以下に、本発明の実施の形態にかかる移動局、基地局、無線通信システムおよび通信方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる無線通信システム300の構成例を示す図である。無線通信システム300は、基地局100,110と、基地局100と接続するアンテナ101,102と、基地局110と接続するアンテナ111,112と、移動局210,220,230と、を備える。本実施の形態では、一例として、無線通信システム300は列車無線システムとし、移動局210〜230は列車とする。移動局210〜230は、実際には列車に搭載された通信装置によって、基地局100,110と通信を行う。アンテナ101,102,111,112は、列車である移動局210〜230の走行経路であるレールに沿って配置されているものとする。
基地局100は、2つのアンテナ101,102のカバーエリアから構成されるセル103をカバーエリアとする。基地局100は、アンテナ101,102から同一周波数で同一内容の信号を送信する。基地局100は、周波数f1でアンテナ101,102から信号を送信する。実施の形態1ではアンテナ101,102は無指向性アンテナとする。
基地局110は、2つのアンテナ111,112のカバーエリアから構成されるセル113をカバーエリアとする。基地局110は、アンテナ111,112から同一周波数で同一内容の信号を送信する。基地局110は、周波数f2でアンテナ111,112から信号を送信する。実施の形態1ではアンテナ111,112は無指向性アンテナとする。
無線通信システム300は、図1の例では2つの基地局100,110を備えているが、3つ以上の基地局を備えていてもよい。例えば、無線通信システム300において、基地局110の右側に基地局120,130が設置されている場合、基地局110の右隣の基地局120は周波数f1で信号を送信し、基地局120の右隣の基地局130は周波数f2で信号を送信し、複数の基地局が交互に異なる周波数で信号を送信するものとする。なお、無線通信システム300では、複数の基地局において、2つの周波数を繰り返して交互に使用する場合に限定せず、1つの周波数のみを使用してもよいし、3つ以上の周波数を繰り返して使用してもよい。
図1において、移動局210,220は図1の左方向を順方向として走行し、移動局230は図1の右方向を順方向として走行する。なお、移動局230はセル103の端に存在し、セル103からセル113へハンドオーバする方向に走行している。以降、移動局210〜230を総称する場合、移動局群200と称する。
移動局210〜230の構成について説明する。図2は、実施の形態1にかかる移動局210の構成例を示すブロック図である。移動局210〜230は同一構成のため、移動局210を例にして構成を説明する。移動局210は、RF(Radio Frequency)部201と、ベースバンド部202と、移動管理部203と、メイン処理部204と、電源206と、記憶部207と、アンテナ208と、を備える。なお、移動管理部203およびメイン処理部204によって制御部205を構成する。
RF部201は、ベースバンド部202からのベースバンド信号の変調、および、アンテナ208で受信された信号のベースバンド信号への復調などを行う。RF部201は、例えば、汎用のIC(Integrated Circuit)で実現される。
ベースバンド部202は、送信する信号の変調およびA/D(Analog/Digital)変換、および、RF部201で復調されたベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換および復調など、OSI(Open SYSTEMS Interconnection)参照モデルのレイヤ2,3に相当する処理を行う。ベースバンド部202は、例えば、汎用のICで実現される。
移動管理部203は、自移動局の移動を管理する機能部であり、例えば、自移動局が存在する基地局またはアンテナのカバーエリアを管理する。
メイン処理部204は、自移動局の移動管理を除くアプリケーション処理を行う機能部であり、本実施の形態において特徴的な処理である後述するアンテナ通過の検知を行う。
電源206は、移動局210の各部に電力を供給する。
記憶部207は、メイン処理部204の制御により、自移動局と接続する基地局から取得した同一信号を送信してセルを構成するアンテナの数の情報を示すアンテナ数Cant、および、自移動局がセルで通過したアンテナの数の情報を示す通過回数Cpassなどを記憶する。
アンテナ208は、基地局100,110との間で信号を送受信する。なお、図2では、移動局210は、アンテナ208を1つのみ備えているが、例えば、全ての周波数を1つのアンテナ208で送受信してもよいし、1つの周波数のみを送受信するアンテナ208を複数備えていてもよい。
移動局210において、制御部205は、基地局100,110から受信した報知信号に含まれるアンテナ数Cant、および通過回数Cpassに基づいて、自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出する。
基地局100,110の構成について説明する。図3は、実施の形態1にかかる基地局100の構成例を示すブロック図である。基地局100,110は同一構成のため、基地局100を例にして構成を説明する。基地局100は、IDU(In Door Unit)104と、移動局管理部105と、電源106と、記憶部107と、を備える。
IDU104は、自基地局と接続している移動局に送信する無線信号を光信号に変換し、光ケーブル108およびODU(Out Door Unit)109経由でアンテナ101,102に出力する。
移動局管理部105は、自基地局と接続している移動局の管理を行い、データを送信する際の宛先判断などを行う。
電源106は、基地局100の各部に電力を供給する。
記憶部107は、自基地局のセル103を構成するアンテナ101,102の本数の情報を示すアンテナ数Cantの情報を記憶している。記憶部107は、具体的にアンテナ数Cantとして「2」を記憶している。なお、図1に示す無線通信システム300の例では、基地局110の記憶部107が記憶しているアンテナ数Cantも「2」となる。
光ケーブル108は、IDU104とODU109とを接続する通信線である。ODU109は、光ケーブル108を介してIDU104から受信した光信号を無線信号に変換し、アンテナ101およびアンテナ102へそれぞれ転送する。図1では、実際には基地局100とアンテナ101,102との間、および基地局110とアンテナ111,112との間にはODU109が配置されているが、ODU109の記載は省略している。なお、図3では光ケーブル108およびODU109は基地局100の外部の構成としているが、光ケーブル108およびODU109を含めて基地局100として扱ってもよい。
基地局100は、自基地局と接続している移動局に対して、アンテナ101,102を介して周波数f1で報知する報知信号に、アンテナ数Cantを含めて送信する。同様に、基地局110は、自基地局と接続している移動局に対して、アンテナ111,112を介して周波数f2で報知する報知信号に、アンテナ数Cantを含めて送信する。
