った未分化hESCによる奇形腫形成のリスクである。現在、hESC産物における奇形腫形成を完全に排除する解決策は利用可能ではない。本発明者らは、以前、未分化hESCを殺すことが可能であることが見出されたmAb84を同定した。しかし、mAb84は、IgM五量体として凝集体を形成する傾向があり、腫瘍塊への浸透効率が妨げられる可能性もあった。
本発明者らは、本明細書において、未分化hESCを殺すことが可能なmAb A1を同定している。IgG単量体としてのA1は、mAb84の欠点を補完する。hESC療法におけるA1の有効な使用を促進するため、本発明者らは、異なる側面からA1を研究した:A1のin vitro特徴付け、A1誘導性hESC死機構の解明。本発明者らは、A1が未分化hESCに特異的に結合し、そして未分化hESCを殺すことを見出した。その細胞傷害性は、時間および投薬量依存性である。大部分の殺傷は最初の5分以内に起こる。hESCに対するA1の結合および細胞傷害性は、A1抗原上の共通のグリカンモチーフ:Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1に依存する。これらの抗原は、4つのタンパク質群に分類可能である:細胞接着タンパク質、細胞骨格関連タンパク質、ATPアーゼタンパク質および輸送体タンパク質。A1処理に際して、hESCは、細胞内および細胞外形態に有意な変化を有し、例えば異なるサイズの膜孔の形成、同型接着、膜完全性および微絨毛の喪失、細胞膨張、ミトコンドリア濃縮および末梢再局在化、ならびに細胞質の空胞化を有する。本発明者らはまた、A1細胞傷害性がアクチン再編成と緊密に関連することも見出した。
以下に記載する実験結果は、A1が未分化hESCに特異的に結合し、そして腫瘍症様経路を通じて細胞死を誘導することを示唆する。細胞傷害性は時間および投薬量依存性である。大部分の殺傷は最初の5分以内に起こる。A1はO連結グリカンターゲット抗原を認識する。hESCに対するA1の結合および細胞傷害性は、ターゲット抗原上の共通のグリカンモチーフ:Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1に依存する。さらに、A1ターゲット抗原は、4つのタンパク質群に分類可能である:細胞接着タンパク質、細胞骨格関連タンパク質、ATPアーゼタンパク質および輸送体タンパク質。A1処理に際して、hESCは、細胞内および細胞外形態に有意な変化を有し、例えば同型接着の形成、膜完全性および微絨毛の喪失、細胞膨張、ミトコンドリア濃縮および末梢再局在化、ならびに細胞質の空胞化を有する。本発明者らはまた、A1細胞傷害性がアクチン重合と緊密に関連することも見出した。
実施例1−A1のin vitro特徴付け
モノクローナル抗体A1の生成
未分化ヒト胚性幹細胞でBalb/Cマウスを免疫接種した後、mAb A1を得た。マウスからB細胞を単離し、そしてマウス骨髄腫と融合させて、A1を産生するハイブリドーマを生成した。A1はまた、ヒトIgG1定常領域とキメラ形成しており、そしてmAbはマウスmAb A1に対する特異性および活性を保持する。
A1の結合および細胞傷害性は、未分化細胞に対して特異的である
A1結合および細胞傷害性の特異性を調べるため、未分化hESCおよびヒト胎児肺線維芽細胞由来iPS細胞(ESIMR90)に対して、フローサイトメトリー分析を行った。図5から、A1は、hESCおよびiPS細胞(ESIMR90)の両方に結合する。さらに、A1は、hESCおよびiPS細胞に対して細胞傷害性でもある。したがって、A1は多能性ヒト幹細胞の両方のタイプに反応性である。
A1結合および細胞傷害性が、未分化表現型にのみ特異的であるかどうかを決定するため、胚様体(EB)形成またはFGF−2飢餓によって、hESCを誘導して分化させた。
EBは、未分化hESCから得られる三次元凝集体である。高発現されたCa2+依存性接着分子E−カドヘリンの出血性結合によって、EB形成が促進される。EB内の細胞は、自発的分化、ならびに三胚葉細胞系譜:内胚葉、外胚葉、および中胚葉に沿った細胞特異化を経る11、83。EB形成から自発的に分化したhESCを、第2日、第5日、第8日、第15日、および第22日に、フローサイトメトリー分析のために採取した。本発明者らは、生存hESCおよび分化細胞を、A1および多能性マーカー、抗TRA−1−60で同時染色した。同時に、PI排除アッセイを通じて、細胞の生存度を評価した。図6は、多様な分化段階での細胞に対するA1の結合および殺傷特異性を示す。hESCに対するA1の結合は、細胞が第5日〜第22日に多能性を減少し始めるにつれて、下方制御されることが観察された(図6a)。細胞殺傷の効率はまた、Tra−1−60陽性細胞の割合とも緊密に対応した(図6c)。
あるいは、hESCは、FGF−2飢餓を通じても分化し、これは、FGF−2がhESC多能性の維持に重要であるためである84。類似の傾向が観察されたが、A1結合および細胞傷害性の下方制御はより遅かった(図6b、d)。総合すると、本発明者らは、A1の結合および細胞傷害性が、未分化hESCにのみ特異的であると結論づける。
A1殺傷に対する投薬量の効果
