以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。先ず、図1を参照して、本発明の実施の形態としての鋳造設備を構成する複数の装置の異常の原因を検出するシステム100について説明する。図中、鋳造設備を構成する複数の装置は省略するが、符号102は各装置に設置されたサンプリング用PLCを示す。サンプリング用PLC102は、各装置の稼働に関する情報をモニターして記憶する。各装置の稼働に関する情報には、各装置に設置されたセンサで計測した情報を含む。なお、サンプリング用PLC102は、装置の稼働を制御してもよい。ここで、各装置とは、たとえば、造型装置、混錬機、注湯機、表面処理装置、集塵機、溶解炉などの装置であるが、これらには限定されない。また、各装置に関する情報とは、各装置の仕様に関する情報、各装置の作動状態に関する情報、等が含まれるが、これらには限定されない。また、「情報を記憶する」とは、情報を取得し、その後に出力できることを指し、記憶している時間は微小でもよい。また、各装置に設置されたセンサとは、例えば造型装置に設置された造型時の砂投入重量、圧縮率、静圧またはスクイズ圧力、スクイズ時間、昇圧速度、スクイズストローク、鋳型厚み、造型時刻等の造型履歴データを計測するセンサ(計測器)、稼働するための電流を計測する電流計または電圧を計測する電圧計、振動計、騒音計等であるが、これらには限定されない。
複数のサンプリング用PLC102は、スイッチングハブ104を介して、異常判定コンピュータ108にLAN接続される。ある装置のサンプリング用PLC102とスイッチングハブ104とが見通しの良い位置にある場合には、無線通信機器106を介して無線LANで接続してもよい。ただし、有線LAN接続の方が、通信の信頼性が高いので好ましい。なお、スイッチングハブ104ではなく単なるハブを介して、サンプリング用PLC102と異常判定コンピュータ108がLAN接続されてもよい。
異常判定コンピュータ108は、各装置に設置されたセンサで計測した情報を含む複数のサンプリング用PLC102から各装置の稼働に関する情報を受信し、その情報から、装置の異常を判定する。すなわち、ある値が所定の範囲から外れたり、それまでの値から大きく変化したりした場合に、その装置が異常であると判定する。なお、所定の範囲は、たとえば運転モードの変化により変更されるように設定されてもよい。
ある装置が異常であると判定すると、異常判定コンピュータ108はその原因を検出する。異常判定コンピュータ108は、ある装置の異常の原因となる複数の装置の稼働状態を記憶している。そこで、ある装置に異常が生じたときには、その装置だけではなく、他の装置の稼働状況を調べる。調べる稼働状況は、履歴を含めた稼働状況である。
たとえば、造型機でスクイズ圧が高くなり、造型機の異常が判定されたとする。原因としては、造型機のバルブや電装系統あるいは他の構成部品の故障の場合もあるが、造型機の前工程の混錬機、CB(コンタクタビリティ)コントローラ、エアレータ等に異常が生じている場合もある。混錬機が正常に作動しておらず、造型機に送られた鋳型砂の性状が悪く、造型機のスクイズ圧が高くなってしまうことがある。このような原因は、混錬機における砂温度、砂の水分値、混錬機の電流値等を記憶しているデータ、すなわち造型機のスクイズ圧を高くするような砂温度等と比較することにより特定することができる。同様に、CB(コンタクタビリティ)コントローラ、エアレータの稼働状況が、造型機のスクイズ圧を高くするような稼働状況となっているかを調べ、原因を特定することができる。
また、ベルトコンベヤが過負荷のために異常に停止したとする。原因としては、ベルトコンベヤのモータ系の不具合、あるいは、コンベヤベルトあるいはベルトドライブの噛み込み等、ベルトコンベヤ自体の異常である場合もあるが、ベルトコンベヤの前工程の混錬機の異常が原因の場合もある。たとえば、混錬機で鋳型砂に過多に注水して砂の比重が大きくなりすぎ、過負荷によりベルトコンベアが停止することも考えられる。このような原因は、混錬機における砂温度、砂の水分値、混錬機の電流値等を記憶しているデータ、すなわち造型機の鋳型砂への注水量を高くするようなデータを調べることにより特定することができる。
あるいは、混錬機が過負荷のために異常に停止したとする。混錬機のマラーホイールの異常、マラーホイールのモータ系の異常等、混錬機自体の異常である場合もあるが、混錬機の前工程の混錬機前水分制御が異常である場合もある。すなわち、混錬機前水分制御すなわち、後述の造型前砂特性計測器12での水分センサで正しい砂水分を計測できず、混錬機での注水が過多になり、過負荷となってしまうこともある。そこで、水分制御での水分計測値、砂温、大気温が異常になっていないかを調べ、原因を特定することができる。
上記の例のように、他の設備の異常が原因となってある装置に異常が生じる場合がある。そのために、複数の装置の異常の原因を検出するシステム100では、各サンプリング用PLC102で得られた情報を異常判定コンピュータ108に送る。異常判定コンピュータ108では、ある装置の異常を判定すると、その原因を周囲の装置の情報を含めて探索し、異常の真の原因を特定する。このように、システム100によれば、鋳造設備のように複数の装置で構成された設備における、ある装置の異常の真の原因を特定することができる。
次に、図2および図3を参照して、鋳造設備1の構成について説明する。図2は、鋳造設備の構成を示す平面図であり、図3は、図2のA部拡大図である。鋳造設備1は、造型ユニット10と鋳型搬送ユニット30と溶湯搬送ユニット50と注湯ユニット70を備える。造型ユニット10は、鋳型砂から鋳型Mを造型する。鋳型搬送ユニット30は、造型された鋳型Mを造型ユニット10から注湯ユニット70へ搬送し、そして注湯ユニット70で注湯された鋳型Mを搬送しつつ冷却して溶湯を冷却・固化して鋳物とし、鋳型ばらし装置48で鋳型から鋳物を取り出す。溶湯搬送ユニット50は、処理取鍋L1に合金材を投入し、炉Fから処理取鍋L1に受湯し、溶湯と合金材とを反応させ、反応後の溶湯を注湯取鍋L2に空け替えて、注湯取鍋L2を注湯ユニット70の注湯機72に移送する。注湯ユニット70は、注湯取鍋L2から鋳型Mに注湯する。
造型ユニット10は、造型前の鋳型砂の性状を計測する造型前砂特性計測器12を有する。造型前の鋳型砂は、たとえば、生砂や鋳型ばらし装置48から排出された砂を砂回収装置で処理した砂に、粘結剤、添加剤、硬化剤、水分などを配合して混錬した砂である。鋳型砂の性状は、鋳型の品質に大きく影響するので、造型前に計測する。
