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JP6606820B2 - 半導体ナノ粒子内包樹脂粒子、該半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなる組織染色用染色剤、および組織染色法 - Google Patents
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半導体ナノ粒子内包樹脂粒子、該半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなる組織染色用染色剤、および組織染色法 Download PDF

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Description

本発明は、生体組織染色剤に用いられる半導体ナノ粒子内包樹脂粒子に関する。
蛍光発光材料としては、これまで主に有機色素を高密度に集積させたナノ粒子が開発されてきた。これらのナノ粒子は、高輝度でかつ耐溶剤性に優れることから、生体組織検査等に用いる染色剤として好適に用いられるが、励起光の照射を受けると蛍光シグナルが徐々に低下するとの課題があり、光耐久性の点で、さらなる改良が必要であった。
近年、半導体ナノ粒子は、医用分野における標識剤または高精細ディスプレイなどの用途で注目されている。この半導体ナノ粒子を用いて光耐久性を改善した蛍光体材料として、特許文献1には、蛍光発光性半導体超微粒子をその中心部分に内包したシリカ系ガラス粒子材料が記載されている。特許文献1のシリカ系ガラス粒子材料は全体としてガラスの性質を示し、機械的特性、耐熱性および化学的安定性に優れ、内包された半導体微粒子は、外部雰囲気から遮断されているため、耐光性に優れ、経時安定性にも優れる。しかしながら、特許文献1のシリカ系ガラス粒子材料は、ディスプレーパネルなどの用途に用いられるものであり、例えば、このシリカ系ガラス粒子に修飾基などを導入して、生体組織染色剤に適用するなどの課題に取り組んだものではない。
特許文献2では、生体物質蛍光標識剤として、半導体ナノ粒子を内包するガラス微粒子が記載され、アミノ基および疎水基を有するアミノ化合物を半導体ナノ粒子の表面に付着させ、次いで、ガラス前駆体を用いてガラス微粒子を形成することが記載されている。特許文献2では、半導体ナノ粒子の含有量が低い領域においても、含有量と発光強度とがの関係が線形性を保つことが示されており、半導体ナノ粒子内包ガラス微粒子が高感度で、かつ耐溶剤性に優れていることがわかる。しかしながら、特許文献2では、この半導体ナノ粒子内包ガラス微粒子の光耐久性については何も言及されていない。
特許文献3には、熱硬化性樹脂の樹脂粒子および該樹脂粒子に固定された蛍光色素を有する色素樹脂粒子を染色成分として含有する組織染色剤、すなわち、蛍光色素が樹脂粒子に内包された組織染色剤が記載されている。特許文献3には、前記組織染色剤を用いることで、輝点のバラツキの問題が解消されるため、蛍光シグナルの判定精度が向上することが記載されており、色素樹脂粒子が高輝度でかつ耐溶剤性に優れることがわかる。しかしながら、励起光の照射を受けると、蛍光シグナルの判定精度が徐々に低下することから、励起光の照射により、色素樹脂粒子の劣化が起こると考えられる。
したがって、高輝度および耐溶剤性に加えて、光耐久性も向上した組織染色剤の開発が要望されている。
特許第3755033号公報 国際公開第2012/147429号 国際公開第2014/136885号
本発明は、従来の特性である高輝度および耐溶剤性に加え、光耐久性にも優れた半導体ナノ粒子内包樹脂粒子、該半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなる組織染色用染色剤、および組織染色法を提供することを課題とする。
本発明は、前記した従来技術における課題を解決するものであり、以下の事項からなる。
本発明の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、該表面修飾基を有する半導体ナノ粒子を内包した樹脂粒子とからなり、該表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と該樹脂粒子とが互いに反対の電荷を有することを特徴とする。
前記樹脂粒子の有する官能基は正の電荷を帯びていることが好ましい。
前記樹脂粒子はメラミン樹脂の粒子であることが好ましい。
本発明の組織染色用染色剤は、前記半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなることを特徴とする。
本発明の組織染色法は、前記組織染色用染色剤を用いることを特徴とする。
本発明によれば、高輝度、耐溶剤性に加え、光耐久性にも優れた半導体ナノ粒子内包樹脂粒子、該半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなる組織染色用染色剤、および組織染色法を提供することができる。
すなわち、本発明の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と樹脂粒子とが互いに反対の電荷を有している。これにより、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子における表面修飾基と、樹脂粒子との結合が強固なものとなり、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子が樹脂粒子内に固定されやすくなるため、励起光などの光照射をしても効果的に耐久性を維持することができると考えられる。
半導体ナノ粒子内包樹脂粒子を表す図である。 図1における半導体ナノ粒子内包樹脂粒子中の半導体ナノ粒子の拡大図である。
〔半導体ナノ粒子内包樹脂粒子〕
本発明の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、該表面修飾基を有する半導体ナノ粒子を内包した樹脂粒子とからなる。
