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JP6623744B2 - 水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品 - Google Patents
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水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品 Download PDF

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本発明は、液晶テレビやタッチパネル等の画像表示装置等の製造に使用可能な水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品に関する。
水性ウレタン樹脂組成物は、近年、光学用途向けのフィルムやシートへの適用が検討されている。前記光学用途としては、具体的には、液晶ディスプレイ、タッチパネル等が挙げられる。前記液晶ディスプレイ等の画像表示装置は、通常、鮮明な映像を表示するために各種機能を有する多数の光学フィルムが積層され構成されており、かかる光学フィルムとしては、反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等が挙げられる。
このような光学フィルム等のフィルムを製造可能な水性ウレタン樹脂組成物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸を特定割合で含む酸成分と、グリコール成分により構成されるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートと、必要に応じて鎖伸長剤とを反応させて得られるものであって、ペンダントカルボキシル基を0.5〜6質量%含有し、該カルボキシル基がアンモニウムなどによって中和された水性ポリエステルポリウレタン樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記したような水性ポリエステルポリウレタン樹脂組成物では、光学用途に使用可能なレベルの、概ね1.58〜1.65の高屈折率を有するフィルムや塗膜等を形成することができず、前記光学フィルムの支持体となるポリエチレンテレフタレート基材との屈折率の差に起因して干渉縞が生じる場合があった。また、前記水性ポリエステルポリウレタン樹脂組成物は造膜性の点でやや劣る場合があるため、平滑なフィルムを形成することができない場合があった。
そこで、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有するとともに、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、優れた密着性を有するプライマーとして用いることのできる材料が求められていた。
特開昭61−36314号公報
本発明が解決しようとする課題は、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有するとともに、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、優れた密着性を有するプライマーとして用いることができる水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、芳香環を有する特定のポリエステル樹脂及び芳香環を有する特定のウレタン樹脂が水性媒体中に分散された水性樹脂組成物をプライマーとして用いることで、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有し、かつ、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、優れた密着性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、芳香環を有するポリエステル樹脂(A)及び芳香環を有するウレタン樹脂(B)が、水性媒体(C)中に分散された水性樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂(A)の一部又は全部が、前記ウレタン樹脂(B)粒子中に内在して樹脂粒子(D)を形成したものであり、前記樹脂粒子(D)中の芳香環濃度が、5.5〜7.5mol/kgの範囲であり、前記樹脂粒子(D)のガラス転移温度が、55〜80℃の範囲であることを特徴とする水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品に関するものである。
本発明の水性樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレート基材に匹敵する高屈折率を有するフィルムの製造に使用可能で、かつ、造膜性及び密着性に優れることから、例えば、液晶ディスプレイやタッチパネル等の画像表示装置、偏光板等の製造に使用する光学フィルムやレンズの製造、それらの表面保護層の形成用コーティング剤、屈折率差から生じる干渉縞抑制コーティング剤等に使用することができる。
本発明の水性樹脂組成物は、芳香環を有するポリエステル樹脂(A)及び芳香環を有するウレタン樹脂(B)が、水性媒体(C)中に分散された水性樹脂組成物である。
前記芳香環を有するポリエステル樹脂(A)は、多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたものであるが、前記多価カルボン酸及び前記多価アルコールのうち、少なくとも1つに芳香環を有するものを用いる。
前記多価カルボン酸のうち、芳香環を有するものとしては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル化物が挙げられる。また、芳香環を有さないものとしては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4−ブタン−トリカルボン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル化物が挙げられる。これらの多価カルボン酸又はそのエステル化物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記多価アルコールのうち、芳香環を有するものとしては、例えば、化合物1モル中に1モルの芳香環骨格を有する1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、トルエンジメタノール、キシレンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、化合物1モル中に2モルの芳香環骨格を有する1,8−ナフタレンジメタノール、2,3−ナフタレンジメタノール、2,7−ナフタレンジメタノール、1,5−ナフタレンジエタノール、化合物1モル中に4モルの芳香環骨格を有する9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の芳香族ジオールが挙げられる。また、芳香環を有さないものとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコールエチレングリコール等の脂肪族ポリオールが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記芳香環を有するポリエステル樹脂(A)を製造する際のエステル化反応においては、エステル化反応を促進する目的で、エステル化触媒を用いることが好ましい。前記エステル化触媒としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物などが挙げられる。
前記芳香環を有するポリエステル樹脂(A)としては、光学用途に使用可能なレベルの透明性に優れる均一な塗膜を形成できることから、重量平均分子量500〜5,000の範囲のものが好ましい。