造型ユニット10は、鋳型砂から鋳型を造型する造型装置14を有する。造型装置14では、製品の形状を模した模型の回りに鋳物砂を込めて、1製品に対して上下2つの鋳型を成形する。鋳型には、型枠の中に作られる枠付き鋳型と、型枠のない枠無し鋳型とがある。造型装置14は、造型時の砂投入重量、圧縮率、静圧またはスクイズ圧力、スクイズ時間、昇圧速度、スクイズストローク、鋳型厚み、造型時刻等の造型履歴データを計測する計測器(不図示)を有する。
造型ユニット10は、模型により鋳型に形成される空間、すなわち溶湯が注がれ、固化して鋳物とする空間の面、すなわち内面に、空間毎に識別可能な刻印を付ける刻印装置16を有してもよい。刻印装置16は、たとえば、ドリルなどの治具で鋳型の空間の面に複数の穴状の印を、相互の位置関係を変えながら切削加工してもよいし、レーザなどで穴や溝を刻印してもよい。鋳型の空間毎の内面にたとえば穴が形成されると、鋳造された鋳物の表面には穴に対応する位置に突起が形成され、鋳物毎に識別することが可能になる。ここで、鋳型の空間毎というのは、1つの鋳型で複数の鋳物を作ることがあるからである。すなわち、1つの鋳型が複数の空間を有するからである。すなわち、造型された鋳物の空間毎の面に刻印することにより、得られる鋳物毎に対応して刻印が形成されることになる。なお、刻印装置16は、鋳型搬送ユニット30に設けられてもよい。ただし、鋳型を造型した直後に刻印する方が、たとえば自硬性砂型の場合に完全に硬化する前に刻印でき、鋳型を崩すことなく刻印し易い。特に、枠無し鋳型の場合には、鋳型が造型装置14内にある間に刻印装置16で刻印する。
鋳型搬送ユニット30は、造型ユニット10から注湯ユニット70へ、および、鋳型Mを搬送しつつ冷却して鋳型ばらし装置48へと搬送するための鋳型レールRfを有する。なお、鋳型レールRfは、たとえば図2に示すように、並列され、鋳型MはレールRf間を横移動させられて、複数のレールRfで交互に逆方向に搬送される。そのために、注湯された後の鋳型Mは時間を掛けて冷却され、溶湯は鋳型ばらし装置48に至る前に固化して鋳物となる。すなわち、鋳型搬送ユニット30の搬送路は、造型装置14で造型された鋳型を注湯可能な状態の完成鋳型に処理する造型ライン32と、注湯機72から注湯されるために搬送される鋳型搬送ユニット注湯ゾーン33と、注湯された鋳型Mが時間を掛けて搬送されて冷却される鋳型搬送ユニット冷却ゾーン34とに大別される。
鋳型搬送ユニット30は、図4に示す搬送機構としての鋳型送りプッシャ38をレールRfの一直線の端部に有する。プッシャ38は、鋳型を押すためにロッドが伸び縮みする装置で、たとえばエアシリンダ、油圧シリンダまたは電動シリンダである。プッシャ38は、ロッドの伸び縮みを検知するセンサであって、鋳型Mが搬送されることを検知する鋳型位置センサ39を有する。鋳型位置センサ39は、リミットスイッチ、近接スイッチ、光電スイッチなどでよい。プッシャ38は、同期注湯させたり、鋳型の厚みが変わっても注湯位置を正しく検出したりするために、鋳型位置検出用エンコーダ37を有するのが好ましい。プッシャ38は一直線のレールRf上に並べられた後端の鋳型を1枠分だけ押して、並べられた鋳型を1枠分ずつ間欠的に搬送する。一直線のレールRfの反対側(前端)にもプッシャ38を設置して、後端で押されるのに合わせて、ロッドを縮めるのが好ましい。このように構成すると、搬送中にも一列の鋳型Mを両端から抑えることができ、搬送中にも鋳型Mが安定する。鋳型Mが前端に至ると、トラバーサTで隣のレールRf上に移送され、そこの鋳型ラインでの後端とされる。トラバーサTにも鋳型位置センサ39を備えてもよい。
鋳型搬送ユニット30の造型ライン32はさらに、ガス穴明け装置40を有し、注湯した際に発生するガスを抜くための穴を鋳型に明ける。造型ライン32はさらに、上下鋳型反転機41を有し、たとえば、上型および下型を反転して、鋳型の空間を上方に向ける。造型ライン32はさらに、サンドカッタ42を有し、上型の上面および下型の下面の余分な砂を取り除き、平らにする。造型ライン32はさらに、湯口カッタ43を有し、上型に湯口を明ける。
造型ライン32はさらに、定盤台車セット装置44を有し、鋳型を定盤台車に載置する。造型ライン32はさらに、コアセッタ45を有し、上型および下型に中子をセットする。造型ライン32はさらに、上鋳型再反転機46を有し、上型を反転して上下2つの鋳型を重ねたときに1つの鋳型を形成する向きに合わせる。造型ライン32はさらに、鋳型合わせ・鋳型移換装置47を有し、上型と下型を合わせて、注湯可能な状態の上下完成鋳型とする。なお、ガス穴明け装置40からコアセッタ45までの装置の並び順は、上記に限られず、適宜入れ替え可能である。
鋳型が枠付き鋳型の場合には、鋳型搬送ユニット30は、たとえば図2に示すように、ガス穴明け装置40、上下鋳型反転機41、サンドカッタ42、湯口カッタ43、定盤台車セット装置44、コアセッタ45、上鋳型再反転機46、鋳型合わせ・鋳型移換装置47を備えて、造型装置14で造型された鋳型Mを処理し、注湯可能な状態の上下完成鋳型とする。鋳型が枠無し鋳型の場合には、ガス抜き穴の形成、中子セット、鋳型合わせなどの処理を造型装置14で行ってもよく、その場合には、鋳型搬送ユニット30は、鋳型を処理するための装置40〜47のいくつか若しくは全部を備えなくてよい。
鋳型搬送ユニット30は、鋳型ばらし装置48を有する。鋳型ばらし装置48では、鋳型を分解して鋳物を取り出し、鋳物と砂とを分離する。鋳物は、その後に後工程を経て、製品として出荷される。中子も分離される。砂は、砂回収装置(不図示)で、混在する鉄粉や、粘結剤等を砂回収装置で除去して、鋳型用に用いられる。
溶湯搬送ユニット50は、溶湯と反応させる合金材を処理取鍋Fに投入する合金材投入ユニット60を備える。合金材ユニット60は、複数の合金材ホッパ62を有し、1種または複数種の合金材を処理取鍋L1に投入する。あるいは、処理取鍋L1に穴付きの蓋をし、合金材が充填された細いパイプを蓋の穴を通して処理取鍋L1内の溶湯に挿入するワイヤ接種装置(不図示)で合金材と溶湯を反応させてもよい。合金材ユニット60は、各合金材ホッパ62から処理取鍋L1へ投入された合金材の重量を計測する計測器(不図示)やタイマ(不図示)を有する。
溶湯搬送ユニット50は、処理取鍋L1に合金材投入ユニット60から合金材を投入される投入位置P1と、炉Fから受湯する受湯位置P2と、溶湯を注湯取鍋L2に空け替える空替位置P4とに処理取鍋L1を搬送する空替機能付受湯台車52と、空替機能付受湯台車52が走行するレールRとを有する。ワイヤ接種で合金材と溶湯を反応させる場合には、ワイヤ接種される位置が投入位置P1となる。その他、以降で「合金材を投入されたとき」という記載は、「ワイヤ接種されるとき」と読み替えるものとする。なお、合金材とは、鋳鉄の強度や靱性、あるいは耐食性、耐熱性、耐摩耗性などを高めるために溶湯に添加されるMg、Ce、Ca、Ni、Cr、Cu、Mo、V、Tiなどをいう。合金材には、黒鉛球状化剤を含む。また、合金材投入ユニット60で、カルシウムシリコン、フェロシリコン、黒鉛などの接種剤を添加してもよい。
