JP6606370B2 - 抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤 - Google Patents
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Description
そこで、特許文献1には、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有するフェキソフェナジン塩酸塩を含有する抗ヒスタミン剤が記載されている。
また、特許文献2には、フマル酸クレマスチン又はd−マレイン酸クロルフェニラミンを抗ヒスタミン剤として含有する抗ヒスタミン作用増強剤が記載されている。
したがって、より副作用の少ない、安全な抗アレルギー剤が求められていた。
上記抗アレルギー剤は、直鎖状のアシル基によってアシル化されていることで、高い抗アレルギー作用を有する。また、上記抗アレルギー剤は、ヒスタミン受容体に拮抗する作用ではなく、メディエーター遊離抑制作用によって抗アレルギー作用を有することから、眠気、倦怠感や口の渇き等の副作用を有さない。さらに、上記抗アレルギー剤は、体内で代謝されてアスコルビン酸となり得るため、安全性が非常に高い。
さらに、上記抗アレルギー剤の上記アシル基は、炭素数が12以上であってもよい。
上記抗アレルギー剤は、アシル基の炭素数が高いほど高い抗アレルギー作用を有する。
これにより、上記L−アスコルビン酸のアシル化誘導体、その異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩の安定性を高めることができる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、L−アスコルビン酸(以下、AAとも称する)のアシル化誘導体(以下、AA誘導体とも称する)、その異性体、又は当該アシル化誘導体若しくはその異性体の塩を有効成分とするものである。L−アスコルビン酸の構造式は、以下の一般式(2)で表される。
また、本発明のAA誘導体は、下記の一般式(1)で表されるものであってもよい。
本発明において、一般式(1)のR2の置換基とは、上記AA誘導体の2位に結合する置換基であり、好ましくは、グリコシル基、リン酸基、硫酸基、アルキル基、アルケニル基、フェニル基等をいうものとする。
上記グリコシル基としては、具体的には、α−D−モノグルコピラノシル基、β−D−モノグルコピラノシル基その他のグルコピラノシル基、及びβ−D−モノガラクトピラノシル基その他のガラクトピラノシル基等を挙げることができる。
上記リン酸基としては、具体的には、具体的に、モノホスホリルオキシ基、ピロホスホリル基、トリホスホリル基、及びポリホスホリル基を挙げることができる。
本発明のAA誘導体の2位に置換基が結合することにより、AAの高い還元性を低下させることができる。これにより、光や熱、酸素、金属イオン等に対するAA誘導体の安定性を高めることができる。
さらに、本発明のAA誘導体は、上述のように、2位に、上記置換基として、グリコシル基が結合していてもよい。これにより、光や熱、酸素等に対するAA誘導体の安定性をより高めることができるとともに、AA誘導体を容易に製造することができる。さらに、上記置換基が生体内で代謝された場合にも糖となるため、生体に対する安全性も確保することができる。
さらに、上記グリコシル基は、以下の一般式(3)で表されるように、α−D−モノグルコピラノシル基であってもよい。
本発明において、アシル化とは、アスコルビン酸の6位のヒドロキシル基にアシル基を導入することをいう。本発明のAA誘導体が直鎖状のアシル基を含むことにより、高い抗アレルギー作用及びメディエーター遊離阻害作用を発揮し得る。
直鎖状のアシル基は、上記一般式(1)を用いて説明したように、飽和脂肪酸からなるアシル基であってもよい。これにより、AA誘導体の安定性をより高めることができる。
また、上記アシル基は、好ましくは炭素数が10以上でもよく、より好ましくは炭素数が12以上でもよい。本発明のAA誘導体は、後述するように、アシル基の炭素数が大きいほど、高い抗アレルギー作用及びメディエーター遊離阻害作用を有する。
また、アシル基の炭素数の上限値は特に限定されず、AA誘導体の物性や、製剤化する際の基剤等を鑑みて適宜設定される。例えば、炭素数が16以下のAA誘導体は比較的高い水溶性を有するため、水性の基剤等に溶解させることが可能である。また例えば、炭素数が18以上のAA誘導体は親油性が高いため、油性基剤や乳化系基剤を用いることができる。