つづいて、移動局210〜230において、接続する基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出する処理について説明する。まず、移動局210〜230がアンテナ数Cantの情報を取得するまでの処理について説明する。
基地局100では、移動局管理部105が、記憶部107からアンテナ数Cantを取得する。移動局管理部105は、IDU104、光ケーブル108、およびODU109を経由して、アンテナ101,102から、アンテナ数Cantを含む報知信号を、セル103内で自基地局と接続している移動局に送信する。また、基地局110では、移動局管理部105が、記憶部107からアンテナ数Cantを取得する。移動局管理部105は、IDU104、光ケーブル108、およびODU109を経由して、アンテナ111,112から、アンテナ数Cantを含む報知信号を、セル113内で自基地局と接続している移動局に送信する。
移動局210〜230は、自移動局が存在するセルの基地局との接続を確立することで報知信号を受信し、ベースバンド部202で受信した報知信号の受信処理をすることで報知信号に含まれるアンテナ数Cantを取得する。これにより、移動局210〜230は、自移動局が接続する基地局に接続されるアンテナの数、すなわち、自移動局が存在するセルのアンテナの数を示すアンテナ数Cantを取得する。移動局210〜230において、メイン処理部204は、取得したアンテナ数Cantを記憶部207に記憶させる。
具体的に、基地局100,110は、例えば、報知信号のフレームフォーマットにおいて決められた領域に格納されるビット列により、アンテナ数Cantの情報を含めて報知信号を送信する。移動局210〜230は、報知信号のフレームフォーマットにおいて決められた領域に格納されるビット列の情報を解析することで、アンテナ数Cantを取得する。移動局210〜230は、接続する基地局が変わるまで、すなわち、ハンドオーバにより異なる周波数での送受信を開始するまで、アンテナ数Cantを更新せずに記憶する。
なお、移動局210〜230では、基地局100,110からの信号を受信する場合、詳細には、基地局100,110と接続するアンテナから送信された信号を受信することになる。具体的に、移動局210〜230は、基地局100からの信号は、アンテナ101,102から送信された信号を受信することになる。同様に、移動局210〜230は、基地局110からの信号は、アンテナ111,112から送信された信号を受信することになる。以降の説明において、移動局210〜230が信号を受信する場合、便宜的に基地局100,110からの信号を受信すると記載し、アンテナから送信された信号を受信したとは記載しない場合がある。
図4は、実施の形態1にかかる基地局100において報知信号を送信する処理を示すフローチャートである。基地局100,110の動作は同様のため、基地局100を例にして説明する。基地局100では、移動局管理部105が、記憶部107からアンテナ数Cantを読み出す(ステップS1)。移動局管理部105は、アンテナ数Cantを含む報知信号を生成し(ステップS2)、IDU104、光ケーブル108、およびODU109を経由して、アンテナ101,102から報知信号を送信する(ステップS3)。
図5は、実施の形態1にかかる移動局210においてアンテナ数Cantの情報を取得する処理を示すフローチャートである。移動局210〜230の動作は同様のため、移動局210を例にして説明する。移動局210では、アンテナ208、RF部201、およびベースバンド部202経由で、メイン処理部204が、基地局100からの報知信号を受信する(ステップS11)。メイン処理部204は、報知信号からアンテナ数Cantの情報を抽出し(ステップS12)、アンテナ数Cantを記憶部207に記憶させる(ステップS13)。メイン処理部204は、自移動局がハンドオーバするごとにハンドオーバ先の基地局から受信した報知信号からアンテナ数を抽出し、記憶部207に記憶されたアンテナ数Cantを更新するものとする。
つぎに、移動局210〜230が、接続する基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出する処理について説明する。
移動局210〜230は、自移動局が存在するセルにおけるアンテナの通過回数Cpassの情報を、記憶部207に記憶している。通過回数Cpassの初期値は「0」である。移動局210〜230は、ハンドオーバの完了に伴い通過回数Cpassを初期値の「0」に設定し、ハンドオーバ先のセルでアンテナを通過する度に通過回数Cpassを1ずつカウントアップする。
本実施の形態における移動局210〜230の特徴として、移動局210〜230は、ドップラシフトを利用して、すなわち、アンテナ208で受信する基地局100,110からの信号の周波数の変化を検出することでセルにおいてアンテナの通過を検出し、通過回数Cpassを1カウントアップする。ドップラシフトは、移動局210〜230において、発信源、図1の例ではアンテナ101,102,111,112に近づくときに受信する信号の周波数である受信周波数が、発信源が送信する信号の周波数である発信周波数よりも高くなり、発信源から遠ざかるときに受信する信号の受信周波数が発信周波数よりも低くなる現象である。移動局210〜230では、このドップラシフトの現象を利用し、受信周波数と発信周波数との大小関係が逆転する点を検出することで、発信源であるアンテナの通過を検出する。
具体的に、移動局210〜230では、アンテナ208で受信した基地局からの信号、詳細には基地局と接続するアンテナからの信号はRF部201およびベースバンド部202経由でメイン処理部204に送信される。移動局210〜230において、メイン処理部204は、受信した信号の受信周波数の情報を都度ベースバンド部202から取得しており、受信周波数の最高周波数および最低周波数の有効値をそれぞれ観測して更新する。メイン処理部204は、最高周波数および最低周波数の観測について、一定時間、例えば、自移動局が10個のアンテナを通過するまでの間行う。メイン処理部204は、観測終了後、最後に保持している最高周波数および最低周波数から中間の周波数を算出し、算出した中間の周波数を発信周波数とする。メイン処理部204は、発信周波数を基準にして、基地局、詳細には基地局と接続するアンテナから受信した信号の受信周波数が、発信周波数より高い周波数から低い周波数に変わったことを検出することで、アンテナの通過を検出する。
図6は、実施の形態1にかかる移動局210〜230が、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出する処理を示すフローチャートである。移動局210〜230では、アンテナ208、RF部201、およびベースバンド部202を介して、メイン処理部204が基地局からの信号を受信する(ステップS21)。