前記半導体ナノ粒子内包樹脂粒子を構成する各成分について、以下詳細に説明する。
(半導体ナノ粒子)
本発明で用いる半導体ナノ粒子としては、III−V族またはII−VI族の直接遷移の半導体などであって、可視領域で発光するものであれば特に制限されない。前記半導体ナノ粒子には通常、コアシェル型の半導体ナノ粒子が用いられる。
コアシェル型の半導体ナノ粒子とは、コア部(芯部)とこれを被覆するシェル部(被覆部)とからなる多重構造の半導体ナノ粒子であり、その粒径は通常20nm以下、好ましくは1〜10nmである。
コア部を形成するための素材としては、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、セレン化アルミニウム(AlSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、リン化ガリウム(GaP)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム(CdTe)およびヒ化インジウム(InAs)などの半導体またはこれらを形成する原料が用いられる。これらのうち、リン化インジウム(InP)、テルル化カドミウム(CdTe)およびセレン化カドミウム(CdSe)が好適である。
シェル部を形成するための素材としては、II−VI族半導体、III−V族半導体、IV族化合物半導体、または酸化物半導体が用いられる。具体的には、ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、二酸化ゲルマニウム(GeO2)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、セレン化アルミニウム(AlSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、リン化ガリウム(GaP)、硫化亜鉛(ZnS)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム(CdTe)およびヒ化インジウム(InAs)など、前記コア部形成素材よりもバンドギャップが大きく、毒性を有さない半導体またはこれらを形成する原料が用いられる。
前記したコア部形成素材およびシェル部形成素材のうち、コア部形成素材としてリン化インジウム(InP)、テルル化カドミウム(CdTe)またはセレン化カドミウム(CdSe)を用いる場合は、シェル部形成素材として硫化亜鉛(ZnS)が好適に用いられる。
なお、半導体ナノ粒子は、後述する樹脂粒子と反応させるにあたって、半導体ナノ粒子に表面修飾基を導入する必要がある。
前記半導体ナノ粒子の製造方法には、液相法が用いられる。液相法には、沈殿法、共沈法、ゾル−ゲル法、均一沈殿法および還元法などがある。その他、逆ミセル法および超臨界水熱合成法などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である(例えば、特開2002−322468号公報、特開2005−239775号公報、特開平10−310770号公報および特開2000−104058号公報等を参照。)。
液相法により半導体ナノ粒子を製造する場合、該半導体ナノ粒子を構成する元素を含む化合物(以下「半導体前駆体」という。)を還元反応により還元することが好ましい。前記半導体前駆体は、例えば、半導体がケイ素(Si)の場合、四塩化ケイ素(SiCl4)などである。その他、半導体前駆体には、三塩化インジウム(InCl3)、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(P(SiMe33)、ジメチル亜鉛(ZnMe2)、ジメチルカドミウム(CdMe2)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)およびセレン化トリブチルホスフィンなどがある。また、半導体前駆体の反応は界面活性剤の存在下で行うことが好ましい。
半導体ナノ粒子を製造するときの反応温度は、半導体前駆体の沸点以上でかつ溶媒の沸点以下であれば、特に制限はないが、70〜110℃の範囲が好ましい。
前記還元反応に用いる還元剤は、従来公知の種々の還元剤を反応条件に応じて選択し用いることができる。本発明においては、還元力の強さの観点から、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−C493)、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウムおよび水素化トリエチルホウ素リチウムなどの還元剤が好ましい。これらのうち、還元力の強さから、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)が特に好ましい。
前記溶媒には、従来公知の種々の溶媒を使用できるが、エタノール、2−ブタノールおよび2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類、ならびにトルエン、デカンおよびヘキサンなどの炭化水素溶媒を使用することが好ましい。本発明においては、特に、トルエン等の疎水性の溶媒が、半導体前駆体の分散用溶媒として好ましい。
また、前記界面活性剤には、陰イオン、非イオン、陽イオンまたは両性の従来公知の種々の界面活性剤が使用できる。これらの界面活性剤のうち、四級アンモニウム塩である、テトラブチルアンモニウムクロリド、ブロミドもしくはヘキサフルオロホスフェート、テトラオクチルアンモニウムブロミド(略称:TOAB)、またはトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが好ましく、テトラオクチルアンモニウムブロミドがより好ましい。
液相法による反応は、該液相中の溶媒を含む化合物の状態により大きく変化する。ナノサイズの単分散粒子を製造する場合は、特に注意を要する。逆ミセル法では、界面活性剤の濃度または種類により、反応場となる逆ミセルの大きさや状態が変わってくるため、ナノ粒子が形成される条件が制限される。したがって、界面活性剤と溶媒との適切な組み合わせが必要となる。