本発明のアシル基の具体例としては、炭素数が10のデカノイル基(一般式(1)中のR1はC9H19)、炭素数が12のドデカノイル基(一般式(1)中のR1はC11H23)、炭素数が14のテトラデカノイル(ミリスチル)基(一般式(1)中のR1はC13H27)、炭素数が16のヘキサデカノイル(パルミチル)基(一般式(1)中のR1はC15H31)を挙げることができる。
本発明のAA誘導体の異性体とは、L−アスコルビン酸の異性体の6位のヒドロキシル基が、直鎖状のアシル基によってアシル化されている化合物である。L−アスコルビン酸の異性体としては、例えば、D−アスコルビン酸、L−アラボアスコルビン酸、D−アラボアスコルビン酸(エリソルビン酸、イソアスコルビン酸とも称する)が挙げられる。このうち、流通性等を鑑み、エリソルビン酸が好適に用いられる。
これらの異性体は、L−アスコルビン酸と同様の機能を有することが知られており(鈴木他著、J. Nutr. Sci. Vitaminol., 41, 17-24, 1995 等参照)、本発明においてもL−アスコルビン酸と同様に用いることができる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、L−アスコルビン酸のアシル化誘導体又はその異性体の薬学的に許容される塩を有効成分としてもよい。
本発明のL−アスコルビン酸のアシル化誘導体又はその異性体の塩としては、特に毒性の低いものが好ましい。これらの塩を生成させる無機塩基としては、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムなど)、アンモニウム、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、アルミニウム塩などが、有機塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ジシクロヘキシルアミンなどから選択される一種または二種以上の混合物が挙げられる。この中でも、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムから選択される一種または二種以上の混合物から選択されるものが特に適用しやすい。
また、AA誘導体又はその異性体の塩としては、例えば、L−アスコルビン酸の3位が陰イオンとなる構造であってもよいし、2位の置換基が陰イオンとなる構造であってもよい。
本発明のAA誘導体の製造方法は、種々の方法を採り得るが、例えば、山本他著、「Synthesis and characterization of a series of novel monoacylated ascorbic acid derivatives, 6-O-acyl-2-O-α-D-glucopyranosyl-L-ascorbic acids, as skin antioxidants」 J. Med. Chem., 45, 462-468, 2002 や、特許第4981198号公報に記載されている方法を参照することができる。
例えば、上記製造方法として、2位のヒドロキシル基をグリコシル化等した後、アシル化剤等を用いて6位のヒドロキシル基をアシル化してもよい。
グリコシル化された2−グリコシル−L−アスコルビン酸は、例えば、市販されているものを用いることができる。あるいは、2−グリコシル−L−アスコルビン酸は、公知の方法によっても得ることができる(特開平3−139288号公報、特開平3−135992号公報、特開平3−183492号公報、特開平6−263790号公報等参照)。
例えば2−リン酸−L−アスコルビン酸も同様に、公知の方法によって得ることができ、又は市販されている2−リン酸−L−アスコルビン酸又はその塩(2−リン酸−L−アスコルビン酸ナトリウム等)を用いることができる。
あるいは、上記製造方法として、L−アスコルビン酸の6位のヒドロキシル基をアシル化した後、2位のヒドロキシル基をグリコシル化等することもできる。
これらの方法によって得られた本発明のAA誘導体は、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルを精製するための通常の方法を適用することにより精製することができる。精製方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、分液抽出、ゲルクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、親和クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、結晶化などが挙げられる。これらは、適宜組合せて適用されてもよい。