メイン処理部204は、受信周波数と発信周波数との差分を計算して記憶する(ステップS22)。メイン処理部204は、受信周波数と発信周波数との差分の計算では、受信周波数から発信周波数を減算してもよいし、発信周波数から受信周波数を減算してもよい。メイン処理部204は、算出した差分の値である差分値を記憶部207に記憶してもよいし、図示しないメイン処理部204内のメモリに記憶してもよい。メイン処理部204は、基地局から信号を受信する度に、受信周波数と発信周波数との差分を計算する。
メイン処理部204は、算出した差分値の符号と内部または記憶部207で記憶している前回算出した差分値の符号とを比較し、今回算出した差分値の符号が前回算出した差分値の符号と同じか否かを判断する(ステップS23)。メイン処理部204は、具体的に、前回算出した差分値の符号が正で今回算出した差分値の符号が正の場合、または、前回算出した差分値の符号が負で今回算出した差分値の符号が負の場合、符号が同じと判断する。一方、メイン処理部204は、前回算出した差分値の符号が正で今回算出した差分値の符号が負の場合、または、前回算出した差分値の符号が負で今回算出した差分値の符号が正の場合、符号が異なると判断する。
メイン処理部204は、比較した2つの差分値の符号が異なっている場合(ステップS23:No)、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検知したとして、通過回数Cpassを1つカウントアップする(ステップS24)。メイン処理部204は、更新した通過回数Cpassを記憶部207に記憶させ、記憶部207の通過回数Cpassの情報を更新する(ステップS25)。一方、メイン処理部204は、比較した2つの差分値の符号が同じ場合(ステップS23:Yes)、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検知していないとして、ステップS24およびステップS25の処理をせず終了する。
このように、メイン処理部204は、受信した信号の周波数である受信周波数と、アンテナから送信されたときの信号の周波数である発信周波数との差分に基づいて、アンテナの通過を検出する。以上の処理により、移動局210〜230は、ドップラシフトによる周波数の変化に基づいて、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出し、通過回数Cpassをカウントアップしていくことで、セルにおいてアンテナの通過回数を把握することができる。なお、本実施の形態において、移動局210〜230がアンテナを通過したと判断するタイミングは、図1に示す無線通信システム300において、移動局210〜230が各アンテナの設置されている地点を通過したときではない。移動局210〜230がアンテナを通過したと判断するタイミングは、移動局210〜230において、各アンテナが設置されている地点を通過後、アンテナからの信号の受信周波数が発信周波数よりも小さくなったタイミングとなる。
つぎに、移動局210〜230が、自移動局が接続している基地局のセルにおいて、自移動局が存在するアンテナのカバーエリアの管理方法について説明する。
図7は、実施の形態1にかかる移動局210〜230の記憶部207が記憶している、接続している基地局が使用する周波数が周波数f1のときのアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassの関係を示すテーブル500の例を示す図である。また、図8は、実施の形態1にかかる移動局210〜230の記憶部207が記憶している、接続している基地局が使用する周波数が周波数f2のときのアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassの関係を示すテーブル501の例を示す図である。移動管理部203は、記憶部207が記憶しているデータベースであるテーブル500,501に基づいて、自移動局が存在するアンテナのカバーエリアの周波数を管理している。なお、移動局210〜230がカバーエリアの周波数を管理する際に使用するテーブル500,501は一例であり、図7および図8に示す内容に限定されるものではない。
図7および図8に示すテーブル500,501は、アンテナ数Cantおよび通過回数Cpassに対応する周波数を示すものである。移動局210〜230は、存在するセルで使用される周波数が周波数f1の場合は図7のテーブル500を参照し、存在するセルで使用される周波数が周波数f2の場合は図8のテーブル501を参照する。
具体的に、図1に示す無線通信システム300の移動局210において、移動管理部203が、図7に示すテーブル500を用いて自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出する方法について説明する。
図1に示すように、移動局210は基地局100のセル103に存在しており、アンテナ102を通過し、アンテナ101のカバーエリア内に存在している。基地局100の使用周波数は周波数f1である。移動管理部203は、記憶部207に記憶されているアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassを参照する。移動管理部203は、セル103においてアンテナ数Cantは「2」であるから、テーブル500において、アンテナ数Cantが「2」の行を参照する。また、移動管理部203は、セル103内のアンテナを1度、具体的にはアンテナ102を通過しているため、テーブル500において、通過回数Cpassが「1」の列を参照する。
移動局210において、移動管理部203は、テーブル500の2行2列目を参照し、現在の使用周波数が周波数f1であることが分かる。また、移動管理部203は、もう一度アンテナ、具体的にはアンテナ101を通過した場合には、通過回数Cpassが1つ増えて「2」となり、テーブル500の2行3列目を参照する。その結果、移動管理部203は、使用周波数が周波数f2に変わることから、自移動局がセル103内の最後のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出できる。
すなわち、移動管理部203は、セル103において、現在受信している周波数f1で信号を送信する最後のアンテナ101のカバーエリアに存在していると認識できる。より簡単な例として、アンテナ数Cantが「2」で通過回数Cpassが「1」であることから、移動管理部203は、セル103を構成する2つのアンテナのうち1つ目を通過していることが分かり、2つ目のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出できる。
移動局210の移動管理部203は、周波数f1のセルに存在していることが分かるため、例えば、ハンドオーバ時またはリンク切断後の再接続時などにおいて、基地局から報知信号を受信することなく、テーブル500を参照することで即座に周波数選択を実行することができる。すなわち、移動局210の移動管理部203は、周波数f1を選択すればよいと容易に判断できる。
つぎに、移動局220において、移動管理部203が、図8に示すテーブル501を用いて自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出する方法について説明する。