(樹脂)
本発明の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子を構成する樹脂は、修飾基を有する半導体ナノ粒子を内包できるものであれば特に限定されないが、通常、熱硬化性樹脂である。
前記熱硬化性樹脂は、その構成単位に含まれる水素原子の少なくとも一部が電荷を有する置換基に置き換えられているか、その化学構造の一部に電荷を有する部分が存在するものである。あるいは、その化学構造の一部に、修飾基を有する半導体ナノ粒子と結合可能な部位を有するものである。なお、「電荷を有する置換基または部分」とは、酸性、中性または塩基性の水に溶解させたときに正(プラス)または負(マイナス)に帯電する置換基または化学構造上の部分を意味する。
前記熱硬化性樹脂には、例えば、メラミン、尿素、グアナミン、フェノール、キシレンおよびこれらの誘導体からなる群から選択されるモノマー(またはそのオリゴマー)から形成される熱硬化性樹脂がある。これらのうち、メラミン、尿素およびグアナミンは、正電荷を持つアミノ基(NH骨格)をその構造の一部に含むモノマーである。フェノールは、負電荷を持つフェノール性水酸基をその構造の一部に含むモノマーである。キシレンは、電荷を持つ置換基または部分を含まないモノマーであるため、その構造中に含まれる水素原子の一部を正電荷または負電荷を持つ置換基に置換して、後述する半導体ナノ粒子との化学結合に用いることができる。
これらの熱硬化性樹脂は、電荷を有する置換基または部分を含むモノマー、または、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子中の表面修飾基と結合可能な部位を有する熱硬化性樹脂のモノマーを、公知の方法により重合させることで製造することができる。また、メラミンのように、もともと正電荷を持つ置換基を含むものは、電荷を持つ置換基を導入せずに用いることができる。
熱硬化性樹脂は、ホモポリマーに限定されず、コポリマーであってもよい。具体例を挙げれば、前記メラミン樹脂を形成するモノマーを1種または2種以上共重合させるか、または得られたオリゴマーを組み合わせて共重合させたコポリマーや、これらのモノマーまたはオリゴマーと、それ以外のモノマーまたはオリゴマーとを共重合させたコポリマーであってもよい。
ここで、負電荷を持つ置換基には、例えば、スルホネート基(−SO3 -)およびカルボキシレート基(−COO-)がある。正電荷を持つ置換基には、例えば、四級アンモニウム基(−NR3 +)(Rは水素原子またはアルキル基を表す)がある。
熱硬化性樹脂に電荷を持つ置換基を導入する方法には、モノマーに該置換基を導入する方法がある。具体的には、カルボキシレート基(カルボン酸塩)を導入する方法には、フリーデルクラフツ反応によりモノマーに直接導入する、カルボン酸塩を持つアルキル化合物と、モノマーとをそれぞれハロゲン化物とボロン酸とに変換して鈴木カップリング反応により導入する、または、カルボン酸塩を持つアルキル化合物と、モノマーにハロゲン化マグネシウム(MgX;Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)部位を導入したものをグリニャール反応により導入する方法等がある。スルホネート基を導入する方法には、モノマーを発煙硫酸またはクロロ硫酸により直接スルホン化する、スルホン酸塩を持つアルキル化合物と、モノマーとをそれぞれハロゲン化物とボロン酸に変換して鈴木カップリング反応により導入する、または、スルホン酸塩を持つアルキル化合物と、モノマーにハロゲン化マグネシウム(MgX;Xは前記のとおり)部位を導入したものをグリニャール反応により導入する方法等がある。アミノ基を導入する方法には、モノマーを発煙硝酸によりニトロ化し、該ニトロ基を還元してアミノ基に変換する、モノマーをハロゲン化後、アンモニアとを直接反応やガブリエル反応によりアミノ化する、アミノ基を持つアルキル化合物と、モノマーとをそれぞれハロゲン化物とボロン酸に変換して鈴木カップリング反応により導入する、カルボン酸塩を持つアルキル化合物と、モノマーにハロゲン化マグネシウム(MgX;Xは前記のとおり)部位を導入したものをグリニャール反応により導入する方法等がある。
なお、前記の反応の際には、カルボキシレート基、スルホネート基またはアミノ基を適宜保護基で保護した形態でモノマーに導入後、脱保護を行って、カルボキシレート基、スルホネート基、またはアミノ基としてもよい。
熱硬化性樹脂の分子構造は、高分子同士が架橋することによって形成された三次元的な網目構造である。このため、熱硬化性樹脂の粒子内に固定された半導体ナノ粒子は、溶剤中に晒されても樹脂粒子の外側に溶出しにくく、得られる半導体ナノ粒子内包樹脂粒子または組織染色用染色剤は蛍光観察の際に輝点の滲みを抑制し、高輝度および耐溶剤性を維持するとの効果を奏する。
(半導体ナノ粒子内包樹脂粒子)
前記のとおり、本発明の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、半導体ナノ粒子を内包した樹脂粒子とからなる。
前記表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と前記樹脂粒子とは互いに反対の電荷を有する。このような半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、前記した半導体ナノ粒子表面に、表面修飾基を付与し得る化合物を導入した後、該表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、樹脂を構成するモノマーまたはオリゴマーとを反応させることにより製造される。
前記表面修飾基を付与し得る化合物としては、前記半導体ナノ粒子表面に修飾基として、正または負の電荷を付与することができるものであれば、特に制限されることはない。
半導体ナノ粒子表面に正の電荷を付与し得る表面修飾基には、例えば、アミノ基、グアニジノ基またはイミダゾリウム基がある。