本発明のAA誘導体の製造に用いられるアシル化剤としては、酸又は酸ハライド、酸無水物若しくは酸エステルなどを挙げることができ、より具体的には、デカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸などのカルボン酸、酸ハライド、酸無水物或いはカルボン酸エステル等を挙げることができる。
本発明のAA誘導体におけるアシル化は、典型的には反応系への水の侵入を遮断した非水系の化学反応により行うことができる。この場合、例えば、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤中、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸などの触媒を共存させて、2−グリコシル−L−アスコルビン酸等にカルボン酸無水物を反応させることができる。
あるいは、本発明のAA誘導体におけるアシル化は、酵素反応によっても行うことができる。この場合は、グリコシル−L−アスコルビン酸等とアシル化剤とを基質として適用し、これらの基質と酵素に応じた有機溶剤を適宜用いることができる。
本発明の抗アレルギー剤は、上記アシル化されたAA誘導体を有効成分として含有し、アレルギー、特にI型アレルギーに適用することができる。具体的には、上記抗アレルギー剤は、鼻炎、結膜炎、気管支喘息、食物アレルギー、アナフィラキシー、蕁麻疹又はアトピー性皮膚炎等の症状を抑制することができる。また、上記抗アレルギー剤が適用されるアレルギーのアレルゲンは、特に限定されず、例えば花粉、ダニ、動物のフケ、カビ、化学物質、食物中の蛋白質等とすることができる。
本発明のメディエーター遊離阻害剤は、上記アシル化されたAA誘導体を有効成分として含有し、I型アレルギーの原因となるヒスタミン等の炎症メディエーターの遊離を阻害することができる。上述のように、I型アレルギーは、肥満細胞の脱顆粒反応により、ヒスタミン等のメディエーターが放出されることにより発症する。上記AA誘導体は、後述するように、肥満細胞の脱顆粒反応を抑制することができ、メディエーター遊離阻害作用を発揮することができる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧品等、種々の形態を採り得る。医薬品として用いられる場合については、後述する。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、化粧品や医薬部外品の薬用化粧品として用いられる場合、敏感肌用又はアレルギー肌用のクリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等に適用することができる。この場合、抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、油性又は水性基剤、ビタミン剤、皮膚軟化剤、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、緩衝剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、アルコール類、清涼化剤、着色剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、例えば医薬品として、用途に応じた種々の剤形を採り得る。この場合の剤形は、液剤、軟膏、点眼剤、懸濁剤、貼付剤、注射剤、散剤、錠剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、坐剤などを挙げることができる。本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、医薬品として用いられる場合、非経口、経口投与のいずれも可能であるが、非経口投与がより好ましい。
特に、上記アシル化されたAA誘導体又はその塩は、抗アレルギー作用を有する外用薬の有効成分とすることができる。ここでいう外用薬は、内服薬及び注射薬を除いた薬剤であり、例えば皮膚用外用薬(外皮用薬)、点眼薬、点鼻薬、吸入薬等を含む。上記アシル化されたAA誘導体を外用薬として用いることにより、AA誘導体が投与した組織において代謝されにくいため、後述するように、AA誘導体自体を作用本体として抗アレルギー作用を発揮することができる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、有効成分であるAA誘導体又はその塩を、公知の製剤学的製造法に準じて製剤化することができる(第十六改正日本薬局方(平成23年3月24日 厚生労働省告示第65号)参照)。
