上述のように、複数枚のシート部材を積層し、かつ二つ折りにされた状態のものを取り出し、展開して加工装置に移送する工程を自動化することが極めて困難なものであった。そのため、当該工程を手作業で行うことが強いられていたが、当該工程は、その前後における搬送・加工工程の速度に比較して遅れを生じることから、加工工程全体のボトルネックとなっていた。また、当該工程は、熟練した者と初心者とでは、さらに速度に差があり、近年熟練した者が減少する傾向にある中では、当該工程の自動化が切望されていた。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、複数枚が積層され、かつ二つ折りされた状態のシート部材をピッキングし得る装置を提供することであり、具体的には、当該シート部材の把持装置と、その使用方法、および移送システムを提供することである。
そこで、シート部材把持装置にかかる本発明は、軸線を適宜方向として支持される基部と、適宜面積を有し前記基部を中心に回動可能に設けられた二枚の回動片部とを備え、前記回動片部は、当接面を相互に当接させることにより一体的な単一の平板部材を形成可能とし、回動の状態にかかわらず前記基部との間で常に適宜間隔を有していることを特徴とするものである。
上記構成の発明によれば、予め回動片部の当接部を相互に当接させることにより、一体的な単一の平板部材としつつ、この平板部材とした回動片部と基部との間で形成される間隙部分に、シート部材を侵入させることにより、シート部材は基部と回動片部との間で簡易的に把持され得る。このとき、二つ折りされたシート部材の折り曲げ部分を上向きとして、その折り曲げ部分が基部および回動片部の間に配置することにより、シート部材を吊り上げることが可能となる。さらに、折り曲げ部分を上向きとする場合、基部を上位、回動片部を下位としつつ、当該回動部材の当接面が鉛直方向となるような状態にすることによって、単一の平板部材に形成された回動片部が、シート部材の折り曲げられた部分の内側に侵入し易くなる。また、回動片部が回動可能であることから、この回動片部を二つ折りされたシート部材の内側に配置され、当該回動片部を離間するように回動させることによって、シート部材は、回動片部の表面に載せられた状態で展開可能となる。さらに、回動片部の回動に応じて、基部と回動片部との間隙が縮小すれば、シート部材は、基部と回動片部とによって把持され得ることとなる。
上記構成の発明においては、前記回動片部が、前記基部の軸線に対して略平行な第1の端縁部と、この第1の端縁部に対して傾斜または湾曲してなる第2の端縁部とを有し、前記第1の端縁部が、前記基部との間で適宜間隔を形成し、前記第2の端縁部が、前記第1の端縁部の反対側に配置され、前記第1の端縁部との間で先細り形状を形成するものであるように構成することができる。
上記構成の発明によれば、回動片部は、所定の面積を有する部分を備えるが、この部分の形状は先細り形状となるため、二つ折りされたシート部材の折り曲げ部分の内側に回動片部を挿入する際、当該折り曲げによって形成されている僅かな隙間に回動片部(単一の平板部材を形成した回動片部)を挿入し得ることとなる。このとき、回動片部に形成される第1の端縁部が基部の軸線に略平行に設けられることにより、両者間に形成される間隙は、基部の軸線方向にほぼ均一な状態となり、両者間にシート部材が挿入された状態が場所によって異なることがない。これは、回動片部の挿入過程(回動片部の移動中)において、シート部材の状態が変化することを抑制することになるものである。
さらに、上記構成の発明において、前記回動片部が、適宜な肉厚を有し、かつ、前記第2の端縁において前記当接面から逃げ角を有する尖端形状に形成されているように構成することができる。
上記構成の発明によれば、回動片部は、シート部材を展開し、かつ基部との間で把持するために必要な強度を保持しつつ、二つ折りされたシート部材の折り曲げ部分の内部に挿入する際の抵抗を緩和させることができる。特に、第2の端縁部が第1の端縁部とで先細り形状としつつ、第2の端縁部は当接面から逃げ角が形成される尖端形状であるため、両回動片部が相互に対称な形状であれば、当接面を相互に当接して単一の平板部材を形成される場合には、その中央先端も尖状となり、シート部材の折り曲げ部分に挿入することが容易となる。
また、上記構成の発明において、前記回動片部が、前記基部の軸線を中心に相互に前記当接面を離間する方向および当接する方向に対する回動が可能であり、離間する方向へ回動するとき両者の当接面が180度以上の角度を有するように構成することができる。