前記正の電荷を付与し得る化合物には、例えば、アミノ基および疎水基を有するアミノ化合物(以下単に「アミノ化合物」ともいう。)などがある。このアミノ化合物中の疎水基は、炭化水素基を指し、具体的には、アルキル基および芳香族炭化水素基を指す。アルキル基は、炭素数6〜30のアルキル基が好ましく、炭素数8〜20のアルキル基がより好ましい。芳香族炭化水素基には、例えば、フェニル基およびナフチル基がある。
アミノ化合物の具体例には、n−ヘプチルアミン、ノニルアミン、ドデシルアミンおよびヘキサデシルアミンなどがある。
前記アミノ化合物を、半導体ナノ粒子の表面に導入するには、半導体ナノ粒子とアミノ化合物とを有機溶媒中で混合して攪拌すればよい。
有機溶媒には、例えば、アルコール類およびケトン類などがある。これらのうち、アルコール類が好ましく、炭素数1〜4の低級アルコールが特に好ましい。
有機溶媒中の半導体ナノ粒子の量は、有機溶媒に対して、通常0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%であり、有機溶媒中のアミノ化合物の含有量は、有機溶媒に対して、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。
半導体ナノ粒子表面に負の電荷を付与し得る修飾基には、例えば、カルボキシレート基(−COO-)またはスルホネート基(−SO3 -)がある。
負の電荷を付与し得る化合物には、例えば、メルカプトプロピオン酸ナトリウムおよび3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウムなどがある。
前記負の電荷を付与し得る化合物を、半導体ナノ粒子の表面に導入するには、半導体ナノ粒子と該化合物とを混合して攪拌すればよい。
本発明の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、例えば、以下の工程ア〜ウに沿って製造される。
ア 混合工程
混合工程は、上記表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、樹脂粒子を形成するモノマーまたはオリゴマーの一種または二種以上とを混合する工程である。前記工程において、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、樹脂粒子を構成するモノマーまたはオリゴマーとに加えて、必要に応じて、界面活性剤、プロトン供給剤もしくはプロトン受容剤、または反応促進剤を混合してもよい。
界面活性剤
界面活性剤は、例えば、乳化作用を有する界面活性剤を、モノマーまたはオリゴマーに対して10〜60重量%の範囲で加えることで、任意の粒子径を有する半導体ナノ粒子を得ることができる。界面活性剤の割合を増やすと、さらに小さい粒子も作製可能となり、界面活性剤の割合を減らすとさらに大きい粒子も作製可能となる。また、粒子作製時の界面活性剤は0.1〜3.0重量%の範囲内で、所望の粒子径に応じて任意に選択することができる。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系およびカチオン系のすべての界面活性剤が用いられる。このうち、樹脂粒子の粒径の変動係数に与える界面活性剤の電荷の影響の大きさは、正の電荷を有するモノマーまたはオリゴマーに対しては、ノニオン系>アニオン系>カチオン系の関係となるため、アニオン系またはノニオン系の界面活性剤を用いることが好ましい。一方、負の電荷を有するモノマーまたはオリゴマーに対する界面活性剤の電荷の影響の大きさは、ノニオン系>カチオン系>アニオン系の関係となるため、カチオン系またはノニオン系の界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系の界面活性剤には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等がある。ノニオン系の界面活性剤には、例えば、ポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンアルキルエーテル等がある。カチオン系の界面活性剤には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等がある。
モノマーまたはオリゴマーと、界面活性剤との重量比は、モノマーまたはオリゴマー:界面活性剤=10:1〜10:6となるように設定することが好ましい。
プロトン供給剤またはプロトン受容剤
樹脂に半導体ナノ粒子を内包させる場合、モノマーまたはオリゴマー中の正電荷となる置換基、または半導体ナノ粒子に結合した表面修飾基に、プロトン(H+)を積極的に供給して正電荷を供給するプロトン供給剤を用いることもできる。プロトン供給剤には、例えば、ギ酸、酢酸およびパラトルエンスルホン酸などがある。モノマーまたはオリゴマー中の置換基、または半導体ナノ粒子に結合した表面修飾基がカルボキシル基(−COOH)またはスルホン酸基(−SO3H)等である場合、これらの基自体がプロトン供給剤として機能することもできる。
一方、樹脂中の負電荷となる置換基、または半導体ナノ粒子に結合した表面修飾基から、H+を積極的に抜き取るプロトン受容剤を用いることもできる。プロトン受容剤には、例えば、水酸化ナトリウム等の塩基がある。
反応促進剤
反応促進剤として、例えば、酸が用いられる。メラミン、尿素、キシレンおよびフェノールは、いずれも酸触媒により反応が促進されることが知られている。酸には、例えば、ギ酸、酢酸、硫酸、塩酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸などがある。樹脂の反応は加温のみでも進行するが、反応促進剤を加えるとより低温でも進行するため、反応または性能を制御できる範囲で添加することができる。
イ 重合工程