以前、mAb84が未分化hESCに結合し、そして未分化hESCを殺すことが示されてきているため、これを、A1のin vitro特徴付けの基準として用いた。最初に、フローサイトメトリー分析を実行して、A1およびmAb84の細胞傷害性に対する投薬量の影響を調べた。A1およびmAb84の濃度を、100μlの体積中、1x10hESCに関して、0.78〜10μgの範囲に渡って、45分間のインキュベーションで、力価決定した。PI排除アッセイによって、細胞生存度を評価した。本発明者らは、A1およびmAb84が、hESCに対する細胞傷害性に対して、類似の投薬量依存性を有することを見出した(図7)。
A1殺傷の動力学
次に、本発明者らはA1殺傷の動力学を調べた。この時間経過研究において、hESC(1x10)を5μgのA1またはmAb84で処理した。PI排除アッセイのため、最初の1分のインキュベーション後、そして続いて、5分ごとに細胞を採取した。本発明者らは、mAb84およびA1が、類似の時間依存性方式で、hESCに対して細胞傷害性であることを観察した(図8)。細胞生存度は、mAb84またはA1との1分間のインキュベーション後、80%低下した。
A1殺傷の動力学に対する投薬量の影響
図8に示すA1動力学研究の結果に基づいて、A1殺傷は非常に迅速な速度で進行する。細胞殺傷速度を遅らせる試みの中で、本発明者らは、A1殺傷の動力学に対する投薬量の影響を調べた。細胞を、多様な投薬量のA1で処理し、そして10分ごとに、PI排除アッセイのために採取した。その結果、各A1投薬量に関して、大部分の殺傷は、最初の10分以内に達成された(図9a)。アッセイを反復したが、中央の3つのA1投薬量を用いて最初の10分間にのみ焦点を当てた。細胞生存度を2分ごとに評価した。本発明者らは、大部分の殺傷がなお最初の1分以内に達成されたことを見出した(図9b)。したがって、抗体投薬量を減少させることによって、殺傷プロセスを遅延させることは困難であり、殺傷効率のみが減少される。
mAb84およびA1の間の競合的阻害
mAb84およびA1は、投薬量および時間依存性において非常に類似であるため、本発明者らはまた、hESCに対するmAb84およびA1の結合の間の競合的阻害があるかどうかも調べた。細胞(1x10)を、同量のmAb84およびA1で、同時にまたは連続してのいずれかで処理した。A1をFITCで標識し、そしてmAb84をAPCで標識した。図10は、FITCおよびAPCシグナルの読み取り値を示し、これは、hESCに対するmAbの結合に相当する。本発明者らは、同時のまたは連続した処理に関わらず、FITCおよびAPCシグナルが、陽性対照におけるそれぞれの対応するシグナルと同程度に強いことを観察した。したがって、本発明者らは、hESCに対するmAb84およびA1の結合の間に競合的阻害はないと結論づけた。
A1誘導性形質膜損傷
A1で処理したhESCの迅速な殺傷効果およびPI取り込みによって、A1が腫瘍症を介してhESCを殺すことが示唆され、これは典型的には膜孔形成を生じる。したがって、多様な分子量のデキストラン・ビーズを用いて、これらの孔のサイズを概算した。図11において、3つの異なるサイズ(40kDa、70kDa、2000kDa)のデキストラン・ビーズは、A1処理hESCおよびmAb84処理hESC内に拡散可能であり、固定されそして透過処理された細胞に匹敵する蛍光レベル増加を導いた。対照的に、陰性対照およびmAb85対照の蛍光レベルは最小限であり、死んだ細胞のバックグラウンドに相当する。このデータによれば、形質膜上に形成される孔サイズは、2,000kDaより大きく、これは約20nmである。
hESC上のA1ターゲット抗原
A1のターゲット抗原を同定するため、PhyNexus自動化系を用いて、免疫沈降(IP)を行った。抗原スメアが検出され(図12a)、一方、mAb84の抗原は:PODXL37と同定される単一タンパク質バンドである。銀染色ゲル上の対応するバンドを切り出し、そして質量分析(MS)によって分析した。Uniprotタンパク質データベースでペプチドをマッピングすることによって、スメア由来の抗原は4つのタンパク質群:細胞接着タンパク質、細胞骨格関連タンパク質、ATPアーゼタンパク質および輸送体タンパク質に分類可能である(図12b)。さらに、70%を超える抗原は糖タンパク質である。
次に、本発明者らは、さらに、これらの抗原に対するA1の結合がグリカンに依存するかどうかを調べた。免疫沈降された抗原をSDS−PAGEによって分離し、PVDF膜にトランスファーし、過ヨウ素酸ナトリウムで処理して、いかなる存在する糖環も開放し、そしてA1で免疫ブロットした。ウェスタンブロット分析(図12a)から、A1の結合の大部分が過ヨウ素酸塩処理に際して消失し;A1の結合が抗原上のグリカンと会合することが示唆される。
本発明者らは、次いで、A1の結合がN連結またはO連結グリカンと関連するかどうかを調べた。A1による抗原の免疫沈降後、溶出した抗原をシアリダーゼ、PNGase Fおよびβ脱離で消化した。各酵素消化から試料を採取し、そしてA1で免疫ブロットした。N連結またはO連結グリカンを曝露可能であるように、シアリダーゼを用いて、末端シアル酸を除去した。ウェスタンブロット分析(図12c)から、A1の結合は、シアリダーゼでのシアル酸除去およびPNGase FでのN−グリカン除去後に喪失しなかった。A1結合は、PNGase F消化およびβ脱離(O連結グリカンを除去する)の両方の後にのみ失われた。このデータから、本発明者らは、A1がhESC抗原上のO連結グリカンに結合すると結論づけた。