図5に示すように、空替機能付受湯台車52は、レールR上を走行する走行台車520と、走行台車520を走行させるための走行モータ522を備える。走行台車520の車輪にはエンコーダ523を備え、車輪の回転、すなわち、走行台車520の走行を計測する。すなわち、エンコーダ523は、処理取鍋L1の位置を検出できる取鍋位置検出センサである。なお、空替機能付受湯台車52は、後述する光電センサなどの取鍋位置検出センサ59を備えてもよい。空替機能付受湯台車52は、溶湯を空け替えるために処理取鍋L1を傾動する傾動装置526と、傾動装置526を用いて処理取鍋L1を傾動するための傾動モータ527を備える。傾動装置526および処理取鍋L1は、走行台車520上でシザーリフタ524に載置され、昇降される。空替機能付受湯台車52が、処理取鍋L1を昇降する機能を有することで、処理取鍋L1から注湯取鍋L2への空け替えが容易になる。空替機能付受湯台車52は、炉Fから受湯した溶湯の重量を計測するロードセル(第1重量計)525を有する。また、受湯した溶湯の温度を計測する非接触温度計(不図示)を有する。
空替機能付受湯台車52では、外部から電源を受電するケーブルリール528や制御盤521を、処理取鍋L1とは離れた位置に設置することにより、万一、処理取鍋L1から溶湯が漏れた場合に、これらの機器に影響しないようにしている。なお、制御盤521は、走行台車520上ではなく、走行台車520が走行するレールRに沿った位置に設置されてもよい。
合金材が投入された処理取鍋L1に溶湯が入れられて、合金材と溶湯が反応すると、溶湯の液滴が飛散したり粉じんやガスが発生したりする。そこで、処理取鍋L1内の合金材と溶湯とが反応するときは、処理取鍋L1を反応位置P3に搬送する。反応位置P3には、反応室(不図示)を設けるのがよい。反応室は、処理取鍋L1の上方を囲み、ダクトで空気を排出する。よって、溶湯の液滴が周囲に飛散するのを防止し、また、粉じんやダストを排出することができる。
図6に示すように、溶湯搬送ユニット50は、処理取鍋L1から溶湯を空け替えられる空替位置P4(厳密には処理取鍋L1の空替位置P4とは異なるが、便宜的に同符号を用いる)と、注湯機72に注湯取鍋L2を移送する移送位置P5とに注湯取鍋L2を搬送する注湯取鍋搬送台車54と、注湯取鍋搬送台車54が走行するレールRとを有する。注湯取鍋搬送台車54は、レール上を走行する走行台車540と、走行台車540に設置され、注湯取鍋L2を水平方向に移動するローラコンベア544とローラコンベアモータ546とを有する。走行台車540の車輪にはエンコーダ543を備え、車輪の回転、すなわち、走行台車540の走行を計測する。すなわち、エンコーダ543は、注湯取鍋L2の位置を検出できる取鍋位置検出センサである。注湯取鍋搬送台車54では、外部から電源を受電するケーブルリール548や制御盤541を、注湯取鍋L2とは離れた位置に設置することにより、万一、注湯取鍋L2から溶湯が漏れた場合に、これらの機器に影響しないようにしている。なお、制御盤541は、走行台車540上ではなく、走行台車540が走行するレールRに沿った位置に設置されてもよい。また、移送位置P5と注湯機72との間に、注湯取鍋L2を注湯取鍋搬送台車54の走行方向と直交する方向に搬送する注湯取鍋搬送機構58が設置されてもよい。注湯取鍋搬送機構58は、ローラコンベア等でよい。なお、処理取鍋L1の容量を注湯取鍋L2の容量のたとえば2倍にして、1台の処理取鍋L1から2台の注湯取鍋L2に空け替えてもよい。
処理取鍋L1から注湯取鍋L2へ空け替えられる溶湯に接種剤を添加する空替接種装置56を空替位置P4の近くに有してもよい。空替接種装置56の構成は、基本的に、合金材投入ユニット60と同じである。処理取鍋L1から注湯取鍋L2へ溶湯を空け替えるときに接種剤を投入することにより、短時間で均一に接種剤を投入できる。
溶湯搬送ユニット50は、処理取鍋L1の取鍋位置としての投入位置P1、受湯位置P2、反応位置P3、および空替位置P4に処理取鍋L1が搬送されたこと、並びに、注湯取鍋L2の取鍋位置としての空替位置P4および移送位置P5に注湯取鍋L2が搬送されたことを検出する取鍋位置検出センサ59を有する。取鍋位置検出センサ59は、たとえば図3に示すように、注湯取鍋搬送機構58のローラコンベアの下に設置された近接スイッチ若しくはレーザセンサであってもよい。あるいは、図5に示す空替機能付受湯台車52や図6に示す注湯取鍋搬送台車54に設置されたエンコーダ523、543であってもよく、あるいは、空替機能付受湯台車52や注湯取鍋搬送台車54に設置された光電センサであってもよい。なお、空替機能付受湯台車52に処理取鍋L1が搭載されていること、および、注湯取鍋搬送台車54に注湯取鍋L2が搭載されていることを確認する光電センサを有することが好ましい。
注湯ユニット70は、図7に示すように、注湯取鍋L2から鋳型Mに注湯する注湯機72を有する。注湯機72は、注湯される鋳型Mが搬送されるのと平行して走行する注湯機台車720と、注湯機台車720上に設置される昇降機構722と、昇降機構722に支持され、搭載した注湯取鍋L2を傾動させる傾動機構724と、注湯機台車720が走行する注湯機レールRpと、注湯取鍋L2の溶湯重量を計測するロードセル(第2重量計)725を有する。昇降機構722は、注湯機台車720が走行する方向と直交する方向に移動する前後移動機構728上に設置される。また、注湯する溶湯の温度を計測する非接触温度計(不図示)を有する。非接触温度計は、温度計測部を調整できるように、たとえばファイバー型とするのが好ましい。
注湯機72は、鋳型Mの湯口の湯面レベルを検知するための湯面検知カメラ726を有することが好ましい。この場合、湯口の注湯カップにテーパを設けることにより、湯面検知カメラ726で撮影した湯面の面積から湯面レベルを検知する。湯面検知カメラ726は、イメージセンサでよい。湯面検知カメラはアームで支持(吊下)され、水平方向に移動可能として、湯口の位置が変化しても湯面を撮影できるようにすることが好ましい。
図7に示すように、注湯ユニット70は、注湯取鍋L2からテストピース(TP)用に溶湯を受け取るテストピース(TP)採取ユニット76を有することが好ましい。TP採取ユニット76では、材質検査のために注湯取鍋L2毎の溶湯からTPを採取する。