上記構成の発明によれば、回動片部を回動させることにより、二枚の回動片部は単一の平板部材を係止させるような形態とすることができるほか、回動片部が離間してシート部材の展開を案内することができる。ここで、当接面が180度の角度をなす場合、シート部材は展開された状態となるものであり、この状態で、基部と回動片部との間隙が縮小すればシート部材の把持が可能となる。さらに、180度以上の角度まで回動させる場合、シート部材は当初の折り曲げ方向とは逆向きに折り曲げられることとなる。このとき、折り曲げられたシート部材の折り目が強く残っている場合でもシート部材をほぼ平面的な状態まで展開させることが可能となる。
一方、シート部材把持装置の使用方法にかかる本発明は、上記各構成のいずれかに記載のシート部材把持装置を使用するシート部材の使用方法であって、前記シート部材把持装置は、前記基部を上位とし、前記当接面を相互に当接させて一体的な単一の平板部材を形成した状態の前記回動片部を下位として維持され、二つ折りされた折り曲げ部分を上向きにしてなるシート部材に対し、前記基部の軸線を該折り曲げ部分の端縁に沿って配置し、該折り曲げ部分の外側に基部を、折り曲げ部分の内側に回動片部を挿入し、前記回動片部が折り曲げ部分の端縁の1/2以上挿入された状態で前記シート部把持装置全体を上昇させ、適宜位置まで上昇させた後、前記当接面を相互に離間させるように前記回動片部を回動させ、シート部材上面の中央付近を前記基部が、シート部材下面のうち中央から適宜離れた二つの領域を前記回動片部が、それぞれ当接することにより、シート部材を三点で把持させることを特徴とするものである。
上記構成の発明によれば、シート部材は予め折り曲げ部分を上向きとされているものであって、基部を上位、回動片部を下位にしつつ、折り曲げ部分の端縁に沿って移動させることから、当該折り曲げ部分は基部と回動片部との間隙に侵入した状態となる。ここで、シート部材把持装置を上昇させるタイミングが、シート部材の1/2以上のところまで回動片部を挿入した状態としている理由として、第1に、シート部材をピッキングすることができる十分な状態に達している状態であること、第2に、末端まで挿入しないことにより、次工程において使用される加工装置への移送後、当該加工装置に受け渡すための遊びを形成することが可能となるということである。なお、ピッキングした後の移動は、回動片部の回動によるシート部材の展開後でもよいが、当該展開と同時に移送することでもよい。シート部材が移動中に落下する可能性がある場合は、シート部材の展開を完了させ、基部と回動片部とで三点支持したうえでシート部材把持装置を移動(移送)することが好ましい。
他方、シート部材移送システムにかかる本発明は、予め折り曲げ部分を上向きとする二つ折りされたシート部材に対し、前述のシート部材把持装置にかかる構成のいずれかを使用するシート部材の移送システムであって、前記シート部材把持装置の基部を支持するアーム部と、前記アーム部を移動するために駆動する第1の駆動手段と、前記シート部材把持装置の回動片部を回動させるために駆動する第2の駆動手段と前記第1および第2の駆動手段を制御する制御手段と、二つ折りされたシート部材の折り曲げ部分を検知する検知手段とを備え、前記第1の駆動手段は、前記シート部材の折り曲げ部分の端縁に沿って前記アーム部を進退させ、昇降および水平移動させるものであり、前記検知手段は、少なくともシート部材の折り曲げ部の内側を検知するものであり、前記アーム部は、前記基部の軸線を前記シート部材の折り曲げ部分の端縁に略平行に維持するように前記シート部材把持装置を保持しつつ、該シート部材把持装置を進退させることによって、該基部はシート部材の折り曲げ部の外側に、前記回動片部はシート部材の折り曲げ部の内側に配置させるものであることを特徴としている。
上記構成によれば、シート部材は予め折り曲げ部分を上向きとした状態であるものが移送対象であり、このように整列されるシート部材に対して制御されたシート部材把持装置が順次ピッキングし得ることとなる。ピッキングに際しては、検知手段により、整列する複数のシート部材からピッキングすべき一つのシート部材の折り目部分を検出し、当該シート部材の折り目部分に向かってシート部材把持装置を移動させるものである。なお、シート部材把持装置は、アーム部によって支持されるが、このアーム部は制御手段によって位置、向き、移動方向等が制御され、シート部材把持装置の基部の軸線が、シート部材の折り曲げ部の端縁に沿った状態に制御されることにより、ピッキング時におけるシート部材把持装置の移動制御を容易にするものである。
上記構成の発明において、前記制御手段が、第1の駆動手段に対し、前記アーム部の移動を制御するものであり、また、第2の駆動手段に対し、回動片部の回動を制御するものであるように構成することができる。
