JP6614136B2 - ガスバリア性フィルムおよびその製造方法、並びにこれを用いた電子デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
前記基材の一方の面上に配置されたガスバリア層と、
前記ガスバリア層上に粘着層を介して配置された保護フィルムと、
を有するガスバリア性フィルムであって、
前記ガスバリア層が、前記基材上にポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布して乾燥させて得られた塗膜に活性エネルギー線を照射して改質処理することにより形成されたものであり、
前記保護フィルムを剥離した状態で測定される前記ガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Siが1.5以下であることを特徴とする、ガスバリア性フィルムである。
本発明のガスバリア性フィルムの層の構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、本発明のガスバリア性フィルム201は、基材55、基材55上に形成されたガスバリア層52、および前記ガスバリア層52に粘着層51を介して貼合された保護フィルム50を有する。本発明のガスバリア性フィルム201は、(ア)基材55と当該基材55上に形成されるガスバリア層52との間に制御層53(例えば、有機層、吸湿層、帯電防止層、平滑層、ブリードアウト層)を設けた構造;(イ)基材55と当該基材55上に形成されるガスバリア層52または制御層53との間に中間層54(例えば、アンカーコート層、平滑層、およびブリードアウト防止層)を設けた構造;(ウ)ガスバリア層52が形成されていない側の基材55上に別の機能層(図示せず:例えば、有機層、吸湿層、帯電防止層、平滑層、ブリードアウト層)を設けた構造;上記(ア)〜(ウ)を適宜組み合わせた構造などであってもよい。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、通常、基材として、プラスチックフィルムまたはシートが用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートが好ましく用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、シリコン含有膜等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
ガスバリア層は、基材の一方の面上にポリシラザン化合物を含有する塗布液(以下、単に「塗布液」とも称する)を塗布して乾燥させて得られた塗膜に活性エネルギー線を照射して改質処理することにより形成される。
塗布液は、ポリシラザン化合物を含む。
ポリシラザン化合物とは、その構造内にSi−N、Si−H、N−H等の結合を有するポリマーであり、SiO2、Si3N4、およびこれらの中間固溶体SiOxNy等の無機前駆体として機能する。
アミン触媒および金属は、後述する改質処理において、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素化合物への転化を促進しうる。
塗布液に含有されうる溶媒としては、ポリシラザン化合物と反応するものでなければ特に制限はなく、公知の溶媒が用いられうる。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒;脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。より詳細には、炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン、塩化メチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いられうる。これらの溶媒は、ポリシラザン化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等を考慮し、目的に応じて適宜選択されうる。
上記塗布液を基材上に塗布して乾燥することによって、塗膜が得られる。
本発明における上記塗膜(塗布法により形成されたガスバリア層)の改質処理とは、ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応を指し、具体的には本発明のガスバリア性フィルムが全体としてガスバリア性を発現するのに貢献できるレベルの無機薄膜(であるガスバリア層)を形成する処理をいう。
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、改質を効率的に行う観点から使用する波長は200nm以下である必要があり、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用いればよく、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。ここで、ポリシラザン化合物の改質とは、ポリシラザン化合物が酸化ケイ素化合物および/または酸窒化ケイ素化合物へ転化することを意味する。