前記芳香環を有するウレタン樹脂(B)は、芳香環を有するポリオール(b1−1)及び親水性基を有するポリオール(b1−2)を含有するポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)と、必要に応じて鎖伸長剤とを反応させて得られたものを用いることができる。
前記芳香環を有するポリオール(b1−1)を前記ウレタン樹脂(B)の原料として用いることで、前記ウレタン樹脂(B)が芳香環を有するものとなる。また、前記ウレタン樹脂(B)中の芳香環濃度は、優れた造膜性を有する塗膜及び高屈折率性能を有する塗膜を形成できることから2〜9mol/kgの範囲が好ましく、3〜8.5mol/kgの範囲がより好ましい。なお、本発明において芳香環濃度とは、樹脂固形分1kg中に含まれる芳香環のモル数を指す。
前記芳香環を有するポリオール(b1−1)としては、例えば、芳香族ポリエステルポリオール、芳香族ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中でも、高屈折率性能を有する塗膜を形成できること、及び基材密着性を向上できることから、芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。またこれらのポリオール(b1−1)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記芳香族ポリエステルポリオールは、前記芳香環を有するポリエステル樹脂(A)の項で例示した多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたものを使用することができる。
前記親水性基を有するポリオール(b1−2)としては、例えば、前記したポリオール(b1−1)以外の、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、及び、ノニオン性基を有するポリオールを使用することができる。これらの中でも、アニオン性基を有するポリオールまたはカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましく、アニオン性基を有するポリオールを使用することがより好ましい。
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、カルボキシル基を有するポリオールや、スルホン酸基を有するポリオール等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸が好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと多価カルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも用いることができる。
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のジカルボン酸又はそれらの塩と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の低分子ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物などが挙げられる。前記塩基性化合物は、水性樹脂組成物の水分散安定性を向上させる観点から、前記塩基性化合物が有する塩基性基/アニオン性基=0.5〜2(モル比)となる範囲で用いることが好ましく、0.8〜1.2(モル比)となる範囲で用いることがより好ましい。
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば、3級アミノ基を有するポリオール等が挙げられる。具体的には、N−メチル−ジエタノールアミン、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等が挙げられる。
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等が挙げられる。これらの中でもジメチル硫酸が好ましい。
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレン構造を有するポリオール等が挙げられる。
前記親水性基を有するポリオール(b1−2)は、前記ウレタン樹脂(B)の製造に使用するポリオール(b1)の全量中に、1〜20質量%の範囲で用いることが好ましい。
また、前記ポリオール(b1)としては、前記ポリオール(b1−1)、前記ポリオール(b1−2)の他に、必要に応じてその他のポリオールを用いることができる。
前記その他のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
前記ポリオール(b1)と反応しうるポリイソシアネート(b2)としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式構造を有するポリイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネート(b2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記ウレタン樹脂(B)を製造する際に、必要に応じて用いる鎖伸長剤としては、例えば、ポリアミン、ヒドラジン化合物、その他活性水素原子を有する化合物が挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。これらの中でも、エチレンジアミンが好ましい。
前記ヒドラジン化合物としては、例えば、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン、コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
前記その他活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水添ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール、水等が挙げられる。
前記鎖伸長剤として、例えば、ポリアミンを用いる場合、ポリアミンが有するアミノ基とイソシアネート基との当量比[アミノ基/イソシアネート基]は、1.2以下が好ましく、0.3〜1の範囲がより好ましい。
前記ウレタン樹脂(B)は、例えば、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと、前記ポリイソシアネートと、必要に応じて前記鎖伸長剤とを、公知の方法によって反応させることにより製造できる。
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの反応は、急激な発熱、発泡等に十分に注意し安全性を考慮し、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃の反応温度で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、一括混合、又は、何れか一方を他方へ滴下等の方法で逐次供給し、1〜15時間程度反応させる方法により行うことができる。
前記ポリオール(b1)と前記ポリイソシアネート(b2)との反応は、前記ポリオール(b1)が有する水酸基と、前記ポリイソシアネート(b2)が有するイソシアネート基との当量比[イソシアネート基/水酸基]が0.5〜2の範囲で行うことが好ましく、0.8〜1.2の範囲で行うことがより好ましい。
前記ウレタン樹脂(B)を製造する際には、溶媒として有機溶剤を用いることもできる。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶剤;トルエン等の芳香族系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記有機溶剤は、前記ウレタン樹脂(B)の製造後、蒸留法等によって除去することが好ましい。