上記構成によれば、制御手段は、ピッキング時およびピッキング後におけるシート部材把持装置の移動を制御することとなり、さらに、ピッキング後におけるシート部材の展開工程についても同時に制御することとなる。これらが統一的に制御されることにより、シート部材のピッキング、展開、移動のタイミングを好適な状態で制御することとなり、ストッカに整列されるシート部材を次工程の加工装置への移送を自動化することができる。
さらに、上記のシート部材移送システムに係る発明にあっては、二つ折りされたシート部材の折り曲げ部分を上向きにしつつ該シート部材を整列させるストッカを備える構成とすることができ、このストッカは、二つ折りされた前記シート部材の外側表面のうち一方の側から該表面を押圧する第1の押圧片部と、該シート部材の外側表面のうち他方の側から該表面を押圧する第2の押圧片部を備え、前記二つの押圧片部によって前記シート部材の両側表面を押圧することにより折り曲げ部分を上向きとする該シート部材の姿勢を維持するものとすることができる。
上記構成によれば、移送対象とするシート部材が、ストッカによって、予め折り曲げ部分を上向きにした状態で複数整列させることができ、当該シート部材の姿勢を安定させることができることから、シート部材把持装置によって二つ折りされたシート部材をピッキングする際の制御を容易にする。
そして、上記構成のストッカについては、前記第1および第2の押圧片部が、前記シート部材の外側表面に対して直交方向へ移動可能であり、前記制御部は、前記両方の押圧片部の移動を制御するものである構成とすることができる。
上記構成の場合には、押圧片部を移動させることにより、シート部材のストッカへの供給(設置)の作業を行うエリアと、シート部材把持装置によるピッキング作動を行わせるエリアとを往復移動させることができる。これにより、シート部材の供給作業は、シート部材把持装置の存在による困難性を回避でき、また、当該押圧片部の移動を制御部によって制御することにより、シート部材把持装置によるピッキングがなされる位置(低位置)への移動も可能となり、ピッキングされるごとに、所定の位置へ順次シート部材を移動することも可能となる。なお、第2の押圧片部の移動が、第1の押圧片部の移動と個別に制御され、小刻みな進退移動を可能にすれば、第2の押圧片部によって、シート部材に振動を与えることも可能となり、この振動により、シート部材の整列状態を整えることも可能となる。
また、上記各構成の発明において、前記基部および回動片部が、前記シート部材の接触状態を感知する触覚センサを備え、前記制御手段は、該触覚センサにより感知されるシート部材の接触状態に応じて、該シート部材の把持状態の適否を判断するものであるような構成としてもよい。
上記構成によれば、触覚センサにより、シート部材が接触しているか否かを検知することができ、この検知された状態に応じて、シート部材の把持状態を判断することが可能となるのである。触覚センサは、回動片部の第1の端縁に設けるほか、第2の端縁部に設けることもでき、さらに、シート部材が当接する平面部(当接面の反対側表面)に設けることもできる。第1の端縁部と、これに対向する基部の一部に触覚センサを設けることにより、両者の間隙にシート部材が挿入されていることを確認でき、第2の端縁部に触覚センサを設けることにより、シート部材の折り曲げ部内側に挿入させる際の抵抗値からシート部材内面の起伏(折れや撓み)の状態を感知できる。さらに平面部に触覚センサを設けることにより、当接するシート部材の存在を検知するほか、当該シート部材の当接面の起伏(折れや撓み)を感知することができることとなる。なお、触覚センサによってシート部材表面の起伏状態を検知する場合には、その検知された状態から、シート部材表面(シート部材そのもの)の良・不良を判定することが可能となり、制御部によって判定させることにより、良好な場合は移送先へ、不良の場合は回収先へ、それぞれ搬送するように構成し得るものである。また、上述の触覚センサとしては圧力センサを使用することができる。
シート部材把持装置にかかる本発明によれば、複数枚が積層され、かつ二つ折りにされたシート部材をピッキングし、これを把持することができ、この把持状態を維持することにより移送可能な装置を提供することができる。
一方、上記シート部材把持装置の使用方法にかかる本発明によれば、上記シート部材把持装置を使用してシート部材を確実に移送することができる。そして、上記使用方法によれば、複数枚が積層されるようなシート部材のピッキングを可能にし、自動化に資することができる。