重合工程は、モノマーまたはオリゴマーを、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子とともに熱硬化、すなわち重合させて半導体ナノ粒子内包樹脂粒子を形成する工程である。重合工程の反応条件(熱硬化温度、重合時間)は、重合させるモノマーまたはオリゴマーの組成から決定され、公知の方法に即している。ここで、反応温度は、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の性能が低下しない反応条件、すなわち半導体ナノ粒子の耐熱温度範囲内とする必要がある。
例えば、樹脂としてメラミン樹脂を選択する場合、メラミンの生成反応は、通常70〜200℃、好ましくは150〜200℃である。
重合工程を行うことで、溶剤等に晒されても、内包される半導体ナノ粒子が樹脂粒子の外に溶出し難いものとなる。万が一、重合が不十分であったため、半導体ナノ粒子が樹脂粒子の外に溶出する場合には、半導体ナノ粒子と樹脂粒子とに悪影響が出ない範囲でさらに加熱処理を行って熱硬化、つまり架橋を促進させて、半導体ナノ粒子の溶出を抑制することができる。
ウ 洗浄工程
洗浄工程は、反応終了後の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の反応液から、余剰の半導体ナノ粒子、樹脂または乳化剤等の不純物を除く工程である。具体的には、反応液からこれらの余剰の成分を遠心分離し、上澄みを除去後、超純水を加えて超音波照射して再度分散させることにより洗浄を行う。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散の一連の洗浄操作は、上澄みに樹脂および半導体ナノ粒子に由来する吸光・蛍光が見られなくなるまで、複数回繰り返し行うことが好ましい。
(半導体ナノ粒子内包樹脂粒子)
前記半導体ナノ粒子内包樹脂粒子は、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と樹脂粒子とが互いに反対の電荷を有している。半導体ナノ粒子に付いた表面修飾基が正電荷を持つ場合は、これを内包する樹脂粒子は負電荷を持ち、半導体ナノ粒子に付いた表面修飾基が負電荷を持つ場合は、これを内包する樹脂粒子は正電荷を持つ。これにより、表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と樹脂粒子とは静電力によって強く引き合い、半導体ナノ粒子は樹脂粒子内に固定されやすくなるため、励起光などを照射しても耐久性を長時間に渡って維持することができると考察される。
前記のようにして得られた半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の平均粒径は、通常10〜1000nm、好ましくは20〜500nmである。半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し、粒子の断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径(面積円相当径)として求めることができる。半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の平均粒径および変動係数のうち、平均粒径は十分な数(例えば、300個)の粒子について、前記のように算出した粒子径の算術平均として算出され、変動係数は100×粒径の標準偏差/平均粒径により算出される。
[組織染色用染色剤および組織染色法]
本発明の組織染色用染色剤は、前記半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなる。
前記組織染色用染色剤は、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子に免疫染色用のリンカー等を付加することによって調製される。半導体ナノ粒子内包樹脂粒子に付加するリンカーには、例えば、ストレプトアビジン−ビオチン等のリンカーがあるが、これに限定されない。
前記ストレプトアビジン−ビオチンのリンカーの付加は、例えば、以下のようにして行う。すなわち、ストレプトアビジンに対して、例えば、チオール基導入試薬によりチオール基を付加する。一方、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の表面に対してアミノ基導入試薬によりアミノ基を導入した後、アミノ基と反応する活性エステルとチオール基と反応するマレイミド基を両端に有するPEG等のリンカーを用いて、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子とストレプトアビジンとをリンクさせる方法である。
アミノ基導入試薬には、例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。チオール基導入試薬には、N−スクシンイミジル−S−アセチルチオ酢酸があり、該アミノ基導入試薬と上記の付加自体は公知の方法で行うことができる。
本発明の組織染色法は、前記組織染色用染色剤を用いたものであり、前記半導体ナノ粒子内包樹脂粒子を免疫染色用の蛍光標識体として、検出対象の生体物質を染色する蛍光染色法である。例えば、特定の抗原に対して免疫染色を行う場合には、上記リンカーを介して半導体ナノ粒子内包樹脂粒子と一次抗体を直接結合した蛍光標識体(コンジュゲート)を作製し、抗原を染色する方法(一次抗体法)、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子と二次抗体とを直接結合した蛍光標識体を作製し、該蛍光標識体を用いて、抗原に一次抗体を結合したものを染色する方法(二次抗体法)、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子とビオチンとを直接結合した蛍光標識体を作製し、該蛍光標識体を用いて、抗原に一次抗体、および、アビジンまたはストレプトアビジン修飾した二次抗体を結合したものに対して染色する方法、同様に半導体ナノ粒子内包樹脂粒子にアビジンまたはストレプトアビジンを直接結合した蛍光標識体を作製し、抗原に一次抗体、および、ビオチン修飾した二次抗体を結合したものを用いて染色する方法(ビオチン−アビジン法またはサンドイッチ法)等を用いることができる。