前記ウレタン樹脂(B)の重量平均分子量は、基材との密着性に優れることから、5,000〜200,000の範囲が好ましく、10,000〜100,000の範囲がより好ましく、20,000〜80,000の範囲がさらに好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリエチレン換算での値である。
本発明の水性樹脂組成物で用いる水性媒体(C)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。これらの水と混和する有機溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記水性媒体(C)は、安全性や環境に対する負荷低減を考慮すると、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみがより好ましい。
前記水性媒体(C)は、本発明の水性樹脂組成物全量中に10〜60質量%の範囲で含まれることが好ましく、20〜50質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、前記水性媒体(C)中に、前記芳香環を有するポリエステル樹脂(A)及び前記芳香環を有するウレタン樹脂(B)を分散したものである。この際、前記ポリエステル樹脂(A)と前記ウレタン樹脂(B)とが、前記水性媒体(C)中で、前記ポリエステル樹脂(A)の一部又は全部が、前記ウレタン樹脂(B)粒子中に内在した樹脂粒子(D)を形成したものを用いる。より具体的には、前記ポリエステル樹脂(A)がコア層を形成し、前記ウレタン樹脂(B)がシェル層を形成したコア・シェル型の樹脂粒子(D)である。
なお、前記樹脂粒子(D)としては、前記ポリエステル樹脂(A)が、前記ウレタン樹脂(B)によって完全に覆われていることが好ましいが、必須ではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリエステル樹脂(A)の一部が前記樹脂粒子(D)の最外部に存在してもよい。
また、前記ポリエステル樹脂(A)と前記ウレタン樹脂(B)とは、共有結合を形成していてもよいが、結合を形成していないことが好ましい。
前記樹脂粒子(D)は、前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ウレタン樹脂(B)を予め製造しておき、次いで、前記ウレタン樹脂(B)に、前記ポリエステル樹脂(A)、前記ウレタン樹脂(B)が有するアニオン性基を中和する塩基性化合物及び前記水性媒体(C)を混合することによって製造することができる。
前記方法で得られた水性樹脂組成物中に有機溶剤が含まれる場合には、安全性や環境に対する負荷低減を図るため、蒸留法等などによって前記有機溶剤を除去してもよい。これにより、水性媒体(C)中に前記樹脂粒子(D)が分散した水性樹脂組成物を得ることができる。
前記樹脂粒子(D)中の芳香環濃度は、優れた造膜性を有する塗膜及び高屈折率性能を有する塗膜を形成できることから、5.5〜7.5mol/kgの範囲が好ましく、6.0〜7.0mol/kgの範囲がより好ましく、6.5〜7.0mol/kgの範囲がさらに好ましい。
本発明の水性樹脂組成物には、必要に応じて、造膜助剤、架橋剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、無機顔料、有機顔料、体質顔料等の添加剤;ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等のその他の樹脂などを配合することができる。
前記造膜助剤としては、例えば、N−メチル−2-ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ブチルセロソルブ、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンを用いることが、本発明の水性樹脂組成物との相溶性に優れるため好ましい。
前記架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。前記メラミン化合物としては、アルキル化メチロールメラミン樹脂が挙げられる。前記アルキル化メチロールメラミン樹脂は、例えば、メチロール化メラミン樹脂と、メチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール(炭素原子数1〜6のアルコール)とを反応して得られるものである。前記メチロール化メラミン樹脂としては、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを縮合して得られるアミノ基を有するメチロールメラミン樹脂、イミノ基を有するメチロールメラミン樹脂、トリメトキシメチロールメラミン樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、トリメトキシメチロールメラミン樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン樹脂が好ましい。また、前記アルキル化メチロールメラミン樹脂としては、イミノ基を有するアルキル化メチロールメラミン樹脂、アミノ基を有するアルキル化メチロールメラミン樹脂等が挙げられる。
本発明の積層体は、上記で説明した本発明の水性樹脂組成物を用いて形成したプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成した硬化塗膜を有するものである。
前記活性エネルギー線硬化性組成物としては、重合性不飽和基を有する樹脂と、重合性不飽和基を有する単量体とを含有するものが好ましく、これら重合性不飽和基を有する樹脂及び重合性不飽和基を有する単量体の種類は、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜に要求される特性に応じて、適宜選択することが好ましい。
前記重合性不飽和基を有する樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド基を有する樹脂等が挙げられる。これらの重合性不飽和基を有する樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方又は両方をいう。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとをウレタン化反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂等が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。また、前記芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物、及び、グリコールの重縮合によって得られる硬化性樹脂である。前記α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。前記芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。前記グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に用いることができる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリエステルポリオールの水酸基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、グリシジルメタクリレート、及び必要に応じてアルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート単量体とを重合させて、エポキシ基を有するアクリル樹脂を得た後、そのエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