この場合、上記抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、上記有効成分のほか、医薬上許容される基剤、他の薬効成分及び添加物等を配合できる。
基剤は、油性基剤、乳化系基剤及び水性基材のいずれでもよい。
他の薬効成分としては、例えば鎮痛消炎剤、殺菌消毒剤、ビタミン剤、皮膚軟化剤、美白剤、保湿剤等を必要に応じて適宜使用できる。
添加物としては、緩衝剤、等張化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、賦形剤、増粘剤、アルコール類、清涼化剤、着色剤、香料等を配合できる。
また、本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤を外用薬として用いた場合、上記AA誘導体の含有量は、例えば0.0005〜25 w/v%とすることができる。また、投与頻度は特に限定されないが、一日1〜6回程度とすることができる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、ヒスタミン等の炎症メディエーターの遊離を効果的に阻害することができる。また、受容体拮抗作用を有する抗ヒスタミン剤等における眠気や倦怠感や口の渇き等の副作用を回避できる。これにより、安全性のより高い抗アレルギー作用を有する薬剤を提供することができる。
また、本発明のAA誘導体及びその塩は、体内で代謝されてAAとなり得る。これにより、安全性が非常に高いとともに、AAにより抗酸化作用等の活性を発揮することも期待できる。
実施例1として、6位に炭素数10のデカノイル基が結合しており、2位にα−D−モノグルコピラノシル基が結合しているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、6−デカノイル−2−O−α−D−モノグルコシル−L−アスコルビン酸であり、以下、6-sDeca-AA-2Gと称する。
6-sDeca-AA-2Gは、山本他著、「Synthesis and characterization of a series of novel monoacylated ascorbic acid derivatives, 6-O-acyl-2-O-α-D-glucopyranosyl-L-ascorbic acids, as skin antioxidants」、J. Med. Chem., 45, 462-468, 2002 を参照して以下のように製造した。
まず、2−O−α−D−モノグルコシル−L−アスコルビン酸(株式会社林原生物化学研究所製)(以下、AA-2Gと称する)と、n−カプリル酸無水物とをピリジンに混合し、その混合物を60℃で30分間攪拌し、反応物を減圧下で濃縮した。濃縮により得られた残渣に酢酸エチルを加え、白色の沈殿物を得た。その後、その残渣を濾過し、温めた酢酸エチルで残渣を洗浄し、乾燥させ、6-sDeca-AA-2Gを再結晶させた。得られた物質をUVスペクトル、元素分析、核磁気共鳴スペクトル測定法等によって分析し、6-sDeca-AA-2Gであることを確認した。
実施例2として、6位に炭素数12のドデカノイル基が結合しており、2位にα−D−モノグルコピラノシル基が結合しているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、6−ドデカノイル−2−O−α−D−モノグルコシル−L−アスコルビン酸であり、以下、6-sDode-AA-2Gと称する。
酸無水物としてラウリン酸無水物を用いた以外は、実施例1と同様に6-sDode-AA-2Gを製造した。得られた物質を実施例1と同様に分析し、6-sDode-AA-2Gであることを確認した。
実施例3として、6位に炭素数14のミリスチル(テトラデカノイル)基が結合しており、2位にα−D−モノグルコピラノシル基が結合しているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、2−O−α−D−モノグルコシル−6−ミリスチル(テトラデカノイル)−L−アスコルビン酸であり、以下、6-sMyri-AA-2Gと称する。
酸無水物としてミリスチル酸無水物を用いた以外は、実施例1と同様に6-sMyri-AA-2Gを製造した。得られた物質を実施例1と同様に分析し、6-sMyri-AA-2Gであることを確認した。
実施例4として、6位に炭素数16のパルミチル(ヘキサデカノイル)基が結合しており、2位にα−D−モノグルコピラノシル基が結合しているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、2−O−α−D−モノグルコシル−6−パルミチル(ヘキサデカノイル)−L−アスコルビン酸であり、以下、6-sPalm-AA-2Gと称する。