免疫染色に用いる一次抗体はいかなるものでも構わず、免疫染色を行いたい対象によって変わる。例えば、HER2を抗原とする免疫染色を行う場合には、抗HER2抗体を用いる。また、二次抗体はいかなるものを用いても構わず、一次抗体によって変わる。例えば、抗マウス、抗ラビット、抗牛、抗ヤギ、抗羊、抗イヌ、および、抗チキン抗体が挙げられる。
半導体ナノ粒子内包樹脂粒子と、抗体またはビオチンとの結合方法は、既存のいかなる方法を用いても構わない。例えば、アミンとカルボン酸との反応によるアミド化、マレイミドとチオールとの反応によるスルフィド化、アルデヒドとアミンとの反応によるイミノ化、および、エポキシとアミンとの反応によるアミノ化等を用いることができる。
なお、上記の免疫染色は、組織染色に限定されるものではなく、細胞染色に適用することもできる。また、検出対象とする生体物質は、それと特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではない。典型的には、前記した抗原および抗体の組み合わせが用いられるが、例えば、核酸分子(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)とこれにハイブリダイズしうる配列の核酸分子との組み合わせを用いることもできる。
(蛍光観察)
蛍光観察は、前記のようにして組織染色が施された組織切片に、半導体ナノ粒子内包樹脂粒子の半導体ナノ粒子の種類に応じた適切な波長を有する励起光を照射して、半導体ナノ粒子が発する蛍光を観察する方法である。このような方法によりその組織切片に存在する所定の生体分子を検出することで、例えば、HER2を標識とするハーセプチンのような抗体医薬の適用の要否を判断するための情報として利用することができる。
励起光の照射には、一般的な蛍光観察と同様の照射手段が用いられ、例えば、蛍光顕微鏡が備えるレーザ光源から、必要に応じて所定の波長を選択すればよい。
蛍光の観察は、蛍光顕微鏡の鏡筒から行ってもよいし、蛍光顕微鏡に設置されたカメラが撮影した画像を別途表示手段(モニタ等)に表示して行ってもよい。このような表示手段によれば、半導体ナノ粒子の種類によるが、蛍光顕微鏡の鏡筒から、目視によっては十分に蛍光を観察することができない場合でも、カメラによる画像の撮影を通じて蛍光を観察することが可能な場合もある。また、必要に応じて所定の波長を選択的に通過させるフィルタを用いてもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔調製例〕CdSe/ZnS半導体ナノ粒子の調製
アルゴン気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、および、酸化カドミウム250mgを加え、370℃に加熱混合した。これを270℃まで放冷した後、トリブチルホスフィン2.5mLにセレン200mgを溶解させた溶液を加え、減圧乾燥し、トリ−n−オクチルホスフィンオキシドで被覆されたカドミウムセレニド(CdSe)コア半導体ナノ粒子を得た。
得られたCdSeコア半導体ナノ粒子に、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド15gを加えて加熱し、引き続き270℃でトリオクチルホスフィン10mLにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.1gを溶解した溶液を加え、CdSe/ZnS半導体ナノ粒子を含む分散液を得た。
〔実施例1〕
(表面修飾基としてカルボン酸塩(カルボキシレート基)を持つCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を内包するメラミン樹脂粒子(以下「メラミン樹脂ナノ粒子1」という。)の調製)
調製例で得られたCdSe/ZnS半導体ナノ粒子の濃度が5質量%となるように、デカンに分散させた。この分散液10μLにプロピオン酸ナトリウム0.5mLを添加し、室温で撹拌することにより、表面修飾を行った。反応混合物に純水2.5mLを添加した後、ホットスターラーにより溶液の温度を70℃に維持ながら20分間撹拌した。撹拌後の溶液に、メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業(株)製)1.5gを加え、さらに同一条件で5分間加熱撹拌した。
撹拌後の溶液にギ酸100μLを加え、溶液の温度を60℃に維持しながら20分間攪拌した後、該溶液を放置して室温まで冷却した。冷却した後の溶液を複数の遠心用チューブに分注して、12,000rpmで20分間遠心分離して、溶液に混合物として含まれるメラミン樹脂ナノ粒子を沈殿させて上澄みを除去した。その後、沈殿した粒子の洗浄をエタノールと水で行った。平均粒子径が150nmのメラミン樹脂ナノ粒子1を調製した。
(組織染色用染色剤(以下「染色剤1」という。)の調製)
メラミン樹脂ナノ粒子1の表面マレイミド化処理
メラミン樹脂ナノ粒子1を0.1mg採取してエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業株式会社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、メラミン樹脂ナノ粒子1の表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換するアミノ化処理を行った。
2mMのエチレンジアミン四酢酸(略称:EDTA)を含有したリン酸緩衝生理食塩水(略称:PBS)を用いて、得られたメラミン樹脂ナノ粒子1の濃度を3nMに調整した。濃度調整したメラミン樹脂ナノ粒子1の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)12(スクシンイミジル−[(N−マレイミドプロピオンアミド)−ドデカエチレングリコール]エステル;サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を混合し、20℃で1時間反応させて、末端にマレイミドが付いたメラミン樹脂ナノ粒子1を含む混合液を得た。