一実施形態において、ガスバリア性フィルムは制御層/中間層/保護層/機能層を有していてもよい。制御層は、通常、基材とガスバリア層との間に配置される。なお、ここでいう「保護層」は、「保護フィルム」とは異なるものである。
前記制御層/中間層/保護層/機能層は、CVD層(化学気相蒸着(CVD)法により形成された層)であってもよく、好ましくは、制御層は、CVD層である。ここで、CVD層は、ケイ素、アルミニウムおよびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の酸化物、窒化物、酸窒化物または酸炭化物の少なくとも1種を含む。ケイ素、アルミニウムおよびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の酸化物、窒化物、酸窒化物または酸炭化物としては、具体的には、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素(SiON)、酸炭化ケイ素(SiOC)、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、およびアルミニウムシリケートなどのこれらの複合体が挙げられる。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
以下の測定方法に従って、基材上にCVD層を形成させた積層体試料の透過水分量を測定する。
上述の基材と当該基材上に形成されるガスバリア層または制御層との間または上記いずれかの層の表面に、本発明の効果を損なわない範囲で別途、中間層/保護層/機能層を設けてもよい。例えば、基材のガスバリア層が配置された面とは反対の面(基材表面)(機能層)、基材とガスバリア層または制御層との間(中間層)には、アンカーコート層、平滑層、およびブリードアウト防止層等の中間層が形成されうる。なお、中間層は、基材とガスバリア層との間に形成されることが好ましい。
本発明に係るガスバリア性フィルムの基材上には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1種または2種以上併せて使用することができる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTARZ7501を用いることができる。
平滑層は、通常、基材の一方の面上に形成され、微小な突起等が存在する基材の粗面を平坦化し、基材上に成膜するガスバリア層などにおける凹凸やピンホールの発生を防止する機能を有する。平滑層は、感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、硬化させることによって形成されうる。
平滑層を有する基材は、加熱の際に基材中から表面に未反応のオリゴマー等が移行して、基材表面が汚染されうる。ブリードアウト防止層は、当該基材表面の汚染を抑制する機能を有する。当該ブリードアウト防止層は、通常、平滑層を有する基材の平滑層とは反対の面に設けられる。
保護層に用いられる有機物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。これらの有機樹脂もしくは有機無機複合樹脂は重合性基や架橋性基を有することが好ましく、これらの有機樹脂もしくは有機無機複合樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤や架橋剤等を含有する有機樹脂組成物塗布液から塗布形成した層に、光照射処理や熱処理を加えて硬化させることが好ましい。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、前記ガスバリア層上に粘着層を介して配置された保護フィルムを有する。保護フィルムを備えることにより、ガスバリア性フィルム表面を損傷から保護するのに役立ち、かつ、ガスバリア性フィルムを適用する対象物に設置し易い。よって、本発明に係るガスバリア性フィルムを有機EL素子等の電子デバイスの基板として使用する場合にガスバリア層の欠陥による素子の劣化を防ぐことができる。
粘着層は、ガスバリア層上に保護フィルムを貼り合せる目的で、ガスバリア層と保護フィルムとの間に配置されている。保護フィルム上に、粘着剤に、架橋剤を添加した粘着剤組成物を塗布し、架橋することで粘着層を形成できる。以下、粘着層を形成した保護フィルムを粘着層付きの保護フィルムともいう。すなわち、粘着層付きの保護フィルムは、基材の保護フィルムと、該基材(保護フィルム)上に形成した粘着層とを有する構成であり、これらの構成を有するものを、単に保護フィルムとして説明する場合もある。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン
(B)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(C)制御剤
(D)白金触媒
(E)導電性微粒子
ここで、(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンであり、このようなアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンとしては、下記一般式(1)で示されるものが例示できる。
R(3−a)XaSiO−(RXSiO)m−(R2SiO)n−(RXSiO)p−R(3−a)XaSiO