図1に示すように、移動局220は基地局110のセル113に存在しており、アンテナ112のカバーエリア内に存在している。基地局110の使用周波数は周波数f2である。移動管理部203は、記憶部207に記憶されているアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassを参照する。移動管理部203は、セル113においてアンテナ数Cantは「2」であるから、テーブル501において、アンテナ数Cantが「2」の行を参照する。また、移動管理部203は、セル113内のアンテナを1度も通過していないため、テーブル501において、通過回数Cpassが「0」の列を参照する。
移動局220において、移動管理部203は、テーブル501の2行1列目を参照し、現在の使用周波数が周波数f2であることが分かる。また、移動管理部203は、アンテナ112を通過すると、通過回数Cpassが1つ増えて「1」となり、テーブル501の2行2列目を参照する。その結果、移動管理部203は、使用周波数が変わらないことから、自移動局がセル103内の最初のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出できる。また、移動管理部203は、現在のセルにおいて、自移動局が最後のアンテナ以外のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出できる。
すなわち、移動管理部203は、セル113において、現在受信している周波数f2で信号を送信する最初のアンテナ112のカバーエリアに存在していると認識できる。より簡単な例として、アンテナ数Cantが「2」で通過回数Cpassが「0」であることから、移動管理部203は、セル113を構成する2つのアンテナのうち1つも通過していないことが分かり、1つ目のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出できる。
移動局220の移動管理部203は、周波数f2のセルに存在していることが分かるため、例えば、リンク切断後の再接続時などにおいて、基地局から報知信号を受信することなく、テーブル501を参照することで即座に周波数選択を実行することができる。すなわち、移動局220の移動管理部203は、周波数f2を選択すればよいと簡易な処理で判断できる。
つぎに、移動局230において、移動管理部203が、図7に示すテーブル500を用いて自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出する方法について説明する。
図1に示すように、移動局230は基地局100のセル103の端に存在しており、アンテナ102のカバーエリア内に存在している。基地局100の使用周波数は周波数f1である。移動管理部203は、記憶部207に記憶されているアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassを参照する。移動管理部203は、セル103においてアンテナ数Cantは「2」であるから、テーブル500において、アンテナ数Cantが「2」の行を参照する。また、移動管理部203は、セル103内のアンテナを1度、具体的にはアンテナ101を通過しているため、テーブル500において、通過回数Cpassが「1」の列を参照する。
移動局230において、移動管理部203は、テーブル500の2行2列目を参照し、現在の使用周波数が周波数f1であることが分かる。また、移動管理部203は、もう一度アンテナ、具体的にはアンテナ102を通過した場合には、通過回数Cpassが1つ増えて「2」となり、テーブル500の2行3列目を参照する。その結果、移動管理部203は、使用周波数が周波数f2に変わることから、自移動局がセル103内の最後のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出できる。
ここで、移動局230において、移動管理部203は、基地局110からの受信信号強度が徐々に強くなるが、テーブル500の2行3列目を参照することで、次に周波数f2のセル113に侵入すればよいことが分かる。そのため、移動管理部203は、自移動局がセル103内の最後のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出し、例えば、基地局110からの受信信号強度が規定された強度以上になったタイミングでハンドオーバを行い、セル113へ侵入する。
その後、移動局230では、セル113を構成するアンテナ111から送信される報知信号を受信することで周波数f2での通信を開始し、参照するテーブルをテーブル500からテーブル501に変更する。移動局230ではアンテナ111から基地局110の報知信号を受信するときにはまだアンテナ111を通過していないため、移動管理部203は、テーブル501の2行1列目から参照を開始する。
このように、移動局230の移動管理部203は、テーブル500を利用することで存在するセル103の周波数f1を把握できるため、自移動局がセル境界に存在しているときに再接続が発生した場合でも、セルサーチなどの処理をせずに接続するセルの周波数を選択することができる。また、移動局230では、報知信号などの受信信号電力レベルの比較を行わないため、接続する必要のない受信信号電力レベルの高いセルを誤って選択することもない。
図9は、実施の形態1にかかる移動局210〜230において自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出する処理を示すフローチャートである。移動局210〜230において、移動管理部203は、記憶部207に記憶されているアンテナ数Cantを参照し(ステップS31)、記憶部207に記憶されている通過回数Cpassを参照する(ステップS32)。移動管理部203は、アンテナ数Cantおよび通過回数Cpassに基づいて、アンテナ数Cantおよび通過回数Cpassの関係を示すテーブルの該当部分を参照する(ステップS33)。具体的に、移動管理部203は、記憶部207に記憶されているアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassの関係を示すテーブルのうち、現在のセルで使用されている周波数のテーブルの該当するアンテナ数Cantおよび通過回数Cpassの部分を参照する。
移動管理部203は、通過回数Cpassを1つカウントアップしたときにテーブルを参照して得られる周波数が、テーブルを参照して得られた現在の周波数と異なるか否かを確認する(ステップS34)。現在の周波数と異なる場合(ステップS34:Yes)、移動管理部203は、自移動局が現在のセルの最後のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出する(ステップS35)。一方、現在の周波数と同じ場合(ステップS34:No)、移動管理部203は、自移動局が現在のセルの最後のアンテナ以外のアンテナのカバーエリアに存在していることを検出する(ステップS36)。