鋳造設備1では、図8に示すように、鋳造設備1全体を管理する鋳造設備管理コンピュータ91を備え、かつ、各ユニットに制御装置を備える、すなわち、造型ユニット10には造型ユニット制御装置11を、鋳型搬送ユニット30には鋳型搬送ユニット31を、溶湯搬送ユニット50には溶湯搬送ユニット制御装置51を、注湯ユニット70には注湯ユニット制御装置71を備える。さらに、合金材投入ユニット60には合金材投入ユニット制御装置61を備える。TP採取ユニット76にTP採取ユニット制御装置を備えてもよい。これらの制御装置は、各ユニットに設置されるが、設置される場所は限定されない。たとえば、溶湯搬送ユニット制御装置51は、空替機能付受湯台車52の制御盤521と注湯取鍋搬送台車54の制御盤541とで構成されてもよい。また、注湯ユニット制御装置71は、図7に示すように注湯機台車720上に設置されてもよいし、注湯機レールRpに沿った位置に設置されてもよい。なお、物理的には複数の制御装置11、31、51、61、71が同一の制御装置内にあってもよく、鋳造設備管理コンピュータ91と同一のコンピュータ内にあってもよい。鋳造設備管理コンピュータ91は、データ管理を行えるコンピュータであればよく、その構成は特に限定されない。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して、各制御装置および鋳造設備管理コンピュータ91の動作が、鋳造設備1とは異なる場所のコンピュータで行われてもよい。これらの場合にも、各ユニットが各制御装置を備え、鋳造設備1が鋳造設備管理コンピュータ91を備えるものとする。
各装置は、サンプリング用PLC102を備える。なお装置によっては、サンプリング用PLC102を備えていなくてもよい。また、鋳造設備1は、異常判定コンピュータ108をさらに備えてもよい。あるいは、造型ユニット制御装置11、鋳型搬送ユニット31、溶湯搬送ユニット制御装置51、合金材投入ユニット制御装置61、注湯ユニット制御装置71のそれぞれが、異常判定コンピュータ108の機能を有しても良く、あるいは、鋳造設備管理コンピュータ91が異常判定コンピュータ108の機能を有してもよい。
次に、図2、図3および図8を参照して、鋳造設備1での鋳造方法とデータ管理方法について説明する。製品計画、ユーザ入力等に基づき、造型ユニット10で鋳型Mを造型する計画を示す造型計画データ、鋳型搬送ユニット30で造型した鋳型Mを搬送し、また、鋳型Mに穴明けなどの加工をする計画を示す搬送計画データ、溶湯搬送ユニット50で溶湯の搬送計画や空け替え計画を示す溶湯搬送計画データ、合金材投入ユニット60で投入する合金材および接種剤の計画を示す合金材計画データ、および、注湯ユニット70で注湯取鍋L2から鋳型Mへの注湯計画を示す注湯計画データが、鋳造設備管理コンピュータ91に入力され、または、鋳造設備管理コンピュータ91で演算される。なお、造型計画データ、搬送計画データ、溶湯搬送計画データ、合金材計画データ、および注湯計画データは、2つ以上が組み合わされて、一まとまりのデータとして扱われてもよい。溶湯搬送計画データと合金材計画データを合わせて溶湯計画データという。
造型計画データには、模型番号、離型剤塗布時間、造型時の静圧またはスクイズ圧、砂投入量、鋳型高さ、鋳型厚み、圧縮率等のデータを含む。搬送計画データには、ガス穴明け、湯口の形状と位置、中子セット、間欠的な鋳型搬送のサイクル時間等のデータを含む。溶湯搬送計画データには、材質番号、受湯重量計画値等のデータが含まれる。合金材計画データには、ホッパ番号、ホッパからの投入重量等のデータが含まれる。注湯計画データには、注湯重量、カップ位置、注湯可能温度、許容フェーディング時間および鋳型に対応する溶湯の材質等のデータが含まれる。
造型ユニット10では、造型計画データに基づき、鋳型Mを造型する。先ず、造型前砂特性計測機12で造型前の鋳型砂の性状を計測する。計測する性状は、コンパクタビリティ(CB)、水分、砂温度、通気度、鋳型強度(抗圧力)などである。鋳型砂の性状は鋳型の品質に大きく影響する。計測された鋳型砂の性状は、造型履歴データとして造型ユニット制御装置11に記憶される。
性状を計測した鋳型砂を用いて、造型装置14で鋳型(この段階では、上型と下型)を造型する。所定の模型に離型剤を塗布し、所定量の鋳型砂を込めて、所定の静圧またはスクイズ圧で所定の圧縮率になるまで加圧し、所定の厚みおよび高さの鋳型を造型する。鋳型を造型すると、造型ユニット制御装置11は、この鋳型に対して鋳型連番を発行する。鋳型連番を発行すると、計測した鋳型砂の性状等の造型計画データを、当該鋳型連番に関連付ける。また、造型装置14で砂投入重量、圧縮率、静圧またはスクイズ圧力、スクイズ時間、昇圧速度、スクイズストローク、鋳型厚み、造型時刻等の造型履歴データを計測して、造型履歴データとして鋳型連番に関連付ける。造型ユニット制御装置11は、鋳型連番と造型履歴データを鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。造型計画データと造型履歴データとをまとめて造型データという。また、造型ユニット制御装置11は、鋳型搬送ユニット制御装置31に鋳型連番と鋳型連番に関連付けられた造型データを送信する。
造型装置14で鋳型を造型すると、鋳型における鋳物を製造するための空間の内面にその空間を識別するためのマークを刻印装置16で刻印する。上型または下型のいずれか一方に刻印すればよい。また、1つの鋳型に複数の空間がある場合、すなわち、1つの鋳型で複数の鋳物を製造する場合には、各空間に識別可能なマークを刻印する。すなわち、得られる鋳物(製品)ごとに識別可能なマークが付される。刻印装置16で刻印すると、造型ユニット制御装置11は、各刻印に対応して個体識別連番を発行する。また、造型ユニット制御装置11は、発行した個体識別連番を鋳型連番に関連付ける。なお、刻印装置16が鋳型搬送ユニット30に設置されている場合には、個体識別連番は、鋳型搬送ユニット制御装置31で発行され、鋳型搬送ユニット制御装置31により鋳型連番に関連付けられる。