一般式(1)において、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有の有機基である。aは0〜3の整数で1が好ましく、mは0以上であるが、a=0の場合、mは2以上であり、m及びnは、それぞれ100≦m+n≦20,000を満足する数であり、pは2以上である。
HbR1 (3−b)SiO−(HR1SiO)x−(HR1SiO)y−SiR1 (3−b)H
一般式(2)において、R1は炭素数1〜6の脂肪族不飽和結合を含有しない1価炭化水素基である。bは0〜3の整数、x、yはそれぞれ整数であり、このオルガノヒドロポリシロキサンの250℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる数を示す。
本発明の第2の形態によれば、基材の一方の面上にポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布して乾燥させて得られた塗膜に活性エネルギー線を照射して改質処理することによりガスバリア層を形成する工程(1)と、前記ガスバリア層上に、保護フィルムを粘着層を介して貼合する工程(2)と、を含むガスバリア性フィルムの製造方法が提供される。ここで、「基材の一方の面上にポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布」とは、(1)基材の一方の面の直上に直接、ポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布する形態のほか、さらに(2)基材の一方の面上に上記第1の形態で説明した制御層、中間層、保護層ないし機能層が積層された積層体の表面にポリシラザン化合物を含有する塗布液を塗布する形態を含む。かかる製造方法により得られたガスバリア性フィルムについても、本発明の第1の形態と同様に、前記保護フィルムを剥離した状態で測定される前記ガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Siが1.5以下、好ましくは1.2以下であることを特徴とする。前記保護フィルムを剥離した状態で測定される前記ガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Siが1.5より大きいと、残存粘着剤の除去工程に要する時間が長くなり、生産性の観点から好ましくないためである。保護フィルムを剥離した状態で測定される前記ガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Siの測定方法などは、本発明の第1の形態で説明した通りである。
上記第1の形態において、工程(1)または工程(1)および工程(3)のように樹脂基材上に形成したガスバリア層に、保護フィルムを粘着層を介して貼合する工程である。本工程を設けることによりガスバリア層の表面を露出させることなく、ガスバリア性フィルムを搬送、保管等することができる。
本発明の一実施形態によれば、本発明に係るガスバリア性フィルムまたは本発明に係る製造方法により得られたガスバリア性フィルムから保護フィルムを剥離した後、(好ましくは、更に残存粘着剤を除去した後、)ガスバリア性フィルムの(最表層となる)ガスバリア層上に電子デバイス本体が設けられてなることを特徴とする、電子デバイスが提供される。即ち、電子デバイス本体と、上述の保護フィルムを剥離したガスバリア性フィルムとを含む電子デバイスが提供される。
上記したような本発明のガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性、透明性、屈曲性を有する。このため、本発明のガスバリア性フィルムは、電子デバイス等のパッケージ、光電変換素子(太陽電池素子)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等の電子デバイスなど、様々な用途に使用することができる。
電子デバイス本体は、本発明に係るガスバリア性フィルムのガスバリア層上に配置される。電子デバイス本体としては、ガスバリア性フィルムによる封止が適用されうる公知の電子デバイスの本体が使用できる。例えば、有機EL素子、太陽電池(PV)、液晶表示素子(LCD)、電子ペーパー、薄膜トランジスタ、タッチパネル等が挙げられる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子デバイス本体は、有機EL素子または太陽電池であることが好ましい。これらの電子デバイス本体の構成についても、特に制限はなく、従来公知の構成を有しうる。
本発明の第4の形態によれば、本発明に係るガスバリア性フィルムまたは本発明に係る製造方法により得られたガスバリア性フィルムから保護フィルムを剥離した後、ガスバリア性フィルムの(最表層となる)ガスバリア層上に電子デバイス本体を形成する工程を含むことを特徴とする、電子デバイスの製造方法が提供される。本発明に係るガスバリア性フィルムから保護フィルムを剥離する工程(4)と、ガスバリア性フィルムのガスバリア層上に電子デバイス本体を形成する工程(6)と、を含む電子デバイスの製造方法が提供される。一実施形態において、前記製造方法は、前記工程(4)の後に残存粘着剤を除去する工程(5)を含んでもよい。以下、工程(4)〜(6)について説明する。