なお、無線通信システム300は列車無線システムとし、移動局210〜230は列車として説明したが、一例であり、これに限定されるものではない。例えば、移動局210〜230は自動車とし、アンテナ101,102,111,112は移動局210〜230が走行する道路に沿って配置されるような通信システムにも適用可能である。また、無線通信システム300において、基地局100,110は2つのアンテナのカバーエリアによって自基地局のカバーエリアを構成しているが、一例であり、1つまたは3つ以上のアンテナを用いて自基地局のカバーエリアを構成してもよい。以降の実施の形態においても同様とする。
つづいて、移動局210のハードウェア構成について説明する。移動局210〜230は同様の構成のため、移動局210を例にして説明する。移動局210において、RF部201およびベースバンド部202は、前述のように専用のICなどにより実現される。電源206は、バッテリー、または図1において図示しない架線から電力の供給を受けて各構成で使用される電力に変換して出力する電源回路などにより実現される。記憶部207は、メモリにより実現される。アンテナ208は、アンテナ素子により実現される。移動管理部203およびメイン処理部204、すなわち制御部205は、処理回路により実現される。すなわち、移動局210は、アンテナ数Cantを取得し、基地局から受信した信号からアンテナの通過を検出して通過回数Cpassをカウントし、アンテナ数Cantおよび通過回数Cpassを用いて自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよい。
図10は、実施の形態1にかかる移動局210が備える処理回路80をCPUおよびメモリを用いて構成する場合の例を示す図である。処理回路80は、メモリ82に格納されたプログラムを実行するプロセッサ81、プロセッサ81が実行するプログラムなどの情報を記憶するメモリ82、他の構成からデータなどが入力される入力インタフェース83、および、他の構成へデータなどを出力する出力インタフェース84を備え、各々がシステムバス85で接続されている。処理回路80が図10のように構成される場合、移動局210が備える処理回路の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ82に格納される。処理回路80では、メモリ82に記憶されたプログラムをプロセッサ81が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、移動局210は、移動管理部203およびメイン処理部204が処理回路80により実行されるときに、アンテナ数Cantを取得するステップ、基地局から受信した信号からアンテナの通過を検出して通過回数Cpassをカウントするステップ、アンテナ数Cantおよび通過回数Cpassを用いて自移動局が存在するアンテナのカバーエリアを検出するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ82を備える。また、これらのプログラムは、移動局210の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
ここで、プロセッサ81は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ82とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
図11は、実施の形態1にかかる移動局210が備える処理回路80を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図である。処理回路80が専用のハードウェアである場合、図11に示す処理回路86は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。移動局210の各機能を機能別に処理回路86で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路86で実現してもよい。
なお、移動局210の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
なお、移動局210〜230の構成について説明したが、基地局100,110の構成も同様となる。すなわち、基地局100,110のうち、移動局管理部105については、図10および図11に示すような処理回路により実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信システム300において、移動局210〜230は、受信信号の周波数の変化により基地局100,110のセルを構成するアンテナの通過を検出し、かつアンテナの通過回数を管理することで、自移動局がセル内の何番目のアンテナのカバーエリアに存在するかを簡易に検出することができる。また、移動局210〜230は、どのセルと接続すべきか、すなわちどの周波数で接続すべきであるかを内部で管理するテーブルを参照して判断することができる。移動局210〜230は、従来のように周波数オフセットの検出を必要とせず、また、GPS(Global Positioning System)の位置情報なども必要とせず、基地局またはアンテナから報知される情報に基づいて、カバーエリアの検出を実現可能とする。これにより、移動局210〜230は、従来と比較して演算処理を低減しつつ簡易な処理によって、自移動局が存在するカバーエリアを検出できる。また、移動局210〜230は、受信信号の周波数の測定および比較などの処理を必要としない迅速なセル選択すなわち周波数選択を実現することが可能となる。これは、特に、緊急信号などが送信されるシステムにおいて迅速な再接続が求められる際に、適切な基地局を選択するために要する時間を短縮できる有効な手段である。
また、無線通信システム300内の報知信号のみを利用するため、アンテナ数Cantなどのシステム構成に変更が生じた場合でも、基地局100,110側で記憶しているアンテナ数Cantのみ変更すればよい。システム構成に変更が生じた場合とは、例えば、アンテナを増設した場合などである。移動局210〜230については、変更処理をする必要が無いため、メンテナンス負荷を低減することができる。
なお、無線通信システム300は図1に示したものに限定せず、例えば、複数の基地局で1つの大きなセルを構成する複局同時送信システムにも適用可能である。また、周波数も2周波数を繰り返すシステムである必要はなく、移動局210〜230が図2に示す各構成要素を幾つ備えているかにも依存しない。さらに、移動局210〜230では、基地局の発信周波数を過去に観測した信号の最高周波数および最低周波数から算出しているが、発信周波数を把握する方法はこれに限定されるものではない。例えば、移動局210〜230では、精度の高い発信機を利用するなどの方法により発信周波数からの偏移を小さくできるため、最高周波数および最低周波数の観測なしに発信周波数を把握することが可能である。また、無線通信システム300として列車無線システムを例にして説明したが、移動局210〜230は列車でなくてもよいことは明らかである。また、実施の形態1で示した周波数の変化に基づくアンテナ通過検出方法については、実施の形態1の図1で例示した無線通信システム300に限らず適用できることは明らかである。
実施の形態2.