前記マレイミド基を有する樹脂としては、N−ヒドロキシエチルマレイミドとイソホロンジイソシアネートとをウレタン化して得られる2官能マレイミドウレタン化合物、マレイミド酢酸とポリテトラメチレングリコールとをエステル化して得られる2官能マレイミドエステル化合物、マレイミドカプロン酸とペンタエリスリトールのテトラエチレンオキサイド付加物とをエステル化して得られる4官能マレイミドエステル化合物、マレイミド酢酸と多価アルコール化合物とをエステル化して得られる多官能マレイミドエステル化合物等が挙げられる。
前記重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1,000の範囲にあるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1,000の範囲にあるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングルリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−プロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート、N,N−ヘキサメチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等のマレイミド化合物などが挙げられる。これらの重合性不飽和基を有する単量体は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物は、基材等に塗布後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。活性エネルギー線として紫外線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化塗膜とする場合には、前記活性エネルギー線硬化性組成物中に光重合開始剤を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であればさらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。一方、活性エネルギー線として電子線、α線、β線又はγ線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化塗膜とする場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するため、光重合開始剤や光増感剤を添加する必要はない。
前記光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
本発明の積層体に用いる基材としては、例えば、金属基材、プラスチック基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等が挙げられる。これらの基材の中でも、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜と基材との密着性を向上するため、本発明の水性樹脂組成物をプライマーとして用いる場合は、プラスチック基材が好適である。
前記プラスチック基材の材質としては、ポリエステル、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ABS樹脂とポリカーボネートとの複合樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン(COP)等)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物は、上記のプラスチック基材の中でも、ポリエステル基材のプライマーとして、非常に有用である。前記ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
前記プラスチック基材としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品が挙げられる。また、プラスチックを素材としたフィルム基材も挙げられる。フィルム基材を本発明の積層体の基材とする場合には、反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等の光学フィルム;アルミ蒸着フィルム等の食品包装などの高機能フィルムに用いることができる。
また、本発明の積層体を反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等の光学フィルムとする場合には、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等の各種画像表示装置の部材として用いることができる。
本発明の物品としては、例えば、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物は、例えば、前記基材の表面に直接、塗布し、次いで、乾燥させることによって、基材の表面に塗膜を形成することができる。また、前記水性樹脂組成物を塗布した層を乾燥させる方法としては、120〜200℃の温度環境下で、3〜10分加熱する方法が挙げられる。
前記基材の表面に、本発明の水性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、フローコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、刷毛塗り、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物を用いて形成する塗膜の膜厚は、使用される用途に応じて適宜調整可能であるが、通常は、0.01〜20μmの範囲であることが好ましい。
本発明の積層体は、上記のようにして得られた本発明の水性樹脂組成物の塗膜であるプライマー層の表面に、さらに、前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射することにより、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を形成することにより得ることができる。なお、前記活性エネルギー線硬化性組成物の塗布方法は、上記の本発明の水性樹脂組成物の塗布方法と同じ方法を用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により、具体的に説明する。
(製造例1:ポリエステル樹脂(I−1)の製造)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、エチレングリコール160質量部、1,4−ブタンジオール360質量部、テレフタル酸440質量部、イソフタル酸440質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が0.5以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(I−1)(水酸基価:106mgKOH/g、酸価:0.3mgKOH/g、芳香環濃度:4.38mol/kg)を得た。
(製造例2:ポリエステル樹脂(I−2)の製造)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、エチレングリコール420質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル660質量部、テレフタル酸300質量部、オルトフタル酸120質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が0.5以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(I−2)(水酸基価:111mgKOH/g、酸価:0.1mgKOH/g、芳香環濃度:7.09mol/kg)を得た。