他方、移送システムにかかる本発明によれば、シート部材のピッキング、把持、移送を自動化することができる。さらに、触覚センサを備える構成にあっては、ピッキングに際してシート部材把持装置がシート部材の折り曲げ部内に挿入することによって、シート部材の状態(折れまたは撓み)をも感知させることができ、不適合なシート部材の検出をも可能にし得るものである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、シート部材把持装置について説明する。図1〜図3は、シート部材把持装置にかかる実施形態の全体を示すものである。なお、図2(a)および図3(a)は平面視を示し、図2(b)はIIB−IIB線による切断部端面図、図3(b)はIIIB−IIIB線による切断部端面図、図3(c)は底面視を示している。これらの図に示されているように、本実施形態は、基部1と、二枚の回動片部2,3とで構成されるものである。
基部1は、棒状部材で構成され、軸線を所定方向(図は水平方向)に支持されるものである。これに対し、回動片部2,3は、表裏に所定の面積を有する板状部材で構成され、基部1との間に間隙H1を有して、その下方に配置されている。基部1と回動片部2,3とはヒンジ4,5によって回動自在に設けられている。なお、基部1と回動片部2,3とは、図示のようなヒンジ4,5によって一体化すべき必要はなく、個別に設けられてもよい。このとき、回動片部2,3は、基部1を中心に可動可能となっていればよい。
ところで、回動片部2,3は、二つの端縁部を有しており、第1の端縁部21,31は、上側に位置する部分で構成され、基部1に対向しており、基部1と略平行な状態で設けられている。そして、この端縁部21,31が、基部1との間で所定の間隙H1を形成している。他方、第2の端縁部22,32は、下側に位置しており、その形状は湾曲させている。この第2の端縁部22,32を湾曲させることにより、回動片部2,3は、全体として先細り形状となっている。さらに、第2の端縁部22,32の先端20,30の周辺には、逃げ角が形成され、当該端縁部22,32は尖端形状となっている。
なお、回動片部2,3の形状は、先細り形状とすることにより、僅かな隙間に挿入し得るものであり、第2の端縁部22,23が尖端形状であることは必須ではない。従って、極めて薄肉の板状部材によって回動片部2,3を構成すれば尖端形状とする必要はない。しかしながら、後述のように、シート部材を展開する際に、シート部材に対して所定の作用を与えるためには、適度な肉厚が要求され得る。そこで、本実施形態では、適当な肉厚を有する板状部材を使用し、第2の端縁部22,32を尖端形状としているのである。
また、二枚の回動片部2,3は対称な形状としており、その両者が対向する側の表面を当接面23,33としている。この当接面23,33は、対称な形状が相互に対向して当接するものであり、当該当接面23,33を相互に当接させることにより、一体的な単一の平面部材に形成させることができるのである。
ここで、図2は、回動片部2,3の当接面23,33を当接させた状態(一枚の板状とした状態)を示している。このように、回動片部2,3は、基部1との間に所定の間隙を有した状態で、その下方に位置するものである。
これに対し、図3は、回動片部2,3の当接面23,33を約180度の状態まで回動させた状態を示している。この図に示すように、回動片部2,3を回動させた状態においても、基部1の側部との間には、間隙H2,H3が形成されるものである。これは、回動片部2,3の回動の中心を、基部1の軸線よりも外方に設定しているためである。図示のようにヒンジ4,5による場合は、当該ヒンジ4,5の中央が回動の中心となっている。このように、回動状態においても間隙H2,H3を形成する理由としては、回動状態において、シート部材の下面に対して広い範囲で支持するためである。すなわち、後述のようにピッキングに際しては、シート部材の折り曲げ部分の内側に回動片部2,3を挿入するため、比較的面積に小さなものが好ましいのに対し、シート部材を展開する際には、シート部材の撓み等の発生を抑えるために面積は広いほうが好適である。そこで、回動状態において広い面積を確保するために、大きい間隙H2,H3を生じさせているのである。
なお、図3(b)に示すように、回動の中心を調整することにより、基部1と回動片部2,3との高さ方向の間隙H1は、回動前(当接面23,33を当接された状態)から比較して縮小されている。このように、回動によって、高さ方向の間隙を縮小することにより、後述するシート部材に対する把持力を付与しているのである。
そこで、把持すべきシート部材の概略を説明する。ここでは、海苔束を例示する。図4に示すように、海苔束X1,X2,X3,X4,・・・,X10は、それぞれ水産業者において乾燥されたものを複数枚(通常10枚)積層し、これを二枚折りされたものであり、これらの海苔束X1〜X10は、さらに複数(通常は10束)をまとめた状態の塊X0とし、この塊X0が帯状の紙(帯封)Zなどによって束ねられている。この海苔束X1〜X10は、加工業者によって焼き加工などが施され、最終的に焼き海苔として出荷されるものである。加工業者では、束ねられた海苔束の塊X0の帯封Zは、その結び目Z1を解くことにより、個別の海苔束X1〜X10について、二つ折りされた折り曲げ部分を延ばして(展開して)焼き加工装置に投入し、焼き加工されるものである。