酸無水物としてパルミチル酸無水物を用いた以外は、実施例1と同様に6-sPalm-AA-2Gを製造した。得られた物質を実施例1と同様に分析し、6-sPalm-AA-2Gであることを確認した。
実施例5として、6位に炭素数16のパルミチル基が結合しているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、6−パルミチル−L−アスコルビン酸であり、以下、6-sPalm-AAと称する。
6-sPalm-AAは、製品名6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸を東京化成工業株式会社から購入した。
比較例1として、AAを準備した。AAは、製品名L−アスコルビン酸ナトリウムを和光純薬工業株式会社から購入した。
比較例2として、AA-2G(株式会社林原生物化学研究所製)を準備した。
ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸加水分解酵素であり、炎症時に活性化すること、及び肥満細胞の脱顆粒に関与することが知られている。そこで、実施例に係る薬剤の抗アレルギー剤としての有効性を確認するため、ヒアルロニダーゼ阻害試験を行った。
酢酸バッファーは、酢酸、酢酸ナトリウム溶液を用いて0.1 M, pH 4.0に調製された。
ホウ酸ナトリウム水溶液は、4.95 gのホウ酸に40 mlの水を加え、NaOHでpH 9.1になるように調製された後、水で100 mlまでフィルアップされた。
ヒアルロニダーゼ溶液は、ヒアルロニダーゼ (製品名「Hyaluronidase Type IV-S from Bovine Testis (lot; SLBF8562V)」、SIGMA-ALDRICH CO. LLC) (1148 units/mg) を酢酸バッファーに溶解し、615.4 units/mlに調製された。
ヒアルロン酸溶液は、Hyaluronic acid sodium salt (製品名「hyaluronic acid sodium salt from rooster Comb」、和光純薬工業株式会社) を、4.0 mg/mlとなるように酢酸バッファーに溶解することで調製された。
発色液は、875 μlの酢酸及び125 μlのHClに、100 mgのp-dimethylaminobenzaldehyde (和光純薬工業株式会社)を加えて調製され、使用時に酢酸で10倍希釈された。
実施例1〜5及び比較例1,2の薬剤は、30% DMSOを含む酢酸バッファーにより調製された。なお、酵素反応時のDMSOの終濃度は、3%とした。また、このように調製された実施例1〜5及び比較例1,2を、それぞれ本試験例におけるサンプルと称する。
ポジティブコントロールとして、DSCG(クロモグリク酸ナトリウム(Disodium chromoglycate)、SIGMA-ALDRICH Co. LLC)を用いた。DSCGは、メディエーター遊離阻害剤として知られている(Hisao 他著, Chem. Pharm. Bull., 33, 642-646, 1985 参照)。
まず、調製された325 μlのヒアルロニダーゼ酸溶液と50 μlの各サンプルを37℃で20分間インキュベートした。続いて、Compound 48/80(SIGMA-ALDRICH CO. LLC)を酢酸バッファーで調製した2.0 mg/ml Compound 48/80溶液、50 mM CaCl2を酢酸バッファーで調製したCaCl2溶液、NaClを酢酸バッファーで調製した3 M NaCl溶液をそれぞれ25 μlずつ加え、さらに37℃で20分間インキュベートした。続いて、調製された50 μlのヒアルロン酸溶液を加え、37℃で40分間反応させた(酵素反応時、終濃度3%のDMSOを含む)。
その後、反応を停止させるため、各反応液に100 μlの0.4 N NaOHを加えた。10分間の氷冷後、調製されたホウ酸ナトリウム溶液を各反応液に120 μlずつ添加し、100℃で3分加熱した。5分間の氷冷後、150 μlの発色試薬が入った96穴マイクロプレートに30 μlずつ分注し、20分間37℃で反応させた。
続いて、Morgan-Elson法を参照し、ヒアルロニダーゼ阻害活性を測定した(J. Biol. Chem., 217, 959-966, 1955 参照)。まず、各反応液の585 nmにおける吸光度を測定し、ポジティブコントロールに対する阻害率を算出した。阻害率(Inhibition)は、以下の数式で表される。