(製造例3:ポリエステル樹脂(I−3)の製造)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン1,400質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル173質量部、テレフタル酸94質量部、オルトフタル酸21質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が0.5以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(I−3)(水酸基価:117mgKOH/g、酸価:0.2mgKOH/g、芳香環濃度9.22mol/kg)を得た。
製造例1〜3で合成したポリエステル樹脂(I−1)〜(I−3)の組成を表1に示す。
Figure 0006623744
(製造例4:ウレタン樹脂(II−1)溶液の製造)
反応容器中に、製造例1で得られたポリエステル樹脂(I−1)をポリエステルポリオール(1)として581.5質量部仕込み、減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン554.2質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート205.3質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で15時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.3質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−1)の固形分当たりの芳香環濃度は3.04mol/kgであり、酸価は25.0mgKOH/gであった。
(製造例5:ウレタン樹脂(II−2)溶液の製造)
反応容器中に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)をポリエステルポリオール(2)として577質量部仕込み、減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン554.1質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート209.9質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で15時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.4質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−2)の固形分当たりの芳香環濃度は4.89mol/kgであり、酸価は25mgKOH/gであった。
(製造例6:ウレタン樹脂(II−3)溶液の製造)
反応容器中に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)をポリエステルポリオール(2)として599.7質量部仕込み、減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン337.1質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート86質量部、トルエンジイソシアネート101質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で15時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン495.8質量部を加え、更に80℃で8時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.3質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−3)の不揮発分50質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−3)の固形分当たりの芳香環濃度は5.78mol/kgであり、酸価は25mgKOH/gであった。
(製造例7:ウレタン樹脂(II−4)溶液の製造)
反応容器中に、製造例3で得られたポリエステル樹脂(I−2)をポリエステルポリオール(2)として555.8質量部仕込み、減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン554.2質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート231.0質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で12時間反応させた。続いて、メチルエチルケトン278.9質量部を加え、更に80℃で5時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.3質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−4)の不揮発分50質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−4)の固形分当たりの芳香環濃度は6.92mol/kgであり、酸価は25mgKOH/gであった。
(製造例8:ウレタン樹脂(II−5)溶液の製造)
反応容器中に、製造例3で得られたポリエステル樹脂(I−3)をポリエステルポリオール(3)として555.7質量部仕込み、減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン337.2質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート231.0質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、70℃で12時間反応させた。続いて、メチルエチルケトン136.9質量部を加え、更に80℃で5時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.3質量部、メチルエチルケトン358.9質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−5)の不揮発分50質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−5)の固形分当たりの芳香環濃度は8.33mol/kgであり、酸価は25mgKOH/gであった。
製造例4〜8で製造したウレタン樹脂(II−1)〜(II−5)の組成を表2に示す。
Figure 0006623744
(実施例1:水性樹脂組成物(III−1)の調製)
製造例4で得られたウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液278.9質量部に、製造例3で得られたポリエステル樹脂(I−3)167.4質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水892.6質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−1)を得た。この水性樹脂組成物(III−1)の固形分当たりの芳香環濃度は6.13mol/kgであり、ガラス転移温度は74℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例2:水性樹脂組成物(III−2)の調製)
製造例4で得られたウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液278.9質量部に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)71.7質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水1328質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分25質量%の水性樹脂組成物(III−2)を得た。この水性樹脂組成物(III−2)の固形分当たりの芳香環濃度は5.55mol/kgであり、ガラス転移温度は59℃であり、酸価は17.5mgKOH/gであった。
(実施例3:水性樹脂組成物(III−3)の調製)