海苔束以外のシート部材としては、行楽時に敷物として使用する塩化ビニル製のシートなどがあり、最終的な規格の大きさに切断するための切断用プレス機に移送する場合などが考えられる。
いずれにしても、シート部材は、1枚のみでは、その形状を維持できないが、数枚(海苔束では10枚)が積層されることにより、ようやく形状を維持させることができる。そこで、図5に示すように、本実施形態では、積層された状態で二つ折りされた海苔束X1,X2,X3,X4,・・・,X10について、折り曲げ部分Yを上向きとして揃えることを前提として、ピッキングするものである。このとき、折り曲げ部分Yの外側Yaは、上位に揃った状態となり、内側Ybは接近した状態となっている。このように揃えて配置したシート部材(海苔束)X1〜X10(さらに多数を整列させることも可能)に対し、順次、シート部材把持装置Aによってピッキングするのである。
本実施形態のシート部材把持装置Aは、上記のような構成であるから、基部1を折り曲げ部分Yの外側Yaに当接させ、回動片部2,3を一枚の状態としつつ、折り曲げ部分Yの内側Ybに挿入するのである。
そこで、図6〜図7を参照しつつ本実施形態のシート部材把持装置Aの使用方法を説明する。上記のとおり、積層された状態で二つ折りされた海苔束Xは、折り曲げ部分Yを上向きとして揃えられている。従って、図6に示されているように、単一の平板部材に形成された状態とした回動片部2,3を折り曲げ部分Yの内側Ybに挿入するのである。このとき、回動片部2,3の先端20,30は、先細り形状であるため、この僅かな隙間に挿入させることができる。また、回動片部2,3の上部には、基部1との間で所定の間隙が形成されているため、基部1は、折り曲げ部分Yの外側Yaに位置することとなる。なお、挿入時においては、シート部材Xの折り曲げ部分Yの端縁に沿った方向Lへ移動させるのである。
このような状態で、シート部材把持装置Aを移動させることにより、図7に示すように、回動片部2,3の先端20,30は、シート部材Xの折り曲げ部分の内側に深く侵入することができ、結果的に、基部1と回動片部2,3との間によって、シート部材Xの折り曲げ部分を挟むことができるのである。この状態で、シート部材把持装置Aを上昇させれば、ピッキングが可能となるのである。なお、図7(b)に示すように、基部1および回動片部2,3は、シート部材Xの折り曲げ部分Yの全体を把持するのではなく、一部(概ね1/2〜2/3程度)を把持させている。このような一部の把持状態においても、シート部材Xのピッキングは可能であり、一部において把持されない領域があることによって、移送後における加工装置への受け渡しを容易にするのである。
さらに、上記のように、シート部材Xの内側に侵入した状態で回動片部2,3を回動させることにより、図8に示すように、シート部材Xは、回動片部2,3の平面部(当接面とは反対側の面)によって展開されることとなる。このとき、その当接面を180度程度の角度に到達させることにより、シート部材Xは、基部1と回動片部2,3とに挟持されつつ折り曲げ部分Yが延ばされ、平面的な状態とすることができる。なお、図示のように、基部1および回動片部2,3は、シート部材Xの2/3程度を把持するものであり、また、回動片部2,3の回動に伴って、当該回動片部2,3が基部1との高さ方向の間隙H1を縮小させることから、基部1と回動片部2,3とがシート部材Xを表裏から挟んで把持するものである。そのため、シート部材Xのうち、把持領域XAでは、シート部材Xの各シートが密着するが、開放領域XBでは、各シートが分散した状態となる。このように、開放領域XBを形成させることにより、移送先において次工程の装置に設置(受け渡し)を可能にしているのである。
このように、本実施形態によれば、二つ折りされたシート部材Xの折り曲げ部分Yを延ばして把持できることから、この状態で移送が可能となり、例えば、海苔束にあっては、焼き加工装置へ移動させることができる。この種の作業を自動化することにより、手作業によるボトルネックになっていた工程を円滑に実施することができるものとなる。
次に、シート部材移送システムにかかる実施形態について説明する。図9は、当該システムに使用される移送装置の概略を示している。図示のように、システムを構築するための装置として、ストッカ6および移送装置7が使用される。ストッカ6は、シート部材Xを整列させるためのものであり、シート部材Xは、折り曲げ部分を上向きにして、このストッカ6に載置されるものである。