実施の形態2では、基地局100,110は指向性アンテナを使用する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
図12は、実施の形態2にかかる無線通信システム300aの構成例を示す図である。無線通信システム300aは、基地局100,110と、基地局100と接続するアンテナ101a,102aと、基地局110と接続するアンテナ111a,112aと、移動局210〜230と、を備える。本実施の形態では、一例として、無線通信システム300aは列車無線システムとし、移動局210〜230は列車とする。アンテナ101a,102a,111a,112aは、列車である移動局210〜230の走行経路であるレールに沿って配置されているものとする。
基地局100は、2つのアンテナ101a,102aのカバーエリアから構成されるセル103aをカバーエリアとする。基地局100は、アンテナ101a,102aから同一周波数で同一内容の信号を送信する。基地局100は、周波数f1でアンテナ101a,102aから信号を送信する。実施の形態2ではアンテナ101a,102aは指向性アンテナとする。
基地局110は、2つのアンテナ111a,112aのカバーエリアから構成されるセル113aをカバーエリアとする。基地局110は、アンテナ111a,112aから同一周波数で同一内容の信号を送信する。基地局110は、周波数f2でアンテナ111a,112aから信号を送信する。実施の形態2ではアンテナ111a,112aは指向性アンテナとする。
移動局210〜230および基地局100,110の構成は、実施の形態1と同様である。ただし、基地局100は、図12において図示しないODU109を介してアンテナ101a,102aと接続する。また、基地局110は、図12において図示しないODU109を介してアンテナ111a,112aと接続する。基地局100,110は、実施の形態1とは接続するアンテナが異なっている。
実施の形態1では、移動局210〜230は、基地局100,110からの信号の受信周波数の変化に基づいてアンテナの通過を検出していた。これに対して、実施の形態2では、移動局210〜230は、基地局から受信した信号の受信信号電力レベルの変動に基づいてアンテナの通過を検出する。
図13は、実施の形態2にかかる無線通信システム300aのアンテナ101a,102a,111a,112aの指向性および移動局210〜230における各アンテナからの信号の受信信号電力レベルの強度を示す図である。アンテナ101a,102a,111a,112aは、図13において右側に指向性を有するアンテナである。すなわち、アンテナ101a,102a,111a,112aのカバーエリアは、図13において各アンテナの設置位置よりも右側の範囲となる。移動局210〜230は、各アンテナの右側では、各アンテナに近い程受信信号電力レベルの強度は大きくなる。一方、移動局210〜230は、各アンテナの左側では、各アンテナの近くにいても直近のアンテナから信号を受信することができず、自移動局の左側にある遠方のアンテナからの信号を受信することになり、受信信号電力レベルの強度は小さくなる。
図14は、実施の形態2にかかる無線通信システム300aにおいて移動局210の移動に伴うアンテナ101a,102aからの信号の受信信号電力レベルの強度の推移を示す図である。移動局210は、図14に示すように、右側から左側の方向に移動しているものとする。移動局210では、アンテナ102aのカバーエリアに存在している間は移動すなわち時間経過に伴いアンテナ102aとの距離が短くなっていくため、徐々に受信信号電力レベルが上昇していく。移動局210は、アンテナ102aを通過するとアンテナ102aのカバーエリアから外れ、隣接するアンテナ101aのカバーエリアに存在することになる。このとき、移動局210とアンテナ101aとの距離が離れているため、移動局210では、受信信号電力レベルが大きく落ち込むことになる。移動局210は、このときの受信信号電力レベルの変動の絶対値が予め規定された閾値を上回る場合に、アンテナの通過を検出する。
なお、上記の例とは反対に、図14において移動局210が左側から右側の方向に移動する場合、移動局210では、アンテナ101aのカバーエリアに存在している間は移動すなわち時間経過に伴いアンテナ101aとの距離が長くなっていくため、徐々に受信信号電力レベルが下降していく。移動局210は、アンテナ102aを通過するとアンテナ102aのカバーエリアに入り、アンテナ102aのカバーエリアに存在することになる。このとき、移動局210とアンテナ102aとの距離は近いため、移動局210では、受信信号電力レベルが急激に上昇することになる。移動局210は、このときの受信信号電力レベルの変動の絶対値が予め規定された閾値を上回る場合に、アンテナの通過を検出する。
具体的に、移動局210〜230が、接続する基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出する処理について説明する。実施の形態2において、移動局210〜230では、アンテナ208で受信した基地局からの信号はRF部201およびベースバンド部202経由でメイン処理部204に送信される。メイン処理部204は、受信した信号の受信信号電力レベルの情報を都度ベースバンド部202から取得しており、受信信号電力レベルの情報を記憶する。また、メイン処理部204は、受信した信号の受信信号電力レベルについて、直近の過去数回分の受信信号電力レベルの平均値である平均受信信号電力レベルを計算して記憶している。メイン処理部204は、内部または記憶部207で記憶している平均受信信号電力レベルと最新の受信信号電力レベルとを比較する。メイン処理部204は、平均受信信号電力レベルと最新の受信信号電力レベルとの差分の絶対値が予め規定された閾値を上回った場合に受信信号電力レベルの変動を検出することで、アンテナの通過を検出する。