製造例4で得られたウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液278.9質量部に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)4463.1質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水892.6質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−3)を得た。この水性樹脂組成物(III−3)の固形分当たりの芳香環濃度は5.99mol/kgであり、ガラス転移温度は50℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例4:水性樹脂組成物(III−4)の調製)
製造例5で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液278.9質量部に、製造例3で得られたポリエステル樹脂(I−3)71.7質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水1328質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分25質量%の水性樹脂組成物(III−4)を得た。この水性樹脂組成物(III−4)の固形分当たりの芳香環濃度は6.19mol/kgであり、ガラス転移温度は77℃であり、酸価は17.5mgKOH/gであった。
(実施例5:水性樹脂組成物(III−5)の調製)
製造例6で得られたウレタン樹脂(II−3)の不揮発分50質量%溶液279質量部に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)139.5質量部とトリエチルアミン6.6質量部とを加え、イオン交換水691質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−5)を得た。この水性樹脂組成物(III−5)の固形分当たりの芳香環濃度は6.44mol/kgであり、ガラス転移温度は59℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例6:水性樹脂組成物(III−6)の調製)
製造例6で得られたウレタン樹脂(II−3)の不揮発分50質量%溶液279質量部に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)209.3質量部とトリエチルアミン6.6質量部とを加え、イオン交換水800質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−6)を得た。この水性樹脂組成物(III−6)の固形分当たりの芳香環濃度は6.57mol/kgであり、ガラス転移温度は55℃であり、酸価は10.0mgKOH/gであった。
(実施例7:水性樹脂組成物(III−7)の調製)
製造例7で得られたウレタン樹脂(II−4)の不揮発分50質量%溶液334.7質量部に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)167.4質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水837質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−7)を得た。この水性樹脂組成物(III−7)の固形分当たりの芳香環濃度は7mol/kgであり、ガラス転移温度は67℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例8:水性樹脂組成物(III−8)の調製)
製造例7で得られたウレタン樹脂(II−4)の不揮発分50質量%溶液334.7質量部に、製造例2で得られたポリエステル樹脂(I−2)100.4質量部と製造例3で得られたポリエステル樹脂(I−3)67質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水903.8質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−8)を得た。この水性樹脂組成物(III−8)の固形分当たりの芳香環濃度は7.43mol/kgであり、ガラス転移温度は79℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例9:水性樹脂組成物(III−9)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−5)の不揮発分50質量%溶液334.7質量部に、製造例1で得られたポリエステル樹脂(I−1)167.4質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水837質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III−9)を得た。この水性樹脂組成物(III−9)の固形分当たりの芳香環濃度は6.35mol/kgであり、ガラス転移温度は76℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(比較例1:水性樹脂組成物(III’−1)の調製)
製造例5で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液278.9質量部に、トリエチルアミン7.9質量部を加え、イオン交換水1195.5質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分20質量%の水性樹脂組成物(III’−1)を得た。この水性樹脂組成物(III’−1)の固形分当たりの芳香環濃度は4.89mol/kgであり、ガラス転移温度は67℃であり、酸価は25mgKOH/gでった。
(比較例2:水性樹脂組成物(III’−2)の調製)
製造例6で得られたウレタン樹脂(II−3)の不揮発分50質量%溶液279質量部に、トリエチルアミン6.6質量部を加え、イオン交換水790質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分18質量%の水性樹脂組成物(III’−2)を得た。この水性樹脂組成物(III’−2)の固形分当たりの芳香環濃度は5.78mol/kgであり、ガラス転移温度は80℃であり、酸価は25mgKOH/gであった。
(比較例3:水性樹脂組成物(III’−3)の調製)
製造例5で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分50質量%溶液334.7質量部に、トリエチルアミン7.9質量部を加え、イオン交換水1290質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分18質量%の水性樹脂組成物(III’−3)を得た。この水性樹脂組成物(III’−3)の固形分当たりの芳香環濃度は6.92mol/kgであり、ガラス転移温度は95℃であり、酸価は25mgKOH/gであった。
(比較例4:水性樹脂組成物(III’−4)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂溶液組成物(II−5)334.7質量部にトリエチルアミン7.9質量部を加え、イオン交換水790質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分23質量%の水性樹脂組成物(III’−4)を得た。この水性樹脂組成物(III’−4)の固形分当たりの芳香環濃度は8.33mol/kgであり、ガラス転移温度は137℃であり、酸価は25mgKOH/gであった。
(比較例5:水性樹脂組成物(III’−5)の調製)