他方、移送装置7は、先端にシート部材把持装置Aを備えるアーム部71と、このアーム部71を支持する支柱72と、この支柱72を支持するスライダ部73とで構成されている。スライダ部73は、所定方向(X方向)に移動可能に設けられ、アーム部71は、これに直交する方向(Y方向)に進退可能に設けられている。また、支柱72は、スライダ部73の上方において上下方向(Z方向)に昇降可能としている。従って、これらの各部材の移動により、シート部材把持装置Aを適宜位置へ移動させることができるものである。
また、アーム部71を軸回りに回転可能とすることにより、シート部材把持装置Aの姿勢(傾き)を調整することが可能となる。さらに、支柱72についても軸回りに回転可能とすることにより、シート部材把持装置Aの向きを変化させることが可能となる。また、スライダ部73についても軸回りに回転可能とすれば、支柱72の角度を変化でき、他種類の方向へシート部材把持装置Aを移動させることが可能となる。上記のより、任意の3次元位置および任意の3次元姿勢によって合計6自由度で移動させることができる。これらの可動状態については、ストッカ6の設置位置および次工程の加工装置の設置場所とうによって、適宜選択されることとなる。なお、アーム部71を進退させることによってシート部材Xを移送する場合には、ストッカ6の背面側に加工装置が設置される場合である。また、各構成部71,72,73の作動には、駆動手段が設けられる。この駆動手段としてはサーボモータを使用することができ、システムによる制御信号に応じて適宜駆動するものである。このときの駆動力の伝達機構は本発明の主要的な内容でないことから、その詳細の説明は割愛することとする。
ところで、本実施形態のシート部材移送システムにおいては、シート部材Xの状態を検知するため、すなわちピッキングすべき一つのシート部材Xにおける折り曲げ部分の位置を検出するため、視覚センサ(視覚検知器)が備えられている。この視覚検知器は、定点観測による画像を取得するものであり、ストッカ6に向かって設置されるものである。取得画像は、折り曲げ部分が横方向に並んだ状態を撮影したものであり、取得画像を二値化することにより、シート部材Xが存在する領域と、空間領域とを区別し、当該空間領域から、折り曲げ部分の内側の位置を検出するものとしている。
また、ストッカ6は、予め定めた位置にシート部材Xを移動する機能と有するものが用いられる。例えば、図10(a)に示すように、台部61と、この台部61の上面に整列させるべきシート部材Xを両側から挟むことができる二本の押圧片部62,63を備える構成とすることができる。この二本の押圧片部62,63は、それぞれスライダ64,65によって指示されるとともに、これらのスライダ64,65が、異なる平行な二本のスライド軸66,67に摺動可能に支持される構成とすることができる。この場合、各スライダ64,65について、それぞれ個別に摺動状態を制御することにより、ストッカ6に(台部61)に整列されるシート部材Xの数等に応じて、第2の押圧片部62,63を適宜移動させ、好適な押圧力を適宜付与することができる。すなわち、第1のスライダ64の位置を調整し、基本位置を決定する第1の押圧片部62を、所定の位置において停止させるとともに、第2のスライダ65を適宜摺動させて、第2の押圧片部63によって、シート部材Xを反対側から適宜な圧力で押圧するのである。これにより、シート部材Xは、折り曲げ部分を上向きとした状態に維持され、ストッカ6に整列し得る。
なお、上記構成において、図10(b)に示すように、押圧片部62,63の先端近傍には、触覚センサ(触覚検知器)60a,60bを設置してもよい。この触覚検知器60a,60bにより、シート部材Xの存在を検知することができるものである。また、触覚検知器60a,60bとして圧力センサを使用する場合には、押圧力の程度を検出することも可能であり、シート部材Xの整列に好適な圧力で押圧させるための制御に利用することができる。
ストッカ6を上記のような構成とする場合には、図11に示すように、スライダ64,65は、平行な二本のスライド軸66,67によって平行に摺動可能であるから、両者の相対的な位置関係を維持しつつ、同時に同方向へ移動させることができる。従って、ストッカ6に対してシート部材Xを供給(投入)する領域と、ピッキング時にシート部材Xが整列されるべき領域とを区別することができる。すなわち、ストッカ6にシート部材Xを供給(投入)する場合には、図11(a)に示すように、二つの押圧片部62,63をスライド軸66,67に沿って、ピッキングに際して整列されるべき位置から離れたところ(図中右方向へ)移動させるのである。この位置において、ストッカ6にシート部材Xを供給(投入)するのであるが、シート部材Xは、第1および第2の押圧部材62,63の間に載置するものである。このような供給方法により、両押圧部材62,63の移動(両スライダ64,65の摺動)により、シート部材Xは、押圧部材62,63によって挟まれた状態で所定位置まで移動され得ることとなる。シート部材Xの移動は、図11(b)に示すように、第1の押圧部材62を基本位置Pに移動するものであり、そのために第1のスライダ64は制御部によって制御されつつ、上記押圧片部62の基本位置Pに相応する位置Qまで摺動されるものである。