鋳型搬送ユニット30では、鋳型搬送計画データに基づき、鋳型Mを搬送すると共に、鋳型Mを注湯できる状態にし、また、注湯された鋳型、すなわち溶湯を冷却し、鋳物と砂とを分離する。鋳型搬送ユニット30では、プッシャ38で鋳型を1枠分ずつ間欠的に送る。トラバーサTでも鋳型を1つずつ隣の鋳型列に移送する。また、ガス穴明け装置40で穴を鋳型に明け、上下鋳型反転機41で上型および下型を反転して鋳型の空間を上方に向け、サンドカッタ42で上型の上面の余分な砂を取り除き、湯口カッタ43で上型に湯口を明ける。さらに、定盤台車セット装置44で鋳型を定盤台車に載置し、コアセッタ45で上型および下型に中子をセットし、上鋳型再反転機46で上型を反転し、鋳型合わせ・鋳型移換装置47で上型と下型を合わせて、1つの鋳型Mを形成する。これらの処理における履歴データ、たとえば、ガス穴明け情報、湯口穴明け情報、中子情報などを、造型データ(鋳型履歴データ)として収集し、鋳型連番に関連付ける。このように、鋳型搬送ユニット30では、鋳型を搬送しながら、造型データを収集する。これらの処理で不具合が発生したときには、鋳型搬送ユニット制御装置31は、その不具合の情報を鋳型Mの鋳型連番に関連付ける。なお、枠無し鋳型の場合には、上記のガス穴明け情報、湯口穴明け情報、中子情報などの一部若しくは全部が造型ユニット10で得られ、造型ユニット制御装置11により鋳型連番に関連付けられてもよい。
図9に示すように、鋳型搬送ユニット制御装置31は、鋳型を搬送する度に、鋳型位置センサ39で鋳型の搬送を検知して鋳型連番をずらす。造型装置14で造型された鋳型に鋳型連番「n」が発行される。鋳型搬送ユニット30にて鋳型が1枠分搬送されたことが検知されると、次の位置に鋳型連番「n」がずらされる。鋳型の間欠的搬送における停止位置全てに鋳型連番が割り当てられて、全ての鋳型連番をずらすことにより、鋳型の位置と鋳型連番が正しく対応する。
溶湯搬送ユニット50では、溶湯搬送計画データに基づき、空替機能付き受湯台車52と注湯取鍋搬送台車54を動作させる。空の処理取鍋L1は、空替機能付き受湯台車52により、先ず投入位置P1へ搬送される。処理取鍋L1が投入位置P1へ搬送されると、合金材投入ユニット60から処理取鍋L1へ合金材が投入される。なお、合金材には接種剤を含んでもよい。
合金材投入ユニット60では、合金材投入計画データに基づき、合金材を処理取鍋L1へ投入する。合金材が処理取鍋L1へ投入されると、合金材投入ユニット制御装置61は、この処理取鍋L1に対して取鍋連番を発行する。また、合金材投入ユニット60から処理取鍋L1へ投入された合金材の種類、重量、投入時刻等の合金材投入履歴データを取鍋連番に関連付ける。取鍋連番と合金材投入履歴データが揃うと、それらのデータを鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。また、溶湯搬送ユニット制御装置51に少なくとも取鍋連番を送信する。なお、取鍋連番と合金材投入履歴データを鋳造設備管理コンピュータ91に送信せずに、溶湯搬送ユニット制御装置51に送信してもよい。その場合には、溶湯搬送ユニット制御装置51が、それらのデータを含めて溶湯履歴データとしての溶湯状態データとして鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。溶湯状態データには、溶湯計画データを含んでもよい。なお、合金材投入ユニット60での合金材の処理取鍋L1への投入において不具合が発生した場合には、その不具合の情報を取鍋連番に関連付けて鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。
溶湯搬送ユニット50の空替機能付き受湯台車52により、合金材の投入された処理取鍋L1は、受湯位置P2へ搬送される。処理取鍋L1は、炉Fから溶湯を受湯する。溶湯を受湯すると、第1重量計としてのロードセル525で受湯した溶湯の重量、非接触温度計で計測した温度を計測する。溶湯搬送ユニット制御装置51は、計測した重量、温度、出湯炉番号やチャージ番号、材質番号、受湯した時刻等を、溶湯状態データとして処理取鍋L1の取鍋連番に関連付ける。さらに、炉Fで溶解した溶湯の性状に関するデータを受信し、そのデータを溶湯状態データに含めてもよい。なお、炉で溶解した溶湯も、処理取鍋で受湯した溶湯も、合金材と反応した溶湯も、本明細書では単に「溶湯」という。
受湯した処理取鍋L1は、空替機能付き受湯台車52により反応位置P3へ搬送される。溶湯と合金材との反応が激しい場合には、合金材投入ユニット60で処理取鍋L1に合金材を投入した後、合金材にスチールスクラップなどのカバー剤を被せ、溶湯と合金材の接触を抑える。そのために、処理取鍋L1で受湯した直後には激しい反応は起こらず、その間に処理取鍋L1を反応位置P3へ移動できる。また、合金材にMg等の球状化元素を含む場合には、反応が始まると激しいバブリングを生ずる。そのために、ロードセル525での計測値が大きく変動する。そこで、ロードセル525での計測値が大きく変動し、その後に所定値より小さくなった時点を、フェーディング開始と認識することができる。溶湯搬送ユニット制御装置51は、フェーディング開始時刻またはフェーディング開始時刻からの経過時間であるフェーディング経過時間を溶湯状態データとして取鍋連番に関連付けてもよい。取鍋連番に関連付けたフェーディング開始時刻または経過時間は、注湯ユニット制御装置71に送信される。このように、溶湯搬送ユニット制御装置71では、処理取鍋L1および注湯取鍋L2を搬送しながら、溶湯状態データを収集し、取鍋連番に関連付ける。
溶湯と合金材の反応が終了すると、処理取鍋L1は、空替機能付き受湯台車52により空替位置P4へ搬送される。空替位置P4では、空の注湯取鍋L2が、注湯取鍋搬送台車54により搬送されて、待機している。そこで、処理取鍋L1から注湯取鍋L2へ溶湯を空け替える。ここで、空替機能付き受湯台車52では、処理取鍋L1をシザーリフタ524で所望の高さとし、処理取鍋L1を傾動して空け替えるので、安全に効率的に空け替えることができる。なお、処理取鍋1の搬送中には、処理取鍋1を下げて、かつ、走行台車520の中心に近い位置に移動し、走行台車520の揺れによる影響を小さくすることができる。
空け替えが終了すると、処理取鍋L1に関連付けられていた取鍋連番は、注湯取鍋L2に関連付けられる。その後、空替機能付き受湯台車52は処理取鍋L1を投入位置P1へ搬送し、合金材の投入から繰り返される。なお、注湯取鍋L2および注湯機72を2台備え、1台の処理取鍋L1から2台の注湯取鍋L2へ溶湯を空け替えてもよい。注湯に時間が掛かる場合に、複数の注湯機72を用いて注湯取鍋L2から鋳型Mへ注湯することで、鋳造設備1の効率を向上させることができる。1台の処理取鍋L1から2台の注湯取鍋L2に空け替えされるときには、2台目の注湯取鍋L2には、処理取鍋L1の取鍋連番と、2台目に空け替えられた注湯取鍋であることを示すデータが、取鍋連番として関連付けられる。なお、処理取鍋L1から注湯取鍋L2へ空け替えられる溶湯に、空替接種装置56から接種剤を添加してもよい。溶湯搬送ユニット制御装置51は、添加した接種剤の種類と重量と添加時刻を、溶湯状態データとして、取鍋連番に関連付ける。