製造例5で得られたウレタン樹脂溶液組成物(II−2)278.9質量部に、前記ポリエステル樹脂(I−3)167.4質量部とトリエチルアミン7.9質量部と加え、イオン交換水850質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III’−5)を得た。この水性樹脂組成物(III’−5)の固形分当たりの芳香環濃度は7.05mol/kgであり、ガラス転移温度は84℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(比較例6:水性樹脂組成物(III’−6)の調製)
製造例6で得られたウレタン樹脂溶液組成物(II−3)279質量部に、前記ポリエステル樹脂(I−1)59.8質量部とトリエチルアミン6.6質量部とを加え、イオン交換水827質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分25質量%の水性樹脂組成物(III’−6)を得た。この水性樹脂組成物(III’−6)の固形分当たりの芳香環濃度は5.36mol/kgであり、ガラス転移温度は61℃であり、酸価は17.5mgKOH/gであった。
(比較例7:水性樹脂組成物(III’−7)の調製)
製造例7で得られたウレタン樹脂溶液組成物(II−4)334.7質量部に、前記ポリエステル樹脂(I−3)167.4質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水837質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III’−7)を得た。この水性樹脂組成物(III’−7)の固形分当たりの芳香環濃度は8.07mol/kgであり、ガラス転移温度は97℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(比較例8:水性樹脂組成物(III’−8)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂溶液組成物(II−5)334.7質量部に、前記ポリエステル樹脂(I−2)167.4質量部とトリエチルアミン7.9質量部とを加え、イオン交換水837質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III’−8)を得た。この水性樹脂組成物(III’−8)の固形分当たりの芳香環濃度は7.71mol/kgであり、ガラス転移温度は88℃であり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
実施例1〜9で調整した水性樹脂組成物(III−1)〜(III−9)の組成、及び、比較例1〜8で調整した水性樹脂組成物(III’−1)〜(III’−8)の組成を表3に示す。
Figure 0006623744
(調製例1:紫外線硬化性樹脂組成物の調製)
エポキシアクリレート樹脂(DIC株式会社製「UNIDIC V−5500」)70質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート30質量部及び光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」)3質量部を混合することによって、紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例10:積層体(1)の作製)
実施例1で得られた水性樹脂組成物(III−1)100質量部とイオン交換水250質量部とを混合・攪拌し、配合液を得た。次いで、膜厚125μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する。)製フィルム基材の表面に、乾燥時膜厚が約5μmとなるように、上記で得られた配合液を塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材表面にプライマー層(P−1)を形成した。
前記プライマー層(P−1)の表面に、調整例1で得られた紫外線硬化性樹脂組成物を、50μmの塗布厚で塗布し、その塗布面に、高圧水銀灯を光源として、照射強度0.5J/cmで紫外線を照射することによって、前記基材の表面にプライマー層を有し、そのプライマー層の表面に紫外線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を有する積層体(1)を得た。
(実施例11:積層体(2)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−2)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−2)を形成し、積層体(2)を得た。
(実施例12:積層体(3)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−3)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−3)を形成し、積層体(3)を得た。
(実施例13:積層体(4)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−4)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−4)を形成し、積層体(4)を得た。
(実施例14:積層体(5)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−5)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−5)を形成し、積層体(5)を得た。
(実施例15:積層体(6)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−6)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−6)を形成し、積層体(6)を得た。
(実施例16:積層体(7)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−7)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−7)を形成し、積層体(7)を得た。
(実施例17:積層体(8)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−8)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−8)を形成し、積層体(8)を得た。
(実施例18:積層体(9)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−9)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P−9)を形成し、積層体(9)を得た。
(比較例9:積層体(R1)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−1)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−1)を形成し、積層体(R1)を得た。
(比較例10:積層体(R2)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−2)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−2)を形成し、積層体(R2)を得た。
(比較例11:積層体(R3)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−3)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−3)を形成し、積層体(R3)を得た。
(比較例12:積層体(R4)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−4)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−4)を形成し、積層体(R4)を得た。