この混合液を10,000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行い、表面をマレイミド化したメラミン樹脂ナノ粒子1(以下「マレイミド化メラミン樹脂ナノ粒子1」という。)を得た。
ストレプトアビジンのチオール化
ストレプトアビジン(和光純薬工業(株)製)に対して、N−スクシンイミジル−S−アセチルチオ酢酸(略称:SATA)(Pierce社製)を用いてチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過により過剰の反応試薬を除去することにより、チオール化ストレプトアビジンを得た。
マレイミド化メラミン樹脂ナノ粒子1とチオール化ストレプトアビジンとの結合
マレイミド化メラミン樹脂ナノ粒子1を10nMと、チオール化ストレプトアビジン1000nMとを、2mMのEDTAを含有するPBS 1mL中に添加した後、室温で1時間撹拌した。精製用ゲル濾過カラム(カラムの種類;Pierce社製)を用いて未反応のチオール化ストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合したメラミン樹脂ナノ粒子(すなわち、染色剤1)を得た。
〔比較例1〕
(表面修飾分子がドデシルアミンであるCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を内包するガラスナノ粒子の調製)
調製例で得られたCdSe/ZnS半導体ナノ粒子の濃度が10質量%となるように、貧溶媒であるアセトンに分散させ、CdSe/ZnS半導体ナノ粒子を沈殿させ、濾別した。この沈殿0.1mgにドデシルアミン0.1mgおよびエタノール1mLを添加し、1時間強撹拌することにより表面修飾を行い、水溶化半導体ナノ粒子を得た。この水溶化半導体ナノ粒子に、テトラエトキシシラン(略称:TEOS)0.1mg、水0.01mLおよびアンモニア水0.03mLを添加して加水分解を行うことで、平均粒子径が160nmのガラスナノ粒子(以下単に「ガラスナノ粒子」という。)を得た。
(組織染色用染色剤(以下「染色剤2」という。)の調製)
実施例1において、メラミン樹脂ナノ粒子1の代わりにガラスナノ粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、染色剤2を調製した。
〔比較例2〕
(カルボン酸塩を持つ蛍光色素を内包するメラミン樹脂ナノ粒子の調製)
フルオレセイン(ナカライテスク(株)製)2.5mgを純水22.5mLに溶解した後、ホットスターラーにより溶液の温度を70℃に維持しながら20分間撹拌した。撹拌後の溶液に、メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業(株)製)1.5gを加え、さらに同一条件で5分間加熱撹拌した。
撹拌後の溶液にギ酸100μLを加え、溶液の温度を60℃に維持しながら20分間攪拌した後、該溶液を放置して室温まで冷却した。冷却した後の溶液を複数の遠心用チューブに分注して、12,000rpmで20分間遠心分離して、溶液に混合物として含まれるメラミン樹脂ナノ粒子を沈殿させて上澄みを除去した。その後、沈殿した粒子の洗浄をエタノールと水で行い、平均粒子径が155nmのメラミン樹脂ナノ粒子を得た。
(組織染色用染色剤(以下「染色剤3」という。)の調製)
実施例1において、メラミン樹脂ナノ粒子1の代わりに前記メラミン樹脂ナノ粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、染色剤3を調製した。
〔実施例2〕
実施例1で得られた染色剤1を用いて、乳がん組織HER2染色を行った。
乳がん組織切片がスライドにスポットされた組織アレイ(USBiomax社製;BR243)について、通常の脱パラフィンおよび親水化処理を行った後、抗HER2抗体、ビオチン化抗マウス抗体および染色剤1の順に反応させた。次いで、ここにヘマトキシリンを用いた核染色を行った。エタノールおよびキシレンの順に浸漬させた後、非水系封入剤で封入して観察スライドとした。
キシレン浸漬時の浸漬液の着色の有無を目視にて観察した。着色が「無」の場合を○、「有」の場合を×とした。
蛍光顕微鏡「BX−53」(オリンパス(株)製)を用い、免疫染色像(400倍)の撮影には、該蛍光顕微鏡に取り付けた顕微鏡用デジタルカメラ「DP73」(オリンパス(株)製)を用いた。蛍光体として用いたQdot 655に対応させて、照射する励起光の波長は、蛍光顕微鏡が備える励起光用光学フィルター((株)オプトライン製「QD655−C」)を用いて415〜455nmに設定し、観察する蛍光の波長は、蛍光用光学フィルターを用いて648〜663nmに設定した。蛍光顕微鏡による観察および画像撮影時の励起光の強度は、視野中心部付近の照射エネルギーが30W/cm2になるようにした。画像撮影時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないような範囲で調節し、例えば、400秒に設定した。1枚のスライドにつき3視野の撮影を行い、蛍光強度はそれらの平均値とした。
蛍光強度の計測は、画像処理ソフトウェア「ImageJ」(オープンソース)を用いて撮影画像を処理することで行った。蛍光体が発する蛍光の輝度が所定の値以上となる領域を抽出し、その領域を構成する蛍光強度の総和を求めた。蛍光強度が90以上の場合を◎、50〜89の場合を○、49以下の場合を×とした。
観察用励起光を10分間照射した場合の、照射前後の蛍光強度の変化、すなわち、照射前に対する照射後の蛍光強度の相対値を求めた。蛍光強度の相対値が90以上の場合を○、60〜89の場合を△、59以下の場合を×とした。
結果を表1に示す。
〔実施例3〕