注湯取鍋L2に溶湯が空け替えられると、注湯取鍋搬送台車54は、注湯取鍋L2を移送位置P5に搬送する。注湯取鍋L2は、移送位置P5から注湯取鍋搬送機構58により注湯位置P6に移送され、注湯機72に保持される。溶湯搬送ユニット制御装置51は、取鍋連番と、取鍋連番に関連付けられた溶湯状態データを鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。なお、注湯搬送ユニット50での溶湯搬送において不具合が発生した場合には、その不具合の情報を取鍋連番に関連付けて鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。
図10に示すように、溶湯搬送ユニット50は、投入位置P1、受湯位置P2、反応位置P3、空替位置P4、移送位置P5にある処理取鍋L1または注湯取鍋L2を取鍋位置検出センサ59(またはエンコーダ523、543)にて検知して、取鍋連番をずらす。そして、取鍋連番に溶湯状態データを関連付けていく。よって、処理取鍋L1または注湯取鍋L2の位置と取鍋連番が正しく対応し、別々の装置からの溶湯状態データが正しく取鍋連番に関連付けられる。
鋳型搬送ユニット制御装置31は、鋳型Mが注湯機72の前に搬送されると、注湯ユニット制御装置71に鋳型Mの鋳型連番を送信する。そして、注湯ユニット制御装置71は、鋳造設備管理コンピュータ91から、注湯計画データを受信し、さらに、溶湯搬送ユニット制御装置51から注湯取鍋L2の取鍋連番、受湯重量、許容フェーディング時間、フェーディング開始時刻、フェーディング経過時間等を受信する。なお、注湯ユニット制御装置71は、フェーディング経過時間を受信せず、フェーディング開始時刻を受信して、フェーディング経過時間を計測してもよい。
注湯ユニット制御装置71は、鋳型Mの鋳型連番に対応する注湯計画データによる溶湯の材質、すなわち、合金材の種類、重量、溶湯の重量等を、注湯取鍋L2の取鍋連番に対応する溶湯状態データによる溶湯の材質と比較する。これら2つの材質が不一致であるときには、注湯ユニット制御装置71はエラー信号を発する。この場合、注湯せずに、溶湯を溶解炉Fに戻す。注湯取鍋L2をクレーンなどで吊り出し、溶解炉Fに戻してもよい。あるいは、溶解炉Fに溶湯を戻す搬送装置(不図示)を設け、溶解炉Fに戻してもよい。
注湯機72で注湯取鍋L2を受け取ると、第2重量計としてのロードセル725で注湯取鍋L2内の溶湯の重量を計測する。ロードセル725で計測した重量と同じ取鍋連番に関連付けられているロードセル525で計測した重量との差を算定し、その差が所定値より大きいときには、注湯ユニット制御装置71はエラー信号を発する。搬送中に溶湯がこぼれたり漏れたりした可能性が高いからである。
注湯ユニット制御装置71は、注湯計画データに基づき、溶湯を注湯取鍋L2から鋳型Mに注湯する。そこでまず、鋳型連番に関連付けられた鋳型の高さや湯口の位置に基づき、注湯取鍋L2を前後移動機構728により鋳型M側に移動し、昇降機構722により昇降する。そして、昇降機構722および前後移動機構728により注湯取鍋L2の注湯口を動かしつつ、傾動機構724により注湯取鍋L2を傾動して、鋳型Mに注湯する。
注湯ユニット制御装置71は、注湯パターンを記憶しており、鋳型連番に関連付けられた鋳型に適用される注湯パターンで注湯する。注湯中は、湯面検知カメラ726で湯口の画像データを取得する。注湯ユニット制御装置71は、画像データに基づき、湯面レベルを演算し、傾動機構724での注湯取鍋L2の傾動を制御する。また、注湯中もロードセル725で注湯取鍋L2内の溶湯重量を計測し、注湯ユニット制御装置71は、鋳型Mに注湯した溶湯の量を演算する。注湯した溶湯の重量が目標値に近づいたところで、湯切りをする。なお、鋳型Mは、注湯機72の前でも、他の場所と同様に間欠的に搬送される。そのために、停止している時間で鋳型Mへの注湯が完了しない場合には、注湯機台車720が搬送される鋳型Mと同じ速さで走行して、鋳型Mへの注湯を続けることができる。また、注湯機72から注湯する時間が、鋳型が間欠的に搬送される間隔より長いときには、2台の注湯機72を用いる。すなわち、2台の注湯取鍋L2を用いる。
注湯ユニット制御装置71は、フェーディング経過時間と許容フェーディング時間を適宜比較する。フェーディング経過時間が許容フェーディング時間を超えると、エラー信号を発し、注湯取鍋L2に溶湯が残っていても注湯取鍋L2からの注湯を中止する。よって、フェーディングによる球状化不良を防止することができる。注湯取鍋L2に残った溶湯は、溶解炉Fに溶湯を戻す搬送装置を用いて、溶解炉Fに戻され、再利用される。
TP採取ユニット76は、注湯取鍋L2から溶湯を受け取り、TPとして固化する。溶湯を受け取るのは、処理取鍋L2から最初の鋳型に注湯する前でも、一の鋳型に注湯し終わり、次の鋳型に注湯し始める間でも、注湯取鍋L2からの最後の鋳型に注湯した後でもよい。TPを採取すると、注湯ユニット制御装置71は、テストピース(TP)連番を発行する。TP連番は、取鍋連番に関連付けられる。TPは、その後、材質検査をされて、検査結果がTP連番に関連付けられ、鋳造設備管理コンピュータ91に送信される。なお、TP採取ユニット76が、TP採取ユニット制御装置を有し、TP連番を発行してもよい。その場合、TP連番は、注湯ユニット制御装置71に送信され、そこで取鍋連番に関連付けられる。この場合、TP採取ユニット制御装置は、注湯ユニット制御装置71の一部とみなされる。TPの検査結果で材質不良があった場合は、そのTP連番を鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。TP連番から取鍋連番が分かり、鋳型連番に関連付けられ、後述する鋳型ばらし装置48は、鋳型連番にエラー信号が関連付けられている場合には不良品として処理する。
注湯ユニット制御装置71では、同一の注湯取鍋L2から注湯された鋳型の番号である取鍋内回数、注湯(鋳込)時刻、注湯パターン番号、注湯(鋳込)重量および時間、注湯温度等を計測して、これらのデータを溶湯状態データとして取鍋連番に関連付ける。また、鋳型Mの鋳型連番に、鋳型Mに注湯した注湯取鍋L2の取鍋連番を関連付ける。注湯ユニット制御装置71は、これらの関連付けを終えると、データを鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。なお、注湯ユニット70での注湯取鍋L2から鋳型Mへの注湯において不具合が発生した場合には、その不具合の情報を鋳型連番に関連付けて鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。