A1が、hESC抗原上のO連結グリカンに結合することが判明したため、本発明者らはさらに、A1が認識するグリカンの糖組成を調べた。hESCの単細胞懸濁物と45分間インキュベーションする前に、A1を、9つの異なる糖、すなわち、1型H(H1)、2型H(H2)、ラクト−N−フコペンタオース1(LNFP1)、1型A(bgA)、1型B(bgB)、LNFP1、Lewis、Lewis、LewisおよびLewisと、別個に30分間プレインキュベーションした。異なるプレインキュベーション条件におけるA1の結合ならびにhESC生存度をフローサイトメトリーによって評価した。FACs結合データ(図12d)から、1型H、LNFP1およびLewisとプレインキュベーションしたA1は、いかなるプレインキュベーションも伴わないA1に比較して、hESCへの結合が減少した。図12eに強調するように、9つの糖のうち、1型H、LNFP1およびLewis−Bのみが4つの単糖およびその連結に共通点を共有するため、本発明者らは、A1がhESC抗原上の共通の糖モチーフ(Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−)を認識すると結論づける。
本発明者らは、ウェスタンブロット分析を行って、3つの糖によってブロックされる特異的抗原または抗原バンドを探した。ターゲット抗原を免疫沈降し、そしてウェスタンブロットに用いた。糖ブロックA1を一次抗体として用いた。図12fにおける4つのウェスタンブロット膜を、対応して、通常のA1、H1ブロックしたA1、LNFP1ブロックしたA1およびLewisブロックしたA1でブロットした。その結果、通常のA1でブロットした膜における抗原の大部分が、他の3つのブロットにおいては同定されない。これは、フローサイトメトリー分析からの先の結合プロファイルと一致する。
同じ糖阻害アッセイから、本発明者らはさらに、A1を、1型H、LNFP1およびLewisとプレインキュベーションした後、hESC生存度はA1処理を伴わないものに匹敵することを観察し(図12g)、1型H、LNFP1およびLewisは、A1がhESCを殺すことを防止することが示された。総合して、本発明者らは、hESC上のA1の結合および細胞傷害性が、グリカンモチーフ:−Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−に依存すると結論づける。
A1可変領域における配列
mAb84およびA1が異なる抗体であることを確認するため、mAb重鎖および軽鎖可変領域の遺伝子配列を決定した。予期されるように、A1およびmAb84の可変領域は異なる(図15)。重鎖可変領域において、3つのCDRすべてに5つの異なるアミノ酸があり;そして軽鎖可変領域において、3つのCDRすべてに4つの異なるアミノ酸がある。CDRは抗原に対する抗体の特異性を決定するため、CDR配列のこれらの相違は、抗原における相違を説明する。
実施例2−A1が誘導する死の機構の解明:A1処理hESCの形態および構造変化、ならびに機構研究
共焦点顕微鏡下でのA1誘導性hESC死の動力学
A1が処理数分でhESC死を誘導可能であることが分かったため、本発明者らは、タイムラプス回転円盤共焦点顕微鏡下でA1処理hESCの細胞間および細胞外形態変化を観察する。その結果、in situ A1処理直後、hESCは互いに撤退し始め、そして培養プレート上で丸くなる(round up)。細胞形態は、最初の1分後であっても劇的に変化し、孔形成が細胞死の非常に初期段階であるはずであることが示唆された。
透過型電子顕微鏡(TEM)下でのhESCの視覚化
抗体誘導性細胞死に対するいくつかの先の研究は、TEMを用いて細胞死の機構を調べていた。Matsuoka62によれば、mAb RE2はリンパ球死を誘導すると報告された。TEM下で、かれらは形質膜の破壊、ERの拡張、ミトコンドリアの変形および凝縮を観察した。これらの観察とともに、彼らは、この抗体が腫瘍症を通じてリンパ球死を誘導すると結論づけた。Ivanov66による抗体誘導性腫瘍症に関する最近の研究もまた、TEM下で、初期段階細胞間接着および同型接着における微絨毛の関与を明らかにした。
本発明者らもまたTEMを用いて、A1処理hESCの細胞内および細胞間形態変化を研究した。細胞をA1で処理し、収集し、そしてTEMのためにプロセシングした。対照として、A1処理を伴わない細胞試料もまた調製した。予備的研究で、A1処理hESCのいくつかの形態改変が観察されてきている。A1処理を伴わない細胞は、直径約10μm(図16b)の通常のサイズで均一に分布した(図16a)。特徴的なことに、30分間A1処理すると、細胞は、細胞間同型接着または細胞凝集を形成する(図16c)。
図16dは、4つの細胞によって形成される細胞間接着の単位を示す。これらの細胞から、異なる染色強度が観察された。1つのありうる理由は、これらが細胞死の異なる段階にあり、そしてしたがって染色されるタンパク質の量が異なるためである可能性もある。下部右隅の細胞は最も低く染色され、そして膜完全性および細胞形態を失っており、この細胞が、死後腫瘍症壊死を経ていることが示唆される。中央の細胞は上部の2つの細胞よりもより低い染色強度を有する。しかし、この細胞は最も明らかな細胞膨張およびミトコンドリア膨張を有する。これは膨張が細胞死のより遅い段階で起こることを示唆しうる。さらに、細胞接着部位に向かうこの細胞におけるミトコンドリアの末梢再局在もまた観察された(図16e)。