Inhibition (%) = 100 - (サンプルの吸光度/ポジティブコントロールの吸光度) x 100
最後に、阻害率が50%となるサンプルの濃度である50%阻害濃度(Half maximal inhibitory concentration、IC50)を求めた。
図1は、本試験例の結果を示すグラフであり、横軸は各サンプル、縦軸はIC50を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは、標準偏差を示す。
同図に示すように、比較例1及び2(AA及びAA-2G)のサンプルのIC50は、いずれも、ポジディブコントロールより高かった。これにより、これらのサンプルは、ヒアルロニダーゼ阻害活性が低いことが確認された。
一方で、実施例1〜5のサンプルのIC50は、いずれも、ポジティブコントロールのDSCGより低かった。これにより、実施例1〜5のサンプルは、既存のメディエーター遊離阻害剤と比較しても非常に高いヒアルロニダーゼ阻害活性を有することが確認された。
以上の結果から、実施例1〜5のサンプルに抗炎症作用及びメディエーター遊離阻害作用があることが示唆された。
さらに、実施例1〜4のサンプル(以下、6-sAcyl-AA-2Gとも称する)におけるIC50を比較すると、アシル基の炭素数が長いものほどIC50が低くなり、より低濃度でヒアルロニダーゼ阻害活性を示すことが確認された。
また、実施例1〜4の6-sAcyl-AA-2Gは、生体内で、比較例2のAA-2G、及び比較例1のAAに代謝されることが知られている。このことから、6-sAcyl-AA-2Gのヒアルロニダーゼ阻害活性については、代謝物であるAA-2G及びAAよりも、6-sAcyl-AA-2G自体の作用が大きいことが確認された。
加えて、実施例4(6-sPalm-AA-2G)と実施例5(6-sPalm-AA)のサンプルにおけるIC50を比較すると、前者の方が後者よりもヒアルロニダーゼ阻害活性が高かった。これにより、6位にアシル基が結合しており、かつ2位に置換基が結合しているAA誘導体が、より高いヒアルロニダーゼ阻害活性を有することが確認された。
続いて、実施例1〜4に係る薬剤の、I型アレルギーの症状を引き起こす肥満細胞の脱顆粒に対する作用を確認するため、ラット好塩基球性白血病細胞RBL-2H3を用いた脱顆粒抑制試験を行った。
本試験例で用いたラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)は、ヒューマンサイエンスセルバンク(JCRB)より購入した。実験に用いた細胞(RBL-2H3)はいずれも37℃、5% CO2の条件下で10% FBS含有DMEM培地(後述する)により培養し、2、3日毎に継代培養を行った。
抗体溶液は、以下のように調製した。まず、Anti-DNP IgE(ナカライテスク株式会社)をDulbecco's phosphate buffered saline (PBS(-))に加え、250 μg/mlになるように溶解させた。その後、-30℃で保存し、使用時に、10% FBS含有DMEM 培地で500 ng/mlに希釈した。FBS(Fetal bovine serum ( lot. AVH77993))はHyCloneより購入した。また、DMEM 培地は、Corningより購入し、100 U/ml penicillin Gと100 μg/ml streptomycin(いずれもナカライテスク株式会社)を添加して用いた。
MTバッファー(modified tyrode buffer)は、超純水に、137 mM塩化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)、2.7 mM塩化カリウム(ナカライテスク株式会社)、1.8 mM塩化カルシウム、1 mM塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社)、5.6 mM (+)-グルコース、20 mM HEPES(和光純薬工業株式会社)、及び0.1% bovine serum albumin (BSA)(ナカライテスク株式会社)を加えて溶解させ、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)でpH 7.3に調製された。調製されたMTバッファーは、フィルター滅菌され、4℃で保存された。また、使用時には、37℃に加温された。
抗原溶液は、以下のように調製した。まず、DNP-HSA(SIGMA-ALDRICH CO. LLC)をPBS(-)に加え、10 mg/mlになるように溶解させ、4℃で保存した。使用時に上記MTバッファーで500 ng/mlに希釈された。