電子デバイスをガスバリア性フィルムのガスバリア層上に形成する際に(粘着剤層付の)保護フィルムをガスバリア層から剥離することにより除去する工程である。
保護フィルムを剥離した後には、上記のように、ガスバリア層上に粘着層由来の粘着剤が残存し、電子デバイス用途でガスバリア性フィルムを使用する際にガスバリア性の低下や素子の劣化などの原因となる場合がある。残存粘着剤の除去工程(5)は、保護フィルム剥離後にガスバリア層表面に残存する粘着剤を除去する工程である。残存粘着剤の除去の方法としては、特に限定されないが、ガスバリア性フィルム表面に対して活性エネルギー線によりエネルギー付与することが好ましい。なお、本ガスバリア性フィルムを封止フィルムとして使用する電子デバイスにもよるが、本工程は、前記保護フィルムを剥離した状態で測定される前記ガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Siが0.5未満であれば省略することができる。
工程(6)は、前記工程(4)、または工程(4)および工程(5)により保護フィルムを剥離したガスバリア性フィルムのガスバリア層上に電子デバイス本体を形成する工程である。以下、有機EL素子301を例として説明する。
《ガスバリア性フィルムの作製》
[実施例1]
〈基材〉
基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名「テイジンテトロンフィルム」)(以下、樹脂基材ともいう)を用いた。
上記樹脂基材の易接着面側に、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTARZ7501を用い、乾燥後の層厚が4.0μmになるように塗布した後、乾燥条件として、80℃で3分間の乾燥を行った。次いで、空気雰囲気下で、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件;1.0J/cm2で硬化を行い、アンカーコート層を形成した。
図3に記載の磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、この方法をローラーCVD法と称す。)を用い、上記樹脂基材の前記アンカーコート層とは反対の面に耐熱性のラミネートフィルムを貼り合せた樹脂基材のラミネートフィルム側(裏面)が成膜ローラーと接触するようにして、樹脂基材を装置に装着し、下記の成膜条件(プラズマCVD条件)により、アンカーコート層上に、ガスバリア性を有する制御層(CVD層)を、厚さが100nmとなる条件で成膜した。
CVD法による制御層(CVD層の成膜は、成膜有効幅1000mm換算として、下記(成膜条件)で行った。その他の条件として、電源周波数は84kHz、成膜ロールの温度はすべて30℃とした。
原料ガス(HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute、0℃、1気圧基準)
酸素ガスの供給量:500sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバ内の真空度:2Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:1.0m/min。
樹脂基材上のアンカーコート層/制御層(CVD層)上に、以下に示す塗布法により、詳しくは、ポリシラザン化合物を含有する塗布液(ポリシラザン含有塗布液)を塗布、乾燥させて得られた塗膜に活性エネルギー線を照射して改質処理することにより、ガスバリア層を形成した。
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH)、(アミン触媒の含量:5質量%))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらに乾燥膜厚調整のためジブチルエーテルで適宜希釈し、ポリシラザン含有塗布液を調製した。
次いで、上記形成した塗膜に対し、下記の方法に従って、酸素濃度0.1体積%で、改質処理を実施した。
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe。
稼動ステージ上に固定した上記塗膜(ポリシラザン層)を形成した基材に対し、以下の条件で改質処理を行って、ガスバリア層を形成した。
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:0.1体積%
エキシマランプ照射時間:10秒。
改質処理終了後、5秒後に粘着剤層付の保護フィルムであるラミネートフィルムを貼り合わせた。即ち、上記改質処理の終了から前記保護フィルムの貼合までの時間を5秒とした。ラミネートフィルムは、東レ製トレテック7332を使用した。なお、「改質処理の終了」及び「保護フィルムの貼合まで」については、第2の形態の「工程(2):保護フィルムの貼合」において説明した通りである。