図16fは、3つの細胞によって形成される細胞間接着の別の単位を示す。ミトコンドリア量は有意に濃縮され、そして細胞質の大規模な空胞化があった。拡大図(図16g)において、ミトコンドリア中のよく発達したクリスタもまた観察され、これらがエネルギー産生期にあることが示唆された。これらの観察はさらに、A1が腫瘍症を通じてhESCを殺すという本発明者らの仮説をさらに証明し、そしてまた、A1誘導性細胞死がミトコンドリア、ATPおよび接着タンパク質と関連することもまた暗示しうる。
走査型電子顕微鏡(SEM)下でのhESCの視覚化
hESCに対するA1の致死的効果をさらに調べるため、SEMを通じて、正常hESCおよびA1処理hESCを形態および構造変化に関して調べた(図17および18)。TEMにおける先の観察に一致して、未処理hESCは通常のサイズを有し、そして均一に分布した(図17上部左および下部左);一方、A1処理hESCは同型接着を迅速に形成し、そして細胞サイズを変えた(図18上部左)。同型接着の誘導は数分以内に起こり、そして細胞が分解されるまで続いた。正常hESCは平滑な膜輪郭および微絨毛を有する(図17右)。しかし、A1の存在下で、hESCは表面微絨毛および膜完全性の喪失を示した(図18中央左)。膜孔(図18上部右)が回旋状表面を持つ細胞の形質膜上に形成された。これらの膜孔は、通常、破片ネットワークによって覆われ、これは分解された微絨毛または細胞膜のようであった。
図18中央左から、本発明者らは、別個の表面形態を持つ3つの領域を観察した。図18上部右において、多くの膜孔が形成され、そしてこの領域は完全に微絨毛を含まない。図18下部左において、領域の一部は形成された膜孔を有する一方、残りの部分は部分的に分解された微絨毛によって覆われる。図18下部右において、この領域の細胞膜はなお損なわれておらず、そして示される微絨毛の形態は、未処理hESC上のものと非常に似ている。したがって、本発明者らは、微絨毛の分解が膜孔の形成に先立つか、またはさらに膜孔の形成の原因であると推測する。
より興味深いことに、SEM下で、A1処理hESCは、細胞膨張および細胞収縮の両方を有することが見出された(図19)。特徴的なことに、収縮細胞は、通常、膨張細胞に比較して、より高い度合いの形態変化ならびに膜損傷、およびより多くの表面の皺または凹みを有する。これらの観察によって、細胞膨張は細胞収縮に先行する一方、膜完全性の破壊は、A1処理直後および細胞死前の連続プロセスであることが示唆される。
A1誘導性hESC死におけるアクチン細胞骨格の役割
アクチン細胞骨格は、一定の構成およびリモデリングを経て、これは細胞運動、細胞シグナル伝達、ならびに細胞接合および細胞形状の確立および維持における役割に寄与する85。mAb RE2仲介T細胞死に関する先の研究によって、サイトカラシンB/Dでの処理がT細胞に向かうmAb RE2の細胞傷害性を完全にブロックすることが同定された62。ヒトリンパ腫細胞株および初代慢性リンパ球性白血病細胞両方におけるII型CD20特異的mAbおよびHLA−DR特異的mAbに関する別の研究もまた、アクチン細胞骨格の末梢再局在が、同型接着および細胞死に非常に重要であることを示した66
本発明者らはまず、サイトカラシンB、サイトカラシンDおよびラトランクリンAのA1誘導性hESC死に対する影響を調べた。一般的に、サイトカラシンB/Dは、アクチンポリマーの迅速に成長する端をブロックすることによって、アクチン重合を阻害する86一方、ラトランクリンAはGアクチンに結合し、そしてアクチン単量体の重合を防止する87。単一hESC懸濁物を、5μg A1、および異なる量のサイトカラシンB/DまたはラトランクリンAと45分間インキュベーションし、そしてhESCの生存度をPI排除アッセイによって評価した。その結果(図20a)、アクチン阻害剤で処理されたhESCは、未処理細胞に比較して、A1処理に際して、有意に増加した生存度を有し、アクチン重合阻害が、hESCに対するA1殺傷を防止することが示唆された。
さらに、A1誘導性hESC死において、4つのアクチン関連タンパク質、α−アクチニン、パキシリン、タリンおよびビンキュリンにおいて、未処理hESCに比較して、有意な減少があった(図20b)。総合すると、これらの結果は、A1誘導性hESC死とアクチン再編成の緊密な関連を立証する。
実施例3−化学量論アッセイにおける未結合A1および結合A1量、ならびに異なる初期量でのhESCに対する対応するA1殺傷の間の関係
hESCあたりのA1分子の数を、化学量論アッセイから測定した。フローサイトメトリーを通じてヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって、A1殺傷を測定した。結果を図24Aに示す。結合飽和点および殺傷飽和点を垂直の点線で強調する。結合飽和および殺傷飽和は同じ点で達成され、ここでは、hESCあたり約3.0x10のA1分子がある。
結合したA1の量は、A1の初期量および化学量論アッセイから測定される未結合A1の量の間の相違であった。結果を図24Bに示す。飽和A1殺傷点を垂直な点線で強調する。殺傷飽和は、未結合A1量が結合A1量よりも有意に高い場合にのみ達成された。
実施例4−A1はhESC上のO連結グリカンを認識し、そしてO連結グリカンへの結合は
hESCに対するA1細胞傷害性に必須である