鋳型搬送ユニット30では、注湯された鋳型Mを冷却ゾーン34で搬送させる。冷却ゾーン34ではレールRfが長く、搬送されるのに時間が掛かる。その時間で鋳型M内の溶湯は冷却固化される。冷却ゾーン34の下流の鋳型ばらし装置48に鋳型Mが搬送されると、鋳型Mが分解され、鋳物と砂とが分離される。鋳物は製品とするための後工程に送られる。砂は、砂回収装置(不図示)を経て、造型ユニット10に送られる。鋳型搬送ユニット制御装置31は、鋳型ばらし装置48に搬送された鋳型Mの鋳型連番に関連付けられたエラー信号およびTP検査結果が不良品である場合には、分離した鋳物を後工程に送らないように区別する。よって、不良品が製品として出荷されることを防止できる。鋳型搬送ユニット制御装置31は、後工程に送られる鋳物に対し、鋳型連番を関連付ける。また、鋳型連番と造型履歴データを鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。
鋳造設備管理コンピュータ91では、鋳型連番、造型データ、取鍋連番、溶湯状態データ、TP検査結果を記憶する。鋳造設備1で製造した鋳型には、鋳型連番が関連付けられる。鋳型連番には、取鍋連番が関連付けられる。よって、鋳物製品から鋳型連番および取鍋連番が分かる。そして、鋳型連番には鋳型の造型データが、取鍋連番には溶湯状態データが関連付けられる。したがって、鋳物製品には、全ての履歴データが関連付けられる。よって、製品不良があったときに、製造履歴を確認することができる。ここで、データ量の多い溶湯状態データを取鍋毎に管理し、鋳型毎の鋳型連番から取鍋毎に管理されているデータを引き出せるので、記憶するデータ量を少なくすることができる。
なお、鋳型の各空間に対応して個体識別連番が発行されている場合には、鋳物製品を個体識別連番で特定することができる。そのため、たとえば製品検査により不具合が見つかった場合には、その鋳物製品の個体識別連番を用いて、鋳型連番を引き出し、鋳型連番に基づき、鋳型の履歴データおよび溶湯状態データを知ることができる。よって、不具合を生じた原因の究明を容易に行うことができる。
ここで、図11をも参照して、鋳型単位のデータ処理を行う作業と、取鍋単位のデータ処理を行う作業とをまとめて説明する。砂処理をして造型前砂特性で性状を計測された鋳型砂を用いて造型装置14で造型する。ここで造型された鋳型に鋳型連番が発行され、以降その鋳型連番を用いて鋳型単位のデータ処理が行われる。なお、鋳型の形状等の交換は、造型装置14で用いる鋳枠、模型等を交換することにより行われる。造型した鋳型に加工する工程としてのガス穴明け、上げ枠反転、サンドカット、湯口カット、定盤台車セット、中子セット、上鋳型再反転、鋳型合わせなどは、鋳型単位のデータを用い、履歴は鋳型単位に記録される。
空替機能付き受湯台車52に載置された処理取鍋L1に合金材を投入すると、処理取鍋L1に取鍋連番が発行される。以降その取鍋連番を用いて取鍋単位のデータ処理が行われる。受湯位置P2、反応位置P3、空替位置P4への処理取鍋L1の移動、溶解炉Fからの溶湯の受湯、注湯取鍋搬送台車54に載置された注湯取鍋L2への空け替え、移送位置P5への注湯取鍋L2の移動、注湯機72への注湯取鍋L2の移送、注湯機72での鋳型への注湯、TP採取ユニット76でのTP採取などは、取鍋単位のデータを用い、履歴(状態データ)も取鍋単位に記録される。
注湯機72により鋳型に注湯されると、取鍋連番が鋳型連番に関連付けられ、鋳型連番から取鍋連番に関連付けられたデータを引き出すことができるようになる。すなわち、冷却ゾーンでの鋳型の冷却時間は、たとえば溶湯の注湯重量により変わり得るので、鋳型毎に、鋳型連番から注湯重量を引き出し冷却ゾーンで搬送される長さを変えてもよい。具体的には、鋳型を隣の鋳型レールRfに移すのにどのトラバーサTで移すか、あるいは、トラバーサTでどの鋳型レールRfに移すか、を変えればよい。また、鋳型ばらし装置48で鋳型ばらしをする際に、鋳型連番から引き出される溶湯状態データに不良であることが含まれていれば、ばらした鋳物を製品としての鋳物と区別し、たとえば廃棄処分することもできる。
次に、図12および図13を参照して、図2の鋳造設備1とは異なる鋳造設備2について説明する。鋳造設備2では、炉Fから注湯取鍋L2に受湯し、空け替えなしで、注湯機72に移送する。その他の点は、鋳造設備1と同様であるので、重複する説明は省略し、異なる点のみを説明する。溶湯と合金材との反応があまり激しくないときには、処理取鍋L1で反応させる必要はなく、注湯取鍋L2で受湯して反応させることができる。
溶湯搬送ユニット50は、合金材投入ユニット60と、注湯取鍋L2を投入位置P1、受湯位置P2、反応位置P3、移送位置P5に搬送する注湯取鍋搬送台車84と、注湯取鍋搬送台車84が走行するレールRと、移送位置P5から注湯取鍋L2を注湯機72に搬送する注湯取鍋搬送機構58を有する。反応が穏やかな場合には、反応位置P3を特に定めず、搬送中に溶湯と反応合金材とを反応させてもよい。
図14に示すように、注湯取鍋搬送台車84は、レールR上を走行する走行台車840と、走行台車840上に設置されるガイド柱842と、ガイド柱842から水平方向に延び、台車上で昇降可能な昇降フレーム844と、昇降フレーム844に設置され、注湯取鍋L2を水平方向に移動する取鍋移動機構846と、昇降フレーム844を昇降する昇降フレーム昇降装置848とを有する。昇降フレーム昇降装置848は、モータ848Mの回転によりチェーン848Cを巻き上げて昇降フレーム844を昇降する。たとえば、溶解炉Fと注湯ユニット70との建設時期が異なり、設置高さに差があっても、注湯取鍋搬送台車84が注湯取鍋L2を昇降する機能を有することで、設置高さの差を吸収することができる。注湯取鍋搬送台車84は、炉Fから受湯した溶湯の重量を計測するロードセル(第1重量計)845を有する。また、受湯した溶湯の温度を計測する非接触温度計(不図示)を有する。
注湯取鍋搬送台車84は、外部から電源を受電する受電装置849やモータ848Mを高い位置、かつ、注湯取鍋L2とは離れた位置に設置することにより、万一、注湯取鍋L2から溶湯が漏れた場合に、これらの機器に影響しないようにしている。高い位置とは、注湯取鍋搬送台車84が走行するとき、すなわち、昇降フレームを下げたときの注湯取鍋L2の底部より高い位置である。注湯取鍋L2とは離れた位置とは、ガイド柱842を挟んで反対側の位置である。