上述のように、シート部材Xは、ピッキングの際に整列される領域から離れた供給領域において供給可能となるから(図11(a)参照)、既に接近して配置されるシート部材把持装置A(図9参照)などに接触することなく、多くのシート部材Xを供給することができる。また、供給されたシート部材Xは、供給された時点で二つの押圧部材62,63によって押圧されることから、折り曲げ部分を上向きとした状態が維持される。また、ピッキングされるべき領域へのシート部材Xの移動は、両押圧部材62,63が同時に平行移動し得ることから、上記のように折り曲げ部分を上向きとした姿勢が維持される。さらに、ピッキングされるべき領域に移動した状態(図11(b)参照)では、第1の押圧片部62が基本位置Pで停止しており、シート部材Xがピッキングによって減少するたびに、第2の押圧片部63を移動させることにより、押圧状態を継続することができるのである。これにより、常にほぼ同じ状態に整列されるシート部材Xをシート部材把持装置によってピンキングすることが可能となる。
なお、第2の押圧片部63は、シート部材Xの数量に応じて移動するのみでなく、第2のスライダ65を狭い範囲で短時間に繰り返し摺動させることにより、当該押圧片部63に小刻みな振動を生じさせることも可能となる。この振動を生じさせることにより、第1の押圧部材62との間で挟まれたシート部材Xに振動を伝達させ、その整列状態を整えることができる。さらに、両押圧片部62,63に上述のような触覚センサ(触覚検知器)60a,60b(図10(b)参照)が設けられている場合には、当該触覚センサ60a,60bの検知情報から、シート部材Xの整列状態の是非を制御部によって判断させることもできる。従って、第2の押圧片部63は、この触覚センサ60a,60bの検知情報に基づき、適宜振動させることによって、シート部材Xがストッカ6に供給された後においても好適な整列状態に誘導され得るものとすることができる。
上述のような触覚センサ(触覚検知器)は、さらにシート部材把持装置における基部1および回動片部2,3にも設置してよい。図12(a)に示すように、基部1の下側表面に例えば二個所10a,10bと、回動片部2,3の第1の端縁部21,31に各一個所10c,10d設置することにより、ピッキングの際に、シート部材Xが両者の中間に侵入しているか否かを検出することができる。また、図12(b)に示すように、両外側表面(当接面の反対側)に各一個所10e,10fに触覚検知器を設置することにより、二つ折りされたシート部材Xに挿入した際、およびシート部材Xを展開させた際、両側にシート部材が存在していることを検知することができる。なお、これらの各触覚検知器10a〜10fについても、圧力センサを使用することができ、この場合、当該検知に際し、通常とは異なる圧力を検出した場合には、シート部材Xの表面が起伏(折れまたは撓み)を生じているなどの異常を検出することができる。
上記のような触覚検知器10a〜10fを適宜設置することにより、シート部材Xの表面の起伏の正常・異常は、制御部によって判定させることができるが、その正常または異常の判定結果に応じて、シート部材把持装置による移送先を異ならせてもよい。この場合、シート部材把持装置の移送に際して作動する各駆動装置は、制御部によって制御されることから、制御部は、上記の判定ととともに各駆動装置の制御をも開始するように作動させることとなる。なお、正常と判定された場合の移送先は、次工程として加工するための加工装置であり、異常と判定された場合の移送先は、回収容器(回収先)である。この回収容器に移送されるシート部材は、センサによる検出において異常とされたものでるため、次工程による加工をすべきか廃棄処分とすべきかの最終決定は、作業員の目視による再点検によって処理すればよい。
上記のような各装置を使用することにより、本実施形態の制御システムが機能するものである。そこで、上記装置を前提にシステムの詳細について説明する。図13は、本実施形態の構成図である。この図に示されているように、前記装置に設置されるセンサ類(視覚検知機、触覚検知機など)および駆動機構(ハンド駆動機構、アーム駆動機構、ストッカ駆動機構など)と、これらの信号を統合制御する制御部(統合制御器)とで構成されている。センサ類によって検知された信号はネットワーク通信器を介して制御部に入力され、統合制御プロセスによって処理された信号が、ネットワーク通信器を介して駆動機構へ出力される。