実施例1において、改質処理の終了から前記保護フィルムの貼合までの時間を表1に示すように変更した以外は、同様にして、実施例2〜5、比較例1のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例1〜5、比較例1において、前記粘着剤層付の保護フィルムの種類を三井化学東セロ株式会社製、VLH9に変更した以外は同様にして、実施例6〜10、比較例2のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例1〜5、比較例1において、前記粘着剤層付の保護フィルムの種類を株式会社サンエー化研製、PAC3Jに変更した以外は同様にして、実施例11〜15、比較例3のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例1〜5、比較例1において、前記粘着剤層付の保護フィルムの種類をフタムラ化学株式会社製、010Mに変更した以外は同様にして、実施例16〜20、比較例4のガスバリア性フィルムを作製した。
(保護フィルム剥離後のガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Si(残存粘着剤の量)の測定)
上記のように作製した各実施例および各比較例のガスバリア性フィルムについて、粘着剤層付の保護フィルムをガスバリア性フィルムから剥離した後、1分以上24時間以内(ここでは、いずれの試料もフィルム剥離後約5分でXPS装置内にセットし、真空引きを開始した。装置内にセットしてから測定開始までは23時間以内である。)に、ガスバリア性フィルム表面に露出したガスバリア層の厚さ方向の組成分布を、XPS(光電子分光法)分析により下記のように測定した。なお、保護フィルム剥離後、上記時間内に測定すれば測定結果に影響しない。
・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:一定時間スパッタ後、測定を繰り返す。1回の測定は、SiO2換算で、約2.8nmの厚さ分となるようにスパッタ時間を調整した。
◎:UV洗浄が不要、
○:UV洗浄に要する時間が、5分未満、
△:UV洗浄に要する時間が、5分以上10分未満、
×:UV洗浄に要する時間が、10分以上。
水蒸気バリア性の評価を行うにあたって、以下の装置と材料を使用した。
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
〈評価材料〉
水分と反応して腐食する金属:金属カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(直径(φ)3〜5mm、粒状)
〈水蒸気バリア性評価用試料の作製〉
真空蒸着装置(JEE−400)を用い、作製したガスバリア性フィルム(実施例1〜20、比較例1〜4)について、作製後、粘着剤層付の保護フィルムをガスバリア性フィルムから剥離した後、1分時間以上24時間以内に、ガスバリア性フィルム表面に露出したガスバリア層表面に、マスクを通して12mm×12mmのサイズで金属カルシウムを蒸着膜厚が80nmとなるように蒸着させた。
○:金属カルシウムが腐食した面積が50%以上になるまでの時間が、200時間以上である。
実施例1〜20および比較例1〜4で製造したガスバリア性フィルムから粘着剤層付の保護フィルムを剥離したガスバリア性フィルムを封止フィルムとして用いて、以下の方法で有機EL素子を作製した。
実施例1で製造したガスバリア性フィルムについて、製造粘着層付保護フィルムを貼り合わせた後、10分以上1年以内に(ここでは、いずれの試料も約1か月とした)、粘着剤層付の保護フィルムをガスバリア性フィルムから剥離した後、1分以上24時間以内(上記XPS分析と同じ時間とした)に、ガスバリア性フィルム表面に露出したガスバリア層上に、厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜した。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターニングは発光面積が50mm平方となるように行った。
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS:Baytron(登録商標) P AI 4083、Bayer社製)を純水65%およびメタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
ホスト材のH−Aを1.0gと、ドーパント材のD−Aを100mgと、ドーパント材のD−Bを0.2mgと、ドーパント材のD−Cを0.2mgと、を100gのトルエンに溶解し、白色発光層形成用塗布液として準備した。
下記E−Aを、0.5質量%溶液となるように2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し、電子輸送層形成用塗布液を準備した。
上記で形成した電子輸送層上に、電子注入層を形成した。より詳細には、第1電極層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を備えるガスバリア性フィルムを減圧チャンバに投入し、5×10−4Paまで減圧した。減圧チャンバ内に予め準備していたタンタル製蒸着ボートのフッ化セシウムを加熱することで、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