図15は、実施の形態2にかかる移動局210〜230が、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出する処理を示すフローチャートである。移動局210〜230では、アンテナ208、RF部201、およびベースバンド部202を介して、メイン処理部204が基地局からの信号を受信する(ステップS41)。
メイン処理部204は、今回受信した最新の受信信号電力レベルと、算出済みの平均受信信号電力レベルとの差分を計算し記憶する(ステップS42)。なお、メイン処理部204は、最新の受信信号電力レベルと平均受信信号電力レベルとの差分の計算では、最新の受信信号電力レベルから平均受信信号電力レベルを減算してもよいし、平均受信信号電力レベルから最新の受信信号電力レベルを減算してもよい。メイン処理部204は、算出した差分の値である差分値を記憶部207に記憶してもよいし、図示しないメイン処理部204内のメモリに記憶してもよい。メイン処理部204は、基地局から信号を受信する度に、最新の受信信号電力レベルと平均受信信号電力レベルとの差分を計算する。
メイン処理部204は、算出した差分値の絶対値が予め規定された閾値以上か否かを判断する(ステップS43)。メイン処理部204は、算出した差分値の絶対値が閾値以上の場合(ステップS43:Yes)、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検知したとして、通過回数Cpassを1つカウントアップする(ステップS44)。メイン処理部204は、更新した通過回数Cpassを記憶部207に記憶させ、記憶部207の通過回数Cpassの情報を更新する(ステップS45)。また、メイン処理部204は、図14に示すようにアンテナ通過を検知したときの前後で受信信号電力レベルが大きく異なることから、算出して記憶していた平均受信信号電力レベルをクリアする(ステップS46)。この場合、メイン処理部204は、次回の処理のため、今回の最新の受信信号電力レベルを暫定的に平均受信信号電力レベルとして記憶しておいてもよい。
一方、メイン処理部204は、算出した差分値の絶対値が閾値未満の場合(ステップS43:No)、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検知していないとして、今回の最新の受信信号電力レベルを用いて平均受信信号電力レベルを算出し、記憶している平均受信信号電力レベルを更新する(ステップS47)。
このように、メイン処理部204は、受信した信号の受信信号電力レベルの推移に基づいて、アンテナの通過を検出する。以上の処理により、移動局210〜230は、受信信号電力レベルの変化に基づいて、接続している基地局のセルにおいてアンテナの通過を検出し、通過回数Cpassをカウントアップしていくことで、セル内のアンテナの通過回数を把握することができる。なお、本実施の形態において、移動局210〜230がアンテナを通過したと判断するタイミングは、実施の形態1と異なり、図12に示す無線通信システム300aにおいて、移動局210〜230が各アンテナの設置されている地点を通過したときである。
なお、移動局210〜230において、自移動局が接続している基地局のセルにおいて、自移動局が存在するアンテナのカバーエリアの管理方法については、実施の形態1と同様である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信システム300aにおいて、移動局210〜230は、受信信号電力レベルの変動により基地局100,110のセルを構成するアンテナの通過を検出し、かつアンテナの通過回数を管理することで、自移動局がセルの何番目のアンテナのカバーエリアに存在するかを簡易に検出することができる。これにより、移動局210〜230は、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、実施の形態2で示した受信信号電力レベルの変動に基づくアンテナ通過検出方法と実施の形態1で示した周波数の変化に基づくアンテナ通過検出方法を同時に実現する無線通信システムを構築することも可能である。この場合、移動局210〜230において、メイン処理部204は、受信周波数の符号の変化を検出し、かつ受信信号電力レベルの変動を検出したときのみアンテナの通過を検出したとしてもよいし、受信周波数の符号の変化または受信信号電力レベルの変動のいずれか一方のみ検出したときにアンテナの通過を検出したとしてもよい。また、メイン処理部204は、2つのアンテナ通過判定基準を適応的に切り替えるでもよい。また、実施の形態2で示した受信信号電力レベルの変動に基づくアンテナ通過検出方法については、実施の形態2の図12で例示した無線通信システム300aに限らず適用できることは明らかである。
実施の形態3.