制御部における処理手順について説明する。まず、各装置に対してキャリブレーション指令を行い、キャリブレーションが完了した後に作動させる。キャリブレーションにより、ストッカ6の押圧片部62,63は所定位置に移動した状態であり、このとき、触覚検知器の信号に基づき、シート部材が所定の状態で設置されていることを確認する。この状態で、視覚センサ(視覚検知器)により、シート部材を撮影し、その画像が入力される。入力画像を二値化したうえ、折り曲げ部分の空間領域から折り曲げ部分の内側を検出する。この検出位置は、シート部材把持装置Aとの相対的な位置関係とせず、基準位置に対する位置として検出する。
シート部材の折り曲げ部分の位置が検出されると、シート部材把持装置Aの回動片部2,3の先端20,30を当該位置に向かって移動する。このとき、回動片部2,3は当接面部23,33が当接した状態(一枚の板状)であり、移送装置7の支柱72およびスライダ73により、X方向およびZ方向への移動を制御する。その後、アーム部71を駆動させY方向(折り曲げ部分の端縁方向L)への移動を制御するのである。
シート部材把持装置AのY方向への移動が終了した時点で、当該シート部材把持装置Aは、前述のようにピッキング可能な状態である。なお、回動片部に触覚検知器を設置する場合には、当該触覚検知器の信号により、ピッキング可能であることを確認する。そして、この状態から、シート部材把持装置Aを上昇(Z方向への移動を制御)、ピッキングを完了する。
引き続き、回動片部2,3を回動させ、基部1および回動片部2,3により、シート部材Xを展開させる。この指令も制御部によってなされるものであり、シート部材把持装置Aの回動片部2,3の回動駆動用として搭載された駆動手段(サーボモータ)に対して行われる。また、このとき、シート部材が好適な状態で把持されていることは、前記触覚検知器の信号により確認することができる。
上記の過程により異常がなければ、移送装置の各構成部を駆動して移送先まで、シート部材把持装置Aを移動させる。この移動範囲は、予め定められた位置への移動であり、移動前の位置から所定位置までを駆動制御するものである。通常の移送先は、次工程として予定される加工のための加工装置であり、シート部材把持装置Aによるシート部材の把持状態は、全体の1/2〜2/3程度であるため(図8参照)、当該加工装置の供給部における受け渡しに際しては、把持されていない開放領域XBを利用することができる。
他方、上記の把持過程において、シート部材の異常(把持状態またはシート部材の起伏等)が検出された場合には、移送先を回収容器とすることができ、この場合には、回収容器においてシート部材を落下させるなどにより、把持状態を解除させることができる。シート部材を落下させる場合には、シート部材把持装置A(基部および回動片部)の先端が下向きとなるように、シート部材把持装置Aを傾斜させることによることができる。この傾斜は、移送装置7のスライダ73(図9参照)を回転させる方法があり得る。なお、rシート部材を落下させるほかに、回収容器への搬送装置を備え、この搬送装置の供給部に対して、前記開放領域XBを受け渡す方法によることも可能である。
なお、視覚センサ(視覚検知器)により、取得した画像および二値化した状態を図14に例示する。図中の1の「原画像」とあるのは、視覚検知器によって取得された画像であり、3の「領域二値化」とされた画像が二値化処理した後の画像である。また、二値化処理に際しては、2の「領域取得」とされる領域画像が使用され、4の「位置検知」は、空間領域を検出したうえで、当該空間領域の境界を数点(図は6点)検出し、両側に分かれる3点ずつの境界点の中間領域が、回動片部2,3を挿入すべき領域として検知され、当該位置を特定したうえ、回動片部2,3に対する移動制御に反映されるように制御している。
本発明にかかる実施形態は上記のとおりであるが、これらの実施形態は一例であって、本発明がこれらに限定される趣旨ではない。従って、種々の態様とすることは可能である。例えば、シート部材に対する視覚検知に関しては、二値化処理したものを利用し、また、シート部材把持装置の移動制御については、当該シート部材の折り曲げ部分との相対的な位置関係によるものとしていないが、これらの画像処理方法および制御方法については、他の手法を用いることもできる。
また、シート部材把持装置における回動片部の形状(特に面積等)については、ピッキングおよび移送すべきシート部材の種類や大きさ等によって、適宜変更することができるものである。さらに、基部1と回動片部2,3との間に形成する間隙は、シート部材に応じて適宜広狭した設計とすることが好ましい。