0.1% Triton溶液は、使用時に、Triton X-100(SIGMA-ALDRICH CO. LLC)をMT bufferで0.1%に希釈された。
基質溶液は、使用時に、3.3 mM p-nitrophenyl-2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucopyranoside(ナカライテスク株式会社)を100 mMクエン酸buffer (pH 4.5)に加え、調製された。
酵素反応停止液 (2 M Glycine buffer)は、2 Mのグリシン溶液(グリシンは和光純薬工業株式会社より購入)を水酸化ナトリウムに加え、pH 10.4になるように調製された。
実施例1〜4及び比較例1,2の薬剤は、いずれも、0.25% DMSOを含むMTバッファーにより所定の濃度に調製された。このように調製された実施例1〜4及び比較例1,2を、それぞれ本試験例におけるサンプルと称する。
また、ネガティブコントロールとして、薬剤が添加されていない0.25% DMSOを含むMTバッファーを用いた(図2において、「control」と記載している)。
ポジティブコントロールとして、75 μM オキサトミド(oxatomide)(和光純薬工業株式会社)を用いた。オキサトミドは、H1受容体遮断薬及び炎症メディエーター遊離抑制薬として知られている。
まず、セミコンフルエントになるまで培養された使用細胞を、0.05%トリプシン溶液で剥離して、96穴平底マルチプレート(NUNC, 167008)に5.0 x 104 cells/well/200 μlの密度で播種した。細胞を24時間培養した後、培養上清を除去し、500 ng/mlに調製された抗体溶液を100μlずつ各ウェルに添加して、2時間、37℃、5% CO2の条件下でインキュベートした。
インキュベート後、37℃に温めたMTバッファーを用いて細胞層を2回洗浄し、各ウェルにサンプル溶液90 μlを添加した後、20分間、37℃、5% CO2の条件下でインキュベートした。
続いて、各ウェルに抗原溶液を10 μlずつ添加し、1時間インキュベートした後、10分間氷冷して反応を停止し、上清を回収した。この上清を、20 μlずつ測定用の96穴マイクロプレート(「WATSON(登録商標)」、深江化成株式会社)に分注した。
一方、細胞層に対しては、100 μlの0.1% Triton溶液を添加し、撹拌(1,000 rpm, 3 min)により溶解し、この細胞破砕液を20 μlずつ測定用96穴マイクロプレートに分注した。
続いて、各ウェルに基質溶液を40 μlずつ添加し、90分間、37℃の条件下で反応させた。反応後、40 μlの酵素反応停止液(グリシンバッファー)で酵素反応を停止し、発色させ、405 nmにおける吸光度を測定した(製品名「MULTISKAN FC」、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)。β-ヘキソサミニダーゼ放出率(脱顆粒率)は、以下の計算式により算出した。
脱顆粒率(%) = [(S-Sc)/{(S-Sc)+(CL-CLc)}] x 100
S: 上清の吸光度
Sc: 酵素反応停止液、基質溶液の順で添加した上清の吸光度
CL: 細胞破砕液の吸光度
CLc: 酵素反応停止液、基質溶液の順で添加した細胞破砕液の吸光度
なお、上記式において、Sc及びCLcは、酵素反応していないサンプル溶液の吸光度を示す。Sc及びCLcの測定には、上述の基質溶液添加後に酵素反応停止液を添加するのではなく、先に酵素反応停止液を添加し、酵素反応を抑制しつつ、その後基質溶液を添加した上清及び細胞破砕液を用いた。
定量的データは、平均値+/−標準偏差で示した。
多群間の平均値の比較については、一元配置分散分析の後、Dunnett's testにて行い、危険率0.05未満を持って有意差ありと判定した。
図2は、本試験例における実施例1〜4及び比較例1,2の結果を示すグラフであり、横軸はサンプル、縦軸は脱顆粒率(Degranulation ratio)を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは、標準偏差を示す。
同図に示すように、実施例1〜4は、いずれも濃度依存的に脱顆粒の減少が見られたため、実施例1〜4に係る各薬剤に脱顆粒抑制作用があることが確認された。
また、試験例1の結果と同様、実施例1〜4は、アシル基の炭素数が大きくなるに従い、高い脱顆粒抑制作用を示した。特に、実施例4(6-sPalm-AA-2G)のサンプルは、ポジティブコントロールであるオキサトミドと同等の活性を発揮した。