実施の形態2の無線通信システム300aは、移動局210〜230が一方の方向に走行する場合のアンテナ通過を検出するものであった。実施の形態3では、基地局100が構成するセル103aにおいて、移動局230が途中から逆方向に走行する場合のアンテナ通過検出方法について説明する。実施の形態3では、具体的に、移動局230は、走行方向が逆方向になった場合に通過回数Cpassをリセットし、逆方向走行時においてもアンテナ通過回数の適正なカウントを実現する。
図16は、実施の形態3にかかる無線通信システム300aの構成例を示す図である。無線通信システム300aの構成は実施の形態2と同様であるが、図16は、図12から基地局100、アンテナ101a,102a、および移動局230の部分を抜き出したものである。図16では、移動局230が、右方向400に向かって走行後、逆方向の左方向401に進行方向を変えたときの状態を示すものである。
移動局230は、セル103a内のアンテナ102aのカバーエリアに存在している。移動局230は、実施の形態2に記載のアンテナ通過検出方法により、アンテナ数Cant=2および通過回数Cpass=1を検出し、存在するセル103a内の最後のアンテナ102aのカバーエリアに存在することを検知している。図7に示すテーブルで示すと、2行2列の部分に該当する。移動局230は、アンテナ102aから刻一刻と距離が離れるため、図13に示す受信信号電力レベルの推移に従うと、時間経過につれて受信信号電力レベルが低下していくことになる。
ここで、移動局230は、右方向400に走行した後、逆方向すなわち左方向401へ走行を開始する。この場合、移動局230は、刻一刻とアンテナ102aに近くづくように移動するため、図13に示す受信信号電力レベルの推移に従うと、時間経過につれて受信信号電力レベルが上昇していくことになる。
このとき、移動局230のメイン処理部204は、過去の平均受信信号電力レベルの値を複数個記憶している場合、平均受信信号電力レベルの推移が下降から上昇に変化したことから、自移動局の進行方向が逆方向に変わったことを検出することができる。メイン処理部204は、例えば、規定された回数分の受信信号電力レベルの平均値である平均受信信号電力レベルを算出し、平均受信信号電力レベルの推移に基づいて、自移動局の走行方向が逆方向に変化したことを検出する。なお、メイン処理部204における平均受信信号電力レベルの算出方法は実施の形態2と同様でよい。
メイン処理部204は、自移動局の走行方向が逆方向に変化したことを検出した場合、記憶部207に記憶している通過回数Cpassの情報を、つぎの式(1)に従いリセットして、新たな通過回数Cpassとして設定し、記憶部207に書き込んで更新する。
Cpass=Cant−Cpass’ …(1)
ここで、通過回数Cpass’は、移動管理部203が参照している図7に示すテーブル500または図8に示すテーブル501において、該当するアンテナ数Cantの数を示す行の中で自移動局が存在するカバーエリアを構成するアンテナが同じ周波数を送信しているセル内のアンテナの中の何番目かを示すものである。
例えば、図16に示す無線通信システム300aの場合、移動管理部203は、移動局230が存在するセル103aの周波数は周波数f1であるから、テーブル500のCantが2の行において、周波数f1で信号を送信するアンテナが2つあることが分かる。進行方向が右方向400の移動局230の移動管理部203では、自移動局は2番目のアンテナ102aのカバーエリアに存在していることから通過回数Cpass’=2となるが、実際にアンテナ通過をカウントした通過回数Cpass=1の値とは異なる。
具体的に、図16に示す無線通信システム300aにおいて、移動局230が右方向400に走行していたときのアンテナに関する情報はアンテナ数Cant=2、通過回数Cpass=1である。しかしながら、移動局230が走行方向を変更して左方向401へ走行を開始したことを検出すると、移動管理部203は、アンテナに関する情報について、アンテナ数Cant=2は更新せず、式(1)に従って通過回数Cpass=2−2=0に更新する。これは、移動局230が、左方向401の走行になったことでセル103aを構成するアンテナを一度も通過していない状態になったことを意味している。進行方向が左方向401の場合、アンテナ102aは、セル103aを構成する最初のアンテナとなる。図16に示すように、実際に移動局230は、セル103aを構成するアンテナを1度も通過していない。
図17は、実施の形態3にかかる移動局230において走行方向の変化を検出する処理を示すフローチャートである。移動管理部203は、平均受信信号電力レベルを算出する(ステップS51)。移動管理部203において平均受信信号電力レベルを算出する処理は、実施の形態2の図15でフローチャートにおいて、ステップS46またはステップS47の処理と同じ処理でよい。
移動管理部203は、最新の平均受信信号電力レベルと、過去の平均受信信号電力レベルとを比較する(ステップS52)。移動管理部203は、過去の平均受信信号電力レベルに対して、最新の平均受信信号電力レベルの推移が変化した場合(ステップS53:Yes)、自移動局の走行方向が逆方向に変化したと判定する(ステップS54)。この場合、移動管理部203は、前述のように式(1)に従って通過回数Cpassを更新し(ステップS55)、更新した通過回数Cpassを記憶部207に記憶させ、記憶部207の通過回数Cpassの情報を更新する(ステップS56)。
一方、移動管理部203は、過去の平均受信信号電力レベルに対して、最新の平均受信信号電力レベルの推移が変化していない場合(ステップS53:No)、自移動局の走行方向は同じ、すなわち逆方向に変化していないと判定する(ステップS57)。移動管理部203は、ステップS55およびステップS56の処理をせず終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信システム300aにおいて、移動局230は、平均受信信号電力レベルの推移の傾向変化を検出することで、自移動局の走行方向が逆方向に変化したことを簡易に検出することができる。これにより、移動局230は、通過回数Cpassを適切に更新することができる。なお、移動局230について説明したが、移動局210,220についても同様の動作を行うことが可能である。
また、実施の形態3で示した移動局の走行方向の変化の検出方法と実施の形態2で示したアンテナ通過検出方法とを同時に実現する無線通信システム300aを構築できることは言うまでもなく、実施の形態3の図16で例示した無線通信システム300aに限らず適用できることは明らかである。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。