(比較例13:積層体(R5)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−5)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−5)を形成し、積層体(R5)を得た。
(比較例14:積層体(R6)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−6)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−6)を形成し、積層体(R6)を得た。
(比較例15:積層体(R7)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−7)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−7)を形成し、積層体(R7)を得た。
(比較例16:積層体(R8)の作製)
実施例10で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−8)を用いた以外は、実施例10と同様に行い、プライマー層(P’−8)を形成し、積層体(R8)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた水性樹脂組成物及び積層体を用いて、下記の評価を行った。
[造膜性の評価方法]
膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材の表面に、乾燥時の膜厚が約5μmとなるように前記プライマーを塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材の表面にプライマー層を形成した。
○;プライマー層の表面を目視観察すると、透明であった。
△;プライマー層の表面を目視観察すると、透明であるがクラックを確認できた。
×;プライマー層の表面を目視観察すると、白化する程のクラックが発現し、プライマー層の一部がポリエチレンテレフタレート基材から容易に剥離していた。
[試験板の作製]
膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材の表面に、乾燥時の膜厚が約1μmとなるようにプライマーを塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材の表面にプライマー層が積層した部材からなる試験板を作製した。
[基材とプライマー層との密着性]
前記方法で作成した試験板を構成するプライマー層の表面に、ニチバン株式会社製の24mm幅の粘着テープを貼付した。次いで、前記粘着テープを前記プライマー層に対して垂直方向に引張り、前記粘着テープをプライマー層の表面から剥がした際の、前記プライマー層の表面の状態を、下記評価基準に従って目視で評価した。
○:試験板を構成する基材表面から、全く剥離しない、またはごく一部のプライマー層が剥離したが、その剥離した範囲は、試験版を構成する皮膜の全面積に対して10%未満であった。
△:試験板を構成する基材表面から、一部のプライマー層が剥離したが、その剥離した範囲は、試験板を構成する皮膜の全面積に対して10%以上50%未満であった。
×:試験板を構成するプライマー層の全面積に対して50%以上の範囲のプライマー層が、試験板を構成する基材表面から剥離した。
[屈折率測定]
膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材の表面に、乾燥時の膜厚が約5μmとなるように前記プライマーを塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材の表面にプライマー層を形成した。次に、この樹脂積層体に対して、METRICON株式会社製モデル2010を用いて屈折率を測定した。なお、造膜不良により、測定ができないものに関しては、測定不可「−」とした。
[ガラス転移温度測定]
膜厚300μmのポリプロピレンフィルムに前記水性樹脂組成物をキャストし、150℃で5分間加熱することによって、乾燥皮膜を得た。次に、この乾燥皮膜に対してTAインスツールメント製Q−100を使用してガラス転移温度を測定した。
実施例10〜18で得られた積層体(1)〜(9)の評価結果を表4に示す。
Figure 0006623744
比較例9〜16で得られた積層体(R1)〜(R8)の評価結果を表5に示す。
Figure 0006623744
表4に示した評価結果から、本発明の水性樹脂組成物を用いて形成されたプライマー層は、優れた造膜性を有し、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有するとともに、基材との密着性にも優れることが確認できた。
一方、表5に示した評価結果は、比較例1〜8の水性樹脂組成物を用いて形成された積層体の例である。比較例9はウレタン樹脂のみを用いた例である。造膜性及び基材との密着性を十分であるが、光学用途に使用可能なレベルの屈折率に達していない。
比較例10及び11は、比較例9同様ウレタン樹脂のみを用いた例である。光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有してはいるが、造膜性及び基材との密着性が不十分である。
比較例12は、比較例9同様ウレタン樹脂のみを用いた例である。造膜性が著しく悪く、基材との密着性が不十分であり、屈折率においては測定不可であった。
比較例13は、ガラス転移温度が本発明の範囲外の水性樹脂組成物を用いた例である。光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有してはいるが、造膜性が不十分である。
比較例14は、芳香環濃度が、本発明の範囲外の水性樹脂組成物を用いた例である。造膜性及び基材との密着性を十分であるが、光学用途に使用可能なレベルの屈折率に達していない。
比較例15及び16は、ガラス転移温度及び芳香環濃度ともに本発明の範囲外の水性樹脂組成物を用いた例である。造膜性が著しく悪く、基材との密着性が不十分であり、屈折率においては測定不可であった。

Claims (5)

  1. 芳香環を有するポリエステル樹脂(A)及び芳香環を有するウレタン樹脂(B)が、水性媒体(C)中に分散された水性樹脂組成物であって、
    前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ウレタン樹脂(B)が、前記ポリエステル樹脂(A)がコア層、前記ウレタン樹脂(B)がシェル層であるコア・シェル型の樹脂粒子(D)を形成したものであり、
    前記樹脂粒子(D)中の芳香環濃度が、5.5〜7.5mol/kgの範囲であり、
    前記樹脂粒子(D)のガラス転移温度が、55〜80℃の範囲であることを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記ウレタン樹脂(B)が、芳香環を有するポリオール(b1−1)及び親水性基を有するポリオール(b1−2)を含有するポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)との反応物である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. 基材の表面に、請求項1または2記載の水性樹脂組成物を用いて形成されたプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成された硬化塗膜を有することを特徴とする積層体。
  4. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、重合性不飽和基を有する樹脂と、重合性不飽和基を有する単量体とを含有するものである請求項3記載の積層体。
  5. 請求項3または4記載の積層体を有することを特徴とする物品。
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