特に実施例2〜4は、ネガティブコントロール(control)と比較して、有意な活性が認められた。これにより、6位のアシル基の炭素数が12以上あることにより、より高い脱顆粒抑制作用を発揮できることが確認された。
一方、比較例1,2は、いずれも濃度依存的に脱顆粒を抑制する傾向は見られたが、実施例1〜5と比較して十分な活性は認められなかった。
さらに、このことから、やはり実施例1〜4に係る脱顆粒抑制作用は、代謝物による活性ではなく、6位に脂肪酸が付加した本発明のAA誘導体自体によるものであると考えられる。
続いて、実施例5に係る薬剤の、I型アレルギーの症状を引き起こす肥満細胞の脱顆粒に対する作用を確認するため、試験例2と同様に、ラット好塩基球性白血病細胞RBL-2H3を用いた脱顆粒抑制試験を行った。なお、ネガティブコントロールとして、薬剤が添加されていない0.25% DMSOを含むMTバッファーを用いた(図3において、「control」と記載している)。ポジティブコントロールとして、75 μM オキサトミド(oxatomide)(和光純薬工業株式会社)を用いた。
なお、使用細胞、試薬類の調整、脱顆粒抑制活性の測定、及び統計処理については、試験例2と同様であるため、説明を省略する。
図3は、本試験例における実施例5の結果を示すグラフであり、図2と同様に横軸はサンプル、縦軸は脱顆粒率(Degranulation ratio)を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは、標準偏差を示す。
同図に示すように、試験例2の結果と同様、実施例5は、濃度依存的に脱顆粒の減少が見られたため、実施例5の薬剤に脱顆粒抑制作用があることが確認された。
また、実施例5の薬剤は、40 μMという比較的低い濃度でも、ネガティブコントロール(control)に対して脱顆粒率に有意な差が見られた。これにより、実施例5に係る6-sPalm-AAは、実施例4に係る6-sPalm-AA-2Gと同程度、あるいはそれ以上の脱顆粒抑制作用を有することが確認された。
試験例1、試験例2及び試験例3の結果から、本発明の実施例1〜5のAA誘導体は、抗アレルギー作用及びメディエーター遊離阻害作用を有することが確認された。さらに、6位のアシル基の炭素数が大きくなるに従い、上記作用がより高まることが確認された。
これらの結果から、AA誘導体の物性や製剤技術を考慮しつつ、炭素数のより大きいアシル基を有するAA誘導体を用いることで、強い抗アレルギー作用及びメディエーター遊離阻害作用を有し、かつ安全性の高い抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤を提供することができる。
さらに、実施例5の脱顆粒試験の結果より、脱顆粒抑制作用には、6位のアシル基の存在が重要であることが確認された。すなわち、2位の置換基によらず、6位のヒドロキシル基が直鎖状のアシル基によってアシル化されることが、脱顆粒抑制作用及び抗アレルギー作用を発揮するために重要であることが示唆された。
また、作用本体がアシル基を有するAA誘導体自体であることも示唆された。アシル基を有するAA誘導体は、特に経口投与や静脈投与ではAA-2GやAAに代謝しやすいと言われているため、外用薬として用いることで、AA-2GやAAへの代謝を抑制し、上記作用をより効果的に発揮することができると考えられる。
ここで、アシル基を有するAA誘導体は、少なくとも一部が代謝されずに皮膚を透過することが知られている(山本他著, J. Med. Chem., 45, 462-468, 2002、田井他著, Bioorg. Med. Chem., 14, 623-627, 2004 参照)。したがって、本発明のAA誘導体を例えば皮膚に投与することで、皮膚ではAA誘導体自体が作用本体となってヒアルロニダーゼ阻害作用及び脱顆粒抑制作用を発揮し、さらに血中や他の組織内でAA等に代謝され、様々な活性を発揮すると考えられる。同様に、本発明のAA誘導体を点眼薬や点鼻薬などの外用薬として用いることで、結膜や眼球表面、鼻粘膜等の組織にAA誘導体が直接作用し、高い抗アレルギー作用を発揮することができると考えられる。
Claims (5)
- 請求項1に記載の抗アレルギー剤であって、
前記一般式(1)のR1は炭素数が11以上の直鎖状のアルキル基である
抗アレルギー剤。 - 請求項1または2に記載の抗アレルギー剤であって、
前記一般式(1)のR2はグリコシル基である
抗アレルギー剤。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤を含む、外用薬。
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