ツニカマイシンおよびベンジル−a−GalNacを用いて、それぞれ、N−グリコシル化およびO−グリコシル化を阻害した。異なる処理条件のHES−3細胞(WiCell Research Insittute, Inc.、米国ウィスコンシン州マディソンのES03ヒト胚性幹細胞株)を、ビオチンコンジュゲート化コンカナバリンAまたはTra−1−60に対するmAbで染色した。ConAは、N連結グリカンに特異的に結合し、そしてTra−1−60に対するmAbは、hESC上のO連結グリカンエピトープを認識する。細胞に結合したレクチンまたは抗体を、FITCコンジュゲート化ストレプトアビジンまたは抗マウス抗体で検出した。結果を図25に示し、ここで影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。
図25Aにおいて、ビオチンコンジュゲート化ConAの結合ヒストグラムは、左方向にシフトし、これは、N−グリコシル化の減少を示した。図25Bにおいて、Tra−1−60に対するmAbの結合ヒストグラムは、左方向にシフトし、これは、O−グリコシル化の減少を示した。
異なる処理条件のHES−3を、Oct3/4に対するmAbで染色した。細胞に結合した抗体を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲート化抗マウス抗体で検出した。結果を図25Cに示す。影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。ツニカマイシン処理またはB−GalNac処理いずれかに際して、Oct3/4抗体の結合ヒストグラムは、陰性対照のこれらに匹敵し、阻害剤処理に際してhESC多能性には変化がないことを示す。
実施例5−A1誘導性hESC死および活性酸素種(ROS)産生は、直接相関する
異なる処理条件のHES−3をキメラA1で処理した。細胞に結合した抗体をFITCコンジュゲート化抗ヒト抗体で検出した。結果を図26に示す。図26Aにおいて、影つきのヒストグラムは、陰性対照での染色に相当し、そして白抜きのヒストグラムは、一次抗体での染色に相当する。B−GalNac処理に際して、A1の結合ヒストグラムは、陰性対照およびツニカマイシン処理に比較して左方向にシフトし、O−グリコシル化が阻害された際にのみ、A1結合が下方制御されることを示し、そしてA1がO連結グリカンを認識するが、N連結グリカンを認識しないことを示す。
図26Bは、ヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって概算した細胞生存度を示す。異なる処理条件における細胞生存度を、対応する陰性対照(A1処理なし)に対して規準化した。B−GalNac処理に際して、A1処理に際しての細胞生存度は、陰性対照(CM対照およびDMSO対照)ならびにツニカマイシン処理のものよりも有意により高かった。これは、hESCに対するO−グリコシル化もまた、A1が細胞傷害性を誘発するために必須であることを示唆する。
実施例6−A1誘導性hESC死およびROS産生は直接相関する
hESCのA1処理後、死んだ細胞の集団の有意な増加および高レベルのROS産生があり、これは、ROS産生および細胞死が直接相関することを示す。
ROS産生を、フローサイトメトリーを通じたジヒドロエチジウム(HE)染色で概算した(図27A)。ゲート処理集団は、ROS産生レベルに相当する。A1処理に際して、hESCにおいて大規模なROS産生がある(図27C)。
ROS産生をまた、カルボキシ−H2DCFDAでも測定した。ROSの存在下で、カルボキシ−H2DCFDAは、緑色蛍光を放出するカルボキシ−DCFに酸化される(図27B)。
細胞をSytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した(図27D)。
実施例7−ROS産生(O2−)はA1誘導性hESC死に必要である
A1を添加する前、hESCをPBSあるいはROSスカベンジャー、Tiron(50mM)またはTempol(120mM)で1時間処理した。TironおよびTempol両方のROSターゲットは、スーパーオキシド(O2−)である。次いで、細胞生存度をPI取り込みによって測定した(図28A)。
細胞をまた、SytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した(図28B)。
Tironの存在下で、A1処理後のhESCは、細胞死ならびにROS産生の有意な減少を有する。ROSスカベンジャーによるROSの枯渇は、hESC死の減少と直接相関する。
実施例8−A1誘導性hESC死はNADPHオキシダーゼによって仲介される
HES−3細胞を、A1処理(45分間)前に、NADPHオキシダーゼ阻害剤、DPI(240μM)、Apo(40mM)、またはMPA(3.12mM)と1時間プレインキュベーションした。異なる処理条件における細胞生存度をPI取り込みによって概算し、そしてそれぞれの非A1処理対照に規準化した。細胞をまた、SytoxグリーンおよびHEで二重染色して、それぞれ、細胞死およびROS産生を検出した。結果を図29に示す。
また、HES−3を、Nox2に対する2つの異なるsiRNA(siNOX2_3787およびsiNox2_3788)でトランスフェクションした。Nox2のノックダウンは、q−RT−PCR(図29D)およびウェスタンブロッティング(図29E)によって確認した。ノックダウンに際して、次いで、細胞をA1(0.5μg/ml)で処理し、そしてPI取り込みによって、45分後に細胞死に関して評価した(図29F)。