第1電極上に取り出し電極になる部分を除き、上記で形成した電子注入層上に第2電極を形成した。より詳細には、第1電極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層を備えるガスバリア性フィルムを減圧チャンバに投入し、5×10−4Paまで減圧した。第2電極形成材料としてアルミニウム用いて、取り出し電極を有し、かつ、発光面積が50mm×50mmとなるように蒸着法でマスクパターン成膜して、第2電極を形成した。なお、第2電極の厚さは100nmであった。
第2電極まで形成したガスバリア性フィルムを、窒素雰囲気に移動させて、紫外線レーザーを用いて規定の大きさに裁断した。
裁断したガスバリア性フィルムに、異方性導電フィルムDP3232S9(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を用いて、フレキシブルプリント基板(ベースフィルム:ポリイミド12.5μm、圧延銅箔18μm、カバーレイ:ポリイミド12.5μm、表面処理NiAuメッキ)を接続した。この際、温度170℃(別途熱電対を用いて測定したACF温度140℃)、圧力2MPaで10秒間圧着を行うことで接続を行った。
電極リード(フレキシブルプリント基板)を接続したガスバリア性フィルムを、市販のロールラミネート装置を用いて封止部材を接着することで、有機EL素子1を作製した。より詳細には、封止部材には、30μm厚のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm厚)をドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を介して貼合したもの(接着剤層の厚み1.5μm)を用いた。封止部材を接着するための接着剤としては、エポキシ系接着剤であるビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)、ジシアンジアミド(DICY)、およびエポキシアダクト系硬化促進剤を含む熱硬化性接着剤を用いた。ディスペンサを使用して、アルミニウム面にアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚み20μmで熱硬化性接着剤を均一に塗布した。次いで、封止部材を、取り出し電極および電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置し、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minの条件で圧着ロールにより密着封止した。
2、55、110 基材、
3 CVD層(制御層、中間層、保護層ないし機能層等)、
31 製造装置、
32 送り出しローラー、
33、34、35、36 搬送ローラー、
39、40 成膜ローラー、
41 ガス供給管、
42 プラズマ発生用電源、
43、44 磁場発生装置、
45 巻取りローラー、
101 プラズマCVD装置、
102 真空槽、
103 カソード電極、
105 サセプタ、
106 熱媒体循環系、
107 真空排気系、
108 ガス導入系、
109 高周波電源、
160 加熱冷却装置。
201 ガスバリア性フィルム(保護フィルム剥離前)、
202 ガスバリア性フィルム(保護フィルム剥離後)、
50 保護フィルム
51 粘着層、
52 ガスバリア層、
53 制御層(CVD層;例えば、有機層、吸湿層、帯電防止層、平滑層、ブリードアウト層)、
54 中間層(例えば、アンカーコート層、平滑層、およびブリードアウト防止層)、
301 有機ELパネル、
61 有機EL素子、
62 対向フィルム、
63 接着剤層、
64 透明電極。
Claims (5)
- 基材と、
前記基材の一方の面上に配置されたガスバリア層と、
前記ガスバリア層上に粘着層を介して配置された保護フィルムと、
を有するガスバリア性フィルムであって、
前記ガスバリア層が、前記基材上にポリシラザンを含有する塗布液を塗布して乾燥させて得られた塗膜に活性エネルギー線を照射して改質処理することにより形成されたものであり、
前記保護フィルムを剥離し、UV洗浄前に測定される前記ガスバリア層の最表層部の元素存在比C/Siが1.5以下であることを特徴とする、ガスバリア性フィルム。 - 前記元素存在比C/Siが、1.2以下である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムの製造方法であって、
前記改質処理の終了から前記保護フィルムの貼合までの時間が5秒〜3分である、ガスバリア性フィルムの製造方法。 - 請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムまたは請求項3に記載の製造方法により得られたガスバリア性フィルムから保護フィルムを剥離した後、前記ガスバリア層上に電子デバイス本体が設けられてなることを特徴とする、電子デバイス。
- 請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムまたは請求項3に記載の製造方法により得られたガスバリア性フィルムから保護フィルムを剥離した後、前記ガスバリア層上に電子デバイス本体を形成する工程を含むことを特徴とする、電子デバイスの製造方法。
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