(表面修飾基としてアンモニウム基を持つCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を内包するポリ乳酸粒子(以下「ポリ乳酸ナノ粒子」という。)の調製)
調製例で得られたCdSe/ZnS半導体ナノ粒子の濃度が5質量%となるように、デカンに分散させた。この分散液10μLに2−アミノエタンチオール塩酸塩0.5mLを添加し、室温で撹拌することにより、表面修飾を行った。
ポリ乳酸(Mn4900、和光純薬工業(株)製)100mgをアセトン2〜6mLに溶解し、この溶液中に上記表面修飾したCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を添加した。これを室温で30分間静置後、ピペットを用いて攪拌下の40mLの水中に添加することにより、ポリ乳酸ナノ粒子の懸濁液を調製した。得られたポリ乳酸ナノ粒子の懸濁液中に0.5Mクエン酸ナトリウム水溶液1mLおよびTween80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート]水溶液(200mg/mL)100μLを添加した。その後、このポリ乳酸ナノ粒子の懸濁液を限外濾過(YM−50、Amicon社製)、さらにフィルター濾過(5μm;ミリポア社製)処理することでポリ乳酸ナノ粒子を精製した。平均粒子径が160nmのポリ乳酸ナノ粒子を調製した。
(組織染色用染色剤の調製)
実施例1において、メラミン樹脂ナノ粒子1の代わりに、ポリ乳酸ナノ粒子を用いたことと、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業(株)製)2μLの代わりに、ジアミノエタン(関東化学(株)製)2μLおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ストレプトアビジンが結合したポリ乳酸樹脂ナノ粒子(すなわち、染色剤5)を調製した。
〔実施例4〕
実施例2において、染色剤1の代わりに染色剤5を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、乳がん組織HER2染色および蛍光強度を計測した。
結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例2において、染色剤1の代わりに染色剤2を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、乳がん組織HER2染色および蛍光強度を計測した。
結果を表1に示す。
〔比較例4〕
実施例2において、染色剤1の代わりに染色剤3を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、乳がん組織HER2染色および蛍光強度を計測した。
結果を表1に示す。
〔実施例5〕
乳がん組織切片がスライドにスポットされた組織アレイ(USBiomax社製BR243)について、通常の脱パラフィンおよび親水化処理を行った後、抗Ki67抗体、ビオチン化抗マウス抗体および染色剤1の順に反応させた。次いで、ここにヘマトキシリンを用いた核染色を行った。エタノールおよびキシレンの順に浸漬させた後、非水系封入剤で封入して観察スライドとした。
蛍光顕微鏡(オリンパス(株)製)を用いて、実施例2と同様にして、蛍光像(免疫染色像(400倍))を撮影し、蛍光強度を計測した。
観察スライドを6月間冷暗所に放置した後、再び蛍光像を撮影し、蛍光強度を計測し、保存前の蛍光強度に対する相対値を求めた。
結果を表2に示す。
〔実施例6〕
(表面修飾基としてスルホン酸塩(スルホネート基)を持つCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を内包するメラミン樹脂ナノ粒子(以下「メラミン樹脂ナノ粒子2」という。)の調製)
調製例で得られたCdSe/ZnS半導体ナノ粒子の濃度が5質量%となるように、デカンに分散させた。この分散液10μLに3−メルカプト−1−プロパン酸スルホン酸ナトリウム0.5mLを添加し、室温で撹拌することにより、表面修飾を行った。反応混合物に純水2.5mLを添加した後、ホットスターラーにより溶液の温度を70℃に維持ながら20分間撹拌した。撹拌後の溶液に、メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業(株)製)1.9gを加え、さらに同一条件で5分間加熱撹拌した。
撹拌後の溶液にギ酸100μLを加え、溶液の温度を60℃に維持しながら20分間攪拌した後、該溶液を放置して室温まで冷却した。冷却した後の溶液を複数の遠心用チューブに分注して、12,000rpmで20分間遠心分離して、溶液に混合物として含まれるメラミン樹脂ナノ粒子を沈殿させて上澄みを除去した。その後、沈殿した粒子の洗浄をエタノールと水で行った。平均粒子径が150nmのメラミン樹脂ナノ粒子2を調製した。
(組織染色用染色剤(以下「染色剤4」という。)の調製)
実施例1において、メラミン樹脂ナノ粒子1の代わりにメラミン樹脂ナノ粒子2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、染色剤4を調製した。
〔実施例7〕
実施例5において、染色剤1の代わりに染色剤4を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、乳がん組織Ki67染色および蛍光強度を計測した。
結果を表2に示す。

Claims (3)

  1. 表面修飾基を有する半導体ナノ粒子と、該半導体ナノ粒子を内包した樹脂粒子とからな
    り、該表面修飾基を有する半導体ナノ粒子の表面が負の電荷を帯び、該樹脂粒子の有する官能基が正の電荷を帯び、該樹脂粒子がメラミン樹脂の粒子であることを特徴とする半導体ナノ粒子内包樹脂粒子。
  2. 請求項1記載の半導体ナノ粒子内包樹脂粒子からなる組織染色用染色剤。
  3. 請求項に記載の組織染色用染色剤を用いた組織染色法。
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