A1処理後、阻害剤処理したhESCは、細胞死およびROS産生の有意な減少を有する。NADPHオキシダーゼ阻害剤によるROS産生阻害は、hESC死減少と直接相関する。NADPHオキシダーゼ阻害剤は、A1殺傷を部分的にブロックすることが可能である。Nox2は、A1処理hESCにおけるROS産生の主要供給源である。A1誘導性hESC死は、NADPHオキシダーゼによって仲介され、Nox2を介する可能性が最も高い。
実施例9−A1誘導性細胞死におけるROS産生は、同型接着の下流、およびアクチン再編成の上流にある
A1処理(45分間)の前、HES−3をPBSあるいはTiron(50mM)またはApo(40mM)と1時間プレインキュベーションした。光学顕微鏡検査によって、同型接着に関して細胞を評価した(図30A)。同型接着は、TironまたはAPOの存在下で形成される。A1処理(45分間)の前、HES−3をPBSまたはTiron(50mM)と1時間プレインキュベーションした。走査型電子顕微鏡検査によって、細胞形態を評価した。Tironの存在下で、A1処理は、微絨毛の短縮化のみを導き、大規模な膜破壊は起こさない(図30B)。
HES−3をTiron(50mM)を含みまたは含まず、1時間プレインキュベーションし、その後、A1処理(45分間)の前に、PBS、またはラトランクリンA(0.4μg/ml)、またはサイトカラシンB(0.4μg/ml)、またはサイトカラシンD(0.4μg/ml)で5分間処理した。PI取り込みによって細胞生存度を概算し(図30C)、そしてHE染色でROS産生を評価した(図30D)。Tironの存在下で、アクチン阻害剤は、hESCに対してさらなる阻害効果を持たない。アクチン阻害剤処理を含むまたは含まないROS産生において、有意な相違はない。A1誘導性細胞死におけるROS産生は、同型接着の下流、およびアクチン再構成の上流にある。
実施例10−A1の二価性
細胞を、A1(0.5μg/ml)、またはF(ab)2_A1(0.5μg/ml)、またはFab_A1(0.5μg/ml)と45分間インキュベーションした。hESCへの結合を、FITCコンジュゲート化抗カッパ軽鎖特異的抗体で検出した;F(ab)2_A1およびFab_A1両方のhESCへの結合は、hESCに対するA1結合に匹敵する(図31A)。
PI取り込みによって、細胞生存度を概算した;二価F(ab)2_A1のみが、hESCに対するA1の細胞傷害性を再現する(図31B)。
光学顕微鏡検査によって、同型接着を評価した。同型接着の形成には、二価であることが必要である(図31C)。
A1の二価性はhESCに対する細胞傷害性には必要だが、結合には必要ではなかった。
本発明は以下の態様を含む。
[態様1]グリコシル化タンパク質に結合する抗体であって、グリコシル化が、グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcを含む、前記抗体。
[態様2]未分化多能性細胞に対して細胞傷害性である、態様1の抗体。
[態様3]アミノ酸配列i)〜iii)、またはアミノ酸配列iv)〜vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)〜vi):
i)SASSSVSYMF(配列番号1)
ii)LTSNLAS(配列番号2)
iii)QQWSSNPYT(配列番号3)
iv)GFTFSNYYMN(配列番号4)
v)EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
vi)FGY(配列番号6)
あるいは配列(i)〜(vi)の1またはそれより多くにおける1または2または3のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、その変異体
を有する、態様1または2の抗体。
[態様4]以下のCDR:
CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)
CDR2: LTSNLAS(配列番号2)
CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様1〜3のいずれかの抗体。
[態様5]以下のCDR:
CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)
CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
CDR3: FGY(配列番号6)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様1〜4のいずれかの抗体。
[態様6]アミノ酸配列i)〜iii)、またはアミノ酸配列iv)〜vi)、または好ましくはアミノ酸配列i)〜vi):
i)SASSSVSYMF(配列番号1)
ii)LTSNLAS(配列番号2)
iii)QQWSSNPYT(配列番号3)
iv)GFTFSNYYMN(配列番号4)
v)EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
vi)FGY(配列番号6)
あるいは配列(i)〜(vi)の1またはそれより多くにおける1または2または3のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、その変異体
を有する、抗体。
[態様7]以下のCDR:
CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)
CDR2: LTSNLAS(配列番号2)
CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)
を取り込む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様6の抗体。
[態様8]以下のCDR:
CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)
CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
CDR3: FGY(配列番号6)
を取り込む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様6または7の抗体。
[態様9]寄託番号PTA−121134の下に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されている、ハイブリドーマ細胞株TAG−A1から産生される、モノクローナル抗体。
[態様10]重鎖および軽鎖可変領域配列を含む抗体であって:
それぞれ、重鎖が、CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)、CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)、CDR3: FGY(配列番号6)に少なくとも85%の全体の配列同一性を有するCDR1、CDR2、CDR3を含み、そして軽鎖が、CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)、CDR2: LTSNLAS(配列番号2)、CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)に少なくとも85%の全体の配列同一性を有するCDR1、CDR2、CDR3を含む
前記抗体。
[態様11]重鎖および軽鎖可変領域配列を含む抗体であって:
重鎖配列が、図15Aに示すA1H重鎖配列に対して、少なくとも85%の配列同一性を有し、そして
軽鎖配列が、図15Bに示すA1L軽鎖配列に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する
前記抗体。
[態様12]以下のCDR:
CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)
CDR2: LTSNLAS(配列番号2)
CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)
を含む、単離軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様13]以下のCDR:
CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)
CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
CDR3: FGY(配列番号6)
を含む、単離重鎖可変領域ポリペプチド。
[態様14]態様13記載の重鎖可変領域ポリペプチドと組み合わされた、態様12の単離軽鎖可変領域ポリペプチド。
[態様15]態様1〜14のいずれかの抗体またはポリペプチドおよび少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアーを含む、組成物。
[態様16]態様1〜14のいずれかの抗体またはポリペプチドをコードする単離核酸。
[態様17]態様16の核酸を含むベクター。
[態様18]態様17のベクターを含む宿主細胞。
[態様19]態様1〜14のいずれかの抗体またはポリペプチドを作製するための方法であって、態様18の宿主細胞を、抗体またはポリペプチドをコードするベクターの発現に適した条件下で培養し、そして抗体またはポリペプチドを回収する工程を含む、前記方法。
[態様20]未分化多能性細胞に対して細胞傷害性である、態様1〜11のいずれかの抗体。
[態様21]単数または複数の未分化多能性細胞を含有する試料において、こうした細胞を破壊する方法であって、単数または複数の未分化多能性細胞を含有する細胞の試料を、態様1〜11のいずれか記載の抗体と接触させる工程を含む、前記方法。
[態様22]単数または複数の未分化多能性細胞を含有する試料から、こうした細胞を取り除く方法であって、単数または複数の未分化多能性細胞を含有する細胞の試料を、態様1〜11のいずれか記載の抗体と接触させる工程を含む、前記方法。
[態様23]未分化多能性細胞、および分化を経たかまたは経ている細胞を含む混合物から、分化を経たかまたは経ている細胞を濃縮する方法であって、混合物を、態様1〜11のいずれか1つに記載の抗体と、抗体が未分化多能性細胞を殺すために十分な期間、接触させる工程を含む、前記方法。
[態様24]死んだ細胞から生存細胞を分離する工程をさらに含む、態様23の方法。
[態様25]未分化多能性細胞から分化した細胞を含有し、実質的に未分化多能性細胞を含有しない組成物を調製する方法であって:
(i)未分化多能性細胞および未分化多能性幹細胞から分化した細胞を含む細胞集団を提供し;
(ii)該集団を、態様1〜11のいずれか記載の抗体と、抗体が未分化多能性細胞を殺すことを可能にする条件下で接触させ;そして
(iii)工程(ii)の後に残っている生存細胞を死んだ細胞から分離する;
工程を含む、前記方法。