鋳造設備2においても、注湯取鍋L2に合金材投入ユニット60から合金材を投入したら、注湯取鍋L2に対して取鍋連番を発行する。溶湯状態データを取鍋連番に関連付け、注湯機72から鋳型Mに注湯したら、取鍋連番を鋳型連番に関連付ける。よって、鋳造設備1と同様の効果を得ることができる。
本明細書で説明した各ユニット制御装置11、31、51、61、71および鋳造設備管理コンピュータ91間のデータの受け渡しは、上記に限られず、適宜変更してもよい。各計画データ、鋳型履歴データ、溶湯状態データとして示したデータは一例であって、他のデータを用いてもよい。
上記の実施の形態では、鋳型搬送ユニット制御装置31で鋳型を搬送しながら造型データを収集し、不具合が発生したときには、鋳型搬送装置制御ユニット31で不具合の情報を鋳型連番に関連付け、鋳造設備管理コンピュータ91に送信する。そこで、鋳型搬送装置制御ユニット31が、異常判定コンピュータ108としても機能し、不具合の真の原因を特定してもよい。鋳型搬送装置制御ユニット31が、ある装置に異常をもたらす他の装置の稼働状況を記憶しており、不具合の情報と共に、プッシャ38やガス穴明け装置40、サンドカッタ42、湯口カッタ43等の各装置からのデータを鋳型搬送装置制御ユニット31から受信し、記憶している稼働状況と比較することにより不具合の真の原因を特定してもよい。
同様に、造型ユニット制御装置11、溶湯搬送ユニット制御装置51、合金材投入ユニット制御装置61、あるいは、注湯ユニット制御装置71が、異常判定コンピュータ108としても機能してもよい。これらの制御装置11、51、61、71が、ある装置に異常をもたらす他の装置の稼働状況を記憶し、各装置からのデータを受信し、不具合の真の原因を特定してもよい。
また、鋳造設備管理コンピュータ91が、異常判定コンピュータ108として機能してもよい。すなわち、鋳造設備管理コンピュータ91が、ある装置に異常をもたらす他の装置の稼働状況を記憶し、造型ユニット制御装置11、鋳型搬送装置制御ユニット31、溶湯搬送ユニット制御装置51、合金材投入ユニット制御装置61、あるいは、注湯ユニット制御装置71を経由して送られる各装置のデータに基づき、不具合の真の原因を特定してもよい。
鋳造設備1、2によれば、鋳型Mについての情報は、鋳型毎に発行された鋳型連番に関連付けられ、溶湯についての情報は、取鍋毎の取鍋連番に関連付けられる。そして、注湯機72で鋳型Mに溶湯が注湯されると、注湯位置P6にある鋳型Mの鋳型連番と注湯した取鍋L2の取鍋連番が関連付けられる。すなわち、鋳型に関するデータと溶湯の溶湯状態データとを、鋳型連番と鋳型連番に関連付けられた取鍋連番とを用いて、組み合わせて管理することができる。また、造型装置に関するデータを、造型装置で造型された鋳型と関連付けて管理することもできる。さらに、造型ライン上の個別の鋳型を識別して管理することもできる。異常判定コンピュータで判定された異常の原因から、作業者は、このように管理された情報に基づき不具合の生じた可能性のある製品を特定することができ、不具合の生じた製品が下流工程に送られてしまうことを防止できる。
鋳型ユニット制御装置11、鋳型搬送装置制御ユニット31、溶湯搬送ユニット制御装置51、合金材投入ユニット制御装置61、注湯ユニット制御装置71、または、鋳造設備管理コンピュータ91とは別にサンプリング用PLC102や異常判定コンピュータ108を備えて、装置の異常の原因を特定してもよい。
鋳造設備1、2は、造型ユニットに供給する鋳型砂を造型に適した性状に調整する砂処理ユニット80と、鋳型の中に配置する中子を造型する中子造型ユニット(あるいは中子ユニット)82をさらに備えていてもよい。なお、砂処理ユニット80あるいは中子造型ユニット82は、鋳造設備1、2とは、別の建屋に設置されてもよく、その場合にも、鋳造設備1、2の一部であるものとする。砂処理ユニット80で調整した鋳型砂は、造型ユニット10に送られ、造型装置14で鋳型に造型される。中子造型ユニット82で造型された中子は、鋳型搬送ユニット30のコアセッタ45に送られ、鋳型内にセットされる。
異常判定コンピュータ108あるいは鋳造設備管理コンピュータ91は、鋳造設備1、2で鋳造された鋳物の不良の状態と、造型ユニット10、鋳型搬送ユニット30、溶湯搬送ユニット50、合金材投入ユニット60、注湯ユニット70、砂処理ユニット80および中子ユニット82における原因あるいは不具合との関係をマトリックスデータベースとして記憶するのがよい。図15にマトリックスデータベースの一例を模式的に示す。図15に示す例では、グイチ(鋳物の分割面に生じる、上下型のずれによる寸法不良)、砂噛み(鋳物表面の近くに介在する塊状、板状の砂の巻き込み)、ノロ噛み(スラグが注湯時鋳型内に流入して巻き込まれ、これが凝固後も製品に残った鋳造欠陥)、引け巣(鋳物の表面又は内部に主として溶湯の凝固収縮により生じる粗い内壁を持つ空洞)、湯廻り不良(溶湯が鋳型に充満する前に凝固して生ずる欠陥)、ガス(鋳込み中に空気や鋳型より発生するガス又は溶湯から放出するガスなどを巻き込んで生じた鋳物の内部に生じる大小の気泡状の穴)、打痕(鋳型ばらししたときに表面をぶつけてできる欠陥)を鋳物の不良とし、砂処理ユニット、造型ユニット、中子ユニット、注湯ユニット、鋳型搬送ユニットの冷却ゾーンと、鋳型搬送ユニットの後処理装置(鋳型ばらし装置)との6つの代表的な加工点をその不良の原因となる装置としている。
例えば、グイチが発生する原因として鋳型合わせ・鋳型移換装置47の不具合、鋳型搬送レーンの不具合等が考えられるので、マトリックスデータベースには、グイチと造型ユニット10の鋳型合わせ・鋳型移換装置47、鋳型搬送レーンを関連付けるデータが保存される。そこで、鋳物にグイチが発生した場合には、異常判定コンピュータ108あるいは鋳造設備管理コンピュータ91は、造型ユニット10における鋳型合わせ・鋳型移換装置47、鋳型搬送レーンの稼働状況を調べるように制御する。
その結果、原因となる装置の稼働状況が判明すると、不具合を解消するためにその装置の運転を調整する。例えば、鋳型搬送レーンの搬送速度が速すぎてグイチが発生する場合には、鋳型搬送レーンの搬送速度を遅くする。これらの調整は、異常判定コンピュータ108あるいは鋳造設備管理コンピュータ91から情報を受信した造型ユニット制御装置11、鋳型搬送ユニット制御装置31、溶湯搬送ユニット制御装置51で行うことができる。
このように、鋳物の不良と加工点あるいは装置の不具合とを関連付けるマトリックスデータベースを用いることにより、鋳物の不良の原因となる装置を確実に早く特定することが可能となる。さらに、各ユニットの制御装置により原因となる装置の稼働を調整することで、鋳物の不良の原因を解消することができる。