[態様26]分離された細胞を、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバントまたは希釈剤と混合する工程をさらに含む、態様25の方法。
[態様27]態様1〜11のいずれかに記載の抗体に結合した未分化多能性細胞を含む、場合によって単離された、in vitro複合体。
[態様28]寄託番号PTA−121134の下に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されている、ハイブリドーマ細胞株TAG−A1。
参考文献

Claims (16)

  1. グリカンモチーフFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1またはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcに結合する抗体であって、未分化多能性細胞に対して細胞傷害性であり、二価IgG抗体またはその二価の断片であり、
    以下のCDR:
    CDR1: SASSSVSYMF(配列番号1)
    CDR2: LTSNLAS(配列番号2)
    CDR3: QQWSSNPYT(配列番号3)
    を取り込む軽鎖可変領域;および
    以下のCDR:
    CDR1: GFTFSNYYMN(配列番号4)
    CDR2: EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号5)
    CDR3: FGY(配列番号6)
    を取り込む重鎖可変領域を含む、前記抗体。
  2. 寄託番号PTA−121134の下に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されている、ハイブリドーマ細胞株TAG−A1から産生される、モノクローナル抗体。
  3. 鎖および軽鎖可変領域配列を含み、
    重鎖配列が、図15Aに示すA1H重鎖配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有し、そして
    軽鎖配列が、図15Bに示すA1L軽鎖配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有する
    請求項1に記載の抗体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項の抗体および少なくとも1つの薬学的に許容されうるキャリアーを含む、組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項の抗体をコードする単離核酸。
  6. 請求項5の核酸を含むベクター。
  7. 請求項6のベクターを含む宿主細胞。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項の抗体を作製するための方法であって、請求項7の宿主細胞を、該抗体をコードするベクターの発現に適した条件下で培養し、そして該抗体を回収する工程を含む、前記方法。
  9. 単数または複数の未分化多能性細胞を含有する試料において、こうした細胞を破壊するin vitroの方法であって、単数または複数の未分化多能性細胞を含有する細胞の試料を、請求項1〜3のいずれか一項記載の抗体と接触させる工程を含む、前記方法。
  10. 単数または複数の未分化多能性細胞を含有する試料から、こうした細胞を取り除くin vitroの方法であって、単数または複数の未分化多能性細胞を含有する細胞の試料を、請求項1〜3のいずれか一項記載の抗体と接触させる工程を含む、前記方法。
  11. 未分化多能性細胞、および分化を経たかまたは経ている細胞を含む混合物から、分化を経たかまたは経ている細胞を濃縮するin vitroの方法であって、該混合物を、請求項1〜3のいずれか1つに記載の抗体と、該抗体が未分化多能性細胞を殺すために十分な期間、接触させる工程を含む、前記方法。
  12. 死んだ細胞から生存細胞を分離する工程をさらに含む、請求項11の方法。
  13. 未分化多能性細胞から分化した細胞を含有し、実質的に未分化多能性細胞を含有しない組成物を調製するin vitroの方法であって:
    (i)未分化多能性細胞および未分化多能性幹細胞から分化した細胞を含む細胞集団を提供し;
    (ii)該集団を、請求項1〜3のいずれか一項記載の抗体と、該抗体が未分化多能性細胞を殺すことを可能にする条件下で接触させ;そして
    (iii)工程(ii)の後に残っている生存細胞を死んだ細胞から分離する;
    工程を含む、前記方法。
  14. 分離された細胞を、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバントまたは希釈剤と混合する工程をさらに含む、請求項13の方法。
  15. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体に結合した未分化多能性細胞を含む、単離されていてもよい、in vitro複合体。
  16. 寄託番号PTA−121134の下に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されている、ハイブリドーマ細胞株TAG−A1。
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